JP4564678B2 - 縦方向に可撓性のステント - Google Patents

Description

【技術分野】
【０００１】
本発明は概ね、血管などの体内の管に挿入され、管を支持し、開放状態に保持するか、管内に他の内部人工器官を固定して支持する内部人工器官であるステントに関する。特に、本発明は、膨張前後に縦方向に可撓性であるステントに関する。
【背景技術】
【０００２】
当技術分野では様々なステントが知られている。通常、ステントは概ね管状の形状であり、比較的小さく膨張していない直径から、これより大きい膨張した直径へと膨張可能である。埋め込むため、ステントは通常、ステントがその比較的小さい未膨張の直径でカテーテル上に保持された状態で、カテーテルの端部に装着される。カテーテルにより、未膨張ステントは内腔を通って所期の埋め込み部位へと配向される。ステントが所期の埋め込み部位に到達すると、拡張され、これは通常、例えばステントの内側でバルーンを膨張させることによって内部の力で実施するか、例えばスリーブを自動拡張式ステントの周囲から除去し、ステントが外側に拡張できるようにして、ステントが自動拡張できるようにして実施する。いずれの場合も、拡張したステントは、管が狭くなる傾向に抵抗し、それによって管の開通性を維持する。
【０００３】
参照によって明示的に組み込まれるIsraelその他の米国特許第５，７３３，３０３号（「第３０３号」）は、第１および第２方向に延在する軸線を有する第１および第２蛇行パターンを有するパターン化した形状を有する管で形成された独特のステントを示す。第２蛇行パターンが第１蛇行パターンと絡み合い、可撓性セルを形成する。このようなステントは、未拡張状態で非常に可撓性があり、したがって曲がりくねった内腔を容易に追跡することができる。拡張すると、これらのステントは、管壁に優れた半径方向の支持、安定性および被覆を提供する。これらのステントは、埋込み中に管壁の形状に適応する点で、非常に快適でもある。
【０００４】
しかし、このようなセル状網の設計を有するステントの一つの特徴は、拡張後に縦方向の可撓性が制限されることであり、特定の用途では欠点になることがある。この制限された縦方向の可撓性は、ステントの端部およびステントの長さに沿って応力点を生じる。米国特許第４，７３３，６６５号に示されるような従来の網状ステントは、単に縦方向の可撓性に欠けることがあり、これは図１で図示され、湾曲した管２０４内にある従来のステント２０２の略図である。
【０００５】
ステントを埋め込むには、ステントが未拡張状態の時にバルーン・カテーテルによって所望の部位へと送出することができる。次に、バルーン・カテーテルを膨張させてステントを拡張し、ステントを所定の位置に取り付ける。最大２０気圧のバルーン・カテーテルの高い膨張圧のため、バルーンによって湾曲した管２０４および縦方向に可撓性のステンとさえも、膨張時に直線になる。ステントが、その網の形状のために拡張後、比較的剛性であるか、剛性になる場合、ステントはバルーンの収縮後も同じまたはほぼ同じ形状を維持するか、維持する傾向がある。しかし、動脈は、従来の網状ステントに対して、図１の自然な湾曲（点線で指示）に復帰しようとする。動脈の自然な湾曲とステントで直線になった動脈の区間との不整合により、ステントの端部およびステントの全長に沿って応力集中点２０６が生じることがある。冠状脈管構造は、ステントに追加の応力を加えることがある。というのは、冠状脈管構造は心拍ごとに比較的大きく動作するからである。例示のため、図１では管の湾曲と直線化したステントとの差が誇張して図示されている。
【０００６】
参照により明示的に組み込まれるRichterの米国特許第５，８０７，４０４号は、特に湾曲した動脈部分または口領域に埋め込むのに適した別のステントを示す。このステントは、ステントの端部に隣接して、ステントの残りの軸方向長さより屈曲可撓性が高い区間を含むことができる。ステントの端部をこのように変形すると、端点における応力が緩和されるが、ステントの全長に沿った応力はなくならない。
【０００７】
拡張後に縦方向の可撓性を保持する様々なステントが知られている。例えば、Wiktorに帰される米国特許第４，８８６，０６２号および第５，１３３，７３２号（「Wiktor第’０６２号および第’７３２号特許」）は、ワイヤを最初は蛇行パターンを形成するジグザグの帯に形成し、次にジグザグの帯をコイル状にして螺旋状ステントにする、ワイヤで形成する様々なステントを示す。ステントは、例えばバルーンを膨張させるなど、内部の力で拡張する。
【０００８】
Wiktor第’０６２号および第’７３２号特許の図１から図６に図示されたコイル状ジグザグ形ステントは、拡張状態でも未拡張状態でも縦方向に可撓性であり、したがって曲がりくねった内腔を容易に追跡することができ、展開後に管のコンプライアンスに比較的よく一致する。これらのステントは可撓性であるが、これも拡張後の支持が比較的不安定である。さらに、これらのステントは、管壁に未被覆部分を大きく残し、組織および局面が管の内腔へと脱出することができる。
【０００９】
したがって、拡張前は、曲がりくねった内腔を容易に追跡できるような縦方向の可撓性を呈し、拡張後には、管の自然な可撓性および湾曲に一致しながら、組織の内腔への垂下を最小限にする連続的かつ安定した被覆を提供する縦方向の可撓性を呈するステントがあることが望ましい。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【００１０】
したがって、本発明の目的は、拡張前は曲がりくねった管を容易に追跡できるよう縦方向に可撓性であり、拡張後も、管の可撓性に適合し、管の自然な湾曲を呈することによって応力点をほぼなくすよう、縦方向の可撓性を維持するステントを提供することである。
【００１１】
本発明の別の目的は、送出後に心拍のサイクル中に屈曲してステントの端部およびステントに沿った周期性応力を減少させるよう、縦方向に可撓性であるステントを提供することである。
【００１２】
本発明の別の目的は、拡張後に管壁に優れた被覆および支持を提供するよう、独立気泡パターンを有するステントを提供することである。
【００１３】
本発明の他の利点は、当業者には明白である。
【００１４】
すなわち本発明は、（１）３つの区間（８１４、８１２、８１０）を有する複数の三角形セル（５００；８０４）で形成され、３つの区間がそれぞれループ部分と３つの関連する結合点（８２０、８１６、８１８）とを備えて各三角形セルを形成するステント（２０８；３００）であって、各三角形セルが、第１ループ包含区間（８１４）を備え、第１ループ包含区間が概ね周方向に配置され、さらに、第１結合点（５３８；８２０）で第１ループ包含区間（８１４）と結合する、第２ループ包含区間（８１２）と、第２結合点（５４２；８１６）で第１ループ包含区間（８１４）と結合し、第３結合点（５４０；８１８）で第２ループ包含区間（８１２）と結合する第３ループ包含区間（８１０）とを備え、第１ループ包含区間（８１４）が第１蛇行パターン（３０１；８０６）の一部で形成され、第２および第３ループ包含区間（８１２；８１０）が１以上の第２蛇行パターン（８０８）の一部で形成され、蛇行パターンが湾曲部材（５３５；５３６）によって結合する部材（５０１；５０４）を有し、第１蛇行パターン（８０６）が第２蛇行パターン（８１２、８１０）よりも幅広い部材を有し、第１および第２蛇行パターン（３０１、８０６、８０８）が反復し、ステント（２０８、３００）の縦軸に沿って連続的に交互し、第１ループ包含区間または第２および第３ループ包含区間（８１４、８１２、８１０）のいずれかが、部材（５０７、５１６ａ、５２５ａ）の１つが同じループ包含区間中の他の部材の少なくとも１つよりも短い部材（５０４、５０７、５１０、５１３ａ、５１６ａ、５１９ａ、５２２ａ、５２５ａ、５２８ａ）を有して成ることを特徴とするステントや、（２）第１ループ包含区間（８１４）が、相対的に半径方向の支持を可能にするよう構成され、第２および第３ループ包含区間（８１２、８１０）が、相対的に縦方向の可撓性を可能にするよう構成される、上記（１）に記載のステント（２０８；３００）や、（３）第１ループ包含区間（８１４）が２つのループ（５５０、５３１）を有する、上記（１）又は（２）に記載のステント（２０８；３００）や、（４）第２ループ包含区間（８１２）が２つのループ（５３３、５３４）を有する上記（１）から（３）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（５）第３ループ包含区間（８１０）が２つのループ（５３２、５３３）を有する、上記（１）から（４）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（６）ステントがステンレス鋼で作製される、上記（１）から（５）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（７）第１ループ包含区間（８１４）のループの少なくとも１本の脚部（５０７、５１０）が、第１ループ包含区間のループの他の脚部（５０１、５０４）より短い、上記（１）から（６）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（８）第１および第２結合点（５３８、５４２；８１６、８２０）が周方向に整列する、上記（１）から（７）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（９）ステント（２０８；３００）の各セル（５００；８０４）が同じ面積を囲む、上記（１）から（８）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１０）拡張時にステントの周方向に沿ったセル（５００；８０４；８５２）の長さが、ステントの縦軸に沿ったセルの長さより長くなるようセルが配置される、上記（１）から（９）