<第1実施形態>
図1は本発明に係る画像形成装置の第1実施形態であるプリンタの内部構成を示す図、図2は同プリンタの電気的構成を示すブロック図である。このプリンタは、ブラック(K)のトナーを含む現像液を用いて単色画像を形成する湿式現像方式の画像形成装置であり、ホストコンピュータなどの外部装置から画像信号を含む印字指令信号が主制御部100に与えられると、この主制御部100からの制御信号に応じてエンジン制御部110がエンジン部1の各部を制御して、装置本体2の下部に配設された給紙カセット3から搬送した転写紙、複写紙およびOHP用紙などの各種用紙(以下「転写紙」という)4に上記画像信号に対応する画像を印字出力する。
上記エンジン部1は、感光体ユニット10、露光ユニット20、現像ユニット30、転写ユニット40などを備えている。これらのユニットのうち、感光体ユニット10は感光体11、帯電部12、除電部13およびクリーニング部14を備えている。また、現像ユニット30は現像ローラ31などを備えている。さらに、転写ユニット40は中間転写ローラ41などを備えている。
感光体ユニット10では、感光体11が図1の矢印方向15(図中、時計回り方向)に回転自在に設けられている。そして、この感光体11の周りには、その回転方向15に沿って、帯電部12、現像ローラ31、中間転写ローラ41、除電部13およびクリーニング部14が配設されている。また、帯電部12と現像位置16(後述)との間の表面領域が露光ユニット20からの光ビーム21の照射領域となっている。帯電部12は、本実施形態では帯電ローラからなり、帯電バイアス発生部111から帯電バイアスが印加されて、感光体11の外周面を所定の表面電位Vd(例えばVd=DC+600V)に均一に帯電するもので、帯電手段としての機能を有する。
この帯電部12によって均一に帯電された感光体11の外周面に向けて露光ユニット20から例えばレーザで形成される光ビーム21が照射される。この露光ユニット20は、露光制御部112から与えられる制御指令に応じて光ビーム21により感光体11を露光して、感光体11上に画像信号に対応する静電潜像を形成するもので、露光手段としての機能を有する。例えば、ホストコンピュータなどの外部装置よりインターフェース102を介して主制御部100のCPU101に画像信号を含む印字指令信号が与えられると、主制御部100のCPU101からの指令に応じてCPU113が露光制御部112に対し所定のタイミングで画像信号に対応した制御信号を出力する。そして、この露光制御部112からの制御指令に応じて露光ユニット20から光ビーム21が感光体11に照射されて、画像信号に対応する静電潜像が感光体11上に形成される。このように、この実施形態では、感光体11が本発明の「潜像担持体」に、露光ユニット20が本発明の「露光手段」に相当する。
こうして形成された静電潜像は現像ユニット30の現像ローラ31から供給されるトナーによって顕像化される(現像工程)。現像ユニット30は、現像ローラ31に加えて、現像液32を貯留するタンク33、タンク33に貯留された現像液32を汲み上げて現像ローラ31に塗布する塗布ローラ34、塗布ローラ34上の現像液層の厚さを均一に規制する規制ブレード35、感光体11へのトナー供給後に現像ローラ31上に残留した現像液を除去するクリーニングブレード36および後述するメモリ37(図2)を備えている。現像ローラ31は感光体11に従動する方向(図1中、反時計回り)に感光体11とほぼ等しい周速で回転する。塗布ローラ34は現像ローラ31と同一方向(同図中、反時計回り)に約2倍の周速で回転する。
現像液32は、本実施形態では、着色顔料、この着色顔料を接着するエポキシ樹脂などの接着剤、トナーに所定の電荷を与える荷電制御剤、着色顔料を均一に分散させる分散剤等からなるトナーが、液体キャリア中に分散されてなる。本実施形態では、液体キャリアとして例えばポリジメチルシロキサンオイルなどのシリコーンオイルを用いており、トナー濃度を5〜40重量%として、湿式現像方式で多く用いられる低濃度現像液(トナー濃度が1〜2重量%)に比べて高濃度にしている。なお、液体キャリアの種類はシリコーンオイルに限定されるものではなく、また、現像液32の粘度は、使用する液体キャリアやトナーを構成する各材料、トナー濃度などによって決まるが、本実施形態では、例えば粘度を50〜6000mPa・sとしている。
感光体11と現像ローラ31との間隔(現像ギャップ=現像液層の厚さ)は、本実施形態では例えば5〜40μmに設定し、現像ニップ距離(現像液層が感光体11および現像ローラ31の双方に接触している周方向の距離)は、本実施形態では例えば5mmに設定している。上述した低濃度現像液の場合にはトナー量を稼ぐべく100〜200μmの現像ギャップを必要とするのに比べて、高濃度現像液を用いる本実施形態では現像ギャップを短縮することができる。従って、現像液中を電気泳動によって移動するトナーの移動距離が短縮するとともに、同一の現像バイアスを印加してもより高い電界が発生するので、現像効率を向上することができ、現像を高速に行えることとなる。
粘度計39は、タンク33内に配設されており、この粘度計39によって検出された現像液32の粘度に基づきCPU113によりトナー濃度が求められる。なお、粘度計39に代えて、例えば透過型光センサからなる濃度センサを配設し、直接、タンク33内の現像液32のトナー濃度を検出するようにしてもよい。このように、この実施形態では、粘度計39が本発明の「濃度検出手段」に相当する。
さらに、現像ユニット30は、現像ローラ31上の塗布位置34aと現像位置16との間において現像ローラ31に対向配置されたスキージーローラ51,52,53を備えている。スキージーローラ51,52,53は、現像ローラ31に対して接離方向に移動可能に支持されている。すなわち、例えばソレノイドやモータなどからなるアクチュエータ54(図2)が接離駆動部118(図2)によって駆動されると、現像ローラ31の接触位置(図1中、実線)と離間位置(図1中、破線)との間で往復移動する。接触位置は、現像ローラ31上に担持されている現像液にスキージーローラ51,52,53が接触する位置であり、離間位置は、接触位置から離れて上記現像液にスキージーローラ51,52,53が接触しない位置である。また、スキージーローラ51,52,53は、現像ローラ31に従動する方向(図1中、時計回り)に現像ローラ31とほぼ等しい周速で回転する。このスキージーローラ51,52,53は、現像ローラ31の表面に担持されている現像液32のトナーと液体キャリアの比率を調整するもので、その動作については後に詳述する。
このような構成の現像ユニット30において、タンク33に貯留された現像液32が塗布ローラ34により汲み上げられ、規制ブレード35により塗布ローラ34上の現像液層の厚さが均一に規制され、この均一な現像液32が現像ローラ31の表面に付着し、現像ローラ31の回転に伴って感光体11に対向する現像位置16に搬送される(現像液搬送工程)。現像液中のトナーは、荷電制御剤などの作用によって例えば正に帯電している。
そして、現像位置16において現像ローラ31に担持されている現像液が現像ローラ31から供給されて感光体11に付着し、現像バイアス発生部114から現像ローラ31に印加される現像バイアスVb(例えばVb=DC+400V)によってトナーが現像液中を現像ローラ31から感光体11に移動して、静電潜像が顕像化される。また、感光体11に付着せずに現像ローラ31上に残った現像液は、クリーニングブレード36により掻き落とされ、自重でタンク33に戻る。このように、この実施形態では、現像ローラ31と塗布ローラ34が本発明の「現像液搬送手段」に相当し、タンク33が本発明の「容器」に相当する。
