JP4438231B2 - 燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、燃料電池は発電効率が高く、有害物質を排出しないので、産業用、家庭用の発電装置として、又は人工衛星や宇宙船などの動力源として実用化されてきたが、近年は、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源としての開発が進んでいる。
【0003】
そして、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウインドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えていて、また、走行パターンが多様であり、動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、前記燃料電池を車両用の動力源として使用する場合には、バッテリ(蓄電池又は二次電池)を併用したハイブリッドとすることが一般的である。
【0004】
図2は従来の燃料電池装置を示す図である。
【0005】
図において、101は燃料電池であり、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)が一般的である。
【0006】
また、102は充電によって放電を繰り返すことができるバッテリであり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が一般的である。
【0007】
さらに、103はインバータ(INV)であり、前記燃料電池101又はバッテリ102からの直流電流を交流電流に変換して、車両の車輪を回転させる駆動源である図示されない交流モータに供給する。なお、前記駆動源が直流モータである場合は、前記燃料電池101又はバッテリ102からの直流電流は、前記インバータ103を介さずに駆動源に直接供給される。
【0008】
そして、前記構成の燃料電池装置においては、前記燃料電池101及びバッテリ102が並列に接続されて、前記インバータ103に電流を供給するようになっているので、例えば、車両の停止時に前記燃料電池101が停止した場合、また、坂道等の高負荷運転時に前記燃料電池101からの電流だけでは要求電流に満たない場合等には、前記バッテリ102からインバータ103に電流が自動的に供給される。
【0009】
また、前記駆動源である交流モータが、車両の減速運転時には発電器として機能して、いわゆる回生電流を発生する場合には、前記車両の減速運転時に回生電流がバッテリ102に供給され、該バッテリ102が再充電される。さらに、前記回生電流が供給されない場合であっても、前記バッテリ102が放電して端子電圧が低下すると、前記燃料電池101が発生する電流が自動的に前記バッテリ102に供給される。
【0010】
このように、前記燃料電池装置においては、前記バッテリ102が常時充電され、前記燃料電池101からの電流だけでは要求電流に満たない場合等には、前記バッテリ102からインバータ103に電流が自動的に供給されるようになっているので、車両は各種の走行モードにおいて、安定して走行することができる。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記従来の燃料電池装置においては、燃料電池101及びバッテリ102が並列に接続されているだけであり、前記燃料電池101及びバッテリ102に流れる電流の分配状態が何ら制御されていないので、前記燃料電池101及びバッテリ102の電流−電圧特性によってそれぞれに流れる電流量が決まってしまう。
【0012】
このため、前記バッテリ102から常時電流が流れるので、前記バッテリ102の容量を増大させる必要があるが、一般的に、バッテリは大きく、重く、かつ、高価であり、前記バッテリ102の容量を増大させると、前記車両の体積、重量が増し、コストも高くなってしまう。
【0013】
また、前記燃料電池101及びバッテリ102のそれぞれの端子電圧を、両者間の電圧差が小さくなるように設定すると、前記バッテリ102が放電して端子電圧が低下した時であっても、前記燃料電池101からの電流が前記バッテリ102に流れにくく、該バッテリ102の充電に時間がかかってしまう。逆に、前記電圧差が大きくなるように設定すると、大電流が前記燃料電池101からバッテリ102に流れるので、該バッテリ102が過充電されることによって破壊されてしまう。
【0014】
さらに、通常、バッテリの電圧−電流特性は残存容量によって変動するので、前記燃料電池101及びバッテリ102の出力配分を所定の状態に維持し、本来の電流−電圧特性又は電力特性を発揮させることが困難である。そのため、坂道等の高負荷運転時のように前記燃料電池101からの電流だけでは要求電流に満たない場合であっても、前記バッテリ102からインバータ103に電流が供給されずに車両の走行が制限されてしまったり、また、前記バッテリ102の残存容量が少なくなっても、前記燃料電池101から電流が供給されずに前記バッテリ102が上がったりしてしまう。
【0015】
これら従来の燃料電池装置の問題点を解決するために、本願発明の発明者は、既に、負荷と燃料電池とを直接接続するとともに、該燃料電池と並列に蓄電手段を含む蓄電手段回路を接続し、前記蓄電手段は、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合に、前記負荷に電流を供給するとともに、前記負荷において発生した回生電力及び前記燃料電池の出力する電流により充電される燃料電池装置、燃料電池と、該燃料電池の出力端子に接続された負荷と、該負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置において、前記蓄電手段回路は、蓄電手段と、該蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路と、前記燃料電池の出力する電流を前記蓄電手段に供給して該蓄電手段を充電する充電回路と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧回路と前記充電回路とを選択的に作動させる燃料電池装置、両端子が負荷に接続された燃料電池と、昇圧回路、充電回路及び蓄電手段を含み、前記燃料電池に並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置の前記蓄電手段へ充電される電流及び前記蓄電手段から前記負荷へ供給される電流を制御する燃料電池装置の制御方法等を提案している(特願2000−362597号)。
【0016】
そして、本願発明の発明者が提案したこれらの燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法によって、従来の燃料電池装置の問題点が解決されて、燃料電池及びバッテリに流れる電流の分配状態を適切に制御して、バッテリの容量を増大させることなく、適切にバッテリを充電することができ、また、燃料電池及びバッテリの出力配分を所定の状態に維持することができる。
【0017】
しかしながら、本願発明の発明者が提案した前記燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法は、水素ガス等の燃料が燃料電池に安定した量で供給され、燃料電池からの電流が安定して出力されることを前提条件とするものである。仮に、供給される燃料の量が、燃料電池が要求される電流を出力するために必要な燃料の量よりも少なくなると、燃料電池を構成する部材中のカーボン等が反応を起こしてしまい、最悪の場合、燃料電池自体が焼損してしまう。一方、供給される燃料の圧力が高すぎると、燃料電池を構成する部材が破損する恐れがある。
【0018】
本発明は、前記の問題点を解決して、本願発明の発明者が既に提案した燃料電池装置において、燃料電池に供給される燃料の量が適切になるように制御して、燃料電池自体が損傷することなく、かつ、燃料電池からの電流が安定して出力される燃料電池装置及び燃料電池装置の制御方法を提供することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
そのために、本発明の燃料電池装置においては、負荷と燃料電池とを直接接続するとともに、前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含む蓄電手段回路を、前記負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続し、前記蓄電手段回路は、前記蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路を含み、前記蓄電手段は、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には前記昇圧回路によって出力電圧が前記燃料電池よりも高くなるように昇圧されて前記負荷に電流を供給するとともに、前記負荷において発生した回生電力及び前記燃料電池の出力する電流により充電され、前記燃料電池は、燃料貯蔵手段からの燃料が管路を通って一定の圧力で供給される。
