以下、添付図面を参照しながら、本発明の実施の形態について説明し、本発明の理解に供する。なお、以下の実施の形態は、本発明を具体化した一例であって、本発明の技術的範囲を限定する性格のものではない。
[複合機1の概略構成について]
本実施形態では、本発明のパンチ処理装置を備える画像形成装置を複合機に適用した場合について説明する。図1は、そのような複合機の内部構成の概略を示している。
図1に示すように、複合機1は、原稿読取手段としてのスキャナ部2と、画像形成部3と、原稿自動給紙部4と、用紙後処理手段としての用紙後処理部5とを備えている。なお、以下では、便宜上、複合機1のうち、用紙後処理部5および排紙トレイ8以外の部分を「装置本体」と称する。
この複合機1は、記録用紙(OHP等の記録媒体を含む。)に画像を形成する画像形成モードとして、コピアモード、プリンタモード、FAXモードを有し、各モードはユーザによって選択される。以下、複合機1の各部について説明する。
まず、スキャナ部2について説明する。スキャナ部2は、透明なガラス等よりなる原稿台41上に載置された原稿の画像や、原稿自動給紙部4により1枚ずつ給紙される原稿の画像を読み取って原稿画像データを作成する部分である。このスキャナ部2は、露光光源21、複数の反射鏡22、23、24、結像レンズ25、光電変換素子(CCD;Charge Coupled Device)26を備えている。
露光光源21は、原稿自動給紙部4の原稿台41上に載置された原稿や、原稿自動給紙部4を搬送される原稿に対して光を照射するものである。各反射鏡22、23、24は、図1中、一点鎖線Aで光路を示すように、原稿からの反射光を、一旦、図1中、左方向に反射させた後、下方に反射させ、その後、結像レンズ25に向かうように、図1中、右方向に反射させるようになっている。
原稿の画像読取動作には、次の2つがある。原稿台41上に載置された原稿を読み取る場合(「シート固定方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、原稿台41に沿って水平方向に走査して、原稿全体の画像を読み取ることになる。一方、原稿自動給紙部4を搬送される原稿を読み取る場合(「シート移動方式」として使用する場合)には、露光光源21および各反射鏡22、23、24が、図1に示す位置に固定され、後述する原稿自動給紙部4の原稿読取部42を原稿が通過する際にその画像を読み取ることになる。
各反射鏡22、23、24で反射されて結像レンズ25を通過した光は、光電変換素子26に導かれ、この光電変換素子26において反射光が電気信号(原稿画像データ)に変換されるようになっている。
次に、画像形成部3について説明する。画像形成部3は、印字手段としての画像形成系31と、用紙搬送系32とを備えている。
画像形成系31は、レーザスキャニングユニット31aおよびドラム型の像担持体としての感光体ドラム31bを備えている。レーザスキャニングユニット31aは、光電変換素子26において変換された原稿画像データ、または、外部の端末装置等から入力された画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射するものである。感光体ドラム31bは、図1中、矢印で示す方向に回転し、レーザスキャニングユニット31aからのレーザ光が照射されることによってその表面に静電潜像が形成されるようになっている。
また、感光体ドラム31bの外周囲には、レーザスキャニングユニット31aの他に、現像ユニット(現像機構)31c、転写ローラ31dを有する転写ユニット(転写機構)、クリーニングユニット(クリーニング機構)31e、図示しない除電器、帯電ローラ31fを有する帯電ユニット(帯電機構)が周方向にわたって順に配設されている。
現像ユニット31cは、感光体ドラム31bの表面に形成された静電潜像をトナー(顕像化物質)により可視像に現像するものである。転写ローラ31dは、感光体ドラム31bの表面に形成されたトナー像を記録媒体としての記録用紙に転写するものである。クリーニングユニット31eは、トナー転写後において感光体ドラム31bの表面に残留したトナーを除去するものである。除電器は、感光体ドラム31bの表面の残留電荷を除去するものである。帯電ローラ31fは、静電潜像が形成される前の感光体ドラム31bの表面を所定の電位に帯電させるものである。
記録用紙に画像を形成する際には、帯電ローラ31fによって感光体ドラム31bの表面が所定の電位に帯電され、レーザスキャニングユニット31aが原稿画像データに基づいたレーザ光を感光体ドラム31bの表面に照射する。その後、現像ユニット31cが感光体ドラム31bの表面にトナーによる可視像を現像し、転写ローラ31dによって、トナー像が記録用紙に転写される。さらに、その後、感光体ドラム31bの表面に残留したトナーはクリーニングユニット31eによって除去されるとともに、感光体ドラム31bの表面の残留電荷が除電器によって除去される。これにより、記録用紙への画像形成動作(印字動作)の1サイクルが終了する。このサイクルが繰り返されることにより、複数枚の記録用紙に対して連続的に画像形成を行うことができるようになっている。
一方、用紙搬送系32は、給紙手段としての用紙カセット33に収納された記録用紙、または手差トレイ34に載置された記録用紙を1枚ずつ搬送して画像形成系31による画像形成を行わせるとともに、画像形成された記録用紙を排紙手段としての排紙トレイ8へ、後述する用紙後処理部5を経由して排出するものである。排紙トレイ8は、用紙カセット33の上方であってスキャナ部2の下方に設けられている。排紙トレイ8については、詳しくは後述する。
用紙搬送系32は、装置本体における主搬送路36、反転搬送路37と、図2に示す用紙後処理部5における主搬送路51、スイッチバック搬送路52とを備えている。装置本体の主搬送路36と用紙後処理部5の主搬送路51とは、装置本体の排出ローラ36eを境に互いに繋がっている。用紙後処理部5の主搬送路51とスイッチバック搬送路52については、後述する。そして、複合機1において、記録用紙は、いわゆる中央基準で用紙搬送系32を搬送される。つまり、記録用紙は、その幅方向(記録用紙の搬送方向に直交する方向)における中央位置を基準として搬送される。
装置本体の主搬送路36の一端側は、2つに分岐されており、一方の分岐端は用紙カセット33の排出側に対向しているとともに、他方の分岐端は手差トレイ34の排出側に対向している。また、主搬送路36の他端側は、用紙後処理部5のパンチユニット(パンチ処理装置)60に対向している。反転搬送路37は、一端側が転写ローラ31dの配設位置よりも上流側(図1中、下側)で主搬送路36に繋がっているとともに、他端側が転写ローラ31dの配設位置よりも下流側(図1中、上側)で主搬送路36に繋がっている。
主搬送路36の一方の分岐端(用紙カセット33の排出側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36aが配設されている。このピックアップローラ36aの回転により、用紙カセット33に収納されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。同様に、主搬送路36の他方の分岐端(手差トレイ34の排出側に対向する部分)には、断面が半円状のピックアップローラ36bが配設されている。このピックアップローラ36bの回転により、手差トレイ34に載置されている記録用紙を1枚ずつ間欠的に主搬送路36に給紙できるようになっている。
この主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも上流側には、レジストローラ36dが配設されている。このレジストローラ36dは、感光体ドラム31b表面のトナー像と記録用紙との位置合わせを行いながら記録用紙を搬送するものである。
主搬送路36における転写ローラ31dの配設位置よりも下流側には、記録用紙に転写されたトナー像を加熱により定着させるための一対の加熱ローラ39a、加圧ローラ39bを備えた定着ユニット39が配設されている。さらに、主搬送路36の下流端には、記録用紙を用紙後処理部5に排出するための排出ローラ36eが、用紙後処理部5の主搬送路51との境に配設されている。
主搬送路36に対する反転搬送路37の上流端の接続位置には、分岐爪38が配設されている。この分岐爪38は、図1中、第1位置(実線で示す位置)と、この第1位置から、図1中、反時計回り方向に回動して反転搬送路37を開放する第2位置との間で水平軸回りに回動自在となっている。この分岐爪38が第1位置にあるときには、記録用紙が用紙後処理部5の主搬送路51に向けて搬送され、第2位置にあるときには、記録用紙が反転搬送路37へ供給可能となっている。
