以下、本発明を詳細に説明する。
本発明の環状構造を有する含フッ素単量体は、下記一般式(1)で表される含フッ素ヘミアセタール構造を有するものである。
(式中、Zは重合性不飽和基を含む二価の有機基を表す。)
ここで、安定性・製造容易性の点から、形成されるヘミアセタール構造としては
で示される環が五員環又は六員環である五員環ヘミアセタール構造又は六員環ヘミアセタール構造が好ましい。特に、オキソランヘミアセタール構造、オキサンヘミアセタール構造又はジオキサンヘミアセタール構造を有するもの、即ち、下記一般式(2),(3)又は(4)で表される構造が好ましく例示できる。
(式中、R
1、R
2、R
3、R
4はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R
1、R
2、R
3、R
4は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基を含まない場合は、重合性不飽和基を含む。R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R
5、R
6、R
7、R
8、R
9、R
10は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基を含まない場合は、重合性不飽和基を含む。R
11、R
12、R
13、R
14はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基を表す。R
11、R
12、R
13、R
14は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基を含まない場合は、重合性不飽和基を含む。)
一般に、ヘミアセタール構造(HA)は鎖状ケトアルコール化合物(KA)との平衡が存在すると考えられる。この際、五員環又は六員環の場合は平衡がヘミアセタール側によっており、安定性が高いといわれている。更に、本発明の下記一般式(2),(3)又は(4)で表されるヘミアセタール構造(HA)を有する化合物では、対応する下記一般式(2’),(3’)又は(4’)で表される鎖状ケトアルコール構造(KA)におけるカルボニル基に隣接する炭素原子(α−炭素及びα’−炭素)上に五つのフッ素原子置換があり、これらのフッ素原子の強い電子吸引効果のために、該カルボニル基の炭素が通常のカルボニル基に比べ、より求核剤の攻撃を受けやすくなっていると考えられる。このため、鎖状ケトアルコール化合物(KA)の水酸基が分子内で求核的に攻撃して、安定なヘミアセタール構造(HA)をとりやすいと考えられる。特に式(4)で表されるジオキサンヘミアセタール構造の場合、鎖状ケトアルコール化合物(4’)においては不安定な鎖状ヘミアセタール構造をとっており、この構造では安定に存在し得ないと考えられる。逆にいえば、環化して環状ヘミアセタール構造をとることにより、このアセタール構造とヘミアセタール構造が分子内に共存した化合物(4)が安定に存在すると考えられる。
Z、R1、R2、R3、R4又はR5、R6、R7、R8、R9、R10又はR11、R12、R13、R14で表される基の構造及び重合性不飽和基の置換位置は、製造の容易さ、目的の単量体の重合性、フルオロアルコールの酸性度、それらを用いて合成される重合体の物性等、種々の条件に合わせて任意に決めることができる。
Zは重合性不飽和基を含む二価の有機基である。より具体的には、重合性不飽和基を含む炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の二価の有機基を例示できる。例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルブチル基、メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、アダマンチルブチル基、メチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルブチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、トリル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基の一価の炭化水素基の水素原子の一つを単結合に置き換え、更に別の水素原子を重合性不飽和基に置き換えた二価の有機基であり、また、これらの基中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基等に置換されていてもよい。
R1、R2、R3、R4は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基であり、R1、R2、R3、R4のうち少なくとも一つは、重合性不飽和基を含む一価の有機基である。炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基として、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基、メチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルメチル基、エチルシクロヘキシルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.1]ヘプチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.1]ヘプチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、ビシクロ[2.2.2]オクチルブチル基、メチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルメチル基、エチルビシクロ[2.2.2]オクチルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、トリシクロ[5.2.1.02,6]デシルブチル基、メチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルメチル基、エチルトリシクロ[5.2.1.02,6]デシルエチル基、アダマンチル基、アダマンチルメチル基、アダマンチルエチル基、アダマンチルブチル基、メチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルメチル基、エチルアダマンチルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルブチル基、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルメチル基、エチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデシルエチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、フェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基等のアリール基、ベンジル基、ジフェニルメチル基、フェネチル基等のアラルキル基等の一価の炭化水素基、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基等のアルコキシ基、ホルミルオキシ基、アセトキシ基等のアシロキシ基を挙げることができ、これらの基中の水素原子の一部がハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アルコキシアルキル基、アシロキシ基、アシロキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基等に置換されていてもよい。これらのうち、水素原子、水酸基、ハロゲン原子、メチル基、エチル基、プロピル基、tert−ブチル基、パーフルオロアルキル基は特に好ましい。重合性不飽和基を含む一価の有機基としては、重合性不飽和基そのものであるか、又は、上記一価の有機基の水素原子の一つを重合性不飽和基に置き換えた一価の有機基である。
R1、R2、R3、R4は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよい。環を形成する組み合せの典型的な例としては、R1とR2、R1とR3、R1とR4、R2とR3、R2とR4、R3とR4が挙げられる。この場合、形成される環としては、シクロプロパン、シクロブタン、シクロペンタン、シクロヘキサン、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン、ビシクロ[2.2.2]オクタン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカン、アダマンタン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカン等の炭素数3〜12の脂環式炭化水素が例示でき、これらを含む縮合環でもよい。また、これらの脂環式炭化水素の水素原子の一部が水酸基、ハロゲン原子、アルキル基、アリール基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アルコキシアルキル基、アシロキシ基、アシロキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基等に置換されていてもよい。
また、上記環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基(例えばR1とR2とで環を形成する場合はR3及びR4、R1とR3で環を形成する場合はR2及びR4)がいずれも上記重合性不飽和基を含まない場合、重合性不飽和基を含む。
R5、R6、R7、R8、R9、R10とR11、R12、R13、R14は、それぞれ、R1、R2、R3、R4と同様のものを例示できるが、環を形成する組み合せの典型的な例としては、R5とR6、R5とR7、R5とR8、R6とR7、R6とR8、R7とR8、R7とR9、R7とR10、R8とR9、R8とR10、R9とR10が挙げられ、またR11とR12、R13とR14が挙げられる。
上記一般式(1),(2),(3),(4)における重合性不飽和基としては、ラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の重合手段により重合可能な二重結合を有する基であればよい。重合性不飽和基を有する構造として、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.0
2,6]デカ−8−エン、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカ−3−エン等の不飽和炭化水素構造、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の不飽和エーテル構造、ビニルケトン、イソプロペニルケトン等のα,β−不飽和ケトン構造、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル等のα,β−不飽和エステル構造、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−5−カルボン酸エステル、テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸エステル等の不飽和炭化水素エステル構造が好ましい。これらのうち、下記一般式(5)で表されるα,β−不飽和エステル構造を含むものが特に好ましい。即ち、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又は、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル構造が、特に好ましく例示できる。
(式中、R
15は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。破線は結合手を表す。)
また、この場合、重合性不飽和基が下記一般式(6)又は(7)で表される不飽和炭化水素構造からなる基であってもよい。
(式中、p、qはそれぞれ独立に1又は0を表す。破線は結合手を表す。)
ここで、上記Zの二価の有機基、R1〜R14のうちの重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基を含む環は、上記式(5),(6)又は(7)の基を含むことが好ましいが、この場合、式(5),(7)の重合性不飽和基は、その一本の結合手が三価の連結基のいずれか一本の結合手と結合することによりZ中又は上記重合性不飽和基を含有する環中に該重合性不飽和基として取り込まれた形態である。三価の連結基としては、水酸基、ハロゲン原子、アルコキシ基、アルコキシアルキル基、アルコキシアルコキシ基、アシロキシ基、アシロキシアルキル基等で置換されていてもよい炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基より水素原子の1つを単結合(結合手)と置き換えた基が好ましい。また、式(5),(7)の重合性不飽和基がR1〜R14のうちの重合性不飽和基を含む一価の有機基に該重合性不飽和基として取り込まれる態様は、式(5),(7)の基がそのまま重合性不飽和基を含む一価の有機基として構成され、この基が結合する炭素原子(以下、これを炭素原子Cという)に直接結合する態様(即ち、式(5),(7)の結合手がこの炭素原子Cに直接結合する態様)、及び二価の連結基、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜10のアルキレン基を介して上記炭素原子に結合する態様(即ち、式(5),(7)の結合手が上記二価の連結基を介して上記炭素原子Cに結合する態様)が挙げられる。
また、式(6)は、その結合手のうち一本又は二本がZ中あるいは上記R1〜R14のうちの重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基を含む環に該重合性不飽和基として取り込まれるための結合手とすることが好ましく、残りの結合手は水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基(その例示は上記と同様である)に結合していることが好ましい。
ここで、式(6)の結合手のうちの一本がZ中あるいは上記R1〜R14のうちの重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基を含む環に取り込まれる場合の態様は、上記式(5),(7)の結合手が結合する上記態様と同じである。
また、式(6)の結合手のうちの二本がZ又は重合性不飽和基を含む環中に取り込まれる態様としては、式(6)自体をZ又は該環とする態様、又は上記二本の結合手のうちの一方又は双方が上述した二価の連結基に結合した基をZ又は該環とする態様が挙げられ、更に重合性不飽和基を含む一価の有機基に取り込まれる態様としては、二本の結合手がそれぞれ上記二価の連結基と結合すると共に、これら連結基が適宜な炭素原子位置で該炭素原子と結合して環を形成して、これを重合性不飽和基を含む一価の有機基とする態様が挙げられる。
なお、式(6)において二本の結合手が例えば式(2)に結合する態様としては、下記式
で示されるスピロ環、及び下記式
で示される縮合環が例示される。
また、上記連結基としては、下記のものが例示される。
本発明の環状構造を有する含フッ素単量体(1),(2),(3),(4)において、Z、R1、R2、R3、R4、R5、R6、R7、R8、R9、R10、R11、R12、R13、R14で表される基の種類、組み合わせによっては、分子を構成する炭素原子が不斉炭素となる場合があり、エナンチオ異性体(Enantiomer)やジアステレオ異性体(Diastereomer)が存在し得るが、一般式(1),(2),(3),(4)は、これらの立体異性体のすべてを代表して表す。これらの立体異性体は、単独で用いてもよいし、混合物として用いてもよい。
本発明の一般式(1),(2),(3),(4)で表される環状構造を有する環状含フッ素単量体として、更に具体的には以下のものを例示できるが、これらのものに限定されない。なお、下記例でAcはアセチル基を示す(以下、同様)。
本発明の環状構造を有する含フッ素単量体の製造方法について説明する。
本発明の一般式(1),(2),(3),(4)で表される環状構造を有する含フッ素単量体の製造における鍵反応は、ヘミアセタール環の形成反応である、即ち、下記一般式(9),(10),(11)又は(12)で表される鎖状ケトアルコール化合物が環化し、下記一般式(13),(14),(15)又は(16)で表されるヘミアセタール化合物が得られる工程である。
(式中、Yは重合性不飽和基を含む二価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する二価の有機基を表す。Q
1、Q
2、Q
3、Q
4はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q
1、Q
2、Q
3、Q
4は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含まない場合は、重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む。Q
5、Q
6、Q
7、Q
8、Q
9、Q
10はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q
5、Q
6、Q
7、Q
8、Q
9、Q
10は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含まない場合は、重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む。Q
11、Q
12、Q
13、Q
14はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基を表す。Q
11、Q
12、Q
13、Q
14は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含まない場合は、重合性不飽和基又は重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む。)
ここで、上記一般式(9),(10),(11)又は(12)は、ケトアルコール化合物それ自身だけでなく、水酸基がアニオンとなった対応するアルコキシド誘導体、α,α,α,α’,α’−ペンタフルオロカルボニル基部分が水和物となったトリオール誘導体をも代表して表し、ケトアルコール化合物と総称することとする。上記一般式(9),(10),(11)又は(12)で表されるケトアルコール化合物は、合成途上必ずしも単離する必要はなく、反応系内で生成し(in situ)、最終的に環化した形で得られる場合が多くある。
上述の様に、これらの反応において、鎖状ケトアルコール構造(9),(10),(11)又は(12)におけるカルボニル基に隣接する炭素原子上に五つの電子吸引性のフッ素原子置換があり、水酸基又はアルコキシドが分子内で求核的に攻撃して、安定なヘミアセタール構造(13),(14),(15)又は(16)を形成する方向へ反応が進行すると考えられる。
