以下、本発明の露光装置について図面を参照しながら説明する。図1は本発明の露光装置の一実施形態を示す概略構成図である。
図1において、露光装置EXは、マスクMを支持するマスクステージMSTと、基板Pを支持する基板ステージPSTと、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明する照明光学系ILと、露光光ELで照明されたマスクMのパターン像を基板ステージPSTに支持されている基板Pに投影露光する投影光学系PLと、露光装置EX全体の動作を統括制御する制御装置CONTと、制御装置CONTに接続され、露光処理に関する各種情報を記憶した記憶装置MRYを備えている。更に露光装置EXは、露光光ELの少なくとも一部の通過を制限する制限装置70を備えている。制限装置70はマスクステージMST近傍に設けられている。
本実施形態の露光装置EXは、露光波長を実質的に短くして解像度を向上するとともに焦点深度を実質的に広くするために液浸法を適用した液浸露光装置であって、基板P上に液体LQを供給する液体供給機構10と、基板P上の液体LQを回収する液体回収機構20とを備えている。露光装置EXは、少なくともマスクMのパターン像を基板P上に転写している間、液体供給機構10から供給した液体LQにより投影光学系PLの投影領域AR1を含む基板P上の一部に(局所的に)液浸領域AR2を形成する。具体的には、露光装置EXは、投影光学系PLの先端側(像面側)の光学素子35と基板Pの表面との間に液体LQを満たし、この投影光学系PLと基板Pとの間の液体LQ及び投影光学系PLを介して露光光ELを照射してマスクMのパターン像を基板P上に投影することによってこの基板Pを露光する。
本実施形態では、露光装置EXとしてマスクMと基板Pとを走査方向における互いに異なる向き(逆方向)に同期移動しつつマスクMに形成されたパターンを基板Pに露光する走査型露光装置(所謂スキャニングステッパ)を使用する場合を例にして説明する。以下の説明において、投影光学系PLの光軸AXと一致する方向をZ軸方向、Z軸方向に垂直な平面内でマスクMと基板Pとの同期移動方向(走査方向)をX軸方向、Z軸方向及びX軸方向に垂直な方向(非走査方向)をY軸方向とする。また、X軸、Y軸、及びZ軸まわりの回転(傾斜)方向をそれぞれ、θX、θY、及びθZ方向とする。なお、ここでいう「基板」は半導体ウエハ上に感光性材料であるフォトレジストを塗布したものを含み、「マスク」は基板上に縮小投影されるデバイスパターンを形成されたレチクルを含む。
照明光学系ILは、光源1より射出された光束(レーザビーム)LBを露光光ELに変換し、マスクステージMSTに支持されているマスクMを露光光ELで照明するものである。照明光学系ILから射出される露光光ELとしては、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)や、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)及びF2レーザ光(波長157nm)等の真空紫外光(VUV光)等が用いられる。本実施形態においてはArFエキシマレーザ光が用いられる。
本実施形態において、液体LQには純水が用いられる。純水はArFエキシマレーザ光のみならず、例えば水銀ランプから射出される紫外域の輝線(g線、h線、i線)及びKrFエキシマレーザ光(波長248nm)等の遠紫外光(DUV光)も透過可能である。
本実施形態における光源1は、ArFエキシマレーザ光(波長193nm)を射出するエキシマレーザ光源であって、制御装置CONTによってそのレーザ発光のオン・オフや、中心波長、スペクトル半値幅、及び繰り返し周波数等を制御される。
照明光学系ILは、ビーム整形光学系2、オプティカルインテグレータ3、照明系開口絞り板4、リレー光学系6、8、固定マスクブラインド7A、可動マスクブラインド7B、ミラー9、及びコンデンサレンズ30等を備えている。本実施形態では、オプティカルインテグレータ3としてフライアイレンズが用いられるが、ロッド型(内面反射型)インテグレータ、あるいは回折光学素子等であってもよい。ビーム整形光学系2内には、光源1でパルス発光されたレーザビームLBの断面形状を、該レーザビームLBの光路後方に設けられたオプティカルインテグレータ3に効率良く入射するように整形するための、例えばシリンドリカルレンズやビームエキスパンダ等が含まれている。オプティカルインテグレータ(フライアイレンズ)3は、ビーム整形光学系2から射出されたレーザビームLBの光路上に配置され、マスクMを均一な照度分布で照明するために多数の点光源(光源像)からなる面光源、すなわち2次光源を形成する。
