JP4410624B2 - シリコン含有樹脂水分散体の製造方法 - Google Patents
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Description
1.(A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなり、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸から選ばれる脂肪酸(a1)に由来する重合性不飽和モノマーであるモノマー成分を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とするシリコン含有樹脂水分散体の製造方法、
2. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、
(R1)n−Si−(OR2)4−n (1)
(式(1)中、R1は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物の群から選ばれる少なくとも1種である1項に記載の製造方法、
3. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、オルガノシリケート類(A1)を含有する1項または2項に記載の製造方法、
4. 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、Si−C結合を有し、25℃における回転粘度が500mPa・s以下であるオルガノポリシロキサン(A2)を含有する1項ないし3項のいずれか1項に記載の製造方法、
5. 脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸から選ばれる脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応生成物である1項ないし4項のいずれか1項に記載の製造方法、
6. その他の重合性不飽和モノマー(b)が、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)及びカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する1項ないし5項のいずれか1項に記載の製造方法、
7. 混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)をさらに含有する1項ないし6項のいずれか1項に記載の製造方法、
8. 1項ないし7項のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン含有樹脂水分散体、
9. 8項に記載のシリコン含有樹脂水分散体を含有する水性樹脂組成物、
10. さらにヒドラジン誘導体を含有する9項に記載の水性樹脂組成物、
11. 9項または10項に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物、
12. 被塗面に、11項に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法、
13. 12項に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品、
に関する。
本発明のシリコン含有樹脂水分散体において、加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)としては、従来公知のものが制限なく使用でき、例えば、下記式(1)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物よりなる群から選ばれる少なくとも1種を挙げることができる。
(R1)n−Si−(OR2)4−n (1)
(式中、R1は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)
上記R1として具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、n−ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、t−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、イソオクチル基、2,2,4−トリメチルペンチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ドデシル基等の直鎖及び/又は分岐状のアルキル基;シクロペンチル基、シクロヘキシル基、4−エチルシクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基及びメチルシクロヘキセニル基等のシクロアルキル基;フェニル基、ビフェニルイル基、ナプチル基、アントニル基、フェナントリル基等のアリール基;アルカリール基、o−、m−、p−トリル基、キシリル基及びエチルフェニル基等のアルカリール基;ベンジル基、α−及びβ−フェニルエチル基等のアラルキル基;グリシドキシ基、エポキシシクロヘキシル基等のエポキシ基誘導体;メタクリル基、アクリル基等の(メタ)アクリル基誘導体;アミノ基、フェニルアミノ基、ジブチルアミノ基等のアミノ基誘導体;メルカプト基、テトラスルフィド基等の含硫黄基誘導体;(ポリオキシアルキレン)アルキルエーテル基などのアルキルエーテル基誘導体;カルボキシル基、スルフォニル基等のアニオン性基誘導体;フッ素、塩素等のハロゲン原子が挙げられ、これらは第4級アンモニウム塩構造含有基誘導体、水酸基、イソシアネート基等で一部置換されていてもよい。
本発明の製造方法において、モノマー成分(B)は、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)を必須成分として含有するものである。以下、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)について説明する。
