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JP4497488B2 - 高嵩密度洗剤組成物の製造方法 - Google Patents

高嵩密度洗剤組成物の製造方法 Download PDF

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JP4497488B2
JP4497488B2 JP22488797A JP22488797A JP4497488B2 JP 4497488 B2 JP4497488 B2 JP 4497488B2 JP 22488797 A JP22488797 A JP 22488797A JP 22488797 A JP22488797 A JP 22488797A JP 4497488 B2 JP4497488 B2 JP 4497488B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は高嵩密度洗剤組成物の製造方法に関する。より詳しくは、粒径の小さな粒子を含有してなる洗剤組成物が高収率で得られる高嵩密度洗剤組成物の製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
洗剤工業界では最近、嵩密度の比較的高い、例えば650g/L以上の粉末洗剤の製造方法が注目されている。陰イオン界面活性剤、例えばアルキルベンゼンスルホネートを含むこの種の粉末は、前記陰イオン界面活性剤の酸前駆体をその場で水酸化ナトリウム又は炭酸ナトリウムのようなアルカリによって中和しながら製造されている。
【0003】
例えば、特開昭60−72999及びGB 2 166 452Bには、洗浄作用成分たるスルホン酸と炭酸ナトリウムと水とを強力な剪断装置で混合し、得られた固体物質を40℃以下に冷却してから微粉砕し、その結果得られた微粉を粒状化する方法が開示されている。この方法は、これまでに提案されてきた方法の典型をなすものであって、中和反応生成物が団子状であり、中和反応を生起させるのに必要な極めて大きいエネルギーを供給できるニーダーのような混練装置を必要とする。
【0004】
GB 1 369 269には、剪断装置を備えたミキサー、例えばレディゲのプロシェアミキサーで、洗浄作用成分たるスルホン酸を炭酸ナトリウム粉末と激しく混合することによって陰イオン系洗剤を製造する方法が開示されている。この方法において団子状ではなく粒状の物質を得るためには、上記二成分の混合物中にガス流を吹き込んで、反応物質を適当に流動化しかつ混合する必要がある。この処理を行うためには、ミキサーをかなり複雑に改造しなければならない。また、中和反応を促進するための水を加えないため、この反応の進行が緩慢であり、従って比較的粗い生成物が形成される。また、中和時の温度は通常約85℃まで上昇する。中和時の温度が上昇すると香料等の熱劣化性の成分や揮散性成分の添加が困難となるため、これらの配合が難しいという課題があった。
【0005】
特開平3−33199号公報には、高速ミキサー/造粒機中、55℃以下の温度で乾式中和後、液体バインダーの添加により粒状化する洗剤組成物の製造方法が開示されている。特開平4−363398号公報には高速ミキサー/造粒機中、55℃以上の温度で乾式中和後、液体バインダーの添加により粒状化する洗剤組成物の製造方法が開示されている。特開平3−146599号公報には、連続型高速ミキサーで乾式中和後中速ミキサーで高嵩密度化し、ついで冷却及び/又は乾燥することにより粒状化する洗剤組成物の製造方法が開示されている。
上記の製造方法によって得られる洗剤組成物は粒径が小さいものであるが、実際上、所望の粒径の洗剤組成物の収率向上には改善の余地があるものであった。
【0006】
また、特表平7−503750号公報には、酸形の陰イオン界面活性剤を高剪断ミキサー中で、粒子50%の容積ベースでの直径5μm未満の粒状中和剤(炭酸Na)によって中和し、洗剤粒子を製造する方法が開示されている。
しかしながらこの公報には、所望の粒径の洗剤組成物の収率向上についての何らの記載や示唆もない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
したがって本発明の目的は、粒径が適度に小さい粒子を含有してなる高嵩密度洗剤組成物を高収率で製造する方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記課題を解決すべく鋭意検討した結果、無機ビルダーであるトリポリリン酸塩の粒径を特定の範囲とすることにより、従来にない高い収率で粒度が適度に小さい粒子を含有してなる高嵩密度洗剤組成物が得られることを見出し、本発明を完成させた。
【0009】
即ち、本発明の要旨は、
(1) (a):工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体とを攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び
(b):工程(a)で得られる混合物に陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体酸前駆体を中和して造粒する工程、
を含むことを特徴とする、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の製造方法、
(2) JIS K 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求められる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が1000μm以下であって、1400μmパス収率(上記重量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割合)が55%以上である前記(1)記載の製造方法、
(3) 粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平均粒径が30μm以上である前記(1)又は(2)記載の製造方法、
