JP4416862B2 - 精製法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、触媒の存在下に飽和低級カルボン酸をオレフィンに直接添加することによりエステルを製造する方法及び前記方法への再循環流を精製して触媒活性及び触媒の寿命を延ばす方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
酸触媒の存在下に酢酸を用いるエタノール又はn−ブタノールのエステル化により酢酸エチル又はn−ブチルアセテートなどのエステルを製造する方法は公知である。そのような1つの方法は、GB-A-1438410に記載されている。酸のオレフィンへの添加によりこれらエステルを製造することは公知である。酢酸をエチレンに直接添加することにより酢酸エチルを製造する方法は、ある範囲の副産物及び不純物を生成する。主な副産物の一部は、酢酸のエステル化により作られる酢酸エチルから除去される副産物(例えばエタノール並びにジエチルエーテル)と類似しているが、この方法とは本質的に異なり、従って不純物として全く異なる範囲の副産物を生成する。更には、エチレンが反応体の1つであるため、そのオリゴマー化において、特にエタン並びにブタンから炭素原子10〜12個もしくはこれ以上の長鎖の炭化水素までの炭化水素を包含する範囲の副産物を生じる。これら副産物は、飽和及び不飽和炭化水素の両方を包含し得るものであり、更に酸素添加化合物を包含し得る。この直接添加反応間において徐々に触媒が不活化するのが観察され、その1つの理由が芳香族並びにオレフィン物質に由来のコークスの生成であると考えられていることは周知である。しかし、今日まで直接添加反応における生成物流れ中において芳香族物質は検出されていない。
【0003】
この触媒の不活化を最小限にするため、直接添加反応間において蒸留及び再循環の工程を包含する生成物精製法を用いるよう決定された。蒸留の概略は、主に液体添加反応生成物を(フラッシュ分離器を介して)供給して、過剰/未反応の酢酸及び重い産物を除去する第1カラム、軽い産物、エタノール及び水を除去して粗製酢酸エチルを生成する第2カラム、アルコール(及び若干の酢酸エチル)を水と分離して再循環用のアルコールの回収を可能にする第3カラム、並びに第2カラムからの粗製酢酸エチルから不純物を取り除き、次いで共沸混合物として水及びこのカラムのベースからパージされた中間の産物を用いて第2カラムのオーバーヘッドを通過した全ての残余の副産物を除去することにより精製する第4カラムからなる。しかし、これまで使用されてきた設計は、反応過程中に生成されるアルデヒド副産物(触媒の不活化を引き起こすことが知られている)を除去するための対策ではない。その理由は、これまで触媒の不活化は上述の通り芳香族またはオレフィンのコークス化によるものであると考えられてきたためである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
ここで、直接添加反応において製造される酢酸エチルに対して、蒸留法が、直接添加法に特有の不純物の新たな範囲を除去するばかりでなく、再循環流の質を十分にすることにより触媒の活性もしくは寿命の障害を確実に回避し得ることを見出した。
【0005】
【課題を解決するための手段】
従って、本発明は、触媒の存在下にエチレンを酢酸と反応させて酢酸エチルを生成し、この再循環流を精製することからなる直接添加法の反応生成物の精製法であって、前記精製法は、
(i) 反応生成物を酸除去カラム(A)に供給し、ここで酢酸をカラムのベースから除去し、特に炭化水素、酢酸エチル、エタノール、ジエチルエーテル、及び水をからなる軽い産物含む少なくとも1つの画分をオーバーヘッドで回収し、デカンター(A1)に供給して前記オーバーヘッドを酢酸エチルに富む相と水相(水に富む相)とに分離する工程、
(ii) 前記酢酸エチルに富む相の少なくとも一部とデカンター(A1)からの水相の実質的に全てを還流として再循環させ、カラム(A)にその頂部もしくはその近くにおいて別々に戻す工程、