本発明において使用される脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)は、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸から選ばれる脂肪酸(a1)に由来する重合性不飽和モノマーであって、混合物(I)の乳化時の微粒化を容易にし、また、重合段階において微粒化後の乳化物を安定化させ、上記オルガノシラン(A)又はその他の重合性不飽和モノマー(b)の水性媒体中への拡散を抑制させるため、そして、製造される水分散体を用いて形成される塗膜の仕上がり性を良好にし、また、水性樹脂分散体を用いて形成される塗膜に酸化硬化性を付与させる場合においては、酸化硬化基を導入するために使用されるものであり、脂肪酸由来の炭化水素鎖の末端に重合性不飽和基を有する重合性不飽和モノマーが包含される。ここで、重合性不飽和基としては、例えば、ビニル基、(メタ)アクリロイル基などを挙げることができ、特に(メタ)アクリロイル基が好適である。
本発明において、その他の重合性不飽和モノマー(b)は、上記脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)と共重合可能な該モノマー(a)以外の重合性不飽和モノマーであり、そのようなその他の重合性不飽和モノマー(b)の具体例としては、例えば、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、i−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、i−ブチル(メタ)アクリレート、tert−ブチル(メタ)アクリレート、n−ヘキシル(メタ)アクリレート、オクチル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、ノニル(メタ)アクリレート、トリデシル(メタ)アクリレート、ラウリル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、「イソステアリル(メタ)アクリレート」(大阪有機化学社製)、シクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、メチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、t−ブチルシクロヘキシル(メタ)アクリレ−ト、シクロドデシル(メタ)アクリレ−ト等のアルキル又はシクロアルキル(メタ)アクリレート;イソボルニル(メタ)アクリレート等のイソボルニル基を有する重合性不飽和モノマー;アダマンチル(メタ)アクリレート等のアダマンチル基を有する重合性不飽和モノマー;グリシジル(メタ)アクリレート、β−メチルグリシジル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチル(メタ)アクリレート、3,4−エポキシシクロヘキシルプロピル(メタ)アクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基を有する重合性不飽和モノマー;スチレン、α−メチルスチレン、ビニルトルエンなどの芳香族ビニルモノマー;ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニルトリス(2−メトキシエトキシ)シラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、γ−(メタ)アクリロイルオキシプロピルトリエトキシシランなどのアルコキシシリル基を有する重合性不飽和モノマー;ポリジメチルシロキサンマクロモノマー;パーフルオロブチルエチル(メタ)アクリレート、パーフルオロオクチルエチル(メタ)アクリレート等のパーフルオロアルキル(メタ)アクリレート;フルオロオレフィン等のアルキルフッ素基を有する重合性不飽和モノマー;マレイミド基等の光重合性官能基を有する重合性不飽和モノマー;N−ビニルピロリドン、エチレン、ブタジエン、クロロプレン、プロピオン酸ビニル、酢酸ビニル等のビニル化合物;(メタ)アクリル酸、フマル酸、イタコン酸、マレイン酸、クロトン酸、β−カルボキシエチルアクリレート等のカルボキシル基を有する重合性不飽和モノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の不飽和カルボン酸無水物;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、さらにグリシジル(メタ)アクリレートとアミン類との付加物等の含窒素重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレ−ト、2−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレ−ト、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、ヒドロキシブチル(メタ)アクリレートなどの(メタ)アクリル酸の炭素数2〜8個の水酸基を有するアルキル(メタ)アクリレート、アリルアルコ−ル、上記炭素数2〜8のヒドロキシ(メタ)アクリレートのε−カプロラクトン変性体などの水酸基を有する(メタ)アクリレート;分子末端が水酸基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート等の水酸基を有する重合性不飽和モノマー:分子末端がアルコキシ基であるポリオキシエチレン鎖を有する(メタ)アクリレート;2−アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、アリルスルホン酸、スチレンスルホン酸ナトリウム塩、スルホエチルメタクリレート及びそのナトリウム塩やアンモニウム塩等のスルホン酸基を有する重合性不飽和モノマー;2−ヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