JP4433836B2 - 有機物除去方法 - Google Patents
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Description
しかし、パターニングを行った後には、レジスト層は不要となり、不要になったレジスト層を金属層から除去・洗浄することが必要となる。
レジスト層を金属層から除去する方法としては、レジスト層に薬液を接触させることによって、レジスト層を分解・除去する方法が一般的である。
ところが、これらの薬液を用いた場合、金属層に付着するレジスト層の大部分は除去されるものの、硬くこびりついたレジスト材料や、薬液との反応によって変質したレジスト材料は、レジスト残渣として金属層上に残存することが多い。
しかしながら、アッシャー装置による処理やUV照射を行う場合、薬液の処理槽とは別に、これらドライ工程を行うための装置が必要となることから、設備が大がかりになり、また、設備にかかるコストも大きなものとなる。
本発明の有機物除去方法は、表面がAuで構成された金属層の表面に付着する有機物を、前記金属層から除去する有機物除去方法であって、
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させる第1の工程と、
前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させる第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、金属層に付着する有機物を、簡易な方法で確実に除去することができる。
また、これにより、金属層の表面を効率よくエッチングすることができ、有機物の残渣が残存した場合でも、これをより確実に除去することができる。
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させて、前記有機物を分解・除去する第1の工程と、
前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させて、前記金属層の表面をエッチングし、前記第1の工程の後に前記金属層に残存する前記有機物の残渣を除去する第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、金属層に付着する有機物を、簡易な方法で確実に除去することができる。
また、これにより、金属層の表面を効率よくエッチングすることができ、有機物の残渣が残存した場合でも、これをより確実に除去することができる。
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させる第1の工程と、
前記第1の工程に続けて行う工程として、前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させて、前記金属層の表面をエッチングし、前記有機物を除去する第2の工程とを有することを特徴とする。
これにより、金属層に付着する有機物を、簡易な方法で確実に除去することができる。
また、これにより、金属層の表面を効率よくエッチングすることができ、有機物の残渣が残存した場合でも、これをより確実に除去することができる。
本発明の有機物除去方法では、前記第1の工程において、前記第1の溶液中の硫酸の濃度は、85〜96重量%であることが好ましい。
これにより、ほぼ全ての有機物を分解・除去することができる。
本発明の有機物除去方法では、前記第1の工程において、前記第1の溶液の温度は、25〜150℃であることが好ましい。
これにより、有機物の分解・除去を効率的に行うことができる。
これにより、金属層の表面をより効率よくエッチングすることができる。
本発明の有機物除去方法では、前記有機物の分解物は、前記金属層に付着した状態で、前記第2の溶液中に供給されたものを含むことが好ましい。
これにより、有機物除去操作が特に容易となる。
これにより、金属層の表面のエッチング量をより確実に制御することができる。
本発明の有機物除去方法では、前記第2の工程において、前記第2の溶液中の過酸化水素の濃度は、0.1〜10重量%であることが好ましい。
これにより、金属層の表面をより効率よくエッチングすることができる。
本発明の有機物除去方法では、前記第2の工程において、前記第2の溶液の温度は、25〜150℃であることが好ましい。
これにより、金属層の表面をより効率よくエッチングすることができる。
本発明の有機物除去方法では、除去すべき前記有機物は、前記金属層をパターニングする際に用いたレジスト層であることが好ましい。
本発明は、各種の有機物の除去に利用可能であるが、特に、レジスト層の除去に好適に適用される。
図1は、本発明の有機物除去方法を説明するための図(縦断面図)である。なお、以下の説明では、図1中の上側を「上」または「上方」、下側を「下」または「下方」と言う。
