JP4491396B2 - インクジェット記録用媒体 - Google Patents
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Description
インクジェット記録用の記録シートに要求される特性としては、一般に、(1)速乾性があること(インクの吸収速度が速いこと)、(2)インクドットの径が適正で均一であること(滲みのないこと)、(3)粒状性が良好であること、(4)ドットの真円性が高いこと、(5)色濃度が高いこと、(6)彩度が高いこと(くすみのないこと)、(7)印画部の耐光性や耐水性が良好なこと、(8)記録シートの白色度が高いこと、(9)記録シートの保存性が良好なこと(長期保存で黄変着色を起こさないこと、長期保存で画像が滲まないこと)、(10)変形し難く、寸法安定性が良好であること(カールが充分小さいこと)、(11)ハードの走行性が良好であること、等が挙げられる。更に、いわゆる写真ライクな高画質記録物を得る目的に用いられるフォト光沢紙の用途では、前記特性に加えて、更に光沢性、表面平滑性、銀塩写真に類似した印画紙状の風合い等も要求される。
<1> 支持体上に、気相法シリカと親水性バインダーとを含有するインク受容層を少なくとも2層形成してなるインクジェット記録用媒体であって、前記インク受容層のうち最上層のインク受容層よりも、気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率が高いインク受容層が存在し、前記最上層が水溶性ジルコニル化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用媒体である。
<2> 前記最上層における気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率が、最上層以外のインク受容層のうちいずれか一層における、気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率の90%以下であることを特徴とする<1>に記載のインクジェット記録用媒体である。
<5> 前記インク受容層の少なくとも1層が、分散粒子径0.08μm〜0.14μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成され、かつ、他の少なくとも1層が分散粒子径0.10μm〜0.20μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成されたことを特徴とする<1>〜<4>のいずれか1つに記載のインクジェット記録用媒体である。
<6> 前記分散粒子径0.08μm〜0.14μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成された層は、最上層であることを特徴とする<5>に記載のインクジェット記録用媒体である。
以下、本発明におけるインクジェット記録用媒体の層構造について、詳細に説明する。
なお、本明細書中においては、支持体から最も離れた最表層となるインク受容層を「最上層」といい、該最上層以外の他のインク受容層を「下層」ということがある。
カチオン性物質の濃度比(%) = ((最上層のカチオン性物質の濃度)/(下層のうちいずれか一層のカチオン性物質の濃度))×100(%) ・・・ 式1
また、下層のうちいずれか一層のカチオン性物質の濃度は5〜30質量%が好ましく、7〜25質量%がより好ましい。
以下、本発明のインクジェット記録用媒体について、その構成成分につき詳細に説明するが、本発明はこれらの説明事項や例示化合物等に限定されるものではない。
本発明におけるインク受容層は、少なくとも微粒子と、親水性バインダーとを含有して構成される。そして、複数のインク受容層のうち、最上層を除く少なくとも下層は、カチオン性物質を含有して構成される。さらに必要に応じて、架橋剤や他の成分を含有して構成されていてもよい。以下、これらの各成分について詳細に説明する。
本発明における微粒子としては、無機微粒子、有機微粒子のいずれも含有することができる。