Yが重合性不飽和基を含む二価の有機基である場合、Q1、Q2、Q3、Q4のうち少なくとも一つが重合性不飽和基を含む一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基を含む場合、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、Q10のうち少なくとも一つは重合性不飽和基を含む一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基を含む場合、又は、Q11、Q12、Q13、Q14のうち少なくとも一つが重合性不飽和基を含む一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基を含む場合には、上記一般式(13),(14),(15)又は(16)で表される化合物は、上記一般式(1),(2),(3)又は(4)で表される化合物それら自身であるので、上記環化反応は本発明の環状構造を有する環状含フッ素単量体の製造方法となる。このようなヘミアセタール環化反応に先立ち、重合性不飽和基を分子中に導入しておく製造方法は、重合性不飽和基がヘミアセタール環化反応によって変化を受けない場合に特に有効である。例えば、重合性不飽和基を有する構造として、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−2−エン、トリシクロ[5.2.1.02,6]デカ−8−エン、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−3−エン等の不飽和炭化水素構造、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の不飽和エーテル構造を含むものである場合を好ましく例示できる。一方、重合性不飽和基を有する構造として、ビニルケトン、イソプロペニルケトン等のα,β−不飽和ケトン構造、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル等のα,β−不飽和エステル構造、又は、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−5−カルボン酸エステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸エステル等の不飽和炭化水素エステル構造を含む場合でも、反応条件を適切に選ぶことにより適用可能である場合もある。
Yが重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する二価の有機基である場合、Q1、Q2、Q3、Q4のうち少なくとも一つが重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む場合、Q5、Q6、Q7、Q8、Q9、Q10のうち少なくとも一つが重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む場合、又は、Q11、Q12、Q13、Q14のうち少なくとも一つが重合性不飽和基に変換可能な官能基を有する一価の有機基である場合又は上記環が重合性不飽和基に変換可能な官能基を含む場合には、これらの基の重合性不飽和基への変換が必要である。重合性不飽和基に変換可能な官能基としては、重合性不飽和基の種類により種々選択できる。代表的な例として、重合性不飽和基を有する構造として、ビニルオキシ基、アリルオキシ基等の不飽和エーテル構造、アクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル等のα,β−不飽和エステル構造、ビシクロ[2.2.1]ヘプト−5−エン−5−カルボン酸エステル、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸エステル等の不飽和炭化水素エステル構造を含むものである場合には、これらの官能基(重合性不飽和基構造)は水酸基のビニル化、アリル化、アシル化反応によって合成できるので、重合性不飽和基に変換可能な官能基として、水酸基又は水酸基に変換可能な基を挙げることができる。水酸基に変換可能な基としては、脱保護により水酸基に変換できる保護化水酸基を含むもの、還元反応やアルキル化反応により水酸基に変換できるアルデヒド(ホルミル基)やエステル(アルコキシカルボニル基)を含むものを例示できる。置換基・反応経路・反応条件の選択によりこれらの変換を同時に行うこともできる。
ヘミアセタール環化反応は、反応基質の構造により種々異なるが、通常、溶媒中で行い、塩基性条件又は酸性条件で行うのが好ましい。塩基としては、ケトアルコール化合物がアルコキシドを生成する条件が好ましい。塩基として、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N、N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等の有機塩基類、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化バリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、水素化リチウム、水素化ナトリウム、水素化カリウム、水素化カルシウム等の無機塩基類、メチルリチウム、n−ブチルリチウム、塩化メチルマグネシウム、臭化エチルマグネシウム等のアルキル金属類、ナトリウムメトキシド、ナトリウムエトキシド、カリウムt−ブトキシド等のアルコキシド類を用いることができる。この場合、単離したケトアルコール化合物をこれらの塩基で処理することによって環化を進行させてもよいが、ケトアルコール化合物自身の合成の過程で生じるアルコキシドをそのまま用い、環化させるのが好ましい。酸として、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類を用いることができる。単離したケトアルコール化合物をこれらの酸で処理することによって環化を進行させてもよいが、ケトアルコール化合物自身の合成における後処理の酸処理によってそのまま環化させるのが好ましい。用いる溶媒としてはジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類が例示でき、これらを単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、−20℃〜100℃が更に好ましい。反応時間は、収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常0.1〜250時間程度である。
上記一般式(9),(10),(11)又は(12)で表される環化前駆体ケトアルコール化合物の製造方法は、構造により種々異なり、下記実施例にて詳述するが、α,α,α,α’,α’−ペンタフルオロカルボニル基部分の導入方法として、カルボニル化合物と1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロペニルオキシドの反応(T.Nakaiら、Tetrahedron Letters、Vol.29、P.4119、1988年、及び、T.Nakaiら、Organic Syntheses、Vol.76、P.151、1998年参照)や求電子的フッ素化試薬によるα,α,α−トリフルオロケトンのα’,α’−位のgem−フッ素化反応(例えば、T.Hiyama、Organofluorine Compounds Chemistry and Applications、P.39、2000年参照)を例示できる。特に、カルボニル化合物と1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロペニルオキシドの反応は、必要な五フッ素置換部分構造を一挙に導入できるため好ましい。
ここで、特異なジオキサンヘミアセタール構造を有する式(16)の化合物の合成について詳述する。前述のように、ケトアルコール中間体(12)はそれ自体不安定と考えられるが、容易に環化してジオキサンヘミアセタール化合物(16)となるので、中間体(12)をいかに合成するかが問題となるが、これは、例えば、以下の合成経路に従って合成することができる。
(式中、Q
11、Q
12、Q
13、Q
14は上記と同様である。)
第一工程は、1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール(このものは商業的に大量に入手可能で、融点−4〜−2℃、沸点59〜60℃で常温で液体であり、取り扱いが容易である)から容易に合成できる1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−プロペニルオキシドを上記一般式(17)で表される第一のカルボニル化合物と反応させ、上記一般式(18)で表されるケトアルコール化合物を得るアルドール縮合工程である。次いで、第二工程は、中間体(18)の水酸基を上記一般式(19)で表される第二のカルボニル化合物のカルボニル基に求核付加させると、上記一般式(12)で表されるケトアルコール化合物が得られ、この中間体(12)は上述の様に分子内ですみやかに環化し、上記一般式(16)で表されるヘミアセタール化合物へと変換される工程である。
ここで、上記一般式(18),(12)で表される中間体ケトアルコール化合物は、ケトアルコール化合物それ自身だけでなく、水酸基がアニオンとなった対応するアルコキシド誘導体、α,α,α,α’,α’−ペンタフルオロカルボニル基部分が水和物となったトリオール誘導体をも代表して表し、ケトアルコール化合物と総称することとする。
また、化合物(18)の場合、水を用いた後処理等によって水がカルボニル基に付加して下記一般式(18’)で表される水和物以外にも、分子内の水酸基が分子内のカルボニル基に付加して下記一般式(18’’)で表されるオキセタンへミアセタール化合物として得られる場合もあり、又は、これらの2種又は3種の混合物として得られる場合もある。これらの混合物はそのまま次の反応に用いることができる場合、又は、反応前に簡単な脱水操作により容易にケトアルコール化合物に平衡を傾けることができる場合があることから、ここでは下記一般式(18)で代表して表すこととする。
これらのケトアルコール化合物は、合成途上必ずしも単離する必要はなく、反応系内で生成(in situ)させ、そのまま次の変換に用いることができる。例えば、第一工程で生じた式(18)に対応するアルコキシドに、カルボニル化合物(19)を加えて第二工程を行い、式(12)に対応するアルコキシドを経て、系内で式(16)の化合物へと環化するという全ての工程を一つの反応機中で行う一容器反応(one pot reaction)は、途中での抽出・精製操作が不必要なため、簡便で、特に工業的な価値が高い。
第一工程に用いるカルボニル化合物(17)として、最終目的物の構造に応じて、種々のアルデヒド、ケトンを用いることができる。反応は通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、溶媒中で行う。溶媒としてはジエチルエーテル、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類が好ましく、これらに加え、ヘキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、アセトニトリル等のニトリル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類から選択して単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、−20℃〜100℃が更に好ましい。反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常0.1〜250時間程度である。反応終了後は、生じたアルコキシドのまま次の工程に用いるか、通常の水系後処理(aqueous workup)により化合物(18)を得る。
第二工程に用いるカルボニル化合物(19)として、最終目的物の構造に応じて、種々のアルデヒド、ケトンを用いることができ、中でもホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ピバルアルデヒド、ベンズアルデヒド、シクロヘキサンカルバルデヒド、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン等の比較的低分子量のカルボニル化合物が好ましい。また、ジメトキシメタン、トリオキサン、アセトアルデヒドジエチルアセタール等のアセタール類、ジブロモメタン、1,1−ジブロモエタン等のgem−ジハロゲン化物類、クロロメチルメチルエーテル、クロロメチルエチルエーテル等のα−ハロエーテル類等のカルボニル化合物等価体を直接、あるいは系内で対応するカルボニル化合物を生成させながら、用いることもできる。反応条件は用いる基質・試薬の種類によって種々異なる。例えば、第一工程で生じたアルコキシドをそのまま用いる場合には、反応は通常、窒素、アルゴン等の不活性ガスの雰囲気下、溶媒中カルボニル化合物(19)を加えて行う。溶媒は第一工程で例示したものを用いることができ、第一工程と同じでも異なっていてもよい。単離したケトアルコール化合物(18)とカルボニル化合物等価体としてアセタール類を用いる反応の場合は、酸触媒の存在下に平衡反応により目的の変換を実現するとよい。酸触媒としては、塩酸、臭化水素酸、硫酸、硝酸等の無機酸類、シュウ酸、トリフルオロ酢酸、メタンスルフォン酸、ベンゼンスルフォン酸、p−トルエンスルフォン酸等の有機酸類、三塩化アルミニウム、アルミニウムエトキシド、アルミニウムイソプロポキシド、三フッ化ホウ素、三塩化ホウ素、三臭化ホウ素、四塩化錫、四臭化錫、二塩化ジブチル錫、ジブチル錫ジメトキシド、ジブチル錫オキシド、四塩化チタン、四臭化チタン、チタン(IV)メトキシド、チタン(IV)エトキシド、チタン(IV)イソプロポキシド、酸化チタン(IV)等のルイス酸類、アンバーリスト15等の酸性イオン交換樹脂類を用いることができる。試薬や基質自身が酸性を有する場合には別の触媒の添加が不要の場合もある。単離したケトアルコール化合物(18)とカルボニル化合物等価体としてα−ハロエーテル類やgem−ジハロゲン化物類を用いる反応の場合には、塩基の存在下に水酸基をアルキル化する条件がこのましい。例えば、塩化メチレン、クロロフォルム、トリクロロエチレン等の塩素系溶剤類、へキサン、ヘプタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、クメン等の炭化水素類、ジブチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、テトラヒドロフラン、1,4−ジオキサン等のエーテル類、アセトニトリル等のニトリル類、アセトン、2−ブタノン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸n−ブチル等のエステル類、N,N−ジメチルホルムアミド、ジメチルスルフォキシド、ヘキサメチルホスホリックトリアミド等の非プロトン性極性溶媒類から選択して単独あるいは2種類以上を混合しての溶媒中、塩基として、トリエチルアミン、ジイソプロピルエチルアミン、N,N−ジメチルアニリン、ピリジン、4−ジメチルアミノピリジン等を順次又は同時に加えて反応させるとよい。反応温度は−50℃から溶媒の沸点程度が好ましく、−20℃〜100℃が更に好ましい。反応時間は収率向上のため薄層クロマトグラフィー、ガスクロマトグラフィー等により反応の進行を追跡して決定することが好ましいが、通常0.1〜250時間程度である。反応終了後は、生じたアルコキシドのまま次の工程に用いるか、通常の水系後処理(aqueous workup)によりジオキサンヘミアセタール化合物(16)を得る。
上述のようにして得られた環状構造を有する含フッ素単量体(1),(2),(3),(4)を用いて、例えばラジカル重合、アニオン重合、カチオン重合等の常法によりホモポリマー、あるいは他の一種以上の重合性モノマーを共重合させて下記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される繰り返し単位を有する重合体を製造することができる。この場合の製造条件等は重合性不飽和結合、特に重合性二重結合を重合する公知の方法、条件を採用することができる。
(式中、Zaは、上記一般式(1)におけるZの重合性不飽和基を含む二価の有機基に由来する、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む有機基を表す。Ra
1、Ra
2、Ra
3、Ra
4はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは上記一般式(2)におけるR
1〜R
4の重合性不飽和基を含む一価の有機基に由来する、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む有機基を表す。Ra
1、Ra
2、Ra
3、Ra
4は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が上記重合主鎖を含まない場合、重合性不飽和基に由来し、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む。Ra
5、Ra
6、Ra
7、Ra
8、Ra
9、Ra
10はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは上記一般式(3)におけるR
5〜R
10の重合性不飽和基を含む一価の有機基に由来する、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む有機基を表す。Ra
5、Ra
6、Ra
7、Ra
8、Ra
9、Ra
10は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が上記重合主鎖を含まない場合、重合性不飽和基に由来し、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む。Ra
11、Ra
12、Ra
13、Ra
14はそれぞれ独立に水素原子、水酸基、ハロゲン原子、又は炭素数1〜15の直鎖状、分岐状又は環状の一価の有機基を表し、これらのうち少なくとも一つは上記一般式(4)におけるR
11〜R
14の重合性不飽和基を含む一価の有機基に由来する、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む有機基を表す。Ra
11、Ra
12、Ra
13、Ra
14は任意の組み合せで少なくともそのうち2個が互いに結合してこれらが結合する炭素原子と共に環を形成してもよく、該環は、少なくとも該環の形成に関与することのない残りの基が上記重合主鎖を含まない場合、重合性不飽和基に由来し、該重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖を含む。)
ここで、炭素数1〜15の一価の有機基としては、先に例示したものが挙げられ、また上記形成される環も先述したものが例示される。更に、重合性不飽和基も先述の通りである。