オプティカルインテグレータ3の射出側焦点面の近傍には、円板状部材からなる照明系開口絞り板4が配置されている。この照明系開口絞り板4には、ほぼ等角度間隔で、例えば通常の円形開口からなる開口絞り(通常絞り)、小さな円形開口からなりコヒーレンスファクタであるσ値を小さくするための開口絞り(小σ絞り)、輪帯照明用の輪帯状の開口絞り(輪帯絞り)、及び変形光源法用に複数の開口を偏心させて配置した変形開口絞り(SHRINCとも呼ばれる四重極照明絞り)等が配置されている。この照明系開口絞り板4は、制御装置CONTにより制御されるモータ等の駆動装置31によって回転されるようになっており、これによりいずれかの開口絞りが露光光ELの光路上に選択的に配置される。
照明系開口絞り板4を通過した露光光ELの光路上に、反射率が小さく透過率が大きいビームスプリッタ5が配置され、更にこの後方の光路上に、マスクブラインド7A、7Bを介在させてリレー光学系(6、8)が配置されている。固定マスクブラインド7Aは、マスクMのパターン形成面Maに対する共役面から僅かにデフォーカスした面に配置され、マスクM上の照明領域IAを規定する矩形開口部7Kを備えている。また、この固定マスクブラインド7Aの近傍に走査方向(X軸方向)及びこれに直交する非走査方向(Y軸方向)にそれぞれ対応する方向の位置及び幅が可変の開口部を有する可動マスクブラインド7Bが配置され、走査露光の開始時及び終了時にその可動マスクブラインド7Bを介して照明領域IAを更に制限することによって、不要な部分の露光が防止されるようになっている。可動マスクブラインド7Bは、マスクMのパターン形成面Maと光学的にほぼ共役な位置に設けられている。可動マスクブラインド7Bとしては、例えば国際公開第99/63585号パンフレットに開示されているものを用いることができる。
一方、照明光学系IL内のビームスプリッタ5で反射した露光光ELの光路上には、集光レンズ32、及び遠紫外域で感度が良く、且つ光源1のパルス発光を検出するために高い応答周波数を有するPIN型フォトダイオード等の受光素子からなるインテグレータセンサ33が配置されている。
このようにして構成された照明光学系ILの作用を簡単に説明すると、光源1からパルス発光されたレーザビームLBは、ビーム整形光学系2に入射して、ここで後方のオプティカルインテグレータ3に効率良く入射するようにその断面形状が整形された後、オプティカルインテグレータ3に入射する。これにより、オプティカルインテグレータ3の射出側焦点面(照明光学系ILの瞳面)に2次光源が形成される。この2次光源から射出された露光光ELは、照明系開口絞り板4上のいずれかの開口絞りを通過した後、透過率が大きく反射率が小さいビームスプリッタ5に入射する。このビームスプリッタ5を透過した露光光ELは、第1リレーレンズ6を経て固定マスクブラインド7Aの矩形の開口部及び可動マスクブラインド7Bを通過した後、第2リレーレンズ8を通過してミラー9によって光路を垂直下方に折り曲げられる。ミラー9によって光路を折り曲げられた露光光ELは、コンデンサレンズ30を経て、マスクステージMSTに保持されたマスクM上の照明領域IAを均一な照度分布で照明する。
一方、ビームスプリッタ5で反射した露光光ELは、集光レンズ32を介してインテグレータセンサ33で受光され、インテグレータセンサ33の光電変換信号が、不図示のピークホールド回路及びA/D変換器を有する信号処理装置を介して制御装置CONTに供給される。本実施形態では、インテグレータセンサ33の計測値は、露光量制御に用いられる他、投影光学系PLに対する照射量の計算に用いられ、この照射量は基板反射率(これは、インテグレータセンサの出力と不図示の反射率モニタの出力とに基づいて求めることもできる)とともに、投影光学系PLの照明光吸収による結像特性の変化量の算出に用いられる。本実施形態では、所定の間隔で、制御装置CONTにより、インテグレータセンサ33の出力に基づいて照射量が計算され、その計算結果が照射履歴として、記憶装置MRYに記憶されるようになっている。
