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JP4417660B2 - 誘導加熱による熱処理方法 - Google Patents

誘導加熱による熱処理方法 Download PDF

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JP4417660B2
JP4417660B2 JP2003179991A JP2003179991A JP4417660B2 JP 4417660 B2 JP4417660 B2 JP 4417660B2 JP 2003179991 A JP2003179991 A JP 2003179991A JP 2003179991 A JP2003179991 A JP 2003179991A JP 4417660 B2 JP4417660 B2 JP 4417660B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、誘導加熱による熱処理方法および急速誘導加熱用半導体ウェハ構造に係り、特に半導体製造分野等において被加熱物である半導体ウェハを急速加熱する場合に好適な誘導加熱による熱処理方法および急速誘導加熱用半導体ウェハ構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
被加熱物を急速加熱することが求められる分野として、例えば半導体製造分野等がある。半導体製造分野では、半導体ウェハの大口径化とともに製品の品質向上、コストダウン、スループットの向上等が厳しく要求されてきている。このような現状において、半導体ウェハを急速加熱する方法として、ランプ加熱方式や誘導加熱方式を挙げることができる。
【0003】
このような方法を採用して半導体ウェハを加熱処理することが特許文献1に記載されている。特許文献1には、ランプ加熱方式と誘導加熱方式とが同列として記載されている。しかし、ランプ加熱方式は昇温性は良好であるが、温度を均一化することが難しいという問題がある。
これに対し、誘導加熱方式は、各誘導加熱コイル間の投入電力の制御が可能であれば、昇温性、温度均一性共に良好に加熱を行うことができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−60580号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、特許文献1に示されるような誘導加熱方式では、半導体ウェハを加熱する際、グラファイト等で形成されたサセプタを介して間接的に、半導体ウェハを加熱することとなるため、厳しく要求される加熱時間の短縮、例えば常温下に置かれた半導体ウェハを数十m・sで約1000℃まで加熱するということには対応することはできなかった。さらに、加熱時間が長いことからサーマルバジェットが大きいという問題もあった。
【0006】
本発明では、上記のような極短時間で半導体ウェハを所定温度まで昇温させることができ、サーマルバジェットを低減することができる誘導加熱による熱処理方法および急速誘導加熱用半導体ウェハ構造を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するための本発明に係る誘導加熱による熱処理方法は、同心円上に近接配置された複数の誘導加熱コイルによる誘導加熱を利用して被加熱物を加熱する熱処理方法であって、前記被加熱物に導電性物質を成膜して、予め定められた電圧、各誘導加熱コイル間の電流位相、周波数で前記被加熱物における前記導電性物質成膜面が要求温度に達するまでの時間、前記各誘導加熱コイルに電流を投入し、誘導加熱により前記導電性物質を加熱することで前記被加熱物を急速加熱することを特徴とする。
【0008】
また、被加熱物に導電性物質を部分的に成膜して、誘導加熱により前記被加熱物を加熱すると共に前記導電性物質を加熱することで、前記被加熱物を部分的に急速加熱するようにしても良い。
また、前記導電性物質は、前記被加熱物よりも電気抵抗値が低い物質であるようにすると良い。
上記のような誘導加熱による熱処理方法において、前記被加熱物は半導体ウェハであるようにすると良い。
【0009】
また、前記導電性物質の成膜は、膜厚調整が容易で膜厚を均一に形成することが可能な蒸着により行うようにすると良い。
【0010】
【作用】
上記構成の誘導加熱による熱処理方法において、被加熱物に導電性物質を成膜して誘導加熱するようにしたことにより、被加熱物の急速加熱が可能となった。具体的には1〜数十m・sで前記被加熱物を約1000℃まで加熱することも可能となる。また、従来必須であったサセプタを必要としなくなったため、誘導加熱装置をコンパクト化することができる。さらに、急速加熱により熱処理を短時間で行うことが可能になったため、省エネ化を図ることができる。
【0011】
また、前記絶縁性物質を前記被加熱物に成膜する際、前記被加熱物の表面に部分的に成膜するようにすることで、前記被加熱物における熱処理要求箇所のみを加熱することも可能になる。よって、前記被加熱物内に温度差を生じさせて加熱することが可能になり、サーマルバジェットを低減することができる。よって、均一加熱が出来ないような被加熱物(全体を加熱してしまうと不具合が生じてしまうもの)であっても熱処理を行うことができる。また、前記導電性物質を成膜した面のみを局所的に加熱することもできる。
