JP4406960B2 - 歪み補償方法、歪み補償装置および無線通信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は、無線通信装置の送信部の電力増幅器の非線形歪みを補償する方法および装置、および送信部の電力増幅器の非線形歪みが補償される無線通信装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
デジタル無線通信装置では、通信の高速化・大容量化などに伴い、送信用の電力増幅器に求められる線形性が厳しくなりつつある。しかし、電力増幅器の線形性を厳しくすると、電力増幅器の電力効率が低下し、例えば、デジタル携帯電話システムの端末電話機では、連続通話可能時間の長時間化を妨げることになる。そこで、電力増幅器の非線形歪みを補償して、電力増幅器の電力効率を向上させることが考えられている。
【0003】
電力増幅器の非線形歪みを補償する方法としては、負帰還法、フィードフォワード法など、いくつかの方式が提案されているが、最近は、電力増幅器の非線形の振幅特性および位相特性に応じて、その振幅歪みおよび位相歪みを打ち消すようにベースバンド信号を前もって歪ませておくプリディストーション法が注目されている。
【0004】
図11は、文献「1999年電子情報通信学会総合全国大会論文B−S−36『プリディストーション方式を用いた送信系非線形歪補償の実験的検証』」に示された従来のプリディストーション法を示し、補償用データを作成する手段としてテーブルを用いるものである。
【0005】
すなわち、図11の方法では、歪み補償部60のパワー計算部61で、補償前のデジタル直交ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,Vqから、Vi2+Vq2で表される演算出力が算出され、その演算出力(Vi2+Vq2)によって、テーブル62から、これにあらかじめ書き込まれた、演算出力(Vi2+Vq2)に対応する振幅歪み補償用データおよび位相歪み補償用データが読み出され、複素積演算部63で、ベースバンド信号I,Qとテーブル62から読み出された補償用データとの複素積が演算されて、歪み補償部60から歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が得られる。
【0006】
この歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’は、D/Aコンバータ31,32に供給されて、それぞれアナログ信号に変換され、そのアナログ直交ベースバンド信号が、ローパスフィルタ33,34を通じて直交変調部40に供給されて、直交変調部40から直交変調された高周波信号が得られ、その高周波信号が、電力増幅器50で増幅される。
【0007】
図12は、文献「Spectral Containment by Predistortion of OQPSKSignals,Microwavejournal,October,1998,pp.22−37」に示された従来のプリディストーション法を示し、電力増幅器の非線形の振幅特性および位相特性を近似する関数を、それぞれ実際の特性にフィットするように定義した上で、この関数の非線形性を打ち消すような逆関数を求めておいて、この逆関数から補償データを得るものである。
【0008】
すなわち、図12の方法では、歪み補償部60の振幅逆関数演算部65および位相逆関数演算部66で、それぞれ補償前のデジタル直交ベースバンド信号I,Qが上記のように求められた振幅および位相の逆関数に代入されて、それぞれの逆関数が演算され、さらに複素積演算部67で、振幅逆関数の演算結果と位相逆関数の演算結果との複素積が演算されて、歪み補償部60から歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が得られる。以後の処理は、図11の方法と同じである。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、図11に示した従来のプリディストーション法は、電力増幅器50の振幅歪みおよび位相歪みを補償するための多量のデータをテーブル62に書き込んでおくため、特に、高精度の補償が要求される振幅歪みを補償するための多量のデータをテーブル62に書き込んでおくため、テーブル62を構成するメモリとして大容量のものが必要になるという問題がある。