【0020】
本発明の他の燃料電池装置においては、燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料電池の出力端子に直接接続された負荷と、該負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置において、前記燃料供給装置は、燃料貯蔵手段と、前記燃料電池に接続された管路と、該管路に配設された弁手段とを備え、前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、前記蓄電手段回路は、前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段と、該蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路と、前記燃料電池の出力する電流を前記蓄電手段に供給して該蓄電手段を充電する充電回路と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧回路と前記充電回路とを選択的に作動させ、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給する。
【0021】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、負荷に直接接続された燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含み、前記燃料電池と前記負荷に対して並列に接続された蓄電手段回路と、該蓄電手段回路からの電流が前記燃料電池に供給されないように配設されたダイオード素子とを備える燃料電池装置において、前記燃料供給装置は、燃料貯蔵手段と、前記燃料電池に接続された管路と、該管路に配設された弁手段とを備え、前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、前記蓄電手段回路は、互いに直列に接続された充電用スイッチング素子及び昇圧用スイッチング素子と、該昇圧用スイッチング素子に対して、リアクトルを介して並列に接続された蓄電手段と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧用スイッチング素子と前記充電用スイッチング素子とを選択的に作動させ、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給する。
【0022】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記負荷は、車両を駆動する駆動モータの駆動制御装置である。
【0023】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記燃料の圧力は、前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように供給される。
【0024】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路は燃料供給管路と燃料排出管路とを備え、前記燃料供給管路には燃料供給電磁弁が配設され、前記燃料排出管路には燃料排出電磁弁が配設され、前記燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する。
【0025】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路には燃料圧力調整弁が配設され、該燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する。
【0026】
本発明の更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路には圧力センサが配設され、該圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する。
【0027】
本発明の燃料電池装置の制御方法においては、両端子が負荷に直接接続された燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、昇圧回路、充電回路、及び、前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含む蓄電手段回路であって、前記負荷に対して前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置の前記蓄電手段へ充電される電流及び前記蓄電手段から前記負荷へ供給される電流を制御し、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給するとともに、前記燃料電池に一定の圧力で供給されるように燃料の流れを制御する。
【0028】
本発明の他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記燃料の圧力が前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように制御する。
【0029】
本発明の更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記燃料電池に接続された管路に配設された燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する。
【0030】
本発明の更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記管路に配設された燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する。
【0031】
本発明の更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記管路に配設された圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する。
【0032】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
【0033】
図1は本発明の第1の実施の形態における燃料電池装置の概念図、図3は本発明の第1の実施の形態における燃料電池に燃料及び酸化剤を供給する装置を示す図、図4は本発明の第1の実施の形態においてバッテリと電気二重層コンデンサとを組み合わせ蓄電手段として使用する1例を示す図である。
【0034】
図1において、10は燃料電池(FC)回路であり、乗用車、バス、トラック等の車両用の動力源として使用される。ここで、前記車両は、照明装置、ラジオ、パワーウインドウ等の車両の停車中にも使用される電気を消費する補機類を多数備えていて、また、走行パターンが多様であり、動力源に要求される出力範囲が極めて広いので、動力源として燃料電池11と蓄電手段としてのバッテリ12とを併用して使用する。
【0035】
そして、燃料電池11は、アルカリ水溶液型(AFC)、リン酸型(PAFC)、溶融炭酸塩型(MCFC)、固体酸化物型(SOFC)、直接型メタノール(DMFC)等のものであってもよいが、固体高分子型燃料電池(PEMFC)であることが望ましい。
【0036】
なお、更に望ましくは、水素ガスを燃料とし、酸素又は空気を酸化剤とするPEMFC(proton exchange membrance fuel cell)型燃料電池、又はPEM(proton exchange membrance)型燃料電池と呼ばれるものである。ここで、該PEM型燃料電池は、一般的に、プロトン等のイオンを透過する高分子膜の両側に触媒、電極及びセパレータを結合したセル(fuel cell)を複数直列に結合したスタック(stack)から成る(特開平11−317236号公報参照)。
【0037】
例えば、本実施の形態においては、1例として、PEM型燃料電池であり、400枚のセルを直列に接続したスタックを使用する。この場合、総電極面積は300〔cm 2〕であり、開放端子電圧は約350〔V〕、出力は約50〔kW〕である。そして、定常動作時の温度は50〜90〔℃〕程度である。
【0038】
なお、燃料である水素ガスは、図示されない改質装置によってメタノール、ガソリン等を改質して取り出した水素ガスを燃料電池11に直接供給することもできるが、車両の高負荷運転時にも安定して十分な量の水素を供給することができるようにするためには、水素吸蔵合金、水素ガスボンベ等の貯蔵手段31に貯蔵した水素ガスを供給することが望ましい。これにより、水素ガスがほぼ一定の圧力で常に十分に供給されるので、前記燃料電池11は車両の負荷の変動に遅れることなく追随して、必要な電流を供給することができる。
