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JP4487682B2 - コンデンサとその設置方法 - Google Patents

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Description

この発明は、電力変換装置や信号回路などに適用されるコンデンサの構造およびその設置方法に関する。
図5に、電力変換装置の代表的な回路としてインバータ主回路の一般的な例を示す。
11は直流電源回路、12はモータなどの負荷、13は電力用半導体素子からなるインバータ部で、電圧と周波数の可変出力が可能である。直流電源回路11は通常、図示していない交流電源とダイオード整流器を介して、大容量の直流電解コンデンサで構成されるのが一般的である。また、インバータ部13の、符号14はIGBT(絶縁ゲートバイポーラトランジスタ)などのスイッチング素子、15はこれに逆並列に接続されるダイオードであり、これらが6回路で構成されている。電力用半導体モジュール16a〜16cは通常、上下アーム2素子分を1組としている。
図6に、IGBTモジュールの外観図を示す。
IGBTモジュールは図示のように、正側直流出力端子(P端子)と、負側直流出力端子(N端子)と、交流出力端子(U端子)とを備えている。また、3相出力のインバータ構成とする場合に、ある程度の容量以上の装置では図示のモジュールを並列接続し、3の倍数台適用して構成することが多い。また、図5の17a〜17cはスナバコンデンサで、IGBTがスイッチングする際、直流電源回路1とIGBTモジュール16a〜16c間の配線インダクタンス(L3)18の電流エネルギ吸収用(サージ電圧の抑制用)として、各IGBTモジュール毎に1ないし2個接続されており、ある程度の容量以上の装置には必須である。
図7にIGBTモジュールにスナバコンデンサモジュールを接続した例を示す。これは、IGBTモジュールを2並列構成で合計6モジュール構成とし、スナバコンデンサモジュール3を各IGBTモジュール毎に1個接続した例である。
図8に、例えば特許文献1に開示されているスナバコンデンサの外観と内部構成例を示す。
先の図7に示すように、IGBTモジュール上のP端子とN端子間に設置され、P側引出し端子1とN側引出し端子2と樹脂モールドされ、外観が例えば図8(a)のように示されるスナバコンデンサモジュール3の内部は、図8(b)のようにP側導体板4と、N側導体板5とコンデンサ自身となるフィルムエレメント6とから構成される(フィルムコンデンサには極性はないが、ここではIGBT側の極性と合わせて記載した)。
特開2000−102241号公報(第4頁、図2)
図9に、IGBTがターンオフする際のコレクタ−エミッタ間電圧VCEとコレクタ電流icの波形を示す。
図示の期間tにおいて、コレクタ電流icのdi/dtにより、高いサージ電圧が発生する。このサージ電圧VCE(PEAK)は、次の(1)式により概略計算できる。
CE(PEAK)=Ed+L1・di/dt+L2・di/dt …(1)
Ed:直流電圧
L1:スナバコンデンサの内部配線などのインダクタンス値
L2:IGBTモジュール内部の配線インダクタンス値(図示なし)
di/dt:IGBTターンオフ時の電流変化率
上記(1)式から、スナバコンデンサの内部インダクタンス値が大きいとVCE(PEAK)が高くなり、そのため耐圧の高いIGBTが必要となる。
図10にスナバコンデンサの内部に基く等価回路を示す。上記(1)式のL1はP,Nの引出し端子,各導体板およびフィルムエレメント(L1p,L1n,L1pp,L1nn,L1e)よりなるが、配線長からL1eが最も支配的となる。
L1p:P側引出し端子部インダクタンス,L1n:N側引出し端子部インダクタンス
L1pp:P側導体板インダクタンス
L1nn:N側導体板インダクタンス
L1e:フィルムエレメントのインダクタンス
また、別の問題として、IGBTがスイッチングする際、スナバコンデンサ自身の容量と配線インダクタンス18(図5参照)との共振現象(通常数100kHz)や、スナバコンデンサとIGBTモジュール内部の浮遊容量と、その間の配線インダクタンスによって発生する共振現象(通常数10MHz)により、スナバコンデンサ自身がノイズ源となり、周辺回路が誤動作するという問題も生じる。
したがって、この発明の課題は、スイッチ素子によるスイッチング時のサージ電圧の低減、自身がノイズ源となることによる周辺回路誤動作の低減を図ることが可能なコンデンサとその設置方法を提供することにある。