反転搬送路37には、搬送ローラ37aが配設されており、用紙後処理部5におけるスイッチバック搬送路52でスイッチバックされた記録用紙が、反転搬送路37に供給された場合には、この搬送ローラ37aによって記録用紙が搬送され、レジストローラ36dの上流側で記録用紙が主搬送路36に導入されて、再び転写ローラ31dに向かって主搬送路36を搬送されるようになっている。つまり、記録用紙の裏面に対して画像形成が行えるようになっている。
次に、原稿自動給紙部4について説明する。原稿自動給紙部4は、いわゆる自動両面原稿搬送装置として構成されている。この原稿自動給紙部4は、シート移動式として使用可能であって、原稿載置部としての原稿トレイ43、中間トレイ44、原稿排出部としての原稿排紙トレイ45、および各トレイ43、44、45間で原稿を搬送する原稿搬送系46を備えている。
原稿搬送系46は、原稿トレイ43に載置された原稿を、原稿読取部42を経て中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ搬送するための主搬送路47と、中間トレイ44上の原稿を主搬送路47に供給するための副搬送路48とを備えている。
主搬送路47の上流端(原稿トレイ43の排出側に対向する部分)には、原稿ピックアップローラ47aおよび捌きローラ47bが配設されている。また、捌きローラ47bの下側には、捌き板47cが配設されている。原稿ピックアップローラ47aの回転に伴って、原稿トレイ43上の原稿のうちの1枚が、捌きローラ47bと捌き板47cとの間を通過して主搬送路47に給紙されるようになっている。主搬送路47と副搬送路48との合流部分(図1中、Bの部分)よりも下流側には、PSローラ47e、47eが配設されている。このPSローラ47e、47eは、原稿の先端とスキャナ部2の画像読取タイミングとを調整して原稿を原稿読取部42に供給するものである。つまり、PSローラ47e、47eは、原稿が供給された状態でその原稿の搬送を一旦停止し、上記タイミングを調整して、原稿を原稿読取部42に供給するようになっている。
原稿読取部42は、プラテンガラス42aと原稿押え板42bとを備え、PSローラ47e、47eから供給された原稿がプラテンガラス42aと原稿押え板42bとの間を通過する際に、露光光源21からの光がプラテンガラス42aを通過して原稿に照射されるようになっている。この際、スキャナ部2による原稿画像データの取得が行われる。原稿押え板42bの背面(上面)には、図示しないコイルスプリングによる付勢力が付与されている。これにより、原稿押え板42bがプラテンガラス42aに対して所定の押圧力をもって接触し、原稿が原稿読取部42を通過する際に、プラテンガラス42aから浮き上がることを阻止している。
プラテンガラス42aの下流側には、搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gが備えられている。プラテンガラス42a上を通過した原稿が搬送ローラ47fおよび原稿排紙ローラ47gを経て、中間トレイ44または原稿排紙トレイ45へ排紙されるようになっている。
原稿排紙ローラ47gと中間トレイ44との間には、中間トレイ揺動板44aが配設されている。この中間トレイ揺動板44aは、中間トレイ44側の端部が揺動中心とされて、図1に示すポジション1と、このポジション1から上方へ跳ね上げられたポジション2との間で揺動可能となっている。中間トレイ揺動板44aがポジション2にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は原稿排紙トレイ45へ回収される。一方、中間トレイ揺動板44aがポジション1にある場合には、原稿排紙ローラ47gから排紙された原稿は中間トレイ44へ排出されるようになっている。この中間トレイ44への排紙時には、原稿の端縁が原稿排紙ローラ47g、47g間に挟持された状態となっており、この状態から原稿排紙ローラ47gが逆回転することによって原稿が副搬送路48に供給され、この副搬送路48を経て、再び主搬送路47に送り出されるようになっている。この原稿排紙ローラ47gの逆回転動作は、主搬送路47への原稿の送り出しと画像読取タイミングとを調整して行われる。これにより、原稿の裏面の画像が原稿読取部42によって読み取られるようになっている。
[用紙後処理部5および排紙トレイ8の概略について]
次に、用紙後処理部5および排紙トレイ8について説明する。
用紙後処理部5は、印字処理の終了後に装置本体から排出される記録用紙に対して、パンチ処理、ステープル処理等の複数の用紙後処理を可能とするものである。このような用紙後処理部5における用紙後処理は、後述するように、印字要求の際、印字条件として用紙後処理の要求があったときに行われる。
この例では、用紙後処理部5および排紙トレイ8を、複合機1の装置本体の外部へ設けるのではなく、装置本体によって形成される空間Cを利用して設けるようにしている。具体的には、複合機1の装置本体では、用紙カセット33と、画像形成部3(画像形成系31)と、スキャナ部2とが略「コ」字状に配置されており、この装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設けるようにしている。これにより、複合機1内の限られたスペースに用紙後処理部5および排紙トレイ8を設置でき、記録用紙に対する複数の用紙後処理を行うことができる。そして、用紙後処理部5を備えた複合機1の占有面積を抑え、省スペース化を図ることが可能となる。また、用紙後処理部5は、複数の機能を備え、複数の用紙後処理が可能であるため、単一の用紙後処理しか施すことができない用紙後処理部を設ける場合と比べて、機能面で優れており、ユーザの選択可能な用紙後処理が多くなり、利便性がよくなり、ユーザの範囲が広がる。以下、用紙後処理部5および排紙トレイ8について、図2〜図9を用いて詳しく説明する。なお、記録用紙の搬送方向(図3に示す方向)を「用紙搬送方向」と称し、これに直交する記録用紙の幅方向(図3に示す方向)を「用紙幅方向」と称する。
図2に示すように、用紙後処理部5は、装置本体の排出ローラ36eの下流側に配置されている。用紙後処理部5には、用紙後処理ユニットとして、パンチ穴開け機能を備えるパンチユニット60と、ステープル機能を備えるステープルユニット70とが備えられている。用紙後処理部5の前面(手前側の面)は、開閉可能なカバー50により覆われている。そして、用紙後処理部5においては、パンチユニット60が上流側に配置され、ステープルユニット70が下流側に配置されている。用紙後処理部5の下流側には、排紙トレイ8が設けられている。排出ローラ36eから排出される記録用紙は、パンチユニット60、ステープルユニット70を経て排紙トレイ8に排出される。
このように、用紙後処理部5において、パンチユニット60を上流側に配置し、ステープルユニット70を下流側に配置するのは、パンチユニット60では、記録用紙1枚毎にパンチ穴開け処理を行うのに対して、ステープルユニットでは複数枚の記録用紙にまとめてパンチ処理を行うからである。なお、パンチユニット60またはステープルユニット70の替わりに、記録用紙の搬送機能のみを有するダミーユニットを設けるようにしてもよい。ただし、ステープルユニット70の替わりにダミーユニットを設けるのではなく、排紙トレイ8を上流側へ詰めて配置してもよい。この場合、後述する記録用紙のスイッチバックは、パンチユニット60の最も下流側に配置されるローラ(排紙トレイ8に臨む位置に配置されるローラ)により行うようにする。
[パンチユニット(パンチ処理装置)60の概略構成について]
パンチユニット60は、排出ローラ36eから排出される記録用紙に対してパンチ穴開けの処理(パンチ処理)を行うものである。パンチユニット60には、パンチ穴開け機構部61、ガイド板62、パンチ屑収納容器63等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51が形成されている。パンチユニット60には、主搬送路51の途中に搬送ローラ56が設けられている。なお、パンチユニット60は、後述するステープルユニット70とは異なり、装置本体に固定されている。
