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JP4424054B2 - プラスチックの利用方法 - Google Patents

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JP4424054B2 JP2004134064A JP2004134064A JP4424054B2 JP 4424054 B2 JP4424054 B2 JP 4424054B2 JP 2004134064 A JP2004134064 A JP 2004134064A JP 2004134064 A JP2004134064 A JP 2004134064A JP 4424054 B2 JP4424054 B2 JP 4424054B2
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Description

本発明は、一般廃棄物や産業廃棄物としてのプラスチック系廃棄物である使用済みプラスチック等のプラスチックを高炉の吹き込み原料として利用する際のプラスチックの利用方法に関する。
廃棄物としての使用済みプラスチックは、従来埋め立ておよび焼却による処理が行われていた。しかしながら、使用済みプラスチックの嵩高さのために埋め立て処分場が不足し、また、焼却した際に有害成分が発生するので環境汚染が問題であった。そこで、使用済みプラスチックを大量にリサイクル処理するために、コークスや微粉炭の代替原料として高炉等の竪型炉に羽口から吹き込む技術およびコークス炉に配合炭とともに装入し、原料化する技術が知られている。
プラスチックを固体燃料として高効率に利用するために、プラスチックを直接、破砕機で破砕する技術が知られている(例えば、非特許文献1参照。)。しかし、直接破砕機で破砕する場合、プラスチックは1〜2mmの粒度にまでしか破砕できず、しかも、破砕工程に時間がかかり費用も高くコスト高であり、さらに、繊維状やフィルム状のプラスチックは破砕が困難なため、別途溶融固化処理を行った後に破砕しなければならず、工程が複雑になる。また、プラスチックは破砕時の摩擦熱により溶融するため、0.1mm以下の粒子径に粉砕するためには液体窒素等の高価な冷却剤を必要とするので、処理コストが増大するなどの問題があった。
一方で、使用済みプラスチックを高炉でリサイクル利用するための方法として、破砕後、微粉砕せずに塊状のまま羽口から吹き込む方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。特許文献1によれば、羽口先に形成される燃焼帯内から排出されるガスの流速よりも大きな終末速度を与える粒子径(限界粒子径)のプラスチックを吹き込むことで、すなわち粒径数mm程度以上の粒子を吹き込むことで、プラスチックの燃焼率を高めることができるとされている。
また、使用済みプラスチックをコークス炉でリサイクル処理する技術としては、石炭と配合してコークス炉に装入し、使用済みプラスチックを熱分解させコークス炉ガス、タールおよびコークスとして回収するリサイクル方法が知られている(例えば、特許文献2参照。)。
特開平9−125113号公報 特開2001−49263号公報 「プラスチックス」 Vol.47、No.7、p60、1996年
図1に、高炉の羽口先で形成される燃焼帯の概略図を示す。高炉下部羽口1に秒速200m程度の熱風空気5を吹込んだ場合は、その衝風エネルギーにより生成される空間である燃焼帯(レースウェイ)3ならびにその周辺に存在するコークスの篩い効果(滞留効果)により、高炉に吹込まれた使用済みプラスチック2が粒径数mm程度の塊状物である場合は、燃焼ガス化率は高いものの、粒子自体の燃焼性を考えた場合、例えば1mm以下の微粒のプラスチックに比較すれば極めて燃焼速度は劣る。また、使用済みプラスチック2が粒径数mm程度の使用済みプラスチック塊状物である場合は、粒径75μm以下に微粉砕した石炭に比較しても燃焼性が劣る。そのため、使用済みプラスチックの吹込み量が増加した場合には、吹き込まれた全てのプラスチック塊状物を完全に燃焼させることは困難となり、逆に燃焼ガス化率が低下し、未燃のプラスチック由来のチャーが生成し、高炉内の通気性を阻害し、高炉操業上支障をきたすことが懸念される。したがって、使用済みプラスチックを多量に炉に吹きこむ場合に高効率なガス化を確実にするためには、レースウェイ内に吹き込まれたガスがレースウェイ内を通過する程度の時間(0.01秒程度)のうちに吹きこまれた粒子を完全に燃焼させることが重要である。