基材1としては、特に限定されず、例えばガラス基板や、半導体に用いられるウェハ、音叉、水晶振動子等に用いられる水晶基板等が挙げられる。
金属層2は、Auで構成されている。
なお、金属層2は、少なくとも表面付近がAuで構成されていればよく、すなわち、最表面にAu層を有していればよく、その下層に下地層を有する構成であってもよい。
この金属層2の表面には、有機物3が付着している。有機物3は、本発明の有機物除去方法により除去されるものである。
有機物3としては、特に限定されるもではなく、例えば、金属層2をパターニングする際に用いたレジスト層や、金属層2を形成する際に不純物として付着する有機物等が挙げられる。有機物3がレジスト層である場合、その構成材料としては、例えば、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等が挙げられる。
本実施形態の有機物除去方法では、例えば、図2に示すような処理装置を用いて、[1]硫酸水溶液への浸漬工程と、[2]硫酸過水への浸漬工程と、[3]洗浄水への浸漬工程とが順次行われる。
図2は、処理装置の一例を示す模式図である。
図2に示す処理装置4は、処理室41と、処理室41内に設置された第1の処理槽42、第2の処理槽43および第3の処理槽44を有している。
そして、本実施形態の有機物処理方法では、各処理槽42、43、44に、処理を行う基材1を順次浸漬することにより、金属層2に付着する有機物3を除去する。
[1]硫酸水溶液への浸漬工程(第1の工程)
まず、図1(a)に示すような被処理物、すなわち、有機物3が付着した金属層2を有する基材1を、第1の処理槽42内に貯留された硫酸水溶液45中に浸漬する。これにより、有機物3に硫酸水溶液を接触させる。
ところが、金属層2に堅くこびり付いた有機物3や、有機物3をレジスト層として用いて金属層2(Au)のエッチング加工等を行った場合において、変質(高分子化)したレジスト層(有機物3)等は、図1(b)に示すように、残渣31として金属層2の表面に残存することがある。
また、硫酸水溶液45による処理時間(硫酸水溶液45中への基材1の浸漬時間)は、十分に有機物3が分解・除去される程度であればよく、特に限定されるものではない。この処理時間は、有機物3の種類や量、硫酸水溶液45の条件等に応じて、適宜設定される。
次に、硫酸水溶液45中から取り出した基材1を、第2の処理槽43内に貯留された硫酸過水(硫酸と過酸化水素との水溶液)46中に浸漬する。これにより、金属層2に硫酸過水46を接触させる。
この硫酸過水46が残渣31へ接触することにより、残渣31自体の分解が進行する。
ここで、本明細書中において、「一酸化炭素(CO)が存在する状態での接触」とは、硫酸過水46により金属層2(基材1)を処理する際に、金属層2の表面に硫酸過水46とともに、一酸化炭素を併存させた状態で、硫酸過水46と金属層2とを接触させることを言う。
例えば、本実施形態では、この一酸化炭素は、有機物3の分解物(本工程[2]において生じた残渣31の分解物や、前記工程[1]において生じ、金属層2に付着した有機物3の分解物)が、硫酸過水46中の過酸化水素と反応することにより生成する。
この現象は、前記炭素原子含有物質が硫酸過水中の過酸化水素と反応することにより一酸化炭素が生成し、この一酸化炭素がAuと反応して、金カルボニル錯体([Au(CO)n]+、ただし、n=1または2)を形成することが主な要因となって生じるものと考えられる。これにより、金属層2(Au)の表面が選択的にエッチングされるものと考えられる。
したがって、硫酸過水46中に一酸化炭素(CO)が存在することにより、残渣31自体の分解と、金属層2の表面がエッチングされることとの双方の効果(相乗効果)により、極めて迅速に金属層2から残渣31が除去される。
このような金属層2のエッチング(溶解)量やレート(速度)は、硫酸過水46中の一酸化炭素の量に依存するため、硫酸過水46中には、過酸化水素と反応することにより一酸化炭素を生成(発生)する一酸化炭素発生源や、一酸化炭素自体を別途供給するようにしてもよい。これにより、金属層2のエッチング条件を調整することができる。
硫酸過水46中に、一酸化炭素発生源として、有機物3の分解物を別途供給する場合には、例えば、前記工程[1]終了後の硫酸水溶液45を硫酸過水46中に添加するようにすればよい。
また、一酸化炭素自体を供給する場合や、他の一酸化炭素発生源を硫酸過水46中に添加する場合、これらの添加時期は、硫酸過水46中に基材1を浸漬する前後、または基材1を浸漬するのとほぼ同時のいずれであってもよい。
したがって、本実施形態のように、前記工程[1]において、有機物3の大部分を除去しておくことは特に有効である。これにより、本工程[2]におけるエッチング条件を好適なものに調整することが容易となり、その結果、金属層2の表面の荒れ等を防止しつつ、残渣31を確実に除去することが可能となる。