本発明における微粒子としては、その平均一次粒子径が50nm以下であることが好ましく、30nm以下であることがより好ましく、特に15nm以下であることが好ましい。微粒子の平均一次粒子径が15nm以下であると、インク吸収特性を効果的に向上させることができ、また同時にインク受容層表面の光沢性をも高めることができる。また、前記微粒子の平均一次粒子径の下限は特に限定はないが、1nm以上であることが好ましい。中でも例えば、有機微粒子、シリカ微粒子、アルミナ微粒子、及び擬ベーマイト型水酸化アルミニウム微粒子から選ばれる少なくとも1種の微粒子を含有することが好ましい。
また重層構造のインク受容層とする場合には、最外層に気相法アルミナを含めることが、前記気相法アルミナの特徴を引き出すために好ましい。
ここで、本発明における微粒子の分散粒子径について説明する。
最上層用塗布液の微粒子の分散粒子径は、光沢度の向上、黒濃度向上の観点から、0.05μm〜0.20μmが好ましく、0.08μm〜0.14μmが好ましい。
本発明におけるインク受容層は、親水性バインダーを含有して構成される。
本発明に用いられる親水性バインダーとしては、例えば、親水性構造単位としてヒドロキシ基を有する樹脂であるポリビニルアルコール系樹脂〔ポリビニルアルコール(PVA)、アセトアセチル変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、シラノール変性ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール等〕、セルロース系樹脂〔メチルセルロース(MC)、エチルセルロース(EC)、ヒドロキシエチルセルロース(HEC)、カルボキシメチルセルロース(CMC)、ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)、ヒドロキシエチルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース等〕、キチン類、キトサン類、デンプン、エーテル結合を有する樹脂〔ポリエチレンオキサイド(PEO)、ポリプロピレンオキサイド(PPO)、ポリエチレングリコール(PEG)、ポリビニルエーテル(PVE)等〕、カルバモイル基を有する樹脂〔ポリアクリルアミド(PAAM)、ポリビニルピロリドン(PVP)、ポリアクリル酸ヒドラジド等〕等が挙げられる。
また、解離性基としてカルボキシル基を有するポリアクリル酸塩、マレイン酸樹脂、アルギン酸塩、ゼラチン類等も挙げることができる。
本発明に用いられるポリビニルアルコール(PVA)のケン化度としては、発色濃度の観点から、75〜95モル%が好ましく、77〜90モル%がより好ましく、80〜90モル%が特に好ましい。また、ポリビニルアルコール(PVA)の重合度としては、充分な膜強度を得る観点から、1400〜5000が好ましく、2300〜4000がより好ましい。なお、重合度1400未満と重合度1400以上のポリビニルアルコールを併用して使用してもかまわない。
尚、インク受容層を主に構成する後述する微粒子と親水性バインダーとは、それぞれ単一素材であってもよいし、複数素材の混合系であってもよい。
本発明により得られるインクジェット記録用媒体において、上述のようにして得られた多孔質のインク受容層は、毛細管現象によって急速にインクを吸収し、インク滲みのない真円性の良好なドットを形成することができる。
本発明において、微粒子(好ましくはシリカ微粒子;x)と親水性バインダー(y)との含有比〔PB比(x/y)、親水性バインダー1質量部に対する微粒子の質量〕は、インク受容層の膜構造にも大きな影響を与える。即ち、PB比が大きくなると、空隙率や細孔容積、表面積(単位質量当り)が大きくなる。具体的には、前記PB比(x/y)としては、前記PB比が大き過ぎることに起因する、膜強度の低下や乾燥時のひび割れを防止し、且つ前記PB比が小さ過ぎることによって、前記空隙が樹脂によって塞がれ易くなり、空隙率が減少することでインク吸収性が低下するのを防止する観点から、1.5/1〜10/1が好ましい。
本発明におけるインク受容層のうち、少なくとも下層は、カチオン性物質を含有して構成される。本発明におけるカチオン性物質としては、水溶性多価金属塩及びカチオン性ポリマーなどが含まれる。以下、本発明に好適な水溶性多価金属塩及びカチオン性ポリマーを中心に説明する。
本発明のインクジェット記録用媒体は、形成画像の耐水性及び耐にじみ性等の改善を図るために、インク受容層に、水溶性多価金属塩を含有することが好ましい。