しかし、多量のプラスチックを十分に微細に破砕処理することは困難である。一方で、液体窒素等の高価な冷却剤を用いる等の方法を用いれば高炉吹き込みに適した粒径範囲に粉砕可能であるが、処理後プラスチックの物理的性質や、粉砕機の種類あるいは粉砕条件により、粉砕後の粒度分布が異なるという問題がある。例えば、高炉に適した吹き込み粒度を500μm以下として破砕処理を行った場合に、粉砕後プラの粒度を測定すると500μm以上が20%程度である場合もある。500μm以上の粒径のものを分級し、さらに粉砕処理することも可能であるが、経済的ではなく、処理効率が低下する。
また、数mm程度の粒子を高炉に吹込む場合は、微粉炭吹き込み用とは異なる、専用の配管が必要となる。さらに、その粒子を高炉に気流輸送するためのガスも多量に必要となり、高炉のコークス比を増加させる要因となる。
一方、使用済みプラスチックをコークス炉で利用する場合には、以下の(a)〜(d)の課題がある。
(a)使用済みプラスチックは嵩密度が低く、減容化処理した場合でも低嵩密度であるため、使用済みプラスチックを配合した原料をコークス炉に装入すると生産性が低下する。
(b)使用済みプラスチックを多量に石炭に添加した場合には石炭の粘結性が低下する。
(c)製造されたコークス塊内に廃プラスチック由来の空隙が形成され、コークス強度が低下する。
(d)使用済みプラスチック中の塩化ビニルから発生する塩化水素はコークス炉ガス中のアンモニアと反応し、塩化アンモニウムとなるが、塩化水素の発生量が多くなるとガス温度の低い部位で析出するため、配管閉塞等の要因となる。
このためコークス炉においても多量の使用済みプラスチックをリサイクル使用することは困難である。
したがって本発明の目的は、このような従来技術の課題を解決し、プラスチックを多量に高炉内に吹込む場合にもプラスチックが充分な燃焼性を有し、低コストで高炉に吹き込むことが可能であり、かつプラスチックの粉砕処理を低コストで行うことが可能であり、しかもコークス炉においても使用済みプラスチックを多量に好適に利用できるプラスチックの利用方法を提供することにある。
このような課題を解決するための本発明の特徴は以下の通りである。
(1)プラスチックを加熱した後に冷却して粉砕して得られたプラスチックの粉砕物を粒径の大きいものと小さいものとに分別し、粒径の小さいプラスチックの全部または一部を高炉の吹きこみ原料として利用し、粒径の大きいプラスチックの全部または一部をコークス炉で利用するプラスチックの利用方法において、前記プラスチックを加熱する際、プラスチックと有機溶媒に固体炭素物質を混合して、加熱した後に冷却して固化体とし、該固化体を粉砕して粉砕物を得て、粒径500μm以下の前記粉砕物を高炉の吹きこみ原料として用いることを特徴とするプラスチックの利用方法。
)高炉の吹きこみ原料として用いる粉砕物が粒径75μm以下が80mass%以上の粒度分布を有することを特徴とする(1)に記載のプラスチックの利用方法。
本発明によれば、プラスチックを粉砕する際のコストを増加させること無く、高炉におけるプラスチックの燃焼性を向上させることができる。また、プラスチックを微粉化することができ、燃焼性を向上させることができ、コークス代替としてプラスチックを多量に炉内に吹込むことが可能となり、製鉄コストを削減できる。また、プラスチックの破砕には製鉄所等で通常使用されている粉砕設備が使用可能であり、プラスチックを数mm程度に造粒するための事前処理設備が不要となる。
さらに、従来から高炉に吹込んでいる微粉炭吹込み配管がプラスチックの吹き込みに利用可能となり、気流輸送に必要なガス量も軽減できる。
また、コークス炉においてもコークスの生産性を低下させることなく使用済みプラスチックを利用することが可能であり、配管の閉塞を招くことなく多量の使用済みプラスチックを利用できる。製造されるコークスの品質も向上する。
