JP4426165B2 - ベーカリー製品 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ベーカリー製品に関するものであり、さらに詳しくは良好な味質を有するベーカリー製品に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
一般にわが国で通常に食されているパンは、小麦粉及び水を主原料とし、パン酵母(イースト)等の発酵菌を混合した生地を醗酵させ、これを焼成して製造している。パン生地の醗酵工程において砂糖やグルコース等の糖類が発酵菌により資化されるため、得られたパンは甘味がないものとなっている。
従来、均一な甘味のあるパンを得るための方法として、発酵菌が資化する以上の過剰量の砂糖やグルコース等の糖類を添加し、発酵工程を詳細に管理して適度の糖類を残存させる方法(例えば、特許文献1参照)、あるいは発酵菌に資化されない甘味料として、例えば、強甘味成分(ステビオサイド等の高甘味度甘味料)をパン生地に配合する方法(例えば、特許文献2参照)、糖アルコールを加える方法(例えば、特許文献1、3及び4参照)などが知られている。
【0003】
【特許文献1】
特開平11−253094号公報
【特許文献2】
特開昭62−166829号公報
【特許文献3】
特開平2−117340号公報
【特許文献4】
特開平11−313601号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、砂糖やグルコース等の糖類は、近年のダイエット、低カロリー、ノンカロリー指向から敬遠されるという問題がある。また、パンに配合されたステビオサイド、サッカリン、スクラロース、アスパルテーム、グリシン、ソーマチン、羅漢果抽出物及びアセサルファムKなどの高甘味度甘味料は、甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足があり、またパンに配合されたソルビトール、マンニトール、キシリトール、エリスリトール、ラクチトール及びマルチトールなどの糖アルコール甘味料はボディ感や後味のなさがあり、そのため良好な甘味のベーカリー製品とは言えなかった。
【0005】
本発明は、近年求められている低カロリーで、後引き感並びにボディ感(コク感)の不足がなく、良質な甘味を有するベーカリー製品を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意研究を重ねていたところ、L−アラビノースをベーカリー製品に含有させることにより、低カロリーで、甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足がなく、良好な甘味のベーカリー製品となることを見いだし、本発明に到達した。
【0007】
すなわち、本発明は、L−アラビノースと、高甘味度甘味料又は糖アルコールを含有するベーカリー製品であって、高甘味度甘味料がステビオサイド又はアスパルテームであり、糖アルコースがソルビトールであることを特徴とするベーカリー製品を要旨とするものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を詳細に説明する。
本発明で用いられるL−アラビノースは、高等植物のヘミセルロース中にアラビナン、アラビノキシラン、アラビノガラクタンなどの多糖類の構成糖として存在しているものである。また遊離の状態では微量ではあるが味噌や酒などの発酵食品、インスタントコーヒーなどに含まれており、食経験豊かな糖質である。
【0009】
L−アラビノースは、砂糖に近い味質を持ち、難吸収性を示すノンカロリー甘味料である。また、砂糖等の二糖を加水分解する酵素を阻害することから、砂糖摂取時の血糖値上昇を抑制するという効果も知られている。このようなL−アラビノースの特性を利用してL−アラビノースを配合した体脂肪蓄積抑制剤(特開平7−309765号公報、特開平7−242551号公報)、過血糖付随疾患の予防・治療剤(特開平6−65080号公報)やダイエット甘味料、肥満予防剤(特再平6‐812057号公報)などが知られている。近年、二糖である砂糖の加水分解酵素を阻害することから、砂糖による血糖値上昇を抑制する砂糖に3%含有させた製品も販売されている。
【0010】