具体的には、酢酸カルシウム、塩化カルシウム、ギ酸カルシウム、硫酸カルシウム、酢酸バリウム、硫酸バリウム、リン酸バリウム、塩化マンガン、酢酸マンガン、ギ酸マンガンニ水和物、硫酸マンガンアンモニウム六水和物、塩化第二銅、塩化アンモニウム銅(II)ニ水和物、硫酸銅、塩化コバルト、チオシアン酸コバルト、硫酸コバルト、硫酸ニッケル六水和物、塩化ニッケル六水和物、酢酸ニッケル四水和物、硫酸ニッケルアンモニウム六水和物、アミド硫酸ニッケル四水和物、硫酸アルミニウム、亜硫酸アルミニウム、チオ硫酸アルミニウム、ポリ塩化アルミニウム、硝酸アルミニウム九水和物、塩化アルミニウム六水和物、臭化第一鉄、塩化第一鉄、塩化第二鉄、硫酸第一鉄、硫酸第二鉄、臭化亜鉛、塩化亜鉛、硝酸亜鉛六水和物、硫酸亜鉛、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、塩化酸化ジルコニウム八水和物、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、酢酸クロム、硫酸クロム、硫酸マグネシウム、塩化マグネシウム六水和物、クエン酸マグネシウム九水和物、りんタングステン酸ナトリウム、クエン酸ナトリウムタングステン、12タングストりん酸n水和物、12タングストけい酸26水和物、塩化モリブデン、12モリブドりん酸n水和物等が挙げられる。
塩基性ポリ水酸化アルミニウムとは、主成分が下記の式2、3又は4で示され、例えば〔Al6(OH)15〕3+、〔Al8(OH)20〕4+、〔Al13(OH)34〕5+、〔Al21(OH)60〕3+、等のような塩基性で高分子の多核縮合イオンを安定に含んでいる水溶性の塩基性ポリ水酸化アルミニウムである。
〔Al(OH)3〕nAlCl3 ・・・ 式3
Aln(OH)mCl(3n-m)0<m<3n ・・・ 式4
しかしその反面、塩基性ポリ水酸化アルミニウムを最上層に含有させた場合、シアン染料が最上層表面に析出し、ブロンジングを発生させる可能性がある。
以上より、塩基性ポリ水酸化アルミニウムは、最上層には含有させず、最上層以外の下層にのみ含有させる態様が好ましい。
水溶性ジルコニウム化合物としては、特に限定されず種々の化合物が使用できるが、例えば、酢酸ジルコニル、塩化ジルコニウム、オキシ塩化ジルコニウム、ヒドロキシ塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、塩基性炭酸ジルコニウム、水酸化ジルコニウム、炭酸ジルコニウム・アンモニウム、炭酸ジルコニウム・カリウム、硫酸ジルコニウム、フッ化ジルコニウム化合物等が挙げられる。特に酢酸ジルコニルが好ましい。
本発明において、水溶性多価金属塩のインク受容層中の含有量は、前記微粒子に対して、1〜30質量%が好ましく、更に好ましくは5〜25質量%である。
また、水溶性多価金属塩は、単独でも用いることができるが、2種以上を併用することが好ましい。
本発明においては例えば、高い色濃度を実現すべく、少なくとも水溶性ジルコニル化合物を最上層に用いる。その一方で例えば、染料のニジミを抑制し、耐オゾン性を向上しつつブロンジング発生を抑制すべく、最上層以外の層に塩基性ポリ水酸化アルミニウムを用いることができる。
本発明のインクジェット記録用媒体は、カチオン性物質として、カチオン性ポリマーを用いて好適に構成することができる。以下、カチオン変性されたラテックス樹脂と他のカチオン性ポリマーとに分けて説明する。
本発明におけるインク受容層はカチオン変性されたラテックス樹脂(以下、単に「ラテックス樹脂」と称する場合がある。)を含んでもよい。
本発明においてラテックス樹脂とは、体積平均粒子径が0.001〜0.1μmのコロイダルディスパージョン、又は、体積平均粒子径0.1〜10μmのエマルジョン状の液体いう。
本発明におけるラテックス樹脂としては、体積平均粒子径が0.001〜0.1μm(好ましくは0.001〜0.05μm、より好ましくは0.001〜0.01μm)のカチオン変性された高分子を含むコロイダルディスパージョンであることが好ましい。