(4) 工程(b)において、ガス吹き込み操作を行いつつ中和を行う前記(1)〜(3)いずれか記載の製造方法、
(5) 工程(b)において、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加する前に、工程(a)で得られる混合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液を添加してさらに混合する前記(1)〜(4)いずれか記載の製造方法、
(6) アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である前記(5)記載の製造方法、
(7) 工程(b)に次いで、さらに
(c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質する工程、
を設ける前記(1)〜(6)いずれか記載の製造方法、
(8) 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーを具備する前記(1)〜(7)いずれか記載の製造方法、
(9) 表面改質に用いられる表面改質剤が、平均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩である前記(7)又は(8)記載の製造方法、
(10) 工程(a)において、さらに平均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩を添加して混合する前記(1)〜(9)いずれか記載の製造方法、に関するものである。
【0010】
【発明の実施の形態】
1.工程(a)について
工程(a)は、工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量(中和当量)以上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体とを攪拌造粒機を用いて混合する工程である。
【0011】
粒子状固体水溶性アルカリ無機物質としては、通常洗剤組成物においてアルカリ剤として用いられるものが挙げられ、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ケイ酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸カルシウム等が例示される。アルカリ無機物質の中でも、好ましい実施態様として炭酸ナトリウムがあり、炭酸ナトリウムは最終組成物において、洗剤ビルダー及びアルカリ剤として機能させ得るものである。従って、上記機能のための炭酸ナトリウムも含めた量で工程(a)において添加混合させることにより、中和反応を良好に行うことができる。
即ち、かかるアルカリ無機物質の量は、中和に必要な量以上が好ましく、例えば、中和当量の1〜20倍であり、より好ましくは2〜10倍、特に好ましくは3〜8倍である。
【0012】
また、粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平均粒径は特に限定されないが、さらに収率向上及び保存安定性の観点から30μm以上が好ましく、より好ましくは40〜200μmであり、特に好ましくは50〜100μmである。なお、本明細書でいう粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
【0013】
トリポリリン酸塩の平均粒径は1〜30μmであるが、好ましくは5〜20μmであり、より好ましくは6〜15μmである。中和された粒状混合物の凝集を抑制する観点から、トリポリリン酸塩の平均粒径は小さい程収率が良くなるが、小粒径のものを工業的に得るための生産性の観点から、平均粒径は1μm以上が好ましく、中和された粒状混合物の凝集抑制の観点から30μm以下が好ましい。なお、本明細書でいうトリポリリン酸塩の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
また、トリポリリン酸塩の量は特に限定されるものではないが、最終産物である洗剤組成物中2〜50重量%が好ましく、10〜40重量%がより好ましく、15〜35重量%が特に好ましい。中和された粒状混合物の凝集抑制の観点から2重量%以上が好ましく、洗剤組成物の組成自由度確保の観点から50重量%以下が好ましい。
【0014】
1種以上の他の粒状固体としては、粒子状固体水溶性アルカリ無機物質及びトリポリリン酸塩以外の粒状固体であり、例えば蛍光剤、顔料、再汚染防止剤(ポリカルボキシレートポリマー、ナトリウムカルボキシメチルセルロース等)、粒子状界面活性剤(脂肪酸又はその塩、、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキル硫酸塩等)、噴乾粉末、珪藻土、方解石、カオリン、ベントナイト、硫酸ナトリウム、亜硫酸ナトリウム等が挙げられる。かかる粒状固体は一種のみを添加してもよく、二種以上を添加してもよい。
上記の粒状固体の量は特に限定されないが、最終産物である洗剤組成物の2〜80重量%が好ましく、5〜50重量%がより好ましく、7〜20重量%が特に好ましい。
【0015】
さらに工程(a)においては、平均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩を添加することができる。かかるアルカリ金属アルミノケイ酸塩を添加することにより、過度の凝集が抑制され、且つ凝集物を攪拌造粒機のチョッパーで解砕する際の助剤となるため好適である。かかるアルカリ金属アルミノケイ酸塩の量は特に限定されないが、最終産物である洗剤組成物中1〜8重量%が好ましく、2〜5重量%がより好ましい。上記効果を効率良く得るために、上記範囲が好ましい。
なお、本明細書でいう上記アルミノケイ酸塩の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
【0016】
工程(a)では、上記の各成分を攪拌造粒機を用いて混合する。攪拌造粒機としては特に限定されるものではないが、攪拌羽根と解砕/分散用チョッパー(又はこれに機能的に同等なもの)を具備するものが好ましい。