2−ヒドロキシ−4−(3−アクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−メタクリロイルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノン、2,2'−ジヒドロキシ−4−(3−アクリルオキシ−2−ヒドロキシプロポキシ)ベンゾフェノンなど2,4−ジヒドロキシベンゾフェノン、2,2',4−トリヒドロキシベンゾフェノンなどのヒドロキシベンゾフェノン類とグリシジル(メタ)アクリレートとの付加反応生成物、或いは2−(2'−ヒドロキシ−5'−メタクリロイルオキシエチルフェニル)−2H−ベンゾトリアゾール等の紫外線吸収性官能基を有する重合性不飽和モノマー;4−(メタ)アクリロイルオキシ−1,2,2,6,6−ペンタメチルピペリジン、4−(メタ)アクリロイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−(メタ)アクリロイル−4−シアノ−4−(メタ)アクリロイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、4−クロトノイルアミノ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン、1−クロトノイル−4−クロトノイルオキシ−2,2,6,6−テトラメチルピペリジン等の紫外線安定性重合性不飽和モノマー;アクロレイン、ダイアセトンアクリルアミド、ダイアセトンメタクリルアミド、アセトアセトキシエチルメタクリレート、ホルミルスチロール、4〜7個の炭素原子を有するビニルアルキルケトン(例えばビニルメチルケトン、ビニルエチルケトン、ビニルブチルケトン)等のカルボニル基を有する重合性不飽和モノマー;アリル(メタ)アクリレ−ト、エチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、テトラエチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,3−ブチレングリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、トリメチロ−ルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、1,4−ブタンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ネオペンチルグリコ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,6−ヘキサンジオ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルジ(メタ)アクリレ−ト、ペンタエリスリト−ルテトラ(メタ)アクリレ−ト、グリセロ−ルジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタンジ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルエタントリ(メタ)アクリレ−ト、1,1,1−トリスヒドロキシメチルプロパントリ(メタ)アクリレ−ト、トリアリルイソシアヌレ−ト、ジアリルテレフタレ−ト、ジビニルベンゼン等の1分子中に少なくとも2個の重合性不飽和基を有する多ビニル化合物等;が挙げられ、これらは所望の性能に応じて単独でもしくは2種以上を適宜使用される。
1/Tg=W1/T1+W2/T2+...Wn/Tn
式中のW1、W2...Wnは各モノマーの重量%(=(各モノマーの配合量/モノマー全重量)×100)であり、T1、T2...Tnは、各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度(絶対温度)である。尚各モノマーのホモポリマーのガラス転移温度は、Polymer Hand Book (Second Edition,J.Brandrup・E.H.Immergut 編)による値であり、該文献に記載されていないモノマーのガラス転移温度は、該ホモポリマーを重量平均分子量が5万程度になるように合成し、ガラス転移温度を示差走査型熱分析により測定した値を使用するものとする。
上記加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、0.5〜80重量%、好ましくは1〜60重量%、さらに好ましくは5〜40重量%、
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、0.5〜60重量%、好ましくは1〜40重量%、さらに好ましくは1〜25重量%、
その他の重合性不飽和モノマー(b)が、20〜99重量%、好ましくは30〜95重量%、さらに好ましくは45〜90重量%の範囲内とすることができる。
本発明において、混合物(I)は、さらに必要に応じて、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)を含有することもできる。混合物(I)として、オルガノシラン(A)及びモノマー成分(B)以外に上記添加剤(C)を加えた混合物(I)を使用することにより、該添加剤(C)を内包するシリコン分散体を製造することができる。その結果、得られる水分散体を用いて形成される塗膜に均一に該添加剤(C)が分散されるようになるとともに、塗膜形成後、該添加剤(C)が雨水等により溶出されることがなく、その効果を長期にわたり安定に発揮するようになる。
本発明により提供される水性樹脂組成物は以上に述べた如くして得られるシリコン含有樹脂水分散体を含んでなるものである。
本発明により提供される水性塗料組成物は、上記水性樹脂組成物を含んでなるものである。
実施例1
ガラスビーカーに下記成分を入れ、ディスパーにて2000rpmで15分間攪拌し、予備乳化液を製造した後、この予備乳化液を、高圧エネルギーを加えて流体同士を衝突させる高圧乳化装置にて150MPaで高圧処理することにより、分散粒子の平均粒子径が230nmのモノマー乳化物を得た。