【0010】
また、図12に示した従来のプリディストーション法は、振幅逆関数演算部65および位相逆関数演算部66で、振幅および位相のそれぞれにつき逆関数演算を行い、さらに複素積演算部67で、それらの演算結果につき複素積演算を行うため、歪み補償部60での演算量が膨大となり、歪み補償部60として大規模な演算ロジックを必要とするという問題がある。
【0011】
そこで、この発明は、プリディストーション法によって電力増幅器の非線形歪みを補償する場合に、小容量のテーブルメモリおよび小規模の演算ロジックによって高精度の補償を行うことができるようにしたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の歪み補償方法は、
無線通信装置が実行する、当該無線通信装置の送信部の電力増幅器の非線形歪みを補償する方法として、
直交ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,Vqを、それぞれ振幅歪み補償用の多項式であって、補償後の前記電力増幅器の入力電圧g(v)に対応する前記電力増幅器の出力電圧f(g(v))が補償前の前記電力増幅器の入力電圧vに比例するようにされた関数g(v)に代入して、演算結果g(Vi),g(Vq)を算出する第1工程と、
その演算結果g(Vi),g(Vq)から、
Miq2=(g(Vi))2+(g(Vq))2
で表される演算出力Miq2を算出する第2工程と、
その演算出力Miq2によって、位相歪み補償用のテーブルから、その演算出力Miq2と1対1に対応した位相値θの余弦値cosθおよび正弦値sinθを読み出す第3工程と、
その読み出された余弦値cosθおよび正弦値sinθと、前記演算結果g(Vi),g(Vq)とから、
I’=g(Vi)×cosθ−g(Vq)×sinθ
Q’=g(Vq)×cosθ+g(Vi)×sinθ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する第4工程と、
を備える歪み補償方法である。
【0013】
この場合、cosθ=1、かつsinθ=θとして、
I’=g(Vi)−g(Vq)×θ
Q’=g(Vq)+g(Vi)×θ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出することができる。
【0014】
あるいは、cosθ=1−θ2/2、かつsinθ=θ−θ3/6として、
I’=g(Vi)×(1−θ2/2)−g(Vq)×(θ−θ3/6)
Q’=g(Vq)×(1−θ2/2)+g(Vi)×(θ−θ3/6)
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出することができる。
【0015】
演算出力Miq2から、その平方根を算出して、その算出結果Miqによって、位相歪み補償用のテーブルから、位相値θの余弦値cosθおよび正弦値sinθを読み出すようにしてもよいことは言うまでもなく、この発明は、その場合も含むものである。
【0016】
上記の歪み補償方法においては、テーブルには電力増幅器の位相歪みを補償するための少量のデータを書き込んでおけばよいので、テーブルを構成するメモリは小容量でよい。しかも、多項式演算は、振幅についてのみ行うとともに、合成演算も、テーブルから直接、読み出されたcosθおよびsinθを多項式演算結果g(Vi),g(Vq)に乗算するだけであるので、歪み補償のための演算量が僅少となり、小規模の演算ロジックによって歪み補償を行うことができる。
【0017】
さらに、cosθおよびsinθとしてテイラー級数の1項または2項のみからなる近似式を用いる場合には、歪み補償の効果を損なうことなく、歪み補償のための演算を、より簡単にすることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
[1.無線通信装置の構成:図1]
図1は、この発明の無線通信装置の一例、すなわち、この発明の歪み補償方法によって送信部の電力増幅器の非線形歪みが補償される無線通信装置の一例を示し、デジタル携帯電話システムの端末電話機の場合である。
【0019】
