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JP4476460B2 - キャップ - Google Patents

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JP4476460B2
JP4476460B2 JP2000271982A JP2000271982A JP4476460B2 JP 4476460 B2 JP4476460 B2 JP 4476460B2 JP 2000271982 A JP2000271982 A JP 2000271982A JP 2000271982 A JP2000271982 A JP 2000271982A JP 4476460 B2 JP4476460 B2 JP 4476460B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、点滴液、注射液等を収容する薬液容器、または輸液ラインの混注部等に用いられるキャップに関する。
【0002】
【従来の技術】
通常、薬液容器の口部や輸液ラインの混注部はゴム栓により封止されており、当該口部や混注部から他の薬液等を注入する際には、金属製注射針等の先端が鋭利な針を有する注射器が用いられていた。
しかしながら、この場合、金属製注射針等の鋭利な先端を誤って手指に刺すおそれがあり、近年、このような事故がとりわけ感染症対策の観点から問題視されている。また、前記注射器は注射針をゴム栓に刺通させた状態では不安定であって、注射器自体を手で支える必要があるため、作業性が十分ではなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
先端の鋭利な針で手指を誤って刺してしまう事故を防止することを目的として、例えば、放射状の切り込みが設けられたゴム弾性弁で輸液ラインの混注部を封止し、先端部が平らで周縁が面取りされたチューブからなる鈍針を前記切り込みの中心に押込み、挿入する(特開平7−236697号公報、登録実用新案第3004402号公報)等、鋭利な針を用いない方式が種々提案されている。
【0004】
しかしながら、上記公報に開示されたように、切り込みを有するゴム栓を用いた場合には、薬液容器や輸液ライン等の密封性が損なわれる問題が生じる。とりわけ薬液容器については、容器内に充填される薬剤によって高圧蒸気滅菌や熱水滅菌等の滅菌処理を行う必要があるため、前記の切り込みが設けられていると滅菌処理の際に蒸気や熱水が浸入する問題が生じてしまう。従って、薬液容器のキャップには、上記構造を有する弁を適用することができなかった。
【0005】
また、ゴム栓に切り込みを設けた場合には、鈍針をゴム栓内に安定して保持させることができず、依然として注射器自体を手で支える必要があるため、薬液注入時等における作業性を向上させることはできなかった。
そこで本発明の目的は、薬液容器の口部や輸液ラインの混注部に用いられるキャップを提供することであって、より詳しくは、薬液容器や輸液ラインの密封性を維持しつつ、先端が鋭利な針を用いずに、しかも簡易な方法で前記口部や混注部から薬液等を注入することができるキャップを提供することである。
【0006】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
上記課題を解決するための本発明に係るキャップは、
天面側から底面側へと貫通するシリンダ状のアダプタ収容部を内部に有するキャップ本体と、
前記キャップ本体の底部にあって、前記アダプタ収容部の底面側を閉鎖する栓体と
前記キャップ本体の天面に貼り付けられ、前記アダプタ収容部の天面側を塞ぐ剥ぎ取り可能な保護フィルムまたは保護シートと、
前記栓体を刺通するための中空状の針部と、前記針部と互いに連通し、前記針部よりも径の大きい略円筒形状のプランジャ部と、前記プランジャ部の内部に設けられ、薬液容器または薬液移送手段の薬液排出口を前記キャップ本体の天面側から液密的に固定するものであって、円筒状の薬液排出口の先端を係止する受け部および前記薬液排出口の外周面と嵌合する内周部を備える円筒状の凹陥部からなる接続手段とを一体的に有し、前記針部が前記栓体に対して当接した状態で前記プランジャ部が前記アダプタ収容部内に摺動自在に保持されることにより、前記アダプタ収容部内に設けられたアダプタと、
前記アダプタの接続手段と前記針部との間に設けられ、前記接続手段側から前記針部側への流体の流れのみを許容する逆止弁と、