(iii) デカンター(A1)からの酢酸エチルに富む相の残りを精製カラム(C)にその頂部もしくはその近くにおいて供給する工程、
(iv) カラム(C)から:
(a) 精製カラム(E)に供給する実質的に精製された酢酸エチルからなるベース生成物
(b) アルデヒド除去カラムに供給する、特にアセトアルデヒド及びジエチルエーテルを包含する軽い産物からなるオーバーヘッド生成物、及び
(c) 酢酸エチルに富む相の供給位置より低い位置においてカラム(A)から除去される、主に酢酸エチル、エタノール及び若干の水からなるサイドドローを取り出す工程、
(v) アルデヒド除去カラムの頂部もしくはその近くにおいてアセトアルデヒドを含むパージを除去し、アルデヒド除去カラムのベースから回収したジエチルエーテルをエステル化反応器に再循環させる工程、次いで
(vi) 精製酢酸エチルをカラム(E)において精製する工程
からなることを特徴とする精製法である。
【0006】
【発明の実施の形態】
この添加反応において使用する触媒は酸触媒が適しており、リン酸、ホスホン酸並びにヘテロポリ酸触媒から選択することができる。好適には、担体に担持されているヘテロポリ酸触媒である。使用する担体としてはシリカが適しており、任意の形態、もしくはビーズ、凝集物、小球、ペレット、押出物並びに顆粒から選択することができる。そのようなシリカの特定な例には、デグサ[Degussa] 350 シリカ(例えばデグサ製)及びグレース[Grace]57 グレード シリカ(例えばW.R.グレース製)が包含されるが、これらに限定されるものではない。反応は、市販の酢酸を用いて実施することができ、また、反応生成物から回収される量のジエチルエーテルも包含することができ、この工程に再循環される。
【0007】
下記の表は、直接添加反応の反応生成物の典型的な組成を示しており、酸除去カラム(A)への供給原料として使用される。触媒の老化及び方式に依存して、方法を成分の相対的濃度を変化させて操作する。下記の表4は、一般に観察されるものを示す。
【0008】
【表4】
【0009】
直接添加法による酢酸エチルの製造の間において蒸留装置中の精製セクションの概略を下記に示す。蒸留装置は、少なくとも5つのカラムからなるのが適する。第1カラムは、反応体酢酸及び「重い産物」から生成物流れを分離する酸除去カラム(A)である。カラム(A)のベースからの酸の少なくとも一部、水及び重い産物は、パージとしてカラム(A)のベースもしくはその近くにおいて除去することができ、随意にイオン(例えばカチオン)交換樹脂床に通して、溶解/懸濁する腐食性金属を除去することができ、次いでそこからの溶出液を蒸発器に供給して、再循環可能な酢酸を生成させるが、これは新たな酢酸と混合することができ、エチレン反応体を飽和させるために使用され、反応器に供給される。特に炭化水素、酢酸エチル、エタノール、ジエチルエーテル並びに水からなる少なくとも1つの画分をオーバーヘッドで回収し、前記オーバーヘッドを酢酸エチルに富む相と水相(水に富む相)とに分離するためにデカンター(A1)中に供給する。カラム(A)から生じた生成物流れは、次いで酢酸エチル精製カラム(C)に供給され、主にジエチルエーテル、アセトアルデヒド及び他の軽い産物からなる揮発性物質の流れを、生成物流れからの蒸留物としてオーバーヘッドで除去する。精製カラム(C)からの蒸留物流れは、次いでアルデヒド除去カラムに送られ、アセトアルデヒドを蒸留により蒸留物としてジエチルエーテルから除去する。
【0010】