この無線通信装置では、デジタル直交ベースバンド信号Io,Qoが、ロールオフフィルタ11,12に供給されて、それぞれの高周波成分が除去され、ロールオフフィルタ11,12からのデジタル直交ベースバンド信号I,Qが、歪み補償部20に供給されて、歪み補償部20から後述のように歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が得られ、その歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’が、D/Aコンバータ31,32に供給されて、それぞれアナログ信号に変換され、そのアナログ直交ベースバンド信号が、ローパスフィルタ33,34を通じて直交変調部40に供給されて、直交変調部40から直交変調された高周波信号が得られ、その高周波信号が、電力増幅器50で増幅される。
【0020】
[2.歪み補償の方法:図2〜図10]
この発明の歪み補償方法では、位相歪み補償用のテーブルから位相値θの余弦値cosθおよび正弦値sinθを読み出すが、以下では、この場合を第4の例として示し、その前に、位相歪み補償用のテーブルから位相値θを読み出す場合を第1、第2、第3の例として示す。
(2−1.歪み補償の第1の例:図2〜図7)
図2は、歪み補償部20の第1の例を示す。
【0021】
この例では、ロールオフフィルタ11,12からのデジタル直交ベースバンド信号I,Qを、それぞれ多項式演算部21,22に供給し、多項式演算部21,22で、ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,Vqを、それぞれ振幅歪み補償用の多項式g(v)に代入して、演算結果g(Vi),g(Vq)を算出する。
【0022】
多項式g(v)は、歪み補償後の電力増幅器の線形電圧利得をaとし、電力増幅器の入力電圧をvとし、電力増幅器の出力電圧を関数f(v)で表した場合に、図3の式(1)が成立するような、すなわち補償後の電力増幅器の入力電圧g(v)に対応する電力増幅器の出力電圧f(g(v))が補償前の電力増幅器の入力電圧vに比例するような関数である。なお、図3および図4の各式のアスタリスク(*)は乗算を意味する。
【0023】
図5は電力増幅器の代表的な特性を示し、実線1が振幅特性である。この電力増幅器で、入力電力値がAであるとき、出力電力値はBとなるが、電力増幅器の振幅特性が細線3で示すように線形であれば、出力電力値はB’となり、あらかじめ入力電力値をAからA’に変換しておけば、出力電力値はB’となって、元の入力電力値Aが出力電力値B’に変換されることになり、結果的に振幅歪みは生じないことになる。このように入力電力値をAからA’に変換する多項式がg(v)である。
【0024】
図2の歪み補償部20では、さらに2乗演算部23で、多項式演算部21,22の演算結果g(Vi),g(Vq)から、図3の式(2)で表される演算出力Miq2を算出する。
【0025】
さらに、歪み補償部20にはテーブル24を設けて、これに電力増幅器の位相歪みを補償するための、演算出力Miq2と1対1に対応する位相値θを、あらかじめ書き込んでおき、2乗演算部23の演算出力Miq2によって、テーブル24から、その演算出力Miq2に対応した位相値θを読み出す。
【0026】
図5の実線2は、電力増幅器の代表的な位相特性を示す。この電力増幅器で、入力電力が上述したように元の値Aから変換された値A’であるとき、電力増幅器を通過した後の出力の位相はDとなるが、電力増幅器の位相特性が実線2と破線4の間の線で示すように線形であれば、出力位相はD''となり、あらかじめ電力増幅器の入力の位相をDからD’に変換しておけば、出力位相はD''となって、元の入力位相Dが出力位相D''に変換されることになり、結果的に位相歪みは生じないことになる。
【0027】
そこで、テーブル24は、演算出力Miq2と1対1に対応する位相値θとして、電力増幅器の全入力範囲に渡って図5の破線4の位相のデータを有するものとする。
【0028】
図2の歪み補償部20では、さらに合成演算部25,26で、多項式演算部21,22の演算結果g(Vi),g(Vq)とテーブル24からの位相値θとから、図3の式(3)(4)で表される演算を行って、歪み補償されたデジタル直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する。
【0029】
上述した例で歪み補償が実現されることを、以下に示す。まず、電力増幅器の位相歪みが補償されることを示す。ここでは、ひとまず、振幅歪みはないものと考える。