結果として、使用済みプラスチックのリサイクル量を増加させることができる。
本発明者らは前記課題を解決するために鋭意検討を重ね、プラスチックを高炉の吹き込み原料として用いる炉の操業において、プラスチックが燃焼してガス化する際のガス化効率を向上させるために、プラスチックの粉砕性を向上させる方法について検討し、プラスチックを加熱した後に冷却することで、プラスチックの粉砕性が向上し、結果としてプラスチックの燃焼性が向上可能であることを見出した。また、特にプラスチックと有機溶媒とを混合して、加熱した後に冷却して固化体とし、固化体を粉砕することで、プラスチックを微粉に粉砕可能であり、結果としてプラスチックの燃焼性が非常に向上することを見出した。このようにして製造した粉砕物は、微粉化が容易であり、コークス原料と配合する際に嵩密度が低くなることがない。また、特にプラスチックを有機溶媒中で加熱することで、プラスチックが有機溶媒中で加熱されることによりプラスチックが改質されて粘結性が向上し、コークス製造の際にバインダーとして利用でき、製造されるコークスの強度も増加する。さらに、加熱過程での脱塩素効果により、コークス炉での塩化水素発生の問題も生じない。
また、プラスチックを粉砕する際に発生する粒度分布について検討し、粉砕後粒径の小さいものを高炉原料とし、粒径の大きいものをコークス炉とで利用することにより効果的かつ経済的にプラスチックを利用できることを見出した。すなわち、プラスチックの粉砕物を粒径の大きいものと小さいものとに分別し、粒径の小さいプラスチックを高炉の吹きこみ原料として利用し、粒径の大きいプラスチックをコークス炉で利用することができる。高炉の吹き込み原料として粒径の小さい燃焼性の良いプラスチックを優先的に用い、比較的粒径の大きいプラスチックをコークス炉で利用することで、高炉におけるプラスチック利用量が増加し、高炉とコークス炉全体でのプラスチック利用量も増加する。
粒径の小さいプラスチックは必ずしも全量を高炉で使用する必要はなく、その一部については高炉の吹きこみ原料以外の用途に利用してもよい。また、粒径の大きいプラスチックの一部についてもコークス炉以外で利用してもよいが高炉での吹き込みに使用するのは好ましくない。
プラスチックの粉砕物を粒径の大きいものと小さいものとに分別するには、篩等を用いれば良く、分別の基準はプラスチックの処理量や高炉とコークス炉の操業条件に応じて適宜設定することができる。
プラスチックを加熱した後に冷却して粉砕し、得られた粉砕物を高炉とコークス炉で利用することが望ましい。加熱によりプラスチックが塩素を含有する場合は塩素が除去され、加熱冷却したプラスチックは粉砕性が向上する。得られた粉砕物の一部については高炉やコークス炉以外の設備でも利用可能である。
さらに、プラスチックと有機溶媒とを混合して、有機溶媒の顕熱および/または外部の熱源により加熱した後に冷却して固化体とし、該固化体を粉砕して得られた粉砕物を高炉とコークス炉とで利用することが好ましい。有機溶媒と混合することで、プラスチックの粉砕性がいっそう向上する。粉砕物の一部については高炉やコークス炉以外の設備でも利用可能である。
プラスチックと有機溶媒とを混合した際には、プラスチックを有機溶媒の顕熱および/または外部の熱源により加熱し、有機溶媒を除去した後に冷却して粉砕し、粉砕物を得ることもできる。有機溶媒を除去することで、有機溶媒を再利用可能であり、粉砕コストを低減可能である。
図2は本発明のプラスチックの利用方法の一実施形態を示す説明図である。図2によれば、収集された使用済みプラスチックは簡易前処理工程11において金属等の異物が除去され、図示しない破砕機により、改質・脱塩素工程13に供給可能な形状に破砕される。改質・脱塩素工程13でコークス炉より発生したタール重質油(有機溶媒)と混合・加熱され、改質・脱塩素される。改質後プラは冷却工程14により冷却され固化体として、高炉吹き込み原料に適した粒度に粉砕工程15により粉砕される。粉砕されたプラスチックは、粒径に応じて分級工程16において分級して、粒径の大きいものはコークス炉18に供給され、粒径の小さいものは吹き込み手段17を用いて高炉19の吹き込み原料として利用する。
