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JP4566289B2 - スチール構造とプラスチックの複合サンドイッチプレートシステム - Google Patents

スチール構造とプラスチックの複合サンドイッチプレートシステム Download PDF

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JP4566289B2 JP52233898A JP52233898A JP4566289B2 JP 4566289 B2 JP4566289 B2 JP 4566289B2 JP 52233898 A JP52233898 A JP 52233898A JP 52233898 A JP52233898 A JP 52233898A JP 4566289 B2 JP4566289 B2 JP 4566289B2
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Description

発明の分野
本発明は、極端なまたは偶発的な荷重条件下で物を収容する必要のある、タンカー、ばら積み運搬船、船などの船舶用の、柔軟で耐衝撃性および耐引き裂き性を有する複合サンドイッチプレートと、その構造システムに関する。
従来技術の説明
社会的、経済的、政治的圧力の増加により、衝突、座礁、火災、爆発など、極端なまたは偶発的な荷重がかかる条件下での船舶の破壊による貨物の流出から生ずる可能性のある、価値ある貨物の紛失だけでなく、汚染の危険や、汚染による海洋環境への損害を低減または解消させる技術が開発されてきた。特に、危険物を運搬する船舶は、規制機関、船舶および貨物保険業者、船主、金融機関によって課される追加の要件に従うことがますます求められている。危険物漏洩責任の費用の増加や、貨物の価値の増加により、流出および破壊を防ぐ船舶の開発が更に促されてきた。
物を収容する1つの方法としては、オイルタンカー用の二重船殻の装備がある。貨物を収容する、じん性のある単一プレート構造の内側の船殻は、同じくじん性のある単一プレート構造である外側の保護船殻内に支持される。従来の二重船殻は、内側の船殻と、外側の船殻との間に縦フレームと、横フレームとを有する。より高度な、別の二重船殻は、内側の船殻と、外側の船殻との間に縦フレームだけを有し、ロボット装置による組み立てライン生産に適した簡略構造としている。従来の二重船殻および高度な二重船殻の設計の両者とも、内側の船殻内の貨物区画の間に横隔壁を有すると共に、内側の船殻と、外側の船殻との間に通常配置されるバラスト区画の間に複数の隔壁を有してもよい。二重船殻設計の変形は、二重底のみ、あるいは二重底と二重船殻側部とを備える構造を有する。重量を減らすため、デッキは、通常単一プレート構造となる。また、縦フレーム間の凸状にカーブした船殻プレートによって、カーブしたプレートの二重船殻内に高いエネルギーを吸収することができる。
第1図に、従来の造船学により設計された典型的な二重船殻オイルタンカーの断面図を示す。第2図に、典型的な二重船殻船舶に対する、貨物タンクと、他の区画の配置を図示する。
従来の単一船殻の設計に対する、二重船殻の構造の利点も周知である。これらの利点には、貨物取り扱い効率の向上すること、貨物の汚れが減ること、および貨物倉とバラストタンクを別にしたことにより水質汚濁が低減することが含まれる。更にまた、内側の船殻と、外側の船殻との間に2メートルの間隔を必要とする国際標準に従って建造される二重船殻によって、衝突時や座礁時の、外側の船殻の穴あきによる流出や破壊の危険が低減される。高度の二重船殻の新規の特徴としては、強度が改善すること、製造が容易になること、バラストタンク内での溶接およびスチール表面積が低減すること、検査の改善と保守の向上をもたらすバラストタンクへの出入りがやりやすくなること、ならびに高エネルギー座礁時に内側の船殻により多くのオイルを貯留することが挙げられる。現在の技術によれば、低エネルギー、低速度の衝撃にかかわる二重船殻の船は、単一船殻の船よりも弱体化されることが少ないと同時に汚染発生の確率も少ない。二重底、二重側部、二重船殻、ミッドデッキなど改善されたタンカー設計によって、事故によるオイル流出の危険が解消されないまでも低減されることは周知である。試験によれば、高度の全スチール製二重船殻設計によって従来の全スチール製二重船殻設計よりも多くのエネルギーを分散するが、両設計共、疲労によるクラックや、極端な荷重がかかる事象が起きる時破壊したプレートから伝播するクラックから生じるクラックの伝播により内側の船殻が弱体化する。
座礁や衝突など偶発的または極端な荷重がかかる事象時の二重船殻構造のエネルギー吸収能力の改善に関する特許には、Krulikowski III等の米国特許第5,218,919号およびStuartの第5,477,797号がある。両特許共、外部船殻を備える既存の単一船殻タンカーを改修して二重船殻タンカーにすることを指向している。Krulikowski III等の特許は、トラスのように形成配置された伸縮式のエネルギー吸収部材を使用して、既存のオイルタンカーの船殻の外部に積層されたスチールの補助船殻を支持することを記載している。横隔壁およびたわみ抑制装置への取り付け部材の詳細についても記載されている。船殻間の空所には、ポリウレタンフォーム/ボールが詰められて、衝撃力を分散し、水圧荷重下で補助船殻を支持し、補助船殻が破壊された場合、追加の浮力を付与する。Stuart特許は、既存のオイルタンカーの外部の船殻に取り付けられる補助船殻の構造について記載している。この船殻は、船殻間で、断面で見て、ハネカム構成を形成する縦にフレームがはいった一連のスチールプレートで構成される。外部の船殻を不連続にする応力除去ジョイントと、内側の船殻のハネカム構造組み合わせにより、耐損傷性のある船殻が作り出される。また、この構造により、内側の船殻空間には、加圧不活性ガスと、真空圧力システムとを使って、適切なバラストが得られるレベルまで浸水させることができる。これらの改修された外部船殻構造では、外側の船殻が破壊したことにより内側の船殻にクラックが伝播する可能性が扱われておらず、また、補助船殻構造の製造および保守にかかる費用およびその実用性が適切に扱われていない。現在の改修設計では、検査および腐食の保守のために船殻間に出入りすることは、不可能ではないにしても、困難である。改修設計での外部船殻は、運航上の荷重全てを担うことに寄与するわけではなく、また、構造上機能が制限されたタンカーにかなり役に立たない重量を加える。
Verolmeの米国特許第4,083,318号およびAsaiの第4,672,906号は、LNG(液化天然ガス)タンカーと、低温または高温の貨物を運搬するタンカーに関する。これらのタンカーでは、貨物タンクがタンカーから分割された構造で、タンカーの荷重を支持する船殻の桁システムの一部を形成しない。