モノマー乳化物組成
「エチルシリケート48」(注1) 20部
脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)(注2) 5部
シクロヘキシルメタクリレート 20部
スチレン 10部
t−ブチルメタクリレート 12部
2−エチルヘキシルアクリレート 25部
2−ヒドロキシエチルメタクリレート 3部
アクリル酸 2部
ダイアセトンアクリルアミド 3部
「Newcol707SF」(注3) 15部
脱イオン水 85部
次いで、上記モノマー乳化物を攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に移し、脱イオン水にて固形分濃度が45%となるように希釈した。その後85℃まで昇温させ、過硫酸アンモニウム1部を脱イオン水9.4部に溶解させた重合開始剤水溶液を反応容器に添加し、窒素気流下で該温度を保持しながら3時間攪拌した。その後、過硫酸アンモニウム0.3部を脱イオン水3部に溶解させた重合開始剤水溶液を添加し、該温度を保持しながら1時間攪拌した後、40℃まで冷却し、ジメチルアミノエタノールでpHを8.0に調整し、固形分濃度43%、平均粒子径が195nmの水性樹脂分散体(A−1)を得た。
(注1)「エチルシリケート48」:商品名、コルコート社製、エチルシリケート縮合物、10量体
(注2)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器に亜麻仁油脂肪酸280部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(1)を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することにより定量した。反応が完了するまで約5時間を要した。
(注3)「Newcol707SF」:商品名、日本乳化剤社製、ポリオキシエチレン鎖を有するアニオン性乳化剤、有効成分30%。
配合組成を表1に示すように変更した以外は実施例1と同様にして水性樹脂分散体(A−2)〜(A−13)を得た。比較例2については配合組成を表1に示すようにし、モノマー乳化物の平均粒子径を5600nmとなるようにする以外は、実施例1と同様の手順にて水性樹脂分散体(A−13)を得た。この分散体はろ過残渣が多かった。
(注5)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(2)
攪拌機、還流冷却器、窒素ガス導入管、温度計および試薬投入口を備えたガラス製反応容器にヤシ油脂肪酸210部及びグリシジルメタクリレート142部を入れ、攪拌しながら反応温度140℃で反応させ、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(2)を得た。エポキシ基とカルボキシル基の反応は残存カルボキシル基の量を測定することにより定量した。反応が完了するまで約5時間を要した。
(注6)「リケマールPL−012」:商品名、理研ビタミン社製、グリセリンジアセトモノラウレート、可塑剤
(注7)「TINUVINE123」:商品名、チバスペシャルティー・ケミカルズ社製、ピペラジン系紫外線安定剤
(注8)「TINUVINE384−2」:商品名、チバスペシャリティー・ケミカルズ、ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤
(注9)「アクアロンHS−10」:商品名、第一工業製薬社製、アニオン系反応性界面活性剤。
表1に示した水分散体を容量が1Lの内面コート缶に1kg入れ、40℃の恒温室中で30日間貯蔵した。その後、室温に戻し、容器の中の状態を目視にて観察し、次の基準で評価した。
○:分離が認められない、△:ソフトケーキングや分離が認められるが、攪拌により均一となる、×:ハードケーキングや分離が認められ、元に戻らない。
実施例12
容器に下記に示される各成分を順次仕込み、ディスパーで30分間均一になるまで攪拌を続け白塗料用の顔料ペーストを得た。
顔料ペースト組成
水 45部
「スラオフ72N」(注10) 3部
「BYK−190」(注11) 6部
「JR−605」(注12) 100部
次いで該顔料ペースト154部に、水性樹脂分散体(A−1)を250部、「TEXANOL」(注13)を20部、「DICNATE1000W」(注14)を0.6部、アジピン酸ジヒドラジドを3部、「SNデフォーマー380」(注15)を2部、「アデカノールUH−438」(注16)を2部配合し、攪拌混合して水性塗料組成物(B−1)を得た。
上記実施例11において、配合組成を下記表2に記載の通りとする以外は実施例11と同様にして水性塗料組成物(B−2)〜(B−13)を得た。
(注11)「BYK−190」 :商品名、ビックケミー社製、顔料分散剤
(注12)「JR−605」:商品名、テイカ社製、チタン白
(注13)「TEXANOL」:商品名、イーストマンケミカル社製、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオールモノイソブチレート、造膜助剤
(注14)「DICNATE1000W」:商品名、大日本インキ化学工業社製、金属ドライヤー、Co含有率3.6%
(注15)「SNデフォーマー380」:商品名、サンノプコ社製、消泡剤
(注16)「アデカノールUH−438」:商品名、アデカ社製、増粘剤。
上記水性塗料組成物(B−1)〜(B−13)について、下記基準にて評価した。結果を表2に併せて示す。
(*2)塗膜外観
各水性塗料組成物を6ミルドクターブレードを用いてガラス板に塗装し、気温20℃、相対湿度60%の条件下で乾燥させて各試験塗板を得た。1日後に塗膜外観を目視にて評価した。
◎:良好であり、肉持ち感に優れる、○:良好であり、肉もち感にやや優れる、△:やや不良、×:ワレやチヂミなどの欠陥あり
(*3)光沢
上記(*2)と同様にして得た試験塗板の60度グロスを測定した。値が大きい程光沢が良好であることを示す。
(*4)耐汚染性