マスクステージMSTは、マスクMを保持して移動可能であって、例えばマスクMを真空吸着(又は静電吸着)により固定している。マスクステージMSTは、リニアモータ等を含むマスクステージ駆動装置MSTDにより、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微少回転可能である。そして、マスクステージMSTは、X軸方向に指定された走査速度で移動可能となっており、マスクMの全面が少なくとも投影光学系PLの光軸AXを横切ることができるだけのX軸方向の移動ストロークを有している。
マスクステージMST上には移動鏡41が設けられている。また、移動鏡41に対向する位置にはレーザ干渉計42が設けられている。マスクステージMST上のマスクMの2次元方向の位置、及びθZ方向の回転角(場合によってはθX、θY方向の回転角も含む)はレーザ干渉計42によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTは、レーザ干渉計42の計測結果に基づいてマスクステージ駆動装置MSTDを駆動することでマスクステージMSTに支持されているマスクMの位置を制御する。
投影光学系PLは、マスクMのパターンを所定の投影倍率βで基板Pに投影露光するものであって、基板P側の先端部に設けられた光学素子(レンズ)35を含む複数の光学素子で構成されており、これら光学素子は鏡筒PKで支持されている。本実施形態において、投影光学系PLは、投影倍率βが例えば1/4あるいは1/5の縮小系である。なお、投影光学系PLは等倍系及び拡大系のいずれでもよい。
本実施形態の投影光学系PLの先端部の光学素子35は鏡筒PLより露出しており、液浸領域AR2の液体LQが接触する。光学素子35は螢石で形成されている。螢石は水との親和性が高いので、光学素子35の液体接触面35aのほぼ全面に液体LQを密着させることができる。すなわち、本実施形態においては光学素子35の液体接触面35aとの親和性が高い液体(水)LQを供給するようにしているので、光学素子35の液体接触面35aと液体LQとの密着性が高く、光学素子35と基板Pとの間の光路を液体LQで確実に満たすことができる。なお、光学素子35は、水との親和性が高い石英であってもよい。また、光学素子35の液体接触面35aに親水化(親液化)処理を施して、液体LQとの親和性をより高めるようにしてもよい。
基板ステージPSTは、基板Pを保持して移動可能であって、XYステージ53と、XYステージ53上に搭載されたZチルトステージ52とを含んで構成されている。XYステージ53は、ステージベース54の上面の上方に不図示の非接触ベアリングである気体軸受(エアベアリング)を介して非接触支持されている。XYステージ53(基板ステージPST)はステージベース54の上面に対して非接触支持された状態で、リニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDにより、投影光学系PLの光軸AXに垂直な平面内、すなわちXY平面内で2次元移動可能及びθZ方向に微小回転可能である。このXYステージ53上にZチルトステージ52が搭載され、Zチルトステージ52上に不図示の基板ホルダを介して基板Pが例えば真空吸着等により保持されている。Zチルトステージ52は、Z軸方向、θX方向、及びθY方向にも移動可能に設けられている。基板ステージ駆動装置PSTDは制御装置CONTにより制御される。基板ステージPSTは、基板Pのフォーカス位置(Z位置)及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込むとともに、基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。
また、基板ステージPST上には、基板ステージPSTに保持された基板Pを囲むようにプレート部材60が設けられている。プレート部材60は環状部材であって、基板Pの外側に配置されている。プレート部材60は、基板ステージPSTに保持された基板Pの表面とほぼ同じ高さ(面一)の平坦面(平坦部)60Aを有している。平坦面60Aは、基板ステージPSTに保持された基板Pの外側の周囲に配置されている。
プレート部材60は、例えばポリ四フッ化エチレン(テフロン(登録商標))などの撥液性を有する材料によって形成されている。そのため、平坦面60Aは撥液性を有する。なお、例えば所定の金属などでプレート部材60を形成し、その金属製のプレート部材60の少なくとも平坦面60Aに対して撥液処理を施すことで、平坦面60Aを撥液性にしてもよい。プレート部材60(平坦面60A)の撥液処理としては、例えば、ポリ四フッ化エチレン等のフッ素系樹脂材料あるいはアクリル系樹脂材料等の撥液性材料を塗布、あるいは前記撥液性材料からなる薄膜を貼付する。撥液性にするための撥液性材料としては液体LQに対して非溶解性の材料が用いられる。また、撥液性材料の塗布領域としては、プレート部材60の表面全域に対して塗布してもよいし、平坦面60Aなど撥液性を必要とする一部の領域のみに対して塗布するようにしてもよい。