パンチユニット60では、印字要求の際、印字条件としてパンチ処理の要求があった場合には、パンチユニット60に搬送されてきた記録用紙をガイド板62の位置で停止させ、1枚毎にパンチ穴開け機構部61によりパンチ穴を開ける。このとき、印字用紙サイズを基に決定される位置にパンチ穴を開けるようにしている。
パンチ穴開け機構部61は、パンチユニット60の上部に配置されており、パンチ穴開け機構部61には、パンチ穴の径と一致する径のパンチ用ポンチ64が用紙幅方向に沿って所定の間隔で2箇所に設けられている。パンチ用ポンチ64は、上下に昇降可能に設けられており、パンチ用ポンチ64が下降する際に記録用紙に対してパンチ穴を開口する。また、パンチ用ポンチ64は、用紙搬送方向に沿う方向および用紙幅方向に沿う方向にそれぞれ往復移動可能に設けられており、後述するように、パンチ処理を行う際の位置合わせが可能となっている。
ガイド板62は、パンチ穴開け機構部61の下方に配置されており、ガイド板62には、パンチ穴を開ける所定位置に対応する開口部が形成されている。パンチ屑収納容器63は、パンチユニット60の下部に配置されており、パンチ屑収納容器63によりパンチ穴開け処理によって生じたパンチ屑を回収するようにしている。パンチ屑収納容器63は、用紙幅方向に沿ってスライド可能に設けられており、後述するように、カバー50を開けたとき、手前側に取り出すことが可能となっている。これにより、パンチ屑収納容器63内に収納されるパンチ屑を取り出すことができる。
パンチユニット60でパンチ処理を行う際には、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に対応する位置にパンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64を移動するようにしている。
加えて、上述の印字用紙サイズを基に決定された位置に正確にパンチ穴を開けることができるように、パンチユニット60のパンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64の微調整移動を行うようにしている。この微調整移動は、パンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64を前後左右に若干距離だけ移動させるものであり、パンチユニット60に搬送される記録用紙の通過位置に対応させて行われている。具体的には、定着ユニット39を通過した記録用紙の先端および後端を検出するとともに、記録用紙の側端を検出するラインセンサ36fが排出ローラ36eの上流側に設けられている。このラインセンサ36fによりパンチユニット60に搬送される記録用紙の用紙搬送方向における位置を検出して、パンチ用ポンチ64を用紙搬送方向に沿う方向に若干距離だけ移動させるようにしている。また、このラインセンサ36fによりパンチユニット60に搬送される記録用紙の用紙幅方向における位置を検出して、パンチ用ポンチ64を左右に用紙幅方向に沿う方向に若干距離だけ移動させるようにしている。
上述したように、複合機1において、記録用紙は中央基準で搬送されるため、上述のパンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64の位置合わせを容易に行うことができる。詳しく言えば、パンチ穴位置は、通常、記録用紙の幅方向中央を対称に2箇所となっている。そして、パンチ穴の記録用紙の幅方向の位置に対しては、高い精度が要求される。したがって、パンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64の移動精度にも、高い精度が要求される。そこで、この例では、記録用紙を中央基準で搬送することによって、搬送される記録用紙の幅方向中央の基準位置に対するずれを検出し、そのずれに応じてパンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64を移動するようにしている。これにより、記録用紙に開口されるパンチ穴位置の精度の高いものとすることができる。また、このような位置合わせは、搬送されるすべてのサイズの記録用紙に対して同様に行うことができる。
[ステープルユニット70について]
ステープルユニット70は、上流側のパンチユニット60から搬送される記録用紙に対してステープル処理を行うものである。ステープルユニット70は、後述するように、カバー50を開けたとき、用紙搬送方向に沿う方向にスライド可能に設けられている。また、ステープルユニット70は、後述するように、ステープルユニット70の上流側に配置されているパンチユニット60に対して係脱可能に設けられている。
ステープルユニット70には、ステープル機構部71、ステープル台72、整合板73、排紙ローラ74等が備えられている。また、上述した用紙搬送系32として、主搬送路51およびスイッチバック搬送路52が形成されている。主搬送路51の下流側とスイッチバック搬送路52の上流側との接続位置には、記録用紙を案内する方向を切り替える分岐爪53と、記録用紙をステープル台72に排出する排出ローラ54が設けられている。また、スイッチバック搬送路52の下流側には、スイッチバックローラ55が設けられている。
ステープルユニット70では、印字要求の際、印字条件としてステープル処理の要求があった場合には、ステープル台72に積載される所定枚数の記録用紙に対して、ステープル機構部71によりステープル処理を施す。このとき、印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定される位置にステープル処理を施すようにしている。所望ステープル位置は、例えば、記録用紙の左上隅部に1箇所止めとか、左端部に2箇所止めとかというように、ユーザの所望するステープル処理を施す位置のことである。
ステープル機構部71は、排出ローラ54の下方に配置されており、ステープル台72上に積載される記録用紙の後端部をステープル針で綴じるものである。ステープル機構部71は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に構成されており、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置にステープル処理を施すことができるようになっている。ステープルユニット70でステープル処理を行う際には、上述の印字用紙サイズおよび所望ステープル位置を基に決定された位置に対応する位置にステープル機構部71を移動する。
ステープル台72は、排出ローラ54から排出される記録用紙を積載するものであり、ステープル機構部71によるステープル処理用の処理台となるものである。ステープル台72は、用紙搬送方向下流側を上方に傾けて配置されている。排出ローラ54から排出される記録用紙は、ステープル処理が行われる場合には、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。一方、ステープル処理が行われない場合には、記録用紙は、後述するように、排紙ローラ74から排紙トレイ8に排出される。
整合板73は、ステープル台72の上面(記録用紙が排出される面)の用紙幅方向に沿う方向の両サイドに対向して配置されている。一対の整合板73は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に設けられている。そして、ステープルユニット70でステープル処理を行う場合に、整合板73を用紙幅方向に沿って移動させることで、ステープル台72上に排出される記録用紙1枚毎に用紙幅方向の整合を行うようにしている。このとき、印字用紙サイズを基に、つまり、搬送される記録用紙のサイズを基に決定される可動幅に応じて整合板73を動かすようにしている。
一対の整合板73の往復移動は、例えば、ラックピニオン機構により可能となっている。具体的には、一方の整合板73に連結されるラック部材と、他方の整合板73に連結されるラック部材とが所定の間隔をあけて互いに対向して配置されている。また、両ラック部材の間には、ピニオンギアが配置されており、両ラック部材とそれぞれ噛合している。ここで、両ラック部材は、用紙幅方向に沿って往復移動可能に設けられているのに対して、ピニオンギアは移動不能に設けられている。そして、ピニオンギアを駆動源からの動力を伝達して回転することで、一対の整合板73が用紙幅方向に沿って互いに対称的に移動する。これにより、ステープル台72上に排出される記録用紙の用紙幅方向の整合が可能となる。
[排紙ローラ74について]