アルデヒドカラムのベースから生じる若干の他の軽い産物を包含するジエチルエーテルの流れのほとんどは、再循環流として反応器に戻されるが、この流れのごく一部は方法からパージされる。これは、軽い産物の不純物の増加を回避させる。エタノール及び水(若干の酢酸エチルと一緒)は、カラム(C)からサイドドローとして取り出すのが適しており、適切には冷却後に取り出されて混合器に送られるが、混合器は静電混合器[static mixer]として均質な混合並びにそれらの融合を達成し得るものであり、均質混合物はデカンター(C1)に供給され、酢酸エチルを含む有機相を、エタノールを含む水相から分離することができ、随意に1工程以上の洗浄後に水を用いて洗浄してエタノールを水と一緒に除去して水相に洗い出してもよい。2つの相の分離を、例えばプレートパッキン[plate packing]などのデカンターの内部のものを使用することにより補助することができる。エタノールのほとんどを含む水相は、水精製カラム(D)に送られるのが適しており、そこからエタノールに富むオーバーヘッド流れを回収することができるが、本質的に水からなるベース流れを回収することもできる。有機相は、分離相として存在する低濃度の水相を含有し、全有機相中の水相の濃度は1000ppm未満が適しており、好適には300ppm未満であり、典型的には約90〜220ppmであるが、カラムのコストを将来的に維持し、且つこれを上回らないようにするのであれば、この濃度を低いレベルに減少させるのが有益である。酢酸エチル相への漏れ出る水相の量は、デカンター内の均質混合物の滞留時間を制御する及び/又はデカンターの内部のものを使用することにより減少させることができる。デカンター(C1)から回収した有機相は、カラム(C)に戻すのが適しており、好適には上述のカラム(C)からのサイドドローの取り出し位置より少し低い位置で戻す。粗製酢酸エチルは、カラム(C)のベースに送り、酢酸エチルポリッシュカラム(E)に供給するのが適する。カラム(E)の機能は、粗製酢酸エチル流れから、中間の産物の一部及び重い産物の炭化水素の全てを分離することである。これは、蒸留技術を用いて実施するのが適しており、これによりこれらの不純物を濃縮することができ、カラム(E)のベースからパージする。精製された酢酸エチル生成物は、カラム(E)のヘッドから取り出される。カラム(E)から生じた酢酸エチルを更に精製/処理することを所望する場合は、幾つかの任意のポリッシュ床/カラムに通してもよい。
【0011】
低圧フラッシュ系を出た液体は、酸除去カラム(A)に入り、その機能は生成物流れから酢酸及び全ての重い炭化水素を分離する。このカラム(A)は大気圧下もしくは高圧下で操作することができる。
【0012】
【実施例】
この例の目的のために、本発明者らは、実際の実験的トレー[tray](対応するトレー効率を用いる)又は分離に必要な理論的ステージ数によって、カラムの分離能を定義する。この定義は、使用すべき蒸留トレーのトレー効率(もしくは充填したカラムを使用すする場合に理論的プレートと同等の高さ[height equivalent to theoretical plate](HETP))が知られているならば、変えることができる。この例において、カラム(A)は大気圧下で操作され、(頂部から)トレー33に位置する供給点を備える53のトレー(27理論的ステージの全てを与える約50%の効率を有する)を有する。酢酸エチル生成物、共沸混合物として存在するエタノール及び/又は水、並びに全ての軽い産物は、ヘッド流れとしてカラム(A)のヘッドを通過し、濃縮されて、適切には予備冷却されて40℃で操作されるデカンターに送られる。ここでヘッド流れは、2つの相、1つは酢酸エチルに富む相、他方は水相(水に富む相)とに分離し得る。カラム(A)は、0.5:1の有機還流比(内部還流を考慮する場合、全有機還流比は1:1になる)で操作され、有機生成物の半分がカラム(A)に戻される。水相の全ては、還流として更に戻される。これはカラム(A)における分離を助けるが、水相は相対的に高い濃度のアセトアルデヒドを含む。この水相を直接に水精製カラム(D)に送る場合、アセトアルデヒドはエタノールを用いて必然的に反応器に再循環される。これは、触媒におけるアセトアルデヒドの有害作用のために回避しなければならない。この方法における水相の還流は、系に入るアセトアルデヒドの全てを酢酸エチル精製カラム(C)に通すことを確実にし、系からアセトアルデヒドを除去し得る。
【0013】
