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JP4423830B2 - 積層型方向性結合器 - Google Patents

積層型方向性結合器 Download PDF

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JP4423830B2 JP2001254976A JP2001254976A JP4423830B2 JP 4423830 B2 JP4423830 B2 JP 4423830B2 JP 2001254976 A JP2001254976 A JP 2001254976A JP 2001254976 A JP2001254976 A JP 2001254976A JP 4423830 B2 JP4423830 B2 JP 4423830B2
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Murata Manufacturing Co Ltd
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、積層型方向性結合器、特に、携帯電話などの無線通信機器などに使用される積層型方向性結合器に関する。
【0002】
【従来の技術】
1/4波長に相当する電気長を有する伝送線路を用いた方向性結合器は、高周波機器に従来から用いられている。また、積層型方向性結合器も、小型であるという利点から携帯電話などの小型無線通信機器に広く用いられている。
【0003】
この種の方向性結合器として、図6に示す主線路3と副線路4をそれぞれ表面に設けた誘電体シート2や、グランド電極5,6をそれぞれ表面に設けた誘電体シート2などを積層したものが知られている。主線路3および副線路4は渦巻状のパターンであり、それぞれ1/4波長に相当するライン長を有している。主線路3と副線路4は誘電体シート2を挟んで対向し、長さ方向に並走している。つまり、主線路3と副線路4は、誘電体シート2の積み重ね方向に重なっており、いわゆるブロードサイド型の電磁気的結合をしている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の積層型方向性結合器1は、主線路3と副線路4が誘電体シート2を挟んで構成した電磁気的結合部を一つしか有していなかった。このため、方向性結合器1のサイズを変えないで方向性結合器1の中心周波数を低く(例えば420MHz帯に)したり、主線路3と副線路4の電磁気的結合度を上げたりする場合には、主線路3や副線路4のライン幅を細くしてライン長を長くしなければならなかった。しかし、ライン幅を細くすると、方向性結合器1の挿入損失特性が低下するという問題があった。
【0005】
そこで、本発明の目的は、主線路や副線路のライン幅を細くすることなく、ライン長を長くすることができ、小型化、低周波化および挿入損失改善が可能な積層型方向性結合器を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段と作用】
前記目的を達成するため、本発明に係る積層型方向性結合器は、
(a)少なくとも第1結合線路部と第2結合線路部とを有した主線路と、
(b)前記主線路の第1結合線路部と第2結合線路部にそれぞれ電磁気的に結合する第1結合線路部と第2結合線路部とを有した副線路と、
(c)前記主線路および前記副線路の少なくともいずれか一つの線路に対向したグランド電極と、
(d)前記主線路の第1および第2結合線路部と前記副線路の第1および第2結合線路部と前記グランド電極との間にそれぞれ配置された誘電体層とを備え、
(e)前記主線路の第1および第2結合線路部と前記副線路の第1および第2結合線路部と前記グランド電極と前記誘電体層とを積み重ねて積層体を構成するとともに、前記主線路の第1結合線路部と前記副線路の第1結合線路部が前記誘電体層を挟んで構成した電磁気的結合部、並びに、前記主線路の第2結合線路部と前記副線路の第2結合線路部が前記誘電体層を挟んで構成した電磁気的結合部を前記積層体の積み重ね方向に並置し、
(f)前記主線路の第1結合線路部と第2結合線路部の一端同士は、前記積層体の側面に設けられている主線路用中継外部電極を介して接続され、
(g)前記副線路の第1結合線路部と第2結合線路部の一端同士は、前記積層体の側面に設けられている副線路用中継外部電極を介して接続され
(h)前記主線路用中継外部電極と前記副線路用中継外部電極とは、互いに対向するように設けられていること、
を特徴とする。
【0007】