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１１）ステント（２０８；３００）がＮｉＴｉで作成される、上記（１）から（１０）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１２）ステント（２０８；３００）のセル（５００；８０４；８５２）が、ステントの縦軸に平行な線を中心に対称である、上記（１）から（１１）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１３）サイズを大きくした少なくとも１つのセル（８５２）を設けて、側枝内腔へのアクセスを可能にする、上記（１）から（７）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１４）セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、管の側枝へのアクセスを提供するよう、１本の帯（８５４）にあるセルが残りの帯（８５０）にあるセルより大きい、上記（１）から（７）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１５）セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルが、残りの帯のセルとは異なる半径方向の力を有するような構成である、上記（１）から（１４）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１６）セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルが、残りの帯のセルとは異なる縦方向の可撓性を有するような構成である、上記（１）から（１５）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１７）セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５４）のセルが、ステントを拡張すると、帯がステントの残りの部分の直径とは異なる直径へと拡張するような構成である、上記（１）から（１６）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１８）セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルの数が別の帯（８５４）のセルの数とは異なる、上記（１）から（１７）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）や、（１９）ステントを、ステントに放射線不透過性材料を施す、保護材料を施す、薬剤を埋め込む、または材料で覆う、のうち１つの方法で仕上げる、上記（１）から（１８）のいずれかに記載のステント（２０８；３００）に関する。
【００１５】
また本発明は、（２１）人体内の管を広げるステントであって、複数の第１蛇行パターンと、三角形セルを形成するため、第１蛇行パターンと絡み合う複数の第２蛇行パターンとを備えるステントや、（２２）第１蛇行パターンが、偶数の第１蛇行パターンと、偶数の第１蛇行パターンと１８０°位相がずれた奇数の蛇行パターンとで構成され、奇数の第１蛇行パターンが偶数の第１蛇行パターン２つおきに発生する、上記（２１）に記載のステントや、（２３） 第２蛇行パターンが、偶数の第２蛇行パターンと、偶数の第２蛇行パターン２つおきに発生する奇数の蛇行パターンとで構成される、上記（２１）または（２２）に記載のステントや、（２４）三角形セルがそれぞれ、第１ループ包含区間、第２ループ包含区間、および第３ループ包含区間で構成される、上記（２１）に記載のステントや、（２５）第１ループ包含区間が第１蛇行パターンの一部によって形成され、第２および第３ループ包含区間が１つまたは複数の第２蛇行パターンの一部によって形成される、上記（２４）に記載のステントや、（２６） 第１ループ包含区間が、ループ包含区間のループの他方の脚部より短い自由ループの少なくとも１本の脚部を含む、上記（２４）に記載のステントや、（２７） 第１ループ包含区間が第２および第３ループ包含区間より広い、上記（２４）に記載のステントや、（２８）第１蛇行パターンが１周期あたり２つのループを有する、上記（２４）に記載のステントや、（２９）第２蛇行パターンが１周期あたり４つのループを有する、上記（２４）に記載のステントや、（３０） 第１および第２蛇行パターンがほぼ直行する、上記（２４）に記載のステントや、（３１） 第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを有する、上記（２４）に記載のステントや、（３２） 第２および第３ループ包含区間がそれぞれ２つのループを有する、上記（２４）または（２８）に記載のステントや、（３３）第２および第３ループ包含区間のループは、ステントの拡張時に第１ループ包含区間のループが短縮する傾向を補償するような構成である、上記（２４）、（２８）または（３２）に記載のステントや、（３４）第１ループ区間のループの１つが、第１ループ区間の他のループより短い自由ループである、上記（２４）、（２８）または（３２）に記載のステントや、（３５） 奇数および偶数の第２蛇行パターンが、第２蛇行が同じ方向に進む共通の部分を有する、上記（２４）、（２８）または（３２）に記載のステントや、（３６）第１および第２蛇行パターンが、前記蛇行パターンが同じ方向に進む共通の部分を有する、上記（２４）、（２８）または（３２）に記載のステントに関する。
【００１６】
さらに本発明は、（３７）内腔を開放状態で保持する多セル・ステントであって、複数の偶数および奇数垂直蛇行パターンを備え、奇数の垂直蛇行パターンは、偶数の垂直蛇行パターン２つおきに配置され、偶数の垂直蛇行パターンとは位相がずれ、さらに、複数の偶数および奇数の水平蛇行パターンを備え、奇数の水平蛇行パターンが、偶数の水平蛇行パターン２つおきに配置され、垂直蛇行パターンが水平蛇行パターンと絡み合って、複数の三角形セルを形成する多セル・ステントや、（３８）三角形セルが、第１ループ包含区間、第１ループ包含区間と接続する第２ループ包含区間、および第１および第２ループ包含区間と接続する第３ループ包含区間によって形成される、上記（３７）に記載の多セル・ステントや、（３９）第１ループ包含区間が垂直蛇行パターンの一部から形成される、上記（３８）に記載の多セル・ステントや、（４０）第２および第３ループ方が区間が、１つまたは複数の水平蛇行パターンの一部から形成される、上記（３９）に記載の多セル・ステントや、（４１）第１ループ包含区間を形成する部材が、第２および第３ループ包含区間を形成する部材より広い、上記（４０）に記載の多セル・ステントや、（４２）第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを形成する、上記（４１）に記載の多セル・ステントや、（４３） 第２ループ包含区間が、セルの内側に面する１つのループを形成する、上記（４２）に記載の多セル・ステントや、（４４）第３ループ包含区間が、セルの内側に面する１つのループを形成する、上記（４３）に記載の多セル・ステントや、（４５）ステントがステンレス鋼で作成される、上記（３７）、（３８）または（４４）に記載の多セル・ステントや、（４６） 第１ループ包含区間が１つの自由ループを含む、上記（４５）に記載の多セル・ステントや、（４７） 自由ループの１本の脚部が、ループの他の脚部より短い、上記（４６）に記載の多セル・ステントや、（４８）第２ループ包含区間の長さが第３ループ包含区間の長さと等しい、上記（４７）に記載の多セル・ステントや、（４９）ステントの各三角形セルが同じ面積を囲む、上記（４８）に記載の多セル・ステントや、（５０）第２ループ包含区間を形成する部材の幅と、第３ループ包含区間を形成する部材の幅とが同じである、上記（４９）に記載の多セル・ステントに関する。
【００１７】
また本発明は、（５１）多セル・ステントであって、複数の第１セルの帯を備え、各第１セルが、第２ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第１ループと、第１および第２ループを含むセル区間に結合する第１対の可撓性補償部材とを含み、さらに、複数の第２セルの帯を備え、各第２セルが、第４ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第３ループと、第３および第４ループを含んでセルを形成するセル区間に結合する第２対の可撓性部材とを含み、第２セルの帯に第１セルの帯が散在し、第１ループおよび第２ループが、ステントの縦軸に沿ってほぼ整列し、第３ループおよび第４ループが縦軸に沿って偏る多セル・ステントや、（５２）セルのループがセルの可撓性部材より広く、したがってループがより大きい半径方向の支持を提供する、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５３）第２対の可撓性部材の各可撓性部材が、第１端および第２端を有する第１部分と、第１端および第２端を有する第２部分と、第１端および第２端を有する第３部分と、第１部分の第２端と第２部分の第２端との間に配置された第１屈曲区域を有する湾曲部分と、第２部分の第１端と第３部分の第１端との間に配置された第２屈曲区域を有する湾曲部分とを含む、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５４）第１対の可撓性部材の各可撓性部材が、アーチ形の可撓性補償部材を含む、上記（５３）に記載の多セル・ステントや、（５５）第１セルの帯が第２セルの帯と交互になる、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５６）セルの帯が、半径方向の剛性が増加したステントの区間を生成するよう選択される、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５７）ステントの端にあるセルの帯が、ステントの残りの部分にあるセルの帯より縦方向の可撓性が大きくなるような構成である、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５８）ステントがステンレス鋼またはＮｉＴｉから作成される、上記（５１）に記載の多セル・ステントや、（５９） 多セル・ステントであって、複数の正方形セルの帯を備え、