カラム(A)の操作に2つの択一的方法がある。これらは、(a)酢酸エチル添加モード又は(b)水添加モードのいずれかのカラムを用いる。前者のモード(a)は、カラム(A)のベースにおける水を重要な制御変数としているために、エステル化において慣用である。水添加モードではカラム(A)を操作し得ない程、水を低く維持することが必要である。カラム(A)をいずれのモードでも操作し得るが、水添加モードは、有機還流を大部分自由に動かすことができ、これにより資本及び操作コストの両方を節約するという実質的な利点を提供する。2つのモード(大気圧下での操作)の詳細をそれぞれ下記の表5〜8に示す。
【0014】
a.酢酸エチル添加モード
【0015】
【表5】
【0016】
系に入る全てのエチレン及び全ての低級炭化水素はカラム(A)において取り出すことができ、オーバーヘッドで除去することができる。上記条件下において、表6に示す温度分布が観察された。
【0017】
【表6】
【0018】
b.水添加モード
慣用のエステル化法とは異なり、カラム(A)の中央のセクションを実質的に水からなる液体で満たし、カラム(A)を操作することが可能である。これは、酸がカラム(A)を下り、酢酸エチルがカラム(A)を上ることを意味する。カラム(A)は、酢酸エチル添加モードに必要な還流よりも少ない還流で操作することができ、これにより流れの使用を最小限にする。37の理論的ステージの運転で得られたこのモードにおける流れの組成を下記の表7に示す。
【0019】
【表7】
【0020】
カラム(A)の温度分布を下記の表8に示す。
【0021】
【表8】
【0022】
イオン交換床及び蒸発器
随意にイオン交換樹脂床を使用して、カラム(A)のベースから回収された未反応の酢酸、水及び重い産物からなる液体から不純物を除去することができるが、液体を随意にイオン交換床に供給して溶解/懸濁している腐食性金属を除去し、且つ酢酸と水からなる溶出液を生成させる前に、融合器に供給して全ての油性物質(未反応の酸中に分散した重い炭化水素)を除去するのが適している。この床で使用するイオン交換樹脂は、ピューロライト[Purolite](登録商標)CT145(例えばピューロライト製)もしくはアンバーリスト[Amberlyst](登録商標)A16(例えばRohm&Haas製)などのカチオン交換樹脂が適している。これらの樹脂は、カラム(A)のベースにおいて出会う温度で比較的に安定である。液体をこれらの樹脂床に供給し、酸をカラム(A)に通しながら、腐食により反応体の酸に溶解し得る任意の金属を除去する。腐食により生成するそのような金属は触媒毒として知られており、この工程は、蒸発器のヘッドを通過する全ての連行される金属から反応器及び触媒を保護し、これにより触媒における重金属の沈着の危険を減少させる。
【0023】
樹脂床を出た液体(即ち溶出液)は、次いで5つのトレー(約50%のトレー効率)からなる蒸発器のトレー2(頂部から)に通され、エチレン反応体は同じ蒸発器の底部に供給され、これにより酸並びにこれに供給される全ての再循環流を蒸発させる。蒸発器は、一番上のトレーもしくはその上方に液体デミスター[demister]を含み、全ての液体キャリオーバー[carry over]を最小限にするものが適する。新たな酢酸を蒸発器の一番上のトレーの上方に供給し、再循環した酸の蒸気をスクラブするのが適しており、蒸発器を昇ることより蒸発した酢酸及びエチレンと一緒の全ての重金属キャリオーバーを防止する。この方法において、必要とされる樹脂床を減らすことができる。
【0024】
蒸発器は、更に再循環した酸中に存在する全ての重い産物の分離作業を実施する。これらは、蒸発器のベースにおいて酸の一部と共に濃縮され、約83kg/hrの速度で系からパージすることができる。
【0025】
蒸発器から生じた蒸発した酸(及び任意の水)で飽和したエチレンは、直接添加反応器に供給する前に更に加熱するのが適している。
【0026】
直接添加反応器装置は、4つの固定床断熱反応器よりなるのが適しており、これらは半径流[radial flow]配列に配置されるのが好適である。発熱は各床に負荷される触媒に依存するが、一般的に触媒床を越えて5〜15℃、例えば約8〜8.5℃の範囲である。反応は蒸気相で開始し、各反応器への入口温度は約175℃が適するが、これは触媒の条件により変化し得る。