上記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)における重合性不飽和基が重合することによって得られる重合体の繰り返し単位の重合主鎖が、下記一般式(5a)で表されるアクリル酸エステル、メタクリル酸エステル、又は、α−トリフルオロメチルアクリル酸エステル構造を有する重合体は、ラジカル重合等の工業的に実施しやすい重合により容易に製造でき、また、共重合させる単量体の選択において自由度が高いため、特に好ましい。
(式中、R
15は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。破線は結合手を表す。)
ここで、式(5a)がRa1〜Ra14のうちの重合主鎖を含む有機基に取り込まれる態様は、式(5a)がそのままRa1〜Ra14のうちの重合主鎖を含む基として構成され、式(5a)の結合手が上述した炭素原子Cに直接結合する態様、及び式(5a)が上記二価の連結基、好ましくは炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状の炭素数1〜10のアルキレン基を介して上記炭素原子Cに結合する態様が挙げられる。
この場合、上記一般式(1a),(2a),(3a)又は(4a)で表される繰り返し単位として以下のものを例示できるが、これらのものに限定されない。
本発明の重合体には、上記式(1a),(2a),(3a)又は(4a)の繰り返し単位に加えて、更に、下記一般式(8)で表される単量体を共重合させて、下記一般式(8a)で表される繰り返し単位を1種又は2種以上含有する重合体を製造することができる。
(式中、R
16は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。R
17は酸不安定基を表す。)
上記一般式(8a)で示される繰り返し単位を含有する重合体は、酸の作用で分解してカルボン酸を発生し、アルカリ可溶性となる重合体を与える。酸不安定基R17としては種々用いることができるが、具体的には下記一般式(L1)〜(L4)で示される基、炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基等を挙げることができる。
ここで、破線は結合手を示す(以下、同様)。式中、RL01、RL02は水素原子又は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、2−エチルヘキシル基、n−オクチル基等が例示できる。RL03は炭素数1〜18、好ましくは1〜10の酸素原子等のヘテロ原子を有してもよい一価の炭化水素基を示し、直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基等に置換されたものを挙げることができ、具体的には下記の置換アルキル基等が例示できる。
RL01とRL02、RL01とRL03、RL02とRL03とは互いに結合してこれらが結合する炭素原子や酸素原子と共に環を形成してもよく、環を形成する場合にはRL01、RL02、RL03はそれぞれ炭素数1〜18、好ましくは1〜10の直鎖状又は分岐状のアルキレン基を示す。
RL04は炭素数4〜20、好ましくは4〜15の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基又は上記一般式(L1)で示される基を示し、三級アルキル基としては、具体的にはtert−ブチル基、tert−アミル基、1,1−ジエチルプロピル基、2−シクロペンチルプロパン−2−イル基、2−シクロヘキシルプロパン−2−イル基、2−(ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−イル)プロパン−2−イル基、2−(アダマンタン−1−イル)プロパン−2−イル基、1−エチルシクロペンチル基、1−ブチルシクロペンチル基、1−エチルシクロヘキシル基、1−ブチルシクロヘキシル基、1−エチル−2−シクロペンテニル基、1−エチル−2−シクロヘキセニル基、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基等が例示でき、トリアルキルシリル基としては、具体的にはトリメチルシリル基、トリエチルシリル基、ジメチル−tert−ブチルシリル基等が例示でき、オキソアルキル基としては、具体的には3−オキソシクロヘキシル基、4−メチル−2−オキソオキサン−4−イル基、5−メチル−2−オキソオキソラン−5−イル基等が例示できる。yは0〜6の整数である。
RL05は炭素数1〜8の一価の炭化水素基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、一価の炭化水素基としては、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示でき、置換されていてもよいアリール基としては、具体的にはフェニル基、メチルフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基等が例示できる。式(L3)において、mは0又は1、nは0、1、2、3のいずれかであり、2m+n=2又は3を満足する数である。
RL06は炭素数1〜8の一価の炭化水素基又は炭素数6〜20の置換されていてもよいアリール基を示し、具体的にはRL05と同様のもの等が例示できる。RL07〜RL16はそれぞれ独立に水素原子又は炭素数1〜15の一価の炭化水素基を示し、具体的にはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、tert−アミル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロペンチルメチル基、シクロペンチルエチル基、シクロペンチルブチル基、シクロヘキシルメチル基、シクロヘキシルエチル基、シクロヘキシルブチル基等の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、これらの水素原子の一部が水酸基、アルコキシ基、カルボキシ基、アルコキシカルボニル基、オキソ基、アミノ基、アルキルアミノ基、シアノ基、メルカプト基、アルキルチオ基、スルホ基等に置換されたもの等が例示できる。RL07〜RL16は互いに結合して環を形成していてもよく(例えば、RL07とRL08、RL07とRL09、RL08とRL10、RL09とRL10、RL11とRL12、RL13とRL14等)、その場合には炭素数1〜15の二価の炭化水素基を示し、具体的には上記一価の炭化水素基で例示したものから水素原子を1個除いたもの等が例示できる。また、RL07〜RL16は隣接する炭素に結合するもの同士で何も介さずに結合し、二重結合を形成してもよい(例えば、RL07とRL09、RL09とRL15、RL13とRL15等)。
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち直鎖状又は分岐状のものとしては、具体的には下記の基が例示できる。
上記式(L1)で示される酸不安定基のうち環状のものとしては、具体的にはテトラヒドロフラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロフラン−2−イル基、テトラヒドロピラン−2−イル基、2−メチルテトラヒドロピラン−2−イル基等が例示できる。
上記式(L2)の酸不安定基としては、具体的にはtert−ブトキシカルボニル基、tert−ブトキシカルボニルメチル基、tert−アミロキシカルボニル基、tert−アミロキシカルボニルメチル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニル基、1,1−ジエチルプロピルオキシカルボニルメチル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニル基、1−エチルシクロペンチルオキシカルボニルメチル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニル基、1−エチル−2−シクロペンテニルオキシカルボニルメチル基、1−エトキシエトキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロピラニルオキシカルボニルメチル基、2−テトラヒドロフラニルオキシカルボニルメチル基等が例示できる。
上記式(L3)の酸不安定基としては、具体的には1−メチルシクロペンチル、1−エチルシクロペンチル、1−n−プロピルシクロペンチル、1−イソプロピルシクロペンチル、1−n−ブチルシクロペンチル、1−sec−ブチルシクロペンチル、1−シクロヘキシルシクロペンチル、1−(4−メトキシ−n−ブチル)シクロペンチル、1−メチルシクロヘキシル、1−エチルシクロヘキシル、3−メチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−エチル−1−シクロペンテン−3−イル、3−メチル−1−シクロヘキセン−3−イル、3−エチル−1−シクロヘキセン−3−イル等が例示できる。
また、炭素数4〜20の三級アルキル基、各アルキル基がそれぞれ炭素数1〜6のトリアルキルシリル基、炭素数4〜20のオキソアルキル基としては、具体的にはRL04で挙げたものと同様のもの等が例示できる。
更に、本発明の重合体には、下記一般式(20)で表される単量体を共重合させて、下記一般式(20a)で表される繰り返し単位を1種又は2種以上含有する重合体を製造することができる。
(式中、R
18は水素原子、メチル基又はトリフルオロメチル基を表す。R
19は水酸基、カルボニル基、エステル基(−COO−)、エーテル基(−O−)又はシアノ基を一つ以上含む炭素数2〜20の有機基を表す。)
R19の有機基として具体的には、2−ヒドロキシエチル基、2−シアノエチル基、3−ヒドロキシ−1−アダマンチル基、3,5−ジヒドロキシ−1−アダマンチル基、ヒドロキシノルボルナン−2−イル基、3−シアノ−1−アダマンチル基、シアノノルボルナン−2−イル基、2−オキソ−3−テトラヒドロフラニル基、2−オキソ−4−テトラヒドロフラニル基、4−オキサ−5−オキソトリシクロ[5.2.1.02,6]デシル基、2,6−ノルボルナンカルボラクトン−3−イルメチル基、2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基、3−メトキシカルボニル−2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基、7−オキサ−2,6−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基、7−オキサ−2,3−ノルボルナンカルボラクトン−5−イル基、7−オキサ−2,3−ノルボルナンカルボラクトン−6−イル基、スピロ[ノルボルナン−2,4’−(2−オキソテトラヒドロフラン)]−5−イル基、スピロ[ノルボルナン−2,4’−(2−オキソテトラヒドロフラン)]−6−イル基を例示できるが、これらに限定されない。上記一般式(20a)で示される繰り返し単位の種類、導入量を調整することにより、重合体の親水・疎水性のバランスを最適化できる。
本発明の重合体としては前記式(1a),(2a),(3a),(4a),(5a),(8a),(20a)の繰り返し単位に加え、更に、レジスト材料としての性能を向上させるために、下記のような重合性炭素−炭素二重結合を有する各種の単量体から得られる繰り返し単位Qを含有させることができる。
即ち、該モノマーとしては、α,β−不飽和カルボン酸及びそのエステル類、α,β−不飽和ニトリル類、α,β−不飽和ラクトン類、不飽和カルボン酸無水物類、マレイミド類、ノルボルネン誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン誘導体、アリルエーテル類、ビニルエーテル類、ビニルエステル類、ビニルシラン類、ビニルシロキサン類等が挙げられる。
この場合、α,β−不飽和カルボン酸類としては、(メタ)アクリル酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等が挙げられる。
α,β−不飽和カルボン酸エステル類としては、(メタ)アクリル酸、クロトン酸、マレイン酸、α−トリフルオロメチルアクリル酸等のα,β−不飽和カルボン酸のアルキルエステル等が挙げられ、このアルキル基としては直鎖状、分岐状、環状のいずれでもよく、炭素数1〜20のものが挙げられる。
α,β−不飽和ニトリル類としては、アクリロニトリル等が挙げられる。
α,β−不飽和ラクトン類としては、5,6−ジヒドロ−2H−ピラン−2−オン、2(5H)−フラノン等が挙げられる。
不飽和カルボン酸無水物類としては、無水マレイン酸、無水イタコン酸等が挙げられる。
マレイミド類としては、マレイミドとそのN−置換体等が挙げられる。
ノルボルネン誘導体としては、ノルボルネン、5−ノルボルネン−2−カルボン酸とそのエステル誘導体、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデセン誘導体としては、テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸とそのエステル誘導体、3−メチルテトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカ−8−エン−3−カルボン酸とそのエステル誘導体等が挙げられる。
アリルエーテル類としては、2,5−ジヒドロフラン、ビニルエーテル類としては、2,3−ジヒドロフラン、3,4−ジヒドロ−2H−ピラン、ビニルエステル類としては、酢酸ビニル、ビニルシラン類及びビニルシロキサン類としては、ビニルトリメチルシラン、ビニルペンタメチルシクロトリシロキサン、ビニルヘプタメチルシクロテトラシロキサン、ビニルペンタメチルジシロキサン、ビス−(トリメチルシリルメチル)ビニルメチルシラン等が挙げられる。
ここで、式(1a),(2a),(3a),(4a)の繰り返し単位は、合計で重合体中1〜80モル%、特に3〜50モル%含有することが好ましく、式(8a)の繰り返し単位は1〜80モル%、特に3〜70モル%含有することが好ましく、式(20a)の繰り返し単位は0〜70モル%、特に0〜50モル%含有することが好ましい。また、上記繰り返し単位Qは0〜50モル%、特に0〜40モル%含有することができる。
本発明の重合体のゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によりポリスチレン基準の重量平均分子量は2,000〜100,000とすることが好ましい。2,000未満では成膜性、解像性に劣る場合があり、100,000を超えると解像性に劣る場合がある。
本発明の含フッ素単量体を原料として得られた重合体は、波長500nm以下、特に波長300nm以下の放射線に対する透明性に優れ、かつフェノール様酸性水酸基を有するため現像特性の良好な感放射線レジスト組成物のベース樹脂として好適に用いられる。上記波長300nm以下の放射線としては、例えば、ArFレーザー光(193nm)、F2レーザー光(157nm)、Ar2レーザー光(126nm)、極端紫外線(EUV:13nm)等が挙げられ、露光方式としては、通常のドライ露光及び液浸(Immersion)露光のいずれにも適用し得る。液浸に用いられる液体としては、屈折率が高く、かつ高透明性の液体が求められ、波長193nmにおける屈折率1.44の水を例示できる。また、更に解像性の向上のために屈折率が1.6以上のリン酸、エチレングリコール、トリアルコキシアルミニウム等を用いてもよい。
本発明のフォトレジスト組成物は、
(A)ベース樹脂として上記重合体、
(B)酸発生剤、
(C)有機溶剤
を含有する。
更に、(D)含窒素有機化合物
を含有するものが好ましい。
ここで、本発明で使用される(B)成分の酸発生剤は、300nm以下の高エネルギー線又は電子線の照射により酸を発生する酸発生剤であり、かつこの酸発生剤と先に示した本発明の重合体と有機溶剤とよりなるレジスト材料が均一溶液で、均一な塗布、成膜が可能であれば、いかなる酸発生剤でもよい。
本発明で使用可能な酸発生剤の具体例としては、
i.下記一般式(P1a−1),(P1a−2)又は(P1b)のオニウム塩、
ii.下記一般式(P2)のジアゾメタン誘導体、
iii.下記一般式(P3)のグリオキシム誘導体、
iv.下記一般式(P4)のビススルホン誘導体、
v.下記一般式(P5)のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル、
vi.β−ケトスルホン酸誘導体、
vii.ジスルホン誘導体、
viii.ニトロベンジルスルホネート誘導体、
ix.スルホン酸エステル誘導体、
x.オキシムスルホン酸エステル
等が挙げられる。
(式中、R
101a、R
101b、R
101cはそれぞれ炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アルケニル基、オキソアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜12のアラルキル基又はアリールオキソアルキル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部がアルコキシ基等によって置換されていてもよい。また、R
101bとR
101cとは環を形成してもよく、環を形成する場合には、R
101b、R
101cはそれぞれ炭素数1〜6のアルキレン基を示す。K
-は非求核性対向イオンを表す。)
上記式のR101a、R101b、R101cは互いに同一であっても異なっていてもよく、具体的にはアルキル基として、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、プロぺニル基、ブテニル基、ヘキセニル基、シクロヘキセニル基等が挙げられる。オキソアルキル基としては、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基等が挙げられ、2−オキソプロピル基、2−シクロペンチル−2−オキソエチル基、2−シクロヘキシル−2−オキソエチル基、2−(4−メチルシクロヘキシル)−2−オキソエチル基等を挙げることができる。アリール基としては、フェニル基、ナフチル基等や、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基、メチルナフチル基、エチルナフチル基等のアルキルナフチル基、メトキシナフチル基、エトキシナフチル基等のアルコキシナフチル基、ジメチルナフチル基、ジエチルナフチル基等のジアルキルナフチル基、ジメトキシナフチル基、ジエトキシナフチル基等のジアルコキシナフチル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェニルエチル基、フェネチル基等が挙げられる。アリールオキソアルキル基としては、2−フェニル−2−オキソエチル基、2−(1−ナフチル)−2−オキソエチル基、2−(2−ナフチル)−2−オキソエチル基等の2−アリール−2−オキソエチル基等が挙げられる。K-の非求核性対向イオンとしては塩化物イオン、臭化物イオン等のハライドイオン、トリフレート、1,1,1−トリフルオロエタンスルホネート、ノナフルオロブタンスルホネート等のフルオロアルキルスルホネート、トシレート、ベンゼンスルホネート、4−フルオロベンゼンスルホネート、1,2,3,4,5−ペンタフルオロベンゼンスルホネート等のアリールスルホネート、メシレート、ブタンスルホネート等のアルキルスルホネートが挙げられる。