さらに、前記導電性物質を瞬間的に昇温させることができるため、前記導電性物質を加熱溶解させる場合であっても、構成物質に与える熱影響を少なくすることができる。
【0012】
また、前記導電性物質を前記被加熱物よりも電気抵抗値が低い物質とすることにより、前記導電性物質は前記被加熱物よりも誘導加熱されやすくなるため、前記被加熱物の昇温効率を向上させることができる。
また、前記被加熱物を半導体ウェハとすることで、半導体ウェハを熱処理する際に上記作用を得ることができる。
【0013】
さらに、上記誘導加熱による熱処理方法で加熱される急速誘導加熱用半導体ウェハ構造は、急速加熱を行うために少なくとも一方の半導体ウェハ板面に対して導電性物質を成膜するようにしたことにより、誘導加熱による急速加熱が可能な半導体ウェハとすることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下本発明に係る誘導加熱による熱処理方法について図面を参照しつつ詳細に説明していく。なお、以下に示すものは、本発明に係る一部の実施形態であり、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0015】
図1は、半導体ウェハを急速加熱する場合の形態を示す図である。
本実施形態では、被加熱物である半導体ウェハ10表面に導電性物質12を成膜した後、インバータ16によって制御される誘導加熱コイル14により加熱される。前記導電性物質12を前記半導体ウェハ10に成膜することにより、後述するように前記半導体ウェハ10を誘導加熱する際の昇温効率を向上させることができ、わずかな時間で前記半導体ウェハ10を昇温させる(急速加熱させる)ことができるようになる。
【0016】
前記半導体ウェハ10は円形薄板であり、前記導電性物質12は前記半導体ウェハ10の片側の板面にのみ成膜される(図中面B)。この場合、半導体ウェハ10における導電性物質12を成膜されていない面(図中面A)は、加工面や他の薄膜形成面等であっても良い。
前記導電性物質12の成膜は、例えば蒸着により成されるようにすれば良い。
【0017】
誘導加熱コイル14は、前記半導体ウェハ10と同芯円となるように複数のコイルがいわゆるバウムクーヘン型に配置されている枚葉式加熱装置のものを使用すれば良い。本実施形態では、要求に応じて数十m・sで前記導電性物質12を約1000℃まで昇温することができるようにし、前記誘導加熱コイル14に予め設定しておいた、電圧・各誘導加熱コイル間の電流位相・周波数を規定時間投入するプリセット式の加熱を行うようにする。なお、加熱方式はプリセット式に限定するものではない。
【0018】
以下に本実施形態についての実施例について説明する。
半導体ウェハ10は、円形薄板であり、厚みを0.1mmとする。この場合、導電性物質12は前記半導体ウェハ10の片側板面に50μm程度成膜することとする。前記導電性物質12としては、誘導加熱されやすい物質、例えば、固有抵抗が数十μΩ・cm程度のものが好ましい。具体的には、チタンやタンタルといった物質で良い。また、前記導電性物質12を前記半導体ウェハ10に成膜する際には、蒸着により行うようにする。
【0019】
このような構造の半導体ウェハ10および導電性物質12は、各ゾーン毎に分割された誘導加熱コイル14(14a、14b、14c、14d、14e、14f)によって誘導加熱される。
各誘導加熱コイル14に投入する電圧・各誘導加熱コイル間の電流位相・周波数、および時間は予め決められており、プリセット方式により瞬間的に(前記導電性物質が要求温度に達するまでの設定時間)各誘導加熱コイル14に投入される。
【0020】
前記電力の投入により、前記導電性物質12および半導体ウェハ10の内部には渦電流が発生し、当該導電性物質12は1m・s〜数十m・sの間に要求温度である約1000℃まで昇温する。このとき、前記半導体ウェハ10は、前記導電性物質12に比べ電気抵抗値が高いため、渦電流の発生が少なく、前記導電性物質12よりも発熱量が小さい。しかし、前記半導体ウェハ10は前記導電性物質12の発熱によっても加熱されるため、結果として効率良く昇温されることとなる。また、前記半導体ウェハ、例えばシリコンウェハは、温度上昇と共に電気抵抗値が低下する性質がある。よって昇温と共に電気抵抗値が低下し、誘導加熱による昇温効率が上昇する。このような相乗効果により前記半導体ウェハ10は急速加熱されることとなる。
【0021】
前記導電性物質12の昇温に伴い、前記導電性物質12が成膜された半導体ウェハ10は、前記誘導加熱と前記導電性物質12からの熱伝導により昇温する。前記導電性物質12の加熱は瞬間的なものであり、導電性物質12の温度が要求温度に達した時点あるいは達したと予想される時点で加熱を停止するように設定されているため、前記半導体ウェハ10は面A側と面B側とでは昇温温度が異なることとなる。すなわち、導電性物質12から直接熱伝導のある面B側ではその表面温度は約900℃程度にまで達する。一方、半導体ウェハ10の内部を伝わり加熱されることとなる面A側では、表面温度が約500℃程度に抑えられることとなる。つまり、被加熱物に対するサーマルバジェットを低減することができる。