【0039】
この場合、前記燃料電池11の出力インピーダンスは極めて低く、0に近似することが可能である。
【0040】
図3には、本実施の形態において燃料電池11に燃料としての水素ガス及び酸化剤としての空気を供給する装置が示される。水素ガスは、水素吸蔵合金、水素ガスボンベ等の燃料貯蔵手段31から、燃料供給管路33を通って、燃料電池11に供給される。そして、前記燃料供給管路33には、燃料圧力調整弁26及び燃料供給電磁弁27が配設される。なお、前記燃料貯蔵手段31は、十分に大きな容量を有し、常に、十分に高い圧力の水素ガスを供給できる能力を有するものである。
【0041】
ここで、前記燃料圧力調整弁26は、バタフライバルブ、レギュレータバルブ、ダイヤフラム式バルブ、マスフローコントローラ、シーケンスバルブ等のものであるが、前記燃料圧力調整弁26の出口から排出する水素ガスの圧力をあらかじめ設定した圧力に調整することができるものであれば、いかなる種類のものであってもよい。なお、前記圧力の調整は、手動によってなされてもよいが、電気モータ、パルスモータ、電磁石等のアクチュエータによってなされることが望ましい。また、前記燃料供給電磁弁27はいわゆるオン−オフ式のものであって、電気モータ、パルスモータ、電磁石等からなるアクチュエータによって、作動させられる。
【0042】
そして、燃料電池11から排出される水素ガスは、燃料排出管路34を通って大気中へ排出される。なお、前記水素ガスを大気中へ排出せずに回収して、前記燃料貯蔵手段31に戻すようにしてもよい。また、前記燃料排出管路34には、燃料排出電磁弁28が配設される。該燃料排出電磁弁28は基本的に前記燃料供給電磁弁27と同様の構成を有する。
【0043】
一方、酸化剤としての空気は、空気供給ファン、空気ボンベ、空気タンク等の酸化剤供給源32から、酸化剤供給管路35を通って、燃料電池11に供給される。なお、酸化剤として、空気に代えて酸素を使用することもできる。そして、燃料電池11から排出される空気は、酸化剤排出管路36を通って大気中へ排出される。なお、前記酸化剤供給管路35にも酸化剤排出管路36にも弁手段は配設されないが、前記酸化剤供給管路35に前記燃料電池11の固体電解質膜に水分を供給するための水噴射ノズルが配設されてもよく、また、前記酸化剤排出管路36に燃料電池11から排出される空気に含まれる水分を凝縮して除去するための凝縮器が配設されてもよい(特開平11−317236号公報参照)。
【0044】
また、図1において、12は充電によって放電を繰り返すことができる蓄電手段としての2次電池、すなわち、バッテリ(蓄電池)であり、鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が一般的であるが、電気自動車等に使用される高性能鉛蓄電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等が望ましい。
【0045】
本実施の形態においては、1例として、高性能鉛蓄電池を使用する。この場合、開放端子電圧は約210〔V〕であり、約10〔kW〕の電流を5〜20分程度供給することができる程度の容量を有する。
【0046】
なお、前記蓄電手段は、必ずしもバッテリでなくてもよく、電気二重層コンデンサのようなコンデンサ(キャパシタ)、フライホイール、超伝導コイル、蓄圧器等等のように、エネルギーを電気的に蓄積し放出する機能を有するものであれば、いかなる形態のものであってもよい。さらに、これらの中のいずれかを単独で使用してもよいし、複数のものを組み合わせて使用してもよい。
【0047】
例えば、特許第2753907号公報に記載されているように、バッテリと電気二重層コンデンサとを組み合わせて、前記蓄電手段として使用することもできる。この場合、図4に示されるように、蓄電手段12’においては、バッテリBtはコンデンサC2と直列に接続されている。そして、前記バッテリBtの正の端子は前記コンデンサC2の負の端子に接続されるとともに、トランジスタTr1のコレクタ電極とトランジスタTr2のエミッタ電極に接続される。
【0048】
また、前記トランジスタTr1のエミッタ電極とトランジスタTr2のコレクタ電極は前記コンデンサC2の正の端子及びトランジスタTr3のコレクタ電極に接続される。なお、該トランジスタTr3のエミッタ−コレクタ電極間には、ダイオードD1が接続される。
【0049】
さらに、前記トランジスタTr3のエミッタ電極にはコンデンサC1の正の端子が接続される。このように、該コンデンサC1は、前記トランジスタTr1〜Tr3及びダイオードD1を介して、前記バッテリBtに並列に接続される。
【0050】
ここで、前記バッテリBtは前記バッテリ12と同様のものであり、前記コンデンサC1及びC2は電気二重層コンデンサのように単位体積当たりの容量が大きく、低抵抗で出力密度が高い大容量のものであることが望ましい。なお、前記コンデンサC1及びC2の容量は占有する体積とのバランスを考慮して適宜決定することができるが、例えば、9〔F〕以上であることが望ましい。
【0051】
また、前記コンデンサC1及びC2は、それぞれ、複数のコンデンサを直列に接続したものであってもよい。この場合、それぞれのコンデンサの耐圧を低く設定することができる。
【0052】
そして、前記蓄電手段12’の正の端子には前記コンデンサC2の正の端子と前記トランジスタTr3のコレクタ電極とが接続されており、前記蓄電手段12’の負の端子には前記バッテリBtの負の電極と前記コンデンサC1の負の電極とが接続されている。
【0053】
このような構成の蓄電手段12’においては、トランジスタTr1〜Tr3をスイッチングすることによって、バッテリBt並びにコンデンサC1及びC2からの出力電流を制御するとともに、バッテリBt並びにコンデンサC1及びC2への充電電流も制御するようになっている。
【0054】
次に、図1において、13は負荷としての駆動制御装置であるインバータであり、前記燃料電池11又はバッテリ12からの直流電流を交流電流に変換して、車両の車輪を回転させる駆動モータとしてのモータ14に供給する。ここで、該モータ14は発電機としても機能するものであり、車両の減速運転時には、いわゆる回生電流を発生する。この場合、前記モータ14は車輪によって回転させられて発電するので、前記車輪にブレーキをかける、すなわち、車両の制動装置(ブレーキ)として機能する。そして、後述されるように、前記回生電流がバッテリ12に供給されて該バッテリ12が充電される。
【0055】
また、15はバッテリ充電制御回路であり、充電用スイッチング素子としての高速スイッチング素子であるIGBT(絶縁ゲート・バイポーラ・トランジスタ)15aとサイリスタ15bとの並列回路である。ここで、前記IGBT15aは200〔A〕程度の電流を許容するものである。
【0056】
一方、16は昇圧制御回路としてのバッテリ放電制御回路であり、前記バッテリ充電制御回路と同様に、昇圧用スイッチング素子としてのIGBT16aとサイリスタ16bの並列回路である。ここで、前記IGBT16aは200〔A〕程度の電流を許容するものである。
【0057】
そして、17は200〔A〕程度の電流を許容するリアクトルであり、前記バッテリ放電制御回路16と共に昇圧回路を構成し、前記バッテリ12の出力電圧を昇圧する。
【0058】
ここで、前記バッテリ放電制御回路16におけるIGBT16aは所定周期(例えば、20〔kHz〕程度)のスイッチング信号によってオン−オフされる。前記IGBT16aをオンにした時には、前記バッテリ12から出力された直流電流がリアクトル17に流れてエネルギーが蓄積され、前記IGBT16aをオフにした時には、前記リアクトル17に蓄積されたエネルギーに応じた電圧が、前記バッテリ12の出力電圧に加算されて昇圧される。なお、昇圧された前記バッテリ12の出力電圧は前記スイッチング信号によって適宜調節することができるが、おおよそ前記燃料電池11の出力電圧よりわずかに高い程度に調節される。
【0059】
また、前記バッテリ放電制御回路16におけるサイリスタ16bは、前記IGBT16aをオフにした時に該IGBT16aのエミッタとコレクタとの間に発生する逆起電力によって、該エミッタとコレクタとの間の絶縁が破壊されることを防止する。
【0060】
そして、18は回路を流れる電流値を測定する電流センサであり、19は、負荷又は2次電池からの電流が燃料電池に供給されないように配設されたダイオード素子としてのサイリスタである。
【0061】
