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JP4479649B2 - インクジェット記録装置 - Google Patents

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JP4479649B2
JP4479649B2 JP2005338332A JP2005338332A JP4479649B2 JP 4479649 B2 JP4479649 B2 JP 4479649B2 JP 2005338332 A JP2005338332 A JP 2005338332A JP 2005338332 A JP2005338332 A JP 2005338332A JP 4479649 B2 JP4479649 B2 JP 4479649B2
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Description

本発明は、記録媒体にインクを吐出して印刷を行うインクジェット記録装置に関する。
特許文献1には、キャリッジの移動に伴って用紙に対してプリンタヘッドからインクを吐出するインクジェットプリンタについて記載されている。このインクジェットプリンタにおいて、プリンタヘッドはノズルからインクを吐出する4つの圧電式のヘッドユニット(インクジェットヘッド)を備えている。インクジェットプリンタには、パージキャップとパージキャップに隣接して配置された4つのキャップとが設けられている。パージキャップは、プリンタヘッドがリセット位置にあるときに、ヘッドユニットの内部に溜まるエアやゴミなどをインクとともに強制的に吸引して除去する。そして、4つのキャップは、各ヘッドユニットの複数のノズルをそれぞれ覆ってインクの乾燥を防止する。
特開2003−220705号公報(図1)
上述した特許文献1に記載のインクジェットプリンタにおいて、4つのヘッドユニットは1つのパージキャップにより個々にパージが行われる。そのため、4つのヘッドユニットをすべてパージする場合、パージに時間を要する。4つのヘッドユニットのパージを短時間で行うためには、4つのパージキャップ又は4つのヘッドユニットに対応するトレイ状のインク受け部材をプリンタに設けて4つのヘッドユニットに対して同時にパージを行うことで可能となる。しかしながら、ノズル内のインクの乾燥を防止する4つのキャップとは別にヘッドユニットのパージ用部材(パージキャップ又はインク受け部材)が設けられることには変わりはないので、プリンタが大型化する。
そこで、本発明の目的は、装置の小型化を図ることが可能なインクジェット記録装置を提供することである。
課題を解決するための手段及び発明の効果
本発明のインクジェット記録装置は、
複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドと、前記インク吐出面を覆うものであって、前記複数のノズルから吐出されたインクを受容するための開口とインクを外部に排出する排出口とを有するキャップと、前記キャップが、前記インク吐出面を覆うキャッピング状態と、前記インク吐出面から離隔するとともに前記複数のノズルから吐出されたインクを受容可能なアンキャッピング状態とを取り得るように前記インクジェットヘッド及び前記キャップの少なくとも一方を移動させる移動機構と、前記キャップが前記アンキャッピング状態であるときに前記複数のノズルから強制的にインクを吐出させる加圧パージ手段と、前記キャップの前記排出口から排出されるインクを受け入れて保持する廃インク溜めとを含んでいる。そして、前記キャップが、前記キャッピング状態にあるときには、前記排出口からのインクの排出を規制するとともに、前記アンキャッピング状態であるときには、前記排出口からのインクの排出を許容するインク排出制限手段を備え、前記インク排出制限手段が、前記排出口を塞ぎつつ前記キャップ内に設けられ、インクを吸収して保持可能なインク保持部材を含み、前記廃インク溜めには、前記排出口と鉛直方向に沿って対向しつつ前記排出口に向かって突出した部分を有しインクを吸収するインク吸収部材が設けられており、前記キャップが前記アンキャッピング状態にあるときに限り、前記インク保持部材の前記排出口から露出した部分と前記インク吸収部材の突出した部分とが接触する