現在の全スチール製二重船殻構造には、これらの設計タイプが、衝突、座礁、爆発、火災など偶発的または極端な荷重がかかる事象後のオイル流出がゼロの性能判定基準を満たし、一方、建造、保守、実働寿命についての費用に関して競争力を維持する可能性を低下させる深刻な欠点がある。1つの欠点としては、現在の二重船殻構造は、これまで記録されているタンカー事故から測定された岩による穴あきについての統計データに関連している、船殻間の分離が最小の二重船殻構造の使用を規定する国際協定と国内規格に準拠した旧来の造船学の設計に基づくことが挙げられる。
旧来の造船学による規格に従って建造される船殻は、スチールプレートと、フレーム、隔壁、桁など、プレートスチール構造の部材とを有する複雑なシステムである。スチールプレートおよび支持部材の支持能力は、プレート表面に固定される平型の、または山形の、または溝型のメタルストックなど当業者に周知のタイプの多数のスチフナで、プレートと、構造部材とを強化することにより増強される。この船殻構造と、プレートスチフナとの複雑なシステムは、疲労破壊の根源であり、偶発的または極端な荷重がかかる時船殻プレートの引き裂き(破壊)の根源でもある。このタイプの船殻は、切断、取り扱い、溶接を必要とするピースが多数になり、また、保護塗装を実施しなければならない表面積がかなり増加するため建造費用が高価になる。また、これらの典型的な複雑な構造システムは、部材が非常に密集しているため、アクセス性が低下し、検査性が低下し、また、保守性が低下して、さらに、保守費用が増大するうえ、腐食により実働寿命が低下することになる。
また、二重船殻部分に関する最近の大規模な座礁試験は、単一船殻の船舶よりも二重船殻の船舶が優れているにもかかわらず、横構造部材またはその付近での外部船殻の初期破壊からクラックが伝播する結果として、現在利用できるスチール製二重船殻設計による内側の船殻の破壊が、発生する可能性があることを示している。外側の船殻内で発生したクラックは、内側の船殻と、外側の船殻との間の構造部材を通じて伝播し、内側の船殻まで広がる。内側の船殻破壊の結果、破壊された貨物倉からオイルが明らかに流出する。貨物タンク内にスチール構造を通じたクラックが伝播するのを防ぐクラック停止層や他の構造を備えることは、現在の設計方式には開示されていない。したがって、偶発的または極端な荷重がかかる事象の場合にオイルの流出を防止または低減することは、現在利用できる設計方式によっては必ずしも適切に取り扱われていない。
大規模なスチールとポリウレタン発泡材との複合サンドイッチプレートは、流出と船殻破壊とを防ぐ能力を試すために試験されてきた。これらの試験では、ポリウレタン発泡材が、スチールプレートに必ずしも適切に接着せず、せん断強度も殆ど無いことを裏付けている。低いせん断強度により、複合材の曲げ能力が最小限になり、また、接着力の不足により、面内のバックリング能力を増加させて、プレートスチフナの使用を必要としなくするため、ポリウレタン発泡材と、スチールとを複合材に使用する可能性を排除している。試験において使用されたる低密度発泡材は、構造上必要な引張り強度が殆ど、あるいは全く無く、また、圧縮強度も不足している。通常、試験された発泡材は、クラック停止層として機能したが、構造的には機能しなかった。したがって、所要のクラック停止構造の複合構成は、得られなかった。この試験された発泡材は、多少のエネルギー吸収能力を持ったが、この能力は、膜活動におけるスチールに比べて小さかった。この発泡材により、集中荷重点周辺のスチールプレートの局所的なひずみが減らされるが、スチールの船殻プレートのせん断引張りによる破壊は、発生が遅れるが、防止はできない。
このため、従来技術には、船殻構造の複雑さを簡略化し、偶発的または極端な荷重がかかる場合のエネルギー吸収能力と、プラスチックの振舞いとを増加して、船殻の破壊やクラックの伝播による貨物の損失を低減または解消させる船殻構造システムが必要とされている。
発明の概要
前述した二重船殻タンカーを提供する場合の従来技術に固有の欠点は、スチールプレート同士のじん性のある構造エラストマーを接合してスチールエラストマースチール構成の船殻パネルと、フレームと、支持部材とを形成することにより、本発明の教示により、有利に解消される。このエラストマーは、好ましくは、プレートの発錆に導く可能性がある吸水を防ぐために、疎水性であり、破壊することなくスチールプレートの降伏ひずみを越えるのに充分な延性を有するようにすべきである。この複合パネルは、二重船殻の少なくとも内側の船殻を建造するのに使用される。好ましくは、スチールエラストマースチールの複合パネルは、内側の船殻、外側の船殻、隔壁、フロア、デッキおよびコラプス型フレーム、支持部材を建造するのに使用され、いかなる形状であれ必要な形状に形成されることができる。内側の船殻を形成する複合パネル内のエラストマー層は、特に、内側の船殻の内側スチールプレートと、内側の船殻の外側のスチールプレートとの間に有効なクラック停止層を提供し、外側の船殻、フロアフレームや隔壁などの横部材、実働荷重、および偶発的または極端な荷重の両方に対応して設計されるウェブフレームや水平フレームなど他の支持部材から伝播するクラックから内側の船殻の内側のスチールプレートを有効に隔離する。更にまた、複合パネルは、従来のスチールプレートよりも強度があり、じん性のあるため、フレームおよび支持部材の数は、かなり減る一方、強度、実働寿命、建造費用、保守費用、非破壊性については現在の設計規格を満たすか超越する。
本発明の教示により、適切に精密なフロアと、横隔壁とを備え、例えば、オイルタンカーなどの格納船舶での使用に特に適したスチールとポリウレタンエラストマーとの複合サンドイッチプレートシステムは、周知の全スチール船に関連する欠点をほぼ解消するように製造される。船体設計に関する具体的な詳細は、「American Bureau of Shipping and Affiliated Companies、1996 Part 3、Hull Construction and Equipment; Part 5、Specialized Vessels and Services」に記載される。
【図面の簡単な説明】
本発明の教示は、以下の図面に従った以下の詳細な説明を考慮することにより即座に理解される。
第1図は、単一方向の桁システムと、補強スチール船殻プレートとを有する従来技術の全スチール二重船殻オイルタンカーの透視断面図である。
第2図は、貨物およびバラスト仕切の一般的配置を図示する従来技術の二重船殻タンカーの正面図である。
第3図は、構造部材と、スチフナシステムを図示する横隔壁についての従来技術の二重船殻タンカーの中断面を示す断面図である。
第4図は、本発明による複合パネル付き構成の横隔壁についての二重船殻中断面の断面図である。
第5図は、本発明による複合パネル付き構成の二重船殻の船の貨物倉の部分断面図である。
第6図は、本発明による複合パネル付きの二重船殻横隔壁構造の切り欠き断面図である。
第7図は、本発明による横隔壁用のクラック停止部部分の詳細を示す切り欠き断面図である。
第8図は、本発明により構成される複合パネルの断面図である。
第9図は、本発明による複合パネル付き構成の内側のパネルおよび隔壁の断面図である。