前記アダプタ収容部内の内径を部分的に狭めて段差を設けることにより形成され、前記アダプタを前記キャップ本体の底面側へ摺動させて前記栓体に穿刺口を形成するときに、前記接続手段の受け部を支持して前記アダプタの押込位置を規制する位置決め手段とを備えることを特徴とする。
【0007】
上記本発明に係るキャップによれば、先端が鋭利な針を用いることなく、キャップ本体の底部に設けられた栓体に穿刺孔を設けることができる。すなわち、注射器等の薬液容器における薬液排出口(例えば注射器の場合、シリンジの先端部)や、輸液チューブ等の薬液移送手段における薬液排出口(例えば、ルアーロック型の薬液排出口)を本発明に係るキャップのアダプタ収容部内に導入してアダプタの接続手段に接続、固定するとともに、前記薬液排出口を前記アダプタとともにキャップの栓体側に移動させれば、前記薬液排出口の先端が鋭利な形状でなくても、アダプタにあらかじめ備えられている中空状の針部によって栓体に穿刺口を設けることができる。
【0008】
従って、本発明のキャップによれば、当該キャップを備えた薬液容器または輸液ラインに外部から薬液等を注入するのに際して先端が鋭利な針を用いる必要がなく、しかもかかる作業を簡易にかつ安全、確実に行うことができる。それゆえ、本発明のキャップは、薬液容器の口部や輸液ラインの混注部に設けられるキャップとして好適である。
上記本発明に係るキャップの第1の実施形態は、
その接続手段が、前記プランジャ部の内部に設けられた、前記キャップ本体の天面側に導入開口を有する円筒状の凹陥部からなり、
当該凹陥部は、円筒状の薬液排出口の先端を係止して、当該薬剤排出口とアダプタとの一体移動を可能にする受け部と、前記薬液排出口の外周面と嵌合する内周部とを備えてなるものであることを特徴とする。
【0009】
上記第1の実施形態に係るキャップを備えた薬液容器または輸液ラインに外部から薬剤等を注入すべく、キャップの栓体部分に穿刺孔を設けるには、例えばシリンジの先端部といった薬液排出口をキャップ本体に保持されたアダプタの凹陥部(接続手段)に導入して、当該薬液排出口をアダプタとともにキャップの栓体側に押込めばよい。かかる操作を行うことにより、アダプタにあらかじめ備えられた中空針が栓体内に挿通される。
【0010】
上記本発明に係るキャップの第2の実施形態は、
その接続手段が、前記プランジャ部から前記キャップ本体の天面側に延びる筒状突出部からなり、
当該筒状突出部は、その外周面に、外筒部と嵌挿用内筒部とを有するルアーロック型薬液排出口における前記外筒部内のめねじと螺合して当該薬剤排出口とアダプタとの一体移動を可能にする凸条を備えてなるものであることを特徴とする。
【0011】
上記第2の実施形態に係るキャップを備えた薬液容器または輸液ラインに外部から薬剤等を注入すべく、キャップの栓体部分に穿刺孔を設けるには、例えば輸液ラインの先端や薬液容器の先端に取り付けられたルアーロック型の薬液排出口をキャップ本体に保持されたアダプタの筒状突出部(接続手段)に螺合係止させて、当該ルアーロック型薬液排出口をアダプタとともにキャップの栓体側の押し込めばよい。かかる操作を行うことにより、アダプタにあらかじめ備えられた中空針が栓体内に挿通される。
【0012】
本発明において「ルアーロック型薬液排出口」とは、輸液チューブ等の薬液移送手段の先端に接続して用いられる部材であって、中空で筒状の部分(内筒部)と、当該内筒部の外周面に設けられためねじを有する筒状の部材(外筒部)とからなるものをいう。このルアーロック型刺通具は、中空で円筒形状の接続手段(筒状突出部)内に前記内筒部を挿通させ、かつ、前記筒状突出部の外周面に設けられた突条と前記外筒部内のめねじとを螺合させることによって、それ自体を係止(ロック)させ得るものである。
【0013】
上記第1の実施形態においては、薬液排出口がアダプタの凹陥部における内周部と嵌合し、上記第2の実施形態においては、薬液排出口がアダプタの筒状突出部における凸条と螺合することから、いずれの場合においても薬液排出口をキャップにしっかりと固定させることができる。それゆえ、例えばシリンジ等の薬液容器や輸液チューブ等の薬液移送手段からキャップを介して薬液を移送させる際に、作業性の向上や液漏れの防止を図ることができる。
【0014】
上記第1の実施形態に係るキャップは、そのキャップ本体内に保持されたアダプタの凹陥部が、多段的に設けられた複数の受け部と、径の異なる内周部とからなる環状段部をなすものであってもよい。
上記の場合、嵌合部の内径を汎用の薬剤排出口の外径(例えば、注射器の場合、シリンジの先端部の外径)に合わせてあらかじめ設定しておくことにより、径が異なる複数の薬剤排出口をいずれも液密的に接続することができる。従って、例えば径が異なる注射器のシリンジを使い分ける場合にあっても、それぞれのシリンジの接続を容易に行うことができる。