主線路の第1結合線路部と副線路の第1結合線路部の電磁気的結合部、並びに、主線路の第2結合線路部と副線路の第2結合線路部の電磁気的結合部を、積層体の積み重ね方向に並置することにより、同じ占有面積の従来の方向性結合器と比較して主線路や副線路のライン長を約2倍に長くすることができる。このため、ライン幅を細くすることなく、ライン長を長くすることができ、方向性結合器の小型化、低周波化および挿入損失改善が可能になる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る方向性結合器の実施の形態について添付の図面を参照して説明する。各実施形態において、同一部品および同一部分には同じ符号を付した。
【0010】
[第1実施形態、図1〜図3]
図1に示すように、積層型方向性結合器11は、主線路19の第1結合線路部19aおよび第2結合線路部19bをそれぞれ表面に設けた誘電体シート13,16と、副線路20の第1結合線路部20aおよび第2結合線路部20bをそれぞれ表面に設けた誘電体シート14,17と、グランド電極21,22,23をそれぞれ表面に設けた誘電体シート12,15,18等で構成されている。
【0011】
誘電体シート12〜18の材料としては、エポキシ等の樹脂あるいはセラミック誘電体等が用いられる。第1実施形態では、誘電体シート12〜18の材料として、誘電体セラミック粉末を結合剤と共に混練した後、シート状にしたものを用いた。各誘電体シート12〜18のシート厚は所定の寸法に設定されている。通常、第1結合線路部19a−20a間の距離と第2結合線路部19b−20b間の距離が等しく、かつ、第1結合線路部19a,20aや第2結合線路部19b,20bとグランド電極21〜23との間のそれぞれの距離がそれらよりも厚くしかも等しくなるように設定される。さらに、シート12,14,15,17は、他のシート13,16,18より厚く設定されている。このとき、シート12,14,15,17の厚さは、他のシート13等と同じシート厚のものを複数枚積み重ねて確保してもよいし、1枚の厚いシートを用いて確保してもよい。
【0012】
主線路19は、渦巻形状の第1結合線路部19aと第2結合線路部19bを、シート13〜15にそれぞれ設けたビアホール25を介して電気的に直列に接続することにより構成されている。副線路20は、渦巻形状の第1結合線路部20aと第2結合線路部20bを、シート14〜16にそれぞれ設けたビアホール25を介して電気的に直列に接続することにより構成されている。主線路19および副線路20は、それぞれ使用中心周波数の1/4波長に相当する電気長を有している。
【0013】
ここに、主線路19の第1結合線路部19aと副線路20の第1結合線路部20aは、シート13を挟んで対向するように形成されている。従って、第1結合線路部19aと20aのそれぞれの渦巻状パターン同士は、平面視で略重なっており、対向している部分でブロードサイド型の電磁気的結合をしている。同様に、第2結合線路部19bと20bのそれぞれの渦巻状パターン同士も、平面視で略重なっており、シート16を挟んで対向している部分でブロードサイド型の電磁気的結合をしている。
【0014】
また、主線路19は、そのライン長を副線路20のライン長と等しくするために、第1結合線路部19aと第2結合線路部19bのそれぞれの引出し部をシート13,16上に延設し、該引出し部と渦巻部の接続部分Aが折り返し構造になっている。なお、本第1実施形態の第1結合線路部19aと20aの電磁気的結合部のターン数と、第2結合線路部19bと20bの電磁気的結合部のターン数とは略等しいが、両者は異なっていてもよいことは言うまでもない。
【0015】
グランド電極21,22,23は、それぞれシート12,15,18の略全面に設けられている。グランド電極22の中央部には、ビアホール25とのショートを避けるための窓部22aが形成されている。これらのグランド電極21〜23は方向性結合器の特性を考慮して、主線路19や副線路20から所定の距離だけ離れた位置に配置されることが好ましい。主線路19、副線路20およびグランド電極21〜23は、スパッタリング法、蒸着法、印刷法、フォトリソグラフィ法などの方法により形成され、Ag−Pd,Ag,Pd,Cu等の材料からなる。
【0016】
各シート12〜18は積み重ねられ、更にその上下に保護シートが配置された後、一体的に焼成されることにより、図2に示すように、矩形体状の積層体30とされる。積層体30の側面には4個の入出力外部電極31a,31b,32a,32bと4個のグランド外部電極Gが形成されている。これらの外部電極31a〜32b,Gはスパッタリング法、蒸着法、塗布法、印刷法などの方法によって形成され、Ag−Pd,Ag,Pd,Cu,Cu合金などの材料からなる。
【0017】
積層体30の手前側の側面の左側に形成された入出力外部電極31aは、主線路19の一方の端部(具体的には、第1結合線路部19aの引出し部)に電気的に接続しており、奥側の側面の右側に形成された入出力外部電極31bは、主線路19の他方の端部(具体的には、第2結合線路部19bの引出し部)に電気的に接続している。