これによると、キャップがインク排出制限手段を備えていることにより、加圧パージ手段により複数のノズルから吐出されたインクをキャップで受け取ることができるとともに、受け取ったインクをキャップ内から排出口を介して外部に排出することが可能になる。そのため、インク吐出面を覆って乾燥防止するためのキャップを加圧パージ手段によって吐出されたインクを受容して排出する手段としても利用することができるので、装置の小型化が図れる。なお、インク排出制限手段は、キャッピング状態において、キャップ内のインクを排出してもしなくてもよいものである。また、インクを吸収したインク保持部材によって排出口が封止される。そのため、キャッピング状態のときにインク吐出面とキャップとで囲まれた空間を密閉空間とすることができる。したがって、ノズル内のインクの乾燥を確実に防止することができる。加えて、インク保持部材はインクにより湿った状態であるため、インクの保湿もまかなえる。なお、キャップは、インク保持部材によって保持しきれなかったインクを排出口から外部に排出することが可能である。また、キャップの排出口から排出されたインクが廃インク溜めに流入するので、排出口から排出されたインクによって装置内が汚れるのを抑制することができる。また、排出口から排出されたインクが廃インク溜めに流入したときにインクが装置内に飛び散らない。そのため、装置内が汚れるのをより抑制することができる。また、アンキャッピング状態においてインク保持部材によって保持されたインクをインク吸収部材に強制的に吸収させることができる。
また、このとき、前記インク保持部材が柔軟性を有しており、前記キャップ内の空間に圧縮されて配置されていてもよい。これにより、キャップ内の空間を規定する内壁とインク保持部材との間に隙間ができにくくなり、キャッピング状態のときにインク保持部材に保持されずに隙間に溜まったインクが排出口から流出する危険性を少なくすることができる。
また、このとき、前記キャップは、前記インク保持部材が前記開口から外側に突出しないように規制する規制部材が設けられていてもよい。これにより、キャップがキャッピング状態のときに、インク保持部材がインク吐出面と接触するのを防ぐことができる。そのため、インク吐出面がインク保持部材の接触によって損傷しなくなると共に、インク保持部材が保持しているインクがインク吐出面に付着しなくなる。
また、本発明において、前記開口は、前記キャップが前記キャッピング状態にあるときに前記インク吐出面と当接する環状の弾性部材によって画定されていることが好ましい。これにより、キャップがキャッピング状態のときに、キャップとインク吐出面との間に弾性部材が介在することになる。そのため、キャップがインク吐出面を傷つけない。
また、このとき、前記キャップは、前記アンキャッピング状態にあるときにおいて、前記インク保持部材の前記排出口から露出した部分と前記インク吸収部材の突出した部分とが離隔した状態を取ることが可能とされていてもよい。これにより、アンキャッピング状態においてもインク保持部材とインク吸収部材とを離隔させることができるので、インク保持部材で保持されたインクを適量に保つことができる。
また、本発明において、前記移動機構が、前記キャップを移動させることが好ましい。これにより、移動機構がインクジェットヘッドを移動させるよりも簡易な構成となる。
また、本発明において、前記キャップを前記インク吐出面側に付勢する付勢手段をさらに備えていることが好ましい。これにより、インク吐出面とキャップのインク吐出面と接触する面との平行度に多少誤差が生じていても、付勢手段で誤差を吸収することができるともにインク吐出面とキャップとの密着力が向上する。そのため、キャップとインク吐出面との間の隙間がほとんどなくなる。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。本実施形態は、4色(ブラック(Bk)、イエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M))のインクを用紙に対して吐出して画像を印刷する、カラーインクジェットプリンタに本発明を適用した一例である。
図1は、本発明の一実施形態によるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。インクジェットプリンタ1は、図1に示すように、左右方向に往復移動可能なように本体フレーム2に設けられたキャリッジ3と、キャリッジ3に搭載されたヘッドユニット8とを備えている。本体フレーム2内には、プラテン5が設けられており、このプラテン5上において、図示しない送りローラ等により用紙Pが前方(図1の紙面手前方向)へ搬送される。