【0015】
上記本発明に係るキャップ、とりわけ上記第1および第2の実施形態に係るキャップにおいては、
(1)アダプタの接続手段と針部との間に、当該接続手段側から針部側への流体の流れのみを許容する逆止弁が設けられている。また、
(2)キャップ本体のアダプタ収容部内にアダプタの抜け落ちを防止するストッパが設けられていることが好ましい。また、
(3)アダプタ収容部内の内径を部分的に狭めて段差を設けることにより形成され、アダプタをキャップ本体の底面側へ摺動させて栓体に穿刺口を形成するときに、前接続手段の受け部を支持してアダプタの押込み位置を規制する位置決め手段が設けられている。
【0016】
さらには、
(4)キャップ本体にアダプタ収容部が複数設けられ、各アダプタ収容部内にアダプタおよび栓体が設けられていることが好ましい。また、
(5)キャップ本体の天面にアダプタ収容部の天面側を塞ぐ剥ぎ取り可能な保護フィルムまたは保護シートが貼り付けられている。
【0017】
上記(1) の逆止弁を設けた場合には、アダプタの接続手段側から針部側へ流体が流れるのを防止できるため、例えば本発明に係るキャップを薬液容器の口部や輸液ラインの混注部に取り付け、この薬液容器や混注部をキャップの上下方向が逆となる向きで使用した場合であっても、液漏れ、すなわち薬液容器や輸液ライン内の流体が外部に漏れ出る問題が生じることがない。
上記(2) のストッパを設けた場合には、薬剤容器や薬剤移送手段の薬液排出口とアダプタの接続手段との接続を解いて、アダプタ収容部内から前記薬液排出口を抜き取る際に、アダプタまでもがキャップ本体から抜け落ちてしてしまうのを防止することができる。
【0018】
上記(3) の位置決め手段を設けた場合には、アダプタをアダプタ収容部内で押込み過ぎてしまうことがなく、それゆえアダプタの押圧力によって栓体が破損するのを防止することができる。
上記(4) の場合には、1つのキャップに複数の薬剤容器や薬剤移送手段を同時に接続することができ、あるいは使用する薬剤容器や薬剤移送手段の種類等に応じて接続する場所を変えることができる。また、複数のアダプタで受け部のサイズおよび嵌合部の内径を変えることにより、使用する薬剤容器や薬剤移送手段の薬液排出口における外径に応じて接続する場所を変えることができる。
【0019】
さらに、上記(5) の保護フィルムまたは保護シートを設けた場合には、本発明に係るキャップを使用するまでの間、キャップ本体のアダプタ収容部内(とりわけ、アダプタの接続手段)に埃等が付着するのを防止することができ、薬剤容器や薬剤移送手段の薬液排出口と接続する部位の清潔さを確保することができる。
【0020】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のキャップについて、第1の実施形態の一例を示す図1,2、図3〜図5および図6と、第2の実施形態の一例を示す図7〜図10と、を参照しつつ、詳細に説明する。
〔第1の実施形態〕
図1(a) は本発明に係るキャップの第1の実施形態における一例を示す斜視図であって、図1(b) はそのA−A断面図である。また、図2(a) は図1(b) に示すキャップ10からアダプタ17を除いた状態を示す図であって、図2(b) はアダプタ17のみを示す図である。
【0021】
図3は本発明に係るキャップの第1の実施形態における設計変更例を示す断面図であって、図4(a) は図3に示すキャップ30からアダプタ37を除いた状態を示す図、図4(b) はアダプタ37のみを示す図、図5は図3に示すキャップ30の使用状態を示す断面図である。
図6(a) は本発明に係るキャップの第1の実施形態におけるさらに他の設計変更例を示す斜視図であって、図1(b) はそのB−B断面図である。
【0022】
本発明の第1の実施形態に係るキャップ10は、例えば図1および図2に示すように、キャップ本体11の内部に設けられたシリンダ状のアダプタ収容部14と、当該アダプタ収容部14内で摺動自在に保持されたアダプタ17と、キャップ本体11の底部にあって前記アダプタ収容部14を塞ぐ栓体27とを有している。
アダプタ17は、(i) アダプタ収容部14内を摺動する略円筒形状のプランジャ部18と、(ii)薬液容器や薬液移送手段の薬液排出口(例えば注射器のシリンジ、輸液チューブの先端に取り付けられた筒状の薬液排出具)をキャップ本体11の天面12側から液密的に接続することのできる接続手段19と、(iii) プランジャ部18の端部からキャップ本体11の底部13側に延びる中空状の針部24とを備えている。
【0023】