【0018】
積層体30の奥側の側面の左側に形成された入出力外部電極32aは、副線路20の一方の端部(第1結合線路部20aの引出し部)に電気的に接続しており、手前側の側面の右側に形成された入出力外部電極32bは、副線路20の他方の端部(第2結合線路部20bの引出し部)に電気的に接続している。グランド外部電極Gは、グランド電極21〜23に電気的に接続している。図3は、方向性結合器11の等価回路図である。
【0019】
こうして得られた積層型方向性結合器11は、主線路19の第1結合線路部19aと副線路20の第1結合線路部20aの電磁気的結合部、並びに、第2結合線路部19bと20bの電磁気的結合部の合わせて二つの電磁気的結合部を、積層体30の積み重ね方向に並置しているので、同じ占有面積の従来の方向性結合器(一つの電磁気的結合部しか有さないもの)と比較して主線路19や副線路20のライン長を約2倍に長くすることができる。このため、主線路19や副線路20のライン幅を細くすることなく、ライン長を長くすることができ、方向性結合器11の小型化、低周波化および挿入損失改善が可能となる。ここに、方向性結合器11のサイズ(代表値)は、長さが5.7mm、幅が5.0mm、高さが2.0mmである。
【0020】
[第2実施形態、図4および図5]
第2実施形態は、前記第1実施形態の方向性結合器11において、窓部22aを設けたグランド電極22の代わりに、窓部を有さないグランド電極を使用したものである。
【0021】
図4に示すように、積層型方向性結合器41は、副線路20の第1結合線路部20aを設けた誘電体シート14と、主線路19の第2結合線路部19bを設けた誘電体シート16との間に、引出し電極45,46を設けた誘電体シート42、グランド電極49を設けた誘電体シート43および引出し電極47,48を設けた誘電体シート44を配設している。なお、図4において、図1に示したグランド電極21,23を設けた誘電体シート12,18は図示していない。
【0022】
各シート12〜14,42〜44,16〜18は積み重ねられ、更にその上下に保護シートが配置された後、一体的に焼成されることにより、図5に示すように、矩形体状の積層体50とされる。積層体50の手前側の側面には入出力外部電極31a,32bおよびグランド外部電極Gが設けられ、奥側の側面には入出力電極32a,31bおよびグランド外部電極Gが設けられ、左右の端面にはそれぞれ中継外部電極51,52が設けられている。
【0023】
中継外部電極51には、引出し電極45,47の一端が電気的に接続され、中継外部電極52には引出し電極46,48の一端が電気的に接続されている。これにより、主線路19の第1結合線路部19aと第2結合線路部19bは、シート13,14にそれぞれ設けたビアホール25、引出し電極46、中継外部電極52、引出し電極48およびシート44に設けたビアホール25を順次介して電気的に直列に接続されている。同様に、副線路20の第1結合線路部20aと第2結合線路部20bは、シート14に設けたビアホール25、引出し電極45、中継外部電極51、引出し電極47およびシート44,16にそれぞれ設けたビアホール25を順次介して電気的に直列に接続されている。
【0024】
以上の構成からなる積層型方向性結合器41は、前記第1実施形態の方向性結合器11と同様の作用効果を奏する。しかも、副線路20の第1結合線路部20aと主線路19の第2結合線路部19bの間に配設されているグランド電極49に窓部がないので、第1結合線路部19a−20aの電磁気的結合と第2結合線路部19b−20bの電磁気的結合とか相互に干渉するのをより一層抑えることができる。
【0025】
[他の実施形態]
なお、本発明に係る積層型方向性結合器は前記実施形態に限定するものではなく、その要旨の範囲内で種々に変更することができる。例えば、二つ以上の主線路と該二つ以上の主線路にそれぞれ電磁気的に結合する一つの副線路にて構成された方向性結合器であってもよい。あるいは、二つ以上の副線路と該二つ以上の副線路にそれぞれ電磁気的に結合する一つの主線路にて構成された方向性結合器であってもよい。
【0026】
また、主線路や副線路のそれぞれの結合線路部の数は3以上であってもよい。この場合、主線路と副線路のそれぞれの結合線路部が結合して構成している3以上の電磁気的結合部は、積層体の積み重ね方向に並置されることになる。
【0027】
また、主線路および副線路の形状は任意であり、渦巻状の他に、蛇行状、直線状であってもよい。主線路および副線路は、必ずしも1/4波長の長さに設定する必要はなく、ライン幅も全ての線路が等しい寸法に設定される必要もない。
【0028】