改質・脱塩素工程において有機溶媒を用いて加熱する方法としては、有機溶媒を予め加熱した後プラスチックと混合して有機溶媒の顕熱によってプラスチックを加熱しても良いし、プラスチックと有機溶媒を混合した後外部から加熱しても良い。また、両者を併用することも可能であるし、プラスチックを予熱しておくことも有効である。加熱する際のプラスチックの温度としては、粉砕性を充分に向上させるために工業的には150℃以上とすることが望ましい。プラスチックが塩素を含有する場合は、塩素の除去ができる温度で加熱することが望ましく、この場合にも150℃以上で加熱することが望ましい。また、温度を高くし過ぎるとプラスチックの歩留が低下するので、通常は350℃程度が上限である。従って、プラスチックの加熱温度としては150〜350℃とするのが望ましく、250〜350℃とするのが更に望ましい。
改質脱塩素に用いる溶媒は、本実施の形態においてはコークス炉より発生する石炭系タール重質油であり、処理温度におけるプラスチックの粘性を下げ、脱塩素を促進するあるいはプラスチックの粉砕性を向上させる。さらに、粉砕性を向上させるために、プラスチックと有機溶媒に固体炭素質物質や鉄、鉄を含む化合物等を混合することも可能である。固体炭素質物質等の混合は、次工程の冷却過程でプラスチックと固体炭素質等の熱的性質(熱伝導率など)が異なることから、残留応力が発生し粉砕を容易とするためである。
プラスチックと混合する固体炭素質物質としては石炭、コークス等プラスチック溶融時(改質・脱塩素工程での処理温度)に固体を保持する物質であればよく、プラスチックと熱的性質が異なるものが好ましい。また、プラスチックとの混合を考えた場合、比重等が同程度であるものが好ましい。固化体は粉砕後、高炉の還元材として吹込むことから、高炉操業に影響を及ぼさず、還元材として機能するものが良い。具体的には、石炭あるいはコークス等の固体炭素質物質であればよい。
プラスチックと混合する有機溶媒はプラスチックを膨潤させ、その結合を弱め、熱処理することで低重合化させる作用がある。本発明に用いる有機溶媒としては、沸点250℃以上であるものが好ましく、特に好ましくは300℃以上である。また、芳香族指数が0.2以上、0.95以下のものが好ましい。有機溶媒の沸点の上限はその熱安定性から定められ、500℃以下、特に450℃以下であることが好ましい。また、有機溶媒は本発明の処理温度(改質・脱塩素工程でのプラスチックと混合した際の加熱温度)で液体であること、あるいは有機溶媒中に液体となる成分を含有していることが必要であり、具体的には150℃以上で液体となる成分を含んでいればよい。さらに、プラスチックと有機溶媒とを混合して、加熱した後に冷却して固化体とし、固化体を粉砕処理することから、有機溶媒の軟化点は100℃以上であることが好ましい。さらに好ましくは、有機溶媒の軟化点を150℃以上とする。軟化点とは材料に一定の荷重をかけ、一定の昇温速度で昇温したときに材料が軟化する温度であり、例えば、試料0.5gを充填容器(円柱状のセル)に充填し、スリットを有する管の上部にセットして、スリット部を介して管内の光の通過をモニターしながら試料を加熱し、試料が溶融および/または自然落下して管内の光の通過を遮断した時の温度を軟化点として測定することができる。試料は2℃/minの速度で昇温することが望ましく、スリットは例えば円周方向に4ヶ所設けて、複数方向での光の通過を測定することが望ましい。また、プラスチックと有機溶媒を混合し、加熱するが、有機溶媒として化合物の混合物を用いる場合、処理過程で有機溶媒が蒸発しないことが好ましく、10質量%の留出温度(15℃/分の一定速度で昇温した際に蒸発量が10質量%に達する温度)が300℃以上であることが好ましい。一方、芳香族指数は全炭素数に対する芳香族炭素数の比率であり、Brown Ladner法(J.K.Brown,W.R.Ladner and N.Sheppard,Fuel,39,79(1960))で測定することができる。プラスチックと有機溶媒とを混合する際には、有機溶媒中にプラスチックを投入する、またはプラスチックに有機溶媒を加える等、任意の方法を用いることができる。