ここで、上記(ii)の接続手段19は、上記(i) のプランジャ部18の内部に設けられた円筒状の凹陥部20からなるものであって、キャップ本体11の天面12側に導入開口21を有し、かつ、薬液容器や薬液移送手段の薬液排出口の先端を係止する受け部22と、前記薬液排出口の外周面と嵌合する内周部23とを備えたものである。
前記凹陥部20の導入開口21から薬液容器や薬液移送手段の薬液排出口の先端を挿入したときに、当該薬液排出口の先端は、その外径に応じた内周部23およびこれに対応する受け部22にて係止、固定される。また、前記薬液排出口をキャップ10の底部13側へ押し込むことにより、アダプタ17が薬液排出口と一体になってキャップ底部13側に移動する。
【0024】
アダプタ17を構成する上記(i) のプランジャ部18と、上記(ii)の接続手段19と、上記(iii) の針部24とは、プランジャ部18と針部24とを繋ぐ接続部25を含めて、その内部で互いに連通した孔を形成している。
この連通孔の内部であって、接続手段19と針部24との間には、逆止弁26を設けることができる。逆止弁26を設けることにより、アダプタ17の接続手段19側から針部24側へ流体が流れるのを防止することができる。このため、例えばキャップ10の天面と底部とを上下逆方向にして使用する場合であっても、キャップ10から薬液等が逆流して液漏れが生じたりするのを防止できる。
【0025】
逆止弁26の形状は特に限定されるものではなく、従来公知の種々の逆止弁、例えば弾性薄板からなるものや2枚の舌片からなるもの等を採用することができる。
キャップ本体11に設けられるアダプタ収容部14の内径は、アダプタ収容部14内でアダプタ17が摺動自在に保持されるように、アダプタ17の外径と同じかまたは若干大きく設定するのが適当である。
【0026】
アダプタ収容部14内には、アダプタ17の抜け落ちを防止するためのストッパ15が設けられる。このストッパ15は、一般に、アダプタ収容部14を区画する前記連通孔のキャップ天面12側の端部近傍において内側に突設された環状の突起であって、アダプタ17内に接続された薬液排出口を抜き取る際に、アダプタ17までもがキャップ本体11から抜け落ちてしまうのを防止する作用を示す。
【0027】
アダプタ収容部14内には、さらに、アダプタ17の押込み位置を規制する位置決め手段16が設けられる。この位置決め手段16は、アダプタ17がキャップの底部13側に押込まれ過ぎて、その押圧力によって栓体27が破損してしまうのを防止するものである。通常、位置決め手段16は、アダプタ収容部14の内径を狭めて前記連通孔内に段差設けることにより区画される。
針部24の長さ、および針部24とプランジャ部18との間に設けられる接続部25の長さは、前記連通孔の長さや、プランジャ部18の底部から栓体27までの距離等に応じて適宜設定すればよい。
【0028】
本発明の第1の実施形態において、アダプタ17内の接続手段19を構成する凹陥部20は、図1および図2に示すように1段の受け部22と内周部23とのみからなるものであるほかに、多段的に設けられた複数の受け部と、径の異なる内周部とからなる環状段部をなすものであってもよい。
第1の実施形態の設計変更例である図3および図4に示すキャップ30において、アダプタ37の受け部42および内周部43は、多段的に設けられた径の異なる複数の環状段部49をなしている。すなわち、複数の受け部42a,42b,42cの周囲に、それぞれ内径の異なる複数の内周部43a,43b,43cが設けられている。
【0029】
この場合、複数の内周部43a,43b,43cの内径を汎用の薬剤排出口の外径に合わせてあらかじめ設定しておくことによって、径が異なる複数の薬剤排出口をいずれも同じキャップ内にて液密的に接続することができる。従って、例えば径が異なる注射器を使い分ける場合であっても、それぞれのシリンジを容易に接続することができる。
なお、図3および図4に示す設計変更例に係るキャップ30は、アダプタおよびアダプタ収容部の形状が異なるほかは、図1および図2に示すキャップ10と同様の構成からなるものである。
【0030】
上記第1の実施形態およびその設計変更例において、内周部の壁面にはねじ山(図示せず)を設けることもできる。
上記第1の実施形態に係るキャップ10,30は、例えば薬液容器の口部や、輸液ラインの混注部(側管口部)に取り付けて用いられる。
第1の実施形態に係るキャップ10,30は、アダプタ17,37の接続手段19,39を区画する凹陥部20,40に、その導入開口21,41側から薬液容器または薬液移送手段の薬液排出口を挿入することによって使用される。
【0031】