【0030】
ロールオフフィルタ11,12の出力信号I,Q間の位相差をΦとして、これが90度程度の値になるものとし、図3の式(2)から、多項式演算結果g(Vi),g(Vq)が図3の式(5)(6)で表されることを用いると、位相歪みを有する電力増幅器の出力電圧Voutは、図3の式(7)で表される。式(7)中のVmおよびωは、電力増幅器の出力の高周波信号の振幅および角周波数、h(v)は電力増幅器の位相偏移(位相歪み)である。
【0031】
図3の式(8)(9)で示すようにVm*cos(Φ),Vm*sin(Φ)をVini,Vinqで置き換えると、式(7)の出力電圧Voutは、同図の式(10)で表される。
【0032】
さらに、この電力増幅器に歪み補償部20からの式(3)(4)で表される信号I’,Q’が入力されることは、式(10)中のVini,Vinqが図3の式(11)(12)で表されることに相当するので、式(10)の出力電圧Voutは、図4の式(13)(14)(15)で表される。式(13)〜(15)中のh(Vi,Vq)は、式(7)(10)中のh(v)に相当する位相偏移(位相歪み)である。
【0033】
そして、テーブル24からの位相値θは、この位相偏移h(Vi,Vq)を打ち消すものであるので、すなわち位相値θと位相偏移h(Vi,Vq)との間には図4の式(16)に示す関係があるので、式(15)の出力電圧Voutは、図4の式(17)で表されるようになり、位相偏移h(Vi,Vq)が打ち消される。
【0034】
以上のように、電力増幅器の位相歪みが補償される。次に、電力増幅器の振幅歪みが補償されることを示す。
【0035】
振幅歪みを有する電力増幅器の出力電圧Voutは、上記の関数f(v)を用いることによって、図4の式(18)で表される。位相歪みh(Vi,Vq)は、上述したように補償されるので、ここでは考慮しない。
【0036】
この電力増幅器の入力電圧Vi,Vqは、多項式演算によって電圧g(Vi),g(Vq)に変換されるので、その変換後の電力増幅器の出力電圧Vamは、式(18)中のVi,Vqをg(Vi),g(Vq)に置き換えた、図4の式(19)で表される。
【0037】
式(18)(19)中の関数f(v)は、cos(ωt),sin(ωt)を分離して考えたものである。これは、もともと振幅歪みを表す関数f(v)は、角周波数ωの成分の振幅(直流かそれに近い成分)のみを考慮して得たものであり、cos(ωt),sin(ωt)とは分離して考慮すべきものだからである。
【0038】
そして、式(19)中の関数f(g(Vi)),f(g(Vq))は、それぞれ図3の式(1)のように表されるので、式(19)の出力電圧Vamは、図4の式(20)で表され、振幅歪みが打ち消される。
【0039】
以上のように、電力増幅器の振幅歪みが補償される。すなわち、図2の例によれば、電力増幅器の振幅歪みおよび位相歪みが補償される。
【0040】
そして、図2の例によれば、テーブル24には電力増幅器の位相歪みを補償するための少量のデータを書き込んでおけばよいので、テーブル24を構成するメモリは小容量でよい。しかも、多項式演算部21,22での多項式演算は、振幅についてのみ行うとともに、合成演算部25,26での合成演算も、テーブル24からの位相値θからcosθおよびsinθを求めて多項式演算結果g(Vi),g(Vq)に乗算するだけであるので、歪み補償のための演算量が僅少となり、小規模の演算ロジックによって歪み補償を行うことができる。
【0041】
図5の実線1および2で示す振幅特性および位相特性を有する、最大出力が29.3dBm、小電力利得が26.1dB、最大位相偏移dHが−5.2度の電力増幅器に、歪み補償を行わないQPSK(Quadrature PSK:直交PSK)変調信号を入力して得られる、歪みを含む電力増幅器の出力スペクトラムを計算した結果を、図6に示す。この場合、隣接チャンネル漏洩電力比は−35dBcである。
【0042】
これに対して、同じ電力増幅器に上記の例のように歪み補償を行ったQPSK変調信号を入力して得られる、電力増幅器の出力スペクトラムを計算した結果を、図7に示す。この場合、隣接チャンネル漏洩電力比は−85dBcであり、図6の歪み補償を行わない場合に比べて50dBも改善される。
【0043】
(2−2.歪み補償の第2および第3の例:図8〜図10)
図8は、歪み補償部20の第2の例を示す。
【0044】