上記のようにして感光体11上に形成されたトナー像は、感光体11の回転に伴って中間転写ローラ41に対向する1次転写位置44に搬送される。中間転写ローラ41は感光体11に従動する方向(図1中、反時計回り)に感光体11とほぼ等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から1次転写バイアス(例えばDC−400V)が印加されると、感光体11上のトナー像が中間転写ローラ41に1次転写される(転写工程)。1次転写後における感光体11上の残留電荷はLEDなどからなる除電部13により除去され、残留現像液はクリーニング部14により除去される。
中間転写ローラ41の適所(図1では中間転写ローラ41の鉛直下方)に2次転写ローラ42が対向配置されており、中間転写ローラ41に1次転写された1次転写トナー像は中間転写ローラ41の回転に伴って2次転写ローラ42に対向する2次転写位置45に搬送される。一方、給紙カセット3に収容されている転写紙4は、1次転写トナー像の搬送に同期して搬送駆動部(図示省略)により2次転写位置45に搬送される。そして、2次転写ローラ42は中間転写ローラ41に従動する方向(図1中、時計回り)に中間転写ローラ41と等しい周速で回転しており、転写バイアス発生部115から2次転写バイアス(例えば定電流制御で−100μA)が印加されると、中間転写ローラ41上のトナー像が転写紙4に2次転写される。2次転写後における中間転写ローラ41上の残留現像液はクリーニング部43により除去される。こうしてトナー像が2次転写された転写紙4は、所定の転写紙搬送経路5(図1中、一点鎖線)に沿って搬送され、定着ユニット6によってトナー像が定着され、装置本体2の上部に設けられた排出トレイに排出される。また、装置本体2の上面には、例えば液晶ディスプレイおよびタッチパネルからなる操作表示パネル7が配設されており、使用者による操作指示を受け付けるとともに、所定の情報を表示して使用者に報知する。このように、この実施形態では、中間転写ローラ41、2次転写ローラ42、転写バイアス発生部115が本発明の「転写手段」に相当し、転写紙4が本発明の「転写媒体」に相当する。
図2において、主制御部100は、インターフェース102を介して外部装置から与えられた画像信号を記憶するための画像メモリ103を備えており、CPU101は、外部装置から画像信号を含む印字指令信号をインターフェース102を介して受信すると、エンジン部1の動作指示に適した形式のジョブデータに変換し、エンジン制御部110に送出する。
エンジン制御部110のメモリ116は、予め設定された固定データを含むCPU113の制御プログラムを記憶するROMや、エンジン部1の制御データやCPU113による演算結果などを一時的に記憶するRAMなどからなる。CPU113はCPU101を介して外部装置から送られた画像信号に関するデータをメモリ116に格納する。
現像ユニット30のメモリ37は、当該現像ユニット30の製造ロット、使用履歴、内蔵トナーの特性、現像液32の残量やトナー濃度などに関するデータを記憶するものである。このメモリ37は通信部38と電気的に接続されており、通信部38は例えばタンク33に取り付けられている。そして、現像ユニット30が装置本体2に装着されると、通信部38がエンジン制御部110の通信部117と所定距離以内、例えば10mm以内に対向配置されるように構成されており、赤外線などの無線通信により互いに非接触状態でデータを送受信可能となっている。これによって、CPU113により現像ユニット30に関する消耗品管理等の各種情報の管理が行われる。
なお、この実施形態では無線通信等の電磁的手段を用いて非接触にてデータ送受信を行うようにしているが、例えば装置本体2および現像ユニット30にそれぞれコネクタを設けておき、装置本体2に現像ユニット30を装着すると、両コネクタが機械的に嵌合することで相互にデータ送受信を行うようにしてもよい。また、メモリ37は、電源オフ状態や現像ユニット30が装置本体2から取り外された状態でもそのデータを保存できる不揮発性メモリであることが望ましく、このような不揮発性メモリとしては、例えばフラッシュメモリなどのEEPROMや強誘電体メモリなどを用いることができる。
図3はスキージーローラおよび現像ローラの構成を模式的に示す図、図4は比率調整バイアス発生部の回路図である。図3に示すように、現像ローラ31とスキージーローラ51,52,53との間には、それぞれ比率調整バイアス発生部119が接続されている。比率調整バイアス発生部119は、図4に示すように、正バイアス電源部61、負バイアス電源部62および短絡ライン部63と、CPU113からの制御信号により各部61〜63の接続を切り換えるスイッチ64とを備えている。
なお、正バイアスとは、図4中、比率調整バイアス発生部119に接続される下方のローラ(ここでは現像ローラ31)から上方のローラ(ここではスキージーローラ51〜53)に正帯電トナーが移動する向きのバイアスを意味し、負バイアスとは、逆に上方のローラから下方のローラに正帯電トナーが移動する向きのバイアスを意味する。ここで、図5〜図8を参照して、スキージーローラ51,52,53によるトナーとキャリアの比率の調整作用について説明する。
図5は2つのローラ(ここではスキージーローラ51と現像ローラ31)間における現像液32の移動を説明する図である。また、図6〜図8は、それぞれ正バイアス電源部61、負バイアス電源部62、短絡ライン部63がスイッチ64により接続されたときの図5の各領域における現像液層を示す図で、図6〜図8の(A)(B)(C)(D)はそれぞれ図5の領域A,B,C,Dに対応する。
図5において、領域Aの現像液層は、塗布ローラ34により現像液32が現像ローラ31に塗布された状態になっている。すなわち領域Aには、図6(A)、図7(A)、図8(A)に示すように、例えば厚さがT0、トナー濃度がD0の現像液32が塗布されている。領域Bの現像液層は、現像ローラ31上の現像液32がスキージーローラ51に接触することで、双方のローラ31,51にニップされた状態になっている。そして、領域Bにおいて双方のローラ31,51にニップされていた現像液層がローラ31,51の回転に伴って分離して、ローラ51側の領域Cの現像液層と、ローラ31側の領域Dの現像液層とが形成される。
次に、図5および図6を参照して、比率調整バイアス発生部119の正バイアス電源部61が接続された場合について説明する。領域Bでは、現像ローラ31からスキージーローラ51に向けて正帯電トナーが移動するバイアス電圧が印加される。従って、図6(B)に示すように、スキージーローラ51に接する部分のトナー濃度が最も高く、スキージーローラ51から離れるに従って徐々にトナー濃度が低下して、現像ローラ31に接する部分にはトナーを含まない液体キャリア層321が形成される。
そして、トナーを含まない液体キャリア層321が最も粘度が低いので、その液体キャリア層321で現像液32が分離すると考えられる。そこで、図6(B)の破線で示す箇所で分離したとすると、領域Cでは、図6(C)に示すように、現像液32の厚さはT1p、トナー濃度はD1p=D0・T0/T1pでD1p>D0となり、高濃度の現像液32がスキージーローラ51に移動する。一方、領域Dでは、図6(D)に示すように、厚さが(T0−T1p)、トナー濃度が0の液体キャリア層321が形成され、現像ローラ31に担持されている現像液32のトナー濃度は0となる。