【0027】
酸の流れを第1の3つの反応器の流出気体に注入し、反応器の各入口点におけるエチレンと酸との比を予め決定された範囲内で最小にする。水をこれらの反応器に添加して、系において次に続く反応器に供給される気体の温度の制御を予め決定された範囲内に維持することができる。
【0028】
できるだけ多くの熱の回収を実施するために、反応器装置を出る流出気体を上述の蒸発器からの気体流と交換させ、次いで下記する酢酸エチルポリッシュカラム(E)において再度沸騰させるエネルギー源として使用し、最終的に蒸発器に入る気体を予備加熱する。冷却した反応器の流出気体は、液体/気体分離系、適切には高圧下、例えば1100KPa(10barg)で操作される高圧蒸気/液体分離器(以後、“HPVLS”と称する)に導入される前に、更に冷却されて液体に凝縮する。これは、全ての未反応エチレンの蒸気をオーバーヘッドにフラッシュし、方法のループに再循環するのを可能にする。再循環の間、コンプレッサーとパージを用いて蒸発器に再循環されるエチレンは、この再循環流から取り出され、再循環ループにおいて、例えばエタン、ブタン、窒素並びに一酸化炭素などの不活性物質の増加を抑制する。HPVLSへの供給原料を冷却する理由は、凝縮し得ない原料及び副産物から大部分の酸並びに酢酸エチル生成物を分離するためである。これらの生成物をできるだけ低い温度に冷却する理由は、オーバーヘッドで運搬される全てのアセトアルデヒドを最小限にし、且つアセトアルデヒドの除去を最大にするためである。HPVLSは、それ自身を冷却することにより、HPVLS中の全てアセトアルデヒドを液体流中に閉じ込め、このHPVLSのベースから回収させ得る。HPVLS中に残留する液体流は、約200KPa(1barg)及び40℃で操作される低圧蒸気/液体分離器(以後、“LPVLS”と称する)に通される。従って、この流れの中の全ての気体をオーバーヘッドで取り出し、このオーバーヘッド気体流をスクラブして更にその中の全てのアセトアルデヒドを除去することができる。LPVLSからの液体は、酢酸回収カラム(A)に注入され、そこで酢酸、重い産物、並びに大部分の水を酢酸エチル、エタノール及び任意の残りの反応器生成物から分離する。酢酸は、適切には約138℃及び約320KPa(2.2barg)の圧力で操作されるこのカラム(A)のベースから任意の重い不純物と共に回収され、この流れは酸蒸発器に再循環される。この酸回収カラム(A)からの液体オーバーヘッド流れは2相(水相及び有機相)にあり、デカンターを用いて2つの相に分離することができる。水相は、還流としてカラム(A)に戻すことができ、結果として酸と共にカラムのベースから回収される。有機相は、還流として部分的にカラム(A)に戻すことができるが、主にカラムのヘッド生成物として回収され、下記する酢酸エチル精製カラム(C)に注入される。酢酸エチル精製カラム(C)からの蒸留物流れは、下記するようにアセトアルデヒド除去カラムに供給される。
【0029】
酢酸エチル精製カラム(C)
特にアセトアルデヒドとジエチルエーテルを含有する全ての軽い産物不純物を含む、デカンター(A1)からの酢酸エチルに富む相は、250KPa(1.5barg)及び27.4:1モル還流比で操作される48の理論的ステージを含む酢酸エチル精製カラム(C)のステージ12(頂部から)に供給された。このカラムの主な機能は、生成物流れからのエタノール、水及び軽い産物不純物を除去することである。エタノールと水は、若干の酢酸エチルと共にステージ20においてこのカラムからサイドドローとして取り出された。エタノールは、次にデカンターの上流にある静電混合器に9500kg/hrの速度(有機相と水相との流速(kg/hr)比約8.5〜9.5:1を与える)で導入された水を用いてこの流れから洗浄され、次いで40℃でデカントされた。酢酸エチル相をサイドドローの位置のすぐ下の位置でカラムに戻した。エタノールを含む水相は、カラム(D)に注入された。
【0030】