キャリッジ3は、本体フレーム2に設けられた2本のガイド軸15,16に沿って、図1中左右方向に移動する。ヘッドユニット8は、互いに異なる色のインクを吐出する4つのインクジェットヘッド4を備えている。インクジェットヘッド4の底面(インク吐出面4a)には、インクを吐出する複数のノズル(図示せず)が形成されている。また、ヘッドユニット8は、対応するインクジェットヘッド4と接続されインクジェットヘッド4の上方に配置された4つのサブタンク6を有している。4つのサブタンク6は、対応するインクカートリッジ20〜23とそれぞれチューブ7によって接続されており、インクカートリッジ20〜23内のインクがサブタンク6を介してインクジェットヘッド4に供給される。そして、図1に2点鎖線で示すように、プラテン5の上方であってインク吐出面4aとプラテン5とが対向する位置において、4つのインクジェットヘッド4は、キャリッジ3と一体的に走査方向(図1の左右方向)に往復移動しながら、前方へ搬送される用紙Pにノズルから各色のインクをそれぞれ吐出して、用紙Pに所望の画像を印刷するように構成されている。
また、インクジェットプリンタ1は、インクジェットヘッド4内に形成されたノズルを含むインク流路内にエアや塵などの異物が混入したり、乾燥して粘度が高くなったインク(増粘インク)がノズルに詰まったりして、吐出不良が生じたときに、ノズルから強制的にインクと共にエアなどを外部に排出するパージ処理を行う、パージ機構(加圧パージ手段)30を備えている。
図1に示すように、パージ機構30は、空気ポンプ31と、空気ポンプ31で加圧された空気を一旦貯溜するサージタンク32と、サージタンク32の空気を4つのインクカートリッジ20〜23に同時及び選択的に供給する切替ユニット33とを備えている。そして、パージ機構30は、空気ポンプ31で加圧された空気をサージタンク32及び切替ユニット33を介してすべて又は選択されたインクカートリッジ20〜23に供給して、インクカートリッジ20〜23内でインクに圧力を付与することにより、対応するノズルからインクを強制的に排出させる、いわゆる、正圧パージによりパージ処理を行うように構成されている。このような正圧パージでは、インクジェットヘッドのインク吐出面を封止するキャップにポンプを連通させ、このポンプによって発生させた吸引力によってノズルからインクを排出させる吸引パージに比べて、パージ圧力(インクの排出圧力)を高くすることができるため、インク流路内に混入したエアや塵などの異物やノズル内に詰まった増粘インクなどを排出する効果が高く、消費(排出)するインクの量が少なくてすむ。さらに、切替ユニット33は、加圧された空気を供給するインクカートリッジ20〜23を選択的に切り替えることが可能なため、ある特定の吐出不良のノズルを回復させるために、その特定の色のノズルのインクを吐出してパージすること(単色パージ)ができる。この単色パージを行えば、パージする必要のない(吐出不良が生じていない)ノズルから余計なインクを排出させずにすむため、パージ処理におけるインクの消費量をさらに少なくすることができる。一方、切替ユニット33は、4つのインクジェットヘッド4を同時にパージ処理可能なように、4つのインクカートリッジ20〜23に同時に加圧された空気を供給させることができる。これにより、インクジェットヘッド4を色毎にパージ処理するよりもパージ処理に時間を要しない。
また、ヘッドユニット8は、図1に示すように、インクジェットヘッド4が用紙Pに対する印刷を行わないときに、用紙Pの搬送経路であるプラテン5に対して走査方向一方側(図1中右側)のメンテナンス位置に退避する。ヘッドユニット8がメンテナンス位置にあるときにインクジェットヘッド4と対向する位置には、インクジェットヘッド4のインク吐出面4aを覆ってノズル内のインクの乾燥を防止したり、パージ処理でノズルから吐出されたインクを受容するメンテナンス機構40が設けられている。
図2は、図1に示すメンテナンス機構40を示しており、(a)は正面図であり、(b)は(a)に示すII−II線に沿った断面図である。図3は、メンテナンス機構40の平面図である。図4は、図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。メンテナンス機構40は、図1及び図2(a)、(b)に示すように、インク吐出面4aと対向する位置に設けられたキャップユニット41と、キャップユニット41をインク吐出面4aに近づく及び離れる方向(図2中上下方向)に移動させる移動機構51と、キャップユニット41の下方に配置された廃インク溜め71とを備えている。
移動機構51は、図2(a)、(b)に示すように、キャップユニット41を移動させる駆動機構52と、キャップユニット41の移動をガイドするガイド機構53と、本体フレーム2から上方に向かって延在し駆動機構52及びガイド機構53を支持する支持部材54とを含んでいる。駆動機構52は、キャップユニット41の走査方向に沿う両側面に設けられた4つのラック55と、ラック55とそれぞれ噛合された4つのピニオンギヤ56と、支持部材54に回転可能に支持されピニオンギヤ56が2つずつ固定された2本の回転軸57とを備えている。ガイド機構53は、キャップユニット41の走査方向の両端面にそれぞれ設けられた2つのスライド部材61と、スライド部材61が上下方向にスライド可能なように支持部材54に固定された2枚のガイド板62とを備えている。この構成において、図示しない駆動源により回転軸57が回転されることで、ピニオンギヤ56が回転軸57とともに回転し、ラック55がピニオンギヤ56の回転によってキャップユニット41とともに上下方向に昇降移動する。