第10図は、本発明による複合パネル付き構成の内側および外側の船殻と、支持部材とを示す断面図である。
第11図は、クラック停止の切り欠き部を密封するエラストマープラグの詳細を示す、第10図の線11−11に沿った断面図である。
第12図は、本発明による構成の複合パネルの断面図である。
第13図は、本発明による複合パネル付き構成の内側の船殻、隔壁、複合スペーサの断面図である。
詳細な説明
本発明の教示は、極端なもしくは偶発的な荷重がかかる事象が発生する時に物を収容する必要のある、構造物、船舶、タンカー、ばら積み運搬船、または荷重がかかる船すべてに適用可能である。本発明を、例示のためにのみ、二重船殻のオイルタンカーを参照して論ずる。当業者であれば、本発明の教示が、路上走行車、鉄道車輌、貯蔵タンクなどの他の格納容器、ばら積みキャリアなどの構成にどのように組み込むことができるかを即座に理解できよう。
既存の設計では、耐衝撃性および非破壊性についての研究、規則および規制、ならびに構造は、通常、全スチール製の従来型の二重船殻と、二重船殻とに向けられている。例えば、40,000DWT(載荷重量トン)タンカーについての、第2図および第3図で図示されるような典型的な従来型二重船殻(CDH)の設計は、直交する補強底部1と、横ウェブフレーム2と、縦桁3を備える内側の船殻10と、外側の船殻12によって特徴づけられる。船殻プレート4は、縦桁3に溶接されるか、取り付けられる。縦桁3に対して横方向にあるウェブフレーム2は、縦桁3の間に取り付けられて、桁3を固定、安定させている。第2図の平面図に、外側の船殻12と、外側の船殻12の貨物収容部分の内側の船殻10とを有するタンカーの典型的な配置図を図示する。内側の船殻10の中の仕切られた貨物倉13は、隔壁6によって分離される。貨物倉13の外側にある区画102は、船殻下部においてバラストタンクとして供してもよい。
典型的には、ハルプレート4、デッキプレート5、ウェブフレーム2、フロアフレーム11、隔壁6、桁3の荷重担持能力は、第3図に示す通り、スチフナ7を追加することによって増強される。内側および外側の船殻10、12の両方のハルプレート4、並びにデッキプレート5を強化するには数多くのスチフナ7が必要である。図示しない追加のスチフナも、桁3、隔壁6、フレーム2、および桁3上に見られる。このタイプの構造は、座礁または衝突など偶発的または極端な荷重がかかる事象に対して耐衝撃性を有する設計にはなっていなくてもよいことを理解されたい。高度の二重船殻(ADH)は、外側の船殻と、内側の船殻との間の主に縦の単一方向フレームを有する。この高度の二重船殻は、横部材の数は非常に少ないが、貨物区画13同士の間に横隔壁6を必ず有し、内側の船殻と、外側の船殻との間に配置されるバラスト区画102同士の間に横フロアフレーム11を有してもよい。従来の二重船殻同様、高度の二重船殻スチールプレート構成材の運搬能力は、このスチールプレート構成材の表面に数多くのスチフナ7を固定することによって増強される。
従来および高度の全スチール製二重船殻構造システムに関する高エネルギー衝撃の座礁の影響についての最近の研究では、外側の船殻12が、縦桁3同士の間のスチールプレート9の膜動作における最大応力を超えた結果として、通常縦方向に破壊され、内側の船殻10の破壊は、横フレーム2、11および隔壁6からの縦のクラックの伝播によって発生することが示唆されている。つまり、この破壊は、隔壁6、フロア11またはフレーム2など、横部材2、6、11またはその付近での外側の船殻12の破壊によって発生する。船舶の船殻内に異物が浸入した場合、内側の船殻10の一部は、浸入異物と直接接触することによってか、浸入異物によって内側に押し込められる、例えば、船殻桁3あるいはフロアフレーム11などの支持部材によって間接的に内側に押し込まれる(持ち上げられる)かのいずれかである。衝撃区域における内側の船殻プレート14は、横部材11がさらに内側に動かないよう内側の船殻10を拘束するまで、例えば、内側の船殻プレート14の「持ち上げ」が拘束されて、浸入異物の位置またはその付近に極端な膜応力を発生させるまで、膜として変形することがある。この極端な膜応力は、内側の船殻プレート14を拘束する横部材2、6、11かまたは拘束された内側の船殻プレート14に直接、初期クラックを発生させるきっかけとなり、内側の船殻10の破壊につながる。通常、流出のないタンカーの船底構造は、破壊することなく内側の船殻10が「持ち上げ」られる非弾性膜変形を伴う設計であることを要件としている。
この目的を達成するため、本発明に従い、クラック停止層15(第4図)が、少なくとも、例えば、フロアフレーム24や隔壁26などの、全ての横部材の位置にあるまたはその付近の船殻構造物に組み込まれるが、可能であれば、船殻構造全体にわたっていることが好ましい。
オリエンテーションのため、ここでの議論では、構成材に関して「内側」という言葉が使われている場合、通常、船舶の貨物倉により近い構成材を指す。表面に関して「内側」という言葉が使われている場合、通常、貨物倉に対向する表面を指す。特に、内側のメタルプレートの内側の表面63(第8図)または内側の船殻20の層34が、貨物倉68に面し、通常露出される。構成材に関して「外側」という言葉が使われる場合、通常、貨物倉から相対的に離れた構成材を指す。表面に関して「外側」という言葉が使われる場合、通常、貨物倉から離れて対向する表面を指す。
ここで、本発明を図示する第4図を参照すると、例えば、単一方向性二重船殻サンドイッチプレートシステム(UDHSPS)で構成されるタンカーを建造する複合パネル船舶構造システムは、一部またはすべてが複合システムである適切に精密なコラプス型構造によって支持されるスチール−エラストマー−スチールの複合パネル18で構成されるじん性のある耐衝撃性船殻16を含む。ここで第5図を参照すると、複合パネル18は、外側のメタルプレート36から離間されてこのメタルプレートに対向する内側のメタルプレート34で構成される。内側および外側のメタルプレートは、中間エラストマーコア38に接合される。2つの対向する側部74および78と、底部76とを有する内側の船殻は、貨物倉68を形成する。デッキ40は、側部74の最上部から側部78の最上部まで延び、貨物倉68の最上部を閉じる。貨物倉68の各端部の隔壁26は、側部74および78と、底部76およびデッキ40とに結合され、貨物倉68をほぼ完全に閉じる。2つの側部80および82と、底部84とを有する外側の船殻28は、それぞれ内側の船殻20の2つの側部74および78と、底部76とから離間され、それらを閉じる。外側の船殻28は、縦桁22と、横フロアフレーム24とを含む支持部材によって内側の船殻20に結合される。少なくとも内側の船殻20は、複合パネル18で構成される。好ましくは、内側の船殻20、外側の船殻28、縦桁22、フロアフレーム24、および隔壁28は、複合パネル18で構成される。複合パネル18で構成されるか、従来の単一スチールプレートで構成される場合のいずれの場合でも、各種構成材は、複合パネル18のエラストマーコア38を装備するのに必要な、以下に述べる一定の許容誤差をもって、溶接またはその他の従来手段によって一体に結合される。
