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JP4415832B2 - モータ駆動装置 - Google Patents

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JP4415832B2
JP4415832B2 JP2004334134A JP2004334134A JP4415832B2 JP 4415832 B2 JP4415832 B2 JP 4415832B2 JP 2004334134 A JP2004334134 A JP 2004334134A JP 2004334134 A JP2004334134 A JP 2004334134A JP 4415832 B2 JP4415832 B2 JP 4415832B2
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Description

本発明は、モータ駆動装置における電流検出オフセットの補正に関するものである。
モータ駆動装置を用いた電流制御は、サーボモータの高速・高応答制御のために、アナログ回路の時代から一般的に行われてきた。近年は、マイクロコンピュータやLSI技術の進歩で、電流制御もディジタル化が進み、アナログ制御では設計上もコスト上も実現困難であった複雑な制御が可能となり、サーボモータを用いる機器の高性能・高機能化に大きく貢献している。
ここで、一般的なモータ駆動装置の電流制御について図を用いて説明する。
図8において、モータ駆動装置1は、電流検出器11を用いてサーボモータ2の3相電流を検出する。電流制御器12は、3相電流検出値と位置検出器3からのモータ位置情報を用い、3相電流が電流指令に追従するよう3相電圧指令を生成し、パワー増幅器13へ出力する。パワー増幅器13は主電源4からの入力を制御することで、サーボモータ3に3相電圧指令どおりの電圧を印加する。
また、電流制御器12は、ディジタル演算によるd−q制御が用いられることが多い。3相電流検出値をd−q変換器121により回転座標系であるd軸電流とq軸電流に変換し、PI制御器122で界磁成分であるd軸指令とトルク成分であるq軸指令と比較し、偏差をPI演算することでd軸電圧指令とq軸電圧指令を生成する。逆d−q変換器123は、これらd指令とq軸電圧指令を3相座標系に逆変換し、3相電圧指令を生成する。
このような電流制御系において、電流検出器11はカレントトランスや高精度抵抗器による電流から電圧への変換、オペアンプなどによる増幅、A/D変換器による離散化と量子化により構成されることが多い。これらアナログ回路の温度特性や過渡特性は、電流検出値に実電流とのオフセットを生じさせる。
この電流検出オフセットは、モータの電気角周期と同期したトルク変動を引き起こすため、可変速制御が基本のサーボモータではトルク変動の周波数が常時変化し、通常の周波数特性が一定である位置制御や速度制御でこれを抑制するのは非常に困難であった。
この電流制御の始まりにまでさかのぼる古くからの課題に対しては、非常に多くの改善提案がなされてきた。これらを大別すると以下の2通りとなる。
1)相電流が0となるタイミングの電流検出値をオフセット値として記憶し補正する(例えば、特許文献1または特許文献2参照)。
2)電気角周期と同期したトルク変動を抽出し電流検出オフセット値を随時調整する(例えば、特許文献3または特許文献4参照)。
特開平8−47280号公報 特開昭62−233084号公報 特開2001−186784号公報 特表2000−014866号公報
上述した1)の方式では、3相電流が必ず0となるタイミングを作り出すために、正常な電流制御状態とは異なる制御状態を必要とする。したがって、正常な電流制御状態で電流検出オフセットが変化した場合には対処できない点が最大の課題である。
例えば、特許文献1では、モータへの電圧印加を遮断する電圧指令遮断手段を備え、3相電流が0の状態を作り出す。一方、特許文献2では、モータの120°通電で非通電状態となる残り60°区間を利用して、そのときの電流検出値をオフセット値としている。
なお、現在市販されている一般的なモータ駆動装置は、電源投入時あるいは通電開始直前の非通電状態において、電流検出オフセットを測定するものが多い。これらはすべて通電開始後の電流検出オフセット変動に対処できない。
2)の方式では、サーボモータの速度が一定でない場合には、電気角周期と同期したトルク変動が一定周波数とならないため、その成分を抽出するのが非常に困難になるという課題がある。また、電流制御の外側に位置制御あるいは速度制御ループを構成する場合、トルク変動が電流制御の外部の要因によるものなのか、電流検出オフセットによるものかを識別するのが難しい点も課題である。
