図1は本発明を1眼レフレックスカメラに適用して実施したストロボ制御カメラシステムの主に光学的な構成を説明した横断面図である。
1はカメラ本体であり、この中に光学部品、メカ部品、電気回路、フィルムなどを収納し、写真撮影が行えるようになっている。2は主ミラーで、観察状態と撮影状態に応じて撮影光路へ斜設されあるいは退去される。また主ミラー2はハーフミラーとなっており、後述する焦点検出光学系に被写体からの光線の約半分を透過させている。3は撮影レンズ11の予定結像面に配置されたピント板、4はファインダー光路変更用のペンタプリズムである。5はアイピースで、撮影者はこの窓よりピント板3を観察することで、撮影画面を観察することが出来る。6、7は観察画面内の被写体輝度を測定する為の結像レンズと測光センサーで、結像レンズ6はペンタプリズム4内の反射光路を介してピント板3と測光センサー7を共役に関係付けている。8はシャッター、9は感光部材で、銀塩フィルム等より成っている。
25はサブミラーであり、被写体からの光線を下方に折り曲げて、焦点検出ユニット26の方に導いている。
焦点検出ユニット26内には、2次結像ミラー27、2次結像レンズ28、焦点検出ラインセンサ29等からなっている。2次結像ミラー27、2次結像レンズ28により焦点検出光学系を成しており、撮影光学系の2次結像面を焦点検出ラインセンサ29上に結んでいる。焦点検出ユニット26は、既知の位相差検出法により撮影画面内の被写体の焦点状態を検出し、撮影レンズの焦点調節機構を制御することにより自動焦点検出装置を実現している。
140はカメラのエプロン脇に付けられたストロボのテスト発光起動スイッチである。
10はカメラとレンズとのインターフェイスとなるマウント接点群であり、11はカメラ本体に装着されるレンズ鏡筒である。12〜14は撮影レンズであり、12は1群レンズで、光軸上を前後に移動することで、撮影画面のピント位置を調整することが出来る。13は2群レンズで、光軸上を前後に可動することで、撮影画面の変倍となり撮影レンズの焦点距離が変更される。14は3群固定レンズである。15は撮影レンズ絞りである。
16は1群レンズ駆動モータであり、自動焦点調節動作に従って1群レンズを前後に移動させることにより自動的にピント位置を調整することが出来る。17はレンズ絞り駆動モータであり、これにより撮影レンズ絞りを所望される絞り径に駆動出来る。
18は外付けストロボ(閃光装置)で、カメラ本体1に取り付けられ、カメラからの信号に従って発光制御を行うものである。19は発光管としてのキセノン管で、電流エネルギーを発光エネルギーに変換する。
20、21は反射板とフレネルレンズであり、それぞれ発光エネルギーを効率良く被写体に向けて集光する役目を有する。22はカメラ本体1と外付けストロボ18とのインターフェースとなるストロボ接点群である。
30は、グラスファイバー等の光伝達手段であり、キセノン管19で発光した光をモニタするフォトダイオード等の第1の受光手段としての受光素子31に導いており、ストロボのプリ発光及び本発光の光量を直接測光しているものである。32は、キセノン管19で発光した光をモニタする第2の受光手段である、フォトダイオード等の受光素子である。受光素子32の出力によりキセノン管19の発光電流を制限することでフラット発光の制御が行われる。20a、20bは反射笠20と一体となったライトガイドであり、受光素子32または受光素子31にキセノン管の光を反射して導く。
次に、図2及び図3は本実施例の電気回路ブロック図を示している。図1と対応する部材には同じ符号が付されている。
カメラ側の制御手段として、カメラマイコン100は、発振器101で作られるクロックをもとに内部の動作が行われる。
記憶手段としてのEEPROM100bは、フィルムカウンタその他の撮影情報を記憶可能である。100cのA/D(アナログ−ディジタル変換器)は、焦点検出回路105、測光回路106からのアナログ信号をA/D変換し、カメラマイコン100はそのA/D値を信号処理することにより各種状態を設定する。カメラマイコン100には、焦点検出回路105、測光回路106、シャッター制御回路107、モーター制御回路108、フィルム走行検知回路109、スイッチセンス回路110、LCD駆動回路111等が接続されている。また、撮影レンズ内に配置されたレンズ制御回路としてのマイコン112とはマウント接点10を介して信号の伝達がなされ、外付けストロボとは、ストロボ接点群22を介してストロボ側の処理手段としてのストロボマイコン238と信号の伝達がなされる。
焦点検出回路105はカメラマイコン100の信号に従い、公知の測距素子であるCCDラインセンサー29の蓄積制御と読み出し制御を行って、ぞれぞれの画素情報をカメラマイコン100に出力する。カメラマイコン100はこの情報をA/D変換し周知の位相差検出法による焦点検出を行う。
カメラマイコン100は焦点検出情報により、レンズマイコン112と信号のやりとりを行うことによりレンズの焦点調節を行う。
測光回路106は被写体の輝度信号として、測光センサ7からの出力をカメラマイコン100に出力する。測光回路106は、被写体に向けてストロボ光をプリ発光していない定常状態とプリ発光しているプリ発光状態と双方の状態で輝度信号を出力する。カメラマイコン100は輝度信号をA/D変換し、撮影の露出の調節のための絞り値の演算とシャッタースピードの演算、及び露光時のストロボ本発光量の演算を行う。
シャッター制御回路107は、カメラマイコン100からの信号に従って、フォーカルプレンシャッタ8を構成するシャッター先幕駆動マグネットMG−1および、シャッター後幕駆動マグネットMG−2を走行させ、露出動作を担っている。
モータ制御回路108は、カメラマイコン100からの信号に従ってモータを制御することにより、主ミラー2のアップダウン、及びシャッターのチャージ、そしてフィルムの給送を行っている。
フィルム走行検知回路109は、フィルム給送時にフィルムが1駒分巻き上げられたかを検知し、カメラマイコン100に信号を送る。
SW1は不図示のレリーズ釦の第1ストロークでONし、測光、AFを開始させるスイッチとなる。SW2はレリーズ釦の第2ストロークでONし、露光動作を開始させるスイッチとなる。SWFELKはプリ発光を独立して行うスイッチであり、TESTはカメラ側からストロボのテスト発光を起動するスイッチである。スイッチSW1、SW2、SWFELK及びその他不図示のカメラの操作部材からの信号は、スイッチセンス回路110が検知し、カメラマイコン100に送っている。
液晶表示回路111はファインダー内LCD24とモニター用LCD42の表示をカメラマイコン100からの信号に従って制御している。SWXはストロボ発光開始スイッチであり、シャッター先幕走行完了と同時にオンする。
次に、カメラマイコン100のストロボとレンズのインターフェース端子の説明を行う。
SCKはストロボとのシリアル通信を行う為の同期クロックの出力端子、SDOはストロボとのシリアル通信の為のシリアルデータ出力端子、SDIはストロボとのシリアル通信の為のデータ入力端子である。SCHGはストロボの発光可能を検出するための入力端子、LCKはレンズとのシリアル通信を行う為の同期クロックの出力端子、LDOはレンズとのシリアル通信の為のシリアルデータ出力端子、LDIはレンズとのシリアル通信の為のデータ入力端子である。