また、20はハイブリッド回路電子制御ユニットであり、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、前記燃料電池回路10における電流値、電圧値等を測定するとともに、前記バッテリ充電制御回路15及びバッテリ放電制御回路16の動作を制御する。さらに、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、車両における他のセンサ、及び後述される車両用電子制御ユニット21、燃料電池電子制御ユニット22、イグニッション制御装置24等の他の制御装置と通信可能に接続され、他のセンサ及び他の制御装置と連携して前記燃料電池回路10の動作を統括的に制御する。
【0062】
なお、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は独立に存在するものであってもよく、例えば、車両用電子制御ユニット21等の他の制御装置の一部として存在するものであってもよい。
【0063】
ここで、例えば、本実施の形態においては、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、2つの電流センサ18との入出力インターフェイス、電圧計測用の2つの入出力インターフェイス、バッテリ充電制御回路15用の入出力インターフェイス、バッテリ放電制御回路16用の入出力インターフェイス、車両用電子制御ユニット21用の入出力インターフェイス、燃料電池電子制御ユニット22用の入出力インターフェイス、及びイグニッション制御装置24用の入出力インターフェイスを備える。また、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、電源としての電源バッテリ23に接続される電源インターフェイスも備える。
【0064】
次に、車両用電子制御ユニット21は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、車速、気温、アクセル開度等を検出して変速機、制動装置等を含む車両全般の動作を統括的に制御する。なお、前記アクセル開度は、一般的な車両においてはアクセルペダル(スロットルペダル)の踏み込み度合いによって検出されるが、車両の出力や速度を制御する手段として、アクセルペダルに代えて回転式のアクセルグリップ、ジョイスティック、バーハンドル、回転ダイアル等のアクセルコントローラが使用されている場合には、これらアクセルコントローラの移動の度合いによって検出される。
【0065】
また、燃料電池電子制御ユニット22は、CPU、MPU等の演算手段、半導体メモリ等の記憶手段、入出力インターフェイス等を備え、燃料電池11に供給される水素、酸素、空気等の流量、温度、出力電圧等を検出して、前記酸化剤供給源32、燃料圧力調整弁26、燃料供給電磁弁27及び燃料排出電磁弁28の動作を制御する。さらに、前記燃料電池電子制御ユニット22は、他のセンサ及び他の制御装置と連携して、図3に示される燃料電池11に燃料及び酸化剤を供給する装置の動作を統括的に制御する。
【0066】
そして、前記電源バッテリ23は、充電によって放電を繰り返すことができる鉛蓄電池、ニッケルカドミウム電池、ニッケル水素電池、リチウムイオン電池、ナトリウム硫黄電池等のバッテリから成り、12〔V〕の直流電流を前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20に供給する。なお、前記電源バッテリ23は、車両のラジオ、パワーウインドウ等の補機類にも電源として直流電流を供給してもよい。
【0067】
また、前記イグニッション制御装置24は燃料電池回路を起動させるための装置であり、車両の運転者がスイッチをオンにすると、その信号を前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20やその他の装置に伝達する。
【0068】
次に、前記構成の燃料電池装置の動作について説明する。
【0069】
図5は本発明の実施の形態における燃料電池及びバッテリの特性を示す図である。なお、図5において、横軸に電流Iを、縦軸に電圧V及び電力kWを採ってある。
【0070】
図5において、41は燃料電池11(図1)の電圧−電流特性を示す曲線である。前記燃料電池11の電圧−電流特性を示す曲線41は、通常のPEM型燃料電池の場合と同様に、全体として電流の増大と共に電圧が低下していく右下がり曲線である。そして、電流値Aまでは傾斜が緩やかであるが、前記電流値Aに対応する点Bを変曲点として傾斜が急になる。なお、これに対応する前記燃料電池11の電力特性は曲線45で示される。
【0071】
このことから、前記燃料電池11は、電流値Aの近傍までの範囲で使用するのが効率的であることが分かる。なお、前述されたように、前記燃料電池11は出力インピーダンスがほぼ0の電源である。
【0072】
一方、バッテリ12の電圧−電流特性を示す曲線43は、通常のバッテリの場合と同様に、全体として電流の増大と共に電圧が低下していく右下がりの直線状であり、電流値Aを超えても何ら変化しない。しかも、その傾斜角度は電流値Aまでの前記曲線41の傾斜角度とほぼ等しい。
【0073】
したがって、インバータ13を介してモータ14に供給すべき電流、すなわち、要求電流の値が電流値Aまでの範囲においては、前記燃料電池11だけから電流を供給し、要求電流の値が電流値Aの近傍以上の範囲においては、前記燃料電池11からの電流に加えて、前記バッテリ12からも電流を供給するようにすればよいことが分かる。そして、前記バッテリ12の開放端子電圧は、要求電流の値が電流値Aに対応する前記曲線41上の点Bにおける前記燃料電池11の端子電圧とほぼ等しいことから、要求電流の値が電流値Aの近傍までの範囲においては、前記バッテリ12から電流が供給されることはない。
【0074】
ただし、前記バッテリ12の出力電圧を昇圧回路によって前記燃料電池11の端子電圧にまで昇圧すると、前記バッテリ12からも積極的に電流が供給される。
【0075】
そして、要求電流の値が電流値Aに対応する前記曲線41上の点Bにおける前記燃料電池11の端子電圧が、前記バッテリ12の開放電圧とほぼ等しいことから、電流値Aをわずかに超えた範囲ではバッテリ12からも電流が供給される。しかし、前記バッテリ12からも電流が供給されると、該バッテリ12の電圧−電流特性を示す曲線43から分かるように、前記バッテリ12の端子電圧が低下していくことから、その電流値がさほど上昇することはない。
【0076】
しかし、昇圧回路によって前記バッテリ12の出力電圧を前記燃料電池11の端子電圧にまで昇圧させて、前記燃料電池11及びバッテリ12からの電流を併せた場合には、電圧−電流特性を示す曲線42なり、全体として電流が増大すると共に電圧が低下していく右下がりの直線状となる。そして、これに対応する電力特性は曲線44で示される。
【0077】
ここで、例えば、インバータ13を介してモータ14に供給すべき電力、すなわち、要求電力がCであるとすると、電力特性を示す曲線44上の点Dに対応する。そして、該点Dに対応する電圧−電流特性を示す曲線42上の点はEであり、これに対応する電流値はFであることが分かる。したがって、この場合には、前記燃料電池11は電流値Aの電流を供給し、前記バッテリ12は電流値(F−A)の電流を供給すればよいことが分かる。
【0078】
本実施の形態においては、ハイブリッド回路電子制御ユニット20の記憶手段には、図5に示されるような燃料電池11及びバッテリ12の特性があらかじめ格納されている。そして、車両用電子制御ユニット21から送信された車両の車速、アクセル開度等の信号に基づいて、モータ14に供給すべき要求電力が演算手段によって算出され、該要求電力に対応する要求電流の値が、図5に示されるような燃料電池11及びバッテリ12の特性に基づいて見い出される。
【0079】
一方、車両の走行モードが判定され、該走行モードに基づいて回生電流の発生を予測し、該回生電流をバッテリ12に充電することができるように、前記燃料電池11及びバッテリ12からの出力電流を制御するような場合にも、図5に示されるような燃料電池11及びバッテリ12の特性に基づいて出力電流を制御する。
【0080】
そこで、ここでは、図5に示されるような燃料電池11及びバッテリ12の特性に基づいた燃料電池回路10の基本的な動作について説明する。
【0081】
まず、要求電流の値が図5における電流値A以下の場合であり、前記燃料電池11だけから電流を供給する場合には、前記バッテリ充電制御回路15及びバッテリ放電制御回路16におけるIGBT15a、16aをオフの状態とする。
【0082】
この場合、前記燃料電池11には燃料である水素ガス及び酸化剤である空気が常に十分に供給されるようになっているので、要求電流の値が変動しても、前記燃料電池11からは要求電流の値に応じた値の電流が自動的に供給される。したがって、前記燃料電池11の出力電流を要求電流の値の変動に応じて制御する必要がない。なお、前記燃料電池11から供給される電流の値は、電流センサ18によって測定され、電流値A以下であるか否かを前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって、常時検出される。また、電圧についても前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって常時検出される。