排紙ローラ74は、ステープル台72の用紙搬送方向の最も下流側に、排紙トレイ8に臨むように上下一対で配置されており、ステープル台72上の記録用紙を排紙トレイ8に排出するものである。排紙ローラ74は、後述するように、記録用紙を排紙トレイ8に仕分け排出するシフターローラとしても兼用される。上下の排紙ローラ74は、ともに駆動ローラとして設けられている。つまり、上下の排紙ローラ74は、ともに駆動源と連結されている。
また、上下の排紙ローラ74は、接離可能に設けられており、一方(この場合、上側)の排紙ローラ74が他方(この場合、下側)の排紙ローラ74に対して上下方向に移動可能に設けられている。記録用紙を排紙トレイ8に排出する場合には、上下の排紙ローラ74を互いに圧接する状態とし、一方、記録用紙に対するステープル処理を行う場合には、上下の排紙ローラ74を互いに離間する状態とする。なお、上下の排紙ローラ74のホームポジションは、互いに圧接しているときの位置となっている。
上下の排紙ローラ74を接離可能に設けることで、次のようなメリットがある。ステープル処理を行う場合には、上下の排紙ローラ74を離間状態として、ステープル台72に送られる記録用紙の先端部を上下の排紙ローラ74間から突出させるようにする。これにより、ステープル台72の用紙搬送方向に沿う方向の長さを短くすることができ、ステープルユニット70をコンパクトにすることができる。そして、ステープル処理後には、上下の排紙ローラ74を圧接状態として、ステープル処理後の記録用紙束を排紙トレイ8に排出する。これにより、ステープル処理後の記録用紙束を排紙部に排出する機構、例えば、記録用紙束を押し出す機構を別途設ける必要がなくなる。
ここで、排紙ローラ74によるシフター処理について説明する。この例では、排紙ローラ74によって記録用紙にシフター処理を施すことで、記録用紙を仕分けて排紙トレイ8に排出するようにしている。
シフター処理は、記録用紙を用紙幅方向に沿った複数の位置から排紙トレイ8に排出することで、排紙トレイ8上での記録用紙の排出位置を用紙幅方向に沿う方向にずらして記録用紙の仕分けを行うものである。このようなシフター処理は、例えば、上下の排紙ローラ74を軸方向(用紙幅方向に沿う方向)に往復移動可能に設けることで可能となる。具体的には、上下の排紙ローラ74で記録用紙をチャックした状態で、上下の排紙ローラ74を軸方向に移動させる。これにより、上下の排紙ローラ74でチャックされている記録用紙が用紙幅方向に沿って移動する。そして、その位置で記録用紙を排紙トレイ8に排出すると、排紙トレイ8上での記録用紙の排出位置を用紙幅方向に沿う方向にずらすことができる。このようにして、例えば、記録用紙の部数毎の仕分けを行うことができ、1部目の最終ページと2部目の最初のページとが排紙トレイ8の同じ位置に排出されないようにすることができる。また、排紙ローラ74をシフターローラとして兼用することで、部材点数の削減、コスト削減等を図ることができる。なお、記録用紙の排出後には、上下の排紙ローラ74を元の位置まで戻すようにする。
そして、上述したように、上下の排紙ローラ74は接離可能に設けられているため、次のようなメリットがある。従来、排紙ローラをシフターローラとして兼用した場合、ステープル処理を行ったときには、シフター処理を行わないようにしていた。つまり、排紙ローラが接離可能となっていなかったため、排紙ローラによるシフター機能は、ステープル処理が行われていない1枚の記録用紙にのみ対応し、ステープル処理が行われた記録用紙束には対応しないものとなっていた。これに対して、この例では、ステープル処理後に、上下の排紙ローラ74を圧接状態とすることで、ステープル処理後の記録用紙束を確実にチャックすることができ、この状態でシフター処理を行うことができる。これにより、ステープル処理が行われていない1枚の記録用紙に対しても、ステープル処理が行われた記録用紙束に対しても同様にシフター処理を施すことができる。
〔ステープルユニット70のスライドについて〕
また、ここで、ステープルユニット70の用紙搬送方向に沿う方向への移動について説明する。この例では、ステープルユニット70は、後述する排紙トレイ8および排紙トレイ8下方の底部89とともに、用紙搬送方向に沿って往復移動するように構成されている。なお、ステープルユニット70をスライドさせる方向を用紙幅方向に沿う方向としてもよい。
ステープルユニット70の下部と、装置本体の外装90との間には、スライド式のレール75が設けられている。スライド式レール75は、例えば、アキュライド(登録商標)のようなボールベアリングを用いたスライドレールとすることができる。具体的には、スライド式レール75を、ステープルユニット70下部に取り付けたレールと、装置本体の外装90に取り付けたレールとの間に、ボールベアリングを保持する保持部材を介在させる構成としている。そして、装置本体の外装90側のレールに対して、ボールベアリングを介してステープルユニット70側のレールがスライドすることで、ステープルユニット70の装置本体に対するスムーズなスライドが可能となる。
通常時には、ステープルユニット70は、装置本体に固定されているパンチユニット60と接するように配置されている。一方、主搬送路51またはスイッチバック搬送路52でジャムが発生した場合、ステープル針の交換、補充を行う場合等には、ステープルユニット70を用紙搬送方向に沿って下流側へスライドさせる。このスライドによって、図7に示すように、ステープルユニット70とパンチユニット60との間に空間が形成される。これにより、視認性がよくなり、この空間に手を入れて作業をすることが可能となる。この結果、主搬送路51またはスイッチバック搬送路52でジャムした記録用紙を容易に取り出すことができ、ジャム処理作業を容易に行うことができる。また、ステープル針を交換、補充する作業も容易に行うことができる。
そして、このとき、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側へスライド可能な距離は、最大限、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側の端部が複合機1の側面から突出しない距離となっている。つまり、ステープルユニット70は、用紙搬送方向下流側の端部が装置本体から突出しない範囲でスライド可能となっている。このように、ステープルユニット70がスライド可能な範囲に制限を設けて、スライド式レール75が変形等することのないようにしている。
上述したように、ステープルユニット70は、通常時には、装置本体に固定されているパンチユニット60と接するように配置されている。このとき、ステープルユニット70は、図8(a)に示すように、ステープルユニット70に設けられているフック76がパンチユニット60に設けられている係合溝66に係合することで、パンチユニット60に固定されている。フック76は、回動支点76aを中心に回動可能に設けられている。また、フック76は、回動支点76aを中心に時計回り方向に回動する方向に付勢されている。フック76の先端部76bは、係合溝66と係合するように、略L字状に形成されている。そして、フック76の他端側は、フックレバー77と連結されている。
ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側へスライドさせるには、次のようにする。フックレバー77を操作して、フック76を付勢力に抗して、回動支点76aを中心に反時計回り方向に回動することによって、フック76と係合溝66との係合を解除する。これにより、ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側への移動させることができる。ステープルユニット70を用紙搬送方向下流側に移動することで、上述したように、ジャム処理作業等を容易に行うことができる。
逆に、ジャム処理作業等を終えて、ステープルユニット70をパンチユニット60に固定するには、次のようにする。ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせてパンチユニット60に近づけていくと、図8(b)に示すように、フック76の先端部76bが係合溝66の傾斜面66aに当接する。この状態から、さらに、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせることで、図8(c)に示すように、フック76は、付勢力に抗して、回動支点76aを中心に反時計回り方向に回動する。さらに、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせることで、フック76は係合溝66の頂点66bを乗り越えて、図8(a)に示すように、フック76が係合溝66に係合する。これにより、ステープルユニット70がパンチユニット60に固定され、ステープルユニット70の用紙搬送方向下流側への移動が不可能となる。なお、ステープルユニット70に係合溝を設け、パンチユニット60にフックを設けるようにしてもよい。