上記設計変更例(図3および図4)についての使用状態を図5に示す。図5に示すように、アダプタ37の凹陥部40内に挿入された注射器のシリンジ55は、シリンジ55の先端部の外径に応じた凹陥部40内の内周部43に嵌合されて、当該内周部43に対応する受け部42で係止される。こうしてアダプタ37内に固定されたシリンジ55をキャップ30の底部13側に押圧することにより、アダプタ37がシリンジ55と一体になって移動する。この際、アダプタ37に取り付けられた針部24は、アダプタ37の移動に伴って栓体27を刺通する。その結果、アダプタ37内の挿通孔を介して、キャップ30の天面12側から底部13側までが連通することから、シリンジ55内に収容された薬液56をピストン57によって排出することにより、キャップ底部13側に注入、移送することができる。
【0032】
第1の実施形態に係るキャップ10,30のキャップ本体11,31における天面12には、アダプタ収容部14,34を塞ぐ、剥ぎ取り可能な保護フィルム28(図1(a) 中には点線で示した。)または保護シートを設けることができる。かかる保護フィルム28または保護シートを設けることによって、アダプタ収容部14,34内、とりわけ凹陥部20,40内等に埃等が付着するのを防止することができ、薬液容器または薬液移送手段の薬液排出口を接続する部位の清潔さを維持することができる。
【0033】
上記第1の実施形態においては、図6に示すように、キャップ本体51内に複数のアダプタ収容部14,34およびアダプタ17,37を設けてもよい。図6において、アダプタ17,37には図1〜4に示した種々のものを用いることができる。
図6に示すキャップ50では2つのアダプタ収容部14,34が設けられているが、アダプタ収容部の数は特に限定されるものではなく、必要に応じて適当な数のアダプタ収容部を設けることができる。
【0034】
複数のアダプタ収容部を設ける場合には、例えば図6に示すように、1つのキャップ内に種類の異なるアダプタ17,37を設けてもよく、あるいは凹陥部の径が異なる複数のアダプタを設けてもよい。
また、アダプタ収容部14,34上には保護フィルム28を設けてもよい。この場合の保護フィルム28は、図6に示すように、それぞれのアダプタ収容部14,34上に個別に設けられるものであってもよく、キャップ50の天面全体に設けられるものであってもよい。
【0035】
〔第2の実施形態〕
図7は本発明に係るキャップの第2の実施形態における一例を示す断面図であって、図8は図7に示すキャップ60の使用例を示す説明図である。
図9(a) は第2の実施形態におけるアダプタの一例を示す断面図、同図(b) はその平面図、同図(c) はその底面図である。また、図10(a) は、図9に示すアダプタ87と組み合わせて用いられるキャップ本体の一例を示す断面図、同図(b) はその平面図である。
【0036】
本発明の第2の実施形態に係るキャップ60は、例えば図7に示すように、キャップ本体61の内部に設けられたシリンダ状のアダプタ収容部64と、当該アダプタ収容部64内で摺動自在に保持されたアダプタ67と、キャップ本体61の底部にあって前記アダプタ収容部64を塞ぐ栓体77とを有している。
アダプタ64は、(I) アダプタ収容部64内を摺動する略円筒形状のプランジャ部68と、(II)薬液容器や薬液移送手段の薬液排出口(例えば注射器のシリンジ、輸液チューブの先端に取り付けられたルアーロック型薬液排出口)をキャップ本体61の天面62側から液密的に接続することのできる接続手段と、(III) プランジャ部68の端部からキャップ本体61の底部63側に延びる中空状の針部74とを備えている。
【0037】
ここで、上記(II)の接続手段は、上記(I) のプランジャ部68からキャップ本体61の天面62側に延びる筒状突出部70からなるものであって、その外周面71に、外筒部と嵌挿用内筒部とを有するルアーロック型薬液排出口における前記外筒部内のめねじと螺合可能な凸条72を備えたものである。
前記凸条72にルアーロック型薬液排出口を螺合することにより、当該薬液排出口がアダプタ67に係止、固定される。また、前記薬液排出口をキャップ60の底部63側へ押し込むことにより、アダプタ67が薬液排出口と一体になってキャップ底部63側に移動する。
【0038】
アダプタ67を構成する上記(I) のプランジャ部68と、上記(II)の接続手段(筒状突出部70)と、上記(III) の針部74とは、プランジャ部68と針部74とを繋ぐ接続部75を含めて、その内部で互いに連通した孔を形成している。