キャップユニット41は、図3及び図4に示すように、上面に略正方形平面形状の開口部42aが下面に長方形平面形状の4つの開口部42bが形成されたケース42と、ケース42内に配置されたキャップ部材(キャップ)43とを備えている。開口部42aは、ケース42の上面における4つのインクジェットヘッド4と対向する領域に形成されている。4つの開口部42bは、ケース42の下面におけるインクジェットヘッド4のそれぞれと対向する領域に形成されている。
キャップ部材43は、略直方体形状を有しており、インクジェットヘッド4とそれぞれ対向する位置に4つの空洞(空間)45が設けられている。キャップ部材43の上面には、インクジェットヘッド4と対向する領域において、長方形平面形状に開口された4つの開口部44が形成されており、空洞45とそれぞれ連通している。開口部44は、インク吐出面4aにそれぞれ形成されたノズル領域(複数のノズルが形成された領域)よりも一回り大きい平面形状を有している。また、キャップ部材43の下面には、空洞45とそれぞれ連通する連通孔(排出口)46が形成されている。4つの空洞45は、隔壁43aによって互いに仕切られており、これら独立した空洞45内には複数の空孔47aを有するインク保持部材47が配置されている。インク保持部材47は所定量のインクを吸収して保持することが可能であればよく、本実施形態において、柔軟性を有するスポンジが適用されている。インク保持部材47は、開口部44及び連通孔46を塞ぎつつ、空洞45の内壁(隔壁も含む)とインク保持部材47との間にほとんど隙間が生じないように圧縮して配置されている。また、開口部44には、図3に示すように、走査方向に沿って延在した2本のストッパー(規制部材)50が開口部44の長手方向に沿って並べて配置されており、開口部44を3つに分割している。このように開口部44にストッパー50が設けられていることで、空洞45内に設けられたインク保持部材47が開口部44から外側、すなわち、インクジェットヘッド4側にはみ出さないように部分的に押さえ付けられる。これにより、キャップ部材43でインク吐出面4aを覆ったときに、インク保持部材47がインク吐出面4aと接触しなくなり、インク吐出面4aにインクが付着したり、インク吐出面4aを傷つけたりしなくなる。
キャップ部材43は、その上面において開口部44をそれぞれ取り囲む環状のリップ48を4つ有している。リップ48は、ゴムなどの弾性体から形成されている。また、リップ48は、その先端が後述のバネ49によりキャップ部材43が上方に付勢されることで、ケース42の上面から突出するだけの高さ(上下方向の幅)を有している。ケース42内には、キャップ部材43の隔壁43a及びキャップ部材43の走査方向両端部を下方から上方に向かって付勢するバネ(付勢手段)49が5つ設けられている。このようにバネ49がキャップ部材43を付勢していることで、キャップユニット41を移動させてリップ48をインク吐出面4aの外周端部に押し付けたときに、リップ48の弾性変形でも吸収しきれないインク吐出面4aとキャップ部材43の上面との平行度の誤差を吸収することができる。つまり、キャップ部材43の上面がインク吐出面4aに対して多少傾いていても、キャップ部材43の上面とインク吐出面4aとが平行に近づくように、複数のバネ49が付勢方向に関してバランスよく縮み、平行度の誤差を吸収する。そのため、リップ48とインク吐出面4aとの間に隙間がほとんど形成されないので、インク吐出面4aとキャップ部材43とで囲まれた空間をほぼ密閉空間とすることができる。また、リップ48が弾性体からなるので、インク吐出面4aとリップ48とが接触したときにおいて、リップ48がインク吐出面4aを傷つけにくくなる。また、バネ49がキャップ部材43を付勢しているので、リップ48がインク吐出面4aに接触したときのその衝撃がバネ49により緩衝される。そのため、リップ48がインク吐出面4aに押し付けられたときに、インク吐出面4aがリップ48により傷つかない。
