JP4553541B2 - スチームアイロン - Google Patents
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Description
本発明は、少なくとも一つのスチーム孔を含む電気的に加熱される底と、少なくとも一つのスチーム孔にスチームを給気する制御可能なスチーム発生器と、スチーム発生器を制御する制御手段とを有する電気スチームアイロンに関わる。
【0002】
上記のタイプの電気スチームアイロンは欧州特許出願第0390264号に開示される。
【0003】
衣類にアイロンをかけることに関して、繊維を適当な状態に整え、繊維をリラックス処理し、繊維を固定するといった3つの異なる処理が識別される。適当な状態に整えることは、繊維を弱くするために繊維の温度を上昇させることで行われ、繊維のリラックス処理中、衣類を着ることによって生じる塑性変形から繊維を回復することを促す。スチームの使用は、温度を上昇させる効果的な方法である。更に、特に、綿、リネン、ビスコース、毛に関して幾らかの繊維の弱さも含水量と共に上昇する。適当な状態に整えた後、リラックス処理又は実際にアイロンをかける。リラックス処理中、弱い繊維が底とアイロン板との間で押し付けられる。これは、塑性変形から繊維が回復することを可能にするために十分に長い時間続かなくてはならない。繊維の含水量は、リラックス処理に悪影響を与えるため、綿、リネン、及び、毛の場合にはリラックス処理中あまり速く減少されてはならない。リラックス処理後、状態を整える反対のことが生じる。つまり、繊維の弱さは皺の戻りを防止するために減少される。固定は、繊維を乾燥し、その後に冷ますことが続く。
【0004】
適当な状態に整える間、繊維の温度は、一部スチームの凝縮、及び、一部底による加熱によって約100℃に上昇する。リラックス処理中、温度は、繊維の高温及び高い含水量の両方を維持するために約100℃で保たれなくてはならず、繊維の高速回復を提供する。リラックス処理後、繊維は、乾燥され、これは100℃より上への繊維の温度の上昇の後に正しい固定を確実にするために冷ますことによって示される。この冷ましはアイロンをかける板の上で部分的に行われ、次の布のために布をきれいにするよう板から布を取り去った後に部分的に行われる。
【0005】
従来のスチームアイロンでは、スチーム速度は設定され、アイロンは繊維上で前後に動かされる。前方向の行程では、多くの場合では繊維を100℃まで加熱させるにはスチーム量が不十分であり、スチーム孔を通過した後繊維は底によって100℃に近い高温まで更に加熱される。後方向の行程では、スチームの発生が続くが繊維は既に100℃に到達し水をあまり吸収しない。繊維に影響を及ぼさないが、前方向の行程中により高い温度でより弱い繊維を得るために繊維を温めより集中的に繊維を湿らすために使用され得るスチームは無駄にされる。未使用のスチームは繊維を通してアイロンをかける板に、繊維上及び繊維中に所望の凝縮を有すること無く周囲の空気に吹き付けられる。従って、大量の熱及び水が無駄になる。
【0006】
上述の欧州特許出願第0390264号記載のスチームアイロンでは、無駄なスチームが、スチーム発生器によって発生されるスチーム量を時間の関数として制御することで減少される。スチーム発生器は、圧力タンクとして設計され、アイロンをかけるサイクルの始めに解放されるスチームのバッファストックが中に形成されるスチームチャンバを含む。発生されるスチーム量は高い値から始まりその値から略線形に低い値まで減少する。スチーム発生は、特にスチームバッファチャンバのために設けられる追加の加熱素子の出力電力を調整することで制御される。更に、底の加熱素子の必要な電力を測定することによって、上記公知のスチームアイロンにおけるスチーム発生を繊維を加熱するために要求される熱量に適合することが更に公知である。このような測定は、しかしながら、不正確であり時間が掛かる。
【0007】
EP−A−0390264に開示されたアイロンと比較して改善されたスチーム発生を有する電気スチームアイロンがUS−A−5642579に開示される。US−A−5642579によると、スチームアイロンは、アイロンをかけられるべき繊維の温度を検知する繊維温度センサと、発生されるスチーム量を制御するために繊維温度センサからの信号に応答する制御手段とを有する。従って、スチーム発生は繊維の温度によって制御され、これは、約100℃又はそれよりも少し低い温度の所定の繊維の温度が達成されたときスチームが停止されるようにして行われる。冷めた繊維は、自動的にスチーム発生をトリガし、スチーム発生は繊維が所定の繊維の温度に到達したとき自動的に遮断される。