[カバー50について]
カバー50は、上述したように、用紙後処理部5の手前側の面に開閉可能に設けられている。カバー50は、その下端部に設けられている回動軸50aと中心に回動可能となっている。図3〜図5に示すように、カバー50は、閉じた状態では、垂直に配置されて用紙後処理部5の手前側の面を覆っている。逆に、図6、図7に示すように、カバー50は、開いた状態では、略水平に配置されて用紙後処理部5の手前側を開放する。このように、カバー50を開くと、パンチ屑収納容器63を手前側に取り出して、パンチ屑収納容器63内のパンチ屑を処分することができる。
カバー50は、正面視矩形に形成されており、パンチユニット60およびステープルユニット70の手前側の面を全面にわたって覆うことが可能な大きさに形成されている。カバー50には、奥側(用紙後処理部5の内部側)へ向けて突出する突起50bが形成されており、カバー50を閉じると、この突起50bがステープルユニット70に形成されている係合穴部70bと係合することで、用紙後処理部5に対してカバー50が固定される。また、カバー50の外縁にも、奥側へ向けて突出する突起が形成されており、カバー50を閉じると、カバー50の突起がパンチユニット60およびステープルユニット70の手前側の面の端部と当接する。このうち、ステープルユニット70側の端部に形成されている突起50cは、ステープルユニット70の位置を規制するための規制用突起として設けられている。
規制用突起50cは、ステープルユニット70の手前側の面の用紙搬送方向上流側の端部に形成されている規制用溝部70cと当接する。規制用突起50cは、図9に示すように、平面視で、規制用溝部70cとの当接面50dが用紙幅方向に沿う方向(図9中、一点鎖線で示す)に平行には形成されておらず、用紙幅方向に沿う方向に対して角度αだけ傾斜して形成されている。このように、規制用突起50cの用紙搬送方向に沿う方向の幅が、先端側へ向かうにつれて(用紙後処理部5の内部側へ向かうにつれて)、次第に狭くなるように形成されている。一方、ステープルユニット70の規制用溝部70c側の当接面70dは、平面視で用紙幅方向に沿う方向に平行には形成されている。
カバー50に、上述のような規制用突起50cを設けることにより、次のようなメリットがある。上述したように、ステープルユニット70は、パンチユニット60に対して係脱可能に設けられている。そして、ステープルユニット70のフック76がパンチユニット60の係合溝66に係合することで、ステープルユニット70がパンチユニット60に固定されている。このとき、互いの境界面60f、70fが対向するようになっている。ところが、フック76の先端部76bが係合溝66の頂点66bを乗り越えて、フック76を係合溝66に係合させているため、互いの境界面60f、70fの間に隙間が生じてしまう。
この例では、ステープルユニット70を用紙搬送方向上流側へスライドさせてフック76を係合溝66に係合させて、ステープルユニット70を固定した後、カバー50を閉じるようにしている。この場合、カバー50を回動して閉じていくと、カバー50の規制用突起50cがステープルユニット70の規制用溝部70cに当接する。さらに、カバー50を閉じていくと、規制用突起50cと規制用溝部70cとの当接位置が、規制用突起50cの当接面50dの傾斜に沿って、手前側へ次第に移動する。これにより、ステープルユニット70がパンチユニット60側へ押し付けられる。そして、上述した突起50bを係合穴部70bに係合させて、カバー50を完全に閉じると、ステープルユニット70の境界面70fがパンチユニット60の境界面60fに略隙間のない位置まで近づき、この状態でステープルユニット70が固定される。
このように、カバー50を閉じたときにステープルユニット70の端部と当接する規制用突起50cを設けることにより、カバー50を閉じたとき、ステープルユニット70とパンチユニット60との間に生ずる隙間をできる限り小さくすることができる。これにより、ステープルユニット70の固定位置を規制することができ、ステープルユニット70の振動を防止することができる。
また、カバー50は、複合機1の動作のオン/オフを切り替えるスイッチの役目を果たすように設けられている。複合機1の動作とは、印字処理、用紙後処理時等の複合機1各部の動作のことで、カバー50が閉じているときは、複合機1の動作がオンとなり、印字処理時、用紙後処理等の各種の処理が許容され、可能となる。逆に、カバー50が開いているときは、複合機1の動作がオフとなり、印字処理、用紙後処理等の各種の処理が禁止され、不可能となる。このように、カバー50の開閉にしたがって、複合機1の動作のオン/オフが切り替わるようにしている。また、印字要求の際、カバー50が開いている場合には、ユーザに対してカバー50を閉じるように促すようにしている。
このようなオン/オフスイッチの役割を果たすカバー50を用紙後処理部5に設けることによって、ジャム処理作業や、ステープル針の交換、補充作業等を行っている場合等のように、カバー50が開いている状態で、印字処理、用紙後処理等が行われることがないようにしている。これにより、用紙後処理部5を備える複合機1の安全性を確保することができる。
なお、複合機1には、カバー50の他にも、開閉する扉(ドア)が設けられている。したがって、カバー50を含めた複合機1の扉が全て閉じている状態で、複合機1の動作をオンとし、カバー50を含めた複合機1の扉のいずれかが開いている状態で、複合機1の動作をオフとするようにしてもよい。
〔用紙後処理部5における記録用紙の搬送について〕
次に、用紙後処理部5における記録用紙の搬送について説明する。上述したように、用紙後処理部5には、主搬送路51およびスイッチバック搬送路52が形成されている。
主搬送路51は、装置本体の排出ローラ36eからパンチユニット60を経てステープルユニット70の中途部に配置されている排出ローラ54まで形成されている。この主搬送路51に沿って、装置本体の排出ローラ36eから排出される印字処理の終了後の記録用紙は、ステープルユニット70のステープル台72またはスイッチバック搬送路52へ搬送される。印字要求の際、印字条件としてパンチ処理の選択があった場合には、両面印字処理または片面印字処理の終了後、主搬送路51に搬送されてきた記録用紙をガイド板62上で停止させる。そして、パンチ穴開け機構部61のパンチ用ポンチ64を下降し、記録用紙の後端部の所定位置にパンチ穴を開口する。
スイッチバック搬送路52は、ステープルユニット70の上部に形成されており、排出ローラ54からスイッチバックローラ55まで形成されている。スイッチバック搬送路52では、排出ローラ54からスイッチバックローラ55まで記録用紙が搬送されると、記録用紙の後端部をスイッチバックローラ55でチャックした状態で、スイッチバックローラ55を逆回転する。これにより、記録用紙を反転させ、今度は、スイッチバックローラ55から排出ローラ54へ向けて記録用紙を搬送する。
スイッチバック搬送路52は、記録用紙の両面に対して印字処理を行うときに用いられる。すなわち、複合機1において両面印字を行う場合には、表面に対する印字処理が終了した記録用紙を、装置本体の主搬送路36から主搬送路51を経てスイッチバック搬送路52へ導き、このスイッチバック搬送路52にて反転させる。そして、反転させた記録用紙を、今度は、スイッチバック搬送路52から主搬送路51を経て装置本体の主搬送路36へ搬送し、さらに、反転搬送路37へ導いて、記録用紙の裏面に対して印字処理を行うことができるようにする。裏面に対する印字処理が終了した記録用紙は、装置本体の排出ローラ36eから主搬送路51を経てステープルユニット70のステープル台72へ排出される。
一方、記録用紙の両面に対して印字処理を行わない場合、つまり、記録用紙の片面に対してのみ印字処理を行う場合には、表面に対する印字処理が終了した記録用紙を、主搬送路51からスイッチバック搬送路52へ搬送せずに、排出ローラ54からそのままステープル台72へ排出する。