次に、レンズの構成に関して説明を行う。カメラ本体とレンズはレンズマウント接点10を介して相互に電気的に接続される。このレンズマウント接点10は、レンズ内のフォーカス駆動用モータ16および、絞り駆動用モータ17の電源用接点であるL0、レンズ制御手段としてのレンズマイコン112の電源用接点であるL1を有する。また、公知のシリアルデータ通信を行う為のクロック用接点L2、カメラからレンズへのデータ送信用接点L3、レンズからカメラへのデータ送信用接点L4を有する。さらに、前記モータ用電源に対するモータ用グランド接点であるL5、前記レンズマイコン112用電源に対するグランド接点であるL6を有する。
レンズマイコン112は、これらのレンズマウント接点10を介してカメラマイコン100と接続され、1群レンズ駆動モータ16及びレンズ絞りモータ17を動作させ、レンズの焦点調節と絞りを制御している。35、36は光検出器とパルス板であり、レンズマイコン112がパルス数をカウントすることにより1群レンズの位置情報を得ることが出来、レンズの焦点調節を行うことが出来る。次に、ストロボの構成に関して図3を用いて説明を行う。
201は電源であるところの電池、202は公知のDC−DCコンバータであり、電池電圧を数100Vに昇圧する。203は発光エネルギーを蓄積するメインコンデンサ、204、205は抵抗であり、メインコンデンサ203の電圧を所定比に分圧する。
206は発光電流を制限する為の第1のコイル、207は発光停止時に発生する逆起電圧を吸収する為の第1のダイオードである。208は発光電流を制限する為の第2のコイル、209は発光停止時にコイル8に発生する逆起電圧を吸収する為の第2のダイオードである。
19は発光手段であると共に、スレーブストロボの制御情報の出力手段であるところのXe管、211はトリガ発生回路、212はIGBTなどの発光制御回路である。213はコイル208をバイパスさせる為のスイッチング素子であるところのサイリスタである。Xe管19を用いてワイヤレス通信を行う時にXe管19から短い光パルスを発生させる場合、および、閃光発光時の発光停止時の停止制御性を良くする際にコイル208に電流を流さない様にサイリスタ213で発光電流をバイパスさせる。
214はサイリスタ213をターンオンさせる為にサイリスタ213の制御極であるゲートに電流を流す為の抵抗である。215は、サイリスタ213がオフ状態の時に該サイリスタのゲートにノイズが印加されてターンオンする事を防止するためのゲート電位安定化抵抗である。216は、サイリスタ213を急速にオンさせる為のコンデンサ、217はサイリスタ213がオフ状態の時に該サイリスタのゲートにノイズが印加されてターンオンする事を防止するためのノイズ吸収コンデンサである。218はサイリスタ213のゲート電流をスイッチングする為のトランジスタである。
219、220は抵抗、221はトランジスタ218をスイッチングする為のトランジスタ、222、223は抵抗である。230はデータセレクタであり、Y0、Y1の2入力の組み合わせにより、D0、D1、D2を選択してYに出力する。
231はフラット発光の発光光度制御用のコンパレータ、232は閃光発光時の発光量制御用のコンパレータ、32はフラット発光制御用の受光センサであるところのフォトダイオードであり、発光手段であるXe管19の光出力をモニタする。
234はフォトダイオード32に流れる微少電流を増幅すると共に光電流を電圧に変換する測光回路、31は閃光発光制御用の受光センサであるところのフォトダイオードであり、発光手段であるXe管19の光出力をモニタする。
236はフォトダイオード31に流れる光電流を対数圧縮するとともにXe管19の発光量を圧縮積分する為の測光積分回路である。238はストロボ全体の動作を制御するマイコン、22はカメラ本体との通信を行う為にホットシューに設けられた接点群、240はストロボの動作状態を表示する表示手段であるところの液晶ディスプレイである。
241はストロボのワイヤレス動作状態を設定するワイヤレスセレクタースイッチ、242はストロボの電源オンオフを制御する電源スイッチ、243はストロボの充電完了を表示するLEDである。244はストロボが適正光量で撮影出来た事を表示する調光表示LED、245は公知のモータ制御回路、246はカメラ本体に装着されたレンズの焦点距離に応じてXe管19および反射笠20を移動させ、照射角を設定する為のモータである。
247は液晶240を照明する為の不図示のELまたはLED等によるバックライト点灯スイッチ、248はストロボの発光モードを選択する為のモードスイッチである。249は発光モードに付随したパラメータ(例えばマニュアル発光時の発光量等)を選択する為のスイッチ、250は前記パラメータ設定値を増加させる為のアップスイッチ、251は前記パラメータを減少させる為のダウンスイッチである。252は手動で発光照射角を設定する為のズームスイッチ、253、254、255は発光照射角の位置を示すエンコーダ、256はカメラ側からの制御情報の受信手段であるところのフォトダイオードである。257はフォトダイオード256に流れる光電流を増幅し、電圧に変換する受光回路、260はテスト発光スイッチである。
次に、マイコン238の各端子を説明する。
CNTはDC/DCコンバータ2の充電を制御する制御出力端子、LCDSは液晶240を表示点灯する為の配線群、COM1はスイッチ241のグランド電位に相当する制御出力端子である。NORMはストロボの動作状態が通常撮影状態(ワイヤレスモードではない)時に選択される入力端子である。
MASTERはストロボの動作状態がワイヤレスマスターモード、すなわちカメラホットシュー接点群22を用いてカメラに接続され、ワイヤレススレーブストロボの動作を制御する状態である時に選択される入力端子である。SLAVEはストロボの動作状態がワイヤレススレーブモード、すなわちカメラから離れた位置に設置され、マスターストロボからの発光制御光信号を受光素子256で受信し、ストロボの発光を制御する状態である時に選択される入力端子である。
次に、COM2はスイッチ242のグランド電位に相当する制御出力端子、OFFはストロボが電源オフ時に選択される入力端子である。ONはストロボが電源オン時に選択される入力端子、SEはストロボが所定時間経過後に電源オフ状態になる時に選択される入力端子である。
CLKはカメラとのシリアル通信の同期クロック入力端子、DOは同期クロックに同期して、ストロボからカメラにシリアルデータを転送する為のシリアルデータ出力端子である。DIは同期クロックに同期して、カメラからストロボにシリアルデータを転送する為のシリアルデータ入力端子、XはカメラのX接点の入力端子、PIは入力情報であるワイヤレス光信号の入力端子である。