なお、図6では、正バイアス電源部61の接続状態を継続することで現像ローラ31上のトナー濃度を0にする場合について示しているが、正バイアス電源部61の接続時間を短くすることで、全てのトナーがスキージーローラ51に移動することのないようにして、現像ローラ31上に一部のトナーを残留させることも可能である。
また、図4の比率調整バイアス発生部119のスイッチ64を例えばIGBTやMOS−FETなどのトランジスタで構成し、CPU113によりスイッチ64をPWM制御するようにしてもよい。この場合には、オンオフのデューティ比を変えることによりバイアス電圧のレベルを変化させることができるので、スキージーローラ51に移動させるトナーの量を任意に調整することができる。
次に、図5および図7を参照して、比率調整バイアス発生部119の負バイアス電源部62が接続された場合について説明する。領域Bでは、正バイアスの場合と逆に、スキージーローラ51から現像ローラ31に向けて正帯電トナーが移動するバイアス電圧が印加される。従って、図7(B)に示すように、現像ローラ31に接する部分のトナー濃度が最も高く、現像ローラ31から離れるに従って徐々にトナー濃度が低下して、スキージーローラ51に接する部分にはトナーを含まない液体キャリア層321が形成される。上述したように、最も粘度が低い液体キャリア層321で現像液32が分離すると考えられる。そこで、図7(B)の破線で示す箇所で分離したとすると、領域Cでは、図7(C)に示すように、厚さがT1n、トナー濃度が0の液体キャリア層321がスキージーローラ51に移動する。一方、領域Dでは、図7(D)に示すように、現像液32の厚さは(T0−T1n)、トナー濃度はD1n=D0・T0/(T0−T1n)でD1n>D0となり、塗布された濃度より高濃度の現像液32が現像ローラ31に担持されることとなる。
次に、図5および図8を参照して、比率調整バイアス発生部119の短絡ライン部63が接続された場合について説明する。この場合には、現像ローラ31とスキージーローラ51とは同一バイアスに保持される。従って、領域Bでは、図8(B)に示すように、正帯電トナーは移動せず、塗布ローラ34により塗布された状態が継続される。このため、粘度もほぼ等分布していることから、現像液32のほぼ中央で分離すると考えられる。従って、領域Cでは、図8(C)に示すように、トナー濃度がD0と元のままで、厚さがT0/2と半分になった現像液32の層がスキージーローラ51上に形成される。また、領域Dでは、図8(D)に示すように、トナー濃度がD0と元のままで、厚さがT0/2と半分になった現像液32の層が現像ローラ31上に担持されることとなる。
このように、現像液32は、2つのローラの双方に一旦ニップされた後、分離するため、現像ローラ31からスキージーローラ51に現像液32の一部が移動する。すなわち、スキージーローラ51は、現像ローラ31が担持している現像液32の一部を剥ぎ取ることとなる。そして、その剥ぎ取った一部の現像液32に含まれる液体キャリア量を比率調整バイアス発生部119により制御することによって、現像ローラ31上の現像液中のトナーとキャリアの比率を調整することができる。
なお、図5〜図8ではスキージーローラ51について説明しているが、スキージーローラ52,53についても全く同様である。例えば図3において、スキージーローラ51〜53にそれぞれ接続されている比率調整バイアス発生部119の全てにおいて負バイアス電源部62が接続された場合には、図3の各領域A,B,C,D,Eにおける現像ローラ31上の現像液32の層は、それぞれ、図9の(A)〜(E)に示す状態となる。
図9はスキージーローラ51〜53の比率調整作用による現像ローラ31上の現像液層の変化を示す図である。図3の領域Aでは、塗布ローラ34により現像液32が現像ローラ31に塗布された状態になっており、図9(A)に示すように、液体キャリアにトナーが分散している。次いで、図3の領域Bでは、スキージーローラ51から現像ローラ31に正帯電トナーが移動するバイアス電圧が印加され、図9(B)に示すように、現像ローラ31側にトナー層322が形成され、表層部に液体キャリア層321が形成される。
そして、スキージーローラ51により液体キャリア層321の一部が剥ぎ取られるときに、液体キャリア層321のほぼ中央で分離すると考えられるため、図3の領域Cでは、図9(C)に示すように、(B)に比べて液体キャリア層321の厚さが約半分になる。次いで、負バイアスが印加されているので、同様に液体キャリア層321の一部がさらにスキージーローラ52により剥ぎ取られ、図3の領域Dでは、図9(D)に示すように、(C)に比べて液体キャリア層321の厚さがさらに約半分になる。次いで、負バイアスが印加されているので、同様に液体キャリア層321の一部がさらにスキージーローラ53により剥ぎ取られ、図3の領域Eでは、図9(E)に示すように、(D)に比べて液体キャリア層321の厚さがさらに約半分になる。なお、スキージーローラ51〜53が、現像ローラ31から剥ぎ取った現像液32は、図3に示すようにクリーニングブレード55によってそれぞれ除去されて、回収用タンク(図示省略)に回収される。なお、回収した現像液32を有効利用するために、適宜、タンク33に戻すように構成してもよい。
このように、スキージーローラ51〜53によって表層部の液体キャリア層321の一部が順次剥ぎ取られるため、スキージーローラ51〜53を通過する度に現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率が調整され、結果として現像ローラ31上のトナー濃度を増加させることができる。
一方、現像ローラ31上のトナー濃度を低下させるためには、正バイアス電源部61の接続時間を短くすることで、またはスイッチ64のオンオフのデューティ比を変えることで全てのトナーがスキージーローラ51〜53に移動することのないように、現像ローラ31上に一部のトナーを残留させるようにすればよい。このようにすることで、スキージーローラ51〜53によって現像ローラ31上のトナーが、その一部を残して順次剥ぎ取られるため、スキージーローラ51〜53を通過する度に現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率が調整され、結果として現像ローラ31上の現像液のトナー濃度を低下させることができる。このように、この実施形態では、スキージーローラ51〜53が本発明の「剥ぎ取り部材」に相当し、比率調整バイアス発生部119が本発明の「電圧印加手段」に相当する。
以上のように、スキージーローラ51〜53の位置を制御したり、印加バイアス電圧の正負を制御することにより、スキージーローラ51〜53による現像ローラ31上の現像液32からの液体キャリア(またはトナー)の剥ぎ取り量を制御することができる。その結果、現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を任意に調整することができる。これにより、現像位置16に搬送される現像ローラ31上の現像液中のトナーとキャリアの比率が適正化されて、画像形成を良好に行うことができる。
図10は比率調整処理ルーチンの一例を示すフローチャートである。エンジン制御部110のメモリ116には予め比率調整処理プログラムが記憶されている。そして、CPU113が該プログラムにしたがって装置各部を制御することで、以下の比率調整処理が実行される。