各正方形セルが、第２ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第１ループと、第１および第２ループの脚部に結合する第１対の可撓性補償部材とを含み、さらに、複数の三角形セルの帯を備え、各三角形セルが、概ね周方向に配置された第１ループ包含区間と、第１ループ包含区間に接続する第２ループ包含区間と、第１ループ包含区間および第２ループ包含区間と接続する第３ループ包含区間とを備え、三角形セルの帯に正方形セルの帯が散在してステントを形成する多セル・ステントや、（６０）正方形セルの帯が三角形セルの帯と交互になる、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６１）ステントの端にあるセルの帯が、ステントの残りの部分にあるセルの帯より縦方向の可撓性が大きくなるような構成である、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６２）第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを有する、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６３）第２および第３ループ包含区間がそれぞれ、セルの内側に面する少なくとも１つのセルを有する、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６４） 第１および第２ループが、可撓性補償部材の対より広い部材で形成される、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６５）第１ループが、第２および第３ループを形成する部材より広い部材で形成される、上記（５９）に記載の多セル・ステントや、（６６）第１ループ包含区間が、ループの他の脚部より短い幾つかのループの脚部を有する、上記（５９）に記載の多セル・ステントに関する。
【００１８】
さらに本発明は、（６７）複数の閉じた可撓性区間を備えた拡張式ステントであって、複数の閉じた可撓性空間がそれぞれ、ａ）第１端および第２端を有する第１部材と、ｂ）第１端および第２端を有する第２部材と、ｃ）第１端および第２端を有する第３部材と、ｄ）第１端および第２端を有する第４部材とを含み、第１部材の第１端が第２部材の第１端と連絡し、第２部材の第２端が第３部材の第２端と連絡し、第３部材の第１端が第４端の第１端と連絡し、ｅ）端に湾曲部分を有する第１部材と第２部材が第１ループを形成し、ｆ）端に湾曲部分を有する第３部材と第４部材が第２ループを形成し、さらに、ｇ）第１端および第２端を有する第５部材と、ｈ）第１端および第２端を有する第６部材と、ｉ）第１端および第２端を有する第７部材と、ｊ）第１端および第２端を有する第８部材と、ｋ）第１端および第２端を有する第９部材と、ｌ）第１端および第２端を有する第１０部材とを含み、第５部材の第１端が第１部材の第２端と連絡し、第５部材の第２端が第６部材の第２端と連絡し、第６部材の第１端が第７部材の第１端と連絡し、第７部材の第２端が第８部材の第２端と連絡し、第８部材の第１端が第９部材の第１端と連絡し、第９部材の第２端が第１０部材の第２端と連絡し、第１０部材の第１端が第４部材の第２端と連絡し、ｍ）端に湾曲部分を有する第５部材と第６部材が第３ループを形成し、ｎ）端に湾曲部分を有する第７部材と第８部材が第４ループを形成し、ｏ）端に湾曲部分を有する第９部材と第１０部材が第５ループを形成するステントや、（６８） 第１部材、第３部材、第６部材、第８部材および第１０部材が、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有し、第２部材、第４部材、第５部材、第７部材および第９部材が、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有する、上記（６７）に記載のステントや、（６９）複数の空間のうち少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材の長さより大きい長さを有する、上記（６７）に記載のステントや、（７０）複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さより長い長さを有する、上記（６７）に記載のステントや、（７１） 複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さの約２倍の長さを有する、上記（７０）に記載のステントや、（７２）複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さとほぼ等しい長さを有する、上記（６７）に記載のステントや、（７３） 複数の空間の少なくとも１つにある第１、第２、第３および第４部材が、その空間の第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材の幅とは異なる幅を有する、上記（６７）に記載のステントや、（７４）複数の空間の少なくとも１つにある第１、第２、第３および第４部材が、その空間の第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材の幅より大きい幅を有する、上記（７３）に記載のステントや、（７５）複数の空間の少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材より大きい幅を有する、上記（６７）に記載のステントや、（７６）複数の空間の少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材より大きい幅を有する、上記（６７）に記載のステントや、（７７）少なくともその空間で最大の長さを有する部材が、隣接する空間に延在する隣接部材と結合される、上記（６９）に記載のステントや、（７８）各部材の有意の部分がほぼ直線である、上記（６７）に記載のステントや、（７９） 部材が金属で構成される、上記（６７）に記載のステントや、（８０）金属が、ステンレス鋼およびニチノールで構成されたグループから選択される、上記（７９）に記載のステントや、（８１）第１、第２、第３および第４部材と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材に、相互に対して異なる可撓性を設ける、上記（６７）に記載のステントや、（８２）第１、第２、第３および第４部材が、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材より可撓性が大きい、上記（８１）に記載のステントや、（８３） 第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材パターンが、第１、第２、第３および第４部材より可撓性が大きい、上記（８１）に記載のステントや、（８４） 第１、第２、第３および第４部材の少なくとも１つの少なくとも１つの部分と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分とに、相互に対して異なる可撓性を設ける、上記（６７）に記載のステントや、（８５） 第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より可撓性が大きい少なくとも１つの部分を設ける、上記（８４）に記載のステントや、（８６） 第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より可撓性が大きい少なくとも１つの部分を設ける、上記（８４）に記載のステントや、（８７） 第１、第２、第３および第４部材と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材とに、相互に対して半径方向の圧縮に対する異なる抵抗力を設ける、上記（６７）に記載のステントや、（８８） 第１、第２、第３および第４部材が、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する、上記（８７）に記載のステントや、（８９）第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材が、第１、第２、第３および第４部材より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する、上記（８７）に記載のステントや、（９０） 第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分とに、相互に対して半径方向の圧縮に対する異なる抵抗力を設ける、上記（６７）に記載のステントや、（９１）複数の第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する少なくとも１つの部分を設ける、上記（９０）に記載のステントや、（９２） 第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する少なくとも１つの部分を設ける、上記（９０）に記載のステントや、（９３） ほぼ図３、図４、図５、図６、図７、図９または図１１のいずれか１つで描かれた通りのセルのマトリックスを備えるステントや、（９４）セルのマトリックスを備えるステントであって、セルが、ほぼ図３、図４、図５、図６、図７、図９または図１１のいずれか１つで描かれた通りの１つまたは複数のセルから選択されるステントに関する。