本発明のベーカリー製品中のL−アラビノース含有量は、ベーカリー製品の甘味の嗜好、他に配合する甘味料、機能の付加の程度などによって任意に設定できるが、概ね0.01〜5質量%であり、好ましくは0.01〜3質量%である。0.01質量%未満であると、L−アラビノースの甘味などの機能が発現せず、3質量%を超えると(機能が増強されずに)コスト高になる。
【0011】
本発明で用いられるL−アラビノースは、市販されているもの又コーンファイバーやアラビアガム、ビートパルプなどから酸分解や酵素分解などの公知の方法により得られるものなど、製造方法、由来によらず何れも採用することができる。天然物から製造する方法としては、例えばコーンファイバーやアラビアガム、ビートパルプなどに含まれるヘミセルロースをアルカリ抽出し、これを酸分解する方法(特開平11−313700号公報、特開平11−113600号公報)、ビートパルプ等の原料を酵素分解を行う方法(特開2001−286294号公報、特開平9−299093号公報、農芸化学会誌49巻,6号,295−305,1975年)が挙げられる。
【0012】
本発明のベーカリー製品は、L−アラビノースとともに高甘味度甘味料又は糖アルコールが含有されているものである。
ここで用いられる高甘味度甘味料としては、ステビオサイド又はアスパルテームであり、糖アルコールとしては、ソルビトールである。
【0013】
本発明のベーカリー製品における高甘味度甘味料及び/又は糖アルコールの含有量としては、L−アラビノース1質量部に対して、0.01〜100質量部が好ましく、さらには0.05〜100質量部であり、最も好ましくは0.1〜5質量部である。
【0014】
本発明のベーカリー製品には、L−アラビノース、高甘味度甘味料及び糖アルコールのほか、通常、ベーカリー製品の生地を調製するために必要とされる原材料が含まれる。すなわち、小麦粉の他に、水、糖類(砂糖、ブドウ糖、液糖など)、食塩、油脂、卵などを含ませることが多く、さらに必要に応じてビタミンなどの強化剤を添加することも可能である。
【0015】
本発明におけるベーカリー製品としては、発酵菌の発酵力を利用して発酵、焙焼したパン、化学膨剤を使用したパン、蒸しパンなどがある。パンでは、食パン(角型、山型、ワンローフ)、全粒粉パン、ミッシュ・ブロード、混合パンなどの型焼きパン、ブリオッシュ、クロワッサン、クレセント、チーズ・ロール、スイート・ロール、ハンバーガー・バンズ、コッペパン、イングリッシュ、マフィンなどの天板焼きパン、バケット、カイザー・ロール、パン・ド・ラ・カンパーニュ、ウインナー・ロール、グリッシーニなどの直焼きパン、あんパン、ジャムパン、クリームパン、チョコレートパン、デニッシュ・ペストリー、パナトーネなどの菓子パンが挙げられる。
【0016】
次に本発明のベーカリー製品の製造方法について説明する。
本発明のベーカリー製品は、製造工程の途中においてL−アラビノースと、高甘味度甘味料又は糖アルコールを所定量添加する以外は、一般に実施可能な方法であれば採用でき、例えば、発酵による方法では直捏生地法(直捏法、ストレート法)、中種生地法(中種法、スポンジ法)、液種生地法(液種法、液体発酵法、ブリュー法)、サワードウ法などを挙げることができ、また、膨剤に重ソウと酸性酒石酸カリまたは酸性リン酸カルシウムの混合物などのベーキングパウダーやふくらし粉を用いた方法などを挙げることができる。
【0017】
醗酵法において用いられる醗酵菌としては、パンの製造に用いることができる微生物であればよく、好ましくはL−アラビノース資化能が弱いものであり、そのような具体例としては、酵母、乳酸菌あるいは酢酸菌が挙げられる。酵母ではサッカロミセス・セレビシェ、サッカロミセス・イグジグースなどのサッカロミセス属、クルベロミセス属、キャンディダ属の酵母が例として挙げることができる。
【0018】
一方、乳酸菌としては、ラクトバチルス・サンフランシスコ、ラクトバチルス・コモエンシスなどのラクトバチルス属、ロイコノストック属、ペディオコッカス属等を例として挙げることができる。
【0019】
これらの発酵菌は単独でも、数種同時もしくは別々に用いても良い。市販の発酵菌では、鐘淵化学工業株式会社製のカネカイースト レッド、カネカイーストニューブルー、カネカイースト グリーン、カネカイースト GA、カネカイースト ホワイト、カネカイースト NR、三共株式会社製の三共イースト 、三共イースト・M、オリエンタル酵母株式会社製のオリエンタル FD-1、オリエンタル EX、オリエンタル LT、オリエンタル US、オリエンタル レギュラー、協和発酵株式会社製のダイヤイースト、ダイヤイーストFT-S、ドライイースト等が例として挙げることができる。