UDHSPSは、衝突または座礁の場合、貨物を含む内側の船殻20の非破壊性を飛躍的に高め、特に従来の二重船殻に比べて、このような事象におけるオイル流出を解消しないまでもかなり低減させる。このUDHSPSは、偶発的または極端な荷重条件下で延性モードで振る舞うように構成されると共に、複合パネル船殻の非弾性膜動作と、従来のスチールパネル、および/またはスチール−エラストマー−スチールの複合パネル支持部材の塑性変形によってエネルギーを吸収するよう構成される。オイル流出を最小限にするか、解消するため、貨物倉のクラックの伝播や、引き裂きの伝播が防止される。極端な荷重がかかる事象時の破断のモードとして引き裂きまたはクラックを停止するため、衝突または座礁時に船の可能な限り多くの部分を連動(engage)させて、衝撃エネルギーの吸収および分散を最大化する。その結果、オイル流出を全て解消しないまでも最小限にする。
オイルタンカーに関する限り、UDHSPSは、運航上の荷重に対して、現在の規格に従って設計される従来または高度の全スチール製二重船殻の船と同等の強度、または、より大きな強度を備えるように設計できる。第5図の断面詳細図に示す通り、本発明によるスチール−エラストマー−スチールの船殻桁22は、エラストマーコア38に接して内側のメタルプレート34と、外側のメタルプレート36とを有し、貨物船の運航に関連する荷重など、典型的、あるいは極端な静的および動的荷重に耐えられるだけの、中空形状で、壁の薄いボックスビームとして機能するのに十分な曲げ、せん断、ねじれ力を備える。これらの荷重には、例えば、静水時の荷重、ドライドッキング時の荷重、熱荷重、船殻にかかる波による動的圧力分布、液状貨物のスロッシング、デッキへのグリーンシー、ウェーブスラップ、慣性荷重、進水時および停泊時の荷重、砕氷時の荷重、スラミング時荷重、強制振動時荷重、衝突時荷重、座礁時荷重などが含まれる。第4図および第6図に、スチール−エラストマー−スチールの複合パネル18で構成された二重船殻用の二重船殻の中央部42と、横隔壁26とを図示する。内側および外側の船殻20および28は両方とも、それぞれ特定のサイズおよび目的の船舶に向けて適切に設計され、寸法が決められたスチール−エラストマー−スチールの複合パネル18から構成される。第6図、第7図、および第9図に示す横隔壁26も、複合パネル18構成として、水平および垂直のウェブプレート30および32によってそれぞれ支持されるスチール−エラストマー−スチールの複合パネル18で構成される。
複合パネル18は、例えば、船殻パネル17、フロアフレーム24、桁22、隔壁26など個々の構成材として製造でき、続いて、出荷されて、さまざまな方法で、完全な船舶のサブアセンブリに組み立てられる。複合パネル18の内側および外側のメタルプレート34および36(第5図)は、概ね離間した関係で位置決めされ、エラストマーコア38の空洞部56(第12図)を形成する。好ましい実施形態では、内側および外側のメタルプレート34および36は、それぞれスチールである。他の金属、例えば、高い耐腐食性が要求されるときは、ステンレス鋼、または、軽量が要求されるときは、アルミニウムを使用することができる。複合パネル18は、単一のプレートメタルよりもかなり強度があるため、他のより柔軟なタイプの金属を、複合パネルを構成するのに使用できる。
第8図に示す通り、好ましくは内側の金属層34と、外側の金属層36との間は、内側の金属層34と、外側の金属層36との間に提供されるスペーサ要素44(「スペーサ」)によって適切に維持される。このスペーサ要素44は、連続したストリップ様の部材を具備してもよい。あるいは、スペーサ要素44は、ランダムにまたは1つのパターンをなすように個々のスペーサ部材を複数具備してもよい。スペーサ44は、内部の金属層34と、外部の金属層36との間に設置される金属または他の適切な材料で構成できる。スペーサ要素44は、内側の金属層34および/または外側の金属層36に溶接または接合してもよい。好ましくは、スペーサ44は、対向する縦エッジ46および50を有する連続的なストリップ様部材である。
スペーサ44は通常縦桁22間の中間の外側のメタルプレート36の中間線に沿った点で、1つの縦エッジ46上で、フィレット溶接48によってプレート36に溶接される。好ましくは、スペーサは、通常、船殼構造に関して縦方向にのみ走行するが、必要に応じて横方向に走行してもよい。外側のメタルプレート36とほぼ同じ長さおよび幅寸法を有する内側のメタルプレート34は、横方向に千鳥状になっているので、当接する内側のプレート18aおよび18bのエッジ52と54とは、当然スペーサエッジ50に当接する。スペーサ44のエッジ50は、当接するパネル18aと18bの隣接するエッジ52と54用の支持部材として役立つことができる。スペーサ要素エッジ50は、溶接裏当てバーとして機能し、突き合わせ溶接55が完了するまで内側の金属層プレート18aおよび18bを支持する。裏当てバーとして機能するスペーサ要素44は、適切な溶接隙間を与えるのに役立ち、溶接の準備作業を最小限にする。突き合わせ溶接55は、スペーサ44のエッジ50にパネル18aおよび18bのエッジ52および54をしっかりと固定する。エラストマーコア38は、内側または外側の金属プレート18aおよび36それぞれの開口部70を通じてプレート18aおよび18bを溶接した後に追加してもよい。
スペーサ要素44は、予め製造、または成形されたエラストマーストリップまたはブロックとし、金属層34と、金属層36との間の位置に接合または熱硬化させてもよい。一方、スペース処理は、例えば、内側および外側のプレートそれぞれを保持する製造用治具によって、離れた間隔を維持して、コア空洞部56を形成し、エラストマーコア38が提供され硬化されることができる。
好ましくは、縦桁22、フロアフレーム24、隔壁26、内側および外側の船殻20と28、複合船殻パネル18など個々の構成材は、構成材のプレート間に適切なコア空洞部56を維持しながら、その構成材に指定された位置で、特定の構成材の内側および外側のスチールプレート34と36とを少なくとも部分的に固定することによって建造中の船舶上で一体に製造される。続いて、このエラストマーは、液状または粘性状態で流入または注入して、コア空洞部内の所定位置にエラストマーを成形させることによって、内側および外側のメタルプレート34と36の間のコア空洞部に配置される。一方、このエラストマーが、構成材の開放されている、または固定していないエッジから何も入っていないコア空洞部に入れられるような断面寸法の1つまたは複数のチューブを通じてコア内に配置される。このチューブの長さは、構成材を入れるのに適した寸法とする。エラストマーが、チューブを通じて空洞部に入り、プレート同士の間の空隙を埋めるにつれて、チューブは引き込まれる。このエラストマーは、この空隙の形成を司り、この場合、コア空洞部56の形をとって、成形される。一方、このエラストマーは、内側および外側のメタルプレート34と36に設けられるプレート開口部またはポート70(第7図)を通じて注入または流入させることにより、コア空洞部内に配置できる。プレート開口部70の好ましい位置は、外側の船殻28の内側のメタルプレート34および内側の船殻20の外側のメタルプレート36にあり、外部環境や貨物に曝さないようにする。その後、これらのプレート開口部70は、その後、ねじ切りしたメタルプラグ72で蜜封される。このエラストマーは、船殻の建造が進行するにつれて個々の構成要素のコア空洞部56内に配置され、また、船殻の大部分または全体が、内側および外側のプレート34と36との間の何も入っていないコア空洞部56とともに建造され、続いて、エラストマーは、このコア空洞部56に配置できる。流動可能なエラストマーがコア空洞部56内にあると、エラストマーコア38は、例えば熱を与えることにより硬化される。