本発明に用いられる攪拌造粒機の具体例としては、バッチ式のものとして、バーチカルグラニュレータ((株)パウレック製)、ハイスピードミキサー(深江工業(株)製)、レディゲミキサー(松坂技研(株)製)、プロシェアミキサー(太平洋機工(株)製)、ゲーリッケミキサー(明治機械(株)製)等が挙げられる。特に好ましくは、レディゲミキサー、プロシェアミキサーである。連続式のものとして、連続式レディゲミキサー(中速ミキサー:滞留時間が比較的長い)や、高速ミキサー(滞留時間が比較的短い)としてCBリサイクラー(Loedige 製)、タービュライザー(ホソカワミクロン(株)製)、シュギミキサー((株)パウレック製)、フロージェットミキサー((株)粉研製)等が挙げられる。なお、本発明においては上記ミキサーを適宜組み合わせて用いても良い。
また、攪拌造粒機は、内部の温度を調節するためのジャケットを具備するものや、ガス吹き込み操作を行うためのノズルを具備するものがより好適である。
【0017】
工程(a)における攪拌造粒機の作動条件は特に限定されるものではない。例えば混合時間は5分間以内が好ましい。主軸攪拌速度及び解砕/分散用チョッパー速度は機種によって適宜設定し得るが、例えばバッチ式のものであれば、主軸攪拌周速度は2〜15m/sが好ましく、解砕/分散用チョッパー周速度は20〜60m/sが好ましい。
【0018】
なお、工程(a)における混合中、混合終了後、及び/又は工程(b)における陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加と同時に、反応開始剤としての水を加えても良い。反応開始剤を添加することにより、中和反応を促進させることができるため好適である。水の添加量は特に限定されないが、工程(a)で得られた混合物100重量部に対して0.2〜3重量部が好ましく、0.5〜1.5重量部がより好ましい。中和反応を開始させる観点から0.2重量部以上が好ましく、洗剤組成物の凝集を抑える観点から3重量部以下が好ましい。なお、上記混合物や陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体が水を含む場合、あるいは他の水溶液原料を用いる場合、それらの水分量を考慮して、添加すべき水分量を決定すれば良い。
【0019】
2.工程(b)について
工程(b)は、工程(a)で得られる混合物に陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体酸前駆体を中和して造粒する工程である。本工程において粒状混合物が形成され、かかる粒状混合物を高嵩密度洗剤組成物として用いる。
陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体とは、陰イオン界面活性剤の酸形態であって液状のものをいい、中和反応により塩を形成するものである。よって陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体としては公知の陰イオン界面活性剤の酸形態のものであれば特に限定されるものではなく、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)、α−オレフィンスルホン酸(AOS)、アルキル硫酸(AS)、内部オレフィンスルホン酸、脂肪酸エステルスルホン酸、アルキルエーテル硫酸、ジアルキルスルホコハク酸、脂肪酸等が例示される。液体酸前駆体は一成分のみを用いても良く、二成分以上を組み合わせて用いても良い。
【0020】
陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の量は、所望の洗剤組成物の組成より適宜設定し得るが、最終産物である洗剤組成物中、中和反応により生成する陰イオン界面活性剤として5〜45重量%であることが好ましく、10〜40重量%であることがより好ましく、20〜40重量%であることが特に好ましく、20〜35重量%であることがさらに好ましい。尚、洗剤組成物中の主界面活性剤が別の形態で提供される場合においても本発明は有効である。
【0021】
工程(b)では、工程(a)で得られる混合物を粒状に維持しつつ陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加が行われる。混合物を粒状に維持するためには、液体酸前駆体を徐々に添加すれば良い。陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加に要する時間は添加する量に依存するため一概には言えないが、バッチ式の場合、一般的には1分以上、より好ましくは1〜10分、更に好ましくは2〜5分である。ここで、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加を著しく短時間で行うと、急激な中和反応による発熱のため、後述する温度上昇の影響があるので、1分以上で添加することが好ましい。
また、添加方法としては、連続的または複数回に分割して行ってもよく、添加手段は複数設けても良い。
なお、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加段階において、即ち工程(b)では中和反応と造粒とが同時並行的に起こり、粒状混合物を形成していく。
陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の添加後、さらに攪拌造粒機を30秒以上、より好ましくは1分以上作動させても良い。このような操作を設けることにより、中和反応を完結させることができるため好適である。
【0022】
工程(b)においては、ガスを吹き込みつつ中和を行うことが好ましい。これは中和反応で生じた余剰の水分を蒸発させ、かつ粒状物をガスを用いて冷却させることにより粒状物が大きな塊となるのを防止するためである。かかるガスとしては、N2 ガス、空気等が挙げられる。ガスの吹き込み量(通気量)は特に限定されないが、粒状物100重量部に対して毎分0.002重量部以上が好ましく、毎分0.02重量部以上がより好ましい。