(式中、R
102a、R
102bはそれぞれ炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基を示す。R
103は炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキレン基を示す。R
104a、R
104bはそれぞれ炭素数3〜7の2−オキソアルキル基を示す。K
-は非求核性対向イオンを表す。)
上記R102a、R102bとして具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロプロピルメチル基、4−メチルシクロヘキシル基、シクロヘキシルメチル基等が挙げられる。R103としては、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンチレン基、へキシレン基、へプチレン基、オクチレン基、ノニレン基、1,4−シクロへキシレン基、1,2−シクロへキシレン基、1,3−シクロペンチレン基、1,4−シクロオクチレン基、1,4−シクロヘキサンジメチレン基等が挙げられる。R104a、R104bとしては、2−オキソプロピル基、2−オキソシクロペンチル基、2−オキソシクロヘキシル基、2−オキソシクロヘプチル基等が挙げられる。K-は式(P1a−1)及び(P1a−2)で説明したものと同様のものを挙げることができる。
(式中、R
105、R
106は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。)
R105、R106のアルキル基としてはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、アミル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、ノルボルニル基、アダマンチル基等が挙げられる。ハロゲン化アルキル基としてはトリフルオロメチル基、1,1,1−トリフルオロエチル基、1,1,1−トリクロロエチル基、ノナフルオロブチル基等が挙げられる。アリール基としてはフェニル基、p−メトキシフェニル基、m−メトキシフェニル基、o−メトキシフェニル基、エトキシフェニル基、p−tert−ブトキシフェニル基、m−tert−ブトキシフェニル基等のアルコキシフェニル基、2−メチルフェニル基、3−メチルフェニル基、4−メチルフェニル基、エチルフェニル基、4−tert−ブチルフェニル基、4−ブチルフェニル基、ジメチルフェニル基等のアルキルフェニル基が挙げられる。ハロゲン化アリール基としてはフルオロフェニル基、クロロフェニル基、1,2,3,4,5−ペンタフルオロフェニル基等が挙げられる。アラルキル基としてはベンジル基、フェネチル基等が挙げられる。
(式中、R
107、R
108、R
109は炭素数1〜12の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はハロゲン化アルキル基、炭素数6〜20のアリール基又はハロゲン化アリール基、又は炭素数7〜12のアラルキル基を示す。R
108、R
109は互いに結合して環状構造を形成してもよく、環状構造を形成する場合、R
108、R
109はそれぞれ炭素数1〜6の直鎖状、分岐状のアルキレン基を示す。)
R107、R108、R109のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、ハロゲン化アリール基、アラルキル基としては、R105、R106で説明したものと同様の基が挙げられる。なお、R108、R109のアルキレン基としてはメチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ヘキシレン基等が挙げられる。
(上記式中、R
101a、R
101bは上記と同様である。)
(式中、R
110は炭素数6〜10のアリーレン基、炭素数1〜6のアルキレン基又は炭素数2〜6のアルケニレン基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキル基又はアルコキシ基、ニトロ基、アセチル基又はフェニル基で置換されていてもよい。R
111は炭素数1〜8の直鎖状、分岐状又は置換のアルキル基、アルケニル基、アルコキシアルキル基、フェニル基又はナフチル基を示し、これらの基の水素原子の一部又は全部は更に炭素数1〜4のアルキル基又はアルコキシ基、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基又は塩素原子、フッ素原子で置換されていてもよい。)
ここで、R110のアリーレン基としては、1,2−フェニレン基、1,8−ナフチレン基等が、アルキレン基としては、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、フェニルエチレン基、ノルボルナン−2,3−ジイル基等が、アルケニレン基としては、1,2−ビニレン基、1−フェニル−1,2−ビニレン基、5−ノルボルネン−2,3−ジイル基等が挙げられる。R111のアルキル基としては、R101a〜R101cと同様のものが、アルケニル基としては、ビニル基、1−プロペニル基、アリル基、1−ブテニル基、3−ブテニル基、イソプレニル基、1−ペンテニル基、3−ペンテニル基、4−ペンテニル基、ジメチルアリル基、1−ヘキセニル基、3−ヘキセニル基、5−ヘキセニル基、1−ヘプテニル基、3−ヘプテニル基、6−ヘプテニル基、7−オクテニル基等が、アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、エトキシメチル基、プロポキシメチル基、ブトキシメチル基、ペンチロキシメチル基、ヘキシロキシメチル基、ヘプチロキシメチル基、メトキシエチル基、エトキシエチル基、プロポキシエチル基、ブトキシエチル基、ペンチロキシエチル基、ヘキシロキシエチル基、メトキシプロピル基、エトキシプロピル基、プロポキシプロピル基、ブトキシプロピル基、メトキシブチル基、エトキシブチル基、プロポキシブチル基、メトキシペンチル基、エトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基等が挙げられる。
なお、更に置換されていてもよい炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基等が、炭素数1〜4のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、tert−ブトキシ基等が、炭素数1〜4のアルキル基、アルコキシ基、ニトロ基又はアセチル基で置換されていてもよいフェニル基としては、フェニル基、トリル基、p−tert−ブトキシフェニル基、p−アセチルフェニル基、p−ニトロフェニル基等が、炭素数3〜5のヘテロ芳香族基としては、ピリジル基、フリル基等が挙げられる。
具体的には、例えばトリフルオロメタンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸ジフェニルヨードニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルヨードニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ビス(p−tert−ブトキシフェニル)フェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、ブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリメチルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリメチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジメチルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸ジシクロヘキシルフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、エチレンビス[メチル(2−オキソシクロペンチル)スルホニウムトリフルオロメタンスルホナート]、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩。
ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(キシレンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロペンチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソアミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−アミルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、1−シクロヘキシルスルホニル−1−(tert−アミルスルホニル)ジアゾメタン、1−tert−アミルスルホニル−1−(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体。
ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジフェニルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジシクロヘキシルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2,3−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−2−メチル−3,4−ペンタンジオングリオキシム、ビス−O−(メタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(トリフルオロメタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(1,1,1−トリフルオロエタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(tert−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(パーフルオロオクタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(シクロヘキサンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(ベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−フルオロベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(p−tert−ブチルベンゼンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(キシレンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(カンファースルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体。
ビスナフチルスルホニルメタン、ビストリフルオロメチルスルホニルメタン、ビスメチルスルホニルメタン、ビスエチルスルホニルメタン、ビスプロピルスルホニルメタン、ビスイソプロピルスルホニルメタン、ビス−p−トルエンスルホニルメタン、ビスベンゼンスルホニルメタン等のビススルホン誘導体。
2−シクロヘキシルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン、2−イソプロピルカルボニル−2−(p−トルエンスルホニル)プロパン等のβ−ケトスルホン誘導体。
p−トルエンスルホン酸2,6−ジニトロベンジル、p−トルエンスルホン酸2,4−ジニトロベンジル等のニトロベンジルスルホネート誘導体。
1,2,3−トリス(メタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)ベンゼン、1,2,3−トリス(p−トルエンスルホニルオキシ)ベンゼン等のスルホン酸エステル誘導体。
N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−オクタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−メトキシベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−クロロエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド−2,4,6−トリメチルベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−ナフタレンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシマレイミドエタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−2−フェニルマレイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシグルタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシフタルイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシ−5−ノルボルネン−2,3−ジカルボキシイミドp−トルエンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体等が挙げられるが、トリフルオロメタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸(p−tert−ブトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、p−トルエンスルホン酸トリス(p−tert−ブトキシフェニル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸トリナフチルスルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸シクロヘキシルメチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、トリフルオロメタンスルホン酸(2−ノルボニル)メチル(2−オキソシクロヘキシル)スルホニウム、1,2’−ナフチルカルボニルメチルテトラヒドロチオフェニウムトリフレート等のオニウム塩、ビス(ベンゼンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(sec−ブチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(n−プロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(tert−ブチルスルホニル)ジアゾメタン等のジアゾメタン誘導体、ビス−O−(p−トルエンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム、ビス−O−(n−ブタンスルホニル)−α−ジメチルグリオキシム等のグリオキシム誘導体、ビスナフチルスルホニルメタン等のビススルホン誘導体、N−ヒドロキシスクシンイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドトリフルオロメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド2−プロパンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミド1−ペンタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシスクシンイミドp−トルエンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドメタンスルホン酸エステル、N−ヒドロキシナフタルイミドベンゼンスルホン酸エステル等のN−ヒドロキシイミド化合物のスルホン酸エステル誘導体が好ましく用いられる。
また、オキシムスルホン酸エステルとしては、米国特許第6004724号明細書記載のオキシムスルホネート、特に(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)フェニルアセトニトリル、(5−(4−トルエンスルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−(10−カンファースルホニル)オキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル、(5−n−オクタンスルホニルオキシイミノ−5H−チオフェン−2−イリデン)(2−メチルフェニル)アセトニトリル等が挙げられる。