この連通孔の内部であって、前記接続手段と針部74との間には、逆止弁76を設けることができる。逆止弁76を設けることにより得られる効果は、前記第1の実施形態における逆止弁26と同様である。また、逆止弁26の形状についても、前記第1の実施形態と同様のものを採用することができる。
【0039】
キャップ本体61に設けられるアダプタ収容部64の内径は、アダプタ収容部64内でアダプタ67が摺動自在に保持されるように、アダプタ67の外径と同じかまたは若干大きく設定するのが適当である。
アダプタ収容部64内には、アダプタ67の抜け落ちを防止するためのストッパ65が設けられる。このストッパ65は、一般に、アダプタ収容部64の内側に突設された環状の突起であって、アダプタ67の筒状突出部70に接続したルアーロック型薬液排出口を抜き取る際に、アダプタ67までもがキャップ本体61から抜け落ちてしまうのを防止する作用を示す。
【0040】
アダプタ収容部64内には、さらに、アダプタ67の押込み位置を規制する位置決め手段66が設けられる。この位置決め手段66の構造については、前記第1の実施形態における位置決め手段16と同様にして設定される。また、得られる作用も第1の実施形態と同様である。
針部74の長さ、および針部74とプランジャ部68との間に設けられる接続部75の長さについても、前記第1の実施形態に係るアダプタの対応部位と同様に設定すればよい。
【0041】
第2の実施形態に係るキャップ60は、アダプタ67の接続手段を区画する筒状突出部70に、薬液容器または薬液移送手段の先端に設けられたルアーロック型薬液排出口を接続することによって使用される。
第2の実施形態に係るキャップ60のキャップ本体61における天面62には、アダプタ収容部64を塞ぐ、剥ぎ取り可能な保護フィルム78(図7参照)または保護シートを設けることができる。かかる保護フィルム78または保護シートを設けることによって、アダプタ収容部64内、とりわけ筒状突出部70に埃等が付着するのを防止することができ、薬液容器または薬液移送手段の薬液排出口を接続する部位の清潔さを維持することができる。
【0042】
上記第2の実施形態に係るキャップについての使用状態の一例を図8(a) 〜(c) に示す。図8(a),(b) に示す例において、第2の実施形態に係るキャップを使用するのに際しては、まず、ルアーロック型薬液排出口90の嵌挿用内筒部93がアダプタ67の筒状突出部70内に挿入される。次いで、図8(b) に示すように、筒状突出部70の外周面71に設けられた凸条72と、ルアーロック型薬液排出口90の外筒部91に設けられためねじ92とが螺合され、ルアーロック型薬液排出口90がアダプタ67に係止、固定される。こうしてアダプタ67に固定されたルアーロック型薬液排出口90をキャップ60の底部63側に押圧することにより、アダプタ67がルアーロック型薬液排出口90と一体になって移動し、かかる移動に伴って、アダプタ67に取り付けられた針部74が栓体77を刺通する。その結果、アダプタ67内の挿通口を介して、キャップ60の天面62側から底部63側までが連通し、ルアーロック型薬液排出口90からキャップ底部63側への薬液の注入、移送が可能になる。
【0043】
本発明の第2の実施形態において、キャップ本体内に設けられるアダプタ87は、例えば図9(b),(c) に示すように、プランジャ部88の平断面形状が楕円形のものであってもよい。この場合、ルアーロック型薬液排出口の取付けおよび取外し時にアダプタ87自体が回転するのを防止することができ、当該取付け・取外し時の操作性を良好なものとすることができる。図9(a) はアダプタ87の断面図、同図(b) はアダプタ87をキャップの天面側から見た図、同図(c) はアダプタ87をキャップの底面側から見た図である。
【0044】
上記アダプタ87を用いる場合のアダプタ収容部84には、図10に示すように、その平断面形状がアダプタ87に対応した楕円形であるものを使用する必要がある。図10(a) はかかるアダプタ収容部84を備えたアダプタ本体81の断面図、同図(b) はアダプタ本体81をキャップの天面側から見た平面図である。
アダプタ67内の接続手段を構成する筒状突出部70の外周面71には、凸条72に代えて、外側に凸の螺旋条を設けてもよい。
【0045】
上記第2の実施形態に係るキャップ60は、例えば薬液容器の口部や、輸液ラインの混注部(側管口部)に取り付けて用いられる。
上記第2の実施形態においては、キャップ本体内に複数のアダプタ収容部を設けて、それぞれのアダプタ収容部内にルアーロック型薬液排出口と螺合可能な上記アダプタを設けてもよい。
また、アダプタ収容部を複数設ける場合には、それぞれのアダプタ収容部の構造を変えることにより、上記第1の実施形態におけるアダプタと上記第2の実施形態におけるアダプタとを同一のキャップ内に併存させることができる。