廃インク溜め71は、図4に示すように、キャップユニット41に向かって開いた凹形状の箱状部材72と、箱状部材72の内部に配置されたインク吸収部材73とを備えている。箱状部材72は、キャップユニット41の平面形状とほぼ同じ大きさの平面形状を有している。インク吸収部材73は、上面からケース42の開口部42b内をそれぞれ通過可能なように上方に突出した4つの突起(突出した部分)74を有している。本実施形態において、インク吸収部材73は、インク保持部材47と同様なスポンジからなるため、図4に示すように、突起74と、連通孔46から露出したインク保持部材47とが接触することで、インク保持部材47に保持されているインクがインク吸収部材73により強制的に吸い出される。インク保持部材47から吸い出したインクは突起74から下方に向かって自然に移動する。したがって、インク吸収部材73は、箱状部材72の底面から突起74の上端までインクが溜まるまでインク保持部材47からインクを吸い出すことができる。
次に、メンテナンス機構40の動作について以下に説明する。図5は、図1に示すメンテナンス機構の可動状況図である。インクジェットヘッド4で用紙Pに対してインクを吐出して印刷しているとき、及び、パージ機構30によりインクジェットヘッド4がパージ処理されるときは、図4に示すように、キャップユニット41は、連通孔46から露出したインク保持部材47とインク吸収部材73の突起74とが接触するまで移動機構51により下げられている。この場合、リップ48は、ヘッドユニット8がメンテナンス位置に配置されていてもインク吐出面4aと離隔された状態であるため、キャップユニット41は移動機構51によりインクジェットヘッド4に対してアンキャッピング状態に位置付けられていることになる。このようにキャップユニット41がアンキャッピング状態であると、ヘッドユニット8がメンテナンス位置に配置された場合においても、インクジェットヘッド4とキャップユニット41とが接触することがない。また、インク保持部材47と突起74とが接触していると、インク保持部材47が保持しているインクがインク吸収部材73によって吸い出されるように連通孔46から突起74側に移動(排出)するので、パージ処理によってノズルからエアや塵とともに排出されたインクが、インク保持部材47で保持可能なインク保持量を超えることがなくなる。そのため、キャップ部材43からインクが溢れることがなくなる。そして、突起74側に移動したインクが廃インク溜め71内に貯溜される。
一方、ヘッドユニット8がメンテナンス位置にあるときに、インク吐出面4aをキャップユニット41で覆う場合は、図5(a)に示すように、キャップユニット41は、リップ48とインク吐出面4aの外周端部とが接触するキャッピング状態を取る位置まで移動機構51により上昇される。このとき、キャップ部材43はバネ49により付勢されているので、リップ48とインク吐出面4aとの接触による衝撃が緩衝されるとともに、インク吐出面4aとリップ48とが確実に密着する。インク保持部材47は、パージ処理によってノズルから排出されたインクを空孔47a内に保持することで所定量のインクを保持しているため、インク保持部材47がインクを保持しているときは、連通孔46がほぼ完全にインク保持部材47によって封止されている。そのため、インク吐出面4a、キャップ部材43及びリップ48で囲まれた空間をほぼ完全に密封することが可能となる。つまり、ノズル内のインク乾燥をより効果的に防止することができる。さらに、インク保持部材47がインクによって湿った状態となっているので、キャップ部材43とインク吐出面4aとで囲まれた空間は湿潤状態となる。そのため、ノズル内のインク乾燥をより一層防止することができる。
なお、インク保持部材47は、図5(a)に示すように、インク吸収部材73と離隔していると、インクを排出せずに保持しているが、インク保持部材47のインク保持量を超えるインクがパージ処理などでキャップ部材43内に排出された場合は、そのインク保持量を超えるインクを自然に連通孔46から排出する。つまり、インク保持部材47は連通孔46からのインク排出を規制している。連通孔46と対向する位置には開口部42bが形成されているので、自然に連通孔46から排出されたインクは開口部42bを介してインク吸収部材73に吸収される。なお、インク吸収部材73の突起74は、キャップユニット41がキャップピング状態の場合、連通孔46から露出したインク保持部材47と離隔された状態であるが、その先端が開口部42b内に存在するため、主に突起74が連通孔46から自然に排出されたインクを吸収する。