また、米国特許第6261738号明細書、特開2000−314956号公報記載のオキシムスルホネート、特に、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−フェニル−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(メチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルチオフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−フェニル−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリルスルホナート)、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−10−カンホリルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(フェニル)−エタノンオキシム−O−(2,4,6−トリメチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4−ジメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(1−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2,4,6−トリメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(3,4−ジメトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メチルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メトキシフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−メトキシフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(4−ドデシルフェニル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−オクチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−チオメチルフェニル)−エタノンオキシム−O−(2−ナフチル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(2−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−メチルフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−(4−クロロフェニル)−エタノンオキシム−O−フェニルスルホナート、2,2,3,3,4,4,4−ヘプタフルオロ−1−(フェニル)−ブタノンオキシム−O−(10−カンホリル)スルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(フェニル−1,4−ジオキサ−ブト−1−イル)フェニル]−エタノンオキシム−O−メチルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−2−ナフチル−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、1,3−ビス[1−(4−フェノキシフェニル)−2,2,2−トリフルオロエタノンオキシム−O−スルホニル]フェニル、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルスルホニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メチルカルボニルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[6H,7H−5,8−ジオキソナフト−2−イル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−メトキシカルボニルメトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−(メトキシカルボニル)−(4−アミノ−1−オキサ−ペンタ−1−イル)−フェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[3,5−ジメチル−4−エトキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[4−ベンジルオキシフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート、2,2,2−トリフルオロ−1−[2−チオフェニル]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナート及び2,2,2−トリフルオロ−1−[1−ジオキサ−チオフェン−2−イル)]−エタノンオキシム−O−プロピルスルホナートである。
更に、特開平9−95479号公報、特開平9−230588号公報あるいは明細書中の従来技術として記載のオキシムスルホネートα−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2−チエニルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−[(4−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−3−チエニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル等が挙げられる。
また、ビスオキシムスルホネートとして特開平9−208554号公報記載の化合物、特にビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−p−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(ベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(メタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリルビス(α−(ブタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(10−カンファースルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−トルエンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(トリフルオロメタンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル、ビス(α−(4−メトキシベンゼンスルホニルオキシ)イミノ)−m−フェニレンジアセトニトリル等が挙げられる。
なお、上記酸発生剤は1種を単独で又は2種以上を組み合わせて用いることができる。オニウム塩は矩形性向上効果に優れ、ジアゾメタン誘導体及びグリオキシム誘導体は定在波低減効果に優れるため、両者を組み合わせることによりプロファイルの微調整を行うことが可能である。
酸発生剤の添加量は、ベース樹脂100部(質量部、以下同様)に対して好ましくは0.1〜50部、より好ましくは0.5〜40部である。0.1部より少ないと露光時の酸発生量が少なく、感度及び解像力が劣る場合があり、50部を超えるとレジストの透過率が低下し、解像力が劣る場合がある。
本発明で使用される(C)成分の有機溶剤としては、ベース樹脂、酸発生剤、その他の添加剤等が溶解可能な有機溶剤であればいずれでもよい。このような有機溶剤としては、例えば、シクロヘキサノン、メチルイソペンチルケトン等のケトン類、3−メトキシブタノール、3−メチル−3−メトキシブタノール、1−メトキシ−2−プロパノール、1−エトキシ−2−プロパノール等のアルコール類、プロピレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル等のエーテル類、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、プロピレングリコールモノエチルエーテルアセテート、乳酸エチル、ピルビン酸エチル、酢酸ブチル、3−メトキシプロピオン酸メチル、3−エトキシプロピオン酸エチル、酢酸tert−ブチル、プロピオン酸tert−ブチル、プロピレングリコールモノtert−ブチルエーテルアセテート等のエステル類、γ−ブチロラクトン等のラクトン類が挙げられ、これらの1種を単独で又は2種以上を混合して使用することができるが、これらに限定されるものではない。本発明では、これらの有機溶剤の中でもレジスト成分中の酸発生剤の溶解性が最も優れているジエチレングリコールジメチルエーテルや1−エトキシ−2−プロパノール、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、シクロヘキサノン及びその混合溶剤が好ましく使用される。
有機溶剤の使用量は、ベース樹脂100部に対して200〜1,000部、特に400〜800部が好適である。
更に、本発明のレジスト材料には、(D)含窒素有機化合物を1種又は2種以上配合することができる。
含窒素有機化合物としては、酸発生剤より発生する酸がレジスト膜中に拡散する際の拡散速度を抑制することができる化合物が適している。含窒素有機化合物の配合により、レジスト膜中での酸の拡散速度が抑制されて解像度が向上し、露光後の感度変化を抑制したり、基板や環境依存性を少なくし、露光余裕度やパターンプロファイル等を向上することができる。
このような含窒素有機化合物としては、第一級、第二級、第三級の脂肪族アミン類、混成アミン類、芳香族アミン類、複素環アミン類、カルボキシ基を有する含窒素化合物、スルホニル基を有する含窒素化合物、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物、アミド類、イミド類、カーバメート類等が挙げられる。
具体的には、第一級の脂肪族アミン類として、アンモニア、メチルアミン、エチルアミン、n−プロピルアミン、イソプロピルアミン、n−ブチルアミン、イソブチルアミン、sec−ブチルアミン、tert−ブチルアミン、ペンチルアミン、tert−アミルアミン、シクロペンチルアミン、ヘキシルアミン、シクロヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、ドデシルアミン、セチルアミン、メチレンジアミン、エチレンジアミン、テトラエチレンペンタミン等が例示され、第二級の脂肪族アミン類として、ジメチルアミン、ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジイソプロピルアミン、ジ−n−ブチルアミン、ジイソブチルアミン、ジ−sec−ブチルアミン、ジペンチルアミン、ジシクロペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジシクロヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、ジドデシルアミン、ジセチルアミン、N,N−ジメチルメチレンジアミン、N,N−ジメチルエチレンジアミン、N,N−ジメチルテトラエチレンペンタミン等が例示され、第三級の脂肪族アミン類として、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリイソプロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリイソブチルアミン、トリ−sec−ブチルアミン、トリペンチルアミン、トリシクロペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリシクロヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、トリドデシルアミン、トリセチルアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルメチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチルテトラエチレンペンタミン等が例示される。
また、混成アミン類としては、例えばジメチルエチルアミン、メチルエチルプロピルアミン、ベンジルアミン、フェネチルアミン、ベンジルジメチルアミン等が例示される。芳香族アミン類及び複素環アミン類の具体例としては、アニリン誘導体(例えばアニリン、N−メチルアニリン、N−エチルアニリン、N−プロピルアニリン、N,N−ジメチルアニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、エチルアニリン、プロピルアニリン、トリメチルアニリン、2−ニトロアニリン、3−ニトロアニリン、4−ニトロアニリン、2,4−ジニトロアニリン、2,6−ジニトロアニリン、3,5−ジニトロアニリン、N,N−ジメチルトルイジン等)、ジフェニル(p−トリル)アミン、メチルジフェニルアミン、トリフェニルアミン、フェニレンジアミン、ナフチルアミン、ジアミノナフタレン、ピロール誘導体(例えばピロール、2H−ピロール、1−メチルピロール、2,4−ジメチルピロール、2,5−ジメチルピロール、N−メチルピロール等)、オキサゾール誘導体(例えばオキサゾール、イソオキサゾール等)、チアゾール誘導体(例えばチアゾール、イソチアゾール等)、イミダゾール誘導体(例えばイミダゾール、4−メチルイミダゾール、4−メチル−2−フェニルイミダゾール等)、ピラゾール誘導体、フラザン誘導体、ピロリン誘導体(例えばピロリン、2−メチル−1−ピロリン等)、ピロリジン誘導体(例えばピロリジン、N−メチルピロリジン、ピロリジノン、N−メチルピロリドン等)、イミダゾリン誘導体、イミダゾリジン誘導体、ピリジン誘導体(例えばピリジン、メチルピリジン、エチルピリジン、プロピルピリジン、ブチルピリジン、4−(1−ブチルペンチル)ピリジン、ジメチルピリジン、トリメチルピリジン、トリエチルピリジン、フェニルピリジン、3−メチル−2−フェニルピリジン、4−tert−ブチルピリジン、ジフェニルピリジン、ベンジルピリジン、メトキシピリジン、ブトキシピリジン、ジメトキシピリジン、4−ピロリジノピリジン、2−(1−エチルプロピル)ピリジン、アミノピリジン、ジメチルアミノピリジン等)、ピリダジン誘導体、ピリミジン誘導体、ピラジン誘導体、ピラゾリン誘導体、ピラゾリジン誘導体、ピペリジン誘導体、ピペラジン誘導体、モルホリン誘導体、インドール誘導体、イソインドール誘導体、1H−インダゾール誘導体、インドリン誘導体、キノリン誘導体(例えばキノリン、3−キノリンカルボニトリル等)、イソキノリン誘導体、シンノリン誘導体、キナゾリン誘導体、キノキサリン誘導体、フタラジン誘導体、プリン誘導体、プテリジン誘導体、カルバゾール誘導体、フェナントリジン誘導体、アクリジン誘導体、フェナジン誘導体、1,10−フェナントロリン誘導体、アデニン誘導体、アデノシン誘導体、グアニン誘導体、グアノシン誘導体、ウラシル誘導体、ウリジン誘導体等が例示される。
更に、カルボキシ基を有する含窒素化合物としては、例えばアミノ安息香酸、インドールカルボン酸、アミノ酸誘導体(例えばニコチン酸、アラニン、アルギニン、アスパラギン酸、グルタミン酸、グリシン、ヒスチジン、イソロイシン、グリシルロイシン、ロイシン、メチオニン、フェニルアラニン、スレオニン、リジン、3−アミノピラジン−2−カルボン酸、メトキシアラニン)等が例示され、スルホニル基を有する含窒素化合物として3−ピリジンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸ピリジニウム等が例示され、水酸基を有する含窒素化合物、ヒドロキシフェニル基を有する含窒素化合物、アルコール性含窒素化合物としては、2−ヒドロキシピリジン、アミノクレゾール、2,4−キノリンジオール、3−インドールメタノールヒドレート、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、N−エチルジエタノールアミン、N,N−ジエチルエタノールアミン、トリイソプロパノールアミン、2,2’−イミノジエタノール、2−アミノエタノ−ル、3−アミノ−1−プロパノール、4−アミノ−1−ブタノール、4−(2−ヒドロキシエチル)モルホリン、2−(2−ヒドロキシエチル)ピリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、1−[2−(2−ヒドロキシエトキシ)エチル]ピペラジン、ピペリジンエタノール、1−(2−ヒドロキシエチル)ピロリジン、1−(2−ヒドロキシエチル)−2−ピロリジノン、3−ピペリジノ−1,2−プロパンジオール、3−ピロリジノ−1,2−プロパンジオール、8−ヒドロキシユロリジン、3−クイヌクリジノール、3−トロパノール、1−メチル−2−ピロリジンエタノール、1−アジリジンエタノール、N−(2−ヒドロキシエチル)フタルイミド、N−(2−ヒドロキシエチル)イソニコチンアミド等が例示される。アミド類としては、ホルムアミド、N−メチルホルムアミド、N,N−ジメチルホルムアミド、アセトアミド、N−メチルアセトアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、プロピオンアミド、ベンズアミド、1−シクロヘキシルピロリドン等が例示される。イミド類としては、フタルイミド、サクシンイミド、マレイミド等が例示される。カーバメート類としては、N−t−ブトキシカルボニル−N,N−ジシクロヘキシルアミン、N−t−ブトキシカルボニルベンズイミダゾール、オキサゾリジノン等が例示される。
更に、下記一般式(B)−1で示される含窒素有機化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
N(X)n(Y)3-n (B)−1
(式中、n=1、2又は3である。側鎖Xは同一でも異なっていてもよく、上記一般式(X)−1〜(X)−3で表すことができる。側鎖Yは同一又は異種の、水素原子もしくは直鎖状、分岐状または環状の炭素数1〜20のアルキル基を示し、エーテル基もしくはヒドロキシル基を含んでもよい。また、X同士が結合して環を形成してもよい。ここでR
300、R
302、R
305は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R
301、R
304は水素原子、又は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。R
303は単結合、又は炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、R
306は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基であり、ヒドロキシ基、エーテル基、エステル基又はラクトン環を1あるいは複数含んでいてもよい。)