【0020】
直捏生地法(直捏法、ストレート法)では、小麦粉、イースト、イーストフード、砂糖、食塩、ショートニング、脱脂粉乳、油脂、水その他の全ての配合原料を同時に混ぜて生地を作り、発酵、ガス抜き、分割、ねかし、整形、焙炉がけ、焼成等の工程を行なう。L−アラビノース等は混捏前、混捏中に加えても、あるいは混捏後に均一に添加しても良いし、一次発酵後でも二次発酵後に添加混合しても差し支えない。二次発酵後に注入、塗布しての良いが、発酵前に添加するとパンに均一に行きわたり易い。また、イーストの元種作成時に添加することもできる。
【0021】
中種生地法(中種法、スポンジ法)では、小麦粉、イースト、イーストフード、水などの配合原料を同時に混ぜて生地を作り、通常4時間程度発酵させ中種生地を作る。本捏は、この中種生地に小麦粉、砂糖、食塩、ショートニング、脱脂粉乳、油脂、その他の原料と水を適量混ぜて捏ねた後、発酵、分割、ねかし、整形、焙炉がけ、焼成等の工程を行なう。L−アラビノース等は中種生地を作る際に予め添加して捏ねても、本捏中、あるいは混捏後に均一に添加してもよい。パンに均一に行きわたりにくいが整形後に注入、塗布しても良い。また、イーストの元種作成時に添加することもできる。
【0022】
液種生地法(液種法、液体発酵法、ブリュー法)では、小麦粉、イースト、イーストフード、砂糖、食塩などの原料を配合させた混合液に脱脂粉乳や緩衝剤などを加えて、pH調整を行いながら発酵させて前発酵液を作る。この前発酵液に、残りの原料として小麦粉、砂糖、油脂を混ぜて生地を作り、発酵、ガス抜き、分割、ねかし、整形、焙炉がけ、焼成等の工程を行なう。L−アラビノースは前発酵液を作る際に予め添加しても、生地作成時、あるいは発酵、ガス抜き、分割、ねかし時に均一に添加しても良い。パンに均一に行きわたりにくいが整形後に注入、塗布してもの良い。
【0023】
サワードウ法は、ライ麦パンの製造に用いられており、イーストの代わりに乳酸菌や酢酸菌を発酵させた生地を用いる方法であり、L−アラビノースは生地を作る際に添加しても、直捏生地法、中種生地法、液種生地法と同様その後の工程で添加しても良い。
【0024】
なお、パン生地のように発酵菌の増殖の程度を微妙に調整してポーラスで粘弾性のある食感を得るようにするものでは、パン生地中に不均一に添加物を混合すると調整された生地の組織を傷める可能性があり、一旦、発酵させた生地に対して、食感を損なうことなく甘味料その他の添加物を生地中に均一に混合することは難しく、最終の発酵前に添加するほうが好ましい。
【0025】
本発明のベーカリー製品においては、生地(ドウ)に配合されたL−アラビノースは、醗酵工程で発酵菌により資化されずに残存することになり、その結果良質な甘味を付与することとなる。また、L−アラビノースの砂糖(二糖)の加水分解酵素を阻害することによる血糖値上昇を抑制する機能を持たせることも可能となり、これらのベーカリー製品に含有されている砂糖はもちろんのこと、食する際に塗布するジャム、練乳、蜂蜜などに含有される砂糖による血糖値上昇抑制機能を有することになる。近年、グリセミックインデックス値(GI値、様々な糖質を摂取した場合の血糖値上昇曲線下面積、総吸収量に相当)を低く抑えることによる肥満対策も注目されてきており、本発明のベーカリー製品はパンのグリセミックインデックス値を低くすることもできる。
【0026】
さらに、L−アラビノースを高甘味度甘味料や糖アルコール甘味料とともに配合することにより、これらの欠点である甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足などを改善することとなり、その結果良好な甘味のベーカリー製品となる。
【0027】
【実施例】
以下、本発明を具体的に説明する。
参考例1〔L−アラビノースの製造〕
ビートパルプ200g(カーギル社製、水分11%)を2Lの水に懸濁したのち、スミチームARS(新日本化学工業株式会社製アラビナーゼ、力価400ユニット/mL)を2mL添加し,55℃で24時間撹拌下で反応した。反応終了後静置し、上澄みを濾過することによりL−アラビノースを含む清澄な溶液1.9Lを得た。この溶液中の糖をHPLCにより分析した結果、1.9L中に27gのL−アラビノースが蓄積していた。