【課題を解決するための手段】
【００１９】
これらの目的により、本発明のステントは、第１および第２方向に延在する軸線を有する第１および第２蛇行パターンを有するパターン化した形状を有する管になるよう形成され、第２蛇行パターンは第１蛇行パターンと絡み合う。
【００２０】
本発明の１つの実施形態によると、絡み合った蛇行パターンは、第１蛇行パターンと第２蛇行パターンが相互に遭遇する３つの点を有するセルを形成し、この意味でこれは三角形セルと呼ぶことができる。これらの三角形セルは、拡張後、ステントの縦軸の周囲で可撓性である。これらの三角形セルは、第１パターンと第２パターンとが相互に遭遇する４つの点を有し、この意味で四角形セルと呼ぶことができる絡み合った蛇行パターンで形成されたセルと同様の足場および半径方向の強度を提供する。
【００２１】
本発明の別の実施形態では、ステントの長さに沿ってセルの帯を設ける。セルの帯は、拡張後に主に半径方向の支持を強化するようになっているセルと、主に縦方向の可撓性を強化するようになっているセルとが交互する。
【００２２】
本発明の別の実施形態では、第１蛇行パターンが、ステントの送出中に第１蛇行パターンのループの「朝顔形の開き」を防止するようになっている。
【００２３】
本発明によるステントは、未拡張状態で第’３０３号のセル状ステントに伴う縦方向の可撓性を維持し、拡張状態では縦方向の可撓性が増加する。ステントは、足場、つまり管壁の被覆、または半径方向の支持を犠牲にせずにこれを実行する。
【００２４】
すなわち、請求項１に記載の本発明の態様は、血管を開放状態で保持するため複数の三角形セルで形成されたステントであって、各三角形セルが、第１ループ包含区間を備え、第１ループ包含区間が概ね周方向に配置され、さらに、第１結合点で第１ループ包含区間と結合する、第２ループ包含区間と、第２結合点で第１ループ包含区間と結合し、第３結合点で第２ループ包含区間と結合する第３ループ包含区間とを備えるステントを提供する。
【００２５】
第１ループ包含区間が、相対的に半径方向の支持を可能にするよう構成され、第２および第３ループ包含区間が、相対的に縦方向の可撓性を可能にするよう構成される。また、第１ループ包含区間が、第２および第３ループ包含区間より広い支柱を有し、第１ループ包含区間が２つのループを有し、第２ループ包含区間が２つのループを有し、また第３ループ包含区間が２つのループを有するように構成する。
【００２６】
ステントはステンレス鋼で作成される。
【００２７】
第１ループ包含区間のループの少なくとも１本の脚部が、第１ループ包含区間のループの他の脚部より短い。
【００２８】
また、第２および第３結合点が周方向に整列する。
【００２９】
また、ステントの各セルが同じ面積を囲む。
【００３０】
また、拡張時にステントの周方向に沿ったセルの長さが、ステントの縦軸に沿ったセルの長さより長くなるようセルが配置される。
【００３１】
また、ステントがＮｉＴｉで作成される。
【００３２】
また、ステントのセルが、ステントの縦軸に平行な線を中心に対称である。
【００３３】
また、サイズを大きくした少なくとも１つのセルを設けて、側枝内腔へのアクセスを可能にする。
【００３４】
また、セルを複数の帯の中に配置し、管の側枝へのアクセスを提供するよう、１本の帯にあるステントが残りの帯にあるセルより大きい。
【００３５】
また、セルを複数の帯の中に配置し、少なくとも１本の帯のセルが、残りの帯のセルとは異なる半径方向の力を有するような構成である。
【００３６】
また、セルを複数の帯の中に配置し、少なくとも１本の帯のセルが、残りの帯のセルとは異なる縦方向の可撓性を有するような構成である。
【００３７】
また、セルを複数の帯の中に配置し、少なくとも１本の帯のセルが、ステントを拡張すると、帯がステントの残りの部分の直径とは異なる直径へと拡張するような構成である。
【００３８】
また、セルを複数の帯の中に配置し、少なくとも１本の帯のセルの数が別の帯のセルの数とは異なるように構成する。
【００３９】
また、ステントを、ステントに放射線不透過性材料を施す、保護材料を施す、薬剤を埋め込む、または材料で覆う、のうち１つの方法で仕上げる。
【００４０】
請求項２１に記載の本発明の態様は、人体内の管を広げるステントであって、複数の第１蛇行パターンと、三角形セルを形成するため、第１蛇行パターンと絡み合う複数の第２蛇行パターンとを備える。
【００４１】
第１蛇行パターンは、偶数の第１蛇行パターンと、偶数の第１蛇行パターンと１８０°位相がずれた奇数の蛇行パターンとで構成され、奇数の第１蛇行パターンが偶数の第１蛇行パターン２つおきに発生する。
【００４２】
また、第２蛇行パターンが、偶数の第２蛇行パターンと、偶数の第２蛇行パターン２つおきに発生する奇数の蛇行パターンとで構成される。
【００４３】
また、三角形セルがそれぞれ、第１ループ包含区間、第２ループ包含区間、および第３ループ包含区間で構成される。
【００４４】
また、第１ループ包含区間が第１蛇行パターンの一部によって形成され、第２および第３ループ包含区間が１つまたは複数の第２蛇行パターンの一部によって形成される。
【００４５】
また、第１ループ包含区間が、ループ包含区間のループの他方の脚部より短い自由ループの少なくとも１本の脚部を含む。
【００４６】
また、第１ループ包含区間が第２および第３ループ包含区間より広い。
【００４７】
また、第１蛇行パターンが１周期あたり２つのループを有する。
【００４８】
また、第２蛇行パターンが１周期あたり４つのループを有する。
【００４９】
また、第１および第２蛇行パターンがほぼ直行する。
【００５０】
また、第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを有する。
【００５１】
また、第２および第３ループ包含区間がそれぞれ２つのループを有する。
【００５２】
また、第２および第３ループ包含区間のループは、ステントの拡張時に第１ループ包含区間のループが短縮する傾向を補償するような構成である。
【００５３】
また、第１ループ区間のループの１つが、第１ループ区間の他のループより短い自由ループである。
【００５４】
また、奇数および偶数の第２蛇行パターンが、第２蛇行が同じ方向に進む共通の部分を有する。
【００５５】
また、第１および第２蛇行パターンが、前記蛇行パターンが同じ方向に進む共通の部分を有する。
【００５６】
請求項３７に記載の本発明の別の態様は、内腔を開放状態で保持する多セル・ステントであって、複数の偶数および奇数垂直蛇行パターンを備え、奇数の垂直蛇行パターンは、偶数の垂直蛇行パターン２つおきに配置され、偶数の垂直蛇行パターンとは位相がずれ、さらに、複数の偶数および奇数の水平蛇行パターンを備え、奇数の水平蛇行パターンが、偶数の水平蛇行パターン２つおきに配置され、垂直蛇行パターンが水平蛇行パターンと絡み合って、複数の三角形セルを形成する。
【００５７】
三角形セルが、第１ループ包含区間、第１ループ包含区間と接続する第２ループ包含区間、および第１および第２ループ包含区間と接続する第３ループ包含区間によって形成される。
【００５８】
また、第１ループ包含区間が垂直蛇行パターンの一部から形成される。
【００５９】
また、第２および第３ループ方が区間が、１つまたは複数の水平蛇行パターンの一部から形成される。
【００６０】
また、第１ループ包含区間を形成する部材が、第２および第３ループ包含区間を形成する部材より広い。
【００６１】
また、第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを形成する。
【００６２】
また、第２ループ包含区間が、セルの内側に面する１つのループを形成する。
【００６３】
また、第３ループ包含区間が、セルの内側に面する１つのループを形成する。
【００６４】
ステントがステンレス鋼で作成される。
【００６５】
また、第１ループ包含区間が１つの自由ループを含む。
【００６６】
また、自由ループの１本の脚部が、ループの他の脚部より短い。
【００６７】
また、第２ループ包含区間の長さが第３ループ包含区間の長さと等しい。
【００６８】
また、ステントの各三角形セルが同じ面積を囲む。
【００６９】
また、第２ループ包含区間を形成する部材の幅と、第３ループ包含区間を形成する部材の幅とが同じである。
【００７０】
請求項５１に記載の本発明の更に別の態様は、多セル・ステントであって、複数の第１セルの帯を備え、各第１セルが、第２ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第１ループと、第１および第２ループを含むセル区間に結合する第１対の可撓性補償部材とを含み、さらに、複数の第２セルの帯を備え、各第２セルが、第４ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第３ループと、第３および第４ループを含んでセルを形成するセル区間に結合する第２対の可撓性部材とを含み、第２セルの帯に第１セルの帯が散在し、第１ループおよび第２ループが、ステントの縦軸に沿ってほぼ整列し、第３ループおよび第４ループが縦軸に沿って偏る。
【００７１】
セルのループがセルの可撓性部材より広く、したがってループがより大きい半径方向の支持を提供する。
【００７２】
また、第２対の可撓性部材の各可撓性部材が、第１端および第２端を有する第１部分と、第１端および第２端を有する第２部分と、第１端および第２端を有する第３部分と、第１部分の第２端と第２部分の第２端との間に配置された第１屈曲区域を有する湾曲部分と、第２部分の第１端と第３部分の第１端との間に配置された第２屈曲区域を有する湾曲部分とを含む。