上記一般式(B)−1で表される化合物として具体的には、トリス(2−メトキシメトキシエチル)アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−メトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシエトキシ)エチル}アミン、トリス{2−(1−エトキシプロポキシ)エチル}アミン、トリス[2−{2−(2−ヒドロキシエトキシ)エトキシ}エチル]アミン、4,7,13,16,21,24−ヘキサオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.8.8]ヘキサコサン、4,7,13,18−テトラオキサ−1,10−ジアザビシクロ[8.5.5]エイコサン、1,4,10,13−テトラオキサ−7,16−ジアザビシクロオクタデカン、1−アザ−12−クラウン−4、1−アザ−15−クラウン−5、1−アザ−18−クラウン−6、トリス(2−ホルミルオキシエチル)アミン、トリス(2−アセトキシエチル)アミン、トリス(2−プロピオニルオキシエチル)アミン、トリス(2−ブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−イソブチリルオキシエチル)アミン、トリス(2−バレリルオキシエチル)アミン、トリス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(アセトキシアセトキシ)エチルアミン、トリス(2−メトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス(2−tert−ブトキシカルボニルオキシエチル)アミン、トリス[2−(2−オキソプロポキシ)エチル]アミン、トリス[2−(メトキシカルボニルメチル)オキシエチル]アミン、トリス[2−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス[2−(シクロヘキシルオキシカルボニルメチルオキシ)エチル]アミン、トリス(2−メトキシカルボニルエチル)アミン、トリス(2−エトキシカルボニルエチル)アミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(エトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−ヒドロキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−アセトキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(メトキシカルボニル)メトキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(2−オキソプロポキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−(テトラヒドロフルフリルオキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)2−[(2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル)オキシカルボニル]エチルアミン、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)2−(4−ヒドロキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(4−ホルミルオキシブトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)2−(2−ホルミルオキシエトキシカルボニル)エチルアミン、N,N−ビス(2−メトキシエチル)2−(メトキシカルボニル)エチルアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−ヒドロキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−アセトキシエチル)ビス[2−(エトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−(2−メトキシエチル)ビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(メトキシカルボニル)エチル]アミン、N−ブチルビス[2−(2−メトキシエトキシカルボニル)エチル]アミン、N−メチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−エチルビス(2−アセトキシエチル)アミン、N−メチルビス(2−ピバロイルオキシエチル)アミン、N−エチルビス[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、N−エチルビス[2−(tert−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]アミン、トリス(メトキシカルボニルメチル)アミン、トリス(エトキシカルボニルメチル)アミン、N−ブチルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、N−ヘキシルビス(メトキシカルボニルメチル)アミン、β−(ジエチルアミノ)−δ−バレロラクトンが例示される。
更に下記一般式(B)−2に示される環状構造を持つ含窒素有機化合物から選ばれる1種又は2種以上を添加することもできる。
(式中、Xは前述の通り、R
307は炭素数2〜20の直鎖状又は分岐状のアルキレン基であり、カルボニル基、エーテル基、エステル基又はスルフィドを1個あるいは複数個含んでいてもよい。)
上記一般式(B)−2で表される化合物として具体的には、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピロリジン、1−[2−(メトキシメトキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(メトキシメトキシ)エチル]モルホリン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピロリジン、1−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]ピペリジン、4−[2−[(2−メトキシエトキシ)メトキシ]エチル]モルホリン、酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、酢酸2−ピペリジノエチル、酢酸2−モルホリノエチル、ギ酸2−(1−ピロリジニル)エチル、プロピオン酸2−ピペリジノエチル、アセトキシ酢酸2−モルホリノエチル、メトキシ酢酸2−(1−ピロリジニル)エチル、4−[2−(メトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、1−[2−(t−ブトキシカルボニルオキシ)エチル]ピペリジン、4−[2−(2−メトキシエトキシカルボニルオキシ)エチル]モルホリン、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−ピペリジノプロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸メチル、3−(チオモルホリノ)プロピオン酸メチル、2−メチル−3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸メチル、3−モルホリノプロピオン酸エチル、3−ピペリジノプロピオン酸メトキシカルボニルメチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−ヒドロキシエチル、3−モルホリノプロピオン酸2−アセトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−オキソテトラヒドロフラン−3−イル、3−モルホリノプロピオン酸テトラヒドロフルフリル、3−ピペリジノプロピオン酸グリシジル、3−モルホリノプロピオン酸2−メトキシエチル、3−(1−ピロリジニル)プロピオン酸2−(2−メトキシエトキシ)エチル、3−モルホリノプロピオン酸ブチル、3−ピペリジノプロピオン酸シクロヘキシル、α−(1−ピロリジニル)メチル−γ−ブチロラクトン、β−ピペリジノ−γ−ブチロラクトン、β−モルホリノ−δ−バレロラクトン、1−ピロリジニル酢酸メチル、ピペリジノ酢酸メチル、モルホリノ酢酸メチル、チオモルホリノ酢酸メチル、1−ピロリジニル酢酸エチル、モルホリノ酢酸2−メトキシエチルが例示される。
更に、下記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物を添加することもできる。
(式中、X、R
307、nは前述の通り、R
308、R
309は同一又は異種の炭素数1〜4の直鎖状又は分岐状のアルキレン基である。)
上記一般式(B)−3〜(B)−6で表されるシアノ基を含む含窒素有機化合物として具体的には、3−(ジエチルアミノ)プロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−シアノエチル)−N−エチル−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)−3−アミノプロピオノニトリル、N−(2−シアノエチル)−N−テトラヒドロフルフリル−3−アミノプロピオノニトリル、N,N−ビス(2−シアノエチル)−3−アミノプロピオノニトリル、ジエチルアミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸メチル、N−(2−アセトキシエチル)−N−シアノメチル−3−アミノプロピオン酸メチル、N−シアノメチル−N−(2−ヒドロキシエチル)アミノアセトニトリル、N−(2−アセトキシエチル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−ホルミルオキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(2−メトキシエチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−[2−(メトキシメトキシ)エチル]アミノアセトニトリル、N−(シアノメチル)−N−(3−ヒドロキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N−(3−アセトキシ−1−プロピル)−N−(シアノメチル)アミノアセトニトリル、N−シアノメチル−N−(3−ホルミルオキシ−1−プロピル)アミノアセトニトリル、N,N−ビス(シアノメチル)アミノアセトニトリル、1−ピロリジンプロピオノニトリル、1−ピペリジンプロピオノニトリル、4−モルホリンプロピオノニトリル、1−ピロリジンアセトニトリル、1−ピペリジンアセトニトリル、4−モルホリンアセトニトリル、3−ジエチルアミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸シアノメチル、3−ジエチルアミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ヒドロキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−アセトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−ホルミルオキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス(2−メトキシエチル)−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、N,N−ビス[2−(メトキシメトキシ)エチル]−3−アミノプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピロリジンプロピオン酸シアノメチル、1−ピペリジンプロピオン酸シアノメチル、4−モルホリンプロピオン酸シアノメチル、1−ピロリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、1−ピペリジンプロピオン酸(2−シアノエチル)、4−モルホリンプロピオン酸(2−シアノエチル)が例示される。
更に、下記一般式(B)−7で表されるイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
(式中、R
310は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を1個あるいは複数個含む。R
311、R
312、R
313は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。)
更に、下記一般式(B)−8で示されるベンズイミダゾール骨格及び極性官能基を有する含窒素有機化合物が例示される。
(式中、R
314は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、アリール基又はアラルキル基である。R
315は炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としてエステル基、アセタール基又はシアノ基を一つ以上含み、その他に水酸基、カルボニル基、エーテル基、スルフィド基又はカーボネート基を一つ以上含んでいてもよい。)
更に、下記一般式(B)−9及び(B)−10で示される極性官能基を有する含窒素複素環化合物が例示される。
(式中、Aは窒素原子又は≡C−R
322である。Bは窒素原子又は≡C−R
323である。R
316は炭素数2〜20の直鎖状、分岐状又は環状の極性官能基を有するアルキル基であり、極性官能基としては水酸基、カルボニル基、エステル基、エーテル基、スルフィド基、カーボネート基、シアノ基又はアセタール基を一つ以上含む。R
317、R
318、R
319、R
320は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基であるか、又はR
317とR
318、R
319とR
320はそれぞれ結合してベンゼン環、ナフタレン環あるいはピリジン環を形成してもよい。R
321は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R
322、R
323は水素原子、炭素数1〜10の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基又はアリール基である。R
321とR
323は結合してベンゼン環又はナフタレン環を形成してもよい。)
更に、下記一般式(B)−11,12,13及び14で示される芳香族カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
(式中、R
324は炭素数6〜20のアリール基又は炭素数4〜20のヘテロ芳香族基であって、水素原子の一部又は全部が、ハロゲン原子、炭素数1〜20の直鎖状、分岐状又は環状のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基、炭素数7〜20のアラルキル基、炭素数1〜10のアルコキシ基、炭素数1〜10のアシルオキシ基、又は、炭素数1〜10のアルキルチオ基で置換されていてもよい。R
325はCO
2R
326、OR
327又はシアノ基である。R
326は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基である。R
327は一部のメチレン基が酸素原子で置換されていてもよい炭素数1〜10のアルキル基又はアシル基である。R
328は単結合、メチレン基、エチレン基、硫黄原子又は−O(CH
2CH
2O)
n−基である。n=0,1,2,3又は4である。R
329は水素原子、メチル基、エチル基又はフェニル基である。Xは窒素原子又はCR
330である。Yは窒素原子又はCR
331である。Zは窒素原子又はCR
332である。R
330、R
331、R
332はそれぞれ独立に水素原子、メチル基又はフェニル基であるか、あるいはR
330とR
331又はR
331とR
332が結合して、炭素数6〜20の芳香環又は炭素数2〜20のヘテロ芳香環を形成してもよい。)
更に、下記一般式(B)−15で示される7−オキサノルボルナン−2−カルボン酸エステル構造を有する含窒素有機化合物が例示される。
(式中、R
333は水素又は炭素数1〜10の直鎖状、分枝状又は環状のアルキル基である。R
334及びR
335はそれぞれ独立に、エーテル、カルボニル、エステル、アルコール、スルフィド、ニトリル、アミン、イミン、アミド等の極性官能基を一つ又は複数含んでいてもよい炭素数1〜20のアルキル基、炭素数6〜20のアリール基又は炭素数7〜20のアラルキル基であって、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されていてもよい。R
334とR
335は互いに結合して、炭素数2〜20のヘテロ環又はヘテロ芳香環を形成してもよい。)
なお、含窒素有機化合物の配合量は、全ベース樹脂100部に対して0.001〜2部、特に0.01〜1部が好適である。配合量が0.001部より少ないと配合効果がなく、2部を超えると感度が低下しすぎる場合がある。
本発明のレジスト材料の基本的構成成分は上記の重合体、酸発生剤、有機溶剤、好ましくは含窒素有機化合物であるが、必要に応じて更に、溶解阻止剤、酸性化合物、安定剤、色素、界面活性剤等の他の成分を添加してもよい。
本発明のレジスト材料を使用してパターンを形成するには、公知のリソグラフィー技術を採用して行うことができ、例えば、シリコンウエハー等の基板上にスピンコーティング等の手法で膜厚が0.3〜2.0μmとなるように塗布し、これをホットプレート上で60〜150℃、1〜10分間、好ましくは80〜130℃、1〜5分間プリベークする。次いで目的のパターンを形成するためのマスクを上記のレジスト膜上にかざし、遠紫外線、エキシマレーザー、X線等の高エネルギー線又は電子線を露光量1〜200mJ/cm2、好ましくは10〜100mJ/cm2となるように照射した後、ホットプレート上で、60〜150℃、1〜5分間、好ましくは80〜130℃、1〜3分間ポストエクスポウジャーベーク(PEB)する。更に、0.1〜5質量%、好ましくは2〜3質量%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等のアルカリ水溶液の現像液を用い、0.1〜3分間、好ましくは0.5〜2分間、浸漬(dip)法、パドル(puddle)法、スプレー(spray)法等の常法により現像して、基板上に目的のパターンが形成される。なお、本発明のレジスト材料は、特に高エネルギー線の中でも248〜157nmの遠紫外線又はエキシマレーザー、X線及び電子線による微細パターニングに最適である。また、上記範囲が上限又は下限から外れる場合は、目的のパターンを得ることができない場合がある。
以下、実施例を示して、本発明を更に具体的に説明するが、本発明はこれら実施例により限定されるものではない。
[実施例1]メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルオキソラン−3−イルの合成(オキソランヘミアセタール型単量体の合成)
[1−1]メタクリル酸2−メチル−3,3,5,5,5−ペンタフルオロ−2,4,4−トリヒドロキシペンチルの合成
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール168g、テトラヒドロフラン1200gの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)1290mlを加え、5℃で1時間撹拌した。次に5℃でメタクリル酸2−オキソプロピル142gを加えた。10時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物253g(収率82%)を得た。
メタクリル酸2−メチル−3,3,5,5,5−ペンタフルオロ−2,4,4−トリヒドロキシペンチル
無色固体
IR(KBr):ν=3380、3006、2970、1697、1639、1471、1457、1394、1382、1363、1330、1307、1274、1209、1172、1116、1089、1020、993、973、950、904、819、744、698cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.37(3H、s)、1.89(3H、m)、4.27(1H、d、J=11.3Hz)、4.34(1H、d、J=11.3Hz)、5.70(1H、m)、6.09(1H、m)、6.34(1H、s)、7.85(1H、s)、7.99(1H、s)ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6):δ=−121.7(1F、dq、J=264.5、13.4Hz)、−120.6(1F、dq、J=264.5、11.9Hz)、−80.6(3F、dd、J=13.4、11.9Hz)ppm。
[1−2]メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルオキソラン−3−イルの合成 その1(塩基性条件でのヘミアセタールの環化)