M0、M1はモータドライバの4種類の動作状態(CW駆動,CCW駆動,モータオフ、モータブレーキ)を制御する為の出力端子、TESTはテスト発光スイッチ260の入力端子である。ZOOM0、ZOOM1、ZOOM2は前述のズーム位置を示すエンコーダ253、254、255からの信号を入力する入力端子、COM0はズームエンコーダ等のグランド電位に相当する制御出力端子、ZOOMは前述ズーム位置設定スイッチ252の入力端子である。DOWNは前述発光パラメータの減少スイッチ251の入力端子、UPは前述発光パラメータの増加スイッチ250の入力端子、SEL/SETは前述のデータ選択スイッチ249の入力端子、MODEは前述の発光モード選択スイッチ248の入力端子である。LIGHTは前述の照明スイッチ247の入力端子、YINはデータセレクタ230の出力状態検出の為の入力端子、INTは測光積分回路236の積分制御出力端子である。AD0は測光積分回路236の発光量を示す積分電圧を読み込む為のA/D変換入力端子であり、DA0はコンパレータ231、232のコンパレート電圧を出力する為のディジタルtoアナログ出力端子(D/A出力端子)である。
Y0、Y1は前述データセレクタ230の選択状態設定出力端子であり、TRIGは発光トリガ発生出力端子であり、SCR_CTRLはサイリスタ213の制御出力端子である。
次に、図4は本実施例によるストロボ装置の外観図である。各スイッチおよび表示等は図1と同じ符号を付しているので、説明は省略する。なお、258は前述の情報受信手段であるフォトダイオード256の受光窓であり、この中にフォトダイオードが配置される。
次に、図5はマスターストロボ(送信側ストロボ装置)MSと、1台のスレーブストロボ(受信側ストロボ装置)SSを用いたワイヤレス撮影例を示す図である。
カメラ1に接続されたマスターストロボMSは前述のワイヤレスモード選択スイッチ242がMASTERに設定されてあり、スレーブストロボSSは前述のワイヤレスモード選択スイッチ241がSLAVEに設定されている。
マスターストロボMSの発光制御光は被写体で反射して受光窓258から受光されてスレーブストロボSSの発光を制御する。マスターストロボMSはマスターストロボ自身が発光するモード(マスター発光モード)とマスターストロボ自身はスレーブストロボの制御のみ行うモード(制御専用モード)の2通りの設定が出来る。
なお、図5に示した例で、マスターストロボMSがマスター発光モードに設定されている場合はマスターストロボMSとスレーブストロボは共に発光する。ここで、マスターストロボとスレーブストロボの間で光量比制御は行われずに、同一の発光量で発光する(レシオオフモード)。
図6の(a)はマスター発光モードに設定されたマスターストロボMSと、グループBに設定されたスレーブストロボSSBを用いたワイヤレス撮影例を示す図である。マスターストロボMSは、スレーブストロボSSBを制御するとともに、マスターストロボとスレーブストロボの間で任意の光量比で発光する事が可能である。
図6の(b)は、制御専用モードに設定されたマスターストロボMSと、2台のスレーブストロボSSA、SSBを用いたワイヤレス撮影例を示す図である。2台のスレーブストロボはそれぞれグループAとグループBに設定され、マスターストロボMSの設定により、グループAのストロボとグループBのストロボの間で任意の光量比で発光する事が可能である。
図7の(a)はマスター発光モードに設定されたマスターストロボMSと、グループBに設定されたスレーブストロボSSBと、グループCに設定されたスレーブストロボSSCとを用いたワイヤレス撮影例を示す図である。
マスターストロボMSは、スレーブストロボSSB、SSCを制御するとともに、マスターストロボとスレーブストロボSSB、SSCの間で任意の光量比で発光する事が可能である。
図7の(b)は制御専用モードに設定されたマスターストロボMSと、3台のスレーブストロボSSA、SSB、SSCを用いたワイヤレス撮影例を示す図である。
3台のスレーブストロボはそれぞれグループA、グループB、グループCに設定され、マスターストロボMSの設定により、グループAのストロボとグループBのストロボとグループCのストロボの間で任意の光量比で発光する事が可能である。次に、ストロボ背面に配置された液晶表示器240の表示例を説明する。
図8は図5で説明した1灯ワイヤレス撮影時のストロボの液晶表示器240の表示例である。
同図において、A)、B)、C)は自動調光動作時の表示例であり、D)、E)、F)はマニュアル発光動作時の表示例であり、G)、H)、I)はマルチ発光動作時の表示例である。
また、同図の1列目A)、D)、G)はマスター発光モード時のマスターストロボの表示例であり、2列目B)、E)、H)は制御専用モード時のマスターストロボの表示例であり、3列目C)、F)、I)はスレーブモード時の表示例である。
同図において、301はストロボの発光モード表示であり、マスターストロボの場合(第1列目、第2列目)は、発光モードに応じて自動調光モード(ETTL)、マニュアル発光モード(M)、マルチ発光モード(MULTI)の何れかが選択され、表示される。一方、スレーブモード時(第3列目)ではマスターストロボから指示された発光モードが表示される。
302はフラット発光撮影時である事を示す表示アイコンであり、マスターモード時はフラット発光許可時に表示され、スレーブモード時はマスターストロボからフラット発光が指示された時に表示される。
303は設定ズーム位置を示すズーム表示、304、305はワイヤレスモードを表示するアイコンであり、マスターモードの場合(第1列目、第2列目)は、304の表示が外向きになり、スレーブモードの場合(第3列目)は、304の表示が内向きとなる。305はワイヤレスモード時の正面発光マークであり、第1列目のマスター発光モード時は表示され、第2列目の制御専用モード時は消灯する事により、視覚的に制御専用モードである事を表現する。
306はチャネル表示であり、複数の撮影者が本発明のストロボシステムを同時に使う場合に、混信しないように設定したチャネルが表示される。
307はスレーブモードが選択された時に表示されるスレーブモード表示であり、本実施例ではABCの3状態の何れかが表示される。
308はマニュアル発光モード時は、設定されたマニュアル発光量の表示であり、マルチ発光モード時は、マルチ発光の1発あたりの発光量を表示する。また、マスターモード(第1列目、第2列目)の時はマスターストロボで設定した値が表示され、スレーブモード(第3列目)の時はマスターストロボから指示された値が表示される。
309はマルチ発光モード時に設定された発光回数の表示であり、マスターモード(第1列目、第2列目)時はマスターストロボで設定した値が表示され、スレーブモード(第3列目)の時はマスターストロボから指示された値が表示される。
310はマルチ発光モード時に設定された周波数の表示であり、マスターモード(第1列目、第2列目)時はマスターストロボで設定した値が表示され、スレーブモード(第3列目)の時はマスターストロボから指示された値が表示される。
図9は図6の(a)および図6の(b)で説明した2灯光量比ワイヤレス撮影モード時のストロボの液晶表示器240の表示例である。同図において図8と異なる箇所のみ説明する。
320は光量比モードである事を示す表示であり、グループAのストロボとグループBのストロボの2グループを制御できる事を示している。
321は自動調光モード時にグループAのストロボとグループBのストロボ間の光量比を示す表示であり、本実施例ではA:Bの光量比を8:1から1:8まで1/2段刻みに連続的に設定できる。設定した光量比は322のマーク点灯位置により視覚的に認識できる。