【0023】
工程(b)では中和反応による反応熱が発生するため、混合物の温度が上昇する。混合物の温度が上昇すると、香料等の熱により劣化する成分や揮散性成分の添加が困難となるため、工程(b)において、混合物の温度は90℃以下であることが好ましく、80℃以下であることがより好ましい。かかる範囲に混合物の温度を調節するには、上記のガスの吹き込み以外に例えば攪拌造粒機のジャケットに冷水を通す等の方法を用いれば良い。
【0024】
さらに本発明においては、工程(b)において、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加する前に、工程(a)で得られる混合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液を添加してさらに混合しても良い。
工程(a)で得られる混合物に特定量のアルカリ水溶液を添加することにより、中和反応を促進できるだけでなく、得られる洗剤組成物を構成する粒子の粒径を小さくすることや、嵩密度を高くすることができるため好適である。アルカリ水溶液の添加量は、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体の中和当量の0.05〜0.5倍量が好ましく、0.10〜0.45倍量がより好ましく、0.15〜0.40倍量が特に好ましい。中和反応を開始させ、所望の効果を得る観点から、中和当量の0.05倍量以上が好ましく、洗剤組成物の凝集を抑える観点から0.5倍量以下が好ましい。なお、アルカリ水溶液の濃度は特に限定されないが、低い濃度である場合、所定量のアルカリ水溶液を添加するのに伴って過剰の水が混合物に供給されるため、洗剤組成物の凝集が起こる場合がある。したがって、アルカリ水溶液の濃度は20〜50重量%が好ましく、30〜50重量%がより好ましく、40〜50重量%が特に好ましい。
【0025】
また、用いられるアルカリ水溶液の種類としては特に限定されるものではないが、例えば水酸化ナトリウム水溶液、水酸化カリウム水溶液等の陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体と容易に中和反応を生じる強アルカリ水溶液が挙げられる。これらのうち、水酸化ナトリウム水溶液がコストの観点から好適に用いられる。また、かかるアルカリ水溶液は、pHが12以上のものがより好ましい。
また、本工程における混合は、添加したアルカリ水溶液が一様に分散する程度で良い。
【0026】
なお、アルカリ水溶液の添加は、工程(a)の処理後に行っても良く、工程(a)と同時に行っても良い。
後者の場合、具体的には、工程(a)の一態様としての下記の工程(a’)により混合物を得る。
即ち、工程(a’)は、工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩、1種以上の他の粒状固体、及び陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液とを攪拌造粒機を用いて混合する工程、である。
【0027】
アルカリ水溶液を添加する場合に重要なことは、アルカリ水溶液の添加を少なくとも工程(b)よりも先に行うことである。よって、アルカリ水溶液の添加を必ずしも工程(a)の後に行うことに限定されない。さらに言及すれば、粒子状固体水溶性アルカリ無機物質とアルカリ水溶液を混合した後に、他の洗剤成分を添加混合しても良い。これは、混合物中に耐アルカリ性に劣る成分を添加する場合に有効である。
なお、アルカリ水溶液を混合物に均一に分散させる観点からは、前者の態様、即ち、工程(a)の処理後にアルカリ水溶液の添加を行うことが好ましい。
【0028】
上記の工程を含む製造方法により、嵩密度650g/L以上の粒状混合物である高嵩密度洗剤組成物を得ることができる。本発明の製造方法によって得られる高嵩密度洗剤組成物は、以下の物性を示すものがより好ましい。
嵩密度:650〜950g/Lのものが好ましく、700〜900g/Lのものがより好ましい。なお、本明細書において嵩密度は、JIS K 3362で規定された方法で求められる値である。
【0029】
粒径:平均粒径については、溶解速度の観点から1000μm以下のものが好ましく、さらに850μm以下のものが好ましく、300〜800μmのものがより好ましく、350〜650μmのものが特に好ましい。また、1400μm以下のものの占める割合(1400μmパス収率)(%)は55%以上のものが好ましく、さらに60%以上のものが好ましく、65%以上のものがより好ましく、70%以上のものが特に好ましい。なお、本明細書において洗剤組成物の平均粒径は、JIS K 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求められる値であり、1400μmパス収率はこの重量分率のうち、1400μm以下の粒子が占める割合から求められる値である。流動性:8秒以下のものが好ましく、7秒以下のものがより好ましい。本明細書において洗剤組成物の流動性は、JIS K 3362に規定された嵩密度測定用のホッパーから、100mLの粉末が流出するのに要する時間である。
【0030】
3.工程(c)について
なお、工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質する工程である、工程(c)をさらに設けても良い。本製造方法により得られる高嵩密度洗剤組成物のさらなる流動性の向上、保存安定性の向上のために、工程(c)を設けることは有効である。具体的には、工程(b)で得られる粒状混合物を攪拌造粒機で混合しつつ、下記に示す表面改質剤を所定量添加することにより、表面改質が達成される。
【0031】
表面改質剤としては通常用いられる公知のものが使用でき、結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩(ゼオライト)、方解石、ケイソウ土、シリカ等が好適に用いられる。かかるアルミノケイ酸塩は、平均粒径が1〜30μmのものが好ましく、1〜10μm以下のものがより好ましい。またその量としては、最終産物である洗剤組成物中2〜15重量%が好ましく、4〜12重量%がより好ましい。なお、表面改質剤の平均粒径は体積基準で算出されるものであり、レーザー回折式粒度分布測定装置:LA−500(堀場製作所(株)製)を用いて測定される値である。