窒素雰囲気下、[1−1]で得たトリオール化合物30g、トリエチルアミン19.5g、トルエン150gの混合物を70℃で4時間撹拌した。室温まで冷却後、希塩酸で中和し、有機層を分取した。洗浄、乾燥、濃縮の通常の後処理で得られた粗生成物を減圧蒸留して目的物25.1g(収率89%)を得た。
メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルオキソラン−3−イル(ca.60:40のジアステレオ異性体混合物)
粘性液体
沸点 65℃/27Pa
IR(KBr):ν=3399、1712、1637、1454、1332、1203、1164、1064、991cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.60(3x0.4H、d、J=3.8Hz)、1.68(3x0.6H、d、J=2.4Hz)、1.86−1.85(3H、m)4.30(0.6H、d、J=9.6Hz)、4.31(0.4H、dd、J=10.7、1.7Hz)、4.37(0.6H、d、J=10.3Hz)、4.41(0.4H、d、J=10.7Hz)、5.76−5.79(1H、m)、6.06−6.08(0.6H、m)、6.09−6.15(0.4H、m)、8.73(0.4H、OH、br.s)、8.92(0.6H、OH、br.s)ppm。
19F−NMR[565MHz in DMSO−d6、トリフルオロ酢酸標準(以下同様)]:δ=−125.1(0.6F、dq、J=235.3、17.3Hz)、−122.6(0.4F、dq、J=235.3、17.0Hz)、−122.2(0.6F、d、J=239.6Hz)、−120.4(0.4F、d、J=239.6Hz)、−80.1(3x0.4F、d様、J=16.3Hz)、−80.5(2x0.6F、d様、J=17.3Hz)ppm。
ここでは、塩基性条件下、一級水酸基からメタクリロイル基が三級水酸基に転移し、一級水酸基がフリーとなったトリオール化合物、即ち、ケトアルコール化合物の等価体である水和物誘導体となり、このものがヘミアセタール環化を起こしてオキソランヘミアセタール化合物が生成したと考えられる。
[1−3]メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルオキソラン−3−イルの合成 その2(酸性条件下でのヘミアセタールの環化)
窒素雰囲気下、[1−1]で得たトリオール化合物2.0g、トルエン50gの混合物に触媒量のp−トルエンスルホン酸・一水和物を加え、70℃で24時間撹拌した。室温まで冷却後、洗浄、乾燥、濃縮の通常の後処理で得られた粗生成物を減圧蒸留して目的物1.34g(収率71%)を得た。このものはca.55:45のジアステレオ異性体混合物として得られ、その分光学的性質は上記[1−2]に記載のものと異性体比を除き完全に一致した。
[実施例2]2,6−ジシクロヘキシル−5,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成(ジオキサンヘミアセタールの合成)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール16.8g、テトラヒドロフラン100gの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.59Mを80ml加え、5℃で2時間撹拌した。次に5℃でシクロヘキサンカルバルデヒド25gを加えた。4時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物28.6g(収率77%)を得た。
2,6−ジシクロヘキシル−5,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール
粘性液体
GC−MS(EI): (m/z)+=55、95、113、243、289。
GC−MS(CI、メタン): (m/z)+=95、113、243、355、373[(M+H)+]。
GC−MS(CI、イソブタン): (m/z)+=95、113、243、261、355、373[(M+H)+]。
[実施例3]2,6−ジ(2−アダマンチル)−5,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成(ジオキサンヘミアセタールの合成)
実施例2のシクロヘキサンカルバルデヒドの代わりに等モルのアダマンタン−2−カルバルデヒドを用いた以外は、実施例2と同様の方法により目的物(収率70%)を得た。
2,6−ジ(2−アダマンチル)−5,5−ジフルオロ−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール
無色固体
IR(KBr):ν=2919、2852、1710、1454、1213、1099cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.52−1.99(29H、m)、2.17(1H、d、J=10.0Hz)、4.48(1H、dd、J=10.3、23.4Hz)、5.48(1H、d、J=8.6Hz)、8.91(1H、d様、J=2.7Hz)ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6):δ=−133.7(1F、ddq、J=22.8、248.2、9.7Hz)、−122.3(1F、dd、J=5.4、248.2Hz)、−80.3(3F、dd、J=7.6、15.2Hz)ppm。
13C−NMR(565MHz in DMSO−d6):δ=26.85、27.43、27.45、27.48、27.62、27.67、27.83、28.61、28.66、31.70、32.18、32.29、32.33、37.98、38.03、38.16、38.28、38.41、38.49、41.81、46.65、74.29(dd、J=23.7、27.3Hz)、92.65(tq様、J=32.4、24.5Hz)、96.26、133.75(dd、J=259.8、262.7Hz)、120.90(q、J=287.9Hz)ppm。
[実施例4]メタクリル酸(5−シクロヘキシル−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−1−イル)メチルの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール16.8g、テトラヒドロフラン80mlの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.59Mを80ml加え、5℃で2時間撹拌した。次に5℃でシクロヘキサンカルバルデヒド10gとテトラヒドロフラン50mlの混合物を滴下した。この温度で1時間撹拌後、メタクリル酸2−オキソプロピル12.7gとテトラヒドロフラン50mlの混合物を滴下した。室温で18時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物16.8g(収率42%)を得た。
メタクリル酸(5−シクロヘキシル−4,4−ジフルオロ−3−ヒドロキシ−1−メチル−3−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−1−イル)メチル
粘性液体
GC−MS(EI、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=41、69、155、185。
GC−MS(CI、メタン、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=112、143、181、199、267、285。
GC−MS(CI、イソブタン、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=143、181、199、267、285、323。
この実施例4では、フルオロエノレートと二つのカルボニル化合物との反応で生じたケトアルコキシド化合物、即ち、ケトアルコール化合物の等価体がヘミアセタール環化を起こしてジオキサンヘミアセタール化合物が生成したと考えられる。
[実施例5]メタクリル酸(5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチルの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
[1−1]で得たケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物15.0g、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)1.2g、s−トリオキサン5.0g、トルエン60gの混合物を、60℃で16時間撹拌した。反応液を冷却後、陽イオン交換樹脂をろ別した。溶媒を留去後、減圧蒸留を行い、メタクリル酸(5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチル12.8g(収率82%)を得た。
メタクリル酸(5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチル
沸点:97−101℃/27Pa
常温で無色固体
IR (KBr): ν=3328、3028、2997、2972、2922、1698、1637、1469、1392、1338、1326、1305、1213、1168、1122、1089、1079、1041、997、964、813、746、657cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6): δ=1.36(1.83H、d、J=2.8Hz)、1.62(1.17H、d、J=2.0Hz)、1.88(1.17H、m)、1.90(1.83H、m)、4.02(0.61H、dd、J=12.7、2.8Hz)、4.14(0.39H、dd、J=11.3、3.1Hz)、4.30(0.39H、d、J=11.3Hz)、4.94(0.61H、d、J=6.9Hz)、5.02(0.39H、d、J=6.9Hz)、5.29(0.39H、d、J=6.9Hz)、5.32(0.61H、d、J=6.9Hz)、5.40(0.61H、d、J=12.7Hz)、5.72−5.75(1H、m)、6.06(0.39H、m)、6.08(0.61H、m)、9.15(0.39H、d、J=3.8Hz)、9.42(0.61H、d、J=4.1Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6): δ=16.15、18.14(d、J=10Hz)、19.27、19.37、60.91、66.39(d、J=13Hz)、78.11(t、J=23Hz)、78.94(t、J=24Hz)、82.25、82.63、93.0−93.5(m×2)、113.61(dd、J=266、256Hz)、114.12(dd、J=269、256Hz)、122.53(q×2、J=287Hz)、128.05、128.10、136.79、136.87、167.28、167.62ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6): δ=−128.33(0.39F、dq、J=253、17Hz)、−125.80(0.61F、dd、J=258、5Hz)、−124.06(0.61F、dq、J=258、16Hz)、−122.08(0.39F、br.d、J=253Hz)、−80.71(1.83F、dd、J=16、6Hz)、−80.68(1.17F、dd、J=17、6Hz)ppm。
[実施例6]メタクリル酸(2−t−ブチル−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチルの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
[1−1]で得たケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物15.0g、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)1.2g、ピバルアルデヒド21.0g、トルエン60gの混合物を、48時間撹拌した。陽イオン交換樹脂をろ別、低沸成分を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、メタクリル酸(2−t−ブチル−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチル11.9g(収率65%)を得た。
メタクリル酸(2−t−ブチル−5,5−ジフルオロ−6−ヒドロキシ−4−メチル−6−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−イル)メチル
GC−MS(EI、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=41、69、87、143、233、273、319。
GC−MS(CI、メタン、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=69、87、115、205、233、271、273、291、357、359[(M−OH)+]。
GC−MS(CI、イソブタン、主要なジアステレオ異性体): (m/z)+=69、87、143、291、346、377[(M+H)+]。
[実施例7]5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
[7−1]1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオールの合成
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール168g、テトラヒドロフラン1200gの混合物に、窒素雰囲気下、−70℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液1.6Mを1290ml加えた。徐々に0℃に昇温し、その温度で30分撹拌した。次に0℃で5−ノルボルネン−2−カルバルデヒド134gを加えた。1時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous work−up)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオール230g(1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノールより収率80%)を得た。
1−(5−ノルボルネン−2−イル)−2,2,4,4,4−ペンタフルオロブタン−1,3,3−トリオール
無色固体
IR (KBr): ν =3409、3288、3062、2979、2946、2923、2879、1486、1454、1423、1338、1311、1255、1241、1207、1172、1153、1112、1076、1025、900、842、711cm-1。
1H−NMR(300MHz in DMSO−δ6、主要なジアステレオ異性体):
δ=0.72(1H、m)、1.18(1H、br.d、J=8.0Hz)、1.29(1H、br.d、J=8.0Hz)、1.74(1H、ddd、J=12.0、9.0、3.7Hz)、2.44(1H、m)、2.77(1H、m)、3.02(1H、m)、3.52(1H、ddd、J=22.0、10.6、7.4Hz)、6.02(1H、dd、J=5.7、2.8Hz)、6.19(1H、dd、J=5.7、3.0Hz)、、6.29(1H、d、J=7.4Hz)、7.37(1H、s)、7.96(1H、d、J=1.9Hz)ppm。
19F−NMR(283MHz in CDCl3、主要なジアステレオ異性体):
δ=−130.0(1F)、−120.6(1F)、−82.0(3F)ppm。
[7−2] 5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成
[7−1]で得たケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物40.0g、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)3.4g、s−トリオキサン15.0g、トルエン200gの混合物を、60℃で24時間撹拌した。陽イオン交換樹脂をろ別後の反応液を直接カラムクロマトグラフィーにより精製し、5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール32.1gを得た(収率76%)
5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール
無色固体
IR (KBr): ν=3396、3061、3034、3001、2978、2954、2931、2902、2881、1351、1340、1330、1245、1222、1209、1178、1141、1103、1072、1062、1041、993、914、844、835、732、719、690、671、649cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=0.75(1H、ddd、J=11.6、6.9、3.8Hz)、1.19(1H、d、J=8.2Hz)、1.29(1H、dd、J=8.2、1.4Hz)、1.78(1H、ddd、J=11.6、9.3、3.8Hz)、2.43(1H、dddd、J=10.7、9.3、3.8、3.7Hz)、2.81(1H、m)、2.96(1H、m)、3.38(1H、dd、J=22.7、10.7Hz)、5.02(2H、s)、5.97(1H、dd、J=5.5、2.8Hz)、6.23(1H、dd、J=5.5、3.1Hz)、8.94(1H、d、J=3.1Hz)ppm。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=28.16(d、J=5Hz)、35.62、41.84、43.37、47.35、77.66(dd、J=25、22Hz)、85.96、91.77(dquint様、J=23、31Hz)、113.68(dd、J=261、255Hz)、121.17(q、J=287Hz)、132.00、138.06ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6、主要なジアステレオ異性体): δ=−131.21(1F、ddq、J=247、24、14Hz)、−122.51(1F、dm、J=247Hz)、−80.40(3F、dd、J=14、7Hz)ppm。
[実施例8] 5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−2−プロピル−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オールの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
[7−1]で得たケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物9.0g、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)1.0g、ピバルアルデヒド2.3g、トルエン50gの混合物を、48時間撹拌した。陽イオン交換樹脂をろ別、低沸成分を留去後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−2−プロピル−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール6.6g(収率62%)を得た。