基板Pの周囲に、基板P表面とほぼ面一の平坦面60Aを有するプレート部材60を設けたので、基板Pのエッジ領域Eを液浸露光するときにおいても、投影光学系PLの下に液体LQを保持し、投影光学系PLの像面側に液浸領域AR2を良好に形成することができる。また、平坦面60Aを撥液性にすることにより、液浸露光中における基板P外側(平坦面60A外側)への液体LQの流出を抑え、また液浸露光後においても液体LQを円滑に回収できて、平坦面60A上に液体LQが残留することを防止することができる。
基板ステージPST(Zチルトステージ52)上には移動鏡43が設けられている。また、移動鏡43に対向する位置にはレーザ干渉計44が設けられている。基板ステージPST上の基板Pの2次元方向の位置、及び回転角はレーザ干渉計44によりリアルタイムで計測され、計測結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはレーザ干渉計44の計測結果に基づいてリニアモータ等を含む基板ステージ駆動装置PSTDを駆動することで基板ステージPSTに支持されている基板Pの位置決めを行う。
また、露光装置EXは、基板ステージPSTに支持されている基板Pの表面の位置を検出する不図示のフォーカス検出系を備えている。なお、フォーカス検出系の構成としては、例えば特開平8−37149号公報に開示されているものを用いることができる。フォーカス検出系の受光結果は制御装置CONTに出力される。制御装置CONTはフォーカス検出系の検出結果に基づいて、基板P表面のZ軸方向の位置情報、及び基板PのθX及びθY方向の傾斜情報を検出することができる。Zチルトステージ52は、基板Pのフォーカス位置及び傾斜角を制御して基板Pの表面をオートフォーカス方式、及びオートレベリング方式で投影光学系PLの像面に合わせ込み、XYステージ53は基板PのX軸方向及びY軸方向における位置決めを行う。なお、ZチルトステージとXYステージとを一体的に設けてよいことは言うまでもない。
液体供給機構10は、所定の液体LQを基板P上に供給するものであって、液体LQを送出可能な第1液体供給部11及び第2液体供給部12と、第1、第2液体供給部11、12のそれぞれにその一端部を接続する第1、第2供給管11A、12Aとを備えている。第1、第2液体供給部11、12のそれぞれは、液体LQを収容するタンク、及び加圧ポンプ等を備えている。
液体回収機構20は、基板P上に供給された液体LQを回収するものであって、液体LQを回収可能な液体回収部21と、液体回収部21にその一端部を接続する回収管22(回収管22A〜22D)とを備えている。液体回収部21は例えば真空ポンプ等の真空系(吸引装置)、気液分離器、及び回収した液体LQを収容するタンク等を備えている。
投影光学系PLの終端部の光学素子35の近傍には流路形成部材80が配置されている。流路形成部材80は、基板P(基板ステージPST)の上方において光学素子35の周りを囲むように設けられた環状部材である。流路形成部材80は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された第1供給口13と第2供給口14とを備えている。また、流路形成部材80は、その内部に供給流路82(82A、82B)を有している。供給流路82Aの一端部は第1供給口13に接続し、他端部は第1供給管11Aを介して第1液体供給部11に接続している。供給流路82Bの一端部は第2供給口14に接続し、他端部は第2供給管12Aを介して第2液体供給部12に接続している。更に、流路形成部材80は、基板P(基板ステージPST)の上方に設けられ、その基板P表面に対向するように配置された回収口23を備えている。本実施形態において、流路形成部材80は4つの回収口23A〜23Dを有している。また、流路形成部材80は、その内部に回収口23(23A〜23D)に対応した回収流路84(84A〜84D)を有している。回収流路84A〜84Dの一端部は回収口23A〜23Dにそれぞれ接続し、他端部は回収管22A〜22Dを介して液体回収部21にそれぞれ接続している。本実施形態において、流路形成部材80は液体供給機構10及び液体回収機構20それぞれの一部を構成している。