【0046】
〔各構成部品に使用される材質〕
次に、本発明のキャップを構成する各部品に使用される材質について、詳細に説明する。
(キャップ本体)
本発明のキャップにおけるキャップ本体を構成する材質としては特に限定されるものではなく、ステンレス等の金属を用いることもできるが、キャップ全体の軽量化や、キャップを製造する工程の簡易化を図るという観点から、医療器具に従来用いられている種々のプラスチックを用いるのが好ましい。
【0047】
かかるプラスチックとしては、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリ4−メチルペンテン〔例えば三井化学(株)の商品名「TPX」〕等のポリオレフィン;エチレン−テトラシクロドデセン共重合体〔例えば三井化学(株)の商品名「アペル」〕等のポリ環状オレフィン;アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS);ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリアリレート等のポリエステル;ポリフェニレンサルファイド(PPS)等のベンゼン系重合体等が挙げられる。
【0048】
上記例示のプラスチックを用いることにより、キャップ本体を射出成形によって作製することができ、製造工程を簡易なものとすることができる。
(アダプタ)
本発明のキャップにおけるアダプタを構成する材質としても特に限定されるものではなく、ステンレス等の金属を用いることもできるが、キャップ全体の軽量化や、アダプタを製造する工程の簡易化を図るという観点から、医療器具に従来用いられている種々のプラスチックを用いるのが好ましい。かかるプラスチックとしては、上記と同じものが挙げられる。
【0049】
アダプタの針部のみを異なる材質とすることも可能であるが、針部の材質がアダプタ全体と同一である場合、あるいは二色成形のような一体成形法を適用可能な材質である場合には、針部を含むアダプタ全体を一体成形することができる。アダプタの接続手段およびプランジャ部と、針部とは、別々に作製して接合したものであってもよい。
(栓体)
本発明のキャップにおける栓体には、従来、薬液容器の栓に用いられている種々の材料を用いることができる。
【0050】
かかる材料としては、例えば天然ゴム、シリコーンゴム等のゴムや、熱可塑性エラストマー等の、ゴム状弾性部材が挙げられる。中でも、キャップ本体と栓体とを一体に成形して、キャップの製造工程を簡易なものとするという観点から、栓体の材質として熱可塑性エラストマーを用いるのが好ましい。
本発明に使用可能な熱可塑性エラストマーとしては、例えばスチレン−エチレン/ブチレン−スチレンブロック共重合体(SEBS)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体(SIS)、マレイン酸変性等の変性SEBS、スチレン−エチレン/プロピレン−スチレンブロック共重合体(SEPS)、スチレン−エチレン/ブチレンブロック共重合体(SEB)、スチレン−エチレン/プロピレンブロック共重合体(SEP)等のスチレン系エラストマー;エチレン−プロピレンブロック共重合体等のオレフィン系エラストマー;ポリウレタン系エラストマー等が挙げられる。上記例示の熱可塑性エラストマーの中でも、キャップ本体を形成するプラスチックとともに熱成形が可能であるものを用いるのが特に好ましい。
【0051】
栓体に用いられるゴム状弾性体の特性については特に限定されるものではなく、医療用注射針を貫通させるのが困難なほどに強靭または高硬度でなく、かつ通常の保管時において容易に変形したり、破損したりしない程度の強度を有するものであればよい。
一般に、本発明に係るキャップに用いられるゴム状弾性体は、JIS A硬度(JIS K6301に記載の方法にて測定した硬さ)が20〜70であるのが好ましく、30〜50であるのがより好ましい。また、ゴム状弾性体の圧縮永久歪みは、医療用注射針を繰り返し抜き差ししても破損することがないように、JIS K6301に記載の方法にて測定した値(70℃×22時間)が30以下であるのが好ましい。
【図面の簡単な説明】
【図1】 (a) は本発明に係るキャップの第1の実施形態における一例を示す斜視図であって、(b) はそのA−A断面図である。
【図2】 (a) は図1(b) に示すキャップからアダプタを除いた状態を示す図であって、(b) は図1(b) に示すアダプタのみを示す図である。
【図3】本発明に係るキャップの第1の実施形態における他の例を示す断面図である。