また、マスターストロボでのマニュアル発光モード時の発光量表示308は、本実施例では1グループ分しか表示できないので、光量比モード表示320のAまたはBのいずれか点滅しているグループの発光量が発光量表示308に表示される。また、マスターストロボでのマルチ発光モード時の発光量表示308も同様に光量比モード表示320のAまたはBいずれかの点滅により表す。
また、スレーブ表示307はC)またはK)の表示例ではグループAに設定された状態を示しており、F)ではグループBに設定された状態を示している。
図10は図7の(a)および図7の(b)で説明した3灯光量比ワイヤレス撮影モード時のストロボの液晶表示器240の表示例である。同図において図8、図9と異なる箇所のみ説明する。
320は光量比モードである事を示す表示であり、グループAのストロボ、グループBのストロボ、グループCのストロボの3グループを制御できる事を示している。
323は自動調光動作時にグループCのストロボの調光レベル表示である。本実施例では、図7の(a)、(b)に示す様に、グループCのストロボは背景照明用として用いられる事を考慮し、グループAのストロボ、グループBのストロボとは独立して、グループC単体での適正調光レベルに対する補正量を設定、表示できるようにしている。
また、スレーブ表示307はC)の表示例ではグループAに設定された状態を示しており、F)ではグループBに設定された状態を示しており、K)ではグループCに設定された状態を示している。
また、図8〜図10の液晶表示例において、自動調光モード、マニュアル発光モード、マルチ発光モードの発光モードの設定は、図4のMODEボタン248を押す事により選択される。スレーブストロボの発光形態であるスレーブ制御数の設定(RATIO OFF、A:B、A:B:C)、マニュアル発光量、マルチ発光回数、マルチ発光周波数、A:Bの光量比、Cの調光レベル、制御チャネル、マスター発光モードと制御専用モード、スレーブストロボに於ける発光グループの設定等は、いずれも図4のSELボタン249を押して、設定すべき項目を選択して、図4の+ボタン250、―ボタン251で設定する。
また、ノーマルモード、ワイヤレスマスターモード、ワイヤレススレーブモードの設定は図4のスイッチ241を切り換える事により選択できる。
<ワイヤレス通信の説明>
次に、マスターストロボからスレーブストロボに発光情報を伝達する為のワイヤレス通信に関して図11を例にして説明する。
図11はスレーブストロボをプリ発光させる時にマスターストロボMSが発生するワイヤレス光制御信号を示す図である。
A)は前述のカメラからストロボへのシリアル通信の為の同期クロック信号であり、B)は前述のカメラからストロボへのデータ出力信号であり、C)は前述のストロボからカメラへのデータ出力信号である。
また、D)、E)はマスターストロボがXe管19をパルス的に断続発光させて発生するスレーブストロボへのワイヤレス光通信信号であり、D)はマスターストロボが制御専用モードの場合の発光信号を示している。E)はマスターストロボがマスター発光モードの場合の発光信号を示しており、F)はスレーブストロボの発光を示している。
同図において、カメラから前述のシリアル通信線を介してプリ発光指示が行われると、マスターストロボはD)またはE)に示すワイヤレス光通信信号を発生する。
その1バイト目はSTARTパルスとCHパルスおよび、D7〜D0の合計10bitのデータで構成されている。STARTとCH間隔がチャネル識別信号を示し、続く所定間隔のD7〜D0が1バイトのデータを示している。その1バイトデータはD7〜D0の光パルスの組み合わせで発光モード(プリ発光、メイン発光、マニュアル発光、マルチ発光)と、閃光またはフラット発光モードと、フラット発光時の発光時間等の情報を圧縮して構成している。このコマンドの内容に関しては後述する。
続く2バイト目以降は所定間隔のSTARTパルスとD7〜D0が1バイトのデータを示し、前述の発光モードに応じた発光量等のデータを示す。また、ワイヤレス光通信信号の通信データ長は、発光モードに応じて所定の長さが定義されており、図6に示したプリ発光通信では2バイトの長さを持つ。なお、1バイト目のみチャネル識別信号を重畳し、2バイト目以降は付与しないのは、通信の長さを短縮する為である。
マスターストロボMSは前記ワイヤレス送信をしている間はDO通信ラインをローレベルに落としており、送信終了すると、ハイレベルに戻す。
時刻t2にてカメラはDO通信ラインがハイレベルに戻ったのを認識して、時刻t3にてCLK信号ラインを引き下げてプリ発光開始を指示する。
マスターストロボMSはCLK通信ラインが立ち下がった事を検出して、制御専用モードの場合は図11(3)に示す発光開始光パルスを発生し、マスター発光モードの場合は図11(4)に示すカメラから指示された所定時間、所定発光光度の発光を行う。
一方、スレーブストロボはマスターストロボMSからのワイヤレス光通信パルスの1バイト目、2バイト目を受信しチャネル符号、発光モード、発光時間、発光量等の情報をデコードする。そして、前述のマスターストロボの発光に同期して、図11(5)に示す所定の光量、所定発光時間のプリ発光が行われる。
次に、前述のワイヤレス通信の代表的なコマンドを図12の通信テーブルを用いて説明する。
図12は本実施例におけるワイヤレス通信の代表的な通信モードを示す表である。
1バイト目はコマンドであり、詳細に説明する為に1bit毎に表示している。また、1バイト目のD7からD0は図11に於けるD7からD0に相当する。
1バイト目のD7ビットに記載してあるFSは、閃光発光とフラット発光を示すビットであり、閃光発光の時は0、フラット発光の時は1である。また、マルチ発光は閃光発光で行われるので0である。
D2ビットからD0ビットは発光時間を示し、T2、T1、T0の3ビットの組み合わせで8通りの時間を表し、フラットプリ発光時はプリ発光時間を示し、本発光時は、シャッタ速度と幕速に応じたフラット発光の発光時間を示している。
2バイト目から5バイト目までは各発光コマンドに続くデータであり、コマンドに応じた長さをもち、発光量、マルチ発光の周波数、マルチ発光回数等のデータである。
また、マルチ発光時の3バイト目から5バイト目にあるF/Cは、マルチ発光の周波数と発光回数を示すデータであり、1バイトを4bitずつに分割して、周波数と発光回数を表している。
また、テスト発光時のデータはテスト発光のモードを示しており、図12下のテスト発光モード表に示す内容となっている。
次に、図13のフローチャートを用いて、スレーブストロボの情報受信動作を説明する。
[ステップ01]スレーブストロボは受信手段であるフォトダイオード256にて、マスターストロボからのワイヤレス情報信号を受信すると、受光回路257を通して、信号は増幅およびフィルタリングされる。そして、光パルスのような早い立ち上がりの信号のみがマイコン238のPI端子に入力され、内部のバッファに入る。
[ステップ02]受信1バイト目のデータは先頭のSTARTパルスとCH.パルスの間隔がチャネルを表すので、その間隔を計測し、チャネルを識別するとともに残りのD7からD0のデータが、図12のコマンドに合致するか解析する。
[ステップ03]受信した1バイト目のコマンドが図7のコマンドテーブルに合致しない場合はコマンドエラーとしてステップ13に分岐する。