このように、ステープルユニット70内にスイッチバック搬送路52を設けて、スイッチバック搬送路で記録用紙のスイッチバックを行うことにより、排紙トレイ8に記録用紙を排出するローラでスイッチバックを行う場合と比べて、記録用紙の搬送距離が短くなる。したがって、両面印字を行うときの複合機1の印字効率を向上させることができる。
また、この例では、排出ローラ54からステープル台72までの間には、主搬送路51やスイッチバック搬送路52のような搬送路が形成されておらず、記録用紙は、排出ローラ54からたるんだ状態で排出される。このため、排出ローラ54で記録用紙をチャックした状態でスイッチバックを行うと、記録用紙にシワ等が発生する可能性がある。そこで、この例では、排出ローラ54で記録用紙のスイッチバックを行わずに、スイッチバック搬送路52を設けて、記録用紙にシワ等が発生するのを防止するようにしている。なお、
スイッチバック搬送路52を、ステープルユニット70よりも上流側に配置されるパンチユニット60に形成しないのは、上述したように、パンチユニット60の上部には、パンチ穴開け機構部61が配置されているためである。
上述のような記録用紙の搬送は、主搬送路51の下流側とスイッチバック搬送路52の上流側との接続位置(主搬送路51とスイッチバック搬送路52との分岐位置)に配設されている分岐爪53の回動動作によって可能となっている。分岐爪53は、図2中、第1位置(実線で示す位置)と、この第1位置から、図2中、時計回り方向に回動してスイッチバック搬送路52を開放する第2位置(二点鎖線で示す位置)との間で水平軸回りに回動自在に設けられている。そして、分岐爪53が第1位置にあるときには、記録用紙をステープル台72に向けて排出可能となっており、第2位置にあるときには、記録用紙をスイッチバック搬送路52へ搬送可能となっている。なお、第1位置が分岐爪53のホームポジションとなっている。
印字要求の際、印字条件として片面印字処理の選択があった場合には、分岐爪53は第1位置にあり、表面印字の終了後の記録用紙はステープル台72へ案内される。一方、印字要求の際、印字条件として両面印字処理の選択があった場合には、表面に対する印字処理が終了した記録用紙の先端が定着ユニット39を通過した後に、分岐爪53は第1位置から第2位置に切り替えられる。これにより、表面印字の終了後の記録用紙はスイッチバック搬送路52へ案内される。また、裏面に対する印字処理が終了した記録用紙の先端が定着ユニット39を通過した後に、分岐爪53は第2位置から第1位置に切り替えられる。これにより、裏面印字の終了後の記録用紙はステープル台72へ案内される。
さらに、印字要求の際、印字条件としてステープル処理の選択があった場合には、記録用紙をステープル台72に向けて排出するとき、記録用紙の後端部が排出ローラ54から離れた後に、第1位置にある分岐爪53を揺動させるようにしている。このような分岐爪53の揺動を数回繰り返すことで、排出ローラ54から離れてステープル台72へ落下する記録用紙の後端部が下方に向けて叩かれる。これにより、記録用紙がステープル台72へ速やかに到達する。
上述したように、ステープル処理を行う場合には、ステープル台72に排出された記録用紙は、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。このとき、記録用紙が滑り落ちている途中に、次の記録用紙が排出され、2枚の記録用紙が重なると、下側の記録用紙がそれ以上、滑り落ちなくなる可能性がある。したがって、記録用紙がステープル台72の端部まで滑り落ちるのを待って、次の記録用紙をステープル台72に排出するようにしている。このため、記録用紙がステープル台72の端部まで滑り落ちるまでに時間を要するほど、複合機1の印字効率が悪くなる。そこで、この例では、分岐爪53を揺動し、記録用紙の後端部を叩くことによって、記録用紙がステープル台72の端部まで滑り落ちるまでの時間をできる限り短くして、複合機1の印字効率を向上させるようにしている。
排出ローラ54からステープル台72に向けて排出される記録用紙は、その先端からステープル台72に次第に当接する。そして、記録用紙が排出ローラ54から排出されている途中に、記録用紙の先端部がステープル台72の最下流側の排紙ローラ74に達する。以降の記録用紙の搬送は、ステープルユニット70でステープル処理を行うか否かによって異なる。
ステープル処理を行わない場合には、上下の排紙ローラ74は圧接状態にあるため、記録用紙は、排紙ローラ74により送られて排紙トレイ8に排出される。このとき、印字要求の際、印字条件としてシフター処理の要求があった場合には、記録用紙は、上述した排紙ローラ74によるシフター処理の後、排紙トレイ8に排出される。
これに対して、ステープル処理を行う場合には、上下の排紙ローラ74は離間状態にある。このため、記録用紙は、排出ローラ54により記録用紙の先端部が上下の排紙ローラ74間に送られても、排紙ローラ74によっては送られない。したがって、記録用紙の後端が排出ローラ54から離れて、用紙搬送方向下流側への搬送力を失うと、今度は、記録用紙は、自重によりステープル台72の傾斜に沿って用紙搬送方向上流側へ滑り落ちる。この結果、記録用紙に対する用紙搬送方向の整合が行われる。
そして、所定枚数の記録用紙が排出ローラ54から排出され、ステープル台72に整合されて積載された後、ステープル機構部71で記録用紙の後端部にステープル処理が行われる。このステープル処理時には、記録用紙の中途部は、離間状態の上下の排紙ローラ74間にある。ステープル処理の終了後、上下の排紙ローラ74を圧接させ、排紙ローラ74を駆動して記録用紙束を排紙トレイ8に排出する。このとき、印字要求の際、印字条件としてシフター処理の要求があった場合には、記録用紙は、上述した排紙ローラ74によるシフター処理の後、排紙トレイ8に排出される。
ここで、上述したように、上下の排紙ローラ74は、ともに駆動ローラとして設けられているため、次のような利点がある。この例では、ステープル処理後の記録用紙束を排紙ローラ74で排出するようにしているが、この場合、排紙ローラ74の一方だけを駆動ローラとし、他方を従動ローラとすると、記録用紙束の枚数が増えるほど、従動ローラに駆動ローラの回転が伝わりにくくなる。この結果、ステープル針で綴じた位置で記録用紙が破れてしまう可能性がある。これに対して、上下の排紙ローラ74をともに駆動ローラとすることで、記録用紙を傷付けることなく、排紙トレイ8にスムーズに排出することができる。
〔排紙トレイ8について〕
次に、排紙トレイ8について説明する。
排紙トレイ8は、複合機1の装置本体によって形成されている「コ」字状の内部の空間Cに、上述した用紙後処理部5とともに設けられている。排紙トレイ8には、用紙後処理部5において、パンチ処理、ステープル処理等の用紙後処理が施された記録用紙が排出される。排紙トレイ8は、用紙搬送方向(記録用紙の排出方向)に沿って伸縮可能に設けられている。また、上下に昇降可能に設けられている。さらに、装置本体に対してスライド可能に設けられている。
図3、図5に示すように、排紙トレイ8は、用紙搬送方向に沿う方向に、1段〜3段に伸縮可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、印字用紙サイズに応じて、用紙搬送方向に沿ってユーザが手動で伸縮できるように構成されている。
排紙トレイ8には、第1排紙トレイ81と第2排紙トレイ82と第3排紙トレイ83とが備えられている。第1排紙トレイ81は、最も大きなサイズのトレイであり、最も用紙後処理部5寄りに配置されている。第1排紙トレイ81は、複合機1の側面(側壁)から突出しない長さに形成されている。この第1排紙トレイ81は、用紙搬送方向に沿う方向への移動が不可能に設けられている。
第2排紙トレイ82は、中間サイズのトレイであり、第1排紙トレイ81に形成されている収納部分81aに収納されている。この第2排紙トレイ82は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。第3排紙トレイ83は、最も小さなサイズのトレイであり、第2排紙トレイ82に形成されている収納部分82aに収納されている。この第3排紙トレイ83は、用紙搬送方向に沿う方向への進退移動が可能に設けられている。