【0028】
ついでこの溶液に粉末活性炭(武田薬品社製、商品名カルボラフィン)10gを加えて20分間撹拌し、ろ過によりL−アラビノースを含む溶液を回収した。つぎに、この溶液をアニオン交換樹脂(三菱化学社製ダイアイオンWA30,OH-型,ベッドボリューム100mL)、カチオン交換樹脂(三菱化学社製ダイアイオンSK1B,H+型ベッドボリューム100mL)にこの順序で通液しL−アラビノースを含む溶液を回収した。回収した溶液をブリックス70となるまでエバポレーターで濃縮したのち、熱エタノールを最終濃度85%となるように添加し、少量の結晶L−アラビノースを添加し、4℃で放置した。この溶液を濾過することにより、25gの結晶L−アラビノースを得た。得られたL−アラビノースの融点は157〜160℃であった。
【0029】
なお、HPLCによる糖成分分析の条件は以下に示す条件で行なった。
HPLC分析条件
カラム:Aminex HPX87P(7.8×300mm、BIO RAD製)、移動相:水、流速:0.6mL/min、カラム温度:80℃、検出:示差屈折計(RI)
以下の実施例に記載の分析についても同じ分析条件で行なった。
【0030】
参考例1、実施例2〜4、比較例1〜4(食パン:直捏法)
表1、2に示す食パンの原料を準備した。水以外の素材と原料は、何れも市販品である。また、水は水道水である。強力粉、予め温水で賦活してある酵母、およびその他の原料を混和し、ぬるま湯と共にパン捏ね器(L−ニーダー:大正電機株式会社製)の中で、20分間、捏り合わせた。手で丸め、濡れ布巾で覆ったボールのなかで1次発酵を行った。その後、ガス抜きを行い、麺棒で延ばし成形し、食パン型の中で2次発酵を行った後、180℃に保ってあるオーブン中で30分間焙焼し、食パンを取得した。
【0031】
【表1】
【0032】
【表2】
【0033】
(官能評価試験)参考例1、実施例2〜4、比較例1〜4で得られた食パンを切断し、味、甘味の味質を評価した。結果において、◎は良好、○はやや良好、△はやや不良、×は不良を表わす。
【0034】
【表3】
【0035】
表3に示す通り、L−アラビノースを添加した参考例1のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例1のパンよりも良質な甘味を有していた。また、L−アラビノースを添加した実施例2、3のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例2、3のパンの高甘味度甘味料の持つ甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足が解消され、良質な甘味を有していた。さらに、L−アラビノースを添加した実施例4のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例4のパンの糖アルコール甘味料の持つボディ感や後味のなさの不足が解消され、良質な甘味を有していた。
なお、これらのパンは、水での抽出を行い、L−アラビノースが残存していることをHPLC分析によって確認した。
【0036】
参考例2、実施例6〜8、比較例5〜8(食パン:中種法)
表4、5に示す食パンの原料を準備した。水以外の素材と原料は、何れも市販品である。また、水は水道水である。中種条件は、混捏を低速で3分間と中速で2分間行ない、中種醗酵時間を4時間45分(温度28℃)に設定した。また、生地条件は、本捏で捏上温度を28℃にして、混捏を低速で3分間と中速で3分間行なった。また、可塑性油脂を添加した後、混捏を低速で3分間と中速で5分間行なった。次に、フロアタイムを20分(25℃)とり、フロアタイム後に、分割(445g)・丸目をし、中間醗酵を20分(28℃)行ない、ガス抜き,整形後、ホイロを50分(38℃)とり、焼成を35分(175℃)行ない、食パンを取得した。
【0037】
【表4】
【0038】
【表5】
【0039】
(官能評価試験)参考例2、実施例6〜8、比較例5〜8で得られた食パンを切断し、味、甘味の味質を評価した。結果において、◎は良好、○はやや良好、△はやや不良、×は不良を表わす。
【表6】
【0040】