スレート板(6×90×300mm)上に、「VPシーラー透明」(関西ペイント社製、溶剤型シーラー)を塗布量100g/m2になるようにローラー塗装し乾燥させたものを被塗板とし、この上に実施例12〜22及び比較例3〜4で得た各水性塗料組成物を塗布量120g/m2になるようにスプレーで2回塗装した。気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日間乾燥して、各試験塗板を得た。次いで各試験塗板を、平塚市内で南面に向かって、塗面を水平面から上に30°傾けて12ヶ月屋外暴露試験に供し、試験後の塗面の汚れを目視で評価した。
◎:汚れが殆どみられない、○:汚れが僅かにみられる、△:かなり汚れが見られる、×:汚れが著しい。
(*5)耐水性
スレート板(70×150×5mm)上に「EPシーラー透明」(関西ペイント社製、アクリルエマルション系シーラー)を塗布量150g/m2になるように刷毛塗りし、気温20℃、相対湿度60%RHの条件下で1日乾燥させたものを試験素材とした。次に、該試験素材に各水性塗料組成物を塗布量100g/m2になるように刷毛塗りし、4時間放置後、さらに同じ水性塗料組成物を塗布量100g/m2になるように刷毛で塗り重ねて、気温20℃、相対湿度60%の条件下で7日乾燥させて各試験塗板を得た。各試験塗板を上水(20℃)に7日間浸漬した後の塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:良好、○:わずかに艶引けが認められるが、実用レベルにある、△:白化又はフクレが少し認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する
(*6)促進耐候性
上記(*5)と同様にして得た試験塗板を、JIS K 5400の9.8.1(サンシャインカーボンアーク灯式)の促進耐候性試験に準じて、2000時間照射した後、塗膜状態を目視にて評価した。
◎:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が70%以上である、○:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が60%以上で且つ70%未満である、△:ワレ、ハガレ、フクレが認められず、光沢保持率が60%未満である、×:ワレ、ハガレ、フクレが認められる。
(*7)耐アルカリ性
上記(*5)と同様にして得た試験塗板を、室温で、水酸化カルシウム飽和水溶液に7日間浸漬した後の塗膜の状態を目視にて評価した。
◎:良好、○:わずかに艶引けが認められるが、実用レベルにある、△:白化又はフクレが少し認められる、×:著しくフクレが認められる、又は塗膜が軟化する
Claims (13)
- (A)加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン並びに(B)脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)及びその他の重合性不飽和モノマー(b)からなり、脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸から選ばれる脂肪酸(a1)に由来する重合性不飽和モノマーであるモノマー成分を含む混合物(I)を水性媒体中に平均粒子径が1000nm以下になるように微分散させ、得られる乳化物を重合することを特徴とするシリコン含有樹脂水分散体の製造方法。
- 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、
(R1)n−Si−(OR2)4−n (1)
(式(1)中、R1は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数が1〜20の炭化水素基を表し、R2は同一又は異なって、水素原子、置換されていてもよい炭素数1〜10の炭化水素基を示し、nは0〜3の整数である。)で表されるオルガノシラン及び該オルガノシランの加水分解縮合物の群から選ばれる少なくとも1種である請求項1に記載の製造方法。 - 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、オルガノシリケート類(A1)を含有する請求項1または2に記載の製造方法。
- 加水分解性シリル基を含有するオルガノシラン(A)が、Si−C結合を有し、25℃における回転粘度が500mPa・s以下であるオルガノポリシロキサン(A2)を含有する請求項1ないし3のいずれか1項に記載の製造方法。
- 脂肪酸変性重合性不飽和モノマー(a)が、乾性油脂肪酸、半乾性油脂肪酸及び不乾性油脂肪酸から選ばれる脂肪酸(a1)とエポキシ基含有重合性不飽和モノマー(a2)との反応生成物である請求項1ないし4のいずれか1項に記載の製造方法。
- その他の重合性不飽和モノマー(b)が、炭素数が6以上の直鎖状又は分岐状の炭化水素基を含有する重合性不飽和モノマー(b1)、シクロアルキル基を含有する重合性不飽和モノマー(b2)及びカルボニル基を含有する重合性不飽和モノマー(b3)よりなる群から選ばれる少なくとも1種の重合性不飽和モノマーを含有する請求項1ないし5のいずれか1項に記載の製造方法。
- 混合物(I)が、可塑剤、紫外線吸収剤、紫外線安定剤及び金属ドライヤーよりなる群から選ばれる少なくとも1種の添加剤(C)をさらに含有する請求項1ないし6のいずれか1項に記載の製造方法。
- 請求項1ないし7のいずれか1項に記載の製造方法により得られるシリコン含有樹脂水分散体。
- 請求項8に記載のシリコン含有樹脂水分散体を含有する水性樹脂組成物。
- さらにヒドラジン誘導体を含有する請求項9に記載の水性樹脂組成物。
- 請求項9または10に記載の水性樹脂組成物を含有する水性塗料組成物。
- 被塗面に、請求項11に記載の水性塗料組成物を塗装することを特徴とする塗膜形成方法。
- 請求項12に記載の塗膜形成方法により得られる塗装物品。
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