例えば、特許文献3では、トルク変動を抽出する条件として、速度変動とトルク変動が一定値以下でなくてはならないという制約がある。また、特許文献4では、変化するトルク変動周波数を抽出する周波数可変のバンドパスフィルタの設計や、d−q軸間の非干渉化が必要となるなど、オフセット測定処理が非常に複雑になる。
さらに、いずれの方式も、例えば電流検出オフセットによるトルク変動周波数と、モータと負荷の間の共振点により生じるトルク変動周波数が重なった場合、それら2つを区別することはできない。
本発明は上記の課題を解決するものであり、電流検出オフセットにより生ずるトルク変動を抑制するモータ制御装置を提供することを目的とする。
上記の課題を解決するために本発明は、3相モータの各相電流を検出する電流検出器と、与えられた電流指令に対し各相電流を追従させる各相電圧指令を生成する電流制御器と、各相電圧指令に応じた電圧を3相モータに印加するパワー増幅器を備えたモータ駆動装置において、前記電流制御器内に各相電流検出値を電気角1周期の間積分する積分器と、前記積分器の入力に演算周期間のモータ移動量を乗じ、前記積分器の出力から各相電流検出器のオフセット量を決定する補正量計算器とを備え、前記補正量計算器の出力を電流検出器の検出値から減算することで電流検出器のオフセット値を補正するものである。
本発明のモータ駆動装置によれば、各相電流検出値を電気角1周期の間積分することにより、一定速度・一定トルク指令の条件で、電流検出オフセットに比例する出力が得られ、正常な電流制御を行いながら電流検出オフセットの補正が可能となるため、駆動中の電流検出オフセットの変化にも対応可能となる。
また、電気角1周期の間にモータ速度が変動しても積分結果がほぼ一定に保たれるため、モータ速度変動が大きい場合にも電流検出オフセット補正が可能となる。
3相モータの各相電流を検出する電流検出器と、与えられた電流指令に対し各相電流を追従させる各相電圧指令を生成する電流制御器と、各相電圧指令に応じた電圧を3相モータに印加するパワー増幅器を備えたモータ駆動装置において、前記電流制御器内に各相電流検出値を電気角1周期の間積分する積分器と、前記積分器の出力から各相電流検出器のオフセット量を決定する補正量計算器とを備え、前記補正量計算器の出力を電流検出器の検出値から減算することで電流検出器のオフセット値を補正するモータ駆動装置である。
図1に示したモータ駆動装置の電流制御ブロック図は本発明の基本構成であり、従来の一般的なモータ駆動装置の電流制御ブロック(図8)に対して、モータ各相の電流検出値とモータ位置情報と補正後の電流検出値を入力とし、電流検出オフセット補正値を出力とする電流検出オフセット補正器124を電流検出器の数だけ備える点が異なっている。
図2は、この電流検出オフセット補正器124aのブロック構成を示すもので、5は電気角1周期の間積分する電気角1周期積分器、6は各相電流検出器のオフセット量を決定する補正量計算器である。説明上、実際のサーボモータ2の1相分を表すブロック図も追記している。
電気角1周期積分器5は、モータ位置情報θから電気角を計算し、その1周期に当たる期間の電流検出値Iuの積分結果を出力する。後述する理由により、この積分結果は電流検出オフセットIu_ofs*に比例する値となるため、補正量計算器6はこれを0に制御するための電流検出オフセット補正量Iu_ofsを出力する機能を備えればよい。例えば、積分結果に一定のゲインを掛けた値を出力する、あるいは積分結果の符号に応じ一定量の補正値を加減算するなどが考えられる。
次に、電流検出値Iuの電気角1周期の積分結果が、なぜ電流検出オフセットIu_ofs*に比例するのかを説明する。ここで記号に*が付いている値はモータ駆動装置では直接観測できない値である。
図3は電流制御が完全に行われた場合の各波形と電気角1周期分の積分結果を示したものである。電流制御により実電流Iu*がオフセットIu_ofs*を打ち消す直流成分をもった波形に制御されるため、電流検出値Iuは見た目上オフセットのない波形となり、積分値も0となる。この状態では、電流検出値Iuの積分結果からはIu_ofs*の情報を読み出すことはできない。しかしながら、電流制御系には遅れが存在し、完全な制御は実現できないのが通常である。その場合の各波形を図4に示す。図3との違いは、実電流波形Iu*がオフセットIu_ofs*を打ち消す直流成分を十分に持っていないことである。これは、電流制御系に存在する遅れにより制御しきれていないためである。この場合、電流検出値Iuには、ΔIu−ΔIu’分のオフセットが存在し、積分結果はIu_ofs*と相関のある値となる。
したがって、補正量計算器6を用いて電流検出オフセット補正量Iu_ofsを変化させると、電流検出オフセット量ΔIuが等価的に0に近づくように小さくなり、最終的には全ての積分結果が0に収束することで、電流検出オフセットの補正が完了する。