【0008】
本発明によると、スチーム発生は加熱された圧力タンク中のバッファストックに依存しない。更に、スチーム発生はアイロンをかけられる繊維の温度でなく底の温度に基づく。より特定的には、本発明によると、各底の温度値又は値の範囲は、第1の時間間隔中に略一定のピークスチーム速度を有し、第2の時間間隔中に略一定の低いピークのスチーム速度を有する特定のスチーム発生パターンに対応する。
【0009】
本発明は、少なくとも一つのスチーム孔を有する、電気的に加熱された底と、少なくとも一つのスチーム孔にスチームを供給する制御可能なスチーム発生器と、スチーム発生器を制御する制御手段とを有する改善された電気スチームアイロンを提供し、スチームアイロンは底の温度を感知し、且つ、使用中、制御手段に温度依存信号を供給する温度センサ手段を更に有し、制御手段は、略一定のピークスチーム速度でスチームが供給される第1の所定の持続時間の少なくとも第1のフェーズ、及び、略一定のより低いスチーム速度でスチームが供給される少なくとも第2のフェーズを有する所定のスチームパターンに従ってスチーム発生器を活性化するために配置され、少なくともスチームのピークスチーム速度は底の温度に依存する。
【0010】
本発明は、図面を参照してより詳細に説明する。
【0011】
図1は、底の温度に依存してスチームが発生する、本発明を具体化するスチームアイロンを示す。スチームアイロンは、電気加熱素子4によって加熱される従来の底2を有する。底2の温度は、従来のサーモスタット(図示せず)及び従来のスチームアイロンの技術から公知のように温度ダイアル5を用いて所望の温度で維持される。しかしながら、底2の温度を制御するために代替の他の公知の手段、例えば、トライアックを有する完全に電子的な制御、底の温度を測定する温度センサ、及び、底の所望の温度を変える調節可能な基準が使用され得る。スチームは、水用タンク8、水供給手段、本例ではポンプ10、及び、スチームチャンバ12を有するスチーム発生器6によって発生される。水ポンプ10は、水用タンク8からスチームチャンバ12まで電気制御装置16からのポンプ信号PSの命令下でホース14を介して水をポンピングする。スチームチャンバ12は、底によって加熱されるが、補助の加熱素子が設けられてもよい。図1は、例によって、補助の加熱素子18を示し、この加熱素子は従来のサーモスタット(図示せず)又は電子的或いは同様の制御装置によって制御されてもよい。スチームチャンバ12からのスチームは、スチームチャンバ又はスチームダクト22に接続されるスチーム孔20に到達する。底温度センサ24は、好適な場所で底2の中に埋め込まれ、本実施例ではスチーム孔20によって囲まれる。温度センサ24は、底の温度を制御するために底の温度をモニタする幾つかのアイロンで使用されるセンサと同じセンサでもよく、又は、別の温度センサでもよい。温度センサ24は、アイロンをかける間、底の温度を感知し制御装置16に底温度信号SPTSを送り、この信号は、底の実際の温度を示す。温度センサ24は、適切な大きさの正の温度係数(PTC)又は負の温度係数(NTC)を有する抵抗器でもよい。熱電対又は接触の無い赤外線センサも使用され得る。
【0012】
加熱素子4、加熱素子18(ある場合)、水ポンプ10、及び制御装置16のような全ての電気部分は、適切なAC又はDC供給電圧を図示しない従来の方法で受ける。
【0013】
図1に示すスチームアイロンは、更にセレクタスイッチ又はボタン26を有し、このセレクタスイッチを用いてユーザはドライアイロン又はアクティブスチームアイロンを選択してもよい。本実施例は、アイロンのハンドル30中に又は上にハンドセンサ28も有する。ハンドセンサは、例えば、切換装置、又は光電池、タッチ制御装置或いは漏れ電流スイッチでもよい。適切なハンドセンサは、容量性センサである。しかしながら、アイロン中の任意の場所に位置する動き検出器もハンドセンサとして使用されてもよい。
【0014】
セレクタスイッチ26及びハンドセンサ28は両方とも制御装置16に信号を供給する。上記信号は、例えば、AND装置(図示せず)によって受信されてもよく、このAND装置の出力信号は制御装置に対する許可信号であり、この信号無しでは活性化するポンプ信号PSが供給されない。好ましい実施例では、所定のスチームパターンは、選択的に、アイロンを横におくことで先行するアイロンをかけるサイクルが終了した後新しいアイロンをかけるサイクルの始めに自動的に始められるか、あるいは、ユーザが制御ボタン又は同様のものを作動した後に始められるかのいずれかである。自動(スマートスチーム)動作又はユーザによって始められる動作の選択に対して、好適な選択手段が設けられてもよい。上記選択手段は上述のセレクタスイッチと組合わされ得、又は、別個の手段でもよい。