【００７３】
また、第１対の可撓性部材の各可撓性部材が、アーチ形の可撓性補償部材を含む。
【００７４】
また、第１セルの帯が第２セルの帯と交互になる。
【００７５】
また、セルの帯が、半径方向の剛性が増加したステントの区間を生成するよう選択される。
【００７６】
また、ステントの端にあるセルの帯が、ステントの残りの部分にあるセルの帯より縦方向の可撓性が大きくなるような構成である。
【００７７】
また、ステントがステンレス鋼またはＮｉＴｉから作成される。
【００７８】
加えて、請求項５９に記載の本発明の更に別の態様は、多セル・ステントであって、複数の正方形セルの帯を備え、各正方形セルが、第２ループに対して概ね垂直方向で反対側に配置された第１ループと、第１および第２ループの脚部に結合する第１対の可撓性補償部材とを含み、さらに、複数の三角形セルの帯を備え、各三角形セルが、概ね周方向に配置された第１ループ包含区間と、第１ループ包含区間に接続する第２ループ包含区間と、第１ループ包含区間および第２ループ包含区間と接続する第３ループ包含区間とを備え、三角形セルの帯に正方形セルの帯が散在してステントを形成する。
【００７９】
正方形セルの帯が三角形セルの帯と交互になる。
【００８０】
また、ステントの端にあるセルの帯が、ステントの残りの部分にあるセルの帯より縦方向の可撓性が大きくなるような構成である。
【００８１】
また、第１ループ包含区間が、セルの内側に面する２つのループを有する。
【００８２】
また、第２および第３ループ包含区間がそれぞれ、セルの内側に面する少なくとも１つのセルを有する。
【００８３】
また、第１および第２ループが、可撓性補償部材の対より広い部材で形成される。
【００８４】
また、第１ループが、第２および第３ループを形成する部材より広い部材で形成される。
【００８５】
また、第１ループ包含区間が、ループの他の脚部より短い幾つかのループの脚部を有する。
【００８６】
更に、請求項６７に記載の本発明の別の態様は、複数の閉じた可撓性区間を備えた拡張式ステントであって、複数の閉じた可撓性空間がそれぞれ、ａ）第１端および第２端を有する第１部材と、ｂ）第１端および第２端を有する第２部材と、ｃ）第１端および第２端を有する第３部材と、ｄ）第１端および第２端を有する第４部材とを含み、第１部材の第１端が第２部材の第１端と連絡し、第２部材の第２端が第３部材の第２端と連絡し、第３部材の第１端が第４端の第１端と連絡し、ｅ）端に湾曲部分を有する第１部材と第２部材が第１ループを形成し、ｆ）端に湾曲部分を有する第３部材と第４部材が第２ループを形成し、さらにｇ）第１端および第２端を有する第５部材と、ｈ）第１端および第２端を有する第６部材と、ｉ）第１端および第２端を有する第７部材と、ｊ）第１端および第２端を有する第８部材と、ｋ）第１端および第２端を有する第９部材と、ｌ）第１端および第２端を有する第１０部材とを含み、第５部材の第１端が第１部材の第２端と連絡し、第５部材の第２端が第６部材の第２端と連絡し、第６部材の第１端が第７部材の第１端と連絡し、第７部材の第２端が第８部材の第２端と連絡し、第８部材の第１端が第９部材の第１端と連絡し、第９部材の第２端が第１０部材の第２端と連絡し、第１０部材の第１端が第４部材の第２端と連絡し、ｍ）端に湾曲部分を有する第５部材と第６部材が第３ループを形成し、ｎ）端に湾曲部分を有する第７部材と第８部材が第４ループを形成し、ｏ）端に湾曲部分を有する第９部材と第１０部材が第５ループを形成する。
【００８７】
第１部材、第３部材、第６部材、第８部材および第１０部材が、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有し、第２部材、第４部材、第５部材、第７部材および第９部材が、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有する。
【００８８】
また、複数の空間のうち少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材の長さより大きい長さを有する。
【００８９】
また、複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さより長い長さを有する。
【００９０】
また、複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さの約２倍の長さを有する。
【００９１】
また、複数の空間のうち少なくとも１つで、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つが、その空間にある第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの長さとほぼ等しい長さを有する。
【００９２】
また、複数の空間の少なくとも１つにある第１、第２、第３および第４部材が、その空間の第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材の幅とは異なる幅を有する。
【００９３】
また、複数の空間の少なくとも１つにある第１、第２、第３および第４部材が、その空間の第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材の幅より大きい幅を有する。
【００９４】
また、複数の空間の少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材より大きい幅を有する。
【００９５】
また、複数の空間の少なくとも１つにある少なくとも１つの部材が、その空間の他の部材より大きい幅を有する。
【００９６】
また、少なくともその空間で最大の長さを有する部材が、隣接する空間に延在する隣接部材と結合される。
【００９７】
また、各部材の有意の部分がほぼ直線である。
【００９８】
また、部材が金属で構成され、例えばステンレス鋼およびニチノールで構成されたグループから選択される。
【００９９】
また、第１、第２、第３および第４部材と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材に、相互に対して異なる可撓性を設ける。
【０１００】
また、第１、第２、第３および第４部材が、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材より可撓性が大きい。
【０１０１】
また、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材パターンが、第１、第２、第３および第４部材より可撓性が大きい。
【０１０２】
また、第１、第２、第３および第４部材の少なくとも１つの少なくとも１つの部分と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分とに、相互に対して異なる可撓性を設ける。
【０１０３】
また、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より可撓性が大きい少なくとも１つの部分を設ける。
【０１０４】
また、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より可撓性が大きい少なくとも１つの部分を設ける。
【０１０５】
また、第１、第２、第３および第４部材と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材とに、相互に対して半径方向の圧縮に対する異なる抵抗力を設ける。
【０１０６】
また、第１、第２、第３および第４部材が、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有するように構成する。
【０１０７】
また、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材が、第１、第２、第３および第４部材より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有するように構成する。
【０１０８】
また、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分とに、相互に対して半径方向の圧縮に対する異なる抵抗力を設ける。
【０１０９】
また、複数の第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する少なくとも１つの部分を設ける。
【０１１０】
また、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分に、第１、第２、第３および第４部材のうち少なくとも１つの少なくとも１つの部分より大きい半径方向の圧縮に対する抵抗力を有する少なくとも１つの部分を設ける。
【０１１１】
また、ほぼ図３、図４、図５、図６、図７、図９または図１１のいずれか１つで描かれた通りのセルのマトリックスを備える。
【０１１２】
また、セルのマトリックスを備えるステントであって、セルが、ほぼ図３、図４、図５、図６、図７、図９または図１１のいずれか１つで描かれた通りの１つまたは複数のセルから選択される。
【実施例】
【０１１３】
図２は、本発明の縦方向に可撓性のステント２０８の略図を示す。ステント２０８は、バルーン・カテーテルで湾曲した管２１０に送出し、バルーンを膨張させて動脈に埋め込むことができる。前述したように、バルーンにより、バルーンの膨張時に動脈が直線になる。しかし、バルーンが収縮すると、ステント２０８は、拡張後に縦方向に可撓性であり、可撓性を維持するので、管２１０の自然な湾曲を呈する。これにより、ステントの端部およびステントの長さに沿った潜在的応力点が減少する。さらに、ステントは拡張後に縦方向に可撓性であるので、ステントは、心拍によって生じるサイクル中、管とともに縦方向に屈曲する。これも、ステントの端部およびステントの長さに沿った周期性応力を減少させる。