また、表面改質剤を添加した場合の攪拌造粒機の運転時間は特に限定されないが、1〜5分間が好ましい。
【0032】
なお、本製造方法において、得ようとする洗剤組成物の組成により、所望の液体成分を添加することができる。液体成分の添加は、工程(a)、(b)、(c)のどの工程で行っても良く、例えば表面改質剤の添加前に行うことが好ましい。
液体成分としては、例えば液体非イオン界面活性剤、水溶性ポリマー(ポリエチレングリコール、アクリル酸マレイン酸コポリマー等)、脂肪酸等の洗剤組成物中の任意の液体成分が挙げられる。液体成分は一成分のみを用いてもよく、二成分以上を併用しても良い。液体成分の量としては、洗剤組成物の凝集抑制の観点から、最終産物である洗剤組成物の15重量%以下が好ましく、10重量%以下がより好ましい。
また、液体成分を表面改質剤の添加前に行った場合の攪拌造粒機の運転時間は特に限定されないが、0.5〜8分間が好ましい。
【0033】
なお、本発明において、さらにその他の任意成分を添加しても良い。かかる任意成分としては、例えば酵素、香料、漂白剤、色素等が挙げられる。かかる成分は、本発明の製造方法によって得られる洗剤組成物と上記の成分とを、回転ドラム等の混合機を用いて混合することにより配合される。
また、本発明の製造方法によって得られる高嵩密度洗剤組成物を、他の洗剤組成物構成用成分として用いても良い。
【0034】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに詳しく説明するが、本発明はこれらの実施例等によりなんら限定されるものではない。
【0035】
実施例1
レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備するものである。
ここで、洗剤組成物は以下の操作により調製した。
<粉体混合>
固体成分である、トリポリリン酸ナトリウム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、平均粒径56.1μm)11.94重量部、及び蛍光剤0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根回転数130rpm(周速度3.4m/s)、剪断機回転数2850rpm(周速度27m/s)の条件で1分間混合した。
<反応開始剤添加>
水(0.25重量部)を反応開始剤として加え、上記と同じ混合条件で1分30秒間混合した。
【0036】
<中和>
ミキサーを前記と同条件で作動させながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)10.92重量部を4分間で加えた。この間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階で、温度は最高68.8℃に達した。尚、この段階を通して、反応混合物は粒状であった。なお、上記のLASは、0.16重量部の硫酸を含有するものであった。
LAS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させた。
【0037】
<液体成分の添加・表面改質>
中和反応が完了した時点で、ミキサーを前記と同条件で作動させながら、40重量%アクリル酸マレイン酸コポリマー(有効分0.18重量部)水溶液をミキサーに加え1分30秒間混合し、続いて表面改質剤として平均粒径4μmのゼオライト(4.2重量部)を加え、さらに2分間ミキサーを作動させることにより表面改質処理を行った。なお、上記ゼオライトは0.84重量部の結晶水を含有するものであった。
得られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が73.9%、平均粒径が577μm、嵩密度が818g/L、流動性が6.2秒であり、優れた物性の粒子であった。
<アフターブレンド>
回転ドラムを用いて、酵素(0.18重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、更に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組成物の最終粉末を得た。
なお、本実施例において、炭酸ナトリウムはLASの中和に必要な量の6.7倍である。
【0038】
実施例2
用いるトリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が8.3μmのものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が77.0%、平均粒径が530μm、嵩密度が820g/L、流動性が6.0秒であり、優れた物性の粒子であった。
【0039】
実施例3
実施例1で用いたライト灰をハンマーミルにより粉砕して平均粒径6.9μmに調製したものを用いる以外は、実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が60.5%、平均粒径が830μm、嵩密度が831g/L、流動性が7.4秒であり、優れた物性の粒子であった。
【0040】
実施例4
中和・造粒操作において、ミキサー内に通気(空気、500L/分:粒状物100重量部に対して毎分0.02重量部)した以外は実施例1と同様の操作により、表1に示す洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が76.2%、平均粒径が542μm、嵩密度が835g/L、流動性が5.8秒であり、優れた物性の粒子であった。通気により、実施例1に比べて平均粒径が小さくなり、嵩密度、流動性が向上した。
【0041】
実施例5
レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備するものである。
