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JP4565710B2 - 空気入りタイヤ - Google Patents

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JP4565710B2 JP2000220327A JP2000220327A JP4565710B2 JP 4565710 B2 JP4565710 B2 JP 4565710B2 JP 2000220327 A JP2000220327 A JP 2000220327A JP 2000220327 A JP2000220327 A JP 2000220327A JP 4565710 B2 JP4565710 B2 JP 4565710B2
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  • Mechanical Engineering (AREA)
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、トレッド踏面に設けた周方向溝により区分される陸部、たとえばリブを基調とするトレッドパターンを有し、乗用車、バス、トラック等の車両に適用される空気入りタイヤに関するものであり、とくに、リブの横断面形状を、トレッド踏面の接地域形状に応じて従来形状から変更するとともに、リブの側部部分に、そのリブの幅方向に向く細溝を設けることにより、すぐれた摩耗特性の下に、ドライおよびウェットのそれぞれの踏面に対する操縦安定性を向上させ、併せて、転がり抵抗を改善したものである。
【0002】
【従来の技術】
トレッド踏面に周方向溝を設けたタイヤが路面に接地して荷重を支えながら転動する場合には、その周方向溝によって区分された陸部、たとえばリブの側部部分が、そのリブのセンター部に比して大きな幅方向剪断歪を受けることが知られており、リブの側部部分へのこのような歪の集中は、転がり抵抗の増加、ウェット性能の低下、操縦安定性の低下等をきたし、また、その歪集中部分がとくに早期に摩耗する異常摩耗を生じることも知られている。
【0003】
これがため、リブの側部部分を凸曲面状に形成してそこへの歪の集中を抑制することで、上記の問題を解決しようとの提案がなされているも、これによれば、凸曲面の特定の仕方いかんによっては、逆に、リブの側部部分の早期摩耗が一層激しくなり、結果として、操縦安定性、転がり抵抗等が悪化するという問題があった。
【0004】
そこで、この早期摩耗の原因を調査したところ、リブの側部部分を凸曲面状に形成したときに生じる偏摩耗は、リブの側部部分の接地長さが、径差によって、リブの他の部分の接地長さより短くなるため、その側部部分に、路面に対する引摺りと、大きな周方向剪断変形とが生じることに原因をおくものであることが明らかになった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このことを考慮して、出願人は先に、主として、車両の直進走行時のタイヤ入力に対して、リブの側部部分の早期摩耗を防止することを目的として、その側部部分の形状を、同一リブの反対側の側部との関係、溝を隔てるリブの側部との関係および接地形状との関係に基づいて決定した空気入りタイヤを、特願2000−105467号として提案した。
【0006】
ところで、車両が曲線路等を旋回走行する場合の操縦安定性を考えると、旋回走行に当っては、リブの側部部分に、旋回横力によるより大きな幅方向剪断歪が集中することになるため、その歪を、出願人の先の提案技術のみをもって低減させようとすると、リブの側部部分を、一層丸みを帯びた横断面形状にすることが必要となり、それ故に、上記径差に起因する、リブの側部部分の早期の摩耗が不可避となるという問題があった。
【0007】
この発明は、かかる問題点に鑑みてなされたものであり、車両の直進走行および旋回走行のいずれに対しても、陸部の側部部分の早期の異常摩耗を有効に防止するとともに、操縦安定性およびウェット性能を大きく向上させ、併せて、転がり抵抗の増加を有効に抑制できる空気入りタイヤを提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
この発明の空気入りタイヤは、トレッド踏面に形成されて周方向に連続して延びる少なくとも一本の主溝と、この主溝により区分される陸部とを具えるものであり、主溝を隔てて位置するそれぞれの陸部縁の、踏面接地域での接地長さに応じて、それぞれの陸部の相互に対向するそれぞれの隅部に面取りを施し、この場合、それぞれの面取り部の、陸部幅方向での幅と、タイヤ半径方向の深さとの積を、前記接地長さのそれぞれに対応する大小関係として、たとえば、それぞれの接地長さが等しいときは、それぞれの積をも等しくし、この一方で、一方側の接地長さが他方側のそれに比して長いときは、その一方側の積を他方側の積より大きくし、さらに、前記陸部の、面取りを施した側部部分に、陸部の幅方向に向いて陸部側壁に開口するとともに、主溝底方向に延びる細溝を、トレッド周方向に間隔をおいて設け、細溝の開口幅を、0.5〜2.5mmとしてなるものである。