この例では、cosθ=1、かつsinθ=θとして、合成演算部25,26で、
I’=g(Vi)−g(Vq)×θ …(21)
Q’=g(Vq)+g(Vi)×θ …(22)
で表される演算を行う。その他は、図2の第1の例と同じである。
【0045】
図9は、歪み補償部20の第3の例を示す。
【0046】
この例では、cosθ=1−θ2/2、かつsinθ=θ−θ3/6として、合成演算部25,26で、
I’=g(Vi)×(1−θ2/2)−g(Vq)×(θ−θ3/6)
Q’=g(Vq)×(1−θ2/2)+g(Vi)×(θ−θ3/6)
で表される演算を行う。その他は、図2の第1の例と同じである。
【0047】
図8または図9の例によれば、合成演算部25,26での演算を、より簡単にすることができる。
【0048】
図10に、図5に示した特性の電力増幅器で、歪み補償を行わない場合、図8の第2の例で歪み補償を行った場合、および図9の第3の例で歪み補償を行った場合のそれぞれについて、図5に示した最大位相偏移dHを変数として変化させたときの、歪み補償の効果を計算した結果を示す。
【0049】
図10の破線で示すように、最大位相偏移dHが−5.2度のとき、歪み補償を行わない場合に比べて、図8の第2の例では25dB程度の歪みの改善が見られ、図9の第3の例では60dB程度の歪みの改善が見られ、cosθおよびsinθとしてテイラー級数の1項または2項のみからなる近似式を用いる場合でも、歪み補償の効果が損なわれないことが分かる。
【0050】
(2−3.歪み補償の第4の例)
図2の例は、テーブル24から演算出力Miq2に対応する位相値θを読み出す場合であるが、第4の例では、テーブル24に演算出力Miq2と1対1に対応するcosθおよびsinθを書き込んでおいて、演算出力Miq2によってテーブル24からcosθおよびsinθを読み出す。
【0051】
この場合には、図2の例に比べて、テーブル24のデータ量が増加するが、それでも、図11に示した従来の例のように振幅歪みおよび位相歪みを補償するためのデータをテーブル62に書き込む場合に比べて、テーブルのデータ量が僅少になるとともに、図2の例に比べて、合成演算部25,26での演算が、より簡単になる。
【0052】
図8または図9の例においても、同様に、演算出力Miq2によってテーブル24から直接、cosθ=1およびsinθ=θまたはcosθ=1−θ2/2およびsinθ=θ−θ3/6を読み出す。
【0053】
[3.他の実施形態]
さらに、この発明は、デジタル携帯電話システムの端末電話機の送信部の電力増幅器に限らず、基地局の送信用の電力増幅器や、その他の無線通信システムの基地局または移動局の送信部の電力増幅器の非線形歪みを補償する場合に、広く適用することができる。
【0054】
【発明の効果】
上述したように、この発明によれば、プリディストーション法によって電力増幅器の非線形歪みを補償する場合に、小容量のテーブルメモリおよび小規模の演算ロジックによって高精度の補償を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の無線通信装置の一例を示す図である。
【図2】図1の歪み補償部の第1の例を示す図である。
【図3】図2の例の説明に供する各種の式を示す図である。
【図4】図2の例の説明に供する各種の式を示す図である。
【図5】電力増幅器の代表的な振幅位相特性を示す図である。
【図6】図5の特性の電力増幅器で、歪み補償を行わない場合の出力スペクトラム計算結果を示す図である。
【図7】図5の特性の電力増幅器で、図2の例で歪み補償を行った場合の出力スペクトラム計算結果を示す図である。
【図8】図1の歪み補償部の第2の例を示す図である。
【図9】図1の歪み補償部の第3の例を示す図である。
【図10】歪み補償を行わない場合、および図8または図9の例で歪み補償を行った場合についての歪み補償の効果を計算した結果を示す図である。
【図11】従来のプリディストーション法の第1の例を示す図である。
【図12】従来のプリディストーション法の第2の例を示す図である。
【符号の説明】
11,12…ロールオフフィルタ、20…歪み補償部、21,22…多項式演算部、23…2乗演算部、24…テーブル、25,26…合成演算部、31,32…D/Aコンバータ、33,34…ローパスフィルタ、40…直交変調部、50…電力増幅器
Claims (7)