このような課題を解決するため、請求項1の発明では、正側電位用端子と負側電位用端子の引き出し端子と、容量成分となるエレメントを支持するそれぞれの導体板とが、前記正側電位用端子と負側電位用端子とを挟む中心線に対し反対側に位置するように、内部または外部に電位極性反転用導体を設けることを特徴とする。
上記請求項1に記載のコンデンサと従来タイプのコンデンサとを、隣り合わせにして電子機器またはプリント基板上に設置することができる(請求項2の発明)。
また、請求項1に記載のコンデンサと従来タイプのコンデンサとを、1つのモジュール内に収納することができる(請求項3の発明)。
この発明によれば、特に従来タイプのコンデンサと隣り合わせで用いることで、両コンデンサから発生する漏洩磁界を低減させ、スイッチ素子によるスイッチング時のサージ電圧の低減、自身がノイズ源となることによる周辺回路誤動作の低減を図れるようにする。その結果、スイッチ素子の電圧定格の低減化によるコストダウンや、周辺回路を誤動作させない高信頼の装置を提供することができる。
図1はこの発明の第1の実施の形態を示す構成図である。
これは、P側引出し端子1とN側引出し端子2に対し、P側の導体板5とN側の導体板4が、中心線cに対して反対側に位置するように、導体7を追加して構成される。フィルムエレメント6に着目した場合、図1のものと従来タイプのコンデンサとでは、流れる電流が互いに逆になる。
図2は図1の変形例を示す構成図である。
図2(a)は図1に示すものに対し、導体7をコンデンサモジュール3内(コンデンサチップ内部)に収めた例であり、図2(b)は導体7をコンデンサモジュール3内に収めず、外付け(コンデンサチップ外部)とした例である。なお、図1では導体7を端子1や端子2と同一導体を想定しているが、別の導体をねじ留めや半田付けで接続するようにしても良い。
図3はこの発明の第2の実施の形態を説明するための説明図である。
これは、例えば3相出力インバータで、IGBTモジュール20aと20b,21aと21b,22aと22bを2並列接続した例である。つまり、従来タイプのコンデンサ91,92,93をIGBTモジュール20b,21b,22b上にそれぞれ配置するとともに、この発明によるコンデンサ95,96,97をIGBTモジュール20a,21a,22a上にそれぞれ配置して構成する。これにより、隣り合うコンデンサのフィルムエレメント内に流れる電流の向きは、図の矢印で示すように互いに反対方向となる。
図4にこの発明の第3の実施の形態を示す。
図3では、コンデンサ91と95、コンデンサ92と96およびコンデンサ93と97はそれぞれ別のコンデンサであるが、ここでは同一のモジュール8内に収めて構成される。こうすることで、図3のものより一層低インダクタンス化や低ノイズ化が図られ、小型化,低コスト化も可能となる。
以上では、電力変換装置に用いるスナバコンデンサを例に説明したが、この発明はプリント板上に設置されるフィルムコンデンサや積層チップコンデンサ等にも、同様にして適用することができる。例えば、バイパスコンデンサ用のチップコンデンサにおいて、隣り合って設置する場合などに用いることができる。
この発明の第1の実施の形態を示す構成図 図1の変形例を示す構成図 この発明の第2の実施の形態を示す構成図 この発明の第3の実施の形態を示す構成図 インバータ回路の一般的な例を示す回路図 一般的なIGBTモジュールの外観図 IGBTモジュールにスナバコンデンサを接続した例を示す構成図 スナバコンデンサの従来例の説明図 図5のIGBTターンオフ時の動作波形図 コンデンサの内部等価回路図
符号の説明
1…P側引出し端子、2…N側引出し端子、3…スナバコンデンサモジュール、4…P側導体板、5…N側導体板、6…フィルムエレメント、7…導体、8…モジュール、91,92,93,95,96,97…コンデンサ、20a,20b,21a,21b,22a,22b…IGBTモジュール。

Claims (3)

  1. 正側電位用端子と負側電位用端子の引き出し端子と、容量成分となるエレメントを支持するそれぞれの導体板とが、前記正側電位用端子と負側電位用端子とを挟む中心線に対し反対側に位置するように、内部または外部に電位極性反転用導体を設けることを特徴とするコンデンサ。
  2. 前記請求項1に記載のコンデンサと従来タイプのコンデンサとを、隣り合わせにして電子機器またはプリント基板上に設置することを特徴とするコンデンサの設置方法。
  3. 請求項1に記載のコンデンサと従来タイプのコンデンサとを、1つのモジュール内に収納したことを特徴とするコンデンサ。

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