図3に示すように、排紙トレイ8を1段のみに収縮させた状態では、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最小となっており、第3排紙トレイ83が第2排紙トレイ82に全て収納されており、この第2排紙トレイ82が第1排紙トレイ81に全て収納されている。このとき、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、第1排紙トレイ81の用紙搬送方向に沿う方向の長さと等しく、複合機1の側面から突出しない長さとなっている。このように、排紙トレイ8を、最も収縮した状態で、装置本体から突出しないようにすることで、複合機1を使用していないときには、排紙トレイ8を装置本体の空間に収納することができるようにしている。
これに対して、図5に示すように、排紙トレイ8を3段に伸張させた状態では、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さが最大となっており、第1排紙トレイ81から第2排紙トレイ82が最大限突出しており、この第2排紙トレイ82から第3排紙トレイ83が最大限突出している。このとき、排紙トレイ8の用紙搬送方向に沿う方向の長さは、複合機1で印字可能な最大サイズの記録用紙の用紙搬送方向長さよりも長くなっている。これにより、排紙トレイ8を最大長さまで伸ばしたときには、印字可能な最大サイズの記録用紙であっても安定して積載することができる。後述するように、排紙トレイ8はステープルユニット70とともにスライド可能となっているが、記録用紙が積載されている状態で排紙トレイ8をスライドさせたとしても、記録用紙は排紙トレイ8から落ちることがなくなる。
上述のように、排紙トレイ8が用紙搬送方向に沿う方向に伸縮可能に設けられているので、排紙トレイ8を印字用紙サイズに応じて最適な長さに調節して使用することができる。
また、図3、図4に示すように、排紙トレイ8は、上下方向に昇降可能なトレイとして形成されている。この例では、排紙トレイ8は、積載される記録用紙の量(枚数)に応じて、昇降するように構成されている。
排紙トレイ8に排出される記録用紙の量は、下側の排紙ローラ74の近傍に設けられている上限センサ84によって検出される。この上限センサ84は、接触式のセンサとして設けられている。そして、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の最上位面が所定の高さに達すると、上限センサ84がオンとなる。これにより、排紙トレイ8の満杯が検出される。すると、この満杯検出によって排紙トレイ8を所定の距離だけ下降する。この排紙トレイ8の下降により、上限センサ84がオフとなる。このように、上限センサ84がオン/オフが切り替わることで、排紙トレイ8上に積載される記録用紙の量を検出している。この例では、排紙トレイ8のホームポジションを、排紙トレイ8の最上昇位置(図3に示す位置)とし、排紙トレイ8の上流側の端部が排紙ローラ74の直下に配置されている。そして、積載される記録用紙の量が増えるほど、排紙トレイ8を次第に下降させるようにしている。なお、上限センサ84を光学式のセンサとして設けてもよい。
排紙トレイ8は、上述したように、伸縮可能に設けられているが、その昇降移動の際には、第1排紙トレイ81が昇降することで、この第1排紙トレイ81とともに第2排紙トレイ82および第3排紙トレイ83が昇降するように構成されている。
第1排紙トレイ81の昇降は、例えば、次のようにして行われる。第1排紙トレイ81の奥側には、第1排紙トレイ8を昇降移動するための駆動部85が設けられている。この駆動部85には、駆動ベルト(図示せず)が収納されており、駆動ベルトは、配線86により接続されている図示せぬ駆動電源により駆動可能となっている。駆動部85には、第1排紙トレイ81の先端部を支持する支持部材が連結されている。支持部材は、駆動ベルトを駆動することで上下に往復移動するように設けられている。そして、このような支持部材を介して、駆動部85の駆動ベルトの動力が第1排紙トレイ81に伝達され、これにより、第1排紙トレイ81が昇降移動する。また、第1排紙トレイ81の下部には、第1排紙トレイ81を支持するアーム88が設けられている。アーム88は、第1排紙トレイ81と底部89との間に配置されている。そして、アーム88は、L字状に屈曲して設けられており、その屈曲角度が可変となっている。このアーム88の屈曲角度は、第1排紙トレイ81の昇降位置にしたがって変化する。なお、第1排紙トレイ81の用紙後処理部5寄りの端部には、突起が設けられている。この突起は、用紙後処理部5に設けられている上下に長く伸びる溝部と係合し、溝部内をスライド可能となっている。
上述のように、排紙トレイ8を上下に昇降可能とし、ホームポジションを最上昇位置とすることで、次のようなメリットがある。排紙トレイ8と排紙ローラ74(排紙トレイへの記録用紙の排出位置)との上下間の距離が長くなると、記録用紙が排紙トレイ8に落ちるように排出されるため、スタッキング性が悪くなる。しかし、この例では、排紙トレイ8を積載される記録用紙の量に応じて最上昇位置から下降させることで、排紙トレイ8と排紙ローラ74との上下間の距離をできる限り短くして、排紙トレイ8に排出される記録用紙のスタッキング性を良好に保つようにしている。そして、排紙トレイ8の下降により、記録用紙の積載量をある程度確保することができ、装置本体の空間を有効に利用することができる。
また、排紙トレイ8のホームポジションを最上昇位置よりも下方の位置とした場合には、上述のスタッキング性の点から、複合機1を立ち上げる毎に、排紙トレイ8を最上昇位置まで上昇させる必要があり、ファーストコピーを遅らせてしまい、印字効率が低下する可能性がある。しかし、この例では、排紙トレイ8のホームポジションを最上昇位置としているため、そのような上昇の必要はなく、ファーストコピーを遅らせることがなくなり、印字効率の低下を防止することができる。
上述のように、排紙トレイ8は昇降可能となっており、排紙トレイ8の下方の底部89との間に空間C1が形成されている。そして、図3等に示すように、この空間C1の奥側は、上述した駆動部85等により遮蔽されているのに対して、空間C1の手前側および側面側は開放されている。このため、この空間C1に、例えば、印字終了後に排紙トレイ8から取り出した記録用紙や、用紙カセット33に次に補給する予定の記録用紙、次に交換する予定のトナー容器のような物が置かれる可能性がある。ところが、このような物が置かれている状態で排紙トレイ8が下降すると、排紙トレイ8やその駆動部85等を傷付けたり、置かれている物を壊したりする可能性がある。そこで、この例では、排紙トレイ8の下方の空間C1の手前側および側面側をそれぞれ遮蔽部材91、92で覆うようにしている。なお、図1、図3〜図7では、遮蔽部材91、92を省略している。
空間C1の手前側に設けられる遮蔽部材91は、その上端が第1排紙トレイ81の手前側の部分に固定され、その下端が底部89に固定されている。また、空間C1の側面側に設けられている遮蔽部材92は、その上端が第1排紙トレイ81の先端側の部分に固定され、その下端が底部89に固定されている。
この例では、排紙トレイ8は昇降可能に設けられているため、遮蔽部材91、92は、それぞれ排紙トレイ8の昇降移動に応じて伸縮するように設けられている。伸縮可能な遮蔽部材91、92としては、例えば、アコーデオンカーテンタイプのものや、シャッタータイプのものが用いられる。
このように、排紙トレイ8の下方を遮蔽部材91、92で覆って、排紙トレイ8の下方に形成される空間C1が開放されないようにしている。これにより、この空間C1に物が置かれることを防ぐことができ、したがって、排紙トレイ8が下降したとき、排紙トレイ8が傷付いたり、置かれている物を壊したりすることがなくなる。
また、図7に示すように、排紙トレイ8は、装置本体に対してスライド可能となっている。この例では、排紙トレイ8は、底部89およびステープルユニット70とともに、用紙搬送方向に沿って往復移動するように構成されている。なお、排紙トレイ8をスライドさせる方向を用紙幅方向に沿う方向としてもよい。
排紙トレイ8の下方の底部89は、装置本体に固定されておらず、ステープルユニット70に連結されている。上述したように、ステープルユニット70は、装置本体に対してスライド可能に設けられているため、このステープルユニット70とともに底部89がスライド可能となっている。底部89は、アーム88、遮蔽部材91、92等を介して排紙トレイ8と連結されており、底部89がスライドすることで、排紙トレイ8もともにスライドする。なお、底部89と装置本体の外装90との間に、スライド式レールを設けるようにしてもよい。