【図4】 (a) は図3に示すキャップからアダプタを除いた状態を示す図であって、(b) は図3に示すアダプタのみを示す図である。
【図5】図3に示す第1の実施形態に係るキャップの使用状態を示す断面図である。
【図6】 (a) は本発明に係るキャップの第1の実施形態におけるさらに他の例を示す斜視図であって、(b) はそのB−B断面図である。
【図7】本発明に係るキャップの第2の実施形態における一例を示す斜視図である。
【図8】図7に示す第2の実施形態に係るキャップの使用状態を示す断面図である。
【図9】 (a) は第2の実施形態におけるアダプタの一例を示す断面図であって、(b) はその平面図、(c) はその底面図である。
【図10】 (a) は第2の実施形態におけるキャップ本体の一例を示す断面図であって、(b) はその平面図である。
【符号の説明】
10 キャップ, 11 キャップ本体, 12 天面, 13 底部, 14 アダプタ収容部, 15 ストッパ, 16 位置決め手段, 17 アダプタ, 18 プランジャ部, 19 接続手段, 20 凹陥部, 21 導入開口, 22 受け部, 23 内周部, 24 針部, 25 接続部, 26 逆止弁, 27 栓体, 28 保護フィルム
30 キャップ, 31 キャップ本体, 34 アダプタ収容部, 37 アダプタ, 39 接続手段, 40 凹陥部, 41 導入開口, 42 受け部, 42a 受け部, 42b 受け部, 42c 受け部, 43 内周部, 43a 内周部, 43b 内周部, 43c 内周部, 49 環状段部
50 キャップ, 51 キャップ本体
60 キャップ, 61 キャップ本体, 62 天面, 63 底部, 64 アダプタ収容部, 65 ストッパ, 66 位置決め手段, 67 アダプタ, 68 プランジャ部, 70 筒状突出部, 71 外周面, 72 凸条, 74 針部, 75 接続部, 76 逆止弁, 77 栓体, 78保護フィルム
81 キャップ本体, 84 アダプタ収容部, 87 アダプタ, 88 プランジャ部
90 ルアーロック型薬液排出口, 91 外筒部, 92 めねじ, 93嵌挿用内筒部

Claims (5)

  1. 天面側から底面側へと貫通するシリンダ状のアダプタ収容部を内部に有するキャップ本体と、
    前記キャップ本体の底部にあって、前記アダプタ収容部の底面側を閉鎖する栓体と
    前記キャップ本体の天面に貼り付けられ、前記アダプタ収容部の天面側を塞ぐ剥ぎ取り可能な保護フィルムまたは保護シートと、
    前記栓体を刺通するための中空状の針部と、前記針部と互いに連通し、前記針部よりも径の大きい略円筒形状のプランジャ部と、前記プランジャ部の内部に設けられ、薬液容器または薬液移送手段の薬液排出口を前記キャップ本体の天面側から液密的に固定するものであって、円筒状の薬液排出口の先端を係止する受け部および前記薬液排出口の外周面と嵌合する内周部を備える円筒状の凹陥部からなる接続手段とを一体的に有し、前記針部が前記栓体に対して当接した状態で前記プランジャ部が前記アダプタ収容部内に摺動自在に保持されることにより、前記アダプタ収容部内に設けられたアダプタと、
    前記アダプタの接続手段と前記針部との間に設けられ、前記接続手段側から前記針部側への流体の流れのみを許容する逆止弁と、
    前記アダプタ収容部内の内径を部分的に狭めて段差を設けることにより形成され、前記アダプタを前記キャップ本体の底面側へ摺動させて前記栓体に穿刺口を形成するときに、前記接続手段の受け部を支持して前記アダプタの押込位置を規制する位置決め手段とを備えることを特徴とする、キャップ。
  2. 前記凹陥部が、多段的に設けられた複数の受け部と、径の異なる内周部とからなる環状段部をなす請求項記載のキャップ。
  3. 前記接続手段は、前記プランジャ部から前記キャップ本体の天面側に延びる筒状突出部からなり、当該筒状突出部は、その外周面に、外筒部と嵌挿用内筒部とを有するルアーロック型薬液排出口における前記外筒部内のめねじと螺合して当該薬剤排出口とアダプタとの一体移動を可能にする凸条を備えてなるものである請求項1記載のキャップ。
  4. 前記キャップ本体のアダプタ収容部内にアダプタの抜け落ちを防止するストッパが設けられている請求項1〜のいずれかに記載のキャップ。
  5. 前記キャップ本体にアダプタ収容部が複数設けられ、各アダプタ収容部内にアダプタおよび栓体が設けられている請求項1〜のいずれかに記載のキャップ。
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