本発明に用いる有機溶媒としては、プラスチックを膨潤および/または溶解させる機能を有する必要がある。有機溶媒としては、芳香環に側鎖を有する成分を含有していることが好ましい。具体的にはメチル基、エチル基、それ以上の炭素数のアルキル基を含む多環芳香族炭化水素、例えば、アルキルフェナンスレン、アルキルアンスラセンなど(アルキル:C1以上の炭化水素で、複数のアルキル基があってもよい)。また、芳香環内に酸素、窒素等の成分を含有する有機溶媒でもよく、具体的にはアルキルキノリン、アルキルカルバゾールなど(アルキル:C1以上の炭化水素で、複数のアルキル基があってもよい)。
本発明に用いる有機溶媒として、石炭系タール、石油系タールを用いることが望ましい。
石炭系タールは、石炭系タール常圧蒸留塔底からの重質油(ボトム油)である。具体的には軟ピッチ、軟ピッチを減圧蒸留した塔底から抜き出した減圧ピッチ(軟化点110℃)、軟ピッチを減圧蒸留塔中段より抜き出した留分(減圧蒸留塔での蒸留温度154℃)、軟ピッチを減圧蒸留塔塔頂より抜き出した留分(HOB:減圧蒸留塔での蒸留温度255℃)、石炭液化油成分から得られる重質油成分ならびにそれらのブレンド油などがある。
石油系タールは、石油系減圧残油、エチレンボトム油、改質油、FCCオイル等である。
したがって、本発明に用いる有機溶媒の具体例としては、コールタール系の重質油、ピッチ、石炭液化油、石油系減圧残油、エチレンボトム油、改質油等であり、これらのうち沸点250℃以上を満足するものを単独あるいは2種以上混合して使用することができる。また、プラスチックの膨潤等に使用されない成分を含有する溶媒も粉砕機により粉砕されるために、その軟化点は100℃以上が好ましい。
一方、本発明で用いるプラスチックは、ポリプロピレン、ポリエチレン、ポリスチレン、ポリエチレンテレフタレート、塩化ビニル、ポリビニルアルコール、セルロイド等のC、H、Oを主体としたプラスチックであり、廃棄物のリサイクル利用を推進する観点からは、使用済みプラスチックを用いることが特に好ましい。
使用済みプラスチックとは、一般家庭からゴミとして排出されるプラスチック製品や、工場等でのプラスチックの製造・加工時に生じる屑や不良品(産業廃棄物)等であり、プラスチック以外の異物(金属、紙、その他の無機物および有機物)が付着もしくは混入しているプラスチック類を含むものである。このような使用済みプラスチック(廃プラスチック)の具体例としては、プラスチックボトル、プラスチック袋、プラスチック包み、プラスチックフィルム、プラスチックトレイ、プラスチックカップ、磁気カード、磁気テープ、ICカード、フレキシブルコンテナ、プリント基板、プリントシート、電線被覆材、事務機器または家電製品用ボディーおよびフレーム、化粧合板、パイプ、ホース、合成繊維および衣料、プラスチック成型ペレット、ウレタン材、梱包用シート、梱包用バンド、梱包用クッション材、電気用部品、玩具、文房具、トナー、自動車用部品(例えば、内装品、バンパー)、自動車または家電製品等のシュレッダーダスト、イオン交換樹脂、合成紙、合成樹脂接着樹剤、合成樹脂塗料、固形化燃料(廃棄プラスチック減容物)等が例示され、これらを廃棄物としての状態のまま、あるいは必要に応じて所定の処理を施したものを利用することができる。また、これら使用済みプラスチックと製品プラスチックとの混合物を利用してもよい。
プラスチックを炉内への吹き込み原料として用いる場合、塩素の含有が問題になる場合がある。例えば、多種類のプラスチックの混合状態である使用済みプラスチックはほとんどの場合塩素含有プラスチックを含んでいるが、これを高炉の吹きこみ原料として用いると、スラグの塩素含有量が増加して、スラグの用途が制限される。したがって、使用済みプラスチックは脱塩素処理を施した後に炉内への吹き込み原料とすることが望ましい。一方、プラスチックと有機溶媒とを混合して、有機溶媒の顕熱および/または外部の熱源により加熱した後に冷却して固化体とし、該固化体を粉砕して得られた本発明の粉体は、プラスチックが有機溶媒中で加熱される過程において脱塩素処理が施されるため、別途脱塩素工程を設けることなく、また原料プラスチックの塩素含有量にかかわらず、炉内への吹き込み原料に好適に用いることができる。