また、パージ処理などでノズルからインク保持部材47に向けて排出されたインクが少ない場合、インク保持部材47で保持しているインクも少なくなる。この場合、図5(b)に示すように、リップ48とインク吐出面4aとが離隔されたアンキャッピング状態であって、連通孔46から露出したインク保持部材47と突起74とが離隔した状態を取る位置に移動機構51によって位置付けられる。これは、インク保持部材47のインク保持量が少ない場合にインク保持部材47と突起74とを接触させていると、インク保持部材47で保持しているインクがインク吸収部材73によってどんどん吸い出されて、インク保持部材47に保持されているインクがほとんどなくなるからである。つまり、インク保持部材47がある程度のインクを保持していると、上述したように、キャップ部材43でインク吐出面4aをキャッピングしたときに、ノズル内のインク乾燥を効果的に防ぐことができるからである。このように移動機構51は、インク保持部材47のインク保持量を適量とするようにキャップユニット41を位置付けることができる。なお、インクジェットヘッド4のパージ処理を行うときは、キャップユニット41をアンキャッピング状態としているが、キャッピング状態でパージ処理をしてもよい。こうすれば、パージ処理によって排出されたインクがキャップユニット41の外側に飛散することを確実に防ぐことができる。しかしながら、本実施形態においては、キャップユニット41がアンキャッピング状態であっても、キャップ部材43の開口44がインク吐出面4aと対向する位置に形成されているため、ノズルから吐出されたインクがほとんど開口44を通ってインク保持部材47に着弾するため、キャップユニット41の外側に排出されたインクなどが飛散することがない。
以上のように、本実施形態におけるインクジェットプリンタ1によると、キャップ部材43のインク保持部材47はパージ機構30により複数のノズルから吐出されたインクを受け取って保持することができると共に、突起74と接触することで連通孔46から受け取ったインクを排出することができる。さらに、インク保持部材47は所定保持量を超えたインクを自然に連通孔46から排出する。つまり、インク保持部材47を備えたキャップ部材43は、インク吐出面4aを覆ってノズルの乾燥を防止する、及び、複数のノズルから吐出されたインクを廃インク溜め71に排出する、2つの機能を有するキャップとなるため、別途パージ用部材を設ける必要がなくなる。そのため、プリンタ1の小型化を図ることができる。また、インク保持部材47が開口部44及び連通孔46を塞ぎつつ、空洞45の内壁とインク保持部材47との間にほとんど隙間が生じないように圧縮して配置されているので、キャップユニット41のキャッピング状態のときにインク保持部材47に保持されずに隙間に溜まったインクが連通孔46から多量に流出する危険性を少なくすることができる。これにより、プリンタ内をインクで汚損するのを防ぐことができる。
また、キャップユニット41の下方であって、インクが排出される連通孔46と対向する位置に廃インク溜め71が設けられているので、連通孔46から排出されたインクによってプリンタ内が汚れるのを抑制することができる。また、廃インク溜め71にインク吸収部材73が設けられているので、連通孔46から自然に排出されたインクが廃インク溜め71に流入したときにインクがプリンタ内に飛び散らない。そのため、プリンタ内が汚れるのをより抑制することができる。また、移動機構51がキャップユニット41を移動させるように設けられているので、ヘッドユニット8をキャップユニット41に近づく及び離れる方向に移動させるよりも簡易な構成となる。
以上、本発明の好適な実施の形態について説明したが、本発明は上述の実施の形態に限られるものではなく、特許請求の範囲に記載した限りにおいて様々な変更が可能なものである。例えば、上述した実施形態においては、キャップ部材43に設けられたインク保持部材47がインク排出制限手段として機能しているが、キャップユニットがキャッピング状態のときに連通孔46を閉じ、アンキャッピング状態のときに連通孔46を開く弁部材をキャップユニットに備えていてもよい。この場合、キャップユニットのキャッピング状態のときに連通孔46が弁部材によって閉じられるので、ノズル内のインクの乾燥を防ぐことができる。また、キャップ部材内にパージ処理によってインクが吐出されてもキャップユニットのアンキャッピング状態のときに連通孔46が開くので廃インク溜めなどにキャップ部材内のインクが連通孔46を介して排出される。したがって、上述した実施形態とほぼ同様な効果を得ることができる。なお、インク保持部材47はキャップ部材内に備えられていてもいなくてもよい。