【０１１４】
図３は、本発明によるステントのパターンを示す。このパターンは、知られている材料で、例えばステンレス鋼で構築することができるが、ＮｉＴｉから構築することが特に適切である。パターンは、ＮｉＴｉの平坦な板にエッチングを施して図示のパターンにすることによって形成することができる。平板は、エッチングした板を管形に圧延し、板の縁を相互に溶接して管状ステントを形成することによって形成する。特定の利点を有するこのステント形成法の詳細は、米国特許第５，８３６，９６４号および第５，９９７，９７３号で開示され、これは参照により本明細書に明示的に組み込まれる。管のレーザ切削または管のエッチングなど、当業者に知られている他の方法を使用して、本発明を使用するステントを構築してもよい。管形に形成した後、ＮｉＴｉのステントを、当業者に知られているように熱処理し、ＮｉＴｉの形状記憶特徴および超弾性を利用する。
【０１１５】
パターン３００は、垂直パターンと水平パターンのそれぞれの２つの直交する蛇行パターンが相互に絡み合った複数のパターンから形成される。「蛇行パターン」という用語は、本明細書では、中心線の周囲で周期的なパターンを示し、「直交する蛇行パターン」は、中心線が相互に直交するパターンである。
【０１１６】
蛇行パターン３０１は、垂直中心線３０２を有する垂直の正弦曲線である。蛇行パターン３０１は、周期ごとに２つのループ３０４および３０６を有し、ループ３０４は右側に開き、ループ３０６は左側に開く。ループ３０４および３０６は共通部材３０８および３１０を共有し、部材３０８は１つのループ３０４をそれに続くループ３０６と結合し、部材３０８は、１つのループ３０６をそれに続くループ３０４と結合する。
【０１１７】
蛇行パターン３１２（参考のため、そのうち２つを網掛け表示する）は、水平の中心線３１４を有する水平パターンである。水平蛇行パターン３１２は、３１６、３１８、３２０、３２２とラベル付けされたループも有し、ある周期のループ間には３２４とラベルを付けた区間がある。
【０１１８】
垂直蛇行パターン３０１は、相互に１８０°位相がずれた奇数および偶数（ｏおよびｅ）タイプで設けられる。したがって、蛇行パターン３０１ｏの各左側開放ループ３０６は、蛇行パターン３０１ｅの右側開放ループ３０４と対面し、蛇行パターン３０１ｏの右側開放ループ３０４は蛇行パターン３０１ｅの左側開放ループ３０６と対面する。
【０１１９】
水平蛇行パターン３１２も奇数および偶数形態で設ける。水平蛇行パターン３１２ｅの直線区間３２４は、偶数垂直蛇行パターン３０１ｅの３つごとの共通部材３１０と交差する。水平蛇行パターン３１２ｏの直線区間３２４も、偶数垂直蛇行パターン３０１の３つごとの共通部材３１０と交差する。
【０１２０】
ステントが拡張すると、垂直蛇行パターン３０１のループが垂直方向に開く。これによって、水平方向が短縮する。水平蛇行パターン３１２のループは、垂直方向および水平方向の両方で開き、垂直蛇行パターンのループの短縮を補償する。
【０１２１】
図３のパターンから形成され、ＮｉＴｉで作成したステントは、外圧を受ける頸動脈または他の内腔に使用するのに特に適している。一つの理由は、ステントがＮｉＴｉで形成されているので、反跳可能であり、これは頸動脈に配置するステントに望ましい特性である。他の理由は、図３のステントが優れた足場を提供することであり、これは頸動脈では特に重要である。足場が頸動脈に特に重要であるのは、動脈内で外れた粒子が塞栓を形成し、発作を引き起こすことがあるからである。
【０１２２】
図４は、図３のパターンの１つの可撓性セル５００の拡大図である。各可撓性セル５００は、第１端５０２および第２端５０３を有する第１部材５０１、第１端５０５および第２端５０６を有する第２部材５０４、第１端５０８および第２端５０９を有する第３部材５０７、および第１端５１１および第２端５１２を有する第４部材５１０を含む。第１部材５０１の第１端５０２は、第１湾曲部材５３５によって第２部材５０４の第１端５０５に結合されて、第１ループ５５０を形成し、第２部材５０４の第２端５０６は、第２湾曲部材５３６によって第３部材５０７の第２端５０９に結合され、第３部材５０７の第１端５０８は第３湾曲部材５３７によって第４部材５１０の第１端５１１に結合されて、第２ループ５３１を形成する。第１ループ５５０は第１角度５４３を画定する。第２ループ５３１は第２角度５４４を画定する。各セル５００は、第１端５１４および第２端５１５を有する第５部材５１３、第１端５１７および第２端５１８を有する第６部材５１６、第１端５２０および第２端５２１を有する第７部材５１９、第１端５２３および第２端５２４を有する第８部材５２２、第１端５２６および第２端５２７を有する第９部材５２５、および第１端５２９および第２端５３０を有する第１０部材５２８も含む。第５部材５１３の第１端５１４は、第２結合点５４２で第１部材５０１の第２端５０３と結合され、第５部材５１３の第２端５１５は、湾曲部材５３９によって第６部材の第２端５１８に結合されて第３ループ５３２を形成し、第６部材５１６の第１端５１７は、第５湾曲部材５４８によって第７部材５１９の第１端５２０に結合され、第７部材５１９の第２端５２１は、第３結合点５４０で第８部材５２２の第２端５２４に結合されて第４ループ５３３を形成し、第８部材５２２の第１端５２３は、第６湾曲部材５４９によって第９部材５２５の第１端５２６に結合され、第９部材５２５の第２端５２６は、第７湾曲部材５４１によって第１０部材５２８の第２端５３０に結合されて第５ループ５３４を形成し、第１０部材５２８の第１端５２９は、第４部材５１０の第２端５１２に結合される。第３ループ５３２は第３角度５４５を画定する。第４ループ５３３は第４角度５４６を画定する。第５ループ５３４は第５角度５４７を画定する。
【０１２３】
図４に示す実施形態では、第１部材５０１、第２部材５０４、第３部材５０７、及び第４部材５１０が形成するループ部分と、第５部材５１３、第６部材５１６、第７部材５１９が形成するループ部分と、第８部材５２２、第９部材５２５、第１０部材５２８とが形成するループ部分とによって、３つの区間を有する三角形セルを形成する。また、図４に示す実施形態では、第１部材５０１、第３部材５０７、第６部材５１６、第８部材５２２、および第１０部材５２８は、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有し、第２部材５０４、第４部材５１０、第５部材５１３、第７部材５１９、および第９部材５１２は、ステントの縦軸に対してほぼ同じ角度方向を有する。図４に示す実施形態では、第１、第２、第３および第４部材５０１、５０４、５０７、５１０の長さはほぼ等しい。第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材５１３、５１６、５１９、５２２、５２５、５２８の長さもほぼ等しい。個々の部材の長さを特定の用途、構造の材料または送出方法に合わせて調整する他の実施形態も可能であり、そのためには好ましいこともある。
【０１２４】
第１、第２、第３および第４部材５０１、５０４、５０７、５１０は、そのセルの第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材５１３、５１６、５１９、５２２、５２５、５２８の幅より大きい。第１、第２、第３および第４部材と、第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材とが相互に異なる幅であることが、全体的な可撓性およびセルの半径方向の圧縮に対する抵抗に寄与する。様々な部材の幅は、特定の用途に合わせて調整することができる。第５、第６、第７、第８、第９および第１０部材は、主に拡張前と後の両方で縦方向に可撓性を有することができるよう最適化し、第１、第２、第３および第４部材は、主に半径方向の圧縮に対して十分に抵抗し、管を開放状態に維持できるよう最適化することが好ましい。特定の部材を、主に望ましい特徴が可能になるよう最適化するが、セルの部分全部が相互に協働し、ステントの特徴に寄与する。
【０１２５】
図５および図６は、ステンレス鋼で作成したステントに特に合わせた本発明の実施形態の１つのセルのパターンおよび拡大図を示す。パターンは、図３および図４のパターンと同様であり、同じ参照数字を使用して概ね対応する部品を指示する。
【０１２６】
本発明のこの実施形態では、例えば第１ループ５３１は、第３および第４部材（脚部）５０７、５１０を短縮することによって強化する。これは、曲がりくねった動脈を通してステントを送出する間に第２ループが確実に「朝顔状に開」かないようにするのに役立つ。この「朝顔状に開」くのは、送出中に外被によって覆われるＮｉＴｉのステントでは問題にならない。
【０１２７】
さらに、この実施形態の部材の長さは、図３および図４に示した実施形態の対応する部材の長さより短くしてもよい。通常、自動拡張式ＮｉＴｉステントに許される歪みの量は、１０％前後である。ステンレス鋼のステントでは、通常許される歪みの量は、２０％以上である。したがって、ＮｉＴｉで作成したステントおよびステンレス鋼で作成したステントが同等の直径まで拡張するのを促進するには、ＮｉＴｉのステントをステンレス鋼のステントの部材より長くしてもよい。
【０１２８】
図７は、本発明の別の態様を示す。図７のステントも、直交する蛇行パターン３０１、３０２から構築される。蛇行パターンは、２つのタイプの一連の連結セル５０、７００を形成する。第１タイプのセルは、米国特許第５，７３３，３０３号で教示されている。これらのセルは、交互になった第１タイプのセル５０の帯７０４と第２タイプのセル７００の帯７０６を形成するよう配置される。
【０１２９】