[ステップ04]受信したコマンドに応じて、残り受信すべき受信長をセットする。
[ステップ05]受信すべき残りデータが0の場合はデータ受信処理を終了して、ステップ07に分岐する。
[ステップ06]残りのデータを受信する。
[ステップ07]受信したデータが適切か判別し、不適切な場合は発光処理に進まず、ステップ13に分岐する。
[ステップ08]マスターストロボの発光開始を検出すればステップ10に進み、検出しない場合はステップ09に分岐する。
[ステップ09]所定時間マスターストロボの発光開始を検出できない場合は、タイムアウトとしてステップ13に分岐する。
[ステップ10]ステップ02で識別したチャネルがスレーブストロボのチャネルに合致しない場合は発光処理を行わずステップ13に分岐する。
[ステップ11]受信したコマンドおよびデータに従った発光処理を行う。
[ステップ12]発光した状態(発光形態:閃光発光、フラット発光、発光モード:自動調光、マニュアル発光、マルチ発光、発光パラメータ:発光量、発光回数、発光周波数など)を液晶表示器240に表示する。なお、本実施例では、テスト発光時は表示または更新は行わないようにしている。
[ステップ13]コマンドエラー、データエラーなどの場合は発光処理を行わず、所定時間待機した後、次のデータの受信待ちとする。
次に、テスト発光時のマスターストロボとスレーブストロボの発光動作を図14のフローチャートを用いて説明する。
同図において、ステップ101からステップ107は、マスター送信装置(ワイヤレス制御装置)であるマスターストロボの動作を示し、ステップ108からステップ115はスレーブストロボの動作を示す。ここで、マスターストロボとはワイヤレスセレクタースイッチ241をMASTERにセットした状態であり、スレーブストロボとは、ワイヤレスセレクタースイッチ241をスレーブにセットした状態である。
以下のフローチャートは、カメラのテスト発光スイッチ140またはストロボのテスト発光スイッチ260がオンされた時に実行されるルーチンである。カメラのテスト発光スイッチ140が押された場合は、前述のカメラとストロボ間のシリアル通信インターフェースSCK、SDI、SDOを介して公知のシリアル通信で、カメラからストロボにテスト発光スイッチが押された事を通信する。一方、ストロボ側のテスト発光スイッチ260が押された場合はストロボマイコン238がダイレクトに検出するものである。
[ステップ101]カメラのテスト発光スイッチ140または、マスターストロボのテストスイッチ260が押されると、マスターストロボで設定された発光モードにより異なったテスト発光を行う為に、マニュアル発光モードおよびマルチ発光モードの時はステップ102に分岐し、自動調光モードの時はステップ101に分岐する。なお、自動調光モードにおいては、テスト発光モードは、スレーブストロボの位置確認が主たる目的であり、またマニュアル、マルチ発光モードでの本発光での発光量を事前に確認することを主たる目的であるとすることができる。
[ステップ102]マニュアル発光モード、マルチ発光モードの場合は図12に示した以下の発光コマンドとデータを送信する準備を行う。
1)マニュアル1灯(レシオオフ)モード:コマンド8とマスターストロボで設定された発光量
2)マニュアル2灯モード:コマンド9とマスターストロボで設定されたグループAのストロボ発光量とグループBのストロボ発光量
3)マニュアル3灯モード:コマンド10とマスターストロボで設定されたグループAのストロボ発光量とグループBのストロボ発光量とグループCのストロボ発光量
1)マルチ1灯(レシオオフ)モード:コマンド11とマスターストロボで設定された発光量と発光回数、発光周波数
2)マニュアル2灯モード:コマンド12とマスターストロボで設定されたグループAのストロボ発光量とグループBのストロボ発光量と発光回数、発光周波数
3)マニュアル3灯モード:コマンド13とマスターストロボで設定されたグループAのストロボ発光量とグループBのストロボ発光量とグループCのストロボ発光量と発光回数、発光周波数
[ステップ103]自動調光モードの場合でマスターストロボの設定がレシオオフの場合は、ステップ104、A:Bの場合はステップ105、A:B:Cの場合はステップ106に分岐する。
[ステップ104]レシオオフの場合は図12に示したコマンド14とデータF0Hを送信する準備を行う。
[ステップ105]A:Bの場合は図12に示したコマンド14とデータF1Hを送信する準備を行う。
[ステップ106]A:B:Cの場合は図12に示したコマンド14とデータF2Hを送信する準備を行う。
[ステップ107]図11で説明したのと同様の方法で、マスターストロボはコマンドとデータをスレーブストロボに送信する。
[ステップ108]スレーブストロボは、ステップ107でマスターストロボから送信されたコマンドとデータを受信すると、受信したコマンドがコマンドの14のテストコマンドであった場合はステップ111に分岐する。また、コマンド8から13のマニュアルまたはマルチ発光のコマンドの場合はステップ109に分岐する。
[ステップ109]送られて来たコマンドと各グループの発光データと、自分の設定されたグループの合致を調べて、合致しない場合はテスト発光を行わないので、ステップ110はスキップする。
すなわち、同一チャネルに設定されている全てのストロボが同一条件で発光するレシオオフモードの場合は、スレーブのグループ設定にかかわらずテスト応答を行う。レシオオンモード(A:BまたはA:B:C)でスレーブのグループ設定を間違えた場合、例えば、A:Bの2灯発光モードでスレーブストロボをグループCに設定した場合は、スレーブストロボがテスト応答を行わない。このため、撮影者に設定の間違いを認識させる事ができる。
[ステップ110]発光グループが合致した場合は指示された発光モードと発光データでテスト発光を行う。例えばマニュアルモードの場合は、マスターモードで設定された発光量でテスト発光を行う。
[ステップ111]マスターストロボから受信したコマンドがコマンド14、すなわち自動調光モードでのテスト発光の場合、コマンド14に続くデータに応じてデータがF0H、すなわち、レシオオフモードの場合はステップ112に分岐する。それ以外の場合はステップ113に分岐する。
[ステップ112]レシオオフモードの場合は、スレーブストロボのグループ設定は関係なく、同一の条件で発光する事になるので、テスト応答までの待ち時間を同一の所定値とする。
[ステップ113]レシオオンモードの場合は、送られて来たデータと自分の設定されたグループの合致を調べて、合致しない場合はテスト発光を行わないので、以降の発光処理はスキップする。
すなわち、A:Bの2灯発光モードでスレーブストロボをグループCに設定した場合は、スレーブストロボがテスト応答を行わない事になるので、撮影者に設定の間違いを認識させる事ができる。
[ステップ114]設定グループに応じた所定の時間、テスト応答を待つ。
例えば、グループAのストロボは0.3秒、グループBのストロボは0.6秒、グループCのストロボは0.9秒の待ち時間(0.3秒間隔)を設ける。
[ステップ115]所定の光量でテスト発光を行う。