まず、粘度計39からの検出信号に基づきタンク33内の現像液32のトナー濃度Dを求める(#10)。ここで、粘度計39により検出される現像液32の粘度とトナー濃度との関係が演算式またはテーブルデータ形式で予め求められてメモリ116に格納されたプログラムに含まれており、上記関係に基づき#10のトナー濃度を求める処理が実行される。
そして、求められたトナー濃度DがD1<Dか否かが判別され(#12)、D≦D1であれば(#12でNO)、D2<D≦D1か否かが判別され(#14)、D≦D2であれば(#14でNO)、D3<D≦D2か否かが判別される(#16)。なお、D1、D2、D3は予め実験などによって求められたトナー濃度であり、初期濃度(標準濃度)をD0とした場合に、D0>D1>D2>D3の関係を有する値である。
ここで、#16でNO(D≦D3)であれば、トナー濃度Dは初期濃度D0からかなり低下していることになるので、図9(E)に示すように、スキージーローラ51〜53を全て接触位置に移動させる(#18)。一方、D1<Dであれば(#12でYES)、トナー濃度Dはほぼ初期濃度D0に等しいので、スキージーローラ51〜53を全て離間位置に配置したままで、このルーチンを終了する。
また、D2<D≦D1であれば(#14でYES)、トナー濃度Dは初期濃度D0から少し低下していることになるので、図9(C)に示すように、例えばスキージーローラ51を接触位置に移動させる(#20)。この移動は1個であればよく、スキージーローラ51に代えて、スキージーローラ52または53を移動させてもよい。
さらに、D3<D≦D2のようにトナー濃度Dが低下している場合であれば(#16でYES)、図9(D)に示すように、例えばスキージーローラ51、52を接触位置に移動させる(#22)。この移動は2個であればよく、スキージーローラ51,53またはスキージーローラ52,53を移動させてもよい。
以上のように、図10の動作によれば、粘度計39の検出値に基づきタンク33のトナー濃度を求め、その値に基づき現像ローラ31上の現像液32に接触する接触位置に移動させるスキージーローラ51〜53の組合せを制御しているので、タンク33内の現像液中のトナーと液体キャリアの比率の変動に応じて現像位置16に搬送される現像液32の当該比率を適正化することができる。これによって、画像の濃度不足や画像むら等のない良好な画像品質を得ることができる。
また、図11に示すように、パッチ画像の画像濃度に応じて現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整するようにしてもよい。図11は比率調整処理ルーチンの別の例を示すフローチャートである。この形態では、エンジン部1の感光体11上に対向配置された例えば反射型光センサからなる濃度センサ17(図2)を備えている。そして、まず、感光体11上に形成された所定のパッチ画像の画像濃度IDを検出する(#30)。
そして、検出された画像濃度IDがID1<IDか否かが判別され(#32)、ID≦ID1であれば(#32でNO)、ID2<ID≦ID1か否かが判別され(#34)、ID≦ID2であれば(#34でNO)、ID3<ID≦ID2か否かが判別される(#36)。なお、ID1、ID2、ID3は予め求められ、メモリ116またはメモリ37に格納されているパッチ画像の画像濃度であり、標準の画像濃度をID0とした場合に、ID0>ID1>ID2>ID3の関係を有する値である。
ここで、#36でNO(ID≦ID3)であれば、画像濃度IDは標準の画像濃度ID0からかなり低下していることになるので、図9(E)に示すように、スキージーローラ51〜53を全て接触位置に移動させる(#38)。一方、ID1<IDであれば(#32でYES)、画像濃度IDはほぼ標準の画像濃度ID0に等しいので、スキージーローラ51〜53を全て離間位置に配置したままで、このルーチンを終了する。
また、ID2<ID≦ID1であれば(#34でYES)、画像濃度IDは標準の画像濃度ID0から少し低下していることになるので、図9(C)に示すように、例えばスキージーローラ51を接触位置に移動させる(#40)。この移動は1個であればよく、スキージーローラ51に代えて、スキージーローラ52または53を移動させてもよい。
さらに、ID3<ID≦ID2のように画像濃度IDが低下している場合であれば(#36でYES)、図9(D)に示すように、例えばスキージーローラ51、52を接触位置に移動させる(#42)。この移動は2個であればよく、スキージーローラ51,53またはスキージーローラ52,53を移動させてもよい。
以上のように、図11の動作によれば、パッチ画像の画像濃度IDを検出し、その検出された画像濃度IDに基づき現像ローラ31上の現像液32に接触する接触位置に移動させるスキージーローラ51〜53の組合せを制御しているので、画像濃度IDの変動に応じて現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率が変動している場合であっても、現像位置16に搬送される現像液32の当該比率を適正化することができる。これによって、適正な画像濃度の画像を安定して得ることができる。
また、図12に示すように、画占率に応じて現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整するようにしてもよい。図12は比率調整処理ルーチンさらに別の例を示すフローチャートである。まず、静電潜像に占める画像部の比率である画占率Pを求める(#50)。例えば主制御部100は、静電潜像を構成する画素のうちでトナーが付着するオンドット数をカウントするドットカウンタを備えている。そして、画像全体のドット数に対する上記オンドット数の比率を上記画占率として求める。例えば黒べた画像であれば画占率は100%になり、白べた画像の部分(画像の空白部分)は画占率が0%になる。
そして、求められた画占率Pが55<Pか否かが判別され(#52)、P≦55であれば(#52でNO)、30<P≦55か否かが判別され(#54)、P≦30であれば(#54でNO)、0<P≦30か否かが判別される(#56)。なお、ステップ#52,#54,#56での画占率のレベルを判別するのに用いた閾値は一例であり、他の値を用いてもよい。
ここで、#56でNOであれば、画占率P=0であるので、図9(E)に示すように、スキージーローラ51〜53を全て接触位置に移動させる(#58)。一方、55<Pであれば(#52でYES)、感光体11上へ現像されるトナー量は多いので、スキージーローラ51〜53を全て離間位置に配置したままで、このルーチンを終了する。
また、30<P≦55であれば(#54でYES)、感光体11上へ現像されるトナー量は少し少ないので、図9(C)に示すように、例えばスキージーローラ51を接触位置に移動させる(#60)。この移動は1個であればよく、スキージーローラ51に代えて、スキージーローラ52または53を移動させてもよい。
さらに、0<P≦30のように感光体11上へ現像されるトナー量が少ない場合であれば(#56でYES)、図9(D)に示すように、例えばスキージーローラ51、52を接触位置に移動させる(#62)。この移動は2個であればよく、スキージーローラ51,53またはスキージーローラ52,53を移動させてもよい。