【0083】
次に、要求電流の値、又は前記電流センサ18によって測定された電流の値が前記電流値A以上となった場合、例えば、図5における電流値Fとなった場合に、前記バッテリ放電制御回路16におけるIGBT16aをオフの状態のままとすると、前述されたように、前記バッテリ12からの電流値はあまり上昇することはない。
【0084】
ここで、前記バッテリ12からも積極的に電流を供給しようとするためには、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は前記バッテリ放電制御回路16におけるIGBT16aを所定周期(例えば、20〔kHz〕程度)のスイッチング信号によってオン−オフする。前記IGBT16aをオンにした時には、前記バッテリ12から出力された直流電流がリアクトル17に流れてエネルギーが蓄積され、前記IGBT16aをオフにした時には、前記リアクトル17に蓄積されたエネルギーに応じた電圧が、前記バッテリ12の出力電圧に加算され、その合計が前記燃料電池11の出力電圧とほぼ等しくなる。これは、図5における曲線43上の点Gが、上方にシフトされて曲線42上の点Eに移動したことに対応する。
【0085】
そして、該点Eに対応する電圧値であり、電流値(F−A)である電流が前記バッテリ12からインバータ13を介してモータ14に供給される。なお、前記バッテリ12から供給される電流の値は、電流センサ18によって測定され、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によってチェックされる。
【0086】
次に、前記バッテリ12のSOC(state of charge:残存容量)が低下したことから、前記バッテリ12を充電する場合の燃料電池回路10の基本的な動作について説明する。
【0087】
まず、車両の減速運転時に前記モータ14が発電機として機能し、交流の回生電流を発生し、続いて、該交流の回生電流は前記インバータ13によって直流の回生電流に変換される。この時、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、前記バッテリ充電制御回路15におけるIGBT15aをスイッチング信号によってオンにする。したがって、前記直流の回生電流は前記IGBT15aを通って前記バッテリ12に供給されるので、該バッテリ12は充電される。
【0088】
なお、前記回生電流の値は、電流センサ18によって測定され、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって常時チェックされる。また、電圧についても前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって常時チェックされる。そして、前記バッテリ12のSOCが十分に上昇した場合、前記IGBT15aはオフにされる。また、前記回生電流の値が過大である場合は、前記IGBT15aを所定周期のスイッチング信号によってオン−オフして、前記IGBT15aを流れる電流の値を制御する。
【0089】
したがって、前記バッテリ12のSOCが十分に高い場合に充電したり、大電流を前記バッテリ12に供給したりすることがないので、該バッテリ12が過充電されることによって破壊されてしまうことがない。
【0090】
また、前記バッテリ12のSOCが低下して充電が必要な場合であり、前記回生電流が発生しない場合には、前記燃料電池11から電流を供給してバッテリ12を充電する。この場合、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、前記バッテリ充電制御回路15におけるIGBT15aをスイッチング信号によってオンにするので、直流の回生電流は前記IGBT15aを通ってバッテリ12に供給される。したがって、該バッテリ12は充電される。
【0091】
なお、前記燃料電池11からの電流の値及び前記バッテリ12に供給される電流の値は、電流センサ18によって測定され、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって常時チェックされる。また、電圧についても前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20によって常時チェックされる。そして、前記バッテリ12のSOCが十分に上昇した場合、前記燃料電池11から供給される電流の値が前記電流値Aとなった場合、及び前記インバータ13を介してモータ14に供給される要求電流の値が大きい場合には、前記IGBT15aはオフにされる。また、前記バッテリ12に供給される電流の値が過大である場合は、前記IGBT15aを所定周期のスイッチング信号によってオン−オフして、前記IGBT15aを流れる電流の値を制御する。
【0092】
したがって、前記バッテリ12のSOCが十分に高い場合に充電したり、大電流を前記バッテリ12に供給したりすることがないので、該バッテリ12が過充電されることによって破壊されてしまうことがない。また、前記燃料電池11に過大な負荷をかけることも、前記要求電流に対応することができなくなってしまうこともない。
【0093】
次に、図3に示される燃料電池11に燃料としての水素ガス及び酸化剤としての空気を供給する装置の動作について説明する。
【0094】
まず、燃料電池11の出力が最大となる場合に、どの程度の圧力で水素ガスを燃料電池11に供給すればよいのかを決定する。この場合、供給される水素ガスの量が、燃料電池11の出力が最大となるために必要な水素ガスの量よりも少なくなると、燃料電池11を構成する部材中のカーボン等が反応を起こしてしまい燃料電池11自体が焼損してしてしまう。そのため、前記部材中のカーボン等が反応を起こすことがない程度に十分な量の水素ガスを燃料電池11に供給する必要がある。そして、各種実験の結果、本実施の形態におけるような燃料電池11の場合、該燃料電池11の図示されない燃料極(水素極)の複数の溝内に供給される水素ガスの圧力を0.5[kgf/cm2 ]以上となるように保持していれば、部材中のカーボン等が反応を起こすことがない程度に十分な量の水素ガスがに供給されていることが明らかとなっている。
【0095】
そこで、本実施の形態においては、燃料電池11の出力が最大となる場合に、前記燃料極の複数の溝内に供給される水素ガスの圧力が0.5[kgf/cm2 ]以上となるような量の水素ガスを燃料電池11に供給した時に燃料供給管路33内を流通する水素ガスの圧力を、あらかじめ実験、シュミレーション等に基づいて設定しておく。そして、燃料貯蔵手段31から燃料供給管路33内を通って流れる水素ガスの燃料圧力調整弁26の出口における圧力が、前記設定された圧力となるように、前記燃料圧力調整弁26は設定される。なお、前記燃料極の複数の溝内に供給される水素ガスの圧力が高過ぎる場合には、電解質膜等に損傷を与える恐れがあるので、前記設定された圧力は高くなり過ぎないように設定されることが望ましい。
【0096】
本実施の形態においては、燃料圧力調整弁26の出口から流出する水素ガスの圧力をあらかじめ設定した一定の圧力に調整した後、前記燃料圧力調整弁26は車両の運転中は調整されることがなく、そのままの状態が保持される。
【0097】
また、酸化剤供給源32は常に一定の量の空気を燃料電池11の空気極に供給するように作動する。この場合、供給される空気の量は、燃料電池11の出力が最大となるために必要な空気の量よりも十分に多い量である。
【0098】
次に、燃料電池11を起動させる場合、まず、燃料排出電磁弁28をオンして流路を開き、燃料電池11内に残留する水素ガス又は進入した空気等が燃料排出管路34を通って排出されるようにする。続いて、燃料供給電磁弁27をオンして燃料貯蔵手段31からの水素ガスが燃料供給管路33を通って燃料電池11に供給されるようにする。この時、燃料排出電磁弁28がオンとなって流路が開いているので、前記燃料極の複数の溝内の圧力が衝撃的に上昇することがなく、電解質膜等に損傷を与える恐れがない。また、燃料電池11内に残留する水素ガス又は進入した空気等が供給された水素ガスによってパージされる(特開平11−317236号公報参照)。
【0099】
その後、燃料電池11が定常運転になると、燃料排出電磁弁28は間欠的にオン−オフを繰り返す。例えば、2秒間オンした後58秒間オフするというサイクルを繰り返す。一方、燃料供給電磁弁27はオンの状態を維持する。
【0100】
このように、本実施の形態においては、燃料電池11に供給される水素ガスの圧力が、燃料電池11の出力が最大となるために必要な水素ガスの量に対応する圧力に設定される。したがって、燃料電池11に供給される水素ガスの量が適切になるように制御することができ、燃料電池11自体が損傷することなく、かつ、燃料電池11からの電流が安定して出力される。