図８で見られるように、特に、説明しやすいようラベルを付けたセルに関して、第’３０３号のセル５０はそれぞれ、第１縦方向頂点１００および第２縦方向端７８を有する。各セル５０にも、第１縦方向端７７と、第２縦方向端７８に配置した第２縦方向頂点１０４とを設ける。各セル５０は、第１端５２および第２端５３を有する縦方向構成要素を有する第１部材５１、第１端５５および第２端５６を有する縦方向構成要素を有する第２部材５４、第１端５８および第２端５９を有する縦方向構成要素を有する第３部材５７、および第１端６１および第２端６２を有する縦方向構成要素を有する第４部材６０も含む。ステントは、第１部材５１の第１端５２と第２部材５４の第１端５５との間に配置された第１角度６４を画定する第１ループまたは湾曲部材６３も含む。第２角度６６を画定する第２ループまたは湾曲部材６５は、第３部材５７の第２端５９と第４部材６０の第２端６２との間に配置され、概ね第１ループ６３の反対側に配置される。湾曲部分および第１端６８および第２端６９を有する２本の脚部を有する第１可撓性補償部材（または縦方向蛇行パターンの区間）６７が、第１部材５１と第３部材５７との間に配置され、第１可撓性補償部材６７の第１端６８が、第１部材５１の第２端５３と結合されて、それと連絡し、第１可撓性補償部材６７の第２端６９は、第３部材５７の第１端５８と結合して、それと連絡する。第１端６８および第２端６９は、相互から様々な縦方向の距離７０に配置される。第１端７２および第２端７３を有する第２可撓性補償部材（つまり縦方向蛇行パターンの区間）７１は、第２部材５４と第４部材６０の間に配置される。第２可撓性補償部材７１の第１端７２は、第２部材５４の第２端５６と結合して、それと連絡し、第２可撓性補償部材７１の第２端７３は、第４部材６０の第１端６１と結合して、それと連絡する。第１端７２および第２端７３は、相互から様々な縦方向の距離７４に配置される。この実施形態では、第１および第２可撓性補償部材、および特にその湾曲部分はアーチ形である。
【０１３０】
第２タイプのセル７００が図９に図示され、同じ参照番号を使用して、セルの概ね対応する区域が指示されている。第１タイプのセル７００の頂点１００、１０４は、周方向に偏っている。また、各可撓性補償部材６７、７１は、第１端８０および第２端８１を有する第１部分または脚部７９、第１端８３および第２端８４を有する第２部分または脚部８２、および第１端８６および第２端８７を有する第３部分または脚部８５を含み、第２端８１と第２端８４は湾曲部材で結合され、第１端８３と第１端８６は湾曲部材で結合される。可撓性補償部材６７、７１の第１端は、第１部分７９の第１端８０と同じであり、可撓性補償部材６７、７１の第２端は第３部分８５の第２端８７と同じである。第１屈曲区域８８が、これを結合する湾曲部分が存在する第１部分７９の第２端８１と第２部分８２の第２端８４との間に配置される。第２屈曲区域８９が、これを結合する湾曲部分が存在する第２部分８２の第１端８３と第３部分８５の第１端８６との間に配置される。
【０１３１】
図７は、交互するセルの帯のパターンを示すが、ステントは、帯の形状を調整することにより、特定の用途に合わせて最適化してもよい。例えば、第２タイプのセル７０の中央にある帯をセル５０で形成するか、その逆でもよい。図７の第２タイプのセルは、図４および図６に関して説明したセルの形状を使用してもよい。図４および図６のセル形状は、拡張時にステントの縦軸を中心に、セルのある部分にセルの別の部分に対するトルクを発生しない。トルクの発生は、第２タイプのセル７００が拡張する時に生じることがあり、ステントを変形させ、突き出してしまうトルクである。
【０１３２】
図７で示すように、可撓性補償部材はすべて、可撓性補償部材の通路が、左から右へと概ね下方向に進むよう配置する。セル７００は、ある帯の可撓性補償部材が概ね上方向に配置され、隣接する帯の可撓性補償部材が概ね下方向に配置されるよう、配置することもできる。当業者は、このような変形を容易に実行することができる。
【０１３３】
図１０は、絡み合った第１蛇行パターンと第２蛇行パターンが遭遇する点が３個あり、その意味で三角形のセルである本発明のセル８０４を、絡み合った第１蛇行パターンと第２蛇行パターンが遭遇する点が４個あり、その意味で四角または正方形セルである第’３０３号ステントと比較する略図である。特に、図１０の左側では、１対の垂直蛇行パターン８０６、８２６が部材８０８、８１０、８１２（縦方向蛇行パターンの区間である）によって結合され、複数の三角形セル８０４を形成している。三角形セルとは、それぞれがループ部分を有する３つの区間８１０（点８１６と８１８との間の区間）、８１２（点８１８と点８２０との区間）、８１４（点８２０と点８１６との区間）、および各セルを結合し、形成する該３つの関連する区間を連結する点８１６、８１８、８２０によって形成される三角形セルという意味である。
【０１３４】
図１０の右側では、１対の垂直蛇行パターン８２２、８２４が補償部材８２８、８３０、８３２、８３４（縦方向蛇行の区間である）を相互に結合して、複数の正方形セル８０２を形成する。正方形セルとは、それぞれがループ部分を有する４つの区間、および各セルを結合し、形成する４つの関連する点があるという意味である。例えば、網掛けしたセル８０２は４つの区間８３２、８３６、８３０、８３８、およびそれを結合する関連の点８４０、８４２、８４４、８４６から形成される。
【０１３５】
正方形セルも三角形セルも、ループを有する２種類の区間を有する。第１種類のループ包含区間は、垂直蛇行パターンから形成され、主に半径方向に支持できるよう最適化される。第２種類のループ包含区間は、主にステントの縦軸に沿って可撓性を持てるよう最適化される。ループを含む各区間は、主にステントの所望の特性が可能になるよう最適化されるが、区間が相互接続され、協働してステントの特徴を規定する。したがって、第１種類のループ包含区間は、ステントの縦方向の可撓性に寄与し、第２種類のループ包含区間は、ステントの半径方向の支持に寄与する。
【０１３６】
正方形セル８０２では、第２種類のループ包含区間８３０、８３２がそれぞれ、１つの屈曲点８４８、８５０を有することが分かる。三角形セルでは、ループ包含区間８１０、８１２がそれぞれ、２つの屈曲点区域８５２、８５４、８５６、８５８を有する。屈曲点の数が多くなると、ステントの拡張後に変形の自由が大きくなり、より長い区間にわたり変形に寄与し、したがってこれらのループ包含区間に沿った最大歪みを減少させる。
【０１３７】
さらに、正方形セル８０２は、概してステントの周方向に沿ってより長い三角形セル８０４より、概してステントの縦軸に沿ってより細長い。これは、拡張後の可撓性の向上にも寄与する。
【０１３８】
両タイプのセルの第１蛇行パターン８０６、８２２、８２４、８２６が全く同様に構築されて、同じ量だけ隔置されると、三角形セル８０４の面積は正方形セル８０２と同じである。これは、ステントの周に沿ったセルの帯に関して、さらに容易に理解することができる。各帯は同じ面積を囲み、各帯は同数のセルを有する。したがって、正方形セルで形成されたある帯の中にある各セルの面積は、三角形セルで形成された別の帯の中にある各セルの面積と同じである。
【０１３９】
セルの面積は等しいが、三角形セルの周長は正方形セルの周長より大きい。したがって、正方形セルと比較すると、三角形セルは管壁の被覆面積が増加する。
【０１４０】
上述した特定の実施形態では、ステントは全長にわたってほぼ均一である。しかし、ステントの一部が異なる特徴を提供するような構成である他の用途も可能である。例えば、図１１で示すように、セル８５０の帯は、その帯を構成する部材の幅および長さを変更することにより、セルの残りの帯とは異なる可撓性特徴または異なる半径方向圧縮特徴を提供するよう設計することができる。あるいは、ステントは、残りのセルよりサイズが大きい少なくとも１つのセル８５２を提供することによって、またはセル８５４の帯全体をセルの他の帯より大きいサイズにすることによって、側枝内腔へのアクセスが大きくなるようにすることができる。あるいは、ステントの長さに沿って異なる直径へと拡張するよう、ステントを設計することができる。ステントは、ステントに薬剤をコーティングする、ステントにめっき等により保護材料を施す、ステントにめっき等により放射線不透過性材料を施す、またはステントを材料で覆うことによって、ステントの形成後にステントを処理してもよい。
【０１４１】
図１２および図１３は、本発明の原理により構築されるステントの代替パターンを示す。図１２に示すステントは、近位端８６０および遠位端８６２それぞれに配置されたセル８５６の２本の帯を有する。ステントの端部に配置されたセル８５６の帯を形成するセルは、第’３０３号タイプのセルである。ステントの残りのセルは、図６に描かれたセル５００に関して説明したものと同じである。図１３に示すステントは、交互になったセルの帯８６４、８６６、８６８を有する。第１タイプのセルの帯８６４は、第’３０３号タイプのセルで構成される。第２および第３タイプのセルの帯８６６、８６８は、図４に描かれたセル５００に関して説明したセルで形成される。言うまでもなく、本発明には、任意の様々なセルの組合せを使用することができる。
【０１４２】
したがって、本明細書で説明するのは、閉じたセル構造を使用して管壁に優れた被覆を提供する、縦方向に可撓性のあるステントである。本明細書で説明する一般的概念を使用して、本明細書に記載された特定の実施形態とは異なる形状のステントを形成することができる。例えば、一般的概念を用いて、二股ステントを形成することができる。本発明は、特に以上で図示し、説明したものに制限されないことが、当業者には理解される。むしろ、本発明の範囲は、請求の範囲によって規定される。
【図面の簡単な説明】
【０１４３】
【図１】 湾曲した内腔の中で展開した従来の剛性ステントの略図を示す。
【図２】 湾曲した内腔の中で展開した本発明のステントの略図を示す。
【図３】 本発明により作成したステントのパターンを示す。