[本発明に係るパンチユニット(パンチ処理装置)60のより詳細な構成について]
次に、上記構成の画像形成装置において、本発明の特徴であるパンチユニット(パンチ処理装置)60の構成について、以下、図10ないし図13を参照してさらに詳細に説明する。
図10は、パンチユニット60のより詳細な構成を示す一部拡大した概略断面図である。
図中横方向の矢印が、上下のペーパーガイド62a,62bによって形成された用紙搬送路の用紙搬送方向であり、この図では印字処理された用紙が右側から左側に向かって搬送される。印字処理要求で「パンチ処理」の機能が選択された用紙は、画像形成部で印字処理された後、図中の用紙搬送路を介して排紙部に排出されるが、この搬送工程でパンチユニット60に到達した用紙は、パンチユニット60の直前に配置されているラインセンサ(発光素子36f1と受光素子36f2)36fを用いて、用紙幅方向(紙面に垂直方向)の搬送位置検出、並びに用紙後端検出が行われる。このようにして搬送用紙の後端が検出されることで、搬送用紙の停止タイミングが算出され、パンチ処理の用紙搬送方向に沿う方向の適正位置が決定され、用紙の搬送停止タイミングが決定される。
次に、検出された用紙幅方向の検出値を基に、パンチユニット60を構成するパンチ用ダイス65及びパンチ用ポンチ64の適正位置が決定され、パンチ用ダイス65及びパンチ用ポンチ64の移動が行われる。この移動動作は用紙幅方向でのパンチ処理位置を決定する位置合わせであり、用紙搬送方向に沿う方向と同様に重要な位置合わせである。すなわち、パンチ処理した後の用紙をファイリングしたときのスタッキング性を良くし、用紙束の見栄えを向上させるために必須の位置合わせである。なお、本実施形態で使用するパンチ用ダイス65及びパンチ用ポンチ64は、2穴用のものと、3穴用のものとが交換可能な構成となっていて、ユーザの選択により適宜交換可能となっている。
また、パンチ用ポンチ64は、その上端部がロータリーカム(偏芯カム)67に連結されており、図示しない駆動源の駆動によってパンチ軸67aを回転駆動することにより、ロータリーカム67を回転させている。この場合、パンチ軸67aをホームポジション(図11(a),(b)に示す位置)から180度回転することにより、パンチ用ポンチ64が上下に1往復して、パンチ処理が行われるようになっている。図11(c)は、ホームポジションからパンチ軸67aを90度回転した状態を示しており、パンチ用ポンチ64が用紙搬送路を上方から下方に通過して最下端まで達している。また、図11(d)は、図11(c)に示す状態からパンチ軸67aをさらに同方向に90度回転した状態を示しており、パンチ用ポンチ64がホームポジションに戻っている。パンチ処理では、図11(b)に示す状態から同図(d)に示す状態までを一連の動作で行っている。なお、このようなパンチ処理動作は従来周知の動作であるので、ここではこれ以上の詳細な説明を省略する。
すなわち、パンチユニット60に対し適正位置で停止した用紙P(図11(b)に示す状態)に対し、駆動源によりパンチ軸67aを回転駆動してロータリーカム67を180度回転させることにより、パンチ用ポンチ64が上下に1往復して、用紙Pの指定位置にパンチ穴P1が形成される。パンチ穴P1が形成された用紙Pは、パンチ穴の形成が完了したことを認識した図示しない制御部によって、次工程(排紙トレイ部)に再搬送される。
一方、パンチ穴として開けられたパンチ屑130は、下ペーパーガイド62bの下部に配置されているダイス補助ガイド板68を介して、下方に配置されているパンチ屑収納容器63に落下する。パンチ屑収納容器(以下単に「収納容器」という。)63には、収納されるパンチ屑130の収納量を検出する満杯検知センサ102が配置されている。この満杯検知センサ102は、メカセンサでもよいが、本実施形態では、反射型の光学センサを用いている。すなわち、収納容器63の一方の上部内壁に反射板102cを配置し、これに対向する他方の上部内壁に2つの開口部を形成し、この開口部のそれぞれに臨むようにして発光素子(発光ダイオード)102aと受光素子(フォトダイオード)102bとを配置している。
上記構成のパンチユニット60において、本実施形態では、収納容器63にパンチ屑の除電部材120を配置している。
図12及び図13は、除電部材120の構成を示している。ただし、図13は、2穴用の場合の除電部材120の構成を例示している。
除電部材120は、導電性部材によって形成されており、収納容器63の上端開口部の用紙搬送方向に沿う前後の縁部631,631にそれぞれ配置されている。すなわち、図12及び図13に示す例では、左右(前後)で一対の構成となっている。
除電部材120は、基端部121が収納容器63の上端縁部631の外側面と上端面とに当接する形状に形成されており、この基端部121が収納容器63に固定されている。また、この基端部121は、図示しない装置フレームを介して接地されている。
そして、この基端部121から収納容器63の中央部近傍(用紙搬送方向の中央部近傍)まで、若干下方向に傾斜して延設される先端部側が、櫛歯状の除電針122に形成されている。
ただし、基端部121を、収納容器63の上端開口部の全周に渡って外嵌する蓋構造として、収納容器63の上端開口部に着脱可能に装着する構造であってもよい。この方が、溜まったパンチ屑130を捨てるときに便利である。また、この場合には、蓋構造の基端部121に対して、除電針122のみが左右(前後)一対形成された構造となる。
この除電針122は、パンチ屑130を捕集可能な間隔で配置されている。すなわち、用紙から打ち抜かれたパンチ屑130を確実にキャッチし(図12(b)参照)、かつ、除電後は除電針122の間から落下可能(図12(c)参照)な間隔で配置されている。
さらに、本実施形態では、除電針122は、パンチ用ポンチ64に対応する部分(すなわち、パンチ用ポンチ64に対向する部分を含む周辺近傍部分)を密状態122aに配置し、それ以外の部分を粗状態122bに配置してもよい(図13参照)。このように粗密に配置すると、密の部分で静電気帯電している状態のパンチ屑130を確実にキャッチして、収納容器63から飛散させないようにし、除電針122に堆積されたパンチ屑130が除電された後は、粗の部分122bを介してパンチ屑130が自重で落下し易くなる。
ここで、除電針122の部分にパンチ屑が堆積する理由は、パンチ用ポンチ64による剪断によりパンチ屑130自体の重量で自然落下するためと、パンチ屑130中の静電気力で除電針122に吸着するためである。
吸着したパンチ屑130は、除電部材120が装置フレームを介して接地されていることから順次除電される。この除電されたパンチ屑130は、静電気力の低下で除電針122に吸着する電界以下になると自然落下する。この他にも、パンチユニット60の動作に起因する装置の振動と、パンチ屑130の静電気帯電量とのバランスで、振動の方が勝ったときに除電針122の隙間をすり抜けて落下する場合もある。
また、対向する除電針122の先端部間には所定の隙間Sが形成されている。この隙間Sは、一方の除電針122上をスライド落下したとき、反対側の除電針122の先端が邪魔にならずに収納容器63内にスライド落下(図12(c)のパンチ屑130a参照)できる間隔に形成されている。これにより、パンチ屑130は、除電針122の隙間をすり抜けて落下するだけでなく、除電針122上をスライドして隙間Sからも落下する。これにより、除電針122の隙間をすり抜けることなく、除電針122の上にパンチ屑130が不測に堆積してしまう、といった事態の発生をより確実に防止することができる。
このように、落下するパンチ屑130は、表1に示すパンチ屑のような静電気力はなく、収納容器63の壁面に吸着することも無く、収納容器63の下部に堆積する。これにより、満杯検知センサ102をブロッキングしてしまうこともなく、適正な収納状態となるため、満杯検知センサ102の誤検知も解消される。
なお、除電部材120の配置位置は、満杯検知センサ102の上部で、かつ、ダイス補助ガイド板68及び打ち抜き後のパンチ用ポンチ64の下端部に接触しない位置に配置することは当然である。すなわち、満杯検知センサ102の上部に配置することで、収納容器63内に堆積するパンチ屑130が満杯検知センサ102に吸着して検知用の光路を遮蔽することがなくなる。また、パンチ用ポンチ64の上下可動範囲を除外する位置に配置することで、可動するパンチ用ポンチ64の先端部が除電針122に接触することによる除電針122の劣化を防止することができる。