前記ジオール化合物の具体例としては、エチレングリコール、1,2−プロパンジオール、1,3−プロパンジオール、1,2−ブタンジオール、1,3−ブタンジオール、2,3−ブタンジオール、2,2−ジメチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ペンタンジオール、1,4−ペンタンジオール、1,5−ペンタンジオール、2,4−ペンタンジオール、3,3−ジメチルー1,2−ブタンジオール、2−エチル−2−メチルー1,3−プロパンジオール、1,2−ヘキサンジオール、1,5−ヘキサンジオール、1,6−ヘキサンジオール、2,5−ヘキサンジオール、2−メチルー2,4−ペンタンジオール、2,2−ジエチル−1,3−プロパンジオール、2,4−ジメチル−2,4−ペンタンジオール、1,7−ヘプタンジオール、2−メチル−2−プロピル−1,3−プロパンジオール、2,5−ジメチル−2,5−ヘキサンジオール、2−エチル−1,3−ヘキサンジオール、1,2−オクタンジオール、1,8−オクタンジオール、2,2,4−トリメチル−1,3−ペンタンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、ハイドロキノン、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、ポリエチレングリコール(平均分子量=200,300,400,600,1000,1500,4000)、ポリプロピレングリコール(平均分子量=200,400,1000)、ポリエステルポリオール、4,4'−ジヒドロキシ−ジフェニル−2,2−プロパン、4,4'−ジヒドロキシフェニルスルホン、ポリカーボネートポリオール等が挙げられる。
カチオン性基を有するポリウレタンは、例えば、ポリウレタンの合成の際、前記のごときジオールにカチオン性基を導入したものを使用することによって得られる。また4級アンモニウム塩の場合は、三級アミノ基を含有するポリウレタンを四級化剤で四級化してもよい。
前記ジカルボン酸化合物としては、シュウ酸、マロン酸、コハク酸、グルタル酸、ジメチルマロン酸、アジピン酸、ピメリン酸、α,α−ジメチルコハク酸、アセトンジカルボン酸、セバシン酸、1,9−ノナンジカルボン酸、フマル酸、マレイン酸、イタコン酸、シトラコン酸、フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、2−ブチルテレフタル酸、テトラクロロテレフタル酸、アセチレンジカルボン酸、ポリ(エチレンテレフタレート)ジカルボン酸、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ω−ポリ(エチレンオキシド)ジカルボン酸、p−キシリレンジカルボン酸等が挙げられる。
本発明におけるカチオン変性されたラテックス樹脂は、前記のカチオン変性された高分子を水系溶媒と混合して、必要に応じて添加剤を混合し、前記混合液を分散機を用いて細粒化することで、水分散液として得ることができる。前記水分散液を得るために用いる分散機としては、高速回転分散機、超音波分散機、コロイドミル分散機、高圧分散機等従来公知の各種の分散機を使用することができるが、形成されるダマ状微粒子の分散を効率的に行うという観点から、高圧分散機が好ましい。
本発明におけるインク受容層は、さらに他のカチオン性ポリマーを含有してもよい。
本発明における他のカチオン性ポリマーとしては、カチオン性基として、第1級〜第3級アミノ基、又は第4級アンモニウム塩基を有するポリマー媒染剤が好適に用いられるが、カチオン性の非ポリマー媒染剤も使用することができる。
前記他のカチオン性ポリマーとしては、第1級〜第3級アミノ基およびその塩、又は第4級アンモニウム塩基を有する単量体(媒染モノマー)の単独重合体や、前記媒染モノマーと他のモノマー(以下、「非媒染モノマー」という。)との共重合体又は縮重合体として得られるものが好ましい。また、これらのポリマーは、水溶性ポリマー又は水分散性ラテックス粒子のいずれの形態でも使用できる。
その他、共重合可能なモノマーとして、N−ビニルイミダゾール、N−ビニル−2−メチルイミダゾール等も挙げられる。
また、N−ビニルアセトアミド、N−ビニルホルムアミドなどの単位を用い、重合後に加水分解によってビニルアミン単位とすること、及びこれを塩にしたものも利用できる。