【図４】 図３のパターンの１つのセルの拡大図を示す。
【図５】 本発明により作成したステントのパターンを示す。
【図６】 図５のパターンの１つのセルの拡大図を示す。
【図７】 本発明により作成したステントのパターンを示す。
【図８】 図７のパターンに使用する１つのセルの拡大図を示す。
【図９】 図７に使用する別のセルの拡大図を示す。
【図１０】四角または「正方形セル」と本発明の「三角形」セルとの概略比較図を示す。
【図１１】長さに沿って変化可能な幾何学的形状を有する、本発明の原理により構築されたステントのパターンを示す。
【図１２】本発明の原理により構築されたステントの別のパターンを示す。
【図１３】本発明の原理により構築されたステントの別のパターンを示す。
【符号の説明】
【０１４４】
５０ セル
５１ 第１部材
５２ 第１端
５３ 第２端
５４ 第２部材
５５ 第１端
５６ 第２端
５７ 第３部材
５８ 第１端
５９ 第２端
６０ 第４部材
６１ 第１端
６２ 第２端
６３ 第１ループ
６４ 第１角度
６７ 第１可撓性補償部材
６８ 第１端
６９ 第２端
７０ 縦方向距離
６１ 第２可撓性補償部材
７２ 第１端
７３ 第２端
７４ 縦方向距離
７７ 第１縦方向端
７８ 第２縦方向端
７９ 第１部分
８０ 第１端
８２ 第２端
８２ 第２部分
８３ 第１端
８４ 第２端
８５ 第３部分
８６ 第１端
８７ 第２端
８８ 第１屈曲区域
８９ 第２屈曲区域
１００ 縦方向頂点
１０４ 第２縦方向頂点
２０２ ステント
２０４ 湾曲した管
２０６ 応力集中点
２０８ ステント
２１０ 湾曲した管
３００ パターン
３０１ 蛇行パターン
３０２ 縦方向中心線／蛇行パターン
３０４ ループ
３０６ ループ
３０８ 部材
３１０ 部材
３１２ 蛇行パターン
３１４ 水平方向中心線
３１６ ループ
３１８ ループ
３２０ ループ
３２２ ループ
３２４ 区間
５００ 可撓性セル
５０１ 第１部材
５０２ 第１端
５０３ 第２端
５０４ 第２部材
５０５ 第１端
５０６ 第２端
５０７ 第３部材
５０８ 第１端
５０９ 第２端
５１０ 第４部材
５１１ 第１端
５１２ 第２端
５１３ 第５部材
５１４ 第１端
５１５ 第２端
５１６ 第６部材
５１７ 第１端
５１８ 第２端
５１９ 第７部材
５２０ 第１端
５２１ 第２端
５２２ 第８部材
５２３ 第１端
５２４ 第２端
５２５ 第９部材
５２６ 第１端
５２７ 第２端
５２８ 第１０部材
５２９ 第１端
５３０ 第２端／第１ループ
５３１ 第２ループ
５３２ 第３ループ
５３５ 第１湾曲部材
５３６ 第２湾曲部材
５３７ 第３湾曲部材
５３９ 湾曲部材
５４０ 第３結合点
５４１ 第７湾曲部材
５４２ 第２結合点
５４３ 第１角度
５４４ 第２角度
５４５ 第３角度
５４６ 第４角度
５４７ 第５角度
５４９ 第６湾曲部材
５５０ 第１ループ
７００ 第２タイプのセル
７０４ 帯
７０６ 帯
８０２ 正方形セル
８０４ 三角形セル
８０６ 第１蛇行パターン
８１０ 区間
８１２ 区間
８２２ 垂直蛇行パターン
８２４ 垂直蛇行パターン
８２６ 第１蛇行パターン
８２８ 補償部材
８３０ 補償部材／区間
８３２ 補償部材／区間
８３４ 補償部材
８３６ 区間
８３８ 区間
８４０ 点
８４２ 点
８４４ 点
８４６ 点
８４８ 屈曲点
８５０ 屈曲点／帯
８５２ 屈曲点区域／帯
８５４ 屈曲点区域／帯
８５６ 屈曲点区域
８５８ 屈曲点区域
８６４ 帯
８６６ 帯
８６８ 帯

Claims (18)

1. それぞれループ部分を備える３つの区間（８１４、８１２、８１０）と、該３つの区間がそれぞれ結合する３つの結合点（８２０、８１６、８１８）とを有する複数の三角形セル（５００；８０４）で形成されるステントであって、各三角形セルが、
   第１ループ包含区間（８１４）を備え、第１ループ包含区間が概ね周方向に配置され、さらに、
   第１結合点（５３８；８２０）で第１ループ包含区間（８１４）と結合する、第２ループ包含区間（８１２）と、第２結合点（５４２；８１６）で第１ループ包含区間（８１４）と結合し、第３結合点（５４０；８１８）で第２ループ包含区間（８１２）と結合する第３ループ包含区間（８１０）とを備え、
   第１ループ包含区間（８１４）が第１蛇行パターン（３０１；８０６）の一部で形成され、第２および第３ループ包含区間（８１２；８１０）が第２蛇行パターン（８０８）の一部で形成され、蛇行パターンが湾曲部材（５３５；５３６）によって結合する複数の部材（５０１；５０４）から成り、第１蛇行パターン（８０６）が第２蛇行パターン（８１２、８１０）よりも幅広い部材を有し、
   第１および第２蛇行パターン（３０１、８０６、８０８）が、ステント（２０８、３００）の縦軸に沿って連続的に交互に反復し、
   第１ループ包含区間または第２および第３ループ包含区間（８１４、８１２、８１０）のいずれかが、部材（５０７、５１６ａ、５２５ａ）の１つが同じループ包含区間中の他の部材の少なくとも１つよりも短い部材（５０４、５０７、５１０、５１３ａ、５１６ａ、５１９ａ、５２２ａ、５２５ａ、５２８ａ）を有して成ることを特徴とするステント。
2. 第１ループ包含区間（８１４）が、相対的に半径方向の支持を可能にするよう構成され、第２および第３ループ包含区間（８１２、８１０）が、相対的に縦方向の可撓性を可能にするよう構成される、請求項１に記載のステント（２０８；３００）。
3. 第１ループ包含区間（８１４）が２つのループ（５５０、５３１）を有する、請求項１または２に記載のステント（２０８；３００）。
4. 第２ループ包含区間（８１２）が２つのループ（５３３、５３４）を有する、請求項１から３のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
5. 第３ループ包含区間（８１０）が２つのループ（５３２、５３３）を有する、請求項１から４のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
6. ステントがステンレス鋼で作製される、請求項１から５のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
7. 第１ループ包含区間（８１４）のループの少なくとも１本の部材（５０７、５１０）が、第１ループ包含区間のループの他の部材（５０１、５０４）より短い、請求項１から６のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
8. 第１および第２結合点（５３８、５４２；８１６、８２０）が周方向に整列する、請求項１から７のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
9. ステント（２０８；３００）の各セル（５００；８０４）が同じ面積を囲む、請求項１から８のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
10. 拡張時にステントの周方向に沿ったセル（５００；８０４；８５２）の長さが、ステントの縦軸に沿ったセルの長さより長くなるようセルが配置される、請求項１から９のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
11. ステント（２０８；３００）がＮｉＴｉで作製される、請求項１から５及び７から１０のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
12. ステント（２０８；３００）のセル（５００；８０４；８５２）が、ステントの縦軸に平行な線を中心に対称である、請求項１から１１のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
13. サイズを大きくした少なくとも１つのセル（８５２）を設けて、側枝内腔へのアクセスを可能にする、請求項１から７のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
14. セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、管の側枝へのアクセスを提供するよう、１本の帯（８５４）にあるセルが残りの帯（８５０）にあるセルより大きい、請求項１から７のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
15. セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルが、残りの帯のセルとは異なる半径方向の力を有するような構成である、請求項１から１４のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
16. セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルが、残りの帯のセルとは異なる縦方向の可撓性を有するような構成である、請求項１から１５のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
17. セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５４）のセルが、ステントを拡張すると、帯がステントの残りの部分の直径とは異なる直径へと拡張するような構成である、請求項１から１６のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。
18. セル（８５２）を複数の帯（８５０、８５４）の中に配置し、少なくとも１本の帯（８５０）のセルの数が別の帯（８５４）のセルの数とは異なる、請求項１から１７のいずれかに記載のステント（２０８；３００）。

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