内側および外側のスチール層34と36各々の好ましい厚さは、例えば、6mmから25mmの範囲であり、理想的な厚さとしては、10mmと考えられる。これらの寸法は、サービス要件または構成要件、並びに使用される材料の種類や質によっても変わる。内側および外側の金属層34と36とは、同じ厚さ寸法を有する必要はなく、また、同じ金属の種類または質で構成される必要もないことは、当業者なら理解できよう。
本発明の趣旨または範囲を逸脱することなく、数多くの組み合わせ、および変形が可能である。
複合パネルの厚さ寸法は、各種の構成材および取り付けに必要な構造強度の要件を達成するように積層材の組み立て時に選択的に調整できる。内側および外側のメタルプレート34と36、および/またはエラストマーコア38それぞれの厚さ寸法は、特定要件に従って変わることがある。更にまた、積層パネル18は、構造強度を局所的に調整するため寸法上厚みを増したパネル部を有するよう構成することができる。寸法上厚さを増したパネル部は、スペーサ要素44の寸法を変えたり、例えばスペーサ要素の長さに沿ってスペーサ要素の深さを変えたりすることによって提供される厚さを増したエラストマーコア38の成果であり、様々な厚さを持つ複合パネル18が提供される。一方、寸法上厚さを増したパネルは、この複合材の内側および外側のメタルプレート34と36の内の1つまたはその両方の厚さを増したので生じた可能性がある。
このエラストマーは、好ましくは熱硬化タイプのプラスチックであって、材料を硬化させ、成形工程を完了させる熱を必要とする場合がある。好ましいポリウレタンエラストマーは、約20℃から60℃の温度で硬化する。構成材の溶接による余熱によって、成形時の熱の一部が特に溶接接合部付近で与えられる。しかし、溶接接合部から離れたコア空洞部56の各部は、硬化熱を補足する必要がある。エラストマーコア38を硬化させるのに必要な熱は、複合パネル18の内側および外側のメタルプレート34と36とに与えられる。メタルプレート34と36とは、コア空洞部56内のエラストマーに熱を即座に伝導し、エラストマーの成形を完了させる。一方、温度が低下したり、上昇したりすると、流動し、周囲温度で硬化するエラストマーを選択することができる。
コア空洞部56がエラストマー38で満たされると、内側および外側のメタルプレート34と36のすべての開口部70は、ねじ切りしたメタルプラッグ72で密封される。この開口部70は、好ましくは、外側の船殻28の内側のプレート34上にあって、外部環境にさらされることがなく、また、内側の船殻20の外部プレート36上にあって貨物に曝されない。このため、この開口部70と、プラグ72とは、通常、内側の船殻20と、外側の船殻28との間の空隙に曝され、検査および保守を容易に行うことができる。
構成材組み立て工程は、船舶の建造が進むにつれて、繰り返され、隣接する構成材の据え付けが完了する。ここで議論する組み立て方法は、例示的なものにすぎない。他の船の組み立て方法については知られており、本発明の一部として解釈される。
選択されたエラストマーの構造上または接着剤としての特性は、溶接の熱によって損傷される場合があるので、エラストマー38が内側および外側のプレート34と36との間の所定位置に配置された後、隣接する複合構成材18aと18bとが溶接により固定される場合、溶接マージン58を設けなければならない。この溶接マージン58は、溶接されるべき接合部付近のコア空洞部56の適切に寸法決定された部分であって、このマージン58は、少なくとも当初は、エラストマーを欠いたものである。溶接中の接合部から約75mmのマージン58は、エラストマーコア38への損傷を防ぐのに充分である。溶接接合部から75mmの鋼材の温度は、通常、約150℃であって、溶接接合部またはその付近の鋼材の温度は、かなり高くなる。溶接作業が完了して、接合部が例えば150℃まで冷却された後、溶接マージン内の空隙を、構成材である内側および外側のメタルプレート34と36に設けられた開口部70を通じてエラストマで満たすことができる。一方、1つの構成材の溶接マージン58は、隣接構成材の何も入っていないコア空洞部56を通じてエラストマで満たすことができる。
エラストマーとしては、内側および外側のメタルプレート34と36のメタルに適切に接合できる能力を持つものが選択されると解釈される。一方、適切な接合剤は、接着を促進するのに用いることができる。即ち、接着剤は、このエラストマーをメタルプレートに接合するために用いることができる。また、メタル「スキン」プレートは、知られている手段によって、予め成形されたエラストマーコアに機械的または化学的に接合されることができる。適切な寸法のスペーサが、「スキン」プレート同士の間に設置されて、接合作業時に適切なスペースを維持してもよい。
スチール−エラストマー−スチールの複合パネルのコアとして適切と考えられる材料は、様々であるが、この複合パネルのコアに好ましいエラストマーは、適切な化学的および物理的特性を有する熱硬化ポリウレタンエラストマーである。エラストマーに関する具体的な詳細については、本明細書で引用例として参照されるEnginerred Materials Hnadbook、Volume 2,Engineering Plasatics(1988 ASM International)に述べられている。熱硬化ポリウレタンエラストマーは、例えば、以下の物理的特性および特徴をもつエンジニアリング材料である。20MPaから55MPaの引張り強度、70Aから80Dまでのショア硬さ、100%から800%までの伸び率、2MPaから104MPaの曲げ率、摂氏−70度から15度のガラス転移温度、耐磨耗性、低温たわみ性、低温衝撃強度、長期間たわみ性、耐引き裂き性/耐切傷性、耐燃料性および耐オイル性、良好な弾性/跳ね返り性、耐オゾン性、耐候性、耐温度性。これらの特性は、対応するASTM規格に従って定義され、特徴付けられる。ポリウレタンエラストマーの商品としては、荷重の重い産業用ローラ、キャスター車輪、外部塗装自動車体部分、油圧シール、ドライブベルト、注入/ブロー成形部、注入成形グリースブーツ(カバー)、ブローおよびフラットダイ押し出しフィルム、およびシート生成物(厚さ0.03mmから3mm)、配管、ホースカバー、スポーツシューズ、ワイア、ケーブル保護カバーが挙げられる。商用ポリウレタンエラストマーの特性および特徴は、化学的性質を変えることによって特定の用途に適合できる。ポリウレタンエラストマーは、これまでメタルスキンとの複合サンドイッチ構成では、二重船殻オイルタンカーなどの格納船舶用には使用されてこなかった。