ここで、洗剤組成物は以下の操作により調製した。
<粉体混合>
固体成分である、トリポリリン酸ナトリウム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、平均粒径56.1μm)12.62重量部、及び蛍光剤0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根回転数130rpm、剪断機回転数2850rpmの条件で1分間混合した。
<反応開始剤添加>
水(0.25重量部)を反応開始剤として加え、同じ混合条件で1分30秒間混合した。
【0042】
<中和>
ミキサーを前記と同条件で作動させながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)10.92重量部を4分間で加えた。この間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階で、温度は最高61.8℃に達した。尚、この段階を通して、反応混合物は粒状であった。なお、上記のLASは、0.16重量部の硫酸を含有するものであった。また、実施例4と同じ条件で通気を行った。
LAS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させた。
得られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が84.7%、平均粒径が578μm、嵩密度が680g/L、流動性が8.3秒であった。
【0043】
<表面改質>
さらに、得られた洗剤組成物の表面改質を、実施例1と同様に行った。
得られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が90.1%、平均粒径が462μm、嵩密度が688g/L、流動性が6.3秒であり、優れた物性の粒子であった。なお、本実施例において、炭酸ナトリウムはLASの中和に必要な量の7.0倍である。
【0044】
実施例6
レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー製)高速ミキサーを用いて、表1に示す組成の洗剤組成物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備するものである。
ここで、洗剤組成物は以下の操作により調製した。
<粉体混合>
固体成分である、トリポリリン酸ナトリウム(STPP:平均粒径11.2μm)7.7重量部、炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、平均粒径56.1μm)13.74重量部、及び蛍光剤0.11重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根回転数130rpm、剪断機回転数2850rpmの条件で1分間混合した。
<反応開始剤添加>
水(0.25重量部)を反応開始剤として加え、同じ混合条件で1分30秒間混合した。
【0045】
<中和>
ミキサーを前記と同条件で作動させながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)7.51重量部、次いで脂肪酸0.48重量部、次いで非イオン界面活性剤1.4重量部を4分間で加えた。この間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階で、温度は最高59.5℃に達した。尚、この段階を通して、反応混合物は粒状であった。なお、上記のLASは、0.11重量部の硫酸を含有するものであった。また、実施例4と同じ条件で通気を行った。
LAS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させた。
【0046】
<表面改質>
中和反応が完了した時点で、表面改質剤として平均粒径4μmのゼオライト(4.2重量部)を加え、さらに2分間ミキサーを作動させることにより表面改質処理を行った。なお、上記ゼオライトは0.84重量部の結晶水を含有するものであった。
得られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が75.0%、平均粒径が613μm、嵩密度が871g/L、流動性が5.4秒であり、優れた物性の粒子であった。
<アフターブレンド>
回転ドラムを用いて、酵素(0.18重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、更に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組成物の最終粉末を得た。
なお、本実施例において、炭酸ナトリウムはLAS及び脂肪酸の中和に必要な量の10.7倍である。
【0047】
比較例1
トリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が58.4μmのものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が34.2%、平均粒径が1213μm、嵩密度が712g/L、流動性が7.8秒であり、嵩密度が低く、粗大粒子の割合が多い収率の悪いものであった。
【0048】
比較例2
トリポリリン酸ナトリウムの平均粒径が36.5μmのものを用いる以外は実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が50.5%、平均粒径が1087μm、嵩密度が719g/L、流動性が6.7秒であり、嵩密度が低く、粗大粒子の割合が多い収率の悪いものであった。
【0049】
比較例3
トリポリリン酸ナトリウムは平均粒径が58.4μmのもの、ライト灰はハンマーミルにより粉砕して平均粒径6.9μmに調製したものを用いる以外は、実施例1と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。
アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が27.6%、平均粒径が1670μm、嵩密度が769g/L、流動性が7.0秒であり、嵩密度が低く、粗大粒子の割合が多い収率の悪いものであった。
なお、表1に、上記実施例、比較例における洗剤組成物の最終粉末の組成を示す。また、表2及び表3に、得られた造粒後の洗剤組成物の物性等を示す。
【0050】
【表1】
Figure 0004497488
【0051】
【表2】
Figure 0004497488
【0052】
【表3】
Figure 0004497488
【0053】
上記の結果より、中和反応に直接関与しないトリポリリン酸塩を1〜30μmの平均粒径とすることにより、洗剤組成物の凝集、粗粒化を抑制できることが確認された。
【0054】
実施例7
レディゲミキサーFKM−130D((株)マツボー製)高速ミキサーを用いて、表4に示す組成の洗剤組成物を35kg単位で製造した。このミキサーは攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーに相当する剪断機を具備するものである。
ここで、洗剤組成物は以下の操作により調製した。
<粉体混合>
固体成分である、トリポリリン酸ナトリウム(STPP:平均粒径11.2μm)5.25重量部、炭酸ナトリウム(ライト灰:セントラル硝子(株)製、平均粒径56.1μm)13.82重量部、及び蛍光剤0.088重量部を、レディゲミキサーにより、攪拌羽根回転数130rpm(周速度3.4m/s)、剪断機回転数2850rpm(周速度27m/s)の条件で1分間混合した。なお、炭酸ナトリウムは用いる直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS)の中和に必要な量の7.8倍であった。
<アルカリ水溶液添加>
48重量%水酸化ナトリウム水溶液を0.56重量部加え、同じ混合条件で1分30秒間混合した。この量は、LASの中和当量の0.2倍であった。
【0055】
<中和>
ミキサーを前記と同条件で作動させながら、直鎖アルキルベンゼンスルホン酸(LAS:分子量322)11.26重量部を4分間で加えた。この間、ミキサージャケットには25℃の水を通して冷却した。この段階で、温度は最高72℃に達した。尚、この段階を通して、反応混合物は粒状であった。
LAS添加後、引き続きミキサーを同条件で1分間作動させ、中和反応及び造粒操作を完結した。
なお、中和反応及び造粒を行った工程を通じて、ミキサー内に空気を毎分0.5m3 で供給した。
【0056】
<液体成分の添加・表面改質>
中和反応及び造粒操作が完了した時点で、ミキサーを前記と同条件で作動させながら、40重量%アクリル酸マレイン酸コポリマー(有効分0.245重量部)水溶液をミキサーに加え1分30秒間混合し、続いて表面改質剤として平均粒径4μmのゼオライト(4.2重量部)を加え、さらに2分間ミキサーを作動させることにより表面改質処理を行った。なお、上記ゼオライトは0.84重量部の結晶水を含有するものであった。
得られた洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が76.5%、平均粒径が578μm、嵩密度が772g/L、流動性が6.4秒であり、優れた物性の粒子であった。
<アフターブレンド>
回転ドラムを用いて、酵素(0.105重量部)と前記で得られた洗剤組成物を混合し、更に香料(0.07重量部)を噴霧し、高嵩密度洗剤組成物の最終粉末を得た。
【0057】
実施例8
添加する48重量%水酸化ナトリウム水溶液の量を1.12重量部(LASの中和当量の0.4倍量)とした以外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が79.0%、平均粒径が550μm、嵩密度が809g/L、流動性が6.2秒であり、優れた物性の粒子であった。
【0058】
実施例9
中和反応及び造粒を行った工程を通じて、通気を行わない以外は、実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が70.0%、平均粒径が630μm、嵩密度が761g/L、流動性が6.7秒であった。
【0059】
実施例10
48重量%水酸化ナトリウム水溶液を全く添加しない以外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が59.3%、平均粒径が790μm、嵩密度が678g/L、流動性が7.2秒であった。
【0060】
実施例11
48重量%水酸化ナトリウム水溶液の代わりに、水(0.25重量部)を用いる以外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が67.5%、平均粒径が660μm、嵩密度が711g/L、流動性が6.8秒であった。
【0061】
実施例12
48重量%水酸化ナトリウム水溶液を全く添加せず、さらに中和反応及び造粒を行った工程を通じて通気を行わない以外は、実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が58.6%、平均粒径が813μm、嵩密度が682g/L、流動性が7.9秒であった。
【0062】
実施例13
48重量%水酸化ナトリウム水溶液の量を1.96重量部(LASの中和当量の0.7倍量)とした以外は実施例7と同様の組成、操作により洗剤組成物を得た。アフターブレンド前の洗剤組成物の粒子は、1400μmパス収率が57.0%、平均粒径が950μm、嵩密度が721g/L、流動性が8.0秒であった。
【0063】
なお、表4に洗剤組成物の最終粉末の組成を、表5に反応条件及び粒子の物性を示す。
【0064】
【表4】
Figure 0004497488
【0065】
【表5】
Figure 0004497488
【0066】