実施例2はモータの速度指令が一定でない場合に有効であり、実施例1の電流検出オフセット補正器とはブロック構成が異なる。
図5に示すように、電流検出オフセット補正器124bは、実施例1で説明した電気角1周期積分器5、補正量計算器6に加えて、モータ位置θの演算周期間の差分からモータ速度を算出し、電流検出値Iuと乗じる速度乗算器7を備えており、その出力を電気角1周期積分器5に入力している。
このモータ速度の乗算により、モータ速度が一定でない場合もモータ速度が一定の場合と同じ電流検出オフセット補正ができる。これについて図6を用いて説明する。
図6において、a)はモータ速度がω0で一定の場合の電流検出値Iuを示している。前述のとおり電気角1周期分の積分結果はT×(ΔIu−ΔIu’)となる。しかし、b)のようにモータ速度が半周期の間はω0で、残り半周期の間ω0/2と変化した場合、前半の半周期の積分結果は2Au/ω0だが、モータ速度に逆比例して後半の半周期の時間は2倍になるため積分結果は−4Au/ω0となる。したがって電気角1周期分の積分結果はT×(ΔIu−ΔIu’)−2Au/ω0という値になってしまう。
ここで、積分結果がモータ速度に逆比例することに注目すると、電流検出値Iuにモータ速度ωmを乗ずることで、このモータ速度による積分時間の伸縮の影響を打ち消せることが分かる。乗算結果Iu×ωmをc)に示すが、モータ速度が1/2となってために積分時間が2倍になった分を、乗算結果の振幅が1/2となることで打ち消していることが分かる。
この等価性は数式でも表せる。電流検出値Iuをモータ位置θの関数と考えると、Iu(t)=I(θ(t))となる。このθ(t)は、時間tにおけるモータ位置θを示しており、モータ速度ω(t)は、モータ位置θ(t)の微分なので乗算結果は、Iu(t)×ω(t)=I(θ(t))×dθ(t)/dtとなる。さらに、この式の両辺を時間tで不定積分すると、∫(Iu(t)×ω(t))dt=∫(I(θ(t))×dθ(t)/dt)dt=∫(I(θ))dθとなる。
この式を見ると、時間tとの関連が全くなくなっていることが分かる。すなわち速度ω(t)が変化しても、乗算結果の電気角1周期分の積分結果は常に同じとなる。
この結果は電流検出値Iuだけでなく、電気角の関数で表せる電圧指令Vuなどすべての値に適用できるため、図5における各部の値は図7のように表せる。横軸が時間から位置に置き換わっている点が重要で、モータ速度への依存性がなくなっていることを示している。
上述した各実施例から明らかなように、駆動中の電流検出オフセット変化にリアルタイムで対応することができるため、電流検出オフセットが要因となる電気角周期と同期したトルク変動を大幅に抑制することができる。また加減速時などのモータ速度の変動にもロバストな電流検出オフセット測定を実現できる。
本発明のモータ駆動装置は、3相モータに限定されず、電流フィードバック制御を行うリニアモータやDCモータなどにも有用である。
本発明のモータ駆動装置における電流制御ブロック図 本発明の実施例1における電流検出オフセット補正器のブロック図 本発明の実施例1における電流制御系に遅れがない場合の各波形の説明図 本発明の実施例1における電流制御系に遅れがある場合の各波形の説明図 本発明の実施例2における電流検出オフセット補正器のブロック図 (a)速度一定における速度乗算器の効果説明図、(b)速度が一定でない場合の速度乗算器の効果説明図、(c)モータ速度を乗算した場合の速度乗算器の効果説明図 本発明の実施例4における測定動作説明図 従来のモータ駆動装置における電流制御ブロック図
符号の説明
1 モータ駆動装置
11 電流検出器
12 電流制御器
121 d−q変換器
122 PI制御器
123 逆d−q変換器
124、124a、124b 電流検出オフセット補正器
13 パワー増幅器
2 3相モータ
3 位置検出器
4 主電源
5 電気角1周期積分器
6 補正量計算器
7 速度乗算器

Claims (1)

  1. 3相モータの各相電流を検出する電流検出器と、与えられた電流指令に対し各相電流を追従させる各相電圧指令を生成する電流制御器と、各相電圧指令に応じた電圧を3相モータに印加するパワー増幅器を備えたモータ駆動装置において、前記電流制御器内に各相電流検出値を電気角1周期の間積分する積分器と、前記積分器の入力に演算周期間のモータ移動量を乗じ、前記積分器の出力から各相電流検出器のオフセット量を決定する補正量計算器とを備え、前記補正量計算器の出力を電流検出器の検出値から減算することで電流検出器のオフセット値を補正するモータ駆動装置。
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