【0101】
また、水素ガスの量を燃料供給電磁弁27及び燃料排出電磁弁28をオン−オフするだけで制御するので、燃料電池装置の構成が簡素化でき、コストを低くすることができる。
【0102】
次に、本発明の第2の実施の形態について説明する。なお、前記第1の実施の形態と同じ構造を有するもの及び同じ動作については、その説明を省略する。
【0103】
図6は本発明の第2の実施の形態における燃料電池に水素ガスを供給する装置の動作を示すフローチャートである。
【0104】
本実施の形態が前記第1の実施の形態と相違する点は、燃料電池11に水素ガスを供給する装置の動作だけである。まず、車両用電子制御ユニット21は、運転者が踏み込んだ車両のアクセルの開度、すなわち、アクセル開度、及び、車両速度を検出して、ハイブリッド回路電子制御ユニット20に送信する。すると、該ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、前記アクセル開度及び車両速度に基づいて、モータ14の発生すべき出力、すなわち、車両要求出力を算出(ステップS1)する。
【0105】
次に、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20は、前記車両要求出力に対応する電力、すなわち、要求電力を算出し、該要求電力を出力する場合に最適な燃料電池11の出力、すなわち燃料電池要求出力、及びバッテリ12の出力を算出(ステップS2)して、前記燃料電池要求出力を燃料電池電子制御ユニット22に送信する。
【0106】
次に、該燃料電池電子制御ユニット22は、燃料電池要求出力−水素ガス消費量マップに基づいて、前記燃料電池要求出力に対応する、燃料電池11が消費する水素ガスの量、すなわち、水素ガス消費量を算出(ステップS3)する。なお、前記燃料電池要求出力−水素ガス消費量マップは、燃料電池11を使用した実験、シュミレーション等によってあらかじめ作成され、前記燃料電池電子制御ユニット22の記憶手段に格納されている。
【0107】
次に、前記燃料電池電子制御ユニット22は、前記水素ガス消費量に基づいて、燃料供給管路33を通って燃料電池11に供給される水素ガスの量、すなわち、水素流量を算出する。続いて、水素流量−水素圧力マップに基づいて、前記水素流量に対応する水素ガスの圧力、すなわち、水素圧力を算出(ステップS4)する。なお、前記水素流量−水素圧力マップは、図3に示される燃料電池11に燃料としての水素ガス及び酸化剤としての空気を供給する装置に基づいて、実験、シュミレーション等によってあらかじめ作成され、前記燃料電池電子制御ユニット22の記憶手段に格納(ステップS8)されている。
【0108】
次に、前記燃料電池電子制御ユニット22は、水素圧力−燃料圧力調整弁指令値マップに基づいて、前記水素圧力に対応する燃料圧力調整弁指令値を算出(ステップS5)する。なお、前記水素圧力−燃料圧力調整弁指令値マップは、図3に示される燃料電池11に燃料としての水素ガス及び酸化剤としての空気を供給する装置に基づいて、実験、シュミレーション等によってあらかじめ作成され、前記燃料電池電子制御ユニット22の記憶手段に格納(ステップS9)されている。
【0109】
次に、前記燃料電池電子制御ユニット22は、前記燃料圧力調整弁指令値を燃料圧力調整弁26に送信(ステップS6)して、該燃料圧力調整弁26の出口から流出する水素ガスの圧力が前記水素圧力となるようにアクチュエータを作動させる。最後に、前記燃料電池電子制御ユニット22は、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20に出力許可信号を送信(ステップS7)する。
【0110】
なお、本実施の形態において、燃料貯蔵手段31は、前記第1の実施の形態と同様に、十分に大きな容量を有し、常に、十分に高い圧力の水素ガスを供給することができる能力を有するものであるので、実質的に、出力許可信号が送信されないことがない。また、燃料供給電磁弁27及び燃料排出電磁弁28は水素ガスの圧力の調整のために使用されることがなく、前記燃料供給電磁弁27は燃料電池11の運転中はオンの状態を維持する。
【0111】
このように、本実施の形態においては、車両の運転者が踏み込んだ車両のアクセルの開度及び車両速度に対応した圧力の水素ガスを燃料電池11に供給するようになっている。
【0112】
したがって、燃料電池11には、常に必要かつ十分な量の水素ガスが供給されるので、燃料電池11自体が損傷することなく、かつ、燃料電池11からの電流が安定して出力されるだけでなく、燃料電池11の燃費を向上させることができるので、燃料電池装置全体の経済性が向上する。
【0113】
次に、本発明の第3の実施の形態について説明する。なお、前記第1及び第2の実施の形態と同じ構造を有するもの及び同じ動作については、その説明を省略する。
【0114】
図7は本発明の第3の実施の形態における燃料電池に燃料及び酸化剤を供給する装置を示す図、図8は本発明の第3の実施の形態における燃料電池に水素ガスを供給する装置の動作を示すフローチャートである。
【0115】
本実施の形態が前記第1及び第2の実施の形態と相違する点は、燃料電池11に水素ガスを供給する装置における燃料供給管路33に圧力センサ29が配設される点及び前記燃料電池11に水素ガスを供給する装置の動作だけである。そして、前記圧力センサ29は、燃料電池電子制御ユニット22に通信可能に接続され、前記燃料供給管路33内を流れる水素ガスの圧力検出信号を前記燃料電池電子制御ユニット22に送信する。なお、前記圧力センサ29は、燃料電池11の内部、燃料排出管路34等に配設されるようにしてもよい。
【0116】
ここで、本実施の形態における燃料電池11に水素ガスを供給する装置の動作を説明するが、水素流量−水素圧力マップに基づいて、水素流量に対応する水素圧力を算出(ステップS4)するまでの動作、すなわち、ステップS1〜S4及びS8の動作は、前記第2の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
【0117】
次に、燃料電池電子制御ユニット22は、圧力センサ29から送信された圧力検出信号に基づいて、燃料供給管路33内を流れる水素ガスの圧力(動圧)、すなわち、検出圧力を算出(ステップS11)する。続いて、ステップS4で算出した水素圧力とステップS11で算出した検出圧力とを比較して、前記水素圧力と検出圧力の差分に基づいた燃料圧力調整弁指令値を燃料圧力調整弁26に送信(ステップS12)して、該燃料圧力調整弁26の出口から流出する水素ガスの圧力が前記水素圧力となるようにアクチュエータを作動させる。
【0118】
最後に、前記燃料電池電子制御ユニット22は、前記第2の実施の形態と同様に、前記ハイブリッド回路電子制御ユニット20に出力許可信号を送信(ステップS7)する。
【0119】
このように、本実施の形態においては、圧力センサ29を使用して燃料電池11に供給される水素ガスの圧力を検出し、該圧力が車両の運転者が踏み込んだ車両のアクセルの開度及び車両速度に対応した圧力となるように燃料圧力調整弁26を調整するようになっている。
【0120】
したがって、燃料電池11に供給される水素ガスの圧力制御の精度が向上し、燃料電池11には、常に適切な圧力の水素ガスが供給される。
【0121】
次に、本発明の第4の実施の形態について説明する。なお、前記第1〜3の実施の形態と同じ構造を有するもの及び同じ動作については、その説明を省略する。
【0122】
図9は本発明の第4の実施の形態における燃料圧力調整弁の制御を示すフローチャートである。
【0123】
本実施の形態が前記第3の実施の形態と相違する点は、燃料圧力調整弁26の制御だけである。
【0124】
ここで、本実施の形態における燃料圧力調整弁26の制御動作を説明するが、圧力センサ29から送信された圧力検出信号に基づいて、燃料供給管路33内を流れる水素ガスの圧力、すなわち、検出圧力を算出(ステップS11)するまでの動作は、前記第3の実施の形態と同じであるので、説明を省略する。
【0125】
次に、燃料電池電子制御ユニット22は、前記第3の実施の形態におけるステップS4で算出した水素圧力とステップS11で算出した検出圧力とを比較して、前記水素圧力が検出圧力よりも大であるか否かを検討(ステップS15)する。そして、大である場合は、続いて、検出圧力が水素圧力よりも大であるか否かを検討(ステップS16)する。
【0126】
ここで、ステップS15において、水素圧力が検出圧力よりも大でない場合は、燃料圧力調整弁26をオフにして水素ガスの流路を閉鎖する指令を燃料圧力調整弁26に送信(ステップS17)して、制御を終了する。また、ステップS16において、検出圧力が水素圧力よりも大でない場合は、燃料圧力調整弁26をオンにして水素ガスの流路を開放する指令を燃料圧力調整弁26に送信(ステップS18)して、制御を終了する。さらに、ステップS16において、検出圧力が水素圧力よりも大である場合は、そのまま制御を終了する。