【0009】
なお、ここでの踏面接地域は JATMA YEAR BOOKに定める最高空気圧の充填下で、最大負荷能力を負荷したときの接地域をいうものとする。
【0010】
この空気入りタイヤでは、出願人の先の提案に係る、特願2000−105467号に開示した技術、すなわち、より具体的には主溝を隔てるそれぞれの陸部の、相互に対向する隅部に、各々の陸部縁での接地長さの大小関係を、面取りの陸部幅方向の幅とタイヤの半径方向の高さの積の大小関係を一致させて面取りを施すという技術に基づいて、直進状態の入力で幅方向剪断歪を生じる部分のゴムを除去し、直進状態において径差による早期摩耗を抑制しつつ、効果的に幅方向剪断歪を低減できるように面取りを施したところにおいて、陸部側部部分に陸部側壁に開口する細溝を陸部幅方向に刻み込んで設けて、この部分のゴムを取り去ることによって接地長さを変えずに旋回時の横力によって生じるさらに大きな幅方向剪断歪をも吸収できるようにし、これにより、面取りのみで横力時の大きな幅方向剪断歪を吸収する場合に生じる、接地長さの差に起因する周方向剪断力の発生を抑制しながら、効果的に横力時の幅方向剪断歪を低減し、直進時、旋回時にかからわず高い摩耗性能を確保し、転がり抵抗、ウエット性能、および操縦安定性のそれぞれを有効に改善することが出来る。
【0011】
ここで好ましくは、細溝の、タイヤ半径方向の延在長さを、主溝深さの0.6〜0.9倍とする。
【0012】
細溝の延在長さが0.6倍未満では、取り除くゴム量が少なく、歪を十分に低減させることができず、また、陸部の摩耗の進行に伴って、比較的早期に細溝が消滅することになる。一方0.9倍を越えると、陸部の周方向の剛性が不足することになって、陸部の細溝を設けた部分に早期の摩耗が生じることになる。
【0013】
なお、細溝の開口幅は、0.5〜2.5mmとする。細溝開口幅が0.5mm未満では、取り除くゴム量が少なすぎ、それが2.5mmを越えると、陸部の側部部分での接地面積が少なくなって接地圧が高くなるため、そこに早期の摩耗を生じることになる。
【0014】
そして、このような細溝の、陸部幅方向の深さは、1〜2mmの範囲とすることが好ましい。それが1mm未満では、取り除くゴム量が少なすぎ、2mmを越えると、陸部側部部分の接地面積が少なくなりすぎる。
【0015】
さらに、細溝の配設ピッチは、細溝開口幅の5〜30倍の範囲とすることが好ましい。すなわち、それが5倍未満では、接地面積が少なくなりすぎ、30倍を越えると、取り除くゴム量が少なすぎ、いずれも、細溝を設けることの実効を担保することが困難になる。
【0016】
【発明の実施の形態】
図1は、この発明の実施の形態を、トレッドの半部について示すトレッド幅方向断面である。
これは、トレッド踏面1の各半部に、トレッド周方向に直線状に連続して延びる二本の主溝2,3をそれぞれ設け、これらの主溝2,3によって、それらのそれぞれの側部に陸部、たとえばリブ4,5,6を区画するとともに、これらのリブ4,5,6の、主溝2,3を隔てて対向するそれぞれの隅部7,8,9,10に面取りを施して、それぞれの面取り表面7a,8a,9a,10aを、外側に凸となる曲面としたものである。
【0017】
このような面取りを施すに当り、ここでは、面取り前のリブ4,5,6の、主溝を隔てて位置するそれぞれのリブ縁Q1,Q2,Q3,Q4の、トレッド踏面接地域での接地長さ、すなわち、最大負荷能力を負荷したときのそれぞれの接地長さQ1L,Q2L,Q3L,Q4Lを予め求めて、たとえば、それらのそれぞれの長さがともに、等しい場合には、それぞれの面取り部の、陸部幅方向に測ったそれぞれの幅L1,L2,L3,L4、図ではリブ縁Q1,Q2,Q3,Q4までの長さと、半径方向に測った深さH1,H2,H3,H4、図ではリブ縁Q1,Q2,Q3,Q4からの深さとのそれぞれの積L1×H1,L2×H2,L3×H3,L4×H4が相互に等しくなるように、それぞれの幅L1,L2,L3,L4および深さH1,H2,H3,H4を選択する。
またここで、接地長さQ1L,Q2L,Q3L,Q4Lに差がある場合には、それぞれの接地長さの長短に応じて、前述したそれぞれの積が大小となるようにそれぞれの寸法を決定する。
【0018】
併せてここでは、図2に一本のリブ5を例にとって示すように、リブ5の、面取りを施した側部部分に、リブ5の幅方向に切込まれてリブ側壁5aに開口する細溝11,12を、主溝2,3の溝底方向に延在させて設け、好ましくは、図3に部分拡大断面図で示すように、これらの細溝11,12の、タイヤ半径方向の延在長さLを主溝深さHの0.6〜0.9倍の範囲とする。そしてまた好ましくは、細溝11,12の、リブ幅方向の深さDを1〜2mmとする。
【0019】