【0022】
また、このように瞬間的に被加熱物の加熱を行うことにより、相互誘導の影響を考慮する必要がなくなるため、誘導加熱コイル14への投入電力を細かく制御するという必要がなくなる。
【0023】
上記実施例では、被加熱物である半導体ウェハ10に対して導電性物質12を十分に薄く形成し、発熱量を抑えるようにしているが、例えば、前記導電性物質による成膜を厚くすることにより、前記導電性物質12の発熱量を増加させ、前記半導体ウェハ10全体を急速加熱するようにすることもできる。
【0024】
また、被加熱物全体を導電性物質12で成膜するようにすることもできる。このように被加熱物全体を成膜した上で誘導加熱を行うことにより、被加熱物を急速加熱しつつ全体をムラなく加熱することができる。
【0025】
さらに、前記導電性物質12を前記被加熱物に成膜する際には、前記被加熱物の表面に対して部分的に導電性物質12を成膜するようにしても良い。こうすることにより、前記被加熱物における熱処理要求箇所のみを加熱することも可能になる。
【0026】
上記実施形態では、いずれも被加熱物を半導体ウェハとしていたが、本発明に係る誘導加熱による熱処理方法を実施する場合の被加熱物は絶縁体であっても良い。例えば被加熱物をガラスやセラミックス等とした場合にも、前記物質を効率良く瞬間加熱することができるし、前記物質のうち導電性物質を成膜させた部分の面のみを局所的に加熱するということも可能となる。よって、例えば電子部品のパッケージ等を封止する場合等であっても、他の部品に熱の影響を与えることなく前記導電性物質を加熱溶解させて封止すること等も可能となる。
【0027】
上記のような誘導加熱による熱処理方法において、前記導電性物質は、前記被加熱物よりも電気抵抗値が低く誘導加熱されやすい物質であるようにすることで、前記被加熱物の昇温効率を向上させることができる。
また、被加熱物に導電性物質を部分的に成膜して、誘導加熱により前記被加熱物を加熱すると共に前記導電性物質を加熱することで、熱処理要求箇所のみを部分的に加熱することも可能になる。
【0028】
また、前記導電性物質を成膜した面のみを局所的に加熱することもできる。さらに、前記導電性物質を瞬間的に昇温させることができるため、前記導電性物質を加熱溶解させる場合であっても、構成物質に与える熱影響を少なくすることができる。
【0029】
また、前記誘導加熱による被加熱物の加熱は前記導電性物質成膜面が要求温度に達するために設定された時間の間行われ、前記被加熱物内に要求される温度分布を生じさせるようにすることで、サーマルバジェットを低減することができる。よって、均一加熱が出来ないような被加熱物(全体を加熱してしまうと不具合が生じてしまうもの)であっても熱処理を行うことができる。
【0030】
また、前記導電性物質の成膜は、蒸着によって成されるようにすることで、前記導電性物質を被加熱物表面に薄膜形成することができる。また、前記薄膜の膜厚調整が容易となる。
さらに、上記誘導加熱による熱処理方法で加熱される誘導加熱用半導体ウェハは、急速加熱を行うために少なくとも一方の半導体ウェハ板面に対して導電性物質を成膜することで、誘導加熱による急速加熱が可能な半導体ウェハとすることができる。
【0031】
上記実施形態および実施例では、導電性物質の成膜は、蒸着により行うように記載したが、被加熱物表面に前記導電性物質を成膜することができれば、導電性物質から成るフィルムを貼り付けるようにしたり、プリントにより導電性物質を被加熱物表面に塗布するようにしても良い。
また、半導体ウェハを熱処理する際に枚葉式の誘導加熱装置を使用するようにしたが、バッチ式であっても良い。
【0032】
【発明の効果】
本発明に係る誘導加熱による熱処理方法において、被加熱物に導電性物質を成膜して、誘導加熱により前記導電性物質を加熱することで前記被加熱物を急速加熱することを特徴とするようにしたことで、被加熱物の急速加熱が可能となった。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明に係る誘導加熱による熱処理方法により、半導体ウェハを急速加熱する場合の形態を示す図である。
【符号の説明】
10………半導体ウェハ、12………導電性物質、14(14a、14b、14c、14d、14e、14f)………誘導加熱コイル、16………インバータ。

Claims (3)

  1. 同芯円上に近接配置された複数の誘導加熱コイルによる誘導加熱を利用して被加熱物を加熱する熱処理方法であって、前記被加熱物に導電性物質を成膜して、予め定められた電圧、各誘導加熱コイル間の電流位相、周波数で前記被加熱物における前記導電性物質成膜面が要求温度に達するまでの時間、前記各誘導加熱コイルに電流を投入し、誘導加熱により前記導電性物質を加熱することで前記被加熱物を急速加熱することを特徴とする誘導加熱による熱処理方法。
  2. 前記導電性物質は、前記被加熱物よりも電気抵抗値が低い物質であることを特徴とする請求項1に記載の誘導加熱による熱処理方法。
  3. 前記被加熱物は半導体ウェハであることを特徴とする請求項1または請求項2に記載の誘導加熱による熱処理方法。
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