【0127】
このように、本実施の形態においては、燃料圧力調整弁26をオン−オフすることによって燃料電池11に供給される水素ガスの圧力を調整するようになっている。
【0128】
したがって、燃料圧力調整弁26のアクチュエータの動作制御が簡素化されるので、水素ガスの圧力制御が容易になり、また、燃料圧力調整弁26の構造をシンプルにすることができる。
【0129】
なお、本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨に基づいて種々変形させることが可能であり、それらを本発明の範囲から排除するものではない。
【0130】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明によれば、燃料電池装置においては、負荷と燃料電池とを直接接続するとともに、該燃料電池と並列に蓄電手段を含む蓄電手段回路を接続し、前記蓄電手段は、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合に、前記負荷に電流を供給するとともに、前記負荷において発生した回生電力及び前記燃料電池の出力する電流により充電され、前記燃料電池は、燃料貯蔵手段からの燃料が管路を通って一定の圧力で供給される。
【0131】
この場合、負荷の要求する要求電流が、燃料電池の最大供給電流値を超えている場合であっても、蓄電手段から不足分の電流が供給される。また、回生電流等によって蓄電手段も適切に充電されるので、蓄電手段が上がることもない。
【0132】
さらに、燃料電池に供給される燃料の圧力が適切になり、燃料電池自体が損傷することなく、かつ、燃料電池からの電流が安定して出力される。
【0133】
他の燃料電池装置においては、燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料電池の出力端子に接続された負荷と、該負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置において、前記燃料供給装置は、燃料貯蔵手段と、前記燃料電池に接続された管路と、該管路に配設された弁手段とを備え、前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、前記蓄電手段回路は、蓄電手段と、該蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路と、前記燃料電池の出力する電流を前記蓄電手段に供給して該蓄電手段を充電する充電回路と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧回路と前記充電回路とを選択的に作動させる。
【0134】
この場合、簡単な回路構成でありながら、蓄電手段のSOCを適切に制御することができるので、回生電流を無駄にすることなく可能な限り利用することができ、燃料電池の燃料を節約することができる。しかも、蓄電手段の容量を必要以上に大きくする必要がない。また、燃料電池及び蓄電手段から要求電流に対応する電流が適切に供給される。さらに、回生電流等によって蓄電手段が適切に充電されるので、蓄電手段が上がってしまうことがない。さらに、燃料電池に供給される燃料の圧力が適切になり、燃料電池自体が損傷することなく、かつ、燃料電池からの電流が安定して出力される。
【0135】
更に他の燃料電池装置においては、負荷に接続された燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、前記燃料電池と前記負荷に対して並列に接続された蓄電手段回路と、該蓄電手段回路からの電流が前記燃料電池に供給されないように配設されたダイオード素子とを備える燃料電池装置において、前記燃料供給装置は、燃料貯蔵手段と、前記燃料電池に接続された管路と、該管路に配設された弁手段とを備え、前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、前記蓄電手段回路は、互いに直列に接続された充電用スイッチング素子及び昇圧用スイッチング素子と、該昇圧用スイッチング素子に対して、リアクトルを介して並列に接続された蓄電手段と、車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧回路と前記充電回路とを選択的に作動させる。
【0136】
この場合、簡単な回路構成でありながら、蓄電手段のSOCを適切に制御することができるので、回生電流を無駄にすることなく可能な限り利用することができ、燃料電池の燃料を節約することができる。しかも、蓄電手段の出力電圧を適切に昇圧できるので、要求電流に対応する電流が蓄電手段から適切に供給される。また、回生電流等によって蓄電手段が適切に充電されるので、蓄電手段が上がってしまうことがない。さらに、燃料電池に供給される燃料の圧力が適切になり、燃料電池自体が損傷することなく、かつ、燃料電池からの電流が安定して出力される。
【0137】
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記負荷は、車両を駆動する駆動モータの駆動制御装置である。
【0138】
この場合、簡単な回路構成でありながら、燃料電池及び蓄電手段から要求電流に対応する電流が適切に供給されるので、車両の走行に支障を与えることがない。
【0139】
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記燃料の圧力は、前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように供給される。
【0140】
この場合、燃料電池の燃料極が損傷することがない。
【0141】
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路は燃料供給管路と燃料排出管路とを備え、前記燃料供給管路には燃料供給電磁弁が配設され、前記燃料排出管路には燃料排出電磁弁が配設され、前記燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する。
【0142】
この場合、装置の構成が簡素化でき、コストを低くすることができる。
【0143】
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路には燃料圧力調整弁が配設され、該燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する。
【0144】
この場合、燃料電池に供給される燃料の圧力制御の精度が向上し、燃料電池の燃費を向上させることができるので、燃料電池装置全体の経済性が向上する。
【0145】
更に他の燃料電池装置においては、さらに、前記管路には圧力センサが配設され、該圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する。
【0146】
この場合、燃料電池に供給される燃料の圧力制御の精度が向上し、燃料電池には、常に適切な圧力の燃料が供給される。
【0147】
本発明によれば、燃料電池装置の制御方法においては、両端子が負荷に接続された燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、昇圧回路、充電回路及び蓄電手段を含み、前記燃料電池に並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置の前記蓄電手段へ充電される電流及び前記蓄電手段から前記負荷へ供給される電流を制御するとともに前記燃料電池に一定の圧力で供給されるように燃料の流れを制御する。
【0148】
この場合、負荷の要求する要求電流が、燃料電池の最大供給電流値を超えている場合であっても、蓄電手段から不足分の電流が供給されるので、車両の走行に支障を与えることがない。また、蓄電手段も適切に充電されるので、蓄電手段が上がってしまうこともない。さらに、燃料電池に供給される燃料の圧力が適切になり、燃料電池自体が損傷することなく、かつ、燃料電池からの電流が安定して出力される。
【0149】
他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記燃料の圧力が前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように制御する。
【0150】
この場合、燃料電池の燃料極が損傷することがない。
【0151】
更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記燃料電池に接続された管路に配設された燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する。