このような細溝11,12は、図4に示すように、その開口幅wが0.5〜2.5mmの範囲となるよう形成するまた、細溝11,12の配設ピッチPは、開口幅wの5〜30倍の範囲となるよう形成することが好ましい。
【0020】
このように構成してなるタイヤによれば、前述したように、面取り部分に、それ本来の、幅方向剪断歪の低減機能を十分に発揮させてなお、その面取り部分の、径差に起因する早期の摩耗を、細溝による、幅方向剪断歪の低減機能に基いて有効に防止して、操縦安定性およびウェット機能を有利に向上させ、併せて、転がり抵抗の増加を有効に防止することができる。
【0022】
【実施例】
トレッド踏面に四本の周方向主溝を左右対称に形成したサイズが11R22.5のトラック用タイヤにおいて、
従来タイヤ1は、リブの輪郭線がトレッド踏面輪郭線に一致するものとし、面取りがなく、細溝をも有しないものとし、
従来タイヤ2は、それぞれのリブ縁の接地長さの、Q1L<Q2L<Q3L<Q4Lとの関係の下で、L1×H1<L2×H2<L3×H3<L4×H4となるように、それぞれのリブ隅部に面取りを施したものとし、
従来タイヤ3は、従来タイヤ1の各リブの側部部分に細溝を設けたものとした。
なお、従来タイヤ2の具体的数値を表1に示す。
【0023】
これらタイヤに対し、セカンドリブ(図1のリブ5)をこの発明に従って構成した、実施例タイヤおよび比較タイヤのそれぞれを表2に示す構造を有するものとした。
なお、面取り部の構造は、従来タイヤ2と同様とした。
これらの各タイヤを、7.5×22.5のリムに装着するとともに、充填空気圧を700kPaとし、荷重を25.0kNとした条件下で、転がり抵抗試験、偏摩耗ドラム試験およびウェット横力試験のそれぞれを行った。
それらの結果を表3に示す。
【0024】
表3で指数として表示されている値は、従来タイヤ1の値を100としている。転がり抵抗値は数値が小さいほど抵抗値が小さく省燃費に有利である。また、偏摩耗比とは、セカンドリブの、リブセンターの摩耗量に対するリブ側部部分摩耗量(大きい側)の比であり、この値が1.0に近いほど均一な摩耗を表す。
【0025】
【表1】
Figure 0004565710
【0026】
【表2】
Figure 0004565710
【0027】
【表3】
Figure 0004565710
【0028】
表3によれば、リブ隅部に面取りだけを施した従来タイヤ2および、リブの側部部分に細溝だけを設けた従来タイヤ3においても転がり抵抗、偏摩耗およびウェット横力のそれぞれに効果があるが、二つの技術を併用した実施例タイヤは、偏摩耗比を悪化させることなく、転がり抵抗およびウェット性能に一層有効であることが解かる。
【0029】
これに対して比較タイヤ1〜8を用いて細溝の長さ、開口幅、深さおよび配設間隔について検討した結果、それらの値が請求項で特定する範囲を外れた場合には、上記効果が相対的に低下することがわかる。
【0030】
【発明の効果】
かくして、この発明によれば、陸部隅部の面取りと、陸部の側部部分に設けた細溝とにより、面取り部分の早期の摩耗なしに、操縦安定性およびウェット性能を向上させるとともに、転がり抵抗の増加を有利に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態を、トレッド半部について示す幅方向断面図である。
【図2】 一のリブの斜視図である。
【図3】 細溝の拡大断面図である。
【図4】 細溝を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 トレッド踏面
2,3 主溝
4,5,6 リブ
5a リブ側壁
7,8,9,10 隅部
7a,8a,9a,10a 面取り表面
11,12 細溝
Q1,Q2,Q3,Q4 リブ縁
L1,L2,L3,L4 幅
H1,H2,H3,H4 深さ
L 延在長さ
H 主溝深さ
D 深さ
w 開口幅
P 配設ピッチ

Claims (4)

  1. トレッド踏面に形成されて周方向に連続して延びる主溝と、主溝により区分される陸部とを具え、
    主溝を隔てて位置するそれぞれの陸部縁の、踏面接地域での接地長さに応じて、それぞれの陸部の相互に対向する隅部に面取りを施し、それぞれの面取り部の、陸部幅方向での幅と、タイヤ半径方向の深さとの積を、前記接地長さのそれぞれに対応する大小関係とするとともに、前記陸部の、面取りを施した側部部分に、陸部の幅方向に向いて陸部側壁に開口するとともに、主溝底方向に延びる細溝を、トレッド周方向に間隔をおいて設け、細溝の開口幅を、0.5〜2.5mmとしてなる空気入りタイヤ。
  2. 細溝のタイヤ半径方向の延在長さを、主溝深さの0.6〜0.9倍としてなる請求項1に記載の空気入りタイヤ。
  3. 細溝の、陸部幅方向の深さを1〜2mmとしてなる請求項1もしくは2に記載の空気入りタイヤ。
  4. 細溝の配設ピッチを、細溝開口幅の5〜30倍としてなる請求項1〜のいずれかに記載の空気入りタイヤ。
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