5,5−ジフルオロ−6−(5−ノルボルネン−2−イル)−2−プロピル−4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキサン−4−オール
GC−MS(EI): (m/z)+=27、43、66、91、253、270、342(M+)。
GC−MS(CI、メタン): (m/z)+=73、95、129、149、169、205、231、251、271、325、343[(M+H)+]。
[実施例9]メタクリル酸スピロ[アダマンタン−4,4’−5’,5’−ジフルオロ−6’−ヒドロキシ−6’−トリフルオロメチル−1’,3’−ジオキサン]−1−イルの合成(ジオキサンヘミアセタール型単量体の合成)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール16.8g、テトラヒドロフラン80mlの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でn−ブチルリチウム−ヘキサン溶液2.59Mを80ml加え、5℃で2時間撹拌した。次に5℃でメタクリル酸4−オキソ−1−アダマンチル23.0gとテトラヒドロフラン50mlの混合物を滴下した。この温度で1時間、室温で18時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)を行い、ケトアルコール化合物等価体のトリオール化合物の粗生成物を得た。この粗生成物と、陽イオン交換樹脂(スルホン酸型)2g、s−トリオキサン10.5g、トルエン140gの混合物を、60℃で24時間撹拌した。陽イオン交換樹脂をろ別後の反応液を直接カラムクロマトグラフィーにより精製し、目的物16.5g(収率40%)を得た。
メタクリル酸スピロ[アダマンタン−4,4’−5’,5’−ジフルオロ−6’−ヒドロキシ−6’−トリフルオロメチル−1’,3’−ジオキサン]−1−イル(ca.80:20のジアステレオ異性体混合物)
無色固体
IR (KBr): ν=3313、1689、1631、1459、1346、1332、1209、1174、1106、1043、989cm-1。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6): δ=−123.86(0.8F、dq、J=255、16.3Hz)、−122.48(0.2F、dq、J=255、16.3Hz)、−112.71(0.8F、d、J=255Hz),−112.01(0.2F、d、J=256Hz)、−80.33(3x0.8F、dd、J=8.7、15Hz)、−80.25(2x0.2F、dd、J=8.7、16Hz)ppm。
[実施例10]メタクリル酸[4,6−ジヒドロキシ−3,3,5,5−テトラフルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−メチルオキサン−2−イル]メチルの合成(オキサンヘミアセタール型単量体の合成)
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール33.6g、テトラヒドロフラン240gの混合物に、窒素雰囲気下、5℃でブチルリチウム(1.6Mヘキサン溶液)258mlを加え、5℃で1時間撹拌した。次に5℃でメタクリル酸2−オキソプロピル14.2gを加えた。反応終了後、希塩酸を加えて中和を行った。通常の水系後処理(aqueous workup)の後、シリカゲルカラムクロマトグラフィーにより精製を行い、目的物30.2g(収率69%)を得た。
メタクリル酸[4,6−ジヒドロキシ−3,3,5,5−テトラフルオロ−4,6−ビス(トリフルオロメチル)−2−メチルオキサン−2−イル]メチル
GC−MS(EI): (m/z)+=43,69,101,169,217,248,287,356。
GC−MS(CI、メタン): (m/z)+=75,129,169,197,217,245,291,401,421,439[(M+H)+]。
[実施例11]ポリメタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルオキソラン−3−イル(ホモポリマー)の合成
窒素雰囲気下、メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルフラン−3−イル5.00gと2−メルカプトエタノール23mgとテトラヒドロフラン20.00gの混合物を60℃で撹拌しながら、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル47mgを加え、60℃を保ちながら更に20時間撹拌した。室温まで冷却した後、重合液をn−ヘキサン500mlに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色粉末固体状の高分子化合物4.55g(収率91%)を得た。GPC分析による重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で18,600であった。
得られたホモポリマー1gをプロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート10gに溶解させ、0.2μmサイズのフィルターで濾過してポリマー溶液を調製した。8インチ径シリコンウエハーにポリマー溶液をスピンコーティングし、ホットプレートを用いて110℃で60秒間ベークし、厚み300nmのポリマー膜を作製した。リソテックジャパン(株)製溶解速度測定装置RDA−790を用いて、2.38質量%水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液中におけるポリマー膜の溶解速度を求めた。溶解速度は、26,000オングストローム/秒を示し、アルカリ可溶性樹脂として機能した。
[実施例12]ポリ(メタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.1
2,5.1
7,10]ドデカニル−co−メタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル−co−メタクリル酸4,8−ジオキサトリシクロ[4.2.1.0
3,7]ノナン−5−オン−2−イル−co−メタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルフラン−3−イル)の合成
窒素雰囲気下、80℃で撹拌したPGMEA(プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート)11.67gに、メタクリル酸3−エチル−3−exo−テトラシクロ[4.4.0.12,5.17,10]ドデカニル5.50gとメタクリル酸3−ヒドロキシ−1−アダマンチル4.69gとメタクリル酸4,8−ジオキサトリシクロ[4.2.1.03,7]ノナン−5−オン−2−イル7.12gとメタクリル酸4,4−ジフルオロ−5−ヒドロキシ−3−メチル−5−トリフルオロメチルフラン−3−イル2.33gと2,2’−アゾビスイソブチロニトリル521mgと2−メルカプトエタノール93.0mgをPGMEA35.0gに溶かした溶液を4時間かけて滴下した。更に80℃で2時間撹拌した。室温まで冷却した後、1,000mlのn−ヘキサンに激しく撹拌しながら滴下した。生じた固形物を濾過して取り、50℃で15時間真空乾燥して、白色粉末固体状の高分子化合物17.3g(収率88%)を得た。
1H−NMRスペクトルの積分比より共重合組成比はおおよそ25.3/23.2/42.2/9.3であった。GPC分析による重量平均分子量(Mw)はポリスチレン換算で8,500であった。
レジスト材料としての解像性の評価
実施例12の高分子化合物80質量部、酸発生剤としてノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム2.18質量部、塩基性化合物としてトリスメトキシメトキシエチルアミン0.472質量部、及び溶剤のPGMEA(旭硝子(株)製KH−20を0.01質量%含む)640質量部を混合した。次にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、レジスト材料とした。
レジスト液を反射防止膜(日産化学工業(株)製ARC29A、78nm)を塗布したシリコンウエハー上へ回転塗布し、130℃、60秒間の熱処理を施して、厚さ300nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NA=0.68)を用いて露光し、105℃、60秒間の熱処理を施した後、2.38質量%の水酸化テトラメチルアンモニウム水溶液を用いて60秒間パドル現像を行い、1:1のラインアンドスペースパターンを形成した。現像済ウエハーを割断したものを断面SEM(走査型電子顕微鏡)で観察したところ、0.13μmのラインアンドスペースを1:1で解像する露光量(最適露光量=Eop、mJ/cm2)は25mJ/cm2、この露光量において分離するラインアンドスペースの最小線幅(μm)は0.11μmであり、パターンの矩形性も良好であった。本発明のレジスト材料は、ArFエキシマレーザー露光において優れた解像性を示すことが確認された。
[実施例13]メタクリル酸3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−3a−イルの合成
[実施例13−1]3,3−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−2,3a−ジオールの合成1
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール224g、テトラヒドロフラン1000gの混合物に、窒素雰囲気下、−5℃でn−ブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)1000mlを加え、5℃で1時間撹拌した。次に5℃で2−クロロシクロヘキサノン164gを加えた。10時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。その後10%水酸化ナトリウム水溶液1200gを加え、水層を分取した。20%希塩酸560gを加えて酸性とし、さらにトルエン1000gを加え、有機層を分取した。分取した有機層を濃縮後ヘキサンから再結晶精製し、目的物201g(収率63%)を得た。
[実施例13−2]3,3−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−2,3a−ジオールの合成2
1,1,1,3,3,3−ヘキサフルオロ−2−プロパノール58g、テトラヒドロフラン260gの混合物に、窒素雰囲気下、−5℃でn−ブチルリチウム(2.6Mヘキサン溶液)260mlを加え、5℃で1時間撹拌した。次に5℃で2−ブロモシクロヘキサノン59gを加えた。10時間撹拌後、希塩酸を加えて反応を停止すると共に中和を行った。その後10%水酸化ナトリウム水溶液310gを加え、水層を分取した。20%希塩酸150gを加えて酸性とし、更にトルエン250gを加えて分液処理を行い、有機層を分取した。分取した有機層を濃縮後、ヘキサンから再結晶精製し、目的物58g(収率72%)を得た。
3,3−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−2,3a−ジオール(DMSO−d6中ca.67:33のジアステレオ異性体混合物)
無色固体
GC−MS(EI): (m/z)+=27、41、55、70、97、113、130、148、175、189、205、229、244、262[M+]。
IR(KBr):ν=3450、2947、1384、1324、1274、1255、1207、1191、1178、1106、1066、973、916、875、836、736、705cm-1。
主要異性体の1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.25−1.83(8H、m)、3.88(1H、s)、5.76(1H、s)、8.56(1H、s)ppm。
主要異性体の19F−NMR(565MHz in DMSO−d6、トリフルオロ酢酸標準):δ=−129.4(1F、d、J=235.1Hz)、−129.4(1F、dq、J=235.1、18.4Hz)、−81.2(3F、d、J=18.4Hz)ppm。
[実施例13−3]2−メタクリル酸3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−3a−イルの合成
3,3−ジフルオロ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−2,3a−ジオール17g、トリエチルアミン9g、N,N−ジメチルアミノピリジン0.8g、2,2’−メチレンビス(6−t−ブチル−p−クレゾール)16mg、アセトニトリル160gの混合物に、塩化メタクリロイル7gを5℃で加えた。反応液を50℃で4日間加熱後、水150gを加えて反応を停止し、トルエン150gを加えて有機層を分取した。5%希塩酸80gを加えてトリエチルアミンを除去後、通常の水系の処理を行い、反応液を濃縮した。濃縮液を塩化メチレンとヘキサンから再結晶精製し、目的物13g(収率66%)を得た。
メタクリル酸3,3−ジフルオロ−2−ヒドロキシ−2−トリフルオロメチル−2,3,3a,4,5,6,7,7a−オクタヒドロベンゾフラン−3a−イル(ca.50:50のジアステレオ異性体混合物)
無色固体
GC−MS(EI): (m/z)+=41、69、87、147、216、244。
GC−MS(CI、メタン): (m/z)+=69、87、245、313、331[(M+H)+]。
IR(KBr):ν=3419、2960、1724、1246、1201、1188、1167、1147、1126、1072、1060、1033、983、873、740、717、538cm-1。
1H−NMR(600MHz in DMSO−d6):δ=1.17−1.85(6H、m)、1.88−1.89(3H、m)、1.90−1.97(1H、m)2.35−2.42(1H、m)、4.11(0.5H、s)、4.29(0.5H、s)、5.79(1H、m)、6.13(1H、m)、8.76(0.5H、s)、8.97(0.5H、s)ppm。
13C−NMR(150MHz in DMSO−d6): δ=16.15、18.14(d、J=10Hz)、19.27、19.37、60.91、66.39(d、J=13Hz)、78.11(t、J=23Hz)、78.94(t、J=24Hz)、82.25、82.63、93.0−93.5(m×2)、113.61(dd、J=266、256Hz)、114.12(dd、J=269、256Hz)、122.53(q×2、J=287Hz)、128.05、128.10、136.79、136.87、167.28、167.62ppm。
19F−NMR(565MHz in DMSO−d6、トリフルオロ酢酸標準):δ=−124.0(0.5F、dq、J=239.7、18.4Hz)、−121.9(0.5F、dq、J=243.5、16.3Hz)、−116.7(0.5F、d、J=240.5Hz)、−111.4(0.5F、d、J=243.8Hz)、−81.0(3x0.5F、d、J=19.5Hz)、−80.8(3x0.5F、d、J=16.2Hz)ppm。
[実施例14、比較例1]
レジスト材料用樹脂の製造
各単量体の種類、配合比を変えた以外は、実施例12と同様の手順により、表1に示した樹脂を製造した。表中、各単位の構造を表2〜4に示す。
[実施例15、比較例2]
レジスト材料の調製
上記で製造した本発明の樹脂(P−01〜28)、及び比較用の樹脂(P−29、30)をベース樹脂として用い、酸発生剤、塩基性化合物、及び溶剤を表5,6に示す組成で添加し、混合溶解後にそれらをテフロン(登録商標)製フィルター(孔径0.2μm)で濾過し、レジスト材料とした。なお、溶剤はすべて界面活性剤としてKH−20(旭硝子(株)製)を0.01重量%含むものを用いた。
表5,6中、略号で示した酸発生剤、塩基及び溶剤は、それぞれ下記の通りである。
PAG−1:ノナフルオロブタンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG−2:ノナフルオロブタンスルホン酸4−t−ブトキシフェニルジフェニルスルホニウム
PAG−3:ノナフルオロブタンスルホン酸4−t−ブチルフェニルジフェニルスルホニウム
PAG−4:ペンタデカフルオロ−4−エチルシクロヘキサンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG−5:1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−t−ブチルカルボキシプロパンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG−6:1,1,3,3,3−ペンタフルオロ−2−ベンゾイロキシプロパンスルホン酸トリフェニルスルホニウム
PAG−7:ノナフルオロブタンスルホン酸フェナシルテトラメチレンスルホニウム
Base−1:トリ(2−メトキシメトキシエチル)アミン
Base−2:2−(2−メトキシエトキシメトキシ)エチルモルホリン
Base−3:N−(2−アセトキシエチル)ベンズイミダゾール
Base−4:2−[2−(2−メトキシエトキシ)エトキシ]酢酸2−モルホリノエチル
Base−5:オクタン酸2−モルホリノエチル
Base−6:ラウリン酸2−モルホリノエチル
Base−7:パルミチン酸2−モルホリノエチル
Base−8:ステアリン酸2−モルホリノエチル
PGMEA:酢酸1−メトキシイソプロピル
CyHO:シクロヘキサノン
[実施例16、比較例3]
レジスト材料の評価
本発明のレジスト材料(R−01〜66)及び比較用のレジスト材料(R−67、68)を、反射防止膜(日産化学工業(株)製ARC29A、78nm)を塗布したシリコンウエハー上へ回転塗布し、110℃、60秒間の熱処理を施して、厚さ170nmのレジスト膜を形成した。これをArFエキシマレーザーステッパー((株)ニコン製、NA=0.68)を用いて露光し、60秒間の熱処理(PEB)を施した後、2.38%のテトラメチルアンモニウムヒドロキシド水溶液を用いて30秒間パドル現像を行い、1:1のラインアンドスペースパターンを形成した。PEBにおいては、各レジスト材料に最適化した温度を適用した。現像済ウエハーを上空SEM(走査型電子顕微鏡)で観察し、0.11μmの1:1のラインアンドスペースを1:1で解像する露光量(最適露光量、mJ/cm2)において分離解像している最小寸法を限界解像性(0.01μm刻み、寸法が小さいほど良好)とした。また、故意に過剰な露光量をかけてラインパターンを細くしていった際、どの程度の寸法まで崩壊しないで形状を保つことができるかを観察し、膨潤耐性の評価(寸法が小さいほど良好)とした。
各レジスト材料の評価結果(限界解像性、膨潤耐性)を表7,8に示す。
表7,8の結果より、本発明のレジスト材料が解像性能、溶解特性に優れることが確認された。