以上のように、図12の動作によれば、画占率Pに基づき現像ローラ31上の現像液32に接触する接触位置に移動させるスキージーローラ51〜53の組合せを制御しているので、画占率の変動に応じて現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率が変動している場合であっても、現像位置16に搬送される現像液32の当該比率を適正化することができる。また、図10の場合に比べて、粘度計39などのタンク33のトナー濃度検出手段が不要になるので、装置構成を簡素化することができる。
以上説明したように、本実施形態によれば、現像ローラ31上の現像液32に接触する接触位置と接触しない離間位置との間で移動可能なスキージーローラ51〜53を備えるとともに、現像ローラ31とスキージーローラ51〜53との間にそれぞれ比率調整バイアスを印加可能に構成しているので、接触位置に配置するスキージーローラ51〜53の組合せ、並びにバイアス電圧の正負を制御することで、スキージーローラ51〜53による液体キャリア(またはトナー)の剥ぎ取り量を任意に制御することができる。これにより、現像ローラ31上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を任意に調整することができる。その結果、画占率等に応じて現像位置16に搬送される現像液32のトナーと液体キャリアの比率が変動する場合であっても、その比率を適正化することで、画像の濃度不足や画像むら等のない良好な画像形成を行うことができる。
<第2実施形態>
図13は本発明に係る画像形成装置の第2実施形態であるプリンタの構成を示す図である。なお、図13では感光体11、現像ユニット30および比率調整バイアス発生部119のみを図示しており、その他の部分は第1実施形態と同様であるので省略している。また、第1実施形態と同一要素には同一符号を付している。
第2実施形態の現像ユニット30は、タンク33に貯留された現像液32を汲み上げる汲み上げローラ71と、汲み上げローラ71により汲み上げられた現像液32に接触し、その一部を剥ぎ取って担持し、その担持した現像液32を現像ローラ31に接触させて、担持している現像液のさらに一部を現像ローラ31に担持させる塗布ローラ72と、該塗布ローラ72上の現像液層の厚さを均一に規制する規制ブレード73と、汲み上げローラ71上の残留現像液を除去するクリーニングブレード74を備えている。塗布ローラ72は現像ローラ31に従動する方向(図13中、時計回り)に現像ローラ31とほぼ等しい周速で回転する。汲み上げローラ71は塗布ローラ72と同一方向(図13中、時計回り)に約2倍の周速で回転する。
汲み上げローラ71と塗布ローラ72との間には比率調整バイアス発生部119(本発明の「汲み上げ電圧印加手段」に相当)が接続されている。そして、比率調整バイアス発生部119により印加するバイアス電圧を制御することによって、汲み上げローラ71から塗布ローラ72に移動する現像液32に含まれるトナー量を制御することで、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整するようにしている。これにより、塗布ローラ72から現像ローラ31上であって、感光体11と対向する現像位置16に搬送される現像液中の当該比率を適正化している。
ここで、現像ローラ31上に塗布する現像液32の厚みが不均一である場合には、そのまま静電潜像を現像したときの顕像(トナー像)の濃度に影響するため、現像ローラ31への現像液32の塗布量を安定化させることが必要とされる。そのため、本実施形態では、塗布ローラ72にその表面に溝部721(図14)が形成されたアニロクスローラを使用している。
このアニロクスローラは、表面に形成された溝部721に現像液32を担持するとともに、溝部721の容積によって現像液32を計量して、被塗布物(ここでは、現像ローラ31)への塗布量を一定に調整するものである。具体的には、溝部721から溢れた現像液32の余剰分をアニロクスローラ上から除去するブレード(規制ブレード73)としてドクターブレードをその表面に当接させることで使用される。これにより、溝部721から溢れた現像液32はドクターブレードによって摺り切られることで計量され、現像ローラ31への塗布量を安定化させることができる。
図14は第2実施形態における比率調整動作を説明する図である。図14(A)は、比率調整バイアス発生部119の正バイアス電源部61が接続された場合を示し、図14(B)は、比率調整バイアス発生部119の負バイアス電源部62が接続された場合を示し、図14(C)は、比率調整バイアス発生部119の短絡ライン部63が接続された場合を示している。なお、説明の便宜上、汲み上げローラ71、塗布ローラ(アニロクスローラ)72を平板状にしている。
図14(A)に示すように、比率調整バイアス発生部119の正バイアス電源部61が接続されると、図6に示した態様でアニロクスローラ72側に現像液32に含まれるトナーが移動する。すなわち、汲み上げローラ71からアニロクスローラ72に移動する現像液32に含まれるトナー量が増加する。そして、溝部721の底部に接する部分のトナー濃度が最も高く、溝部721から離れるに従ってトナー濃度が低下して、汲み上げローラ71に接する部分にはトナーを含まない液体キャリア層321が形成される。その結果、溝部721にはトナーを多く含んだ(トナーリッチな)現像液32が担持されることになる。タンク33内のトナー濃度をD0とすると、溝部721が担持している現像液32のトナー濃度は、D1(>D0)となる。
ついで、アニロクスローラ72に担持された現像液32は、塗布ローラ72の回転とともに搬送され、アニロクスローラ72の表面に当接したドクターブレード73(図13)により擦り切られることになる。すなわち、アニロクスローラ72上の現像液32は溝部721の容積に計量されることになる。ここで、溝部721には、トナー濃度がD1(>D0)なる現像液32が残ることから、アニロクスローラ72上の現像液中のトナーの比率は、タンク33内の現像液(トナー濃度:D0)中の当該比率に比べて増加している。
また、図14(B)に示すように、比率調整バイアス発生部119の負バイアス電源部62が接続されると、図7に示した態様で汲み上げローラ71側に現像液32に含まれるトナーが移動する。すなわち、汲み上げローラ71からアニロクスローラ72に移動する現像液32に含まれるトナー量が減少する。そして、汲み上げローラ71に接する部分のトナー濃度が最も高く、汲み上げローラ71から離れるに従ってトナー濃度が低下して、溝部721の底面に接する部分にはトナーを含まない液体キャリア層321が形成される。その結果、溝部721には液体キャリアを多く含んだ(キャリアリッチな)現像液32が担持されることになる。溝部721が担持している現像液32のトナー濃度は、D2(<D0)となる。
ついで、図14(A)にて説明したように、アニロクスローラ72上の現像液32は溝部721の容積に計量されることになる。ここで、溝部721には、トナー濃度がD2(<D0)なる現像液32が残ることから、アニロクスローラ72上の現像液中のトナーの比率は、タンク33内の現像液(トナー濃度:D0)中の当該比率に比べて減少している。
また、図14(C)に示すように、比率調整バイアス発生部119の短絡ライン部63が接続されると、図8に示した態様で、トナーとキャリアの比率が変化することなく、タンク33内の現像液32と同一のトナー濃度(トナー濃度:D0)の現像液32がアニロクスローラ72に搬送される。そして、そのままアニロクスローラ72上の現像液32は溝部721の容積に計量されることになる。すなわち、アニロクスローラ72上の現像液中のトナーの比率は、タンク33内の現像液(トナー濃度:D0)中の当該比率から変化していない。このように、第2実施形態では、汲み上げローラ71が本発明の「汲み上げ部材」、「一の搬送部材」に相当し、塗布ローラ72が本発明の「塗布部材」、「他の搬送部材」に相当し、比率調整バイアス発生部119が本発明の「汲み上げ電圧印加手段」、「搬送電圧印加手段」に相当する。