前記非媒染モノマーとしては、例えば、(メタ)アクリル酸アルキルエステル;(メタ)アクリル酸シクロヘキシル等の(メタ)アクリル酸シクロアルキルエステル;(メタ)アクリル酸フェニル等の(メタ)アクリル酸アリールエステル;(メタ)アクリル酸ベンジル等のアラルキルエステル;スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル類;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、バーサチック酸ビニル等のビニルエステル類;酢酸アリル等のアリルエステル類;塩化ビニリデン、塩化ビニル等のハロゲン含有単量体;(メタ)アクリロニトリル等のシアン化ビニル;エチレン、プロピレン等のオレフィン類、等が挙げられる。
中でも、メチルアクリレート、エチルアクリレート、メチルメタアクリレート、エチルメタアクリレート、ヒドロキシエチルメタアクリレートが好ましい。
前記非媒染モノマーも、一種単独で又は二種以上を組合せて使用できる。
本発明において形成されるインク受容層中に含有される他のカチオン性ポリマーの含有量としては、インク受容層中の全固形分質量に対して1〜30質量%が好ましく、2〜15質量%がより好ましく、3〜10質量%がさらに好ましい。
本発明において形成されるインク受容層は、さらに親水性バインダーを架橋し得る架橋剤を含むことが好ましく、特に微粒子と親水性バインダーを架橋しうる架橋剤によって親水性バインダーが架橋反応して硬化された多孔質構造を有する態様が好ましい。
例えば、ホルムアルデヒド、グリオキザール、グルタールアルデヒド等のアルデヒド系化合物;ジアセチル、シクロペンタンジオン等のケトン系化合物;ビス(2−クロロエチル尿素)−2−ヒドロキシ−4,6−ジクロロ−1,3,5−トリアジン、2,4−ジクロロ−6−S−トリアジン・ナトリウム塩等の活性ハロゲン化合物;ジビニルスルホン酸、1,3−ビニルスルホニル−2−プロパノール、N,N'−エチレンビス(ビニルスルホニルアセタミド)、1,3,5−トリアクリロイル−ヘキサヒドロ−S−トリアジン等の活性ビニル化合物;ジメチロ−ル尿素、メチロールジメチルヒダントイン等のN−メチロール化合物;メラミン樹脂(例えば、メチロールメラミン、アルキル化メチロールメラミン);エポキシ樹脂;
本発明におけるインク受容層は、必要に応じて下記成分を含有させて構成される。
即ち、インク色材の劣化を抑制する目的で、各種の紫外線吸収剤、酸化防止剤、一重項酸素クエンチャー等の褪色防止剤を含んでいてもよい。
紫外線吸収剤としては、桂皮酸誘導体、ベンゾフェノン誘導体、ベンゾトリアゾリルフェノール誘導体等が挙げられる。例えば、α−シアノ−フェニル桂皮酸ブチル、o−ベンゾトリアゾールフェノール、o−ベンゾトリアゾール−p−クロロフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−ブチルフェノール、o−ベンゾトリアゾール−2,4−ジ−t−オクチルフェノール等が挙げられる。ヒンダートフェノール化合物も紫外線吸収剤として使用でき、具体的には少なくとも2位又は6位の内、1ヵ所以上が分岐アルキル基で置換されたフェノール誘導体が好ましい。
また、無機顔料微粒子の分散性を高める目的で、各種無機塩類、pH調整剤として酸やアルカリ等を含んでいてもよい。
本発明に適用される支持体としては、プラスチック等の透明材料よりなる透明支持体、紙等の不透明材料からなる不透明支持体のいずれをも使用できる。インク受容層の透明性を生かす上では、透明支持体又は高光沢性の不透明支持体を用いることが好ましい。また、CD−ROM、DVD−ROM等の読み出し専用光ディスク、CD−R、DVD−R等の追記型光ディスク、更には書き換え型光ディスクを支持体として用い、レーベル面側にインク受容層を付与することもできる。
前記透明支持体の厚みとしては、特に制限はないが、取り扱い易さの点で、50〜200μmが好ましい。
白色顔料含有発泡ポリエステルフィルム(例えば、ポリオレフィン微粒子を含有させ、延伸により空隙を形成した発泡PET)も好適に挙げることができる。更に、銀塩写真用印画紙に用いられるレジンコート紙も好適である。
また、前記支持体の表面には、濡れ特性及び接着性を改善するために、コロナ放電処理、グロー放電処理、火炎処理、紫外線照射処理等を施したものを使用するのが好ましい。
前記原紙としては、木材パルプを主原料とし、必要に応じて木材パルプに加えてポリプロピレンなどの合成パルプ、あるいはナイロンやポリエステルなどの合成繊維を用いて抄紙される。前記木材パルプとしては、LBKP、LBSP、NBKP、NBSP、LDP、NDP、LUKP、NUKPのいずれも用いることができるが、短繊維分の多いLBKP、NBSP、LBSP、NDP、LDPをより多く用いることが好ましい。但し、LBSP及び/又はLDPの比率としては、10質量%〜70質量%が好ましい。