使用済みプラスチック中に含まれる塩素含有プラスチックの脱塩素反応は加熱に伴い、150℃程度から始まり、350℃程度で終了する。塩素含有プラスチック以外のポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性の使用済みプラスチックは脱塩素過程において、溶融し、高粘度の液体となる。したがって有機溶媒を用いない場合は、脱塩素により発生した塩化水素は高粘性液体から脱離しにくく、結果として処理プラスチック中の残存塩素濃度の低減には限界がある。プラスチックと有機溶媒とを混合して、加熱することで、脱塩素過程でのプラスチックの粘性が低下し、塩化水素の脱離が容易になり、処理プラスチック中の塩素濃度をさらに低減することができる。
高炉に供給される粉砕物は、粒径500μm以下(粒度分布としては粒径500μm以下が約100mass%)であることが望ましい。このような粒度とすることによって、粉体が炉内で充分に短時間で完全燃焼する効果がある。また、従来の微粉炭の吹きこみ設備を利用可能である。望ましくは、粉砕された粉体を、粒径300μm以下とする。また以下に述べるように、微粉炭と混合して炉に吹き込む際などには、粉砕された粉体が粒径75μm以下が80mass%以上である粒度分布と同等の粒径であることが望ましい。粉砕された粉体が、微粉炭と同程度である、粒径75μm以下が80mass%以上である粒度分布を有すると、微粉炭と混合しない場合にも、従来の微粉炭の吹きこみ設備を微粉炭とほぼ同じ条件で利用可能であるので好ましい。
本発明の方法で製造したプラスチックの粉体と微粉炭とは、高炉の同一羽口から炉内に吹き込むことが望ましい。同一羽口から高炉内に吹き込む方法としては、同一羽口内にプラスチックの粉体の専用ランスと微粉炭の専用ランスとを装入してダブルフローランス方式としても良いし、粉体供給配管の途中でプラスチックの粉体と微粉炭とを混合しても良い。また、予めプラスチックの粉体と微粉炭とを混合した上で、ホッパーなどの粉体供給装置に供給したものを吹き込むことも可能である。いずれの方法を用いるにしろ、プラスチックの粉体と微粉炭とが混合された状態で加熱されることが重要であり、粉体と微粉炭とを混合して炉内に吹き込むことが望ましい。
本発明方法を用いれば使用済みプラスチックを微粉砕することができるので、微粉炭と使用済みプラスチックとをあらかじめ混合して、あるいは単独で、通常の微粉炭吹き込み用の配管を用いて炉に吹き込むことが可能である。したがって、微粉炭吹き込み操業を行っている高炉であれば、特別に設備を更新することなく、使用済みプラスチックの高炉吹き込み操業を実施することができる。また、すべての羽口からの吹き込みを容易に行うことができるので、使用済みプラスチックの高炉における処理量が増加し、使用済みプラスチックのリサイクル率も向上する。
本発明の方法で製造したプラスチックの粉体と微粉炭とを混合して炉内に吹き込む際には、プラスチックの燃焼速度が速いために、プラスチック燃焼熱により、微粉炭が加熱され、微粉炭の燃焼性を向上させることができる。
収集、分別された廃棄物である使用済みプラスチック164.4トン(可燃物:77.1mass%、磁性金属:4.6mass%、アルミ:2.5mass%、ガラス等無機物:5.6mass%、水分:10.2mass%)を磁選等の事前処理し、破砕、冷凍粉砕し、粒径500μmを目標とし、粒径2mm以下の粉砕プラスチック(500μm以下:30mass%)138.3トン/日を得た。粒度分布を図3に示す。これを高炉(内容積:3300m3、羽口本数:36本)の羽口の内8本に吹込んだところ、1.2t/h(原単位:4.1kg/t)以上では、徐々に燃焼性が悪化し、コークス置換率が低下して0.5以下となり吹込みを中止した。この時の高炉吹込み量は28トン/日に相当する。残りの粉砕プラスチックはコークス品質に影響を与えない2mass%の条件で配合炭に配合し、コークス炉で利用した。その時のコークス炉での使用量は64トン/日であった。従って、粉砕プラスチック使用量合計は92トン/日(使用済みプラスチックとしては109トン/日)であった。