この流れに入る有機物が最終的にカラム(D)に戻される傾向があるため、カラム(C)への供給位置をサイドドローの位置より十分に上にして、軽い産物及び特にアセトアルデヒドが洗浄デカンターに入るのを回避した。従って、軽い産物の成分はカラム(C)の頂部セクションに蓄積され、ヘッド流れとして除去された。このカラムへの供給原料中に残留する全てのエチレン及び低級炭化水素は、カラム(C)から取り出し、この流れ中の全てのアセトアルデヒドを凝縮させ、上流セクションに再度導入させるような蒸気/液体分離器を介してオーバーヘッドで反応器に戻してもよい。カラム(C)からの種々の流れの典型的組成を下記の表9に示す。
【0031】
【表9】
【0032】
カラム(C)の温度分布を下記の表10に示す。
【0033】
【表10】
【0034】
中間の産物不純物が低濃度で生成されるような方法で反応器を操作した場合、カラム(E)を迂回し、酢酸エチルポリッシュカラム(E)に操作に伴う蒸気の使用を節約することができる。これらの環境下において、酢酸エチル生成物をカラムの底部と近接したサイドドローとして取り出すことができる。この場合、低揮発性の重い炭化水素は、カラム(E)において操作されるよりもむしろ、カラム(C)のベースからパージされる。この実施態様においては、カラム(C)ベース流れが生成物流れとなる。
【0035】
アセトアルデヒド除去カラム
カラム(C)からのヘッド流れは、10の理論的ステージを有する小さいアセトアルデヒド除去カラムのステージ4(頂部から)に送られる。この流れに存在する成分の揮発性は、少なくとも400KPa(少なくとも3barg)の高圧及び26:1のモル還流比でのこのアセトアルデヒド除去カラムの操作を必要にする。カラムは、600KPa(5barg)までの圧力の範囲内で操作することができ、既に存在する場合、全ての不活性物質のより効率的な除去を可能にする。従って、アセトアルデヒド除去カラムは、10の理論的ステージを有し、これらの条件下では、アセトアルデヒドの98重量%がアセトアルデヒド除去カラムからのヘッド流れとして系からパージされたが、流れは更に少量のジエチルエーテルを含有していた。エーテルの損失は、この流れにおいて9重量%と積算された。アセトアルデヒド除去カラムからのベース流れは、60重量%のジエチルエーテルを含有しており、残りは軽い産物不純物であった。
【0036】
600KPa(5barg)で操作したこのアセトアルデヒド除去カラムからの流れの組成を下記の表11に示す。
【0037】
【表11】
【0038】
このアセトアルデヒド除去カラムの温度分布を下記の表12に示す。
【0039】
【表12】
【0040】
メチルペンタンなどの軽い産物の増加を回避するために、反応器に戻す前に、70.5kg/hrでベース流れからパージした。
【0041】
水精製カラム(D)
カラム(C)デカンターからの水相を水精製カラム(D)に注入した。このカラム(D)は15の理論的ステージを有し、供給原料はステージ5(頂部から)の上方から導入される。カラム(D)を0.75:1の還流比で操作した。
【0042】
カラム(D)は、ヘッド流れにおける共沸混合物としてエタノールと酢酸エチルを水から取り出し、次いで(エタノール再循環として)反応器に戻した。本質的に水であるが150ppm未満の全有機物を含有するベース流れは、カラム(C)に付随するデカンターに戻されたか、もしくは排出系に送られた。カラム(D)は大気圧下で操作した。流れの組成を下記の表13に示す。
【0043】
【表13】
【0044】
カラム(D)の温度分布を下記の表14に示す。
【0045】
【表14】
【0046】
酢酸エチル精製カラム(E)
カラム(C)のベースを発する粗製酢酸エチルは、酢酸エチル精製カラム(E)に50トレー(トレー効率を67%に近いと想定した)のトレー30(頂部から)において供給された。カラム(E)は約2:1の質量還流比で操作され、蒸留物の約50%を還流として戻した。カラムは、存在する不純物が一般的に使用される供給物の典型的なものよりも低い場合、より小さい還流比で操作することもできる。例えば水を用いる共沸混合物として、カラム(A)のヘッドに送られたエチルプロピネート、中間の産物の炭化水素並びに全ての重い炭化水素は、カラム(E)のベースからパージされた。カラム(E)を操作して、全体での酢酸エチルの損失量をカラム(E)への供給物の0.3%にした。