明らかに、複合構造パネル18のエラストマのコア材料は、運航上の荷重を支持するためメタルスキンプレート34と36との両方にしっかりと接着されなければならない。更にまた、硬化エラストマのコア材料38は、充分な密度、引張り強度、延性、せん断強度、圧縮強度など適切な構造特性を有して、例えば、座礁または衝突などの偶発的または極端な荷重がかかる事象のときに、高い強度と、延性と、耐久性と耐衝撃性など造船用途において望ましい特性を持つ複合パネル18が提供されねばならない。適切な組成のポリウレタンエラストマーは、耐水性および耐オイル性など他の適切な特性と、絶縁に対する耐熱性を有する。
複合パネル18構成のエラストマーコア38は、幾つかの方法で貨物の運搬に貢献する。第1に、内側および外側のスチールプレート34、36と、エラストマー38との間で行った接着により、通常のホギングおよびサギングモーメント下で発生する比較的薄いメタルプレート34と36の局所的なバックリングが防止され、縦桁22同士の間に近接して離間された縦スチフナの必要性、および近接して離間された縦桁22の必要性がなくなる。第2に、エラストマーコア38は、内側および外側のメタルプレート34と36との間に充分なせん断を伝達するのに適した物理特性と寸法とを備えて、内側および外側のプレート34と36の曲げ強度を向上させる。複合パネル18の内側および外側のプレート34と36とは、互い分離しているため、同じプレート総厚さを持つ従来の単一メタルプレート14よりも約10倍の曲げ強度を備える。対応する単一プレート構成材に比べて、複合構成材はかなり高い強度をもつ結果、例えば、縦桁22、フレーム24または隔壁26などの複合構成材は、更に間隔を大きくとって配置されることができるので、より少ない複合構成材しか必要とされない。更にまた、より強度のある複合構成材により、スチフナ7は殆ど、または全く必要なくなる。したがって、船舶を建造するのに必要な鋼材の全重量を増加させることなく、従来技術の鋼材の二重船殻において必要な追加分の縦桁3、フレーム11と2、プレートスチフナ7に通常使用される鋼材は、複合船殻プレート17と18、および桁22、フロア24、隔壁26とウェブ32などの構造部材に再配置されて、鋼材コストを増やすことなく構造面の性能を向上させることができる、より強度のある個々の構成材を得ることができる。エラストマーコア38は、複合パネル18の内側および外側のメタルプレート34と36との間に充分な縦せん断転移をもたらし、プレート34および36全てが弾性断面係数、ひいては全体としてタンカーの耐モーメント性の向上に貢献することができる。このエラストマーにより、船殻構造のせん断バックリング能力が増加する。従来技術の単一の厚いスチールプレートの代わりに、互いに分離されて、構造エラストマー38に接着される2つの薄いスチールプレート34と36を用いることにより、耐引き裂き性、または耐破壊性のある船殻が、従来の構造と同等またはそれを下回るコストで達成される。これは、スチールプレートが、より費用のかかる切り欠きねばり強さのあるスチールとして指定される必要がないからである。複合パネル18におけるこの2つのスチールプレート34と36の厚さの分布は、規定されず、例えば、荷重支持能力、耐腐食性および耐磨耗性などの要素に対する構造的な性能および耐久性を最適化するように分散される。
例えば、船殻パネル17、縦桁のフロアフレーム24、および隔壁26など、船殻構成材に従来のスチールプレートに代えて複合パネル18を使用することにより、これら個々の船殻構成材と船殻全体の強度増し、複合船殻パネル18における内側および外側のスチールパネル34と36の厚さが減少すると同時に、例えば、ホギングおよびサギングを発生させる実働貨物など、面内の実働貨物を運搬するのに必要なスチフナ7、フレーム11、支持部材2、3など、従来の船殻構成材の数がかなり減少させる。また、従来のスチールプレートと、従来のフレームおよび支持部材の代りに、より強度のある複合パネル18を使用すると、支持構造は簡潔になる。このより強度のある複合パネル18により、かなり少ない構造部材での建造が可能になり、また、例えば、フロアフレーム24を通る各縦部材、隔壁26、フレームおよびブラケット(図示せず)、トリッピングブラケット(図示せず)などの構造上の交差部材の数をかなり低減させる。構造上の交差部材の数が低減して、疲労しやすくなる細部の数と、発生する可能性のある対応する疲労破壊の数が低減される。また、構造部材の数がより少なくなると、事故時にクラックが内側の船殻20に伝播する機会も減少する。
最新の造船学技術と組み合わされた複合プレートシステムにより、耐衝撃性のあるじん性のある構造が備えられる。複合パネル18の外側のスチールプレート36は、硬質の摩耗保護表面として機能する。エラストマーコア38は、エネルギーを吸収して、内側のスチールプレート34への横方向の荷重を分散し、延性の高い耐熱性材が得られる。また、内側のスチールプレート34は、硬質の摩耗保護表面としての役割も果たし、非弾性の膜活動において衝撃荷重の大部分を支持する。このサンドイッチ構造の考え方により、複合パネル18の外側および内側のスチールプレート34と36との間の鋼材層の厚さの最適な分散が可能になり、最も有効な構造システムを提供する。エラストマーコア38の断熱特性により、内側のスチールプレート34への、より暖かい環境を提供すると共に、縦桁22やフロアフレーム24などの構造スチール部材の支持を提供し、コストの少ない、耐破壊じん性の低いじん性のあるスチールの使用が可能になる。偶発的または極端な荷重条件において、複合パネル18の延性のあるエラストマーコア38により、内側および外側のメタルプレート34と36の耐破壊性が増強され、縦桁22やフロアフレーム24などの支持部材にわたって変形するにつれて、内部および外部のメタルプレート34と36のひずみ領域がより均等化され、局所的なせん断変形が低減されると共に、衝撃荷重の場合に、横支持部材での内側および外側のメタルプレート34と36の耐引き裂き性を大きく向上させる。複合パネル18の内側の船殻20内のエラストマーコア38は、有効なクラック停止層を、外側の船殻28と、衝突時または座礁時の損傷に通常耐えうる底部または側部構造と、貨物タンクを並べる内側の船殻20の内側のスチールプレート34との間に与える。他のクラック停止部材とともに、このクラック停止層により、外側の船殻の破壊から貨物タンク内にクラックが伝播することから発生するオイル流失の可能性をかなり低減させるだけでなく、解消もする。