以上のように、比率調整バイアス発生部119のバイアス電圧の正負を制御することで、溝部721内の現像液中のトナー量を任意に制御することができる。そのため、アニロクスローラ72に担持される現像液32の量を溝部721の容積に限定した上で、溝部721内の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することができる。すなわち、アニロクスローラ72から現像ローラ31に搬送される現像液32の量を変えることなく、当該現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することで現像ローラ31に搬送されるトナー(または液体キャリア)量を制御することができる。
以上説明したように、第2実施形態によれば、汲み上げローラ71と塗布ローラ(アニロクスローラ)72との間に接続した比率調整バイアス発生部119により汲み上げローラ71と塗布ローラ72との間にバイアス電圧を印加して、汲み上げローラ71から塗布ローラ72に移動する現像液32に含まれるトナー量を制御するようにしているので、塗布ローラ72に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することができる。その結果、画占率等に応じて現像位置16に搬送される現像液中のトナーと液体キャリアの比率が変動する場合であっても、その比率を適正化することで、画像の濃度不足や画像むら等のない良好な画像形成を行うことができる。
また、この第2実施形態によれば、アニロクスローラ72に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整するとともに、アニロクスローラ72が有する現像液32の計量効果によって、現像ローラ31への現像液32の塗布量(現像位置16に搬送される現像液32の量)を安定化させることができる。そのため、現像ニップ(感光体11と現像ローラ31の間のニップ)に進入する現像液32の量がほぼ一定となり、現像ニップ入口で現像液溜りを生ずることがない。
また、現像ローラ31への現像液32の塗布量を安定化させることで、その後のプロセス(転写工程、クリーニング工程)におけるプロセス条件の変動を抑制することができる。すなわち、1次転写位置44、2次転写位置45における現像液32の厚みを一定にすることで、転写条件(転写電界やトナーの移動距離)の変動を抑制して均一な画像形成を行うことができる。また、クリーニング部14および43では、除去すべき残留現像液の量を一定にすることで、クリーニング条件の変動を抑制して良好なクリーニングを行うことができる。
なお、この第2実施形態においても、図4の比率調整バイアス発生部119のスイッチ64を例えばIGBTやMOS−FETなどのトランジスタで構成し、CPU113によりスイッチ64をPWM制御するようにしてもよい。この場合には、オンオフのデューティ比を変えることによりバイアス電圧のレベルを変化させることができるので、塗布ローラ(アニロクスローラ)72に移動させるトナーの量を任意に調整することができる。
例えば、図14(A)では、トナーが溝部721の内部だけでなく、その一部が溝部721の外部にも存在するようにバイアスレベルを制御しているが、すべてのトナーが溝部721の内部に存在するようにバイアスレベルを制御してもよい。この場合、ドクターブレード73により摺り切られるのは液体キャリア321のみとなることから汲み上げローラ71からアニロクスローラ72上に移動した全てのトナーがドクターブレード73による計量後においてもアニロクスローラ72に担持されることになる。
同様に、図14(B)では、トナーが溝部721の外部だけでなく、その一部が溝部721の内部にも存在するようにバイアスレベルを制御しているが、全てのトナーが溝部721の内部に存在しないようにバイアスレベルを制御してもよい。この場合、溝部721にはトナーが存在しないので液体キャリア321のみが塗布ローラ72に担持されることになる。
以上のように、バイアスレベルを制御することにより、汲み上げローラ71とアニロクスローラ72との間に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率に任意の勾配を生じさせることによって、アニロクスローラ72に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を任意に調整することができる。
また、上記第2実施形態においても、図10、図11、図12に示す比率調整処理動作を行うことができる。この場合、第1実施形態におけるスキージーローラ51〜53の接触位置に移動させるスキージーローラの組合せに代えて、比率調整バイアス発生部119のバイアス電圧レベルを複数段階に設定できるようにして、タンク33のトナー濃度、パッチ画像の画像濃度、画占率に応じて、適宜、バイアス電圧レベルを切替えて、汲み上げローラ71から塗布ローラ72に移動する現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整すればよい。
<第3実施形態>
図15は本発明に係る画像形成装置の第3実施形態であるプリンタの内部構成を示す図、である。この第3実施形態が第2実施形態と相違する点は、バイアスローラ56が新たに塗布ローラ72上に対向配置されている点と、規制ブレード73が塗布ローラ72の表面から所定の間隔を隔てて配置されている点である。なお、その他の構成は基本的に第2実施形態と同様である。したがって、同一構成については同一符号を付して説明を省略し、以下においては相違点を中心に本実施形態の特徴について説明する。
バイアスローラ56は、汲み上げローラ71から塗布ローラ72に現像液32が供給される供給位置71aより塗布ローラ72の回転方向(図15中、時計回り)の下流側であって、規制ブレード73より上流側に対向配置されている。バイアスローラ56は、塗布ローラ72に対して接離方向に移動可能に支持されており、第1実施形態におけるスキージーローラ51〜53と同様に、例えばソレノイドまたはモータなどからなるアクチュエータ54(図2)が接離駆動部118(図2)によって駆動されると、接触位置と離間位置との間で往復移動する。接触位置は、塗布ローラ72上に担持されている現像液32にバイアスローラ56が接触する位置であり、離間位置は、上記現像液32にバイアスローラ56が接触しない位置である。そして、バイアスローラ56が接触位置に配置されると塗布ローラ72に従動する方向に回転する。このように、この実施形態では、バイアスローラ56が本発明の「接触部材」に相当する。
バイアスローラ56と塗布ローラ72との間には比率調整バイアス発生部119(本発明の「接触電圧印加手段」に相当)が接続されている。そして、バイアスローラ56に印加するバイアス電圧を制御することにより、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率の勾配を現像液32の厚み方向に生じさせることができる。