- 無線通信装置が実行する、当該無線通信装置の送信部の電力増幅器の非線形歪みを補償する方法として、
直交ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,Vqを、それぞれ振幅歪み補償用の多項式であって、補償後の前記電力増幅器の入力電圧g(v)に対応する前記電力増幅器の出力電圧f(g(v))が補償前の前記電力増幅器の入力電圧vに比例するようにされた関数g(v)に代入して、演算結果g(Vi),g(Vq)を算出する第1工程と、
その演算結果g(Vi),g(Vq)から、
Miq2=(g(Vi))2+(g(Vq))2
で表される演算出力Miq2を算出する第2工程と、
その演算出力Miq2によって、位相歪み補償用のテーブルから、その演算出力Miq2と1対1に対応した位相値θの余弦値cosθおよび正弦値sinθを読み出す第3工程と、
その読み出された余弦値cosθおよび正弦値sinθと、前記演算結果g(Vi),g(Vq)とから、
I’=g(Vi)×cosθ−g(Vq)×sinθ
Q’=g(Vq)×cosθ+g(Vi)×sinθ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する第4工程と、
を備える歪み補償方法。 - 請求項1の歪み補償方法において、
cosθ=1、かつsinθ=θとして、前記第4工程では、
I’=g(Vi)−g(Vq)×θ
Q’=g(Vq)+g(Vi)×θ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する歪み補償方法。 - 請求項1の歪み補償方法において、
cosθ=1−θ2/2、かつsinθ=θ−θ3/6として、前記第4工程では、
I’=g(Vi)×(1−θ2/2)−g(Vq)×(θ−θ3/6)
Q’=g(Vq)×(1−θ2/2)+g(Vi)×(θ−θ3/6)
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する歪み補償方法。 - 無線通信装置の送信部の電力増幅器の非線形歪みを補償する装置として、
直交ベースバンド信号I,Qの振幅Vi,Vqを、それぞれ振幅歪み補償用の多項式であって、補償後の前記電力増幅器の入力電圧g(v)に対応する前記電力増幅器の出力電圧f(g(v))が補償前の前記電力増幅器の入力電圧vに比例するようにされた関数g(v)に代入して、演算結果g(Vi),g(Vq)を算出する多項式演算手段と、
その演算結果g(Vi),g(Vq)から、
Miq2=(g(Vi))2+(g(Vq))2
で表される演算出力Miq2を算出する2乗演算手段と、
その演算出力Miq2によって、その演算出力Miq2と1対1に対応した位相値θの余弦値cosθおよび正弦値sinθが読み出される位相歪み補償用のテーブルと、
その読み出された余弦値cosθおよび正弦値sinθと、前記演算結果g(Vi),g(Vq)とから、
I’=g(Vi)×cosθ−g(Vq)×sinθ
Q’=g(Vq)×cosθ+g(Vi)×sinθ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する合成演算手段と、
を備える歪み補償装置。 - 請求項4の歪み補償装置において、
cosθ=1、かつsinθ=θとされて、前記合成演算手段は、
I’=g(Vi)−g(Vq)×θ
Q’=g(Vq)+g(Vi)×θ
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する歪み補償装置。 - 請求項4の歪み補償装置において、
cosθ=1−θ2/2、かつsinθ=θ−θ3/6とされて、前記合成演算手段は、
I’=g(Vi)×(1−θ2/2)−g(Vq)×(θ−θ3/6)
Q’=g(Vq)×(1−θ2/2)+g(Vi)×(θ−θ3/6)
で表される直交ベースバンド信号I’,Q’を算出する歪み補償装置。 - 請求項4〜6のいずれかの歪み補償装置を歪み補償部として備える無線通信装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP20136699A JP4406960B2 (ja) | 1999-07-15 | 1999-07-15 | 歪み補償方法、歪み補償装置および無線通信装置 |
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