次に、図15、図16のタイミングチャートを用いてテスト発光時の代表的な動作を説明する。
図15は自動調光のレシオオフ時のテスト発光の状態(選択されているストロボの発光光度は同じであるから、各ストロボの発光光度の違いを確認する必要はなく、選択されているストロボの確認ができればよいから、各グループのストロボは同時に発光する)である。図16は自動調光A:B:Cモード時のテスト発光の状態(自動調光であるから、各ストロボは本発光の発光光度で発光する必要はなく、どのストロボが選択されているかを個別にできれば良いので、時系列で発光させている)である。
各図において、A)はマスターストロボのテスト発光スイッチ260またはカメラのテスト発光スイッチ140の状態であり、B)はマスターストロボのXe管の発光波形である。C)はグループAに設定されたスレーブストロボの発光波形であり、D)はグループBに設定されたスレーブストロボの発光波形であり、E)はグループCに設定されたスレーブストロボの発光波形である。
まず、図15を説明する。
[タイミングt0]テスト発光スイッチがオンされる。
[タイミングt1]マスターストロボはXe管19をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]レシオオフの自動調光なので、図12で示したF0Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管19をパルス発光させて、スレーブストロボに発光開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、同一テスト発光である事を解析し、自らの発光グループに関わらず所定の待ち時間をカウントする。
[タイミングt4]所定の待ち時間終了後、各スレーブストロボは発光グループの設定にかかわらず、同時に所定の発光量のテスト発光を行う。
従って、レシオオフ時の同一発光モードの場合は、スレーブストロボのグループの設定に関わらず発光が行われるので、撮影者がスレーブストロボの発光グループの設定が一致していなくても正しく発光が行われる。
次に、図16を説明する。
[タイミングt0]テスト発光スイッチがオンされる。
[タイミングt1]マスターストロボはXe管19をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]A:B:Cの自動調光なので、図12で示したF2Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管19をパルス発光させて、スレーブストロボに発光開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、自動調光ABCである事を解析し、自らの発光グループに応じて所定の待ち時間をカウントし、テスト発光の発生を待つ。
[タイミングt4]グループAの待ち時間終了後、グループAに設定されたスレーブストロボが所定の発光量のテスト発光を行う。
[タイミングt5]グループBの待ち時間終了後、グループBに設定されたスレーブストロボが所定の発光量のテスト発光を行う。
[タイミングt6]グループCの待ち時間終了後、グループCに設定されたスレーブストロボが所定の発光量のテスト発光を行う。
ここでもし撮影者がA:B:Cの3灯撮影を行おうとしているのに、スレーブストロボのグループ設定をA、C、Cと設定した場合は、真ん中のBが発光していない事により、設定間違いをしている事を認識できる。
また、特にテストスイッチをオンしてから各スレーブストロボが等間隔のディレイをもって発光する事により、間違ったスレーブ設定をしている場合にはスレーブ応答のリズムが崩れるので、容易にどのスレーブストロボの設定を間違えているか認識する事が可能となる。
なお、実施例1では、自動調光モード時のみ設定グループに応じてスレーブストロボの応答に時間的なディレイを持たせ、自動調光モード以外の時は各スレーブに時間差を持たせず、設定された発光条件(発光量、発光周波数、発光回数)で発光させている。これは、特にマニュアル発光モードの場合は、テスト発光により被写体のそばにおかれた公知のストロボ露出メータで露出を決める使い方をする場合が多いので、各スレーブストロボが同時に発光しないと、ストロボメータで測光できない事を考慮した為である。ただし、応答を確認する為だけであれば、自動調光モードと同様に、ディレイ時間などで、スレーブ応答を変えてもかまわない。また、ストロボ制御情報の送信手段としてマスターストロボのXe管による発光を用いたが、これに限るものではない。すなわち、Xe管の前に赤外フィルターを装着して赤外線で送信したり、あるいは、高輝度のLED等で送信したり、あるいは超音波や電波を用いて送信しても同様の結果が得られるのは言うまでもない。
以上説明した様に実施例1では以下の効果がある。
複数のスレーブストロボの発光制御を行う多灯ストロボシステムにおける、撮影前のスレーブストロボのテスト応答において、多灯発光モードが選択された時は、スレーブストロボの発光グループに応じて、テスト発光するまでのディレイ時間を変えるなどの、テスト応答の形態を変える。これにより、各発光グループのストロボの配置と応答を容易に確認できる効果がある。
また、ワイヤレスストロボ制御装置が複数の発光モードをもち、設定された発光モードに応じたテスト発光情報をスレーブストロボに指示する事により、発光モードに応じた適切なテスト発光を行う事ができる。
実施例2では、スレーブストロボのテスト応答に発音体を用いて音により応答を確認する例である。
図17は実施例2におけるストロボの電気回路ブロック図である。図3と同じ箇所は説明を省略する。
同図において、261は圧電ブザーなどの発音体であり、所定周波数の駆動電圧を印加すると印加した周波数(音程)の音を発生する。
またマイコン238のBZ出力端子は発音体261の駆動出力端子であり、所定周波数、所定振幅の駆動信号を出力する。
次に、テスト発光時のマスターストロボとスレーブストロボの発光動作を図18のフローチャートを用いて説明する。
以下のフローチャートは、実施例1と同様に、カメラのテスト発光スイッチ140またはストロボのテスト発光スイッチ260がオンされた時に実行するルーチンである。カメラのテスト発光スイッチ140が押された場合は、前述のカメラとストロボ間のシリアル通信インターフェースSCK、SDI、SDOを介して公知のシリアル通信で、カメラからストロボにテスト発光スイッチが押された事を通信する。一方、ストロボ側のテスト発光スイッチ260が押された場合はストロボマイコン238がダイレクトに検出するものである。
[ステップ201]カメラのテスト発光スイッチ140または、マスターストロボのテストスイッチ260が押されると、マスターストロボで設定された状態に応じて、レシオオフの場合はステップ202、A:Bの場合はステップ203、A:B:Cの場合はステップ204に分岐する。
[ステップ202]レシオオフの場合は、図12に示したコマンド14とデータF0Hを送信する準備を行う。
[ステップ203]A:Bの場合は、図12に示したコマンド14とデータF1Hを送信する準備を行う。
[ステップ204]A:B:Cの場合は、図12に示したコマンド14とデータF2Hを送信する準備を行う。