原紙中には、高級脂肪酸、アルキルケテンダイマー等のサイズ剤、炭酸カルシウム、タルク、酸化チタン等の白色顔料、スターチ、ポリアクリルアミド、ポリビニルアルコール等の紙力増強剤、蛍光増白剤、ポリエチレングリコール類等の水分保持剤、分散剤、4級アンモニウム等の柔軟化剤などを適宜添加することができる。
原紙のpHは、JIS P−8113で規定された熱水抽出法により測定された場合、5〜9であることが好ましい。
バックコート層に含有される白色顔料としては、例えば、軽質炭酸カルシウム、重質炭酸カルシウム、カオリン、タルク、硫酸カルシウム、硫酸バリウム、二酸化チタン、酸化亜鉛、硫化亜鉛、炭酸亜鉛、サチンホワイト、珪酸アルミニウム、珪藻土、珪酸カルシウム、珪酸マグネシウム、合成非晶質シリカ、コロイダルシリカ、コロイダルアルミナ、擬ベーマイト、水酸化アルミニウム、アルミナ、リトポン、ゼオライト、加水ハロイサイト、炭酸マグネシウム、水酸化マグネシウム等の白色無機顔料、スチレン系プラスチックピグメント、アクリル系プラスチックピグメント、ポリエチレン、マイクロカプセル、尿素樹脂、メラミン樹脂等の有機顔料等が挙げられる。
バックコート層に含有されるその他の成分としては、消泡剤、抑泡剤、染料、蛍光増白剤、防腐剤、耐水化剤等が挙げられる。
ここで、本発明におけるインクジェット記録用媒体の製造方法について説明する。
(最上層用塗布液、各下層用塗布液の調製)
本発明において、最上層用塗布液及び各下層用塗布液として、微粒子、親水性バインダーを含有する塗布液を調製する場合には、例えば、以下の様にして調製できる。ここで、「各下層用塗布液」とは、最上層以外の各層を形成するための塗布液をいう。
本発明に適用される分散機としては、主として、ビーズミル等の媒体撹拌型分散機が好適に用いられるが、微粒化の促進及び高Dmの点からは、高圧ホモジナイザー(例えば、(株)スギノマシン製のアルティマイザーなど)が特に好ましい。
即ち、最上層を含めた各層用の塗布液を同一組成で調製した後、最上層を除く各下層用塗布液にのみ塩基性ポリ水酸化アルミニウム等極性の高いカチオン性物質を、インラインミキシング等の手段によって添加することにより、最上層インク受容層よりもカチオン性物質の濃度が高いインク受容層が存在することとなるようにすることもできる。ここで、塩基性ポリ水酸化アルミニウム等を添加する層は、最上層と直接接する下層であっても、前記下層より下の、任意に選択した層であっても、最上層を除く全ての層であってもよい。
本発明におけるインク受容層は、前記調製した各層用の塗布液を、公知の塗布方法により、支持体上に同時塗布(重層塗布)することにより形成することができる。
同時塗布(重層塗布)は、例えば、エクストルージョンダイコーター、カーテンフローコーターを用いた公知の塗布方法により行なうことができる。
前記塗布は、例えば、エクストルージョンダイコーター、エアードクターコーター、ブレッドコーター、ロッドコーター、ナイフコーター、スクイズコーター、リバースロールコーター、バーコーター等の公知の塗布方法によって行うことができる。
即ち、微粒子と親水性バインダーと(場合によりカチオン性物質と)を含む最上層用塗布液及び微粒子と親水性バインダーとカチオン性物質とを含む下層用塗布液を重層塗布して支持体上に塗布層を形成する。次に、前記塗布液及び/又はpHが7.1以上の塩基性溶液に架橋剤を添加し、かつ(1)前記塗布液を塗布して各塗布層を形成すると同時、又は(2)前記塗布液を塗布して形成される各塗布層の乾燥途中であって該塗布層が減率乾燥を示す前、の何れかの時に、前記塩基性溶液を前記塗布層に付与し、前記塗布層を架橋硬化させる方法によって形成されてもよい。
ここで、前記塗布層は前記重層塗布以外に、1層ずつ塗布することによって形成されていてもよい。
(支持体の作製)
アカシアからなるLBKP50部及びアスペンからなるLBKP50部をそれぞれディスクリファイナーによりカナディアンフリーネス300mlに叩解しパルプスラリーを調製した。