規制ブレード73は、塗布ローラ72の表面から所定の間隔を隔てて配置することにより、塗布ローラ72上の現像液32を厚み方向に規制する。そのため、規制ブレード73は、塗布ローラ72との間隔が塗布ローラ72上の現像液32の厚みよりも小さい位置に配置されている。これにより、塗布ローラ72と規制ブレード73との間隔を超える現像液32の厚み分(余剰分)は、塗布ローラ72から除去されて、塗布ローラ72上の現像液32の厚みを均一にすることができる。その結果、現像位置16に搬送される現像液32の量を一定にすることができる。このように、この実施形態では、規制ブレード73が本発明の「除去部材」に相当する。
図16は第3実施形態における比率調整動作を説明する図である。具体的には、バイアスローラ56によるバイアス印加後に、規制ブレード73が塗布ローラ72上の現像液32を厚み方向に規制する様子を示している。図16(A)は、比率調整バイアス発生部119の正バイアス電源部61が接続された場合を示し、図16(B)は、比率調整バイアス発生部119の負バイアス電源部62が接続された場合を示し、図16(C)は、比率調整バイアス発生部119の短絡ライン部63が接続された場合を示している。塗布ローラ72は時計回り(図では右方向)に回転している。なお、説明の便宜上、塗布ローラ72を平板状にしている。
図16(A)は、比率調整バイアス発生部119の正バイアス電源部61が接続された場合を示す。図16(A)に示すように、図6に示した態様でトナーがバイアスローラ56側(現像液32の表層側)に移動することによって、現像液32の最表層部分のトナー濃度が最も高く、最表層部分から離れるに従って徐々にトナー濃度が低下するようにトナーと液体キャリアの比率に勾配が生じている。その結果、塗布ローラ72に接する部分には液体キャリア層321が形成されている。そして、塗布ローラ72の回転(回転方向75)に伴い、規制ブレード73により塗布ローラ72上の現像液32は厚み方向に規制されることにより、表層側の現像液32が除去される。ここで、トナーは現像液32の表層側に移動しているため、塗布ローラ72上には液体キャリアを多く含んだ(キャリアリッチな)現像液32が残ることになる。このように、規制ブレード73による厚み規制後(表層側の現像液32の除去後)に塗布ローラ72上に残る現像液32のトナー濃度は厚み規制前に比べて低下する。すなわち、塗布ローラ72上の現像液中のトナーの比率が、タンク33内の現像液32の当該比率に比べて減少する調整が行われる。
図16(B)は、比率調整バイアス発生部119の負バイアス電源部62が接続された場合を示す。図16(B)に示すように、図7に示した態様でトナーが塗布ローラ72側(ローラ表面側)に移動することによって、塗布ローラ72に接する部分の現像液32のトナー濃度が最も高く、塗布ローラ72から離れるに従って徐々にトナー濃度が低下するようにトナーと液体キャリアの比率に勾配が生じている。その結果、現像液32の最表層部分には液体キャリア層321が形成されている。そして、塗布ローラ72の回転(回転方向75)に伴い、規制ブレード73により塗布ローラ72上の現像液32は厚み方向に規制されることにより、表層側の現像液32が除去される。ここで、トナーは塗布ローラ72の表面側に移動しているため、塗布ローラ72上にはトナーを多く含んだ(トナーリッチな)現像液32が残ることになる。このように、規制ブレード73による厚み規制後(表層側の現像液32の除去後)に塗布ローラ72上に残る現像液32のトナー濃度は厚み規制前に比べて増加する。すなわち、塗布ローラ72上の現像液のトナーの比率が、タンク33内の現像液32の当該比率に比べて増加する調整が行われる。
図16(C)は、比率調整バイアス発生部119の短絡ライン部63が接続された場合を示す。図16(C)に示すように、図8に示した態様でトナーは移動することなく、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率に勾配は生じていない。そして、塗布ローラ72の回転(回転方向75)に伴い、塗布ローラ72上の現像液32は厚み方向に規制されることにより、表層側の現像液32が除去されるが、厚みが規制されるのみで現像液中のトナーと液体キャリアの比率は変化しない。すなわち、塗布ローラ72上には、タンク33内と同一のトナー濃度の現像液32が担持されることになる。なお、この場合、短絡ライン部63を接続する代わりにバイアスローラ56を離間位置に配置するようにしてよい。
以上のように、比率調整バイアス発生部119のバイアス電圧の正負を制御することで、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率の勾配を現像液32の厚み方向に生じさせることができる。そして、規制ブレード73により厚み方向に規制することにより現像液32の一部を除去することで厚みを一定にするとともに、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することができる。すなわち、塗布ローラ72から現像ローラ31に搬送される現像液32の量を変えることなく、当該現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することで現像ローラ31に搬送されるトナー(または液体キャリア)量を制御することができる。
以上説明したように、第3実施形態によれば、バイアスローラ56と塗布ローラ72との間にバイアス電圧を印加して、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率の勾配を現像液32の厚み方向に生じさせた後に、規制ブレード73により現像液32の一部を除去している(厚み方向に規制している)ので、除去後に塗布ローラ72上に残る現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整することができる。その結果、画占率等に応じて現像位置16に搬送される現像液中のトナーと液体キャリアの比率が変動する場合であっても、その比率を適正化することで、画像の濃度不足や画像むら等のない良好な画像形成を行うことができる。
また、この第3実施形態によれば、塗布ローラに担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を調整するとともに、規制ブレード73により現像液32を厚み方向に規制することによって、現像ローラ31への現像液32の塗布量(現像位置16に搬送される現像液32の量)を安定化させることができる。その結果、現像ニップ入口で発生する現像液溜りを防止することができる。さらに、現像液32の厚みを一定にすることで、転写条件ならびにクリーニング条件の変動を抑制することができる。
なお、この第3実施形態においても、図4の比率調整バイアス発生部119のスイッチ64を例えばIGBTやMOS−FETなどのトランジスタで構成し、CPU113によりスイッチ64をPWM制御するようにしてもよい。この場合には、オンオフのデューティ比を変えることによりバイアス電圧のレベルを変化させることができるので、塗布ローラ72上に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率に任意の勾配を生じさせることができる。
例えば、図16(A)では、規制ブレード73による現像液の厚み規制後に塗布ローラ72上に一部のトナーが残るようにバイアスレベルを制御しているが、すべてのトナーが規制ブレード73によって除去されるようにバイアスレベルを制御してもよい。この場合、塗布ローラ上には液体キャリア321のみが残ることになる。