[ステップ205]図14で説明したのと同様の方法で、マスターストロボはコマンドとデータをスレーブストロボに送信する。
[ステップ206]スレーブストロボはステップ205でマスターストロボから送信されたコマンドとデータを受信すると、受信したコマンド14に続くデータに応じてデータがF0H、すなわち、レシオオフモードの場合はステップ207に分岐する。それ以外の場合はステップ208に分岐する。
[ステップ207]レシオオフモードの場合は、スレーブストロボのグループ設定は関係なく、同一の条件で発光する事になるので、テスト応答までの待ち時間を同一の所定値とする。
[ステップ208]レシオオンモード(A:BまたはA:B:C)の場合は送られて来たデータと自分の設定されたグループの合致を調べて、合致しない場合はテスト発光を行わないので、以降の発光処理はスキップする。
すなわちA:Bの2灯発光モードでスレーブストロボをグループCに設定した場合は、スレーブストロボがテスト応答を行わない事になるので、撮影者に設定の間違いを認識させる事ができる。
[ステップ209]設定グループに応じた所定の時間、テスト応答を待つ。
例えば、グループAのストロボは0.3秒、グループBのストロボは0.6秒、グループCのストロボは0.9秒(0.3秒の間隔)の待ち時間を設ける。
[ステップ210]所定の周波数で発音体261が発音する。
次に、図19、図20のタイミングチャートを用いてテスト発光時の代表的な動作を説明する。
図19はレシオオフ時のテスト応答の状態であり、図20はA:B:Cモード時のテスト応答の状態である。
各図において、A)はマスターストロボのテスト発光スイッチ260またはカメラのテスト発光スイッチ140の状態であり、BはマスターストロボのXe管の発光波形であり、C)はグループAに設定されたスレーブストロボの発音体261の発音波形である。D)はグループBに設定されたスレーブストロボの発音体261の発音波形であり、E)はグループCに設定されたスレーブストロボの発音体261の発音波形である。
まず、図19を説明する。
[タイミングt0]テスト発光スイッチがオンされる。
[タイミングt1]マスターストロボはXe管19をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]レシオオフなので、図12で示したF0Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管19をパルス発光させて、スレーブストロボに発音開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、同一テスト応答である事を解析し、自らの発光グループに関わらず所定の待ち時間をカウントし、テスト応答の発生を待つ。
[タイミングt4]所定の待ち時間終了後、各スレーブストロボは同時に所定の周波数で発音を行う。
次に、図20を説明する。
[タイミングt0]テスト発光スイッチがオンされる。
[タイミングt1]マスターストロボはXe管19をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]A:B:Cの自動調光なので、図12で示したF2Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管19をパルス発光させて、スレーブストロボに発音開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、自動調光ABCである事を解析し、自らの発光グループに応じて所定の待ち時間をカウントする。
[タイミングt4]グループAの待ち時間終了後、グループAに設定されたスレーブストロボが所定の周波数で発音を行う。
[タイミングt5]グループBの待ち時間終了後、グループBに設定されたスレーブストロボが所定の周波数で発音を行う。
[タイミングt6]グループCの待ち時間終了後、グループCに設定されたスレーブストロボが所定の周波数で発音を行う。
ここでもし撮影者がA:B:Cの3灯撮影を行おうとしているのに、スレーブストロボのグループ設定をA、C、Cと設定した場合は、真ん中のBが発音していない事により、設定間違いをしている事を認識できる。
また、特にテストスイッチをオンしてから各スレーブストロボが等間隔のディレイをもって発音する事により、間違ったスレーブ設定をしている場合にはスレーブ応答のリズムが崩れる。これにより、容易にどのスレーブストロボの設定を間違えているか認識する事が可能となる。
また、各スレーブストロボの発音周波数(音程)を異ならせると、一層各スレーブストロボの応答を明確に判別する事が可能になる。
なお、実施例2ではテスト応答を発音体の発音により行っているので、実施例1の様にマニュアル発光時はストロボメータを用いた測光を行う、と言う事ができない。このため、自動調光モードおよび、マニュアル、マルチ発光モードの区別はしないで、設定グループに応じてスレーブストロボの応答に時間的なディレイを持たせている。
また、ストロボ制御情報の送信手段としてマスターストロボのXe管による発光を用いたが、これに限るものではない。すなわち、Xe管の前に赤外フィルターを装着して赤外線で送信したり、あるいは、高輝度のLED等で送信したり、あるいは超音波や電波を用いて送信しても同様の結果が得られるのは言うまでもない。
また、同一のストロボで実施例1で説明した、テスト発光で応答する場合と、実施例2で示した発音体の発音で応答する事を選択できる様にしてもよい。
以上説明した様に実施例2では以下の効果がある。
複数のスレーブストロボの発光制御を行う多灯ストロボシステムにおける、撮影前のスレーブストロボのテスト応答において、多灯発光モードが選択された時は、スレーブストロボの発光グループに応じて、音によりテスト応答するまでのディレイ時間を変えたり、その音程を変えるなどの、テスト応答の形態を変える。これにより、各発光グループのストロボの配置と応答を容易に確認できる効果がある。
実施例3では、カメラに内蔵されたストロボを用いてスレーブストロボ制御用の信号を発生する事により、カメラから離れた位置に設置されたスレーブストロボを制御するものである。
図21は実施例3に於けるカメラの横断面を示す。図1と対応する部材には同じ符号が付されているので説明は省略する。
同図において、118、119はフレネルレンズと反射板であり、それぞれ発光エネルギーを効率良く被写体に向けて集光する役目を有する。120は発光手段としてのキセノン管である。
121は内蔵ストロボのTTL自動調光を行う為のフィルム面の反射光をモニタするための調光センサであり、122は調光センサにフィルム面の像を結像する為のレンズである。123はXe管120の発光量を直接モニタする為の受光素子である。
図22は実施例3に於ける回路のブロック図である。図2と対応する部材には同じ符号が付されている。同図に於いて、113はストロボの発光制御を行う為のストロボ発光回路である。この回路は図23で詳細に説明する。
図23、ストロボ発光制御回路113の内部を説明する回路図である。
同図に於いて、121はストロボによるフィルム面反射光を受光してTTL調光制御を行う為の受光センサ、123はXe管120の発光を直接モニタする受光センサ、124は電源であるところの電池である。125は公知のDC−DCコンバータであり、電池電圧を数100Vに昇圧する。