表6に示す通り、L−アラビノースを添加した参考例2のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例5のパンよりも良質な甘味を有していた。また、L−アラビノースを添加した実施例6、7のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例6、7のパンの高甘味度甘味料の持つ甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足が解消され、良質な甘味を有していた。さらに、L−アラビノースを添加した実施例8のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例8のパンの糖アルコール甘味料の持つボディ感や後味のなさの不足が解消され、良質な甘味を有していた。
なお、これらのパンは、水での抽出を行い、L−アラビノースが残存していることをHPLC分析によって確認した。
【0041】
参考例3、実施例10〜12、比較例9〜12(菓子パン:中種法)
表7、8に示す食パンの原料を準備した。水以外の素材と原料は、何れも市販品である。また、水は水道水である。中種条件は、捏上温度を26℃、中種醗酵時間を2時間(温度28℃)に設定した。また、生地条件は、捏上温度を28℃、フロアタイムを20分(25℃)、ベンチタイムを15分(28℃)に設定した。また、ホイロを60分(38℃)、焼成を10分(175℃)にした。尚、成形工程においては、ホットドッグロール形に成形し、また、焼成後には、パンの上部を縦にカットし(背割り)、クリームを挿入し、菓子パン(クリームパン)を取得した。
【0042】
【表7】
【0043】
【表8】
【0044】
(官能評価試験)参考例3、実施例10〜12、比較例9〜12で得られたクリームパンの味、甘味の味質を評価した。結果において、◎は良好、○はやや良好、△はやや不良、×は不良を表わす。
【0045】
【表9】
【0046】
表9に示す通り、L−アラビノースを添加した参考例3のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例9のパンよりも良質な甘味を有していた。また、L−アラビノースを添加した実施例10、11のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例10、11のパンの高甘味度甘味料の持つ甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足が解消され、良質な甘味を有していた。さらに、L−アラビノースを添加した実施例12のパンでは、L−アラビノースを添加していない比較例12のパンの糖アルコール甘味料の持つボディ感や後味のなさの不足が解消され、良質な甘味を有していた。
なお、これらのパンは、水での抽出を行い、L−アラビノースが残存していることをHPLC分析によって確認した。
【0047】
【発明の効果】
本発明によれば、L−アラビノースにより良質な甘味を有するベーカリー製品を提供できる。また、L−アラビノースの砂糖(二糖)の加水分解酵素を阻害することによる血糖値上昇を抑制する機能を持たせることも可能となり、これらのベーカリー製品に含有されている砂糖はもちろんのこと、食する際に塗布するジャム、練乳、蜂蜜などに含有される砂糖による血糖値上昇を抑制する機能を有した良質の甘味のベーカリー製品を提供することができる。近年、グリセミックインデックス値(GI値、様々な糖質を摂取した場合の血糖値上昇曲線下面積、総吸収量に相当)を低く抑えることによる肥満対策も注目されてきており、本発明のベーカリー製品はパンのグリセミックインデックス値を低くすることもできる。
さらに、パンに配合された高甘味度甘味料や糖アルコール甘味料と配合することによって、これらの欠点である甘みの後引き感並びにボディ感(コク感)の不足などを改善し、良好な甘味のベーカリー製品とすることができる。
Claims (1)
- L−アラビノースと、高甘味度甘味料又は糖アルコールを含有するベーカリー製品であって、高甘味度甘味料がステビオサイド又はアスパルテームであり、糖アルコースがソルビトールであることを特徴とするベーカリー製品。
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