ついで前記で得られたパルプスラリーに、対パルプ当り、カチオン変性でんぷん(日本NSC製CAT0304L)1.3%、アニオン性ポリアクリルアミド(星光PMC製 DA4104)0.15%、アルキルケテンダイマー(荒川化学製サイズパインK)O.29%、エポキシ化ベヘン酸アミド0.29%、ポリアミドポリアミンエピクロルヒドリン(荒川化学(株)製:アラフィックス100)0.32%を加えた後、消泡剤0.12%を加えた。
下記組成の下塗り液をワイヤ−バ−を用いて10ml/m2塗布した後、70℃で2分間乾燥し、支持体を得た。
<下塗り液の組成>
(1)脱イオンアルカリ処理ゼラチン(等電点5.0) ・・・ 10.0部
(2)水 ・・・ 24.0部
(3)メタノ−ル ・・・ 961.0部
下記組成に示した、(1)気相法シリカ微粒子と、(2)イオン交換水と、(3)「シャロールDC−902P」と、(4)「ZA−30」とを混合し、ビーズミル(例えば、KD−P((株)ジンマルエンタープライゼス製)を用いて分散させた後、分散液系を45℃に加熱し20時間保持した。その後、これに下記(5)ホウ酸と、(6)ポリビニルアルコール溶解液と(7)「スーパーフレックス600」と、(8)エタノール水を30℃で加え、インク受容層用塗布液Aを調製した。塗布液の調製は36℃で行った。
(インク受容層塗布液Bの調製)
前記インク受容層塗布液Aの調製において(1)〜(4)を混合した後、塗布液Aの調製におけるビーズミルに変えて、液液衝突型分散機(アルティマイザー、スギノマシン社製)を用いて170MPa、1パスで分散をおこなった。更に、(8)エタノール水(エタノール含有量59%)を添加しないこと以外は、インク受容層塗布液Aの調製と同じにしてインク受容層塗布液Bを調製した。
(1)気相法シリカ微粒子 ・・・ 100部
(AEROSlL300SF75、日本アエロジル(株)製)
(2)イオン交換水 ・・・ 557部
(3)「シャロールDC−902P」 ・・・ 8.7部
(分散剤、第一工業製薬(株)製、51.5%水溶液)
(4)酢酸ジルコニル ・・・ 1.35部
(「ZA−30」、第一稀元素化学工業(株)製、50%水溶液)
(5)ホウ酸(架橋剤)水溶液(7.5%) ・・・ 92.0部
(6)ポリビニルアルコール(親水性バインダー)溶解液 ・・・ 382.0部
−溶解液の組成−
・ポリビニルアルコール ・・・ 25.7部
(「PVA235」、鹸化度88%、重合度3500、(株)クラレ製)
・ポリオキシエチレンラウリルエーテル ・・・ 0.7部
(「エマルゲン109P」、界面活性剤、花王(株)製、)
・ジエチレングリコールモノブチルエーテル ・・・ 6.7部
(「ブチセノール20P」、協和発酵(株)製)
・イオン交換水 ・・・ 348.9部
(7)「スーパーフレックス600」 ・・・ 12.5部
(カチオン変性ラテックス、第一工業製薬(株)製)
(8)エタノール水(エタノール含有量59%) ・・・ 15部
前記支持体の表面にインク受容層用塗布液A:183ml/m2(下層)とインク受容層用塗布液A:13.3ml/m2(最上層)を同時重層にて塗布した。このとき下層に用いたインク受容層用塗布液Aには、5倍希釈の塩基性ポリ水酸化アルミニウム水溶液(塩基性ポリ水酸化アルミニウムは、アルファイン83(大明化学工業株式会社製))を12.0ml/m2の速度でインラインミキシングし塗布をおこなった。塗布液はいずれも36℃に加温し、塗布を行った。
その後、10℃、相対湿度50%の風にて塗布液を冷却した後に、43℃、相対湿度7%の風にて風速5〜30m/secで1〜3分乾燥させた後、更に22℃、相対湿度23%の風にて風速5〜30m/secで完全に乾燥した。乾燥膜厚38μmのインク受容層が設けられた実施例1のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、最上層の形成に用いたインク受容層用塗布液Aをインク受容層用塗布液Bに変更した以外は実施例1と同様にして実施例2のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例1において、最上層の形成に用いたインク受容層用塗布液Aに5倍希釈の塩基性ポリ水酸化アルミニウム水溶液(塩基性ポリ水酸化アルミニウムは、アルファイン83(大明化学工業株式会社製))を1.0ml/m2の速度でインラインミキシングした以外は実施例1と同様にして比較例1のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例2において、最上層の形成に用いたインク受容層用塗布液Bに5倍希釈の塩基性ポリ水酸化アルミニウム水溶液(塩基性ポリ水酸化アルミニウムは、アルファイン83(大明化学工業株式会社製))を1.0ml/m2の速度でインラインミキシングした以外は実施例1と同様にして比較例2のインクジェット記録用シートを作製した。