同様に、図16(B)では、規制ブレード73によって一部のトナーを除去して、他のトナーがすべて塗布ローラ72上に残るようにバイアスレベルを制御しているが、すべてのトナーを塗布ローラ72上に残すようにバイアスレベルを制御してもよい。この場合、液体キャリア321のみが規制ブレード73により除去されることになる。
以上のように、バイアスレベルを制御することにより、塗布ローラ72上に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率に任意の勾配を生じさせることによって、規制ブレード73による現像液の厚み規制後に塗布ローラ72に担持される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を任意に調整することができる。
また、上記第3実施形態においても、図10、図11、図12に示す比率調整処理動作を行うことができる。この場合、第1実施形態におけるスキージーローラ51〜53の接触位置に移動させるスキージーローラの組合せに代えて、比率調整バイアス発生部119のバイアス電圧レベルを複数段階に設定できるようにして、タンク33のトナー濃度、パッチ画像の画像濃度、画占率に応じて、適宜、バイアス電圧レベルを切替えて、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率の勾配を可変すればよい。これにより、規制ブレード73による現像液32の除去後に塗布ローラ72上に残る現像液中のトナーと液体キャリアの比率を適宜、調整することができる。
また、比率調整バイアス発生部119のバイアス電圧レベルの切替えに代えて、塗布ローラ72と規制ブレード73の間隔を複数段階に設定できるようにして、タンクのトナー濃度、パッチ画像の画像濃度、画占率に応じて切替えてもよい。この場合でも、上記実施形態と同様な効果を得ることができる。
なお、本発明は上記実施形態に限定されるものではなく、その趣旨を逸脱しない限りにおいて上述したものに対して種々の変更を加えることが可能であり、例えば以下の変形形態(1)〜(7)を採用することができる。
(1)上記第1実施形態では、3個のスキージーローラ51〜53を備えているが、これに限られず、2個または4個以上備えるようにしてもよい。すなわち複数のスキージーローラを備えておれば、接触位置に配置するスキージーローラの組合せを制御することにより、現像ローラ31からの液体キャリア321の剥ぎ取り量を制御することができる。
(2)上記第1実施形態では、剥ぎ取り部材として、ローラ状のスキージーローラ51〜53を用いているが、これに限られず、例えばベルト状のものを用いてもよい。
(3)上記第1実施形態では、スキージーローラ51〜53の全てを接触位置と離間位置との間で移動可能に構成しているが、これに限られず、少なくとも1つのスキージーローラを移動可能に構成しておけばよい。例えばスキージーローラ51を移動可能に構成し、スキージーローラ52,53を接触位置に固定配置しておく形態でも、スキージーローラ51の位置制御によって、接触位置に配置するスキージーローラの組合せを制御することができ、これによって液体キャリア(またはトナー)の剥ぎ取り量を制御することができる。
(4)上記第2実施形態では、汲み上げローラ71と塗布ローラ72との間に比率調整バイアス発生部119を接続することによって汲み上げローラ71から塗布ローラ72に移動する現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御しているが、これに限定されない。例えば、上記第2実施形態に代えてあるいはこれと併せて、塗布ローラ72と現像ローラ31との間に比率調整バイアス発生部119を接続することによって塗布ローラ72から現像ローラ72に移動する現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御してもよい。この実施形態では、塗布ローラ72が本発明の「一の搬送部材」に相当し、現像ローラ31が本発明の「他の搬送部材」に相当する。この場合においても、上記第2実施形態と同様な効果が得られる。すなわち、現像位置16に搬送される現像液中のトナーと液体キャリアの比率を適正化することで、画像の濃度不足や画像むら等のない良好な画像形成を行うことができる。要するに、タンク33から現像位置16に至るまでの現像液32の搬送経路上にある複数の搬送部材間において、一の搬送部材から他の搬送部材に移動する現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御することができる。
(5)上記第3実施形態では、塗布ローラ72にバイアスローラ56と規制ブレード73を対向配置して、塗布ローラ72上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御しているが、これに限定されない。例えば、上記第3実施形態に代えてあるいはこれと併せて、現像ローラ31、または汲み上げローラ71上にバイアスローラ56と規制ブレード73を対向配置して、当該ローラ上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御してもよい。この場合においても、上記第3実施形態と同様な効果が得られる。要するに、タンク33から現像位置16に至るまでの現像液32の搬送経路上にあるいずれかの搬送部材上において、または複数の搬送部材上において、上記第3実施形態と同様にして当該搬送部材上の現像液中のトナーと液体キャリアの比率を制御することができる。
(6)上記実施形態では、静電潜像を構成する画素のうちでトナーが付着するオンドット数をカウントするドットカウンタを備え、画像全体のドット数に対するオンドット数の比率を画占率としているが、画占率を求める手法はこれに限られない。画占率は現像量、すなわち現像ローラ31から感光体11へのトナーの移動量に応じた値となるので、例えば現像ローラ31から感光体11に流れる電流を現像電流として検出し、この現像電流に基づきトナーの移動量(現像量)を求めて、これを画占率としてもよい。
(7)上記実施形態では、ホストコンピュータなどの外部装置より与えられた画像を転写紙に印刷するプリンタを用いて説明しているが、本発明はこれに限られず、複写機やファクシミリ装置などを含む一般の電子写真方式の画像形成装置に適用することができる。また、上記実施形態は単色印字の画像形成装置に対して本発明を適用しているが、本発明の適用対象はこれに限定されず、カラー画像形成装置にも本発明を適用することができる。要は、液体キャリアにトナーを分散した現像液を用いて現像したトナー像を記録媒体に転写する、あるいは中間転写ローラ、中間転写ベルト、中間転写ドラムなどの中間転写媒体に一時的に担持した後、該トナー像を記録媒体に2次転写する画像形成装置全般に本発明を適用することができる。
4…転写紙(転写媒体)、11…感光体(潜像担持体)、20…露光ユニット(露光手段)、31…現像ローラ(現像液担持体、搬送部材、現像液搬送手段)、33…タンク(容器)、39…粘度計(濃度検出手段)、41…中間転写ローラ(転写手段)、42…2次転写ローラ(転写手段)、51〜53…スキージーローラ(剥ぎ取り部材、比率調整手段)、56…バイアスローラ(接触部材)、71…汲み上げローラ(汲み上げ部材、搬送部材、現像液搬送手段)、72…塗布ローラ(塗布部材、搬送部材、現像液搬送手段)、73…規制ブレード(除去部材)、115…転写バイアス発生部(転写手段)、119…比率調整バイアス発生部(電圧印加手段、比率調整手段)