【0152】
この場合、装置の構成が簡素化でき、コストを低くすることができる。
【0153】
更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記管路に配設された燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する。
【0154】
この場合、燃料電池に供給される燃料の圧力制御の精度が向上し、燃料電池の燃費を向上させることができるので、燃料電池装置全体の経済性が向上する。
【0155】
更に他の燃料電池装置の制御方法においては、さらに、前記管路に配設された圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する。
【0156】
この場合、燃料電池に供給される燃料の圧力制御の精度が向上し、燃料電池には、常に適切な圧力の燃料が供給される。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態における燃料電池装置の概念図である。
【図2】従来の燃料電池装置を示す図である。
【図3】本発明の第1の実施の形態における燃料電池に燃料及び酸化剤を供給する装置を示す図である。
【図4】本発明の第1の実施の形態においてバッテリと電気二重層コンデンサとを組み合わせ蓄電手段として使用する1例を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態における燃料電池及びバッテリの特性を示す図である。
【図6】本発明の第2の実施の形態における燃料電池に水素ガスを供給する装置の動作を示すフローチャートである。
【図7】本発明の第3の実施の形態における燃料電池に燃料及び酸化剤を供給する装置を示す図である。
【図8】本発明の第3の実施の形態における燃料電池に水素ガスを供給する装置の動作を示すフローチャートである。
【図9】本発明の第4の実施の形態における燃料圧力調整弁の制御を示すフローチャートである。
【符号の説明】
11 燃料電池
12’ 蓄電手段
17 リアクトル
31 燃料貯蔵手段
33 燃料供給管路
34 燃料排出管路
26 燃料圧力調整弁
27 燃料供給電磁弁
28 燃料排出電磁弁
29 圧力センサ
Claims (13)
- 負荷と燃料電池とを直接接続するとともに、
前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含む蓄電手段回路を、前記負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続し、
前記蓄電手段回路は、前記蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路を含み、
前記蓄電手段は、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には前記昇圧回路によって出力電圧が前記燃料電池よりも高くなるように昇圧されて前記負荷に電流を供給するとともに、前記負荷において発生した回生電力及び前記燃料電池の出力する電流により充電され、
前記燃料電池は、燃料貯蔵手段からの燃料が管路を通って一定の圧力で供給されることを特徴とする燃料電池装置。 - 燃料電池と、
該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料電池の出力端子に直接接続された負荷と、
該負荷に対して、前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置において、
前記燃料供給装置は、
燃料貯蔵手段と、
前記燃料電池に接続された管路と、
該管路に配設された弁手段とを備え、
前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、
前記蓄電手段回路は、
前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段と、
該蓄電手段の出力電圧を昇圧して前記負荷に電流を供給する昇圧回路と、
前記燃料電池の出力する電流を前記蓄電手段に供給して該蓄電手段を充電する充電回路と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、
該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧回路と前記充電回路とを選択的に作動させ、
前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給することを特徴とする燃料電池装置。 - 負荷に直接接続された燃料電池と、
該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、
前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含み、前記燃料電池と前記負荷に対して並列に接続された蓄電手段回路と、
該蓄電手段回路からの電流が前記燃料電池に供給されないように配設されたダイオード素子とを備える燃料電池装置において、
前記燃料供給装置は、
燃料貯蔵手段と、
前記燃料電池に接続された管路と、
該管路に配設された弁手段とを備え、
前記燃料電池に供給される燃料の圧力が一定となるように前記弁手段を作動させ、
前記蓄電手段回路は、
互いに直列に接続された充電用スイッチング素子及び昇圧用スイッチング素子と、
該昇圧用スイッチング素子に対して、リアクトルを介して並列に接続された蓄電手段と、
車両の走行状態を検出する走行状態検出手段とを備え、
該走行状態検出手段により検出された前記車両の走行状態に応じて、前記昇圧用スイッチング素子と前記充電用スイッチング素子とを選択的に作動させ、
前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給することを特徴とする燃料電池装置。 - 前記負荷は、車両を駆動する駆動モータの駆動制御装置である請求項1〜3のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 前記燃料の圧力は、前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように供給される請求項1〜4のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 前記管路は燃料供給管路と燃料排出管路とを備え、前記燃料供給管路には燃料供給電磁弁が配設され、前記燃料排出管路には燃料排出電磁弁が配設され、前記燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 前記管路には燃料圧力調整弁が配設され、該燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する請求項1〜5のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 前記管路には圧力センサが配設され、該圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する請求項1〜7のいずれか1項に記載の燃料電池装置。
- 両端子が負荷に直接接続された燃料電池と、該燃料電池に燃料を供給する燃料供給装置と、昇圧回路、充電回路、及び、前記燃料電池よりも出力電圧が低い蓄電手段を含む蓄電手段回路であって、前記負荷に対して前記燃料電池と並列に接続された蓄電手段回路とを備える燃料電池装置の前記蓄電手段へ充電される電流及び前記蓄電手段から前記負荷へ供給される電流を制御し、前記燃料電池の供給する電流が前記負荷の要求する電流よりも小さい場合には、前記昇圧回路が前記蓄電手段の出力電圧を前記燃料電池よりも高くなるように昇圧し、前記蓄電手段から前記負荷に電流を供給するとともに、前記燃料電池に一定の圧力で供給されるように燃料の流れを制御することを特徴とする燃料電池装置の制御方法。
- 前記燃料の圧力が前記燃料電池の燃料極の溝内において一定となるように制御する請求項9に記載の燃料電池装置の制御方法。
- 前記燃料電池に接続された管路に配設された燃料供給電磁弁及び燃料排出電磁弁をオン−オフさせることによって、燃料の圧力を調整する請求項9又は10に記載の燃料電池装置の制御方法。
- 前記管路に配設された燃料圧力調整弁を作動させることによって、燃料の圧力を調整する請求項9又は10に記載の燃料電池装置の制御方法。
- 前記管路に配設された圧力センサからの信号に基づいて、燃料の圧力を調整する請求項9〜12のいずれか1項に記載の燃料電池装置の制御方法。
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