【0015】
制御装置は、制御ソフトウェアで好適にプログラムされたマイクロコンピュータを有してもよく、又は、専用の電子回路でもよい。
【0016】
図3にプログラム可能な制御装置のためのプログラムの例を表示するフローチャートを示す。フローチャートの要素は以下の書き込みを有する。
【0017】
【表1】
制御装置は、上述の通り必要な許可信号を受信した後、図3中の段階40から始まる。
【0018】
使用中、制御装置は、底温度信号SPTSを受信し、最初にこの信号を所定の最小温度Tmin、例えば、110℃、に対応する所定の値と比較する。これは、図3中段階41によって表わされる。
【0019】
底の温度が所定の温度よりも低い場合、段階42に示すように不活性化信号がポンプに送られる。底の温度が所定の温度よりも高い場合、実際の温度値が決定され段階43において記憶される。段階44において、ユーザの手がアイロンの上にあるか否かが確認される。手がない場合、プログラムは段階41に戻る。ユーザの手によりハンドセンサが活性化された場合、好適な上記パターンが段階45においてマイクロコンピュータのメモリに記憶されるルックアップテーブル(LUT)から引き出される。選択的に、LUTはチップに組み込まれてもよい。専用のハードウェア回路では、このようなルックアップテーブルは例えば、幾つかの比較器又は、実際の底の温度を表示する2進値或いは実際の底の温度を含むある範囲と比較される幾つかの2進値によって表示されてもよい。
【0020】
好適なスチームパターンを見つけた後、対応するポンプ信号が発生されポンプが段階46において相応じて活性化される。
【0021】
本発明によると、好適なスチームパターンは、所定の持続時間の第1のフェーズを有し、このフェーズ中略一定のピークスチーム速度でスチームが発生される。第1のフェーズは、第2のフェーズに直ぐに後続され、この第2のフェーズ中スチームは略一定だが、より低いスチーム速度で発生される。
【0022】
ルックアップテーブルの例を以下に示す。
【0023】
【表2】
図2は、本発明によるスチームパターンの2つの例を概略的に示す。図2のグラフの左側では、底の温度は220℃である。
【0024】
これは、結果として、T1秒の間毎分60gのピークスチーム発生を有するスチームパターンをもたらす。T1は、例えば、6秒でもよい。その後、スチーム発生は、所定の持続時間を有しても有さなくてもよい第2の時間間隔中に毎分35gといったより低い値に減少される。
【0025】
図2の右側は、160℃の底の温度に関わり、これは結果としてT1’秒中に毎分40gのピークスチーム発生、続いて、毎分20gの減少されたスチーム発生をもたらす。
【0026】
全ての新しいアイロンをかけるサイクル中の最初のピークスチーム発生フェーズは、繊維が>100℃まで加熱され、水分吸収量が減少する前に大量の水分(凝縮されたスチーム)で繊維を湿らす機能を担う。
【0027】
最初のピークスチーム発生は、アイロンによって吸収される電力と通じて底を加熱することで持続され得る平均的なスチーム発生よりもはるかに高い。底のサーマル容量により、スチーム中に底の温度がある程度まで減少してもこのような最初の高いピークスチームを発生することが可能であり、サーマル容量はアイロンをかけるサイクル中底の熱を保つことを可能にする。従って、ピークスチーム発生の最大値、並びに、T1の最大値は、底のサーマル容量に依存する。従って、底のサーマル容量が6秒間毎分60gの最大スチームピーク速度を可能にする場合、4.5秒間にわたって毎分80g、又は、3秒間にわたって毎分120gのスチームピーク速度を選択することも可能である。一般に、T1maxによって乗算される最大スチームピーク速度SPRmaxは、超えられ得ない最大値を提供する。当然のことながら、より低い値も可能である。6秒間にわたって毎分60gスチームする代わりに、6秒間にわたって毎分40g、又は、2秒間にわたって120g等でもよい。従って、複数のLUT又は、ユーザによって選択されるべきセクションが複数あるLUTが使用されてもよい。
【0028】
スチームピークは、より低いスチーム速度が普及している第2のフェーズによって続かれる。より低いスチーム速度は、底を加熱するために使用され、且つ、繊維並びにスチームの発生によって底から熱を取り去るために使用される電気エネルギーに対応する平均的なスチーム速度でもよい。スチームの平均的な値は望まれる限り維持され得るが、より低いスチーム速度も可能である。所望の量のスチームを得るために、水用タンク8からスチームチャンバ12まで要求される量の水をポンピングするためにポンプが適切な電気ポンプ信号、例えば、パルス信号によって制御され得る。