そこで、粒径の大きい500μm超えの粒度を有するものを篩い分けにより分離して、500μm以下の粒径のもののみを吹き込んだところ、高炉の吹込み量は1.7t/h(原単位:6.1kg/t)まで増加させることが可能となった。この時の高炉吹込み量は41トン/日に相当する。粒径500μm超えの粉砕プラスチックはコークス品質に影響を与えない2mass%の条件で配合炭に配合し、コークス炉で利用した。その時のコークス炉での使用量は64トン/日であった。従って、粉砕プラスチック使用量合計は105トン/日(使用済みプラスチックとしては124トン/日)であった。
さらに、上記と同様の使用済みプラスチック164.4トンを、事前処理し、得られたプラスチック(138.3トン/日)を表1の条件において溶媒処理を行った。改質・脱塩素に用いた有機溶媒としてHOB(減圧蒸留塔での蒸留温度:255℃)と中ピッチの混合物を使用し、使用済みプラスチックとともに300℃で1.5時間加熱して、得られた処理物を冷却固化した。冷却後回収されたプラスチック固化体は160.8トンであり、これをハンマーミルにより粗粉砕し、図4に示す粒度分布を有する粉砕物を得た。全体の45mass%である、粒径500μm以下の粉砕物を高炉原料に、それ以外をコークス炉原料に用いた。処理プラスチックの高炉における吹込み量は3.0t/h(原単位:10.7kg/t)でも問題なく、この量は72トン/日に相当する。溶媒処理プラスチックは2mass%以上配合炭に配合してもコークス品質を低下させることはなく、粒径500μm超えの粉砕物を全量使用することができた。コークス炉においては、プラスチック粉砕物を原料配合率2.8mass%になるように石炭に配合して利用した。
Figure 0004424054
収集、分別された使用済みプラスチック164.4トン(可燃物:82.0mass%、磁性金属:2.6mass%、アルミ:1.9mass%、ガラス等無機物:3.4mass%、水分:10.1mass%)を、事前処理し、得られたプラスチック(141.0トン/日)に実施例1の溶媒処理と同様の、表2の条件の処理を行った。表2示すように5.88t/h、320℃の条件以外は実施例1と同じである。冷却後回収されたプラスチック固化体は164トンであり、これをハンマーミルにより粗粉砕し、図5に示す粒度分布の粉砕物を得た。全体の60mass%である、粒径500μm以下の粉砕物を高炉原料に、それ以外をコークス炉原料に用いた。処理プラスチック98.4t/日を高炉(内容積:3300m3、羽口本数:36本)の羽口の内8本に吹込み、還元材として利用した。処理プラスチックの原単位は14.5kg/tであった。溶媒処理プラスチックは2mass%以上配合炭に配合してもコークス品質を低下させることはなく、粒径500μm超えの粉砕物を全量使用することができた。プラスチック粉砕物のコークス炉における原料配合率は2.1mass%とした。
Figure 0004424054
高炉の羽口先で形成される燃焼帯の概略図。 本発明のプラスチックの利用方法の一実施形態を示す説明図。 粉砕物の粒度分布を示すグラフ。 粉砕物の粒度分布を示すグラフ。 粉砕物の粒度分布を示すグラフ。
符号の説明
1 羽口
2 使用済みプラスチック
3 燃焼帯(レースウェイ)
5 熱風
11 簡易前処理工程
13 改質・脱塩素工程
14 冷却工程
15 粉砕工程
16 分級工程
17 吹き込み手段
18 コークス炉
19 高炉

Claims (2)

  1. プラスチックを加熱した後に冷却して粉砕して得られたプラスチックの粉砕物を粒径の大きいものと小さいものとに分別し、粒径の小さいプラスチックの全部または一部を高炉の吹きこみ原料として利用し、粒径の大きいプラスチックの全部または一部をコークス炉で利用するプラスチックの利用方法において、前記プラスチックを加熱する際、プラスチックと有機溶媒に固体炭素物質を混合して、加熱した後に冷却して固化体とし、該固化体を粉砕して粉砕物を得て、粒径500μm以下の前記粉砕物を高炉の吹きこみ原料として用いることを特徴とするプラスチックの利用方法。
  2. 高炉の吹きこみ原料として用いる粉砕物が粒径75μm以下が80mass%以上の粒度分布を有することを特徴とする請求項1に記載のプラスチックの利用方法。
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