また、硫酸過水46による処理時間(硫酸過水46中への基材1の浸漬時間)は、硫酸過水46中の硫酸や過酸化水素の濃度や、一酸化炭素の量等によっても若干異なり特に限定されないが、2分以下であるのが好ましく、30〜90秒程度であるのがより好ましい。このような処理時間とすることにより、金属層2の表面が荒れるのをより確実に防止しつつ、残渣31をより確実に除去することができる。
なお、必要に応じて、硫酸過水46中には、例えば、塩化水素、硝酸、蓚酸、クエン酸、マロン酸、リンゴ酸のような他の酸等を添加してもよい。
次に、硫酸過水46中から取り出した基材1を、第3の処理槽44に貯留された洗浄液47中に浸漬する。これにより、金属層2に洗浄液を接触させ、金属層2のエッチングを停止させる。
洗浄液47としては、例えば、純水、超純水、蒸留水、RO水のような各種水等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
また、洗浄液47による処理時間(洗浄液47中への基材1の浸漬時間)は、十分に金属層2から十分に硫酸過水46が除去される程度であればよく、特に限定されるものではない。
なお、本工程[3]は、複数回繰り返し行うようにしてもよい。この場合、用いる洗浄液47は、各回において異なる種類のものとすることもできる。
また、本工程[3]は、必要に応じて、省略することもできる。
また、このような有機物除去方法では、アッシャー処理やUV処理等のドライ工程を有しておらず、全工程をウェット工程で行えるので、装置が簡易であり、また装置を設置するスペースも小さくて済み、さらに処理に要するコストも低く抑えられる。
したがって、かかる方法によれば、両工程を連続して行うことができ、工程間での在庫がなくなり、リードタイムを短縮することが可能である。
例えば、本発明の有機物除去方法は、任意の目的の工程が1または2以上追加されてもよい。
また、前記実施形態では、第1の溶液の有機物への接触、第2の溶液の金属層への接触、洗浄液の金属層への接触を、それぞれ、浸漬による方法(浸漬法)により行う場合を代表にして説明したが、これに限定されず、例えば、シャワー(噴霧)による方法(噴霧法)、塗布による方法(塗布法)等であってもよい。なお、浸漬法によれば、多数の金属層を効率よく処理することができる。
また、前記実施形態では、第1の工程において、有機物の大部分を分解・除去し、第2の工程において、有機物の残渣を除去する場合を一例に説明したが、本発明は、次のような場合に適用することもできる。
すなわち、本発明は、第1の工程において、有機物がほぼ完全に分解・除去された場合、第2の工程において、別途、前述したような一酸化炭素発生源や一酸化炭素を供給することにより、金属層の表面をエッチングして、例えば、金属層の表面粗さを調整したり、金属層の光沢を発現させたり等する場合に適用することもできる。
1.被処理物の準備
図1に示すように、水晶よりなる基材上にAu層(金属層)が形成され、このAu層の表面にレジスト層(有機物)が付着した被処理物を用意した。
この被処理物において、Au層の平均厚さは、500Åとした。また、レジスト層は、紫外線硬化性樹脂(ポジ型)で構成され、その平均厚さは、1μmとした。
2.レジスト層の除去
なお、以下では、特に記載しない限り、水として蒸留水を用いた。
<1> まず、この被処理物を硫酸水溶液(第1の溶液)中に浸漬した。
硫酸水溶液中の硫酸の濃度は、96重量%、硫酸水溶液の温度は、100℃、処理時間は、20分とした。
これにより、レジスト層の大部分が溶解、除去されたが、一部にレジスト層の残渣が残存した。
硫酸過水は、96重量%の硫酸水溶液と30重量%の過酸化水素水溶液とを、重量比で10:1で混合して用いた。
硫酸過水中の硫酸の濃度は、87.3重量%、過酸化水素の濃度は、2.7重量%、硫酸過水の温度は、100℃、処理時間は、90秒とした。
また、硫酸水溶液から被処理物を取り出した後、Au層の表面に残存するレジスト層の残渣の量を測定しておき、硫酸過水100mLに対して、レジスト層の残渣が0.2mgとなるように、硫酸過水の量を設定した。
なお、硫酸過水中の一酸化炭素の量は、1mol/kg以下であった。
これにより、Au層の表面が20Åの厚さで除去され、レジスト層の残渣も除去された。
また、Au層の表面の荒れや、処理前の形状に対する形状の変化も認めなかった。
<3> 次に、この被処理物を硫酸過水中から取り出し、水中に浸漬した。
水の温度は、25℃、処理時間は、5分とした。
これにより、Au層を洗浄した。
前記工程<2>において、処理時間を5分に変更し、それ以外は、前記実施例1と同様にして、レジスト層の除去を行った。
これにより、Au層の表面が100Åの厚さで除去され、レジスト層の残渣も除去された。
また、Au層の表面の荒れや、処理前の形状に対する形状の変化も認めなかった。
前記工程<2>において、硫酸過水100mLに対してレジスト層の残渣および炭素粉末の合計量が0.3mgとなるように、硫酸過水の量を設定し、それ以外は、前記実施例1と同様にして、レジスト層の除去を行った。