【0029】
好ましい実施例では、最初のスチーム速度は、底の温度、底のサーマル容量、及び、ピークスチーム時間T1によって可能にされる最大ピークスチーム速度であり、第2のフェーズにおけるより低いスチーム速度も可能な限り高く、アイロンをかけるサイクルが続く限り維持される。
【0030】
上記ルックアップテーブルの例において、ピークスチーム速度は底の温度が低下すると減少する一方で、ピークスチーム速度が発生される時間間隔は一定に保たれる。上記説明から明らかなように、より短い時間間隔が使用される場合所与の底の温度に対してより高いピークスチーム速度を選択することが可能である。従って、T1が6秒でなく4.5秒である場合、底の温度を160乃至190℃の範囲内にして毎分60gのスチームを発生することが可能となる。
【0031】
第2のフェーズ中のスチーム速度は可能な限り最大の平均的なスチーム速度以下でなくてはならない。例として提供されるルックアップテーブルにおいて示す4つの段階よりも少ない段階の数を使用することが可能となる。単一の平均的なスチーム速度だけを使用することさえも可能となり、このスチーム速度は最低の底の温度の範囲においてでも持続され得るような速度である。
【0032】
しかしながら、前述の通り、最大限の量のスチームが一般的に望ましい。
【0033】
本発明の上記説明の後、様々な変更態様は当業者に明らかであることに注意する。例えば、一つ以上のセクションを有するルックアップテーブルが使用されてもよく、使用されるべきセクションはアイロンがかけられるべき繊維のタイプ、例えば、厚い、普通、薄い繊維に依存する。この効果に対してユーザによって作動可能な設定がアイロンにおいて利用できる。選択的に、第1の、可能性として、第2のフェーズの持続時間は繊維のタイプに依存して変えられてもよい。
【0034】
更に、電子的制御手段の代わりに、少なくとも一つのバイメタル素子を含む少なくとも部分的に機械的な制御手段が使用され得る。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による電気スチームアイロンの例を概略的に示す図である。
【図2】 本発明による電気スチームアイロンにおいて使用する2つのスチーム/時間パターンを例によってグラフで示す図である。
【図3】 本発明による電気スチームアイロンのための制御プログラムの例のフローチャートである。
Claims (8)
- 少なくとも一つのスチーム孔を有する電気的に加熱される底と、上記少なくとも一つのスチーム孔にスチームを給気する制御可能なスチーム発生器と、上記スチーム発生器を制御する制御手段とを有する電気スチームアイロンであって、
上記底の温度を感知し、動作中、上記制御手段に温度依存信号を供給する温度センサ手段を有し、
上記制御手段は、スチームが略一定のピークスチーム速度で給気される第1の所定の持続時間の第1のフェーズ、及び、スチームが略一定のより低いスチーム速度で給気される第2のフェーズを少なくとも有する所定のスチームパターンに従って上記スチーム発生器を活性化するよう適合され、
少なくとも上記ピークスチーム速度は上記底の上記温度に依存するスチームアイロン。 - 上記より低いスチーム速度は上記底の温度に依存する請求項1記載の電気スチームアイロン。
- 上記より低いスチーム速度は上記底を加熱するために利用できる電力によって持続され得るスチーム速度に略等しい請求項2記載の電気スチームアイロン。
- 上記制御手段は、上記温度センサからの上記温度依存信号に依存してスチームパターンを選択するためにルックアップテーブルを用いるプログラム可能なマイクロコンピュータを含む請求項1、2、又は3記載の電気スチームアイロン。
- 動作中、上記制御手段に入力信号を供給するスチームオン/オフスイッチを有する請求項1、2、3、又は4記載の電気スチームアイロン。
- 上記制御手段に入力信号を供給する、手の有無用センサを有する、請求項1、2、3、4、又は5記載の電気スチームアイロン。
- 繊維のタイプを選択し、上記制御手段に入力信号を供給する設定手段を有する請求項1、2、3、又は4記載の電気スチームアイロン。
- 複数のルックアップテーブルを有し、該複数のルックアップテーブルの各々は、前記ユーザによって選択可能である1つ又はそれ以上のセクションを有する、請求項4記載の電気スチームアイロン。
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