構造システムの簡略化により、部材の密集が少なくなり、また、そのフラットな表面により、その上の保護コーティングの適用、検査、維持をより容易にする。コーティングの破壊は、フランジの下部またはフランジウェブの交差部分(図示せず)など、アクセスが困難な領域において通常最も一般的である。このような領域では、もともとのコーティング適用が不適切で、後続の保守用のコーティングの適用が困難である。この複合パネルシステムは、保護すべき表面領域が少ないため、腐食に関する問題が起きる可能性が低減し、寿命が長くなる。
スチール−エラストマー−スチールの複合パネルの二重船殻構造を建造する初期コストは、従来の全スチール製の補強されたプレート区画より少ない。エラストマーコア材料のコストや、複合パネルに関連する据え付け、および追加溶接のコストは、従来のスチールプレートスチフナ7がかなりの数いらなくなること、例えば、縦フレーム、横フレーム、フロア、または隔壁の交差部分で、カラープレートや補償ラグなどの支持部材がいらなくなること、従来の船殻では塗装と保守が必要なかなりの表面領域がいらなくなくなることによって相殺される。寿命の増加と、損害賠償額や貨物保険コストの低減、より軽量の船から発生した運転コストの低減、オイル移行時の加熱コストの低減において更なるコスト的な利点が実現される。
二重船殻オイルタンカーを使用する基本的な理由は、座礁または衝突などの偶発的または極端な荷重がかかる事象の場合、オイル流出の確率を最小限にするためである。これに関して、本発明のシステムは、従来技術の設計よりも優れた性能を備える。
従来技術の底部船殻部分に関する大規模な座礁試験では、現在のスチール製の二重船殻方式の内部の船殻の破壊が、岩または他の物体が船殻内に貫通する深さが、内側の船殻と、外側の船殻との間の間隔より短い場合でも、外部の船殻の初期破壊によるクラック伝播の結果として発生することが示されている。また、クラック停止、保護層15で貨物タンクを隔離することが重要である。第7図から第10図に、複合船殻プレート18と、複合横隔壁26、複合フロアフレーム24、複合縦桁22との交差部を図示する。複合縦桁22は、横隔壁26の下にある複合フロアフレーム24に向かって延び、このフレームに結合する。縦桁22の縦方向エッジは、外側の船殻28の内側のプレート34、および内側の船殻20の外側のプレート36にのみ直接結合される。スペーサ44は、内側の船殻20の複合プレート18内に配置され、縦桁22同士の間の中間に配置される。第8図によると、簡単なフィレット溶接48によって、内側の船殻20の外側のプレート36の内表面66にスペーサ44のエッジ46を固定し、単一の突き合わせ溶接55によって、内側の船殻の内側のプレート35aおよび35bのエッジ52と54それぞれと、スペーサ44のエッジ50とが固定されて、複合パネル18のそれぞれのプレートが合体される。これらの簡易化された溶接細部は、製造を容易にし、溶接操作の自動化を容易にするよう構成される。縦桁22同士の中間距離にスペーサ44を、内側の船殻パネル20内のスペーサ44の位置に隣接した横隔壁26におけるフロアフレーム24内の半円の隙間60との組み合わせで、設置すると、効果的なクラック停止バリアとなる。第8図から第10図に、内側の船殻20の内側の金属層34と、外側の金属層36との間の唯一の、金属対金属の直接接触部が、スペーサ44であることが明確に図示されている。内側の船殻20は、横桁22からかなりの距離にスペーサ44を設置したり、内側の船殻の複合パネル18内のスペーサ44の位置に近接するフロアフレーム24内に隙間60を備えたりすることにより、クラック伝播の影響から効果的に隔離されてきた。縦桁22を通じて外側の船殻28から上方向に伝播したクラックは、内側の船殻20内のエラストマーコア38によって停止する。フロアフレーム24や、他の同様の横構造部材を通じて外側の船殻28から上方に伝播したクラックは、隙間60で止まり、スペーサ44を通じて、内側の船殻20の内側のプレート34にクラックが伝播するのを効果的に防止している。
半円状の隙間60は、疲労によるクラック伝播がある構造においてクラックを止めるのに使用される典型的な構造上の不連続性である。プラグ62は、半円状の隙間60をつめる。プラグ62は、両側の水蜜区画をなすフロアフレーム24の両側に周辺フランジ64を有する。このプラグは、他の種類のプラグも考えられる、例えば所定の位置に成形されたエラストマーであってもよい。第8図、第9図、および第10図には、貨物タンク68が、ポリウレタンエラストマーコア38によって、外側の船体構造から効果的に隔離され、内側の船殻20の内側のメタルプレート34と、船体構造の残りとの唯一の直接的な金属間結合が、第8図に示す内側のメタルプレート34と、外側のメタルプレート36との間のスペーサ要素44だけである状態が明らかに示されている。
第9図に図示する通り、隔壁26は、内側の船殻20の内側のプレート34に溶接などの手段によって固定される。内側の船殻20の下では、フロアフレーム24が、隔壁26を支持し、内側の船殻20の外側のプレート36に溶接などの手段によって固定される。このエラストマー層38は、フロアフレーム24と、隔壁26との間にクラック停止層15を形成する。内側のプレート34と、内側の船殻20の外側のプレート36との間に金属同士の直接接触が無いようにするため、内側の船殻20が、フロアフレーム24と、隔壁26との間を通過する場合、隙間67(第13図)は、この隙間がフロアフレーム24と、隔壁26との間を通過する場合は縦スペーサ44(第13図の側面図に示す)に設けられ、20ページで印の付いた横構成材のいずれかの側に短い距離だけ延びる。追加のエラストマースペーサは、縦スペーサに対して横方向に設置して、フロアフレーム24、および隔壁26のまわりに溶接マージンを与えてもよい。溶接に続いて、隙間67は、エラストマーで充填される。隙間67には、続いてエラストマーが充填される。これにより、貨物タンクは、他の船舶が船殻の側部構造に衝突することから発生する可能性のある鋼材を通じて伝播するクラックから効果的に隔離される。
生来のクラック停止に加えて、本発明は、CDHまたはADHを越えるエネルギー吸収能力の増加をもたらす。エラストマーの断面係数と跳ね返り性が増すなど、スチール−エラストマー−スチールのサンドイッチパネルの物理特性および振る舞い特性とを結合させた船殻プレート内のスチールプレート材料の濃度が高くなると、局所的な可塑性を広げる傾向があり、例えば、鋭い、または小さい荷重点周辺の局所曲げひずみと、せん断ひずみとを低減させると共に、偶発的または極端な荷重がかかる条件下でプラスチック変形する(しわ状になる)設計された縦桁により、プラスチック膜活動における材料変形を最大限にし、その材料が被衝突物体または衝突物体に接触することを最大限にし、引き裂きの開始を遅らせて、エネルギー吸収能力を増加させる。その結果として、じん性のあるスキン船殻と、より大きな耐衝撃性を持つオイルタンカーとなる。非破壊性を確実にするため、このオイルタンカーは、偶発的または極端な荷重がかかる想定されるいかなる事象の後でも船殻の桁の完全性を維持する設計である。構造上の配置の簡略化により、直交するフレーム部材の交差部分の数と、疲労の起きやすい部材の数とを減少させる。