なお、硫酸過水中の一酸化炭素の量は、1mol/kg以下であった。
これにより、Au層の表面が30Åの厚さで除去され、レジスト層の残渣も除去された。
また、Au層の表面の荒れや、処理前の形状に対する形状の変化も認めなかった。
前記工程<2>において、硫酸過水100mLに対してレジスト層の残渣およびCOの合計量が0.3mgとなるように、硫酸過水の量を設定し、それ以外は、前記実施例1と同様にして、レジスト層の除去を行った。
なお、硫酸過水中の一酸化炭素の量は、1mol/kg以下であった。
これにより、Au層の表面が25Åの厚さで除去され、レジスト層の残渣も除去された。
また、Au層の表面の荒れや、処理前の形状に対する形状の変化も認めなかった。
前記工程<2>を省略し、また、前記工程<1>における処理時間を40分とし、それ以外は、前記実施例1と同様にして、レジスト層の除去を行った。
比較例1では、処理時間を前記実施例1の2倍にしたにもかかわらず、レジスト層の残渣が残存した。
なお、Au層の表面の荒れや、処理前の形状に対する形状の変化は、認めなかった。
前記工程<1>を省略し、また、前記工程<2>における処理時間を20分とし、それ以外は、前記実施例1と同様にして、レジスト層の除去を行った。
比較例2では、Au層が激しくエッチングされ(200Å以上の厚さで除去され)、Au層の形状が処理前の形状を止めなかった。
Claims (11)
- 表面がAuで構成された金属層の表面に付着する有機物を、前記金属層から除去する有機物除去方法であって、
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させる第1の工程と、
前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させる第2の工程とを有することを特徴とする有機物除去方法。 - 表面がAuで構成された金属層の表面に付着する有機物を、前記金属層から除去する有機物除去方法であって、
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させて、前記有機物を分解・除去する第1の工程と、
前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させて、前記金属層の表面をエッチングし、前記第1の工程の後に前記金属層に残存する前記有機物の残渣を除去する第2の工程とを有することを特徴とする有機物除去方法。 - 表面がAuで構成された金属層の表面に付着する有機物を、前記金属層から除去する有機物除去方法であって、
前記有機物に、硫酸を含有する第1の溶液を接触させる第1の工程と、
前記第1の工程に続けて行う工程として、前記金属層に、硫酸と過酸化水素と一酸化炭素とを含有する第2の溶液を接触させて、前記金属層の表面をエッチングし、前記有機物を除去する第2の工程とを有することを特徴とする有機物除去方法。 - 前記第1の工程において、前記第1の溶液中の硫酸の濃度は、85〜96重量%である請求項1ないし3のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 前記第1の工程において、前記第1の溶液の温度は、25〜150℃である請求項1ないし4のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 前記一酸化炭素は、前記第2の溶液中に供給された前記有機物の分解物が前記過酸化水素と反応することにより生成したもの、前記第2の溶液中に供給された炭素粉末が前記過酸化水素と反応することにより生成したもの、および、前記第2の溶液中に直接供給されたもののうちの少なくとも1種である請求項1ないし5のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 前記有機物の分解物は、前記金属層に付着した状態で、前記第2の溶液中に供給されたものを含む請求項6に記載の有機物除去方法。
- 前記第2の工程において、前記第2の溶液中の前記一酸化炭素の量は、1mol/kg以下である請求項1ないし7のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 前記第2の工程において、前記第2の溶液中の過酸化水素の濃度は、0.1〜10重量%である請求項1ないし8のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 前記第2の工程において、前記第2の溶液の温度は、25〜150℃である請求項1ないし9のいずれかに記載の有機物除去方法。
- 除去すべき前記有機物は、前記金属層をパターニングする際に用いたレジスト層である請求項1ないし10のいずれかに記載の有機物除去方法。
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