また、主線路および副線路は、二つのグランド電極の間に配置されたストリップライン構造に限るものではなく、いずれか一方のグランド電極を省略した、いわゆるマイクロストリップライン構造であってもよい。
【0029】
さらに、前記第1および第2実施形態において、グランド電極21〜23,49およびグランド外部電極Gを省略してもよい。一般に、伝送線路の近傍に電極があると、この電極には伝送線路の磁界によって渦電流が発生し、伝送線路のQが劣化する。そこで、グランド電極21〜23,49を省略することにより、渦電流が発生する電極をなくす。この結果、主線路19や副線路20のQがアップし、方向性結合器11,41の挿入損失が向上する。なお、第1および第2実施形態では、第1結合線路部19a,20aと第2結合線路部19b,20bとでそれぞれ発生する磁束の方向が逆方向になるように、結合線路部19a,19b,20a,20bが巻回されている。これにより、グランド電極22,49を省略しても、第1結合線路部19a,20aで発生する磁束と第2結合線路部19b,20bで発生する磁束とが電磁的に結合しにくい構成になっている。
【0030】
さらに、前記実施形態は、それぞれ導体パターンが形成された誘電体シートを積み重ねた後、一体的に焼成するものであるが、必ずしもこれに限定されない。誘電体シートは予め焼成されたものを用いてもよい。また、以下に説明する製法によって方向性結合器を製造してもよい。印刷等の方法によりペースト状の誘電体材料にて誘電体層を形成した後、その誘電体層の表面にペースト状の導電性材料を塗布して導体パターンを形成する。次にペースト状の誘電体材料を上から塗布して誘電体層とする。同様にして、順に重ね塗りすることにより積層構造を有する方向性結合器が得られる。
【0031】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、主線路の第1結合線路部と副線路の第1結合線路部の電磁気的結合部、並びに、主線路の第2結合線路部と副線路の第2結合線路部の電磁気的結合部を、積層体の積み重ね方向に並置しているので、同じ占有面積の従来の方向性結合器と比較して主線路や副線路のライン長を約2倍に長くすることができる。このため、ライン幅を細くすることなく、ライン長を長くすることができ、方向性結合器の小型化、低周波化および挿入損失改善が可能になる。
【0032】
また、主線路や副線路の伝送線路に対向しているグランド電極を省略することにより、伝送線路の磁界によりグランド電極に発生していた渦電流損を削減できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る積層型方向性結合器の第1実施形態を示す分解斜視図。
【図2】図1に示されている積層型方向性結合器の外観を示す斜視図。
【図3】図2に示されている積層型方向性結合器の等価回路図。
【図4】本発明に係る積層型方向性結合器の第2実施形態を示す分解斜視図。
【図5】図4に示されている積層型方向性結合器の外観を示す斜視図。
【図6】従来の積層型方向性結合器を示す分解斜視図。
【符号の説明】
11,41…積層型方向性結合器
12〜18,42〜44…誘電体シート
19…主線路
20…副線路
19a,20a…第1結合線路部
19b,20b…第2結合線路部
21〜23,49…グランド電極
30,50…積層体

Claims (1)

  1. 少なくとも第1結合線路部と第2結合線路部とを有した主線路と、
    前記主線路の第1結合線路部と第2結合線路部にそれぞれ電磁気的に結合する第1結合線路部と第2結合線路部とを有した副線路と、
    前記主線路および前記副線路の少なくともいずれか一つの線路に対向したグランド電極と、
    前記主線路の第1および第2結合線路部と前記副線路の第1および第2結合線路部と前記グランド電極との間にそれぞれ配置された誘電体層とを備え、
    前記主線路の第1および第2結合線路部と前記副線路の第1および第2結合線路部と前記グランド電極と前記誘電体層とを積み重ねて積層体を構成するとともに、前記主線路の第1結合線路部と前記副線路の第1結合線路部が前記誘電体層を挟んで構成した電磁気的結合部、並びに、前記主線路の第2結合線路部と前記副線路の第2結合線路部が前記誘電体層を挟んで構成した電磁気的結合部を前記積層体の積み重ね方向に並置し、
    前記主線路の第1結合線路部と第2結合線路部の一端同士は、前記積層体の側面に設けられている主線路用中継外部電極を介して接続され、
    前記副線路の第1結合線路部と第2結合線路部の一端同士は、前記積層体の側面に設けられている副線路用中継外部電極を介して接続され
    前記主線路用中継外部電極と前記副線路用中継外部電極とは、互いに対向するように設けられていること、
    を特徴とする積層型方向性結合器。
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