【0047】
主にC10炭化水素と若干のC9炭化水素よりなる重い炭化水素は、比較的容易に酢酸エチルから分離された。しかしながら、上述のC8炭化水素は、その揮発性が沸点から期待されるよりも大きく、酢酸エチルと相互作用したようである。高い還流比及び比較的大きいカラムを使用して、これらの成分の濃度を許容し得るレベルにまで下げた。オレフィンは、例え低濃度であっても酢酸エチルの質に悪影響を与えるために、生成物において所望され得ない。この高い還流比において、これら所望し得ない成分のほとんどは、カラム(E)のヘッドよりむしろベースから除去された。種々の流れの組成を下記の表15に示す。
【0048】
【表15】
【0049】
カラム(E)は周囲温度又は高温で操作することができる。大気圧下において上記供給物を用いた場合のカラム(E)の温度分布を下記の表16に示す。
【0050】
【表16】
【0051】
生成物をポリッシュして、C8炭化水素などの不純物の濃度を取引先が許容し得るレベルよりも低くするために、カラム(E)は重要である。
【0052】
他のオプション
他のオプションの数は、設備の使用を最小限にするため、蒸留セクションの操作において有用である。反応器において生成された不純物が少ない場合、特にポリッシュカラム(E)の操作に関連する。これらの環境下において、ポリッシュカラムに要求される分離は比較的低い。下記する他のオプションが利用できる:
a.還流比を低下させること。容量を十分に低くする場合、不純物が任意に与えられた時間にて作られるような範囲の還流でカラム(E)を操作することができる。
b.カラム(E)を切り離し、カラム(A)からのサイドドローを操作すること。この手段は、中間の産物の不純物(これらは酢酸エチルと比較してわずか揮発性が低いため)を、カラム(A)の頂部に近接のサイドドローとして除去し得る。これは、不純物のレベルが高い場合には、必要とされるパージ速度が高くなり、その結果酢酸エチルの損失が大きくなるために所望し得ない。
c.カラム(E)を切り離し、カラム(C)からのサイドドローとして生成物を取り出すこと。再度不純物のレベルが低い場合、酢酸エチル生成物流れをカラムのベースに近い位置からのサイドドローとして取り出すことにより、許容し得る質の生成物を得ることができる。この事例において、より重い不純物はカラム(C)のベースからパージされる。
d.カラム(E)を切り離し(又は還流比を下げる)、生成物流れをポリッシュ床に通すこと。ポリッシュ床は、活性炭、モレキュラーシーブ、珪藻土、もしくは疎水性又は親水性の種々の多孔性[macro-reticular]樹脂のいずれかからなる。多孔性物質からなるポリッシュ床は、不純物を除去することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】アセトアルデヒド分離系:酢酸エチル法の概略図である。
Claims (15)
- 触媒の存在下にエチレンを酢酸と反応させて酢酸エチルを生成し、この再循環流を精製することからなる直接添加法の反応生成物の精製法であって、前記精製法は、
(i) 反応生成物を酸除去カラム(A)に供給し、ここで酢酸をカラムのベースから除去し、炭化水素、酢酸エチル、エタノール、ジエチルエーテル、及び水を含む軽い産物を含む少なくとも1つの画分をオーバーヘッドで回収し、デカンター(A1)に供給して前記オーバーヘッドを酢酸エチルに富む相と水相(水に富む相)とに分離する工程、
(ii) 前記酢酸エチルに富む相の少なくとも一部とデカンター(A1)からの水相の実質的に全てを還流として再循環させ、カラム(A)にその頂部もしくはその近くにおいて別々に戻す工程、
(iii) デカンター(A1)からの酢酸エチルに富む相の残りを精製カラム(C)にその頂部もしくはその近くにおいて供給する工程、