また、インク保持部材47はキャップ部材43の空洞45に圧縮して配置されていなくてもよい。また、キャップ部材43にストッパー50が設けられていなくてもよい。また、廃インク溜め71のインク吸収部材73に突起74が設けられていなくてもよい。また、インク吸収部材73が廃インク溜め71に設けられていなくてもよい。また、上述した実施形態においては、キャップユニット41だけを上下方向に移動させている移動機構51がプリンタ1に設けられているが、プリンタにヘッドユニット8を上下方向に移動させる移動機構を設けていてもよい。この場合、キャップユニット及びヘッドユニットの両方を互いに近づく方向及び離れる方向に移動させることができる。なお、ヘッドユニットを上下方向に移動させる移動機構が設けられている場合は、上述の移動機構51が設けられていなくてもよい。また、キャップユニット41にキャップ部材43を付勢するバネ49が設けられていなくてもよい。また、上述したインクジェットプリンタ1は、印刷時にヘッドが往復移動するシリアルプリンタであるが、ヘッドが固定されたラインプリンタにおいても適用することが可能である。
本発明の一実施形態によるカラーインクジェットプリンタの概略構成図である。 図1に示すメンテナンス機構を示しており、(a)は正面図であり、(b)は(a)に示すII−II線に沿った断面図である メンテナンス機構の平面図である。 図3に示すIV−IV線に沿った断面図である。 図1に示すメンテナンス機構の可動状況図である。
1 インクジェットプリンタ
4 インクジェットヘッド
4a インク吐出面
30 パージ機構(加圧パージ手段)
43 キャップ部材(キャップ)
44 開口
45 空洞(空間)
46 連通孔(排出口)
47 インク保持部材(インク排出制限手段)
48 リップ(弾性部材)
49 バネ(付勢手段)
50 ストッパー(規制部材)
51 移動機構
71 廃インク溜め
73 インク吸収部材
74 突起

Claims (7)

  1. 複数のノズルが形成されたインク吐出面を有するインクジェットヘッドと、
    前記インク吐出面を覆うものであって、前記複数のノズルから吐出されたインクを受容するための開口とインクを外部に排出する排出口とを有するキャップと、
    前記キャップが、前記インク吐出面を覆うキャッピング状態と、前記インク吐出面から離隔するとともに前記複数のノズルから吐出されたインクを受容可能なアンキャッピング状態とを取り得るように前記インクジェットヘッド及び前記キャップの少なくとも一方を移動させる移動機構と、
    前記キャップが前記アンキャッピング状態であるときに前記複数のノズルから強制的にインクを吐出させる加圧パージ手段と
    前記キャップの前記排出口から排出されるインクを受け入れて保持する廃インク溜めとを含んでおり、
    前記キャップが、前記キャッピング状態にあるときには、前記排出口からのインクの排出を規制するとともに、前記アンキャッピング状態であるときには、前記排出口からのインクの排出を許容するインク排出制限手段を備え
    前記インク排出制限手段が、前記排出口を塞ぎつつ前記キャップ内に設けられ、インクを吸収して保持可能なインク保持部材を含み、
    前記廃インク溜めには、前記排出口と鉛直方向に沿って対向しつつ前記排出口に向かって突出した部分を有しインクを吸収するインク吸収部材が設けられており、
    前記キャップが前記アンキャッピング状態にあるときに限り、前記インク保持部材の前記排出口から露出した部分と前記インク吸収部材の突出した部分とが接触することを特徴とするインクジェット記録装置。
  2. 前記インク保持部材が柔軟性を有しており、前記キャップ内の空間に圧縮されて配置されていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  3. 前記キャップは、前記インク保持部材が前記開口から外側に突出しないように規制する規制部材が設けられていることを特徴とする請求項に記載のインクジェット記録装置。
  4. 前記開口は、前記キャップが前記キャッピング状態にあるときに前記インク吐出面と当接する環状の弾性部材によって画定されていることを特徴とする請求項1〜いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  5. 前記キャップは、前記アンキャッピング状態にあるときにおいて、前記インク保持部材の前記排出口から露出した部分と前記インク吸収部材の突出した部分とが離隔した状態を取ることが可能とされていることを特徴とする請求項1〜4いずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  6. 前記移動機構が、前記キャップを移動させることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
  7. 前記キャップを前記インク吐出面側に付勢する付勢手段をさらに備えていることを特徴とする請求項1〜のいずれか1項に記載のインクジェット記録装置。
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