126は発光エネルギーを蓄積するメインコンデンサ、127、128は抵抗であり、メインコンデンサ126の電圧を所定比に分圧する。129は発光電流を制限する為の第1コイル、130は発光停止時にコイル129に発生する逆起電圧を吸収する第1のダイオードである。
131はトリガ発生回路、132はIGBTなどの発光制御回路、133はデータセレクタであり、Y0、Y1の2入力の組み合わせにより、D0、D1、D2を選択してYに出力する。
134はワイヤレスパルス発光時にXe管120の発光量を調停する為のコンパレータ、135はTTL調光制御時に所定の発光量でXe管120の発光量を調停する為のコンパレータである。136は受光センサ123に流れる微少電流を増幅すると共に光電流を電圧に変換する測光回路、137は受光センサ121で受光した被写体反射光を積分する為の積分回路である。
308は発光電流を制限する為の第2のコイル、309は発光停止時にコイル308に発生する逆起電圧を環流させる為のダイオードである。
313はコイル308をバイパスさせる為のスイッチング素子であるところのサイリスタ、314はサイリスタ313をターンオンさせる為にサイリスタ313の制御極であるゲートに電流を流す為の抵抗である。315は、サイリスタ313がオフ状態の時に該サイリスタのゲートにノイズが印加されてターンオンする事を防止するためのゲート電位安定化抵抗、316は、サイリスタ313を急速にオンさせる為のコンデンサである。317はサイリスタ313がオフ状態の時に該サイリスタのゲートにノイズが印加されてターンオンする事を防止するためのノイズ吸収コンデンサ、318はサイリスタ313のゲート電流をスイッチングする為のトランジスタである。319、320は抵抗、321はトランジスタ318をスイッチングする為のトランジスタ、322、323は抵抗である。
このカメラ内蔵のストロボの回路構成は、基本的に実施例1で説明したストロボと同じ構成であるので、説明を省略する。
次に、図24は実施例3におけるストロボシステムを用いた撮影例を示す図であり、カメラの内蔵ストロボを用いて2台スレーブストロボの制御を行う例である。実施例3では、カメラに内蔵したストロボが実施例1と同様に、スレーブストロボを制御する為のワイヤレス光信号を発生し、カメラ本体から離れた位置に配置されるスレーブストロボに制御情報を送信し、ワイヤレススレーブ撮影が可能になるものである。
図25はワイヤレスモード時のカメラのモニター用LCD42の表示例でありストロボ制御モードを表示した例である。
A)は2灯自動調光撮影時の表示であり、B)は2灯マニュアル発光時の表示であり、C)は2灯マルチ発光時の表示である。
同図において、141はシャッタースピード設定値、142は絞り設定値、143はフィルム撮影枚数表示、144は発光モード表示、145はワイヤレスモード表示、146は高速シンクロ表示、147はチャネル表示である。148はA:B光量比設定モードである事を示す表示、149はA:Bの光量比の表示であり、150はA:Bの光量比設定値を示す表示である。
151はストロボマニュアル発光モード時はグループAのストロボの発光量であり、152は同様にグループBのストロボの発光量であり、ストロボマルチ発光モード時はグループAのストロボのマルチ発光1発当たりの発光量である。152は同様にグループBのストロボの発光量である。153はストロボマルチ発光時の発光回数であり、154は発光周波数である。
図25で示した様に、カメラ本体は基本的に実施例1で示したワイヤレスマスターストロボと同一の動作が可能となっている。ただし、表示部材の都合上、カメラ本体からはグループAとグループBの2グループのスレーブストロボのみ制御が出来る様になっている。
次に、図26および図27のタイミングチャートを用いて、カメラのテスト発光スイッチを押した場合のカメラとスレーブストロボの応答を説明する。
図26は自動調光、レシオオフ時のテスト発光の状態であり、図27は自動調光A:Bモード時のテスト発光の状態である。
各図において、A)はカメラのテスト発光スイッチ140の状態であり、BはカメラのXe管の発光波形であり、C)はグループAに設定されたスレーブストロボの発光波形であり、D)はグループBに設定されたスレーブストロボの発光波形である。
まず、図26を説明する。
[タイミングt0]テスト発光スイッチがオンされる。
[タイミングt1]カメラは内蔵ストロボのXe管120をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]レシオオフの自動調光なので、図12で示したF0Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管120をパルス発光させて、スレーブストロボに発光開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、同一テスト発光である事を解析し、自らの発光グループに関わらず所定の待ち時間をカウントする。
[タイミングt4]所定の待ち時間終了後、各スレーブストロボは同時に所定の発光量のテスト発光を行う。
次に、図27を説明する。
[タイミングt0]カメラのテスト発光スイッチ140がオンされる。
[タイミングt1]Xe管120をパルス発光させて、図12のコマンド14を送信する(1)。
[タイミングt2]A:Bの自動調光なので、図12で示したF1Hを送信する(2)。
[タイミングt3]Xe管120をパルス発光させて、スレーブストロボに発光開始タイミング信号(3)を送信する。
一方、スレーブストロボはコマンド(1)とデータ(2)を受信して、自動調光ABである事を解析し、自らの発光グループに応じて所定の待ち時間をカウントし、テスト発光の発生を待つ。
[タイミングt4]グループAの待ち時間終了後、グループAに設定されたスレーブストロボが所定の発光量のテスト発光を行う。
[タイミングt5]グループBの待ち時間終了後、グループBに設定されたスレーブストロボが所定の発光量のテスト発光を行う。
ここでもし撮影者がA:Bの2灯撮影を行おうとしているのに、スレーブストロボのグループ設定をA、Cと設定した場合は、グループBに設定したストロボが発光しない事により、設定間違いをしている事を認識できる。また、特にテストスイッチをオンしてから各スレーブストロボが等間隔のディレイをもって発光する事により、間違ったスレーブ設定をしている場合にはスレーブ応答のリズムが崩れるので、容易にどのスレーブストロボの設定を間違えているか認識する事が可能となる。
なお、実施例3では実施例1と同様に、自動調光モード時はスレーブストロボの応答に時間的なディレイを持たせ、自動調光モード以外の時は各スレーブに時間差を持たせず、設定された発光条件(発光量、発光周波数、発光回数)で発光させるようにすれば、実施例1と同様の効果が得られる。
また、実施例2と同様にスレーブストロボの応答を発音にしてもよい。すなわち、送信をカメラ内蔵のストロボで行うというのみで、目的効果は実施例1,2と同様のものが得られるのは言うまでもない。
(発明と実施の形態の対応)
以上の実施形態に於いて、図12に示すコマンドとデータが本発明のストロボ制御情報に相当する。