なお、本実施形態において、第1〜第4回収管22A〜22Dは、1つの液体回収部21に接続されているが、回収管の数に対応した液体回収部21を複数(ここでは4つ)設け、第1〜第4回収管22A〜22Dのそれぞれを前記複数の液体回収部21のそれぞれに接続するようにしてもよい。
第1、第2液体供給部11、12の液体供給動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは、第1、第2液体供給部11、12による基板P上に対する単位時間あたりの液体供給量をそれぞれ独立して制御可能である。第1、第2液体供給部11、12から送出された液体LQは、供給管11A、12A、及び流路形成部材80の供給流路82A、82Bを介して、基板Pの上方に設けられた供給口13、14より基板P上に供給される。
また、液体回収部21の液体回収動作は制御装置CONTにより制御される。制御装置CONTは、液体回収部21による単位時間あたりの液体回収量を制御可能である。基板Pの上方に設けられた回収口23から回収された基板P上の液体LQは、流路形成部材80の回収流路84及び回収管22を介して液体回収部21に回収される。
流路形成部材80のうち回収口23より投影光学系PLに対して外側の下面(基板P側を向く面)には、液体LQを捕捉する所定長さの液体トラップ面81が形成されている。トラップ面81は、XY平面に対して傾斜した面であり、投影領域AR1(液浸領域AR2)に対して外側に向かうにつれて基板Pの表面に対して離れるように(上に向かうように)傾斜している。トラップ面81は親液処理を施されている。基板Pの表面に塗布されている膜(フォトレジスト、反射防止膜等)は通常撥水性(撥液性)なので、回収口23の外側に流出した液体LQは、トラップ面81で捕捉される。なお、本実施形態における液体LQは極性の大きい水であるため、トラップ面81に対する親水処理(親液処理)として、例えばアルコールなど極性の大きい分子構造の物質で薄膜を形成することで、このトラップ面81に対して親水性を付与する。すなわち、液体LQとして水を用いる場合にはトラップ面81にOH基など極性の大きい分子構造を持ったものを表面に配置させる処理が望ましい。
図2は、流路形成部材80に形成された第1、第2供給口13、14及び第1〜第4回収口23A〜23Dと、投影光学系PLの投影領域AR1との位置関係を示す平面図である。図2において、投影光学系PLの投影領域AR1はY軸方向(非走査方向)を長手方向とする矩形状に設定されている。液体LQが満たされた液浸領域AR2は、投影領域AR1を含むように実質的に4つの回収口23A〜23Dで囲まれた領域内であって且つ基板P上の一部に局所的に形成される。第1供給口13は投影領域AR1に対して走査方向一方側(−X側)に設けられ、第2供給口14は他方側(+X側)に設けられている。つまり、第1、第2供給口13、14は走査方向(X方向)に関して投影領域AR1を挟むようにその両側に配置されている。第1、第2供給口13、14のそれぞれは所定の長さを有する平面視略円弧状のスリット状に形成されている。第1、第2供給口13、14のY軸方向における長さは、少なくとも投影領域AR1のY軸方向における長さより長くなっている。液体供給機構10は、第1、第2供給口13、14より、投影領域AR1の両側で液体LQを同時に供給可能である。
第1〜第4回収口23A〜23Dは、供給口13、14、及び投影領域AR1を取り囲むように配置されている。複数(4つ)の回収口23A〜23Dのうち、第1回収口23Aと第3回収口23CとがX軸方向に関して投影領域AR1を挟んでその両側に配置されており、第2回収口23Bと第4回収口23DとがY軸方向に関して投影領域AR1を挟んでその両側に配置されている。供給口13、14は投影領域AR1と回収口23A、23Cとの間に配置された構成となっている。回収口23A〜23Dのそれぞれは平面視略円弧状の所定の長さを有するスリット状に形成されている。回収口23A、23CのY軸方向における長さは、供給口13、14のY軸方向における長さより長くなっている。回収口23B、23Dのそれぞれも回収口23A、23Cとほぼ同じ長さに形成されている。第1〜第4回収口23A〜23Dは第1〜第4回収管22A〜22Dのそれぞれを介して液体回収部21に接続されている。