(iv) カラム(C)から:
(a) 精製カラム(E)に供給する実質的に精製された酢酸エチルを含むベース生成物、
(b) アルデヒド除去カラムに供給する、アセトアルデヒド及びジエチルエーテルを包含する軽い産物を含むオーバーヘッド生成物、及び
(c) 酢酸エチルに富む相の供給位置より低い位置においてカラム(A)から除去される、酢酸エチル、エタノール及び若干の水を含むサイドドローを取り出す工程、
(v) アルデヒド除去カラムの頂部もしくはその近くにおいてアセトアルデヒドを含むパージを除去し、アルデヒド除去カラムのベースから回収したジエチルエーテルをエステル化反応器に再循環させる工程、次いで
(vi) 精製酢酸エチルをカラム(E)において精製する工程を含むことを特徴とする精製法。 - 添加反応に用いる触媒が酸触媒であり、リン酸、ホスホン酸及びヘテロポリ酸触媒から選択されることを特徴とする請求項1記載の方法。
- 触媒が担体に担持されていることを特徴とする請求項1又は2記載の方法。
- カラム(A)が、有機相の少なくとも一部及び水相の全てを還流としてカラムにを戻すことにより、0.5:1の有機還流比で操作されることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の方法。
- カラム(A)が、(a)酢酸エチル添加モード又は(b)水添加モードのいずれかで操作されることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の方法。
- 酢酸エチル精製カラム(C)からの蒸留物流れをアセトアルデヒド除去カラムに供給することを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の方法。
- 酸除去カラム(A)が、液体の少なくとも一部をパージとして前記カラム(A)のベースもしくはその近くにおいて取り出すことにより、未反応の酸、水及び重い産物を含む液体から酢酸エチルを含む軽い産物を分離することを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の方法。
- カラム(A)のベースから取り出した液体を、溶解/懸濁した腐食性金属を除去して酢酸と水を含む溶出液を生成し得るイオン交換樹脂床に供給する前に随意に融合器に供給し、酸中に分散する重い炭化水素を含む全ての油性物質を除去することを特徴とする請求項7記載の方法。
- イオン交換樹脂床がカチオン交換樹脂床であることを特徴とする請求項7又は8記載の方法。
- 成分としてエタノール、水及び酢酸エチルを含む混合物から酢酸エチルを分離する方法において、その改良法が:
a.最初に前記成分を混合してその融合を達成し、次いで
b.(a)からの均質混合物を、有機相において水相中のエタノール及び水から酢酸エチルを分離するよう設計されたデカンターに供給することからなり、且つ
有機相中の水相の濃度が、全有機相に基づき1000ppm未満であることを特徴とする方法。 - 有機相中の水相の濃度が、全有機相に基づき300ppm未満であることを特徴とする請求項10記載の方法。
- 有機相からの水相の分離が、所望の分離を達成するよう内部設計されたデカンターを用いて達成されることを特徴とする請求項10又は11記載の方法。
- デカンターの内部設計がプレートパッキン[plate packing]を含み、所望の分離を達成することを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 有機相からの水相の分離が、前記デカンター中の均質混合物の滞留時間を制御することにより達成されることを特徴とする請求項10〜12のいずれか1項に記載の方法。
- 有機相からの水相の分離が、デカンターの内部設計とその中の均質混合物の滞留時間との組み合わせを用いて達成されることを特徴とする請求項10〜14のいずれか1項に記載の方法。
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