実施例10〜実施例13で得られた洗剤組成物は、界面活性剤量が多く、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩が少ないことから実施例1〜実施例6と比較してその性質がやや劣る傾向が見られるが、実施例7〜実施例9で示されるように、特定量のアルカリ水溶液を添加することにより、得られる洗剤組成物の物性値(1400μmパス収率、平均粒径、嵩密度、及び流動性)が向上することが分かった。また、実施例7と実施例9から、中和・造粒の際に通気を行うことにより、得られる洗剤組成物の物性値がさらに向上することが分かった。また、実施例9、実施例10及び実施例12から、通気よりも特定量のアルカリ水溶液の添加の方が、得られる洗剤組成物の物性値の向上に大きく寄与することが分かった。
【0067】
本発明の他の各種態様を以下に例示する。
〔1〕 (a’):工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩、1種以上の他の粒状固体、及び陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液とを攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び
(b):工程(a’)で得られる混合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体酸前駆体を中和して造粒する工程、
を含むことを特徴とする、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の製造方法。
〔2〕 工程(b)において、ガス吹き込み操作を行いつつ中和を行う前記〔1〕記載の製造方法。
〔3〕 ガス吹き込み量が、工程(b)における粒状物100重量部に対して毎分0.002重量部以上である前記〔2〕記載の製造方法。
〔4〕 トリポリリン酸塩の量が、得られる洗剤組成物の5〜50重量%である前記〔1〕〜〔3〕いずれか記載の製造方法。
〔5〕 トリポリリン酸塩の平均粒径が1〜30μmである前記〔1〕〜〔4〕いずれか記載の製造方法。
〔6〕 JIS K 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求められる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が1000μm以下であって、1400μmパス収率(上記重量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割合)が55%以上である前記〔1〕〜〔5〕いずれか記載の製造方法。
〔7〕 工程(b)に次いで、さらに
(c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質する工程、
を設ける前記〔1〕〜〔6〕いずれか記載の製造方法。
〔8〕 表面改質に用いられる表面改質剤が、結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩である前記〔7〕記載の製造方法。
〔9〕 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーを具備する前記〔1〕〜〔8〕いずれか記載の製造方法。
【0068】
【発明の効果】
平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩を用い、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体と粒子状固体水溶性アルカリ無機物質を攪拌造粒機により中和することで、粒径の小さな粒子を含有してなる高嵩密度洗剤組成物を高収率で得られる。

Claims (10)

  1. (a):工程(b)で用いる陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量以上の粒子状固体水溶性アルカリ無機物質、平均粒径1〜30μmのトリポリリン酸塩、及び1種以上の他の粒状固体とを攪拌造粒機を用いて混合する工程、及び
    (b):工程(a)で得られる混合物に陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加することにより、混合物を粒状に維持しつつ、上記アルカリ無機物質によって該液体酸前駆体を中和して造粒する工程、
    を含むことを特徴とする、嵩密度650g/L以上の高嵩密度洗剤組成物の製造方法。
  2. JIS K 8801の標準篩を用いて5分間振動させた後、篩目のサイズによる重量分率から求められる、得られる高嵩密度洗剤組成物の平均粒径が1000μm以下であって、1400μmパス収率(上記重量分率のうち、1400μm以下の粒子の占める割合)が55%以上である請求項1記載の製造方法。
  3. 粒子状固体水溶性アルカリ無機物質の平均粒径が30μm以上である請求項1又は2記載の製造方法。
  4. 工程(b)において、ガス吹き込み操作を行いつつ中和を行う請求項1〜3いずれか記載の製造方法。
  5. 工程(b)において、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を添加する前に、工程(a)で得られる混合物に、陰イオン界面活性剤の液体酸前駆体を中和するのに必要な量の0.05〜0.5倍量のアルカリ水溶液を添加してさらに混合する請求項1〜4いずれか記載の製造方法。
  6. アルカリ水溶液が水酸化ナトリウム水溶液である請求項5記載の製造方法。
  7. 工程(b)に次いで、さらに
    (c):工程(b)で得られる粒状混合物を表面改質する工程、
    を設ける請求項1〜6いずれか記載の製造方法。
  8. 攪拌造粒機が、攪拌羽根と解砕/分散用チョッパーを具備する請求項1〜7いずれか記載の製造方法。
  9. 表面改質に用いられる表面改質剤が、平均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩である請求項7又は8記載の製造方法。
  10. 工程(a)において、さらに平均粒径1〜30μmの結晶性又は非結晶性アルカリ金属アルミノケイ酸塩を添加して混合する請求項1〜9いずれか記載の製造方法。
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