上記に図示された簡略化された構造システムを備える結果、塗装したり腐食から保護する表面領域が少なくなり、存在する表面領域は、概ね平面状で、障害物がない。したがって、保護コーティングの適用、検査、保守が、より容易になる。これらの要素は全て、初期建造コスト、実働中の保守コストを低減させ、船舶の実働寿命を増加する働きがある。
ポリウレタンエラストマーの熱特性により、外側の船殻の内側のプレートと、内側の船殻の各プレートと、縦桁とを、例えば、寒冷地でのオイルタンカーの運航の場合など周囲温度から隔離し、鋼材に対する切り欠きじん性の要件と、衝撃荷重条件下での脆性破壊の可能性とを低減させる。内側の船殻の場合、この熱的な隔離により、オイル貨物の移送中の加熱に関連する実働中のコストを低減させる。
このエラストマーとしては、耐燃料性および耐オイル性があり、水に対する浸透性が無いものを選択できる。この選択されたエラストマーは、成形されるスチールプレートに完全に接着する筈である。適切に選択されれば、このエラストマーは、腐食または摩耗によって船殻プレートの1つのいずれかの部分に穴ができた場合でも、水、燃料、オイルが、いずれかの船殻の内側および外側のプレートの間を移行するのを防止できる。
本発明のシステムは、建造および維持がしやすいように構成され、コストの点でも競争力のある設計となっている。
本発明の教示を組み込んだ1つの実施形態について、ここで図示し説明したが、当業者であれば、全て本発明の範囲内に含まれる、これらの教示を組み込んだ他の多くの変形例を即座に考案することができよう。

Claims (28)

  1. 構造物または船舶の建造に使用するのに適した複合積層パネル(18)であって、前記積層パネルが、
    第1の金属層(34)と、
    第2の金属層(36)と、
    第1の金属層と第2の金属層に接着された中間層(38)とを具備し、前記中間層が非発泡の熱硬化ポリウレタンエラストマーからなる複合積層パネル。
  2. 前記中間層が所定位置に成形された、請求の範囲第1項に記載の複合積層パネル。
  3. 前記ポリウレタンエラストマーが、20MPaから55MPaの範囲の引張り強度を有する、請求の範囲第1項または第2項に記載の複合積層パネル。
  4. 前記第1および第2の金属層(34、36)の各々が、6mmから25mmの範囲の厚さを有する、請求の範囲第1項から第3項のいずれか一項に記載の複合積層パネル。
  5. 前記プラスチック材料が、70Aから80Dの範囲のショア硬さを有する、請求の範囲第1項から第4項のいずれか一項に記載の複合積層パネル。
  6. 前記プラスチック材料が、100%から800%の範囲の伸び率を有する、請求の範囲第1項から第5項のいずれか一項に記載の複合積層パネル。
  7. 前記プラスチック材料が、2MPaから104MPaの範囲の曲げ弾性率を有する、請求の範囲第1項から第6項のいずれか一項に記載の複合積層パネル。
  8. 前記第1および第2の金属層(34、36)がスチールで形成される、請求の範囲第1項から第7項のいずれか一項に記載の複合積層パネル。
  9. 前記請求の範囲第1項から第8項のいずれか一項に記載の複合積層パネルを含む船または船舶。
  10. 複合積層パネルが船殻の一部を形成する、請求の範囲第9項による船または船舶。
  11. 第1の金属層(34)と、第2の金属層(36)とを、第1および第2の金属層の対向する表面同士の間にコア空洞部を形成するように、離間した関係で位置決めするステップと、
    前記コア空洞部を満たすように硬化していないプラスチック材料(38)を供給するステップと、
    プラスチック材料が第1および第2の金属層の対向する表面に接着するように、硬化していないプラスチック材料を硬化させるステップとを具備し、前記プラスチック材料が非発泡の熱硬化ポリウレタンエラストマーであることを特徴とする複合積層パネルの製造方法。
  12. 前記ポリウレタンエラストマーが、20MPaから55MPaの範囲の引張り強度を有する、請求の範囲第11項に記載の方法。
  13. 第1および第2の金属層(34、36)の1つが、溶接されるように構成された部分を有し、溶接されるように構成された部分が、溶接されるように構成された部分に隣接したコア空洞部の一部に溶接マージン(58)を規定し、コア空洞部に硬化していないプラスチック材料を供給するステップを溶接マージンがプラスチックを欠くように実施する、請求の範囲第11項または第12項に記載の方法。
  14. 溶接されるように構成された部分が、複合積層パネルの周囲エッジである、請求の範囲第13項に記載の方法。
  15. 第1および第2の金属層(34、36)のいずれか1つの厚さを通じた開口部を設けるステップを更に具備して、硬化していないプラスチックが、開口部を通じてコア空洞部に供給される、請求の範囲第11項から第14項のいずれか一項に記載の方法。
  16. 開口部を密封するステップを更に具備する、請求の範囲第15項に記載の方法。
  17. 開口部が、メタルプラグで密閉される、請求の範囲第16項に記載の方法。
  18. メタルプラグがねじ切りされる、請求の範囲第17項に記載の方法。
  19. コア空洞部が、開口端部を有し、硬化していないプラスチックが、開口端部を通じてコア空洞部に供給される、請求の範囲第11項から第14項のいずれか一項に記載の方法。
  20. 前記位置決めが、第1の金属層(34)と、第2の金属層(36)との間にスペーサを設置することにより達成される、請求の範囲第11項から第19項のいずれか一項に記載の方法。
  21. 第1および第2の金属層(34、36)のいずれか一方にスペーサを装着するステップを更に具備する、請求の範囲第20項に記載の方法。
  22. 前記第1および第2の金属層(34、36)の他方にスペーサを装着するステップを更に具備する、請求の範囲第21項に記載の方法。
  23. スペーサが、溶接によって取り付けられる、請求の範囲第21項または第22項に記載の方法。
  24. スペーサが、接着によって取り付けられる、請求の範囲第21項または第22項に記載の方法。
  25. スペーサが、金属である、請求の範囲第20項から第24項のいずれか一項に記載の方法。
  26. スペーサが、プラスチックである、請求の範囲第20項から第24項のいずれか一項に記載の方法。
  27. 二重船殻構造の製造方法であって、
    請求の範囲第11項から第26項のいずれか一項に記載の方法による内側の船殻の形成と、
    請求の範囲第11項から第26項のいずれか一項に記載の方法による外側の船殻の形成とを具備する二重船殻構造の製造方法。
  28. 内側と外側の船殻の形成のステップにおいて、硬化していないプラスチック材料が、二重船殻構造の空隙とそれぞれの船殻のコア空洞部の間の第1または第2の金属層に配置される開口部を通じて供給される、請求の範囲第27項に記載の方法。
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