実施例2において、塩基性ポリ水酸化アルミニウム水溶液(塩基性ポリ水酸化アルミニウムは、アルファイン83(大明化学工業株式会社製))を添加しなかったこと以外は実施例2と同様にして比較例3のインクジェット記録用シートを作製した。
前記より得た実施例のインクジェット記録用シート、及び比較例のインクジェット記録用シートの各々について、以下の評価試験を行なった。試験結果は下記の表1に示す。
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM G−800」)を用いて、各インクジェット記録用シート上に黒のベタ画像を印画し、反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)にてビジュアル濃度を測定した
(2)耐オゾン性
インクジェットプリンター(セイコーエプソン(株)製の「PM G−800」)を用いて、各インクジェット記録用シート上に各色の光学濃度が1.0となるように単色画像を印画した。その後、各印画サンプルを、温度23℃相対湿度50%の環境条件下、10ppm濃度のオゾンガス混合空気-雰囲気下に48時間放置し退色試験を行った。この試験の前後の各色画像濃度を、反射濃度測定計(Xrite社製の「Xrite938」)にて測定し、各色濃度の残存率を算出した。
(3)ブロンジング評価
各受像シートを35℃80%の環境に16時間調湿したのち、同じ環境下において、インクジェットプリンタ(セイコーエプソン(株)製の「PM G−800」)を用いてブルーのベタ画像を印画した後に、目視にてブロンジング評価を行った。評価は、赤味をおびたブロンズ状の金属光沢が生じた場合を×、生じなかった場合を○として行った。
Claims (6)
- 支持体上に、気相法シリカと親水性バインダーとを含有するインク受容層を少なくとも2層形成してなるインクジェット記録用媒体であって、前記インク受容層のうち最上層のインク受容層よりも、気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率が高いインク受容層が存在し、前記最上層が水溶性ジルコニル化合物を含有することを特徴とするインクジェット記録用媒体。
- 前記最上層における気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率が、最上層以外のインク受容層のうちいずれか一層における、気相法シリカに対する塩基性ポリ水酸化アルミニウムの質量比率の90%以下であることを特徴とする請求項1に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記気相法シリカの1次粒子径が1nm以上30nm以下であることを特徴とする請求項1又は2に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記インク受容層の少なくとも1層が、体積平均粒子径0.001μm〜0.1μmの、カチオン変性されたラテックス樹脂を含む塗布液を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記インク受容層の少なくとも1層が、分散粒子径0.08μm〜0.14μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成され、かつ、他の少なくとも1層が分散粒子径0.10μm〜0.20μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成されたことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のインクジェット記録用媒体。
- 前記分散粒子径0.08μm〜0.14μmの微粒子を含む塗布液を用いて形成された層は、最上層であることを特徴とする請求項5に記載のインクジェット記録用媒体。
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