なお、本実施形態において、複数の回収口23A〜23Dのそれぞれはほぼ同じ大きさ(長さ)に形成されているが、互いに異なる大きさであってもよい。また、回収口23の数は4つに限られず、投影領域AR1及び供給口13、14を取り囲むように配置されていれば、任意の複数設けることができる。また、図2においては、供給口(13、14)のスリット幅と回収口(23A〜23D)のスリット幅とがほぼ同じになっているが、回収口(23A〜23D)のスリット幅を、供給口(13、14)のスリット幅より大きくしてもよい。
図3は、基板ステージPSTのZチルトステージ52を上方から見た平面図である。平面視矩形状のZチルトステージ52の互いに垂直な2つの縁部に移動鏡43が配置されている。そして、Zチルトステージ52上のほぼ中央部に基板Pが配置され、その基板Pの周囲を囲むように基板Pの表面とほぼ同じ高さの平坦面60Aを有する環状のプレート部材60が設けられている。
なお、プレート部材60と基板P(エッジ部EG)との間にはギャップ(隙間)Gが形成されているが、そのギャップGは例えば0.1〜1mm程度であるため、液体LQの表面張力によってそのギャップGに液体LQが浸入することが防止されている。また、基板Pの側面PBやプレート部材60のうち側面PBと対向する内側面60B等を撥液処理して撥液性にすることで、ギャップGに対する液体LQの浸入を更に良好に防止できる。
なお、プレート部材60のみならず、基板ステージPST(Zチルトステージ52)上面を撥液性にしてもよい。この場合、基板ステージPST上面のうち、少なくとも基板ステージPSTに保持された基板Pの外側の領域を撥液性にする。こうすることにより、液浸露光中における基板ステージPST外側への液体LQの流出を抑え、また液浸露光後においても液体LQを円滑に回収できて、基板ステージPST上に液体LQが残留することを防止することができる。
なお、プレート部材60は、基板ステージPST(Zチルトステージ52、基板ホルダ)と一体で設けてもよいし、基板ステージPSTに対して脱着可能としてもよい。更に、基板ステージPST上に環状のプレート部材60を設けずに、基板ステージPST上面全域を基板Pとほぼ同じ高さ(面一)となるように、基板ステージPSTを形成してもよい。その場合においても、その基板ステージPST上面のうち基板Pの外側の領域(液体と接触する領域)は撥液性にされる。
基板P上には複数のショット領域S1〜S24が設定されており、制御装置CONTは、基板P上に設定された複数のショット領域S1〜S24を順次露光する。本実施形態において、制御装置CONTは、投影光学系PLの光軸AX(投影領域AR1)が図3の波線矢印59に沿って進むようにレーザ干渉計56の出力をモニタしつつ基板ステージPST(XYステージ53)を移動し、露光光ELに対して基板Pを移動しながら、複数のショット領域S1〜S24を順次走査露光する。具体的には、1つのショット領域への露光終了後に、基板Pのステッピング移動によって次のショット領域が走査開始位置に移動し、以下、ステップ・アンド・スキャン方式で基板Pを移動しながら各ショット領域に対する走査露光処理が順次行われる。
このとき、例えば一部が欠けたショット領域S4は、通常通り露光した場合には、図3中、符号AR1’で示すように、投影領域AR1の一部が基板Pの外側にはみ出て、露光光ELが基板Pの外側に設けられた撥液性を有する平坦面60Aに照射される。
図4は、マスクステージMST近傍に設けられた制限装置70を示す断面図、図5は、制限装置70の平面図である。
図4及び図5において、制限装置70は、ベース部71と、ベース部71上を移動可能に設けられた遮光部材(光学部材)72と、ベース部71上で遮光部材72を移動する駆動装置73とを備えている。ベース部71はマスクステージMSTの下面に接続されている。そのため、ベース部71は、マスクステージMSTが移動したとき、そのマスクステージMSTと一緒に移動する。
マスクステージMSTの略中央部には開口部Kが設けられており、マスクMを通過した露光光ELはこの開口部Kを通過可能である。また、ベース部71の略中央部には、マスクステージMSTの開口部Kに対応する開口部71Aが設けられており、マスクMを通過した露光光ELはこの開口部71Kを通過可能である。本実施形態において、ベース部71は平面視略円環状であるが、矩形状など任意の形状でもよい。また、ベース部71の開口部71Aは略円形状であるが、露光光ELを通過可能であれば、換言すれば、照明領域IAより大きければ、その大きさ及び形状は任意でよい。
遮光部材72は、開口部71Aを通過する露光光ELの少なくとも一部の通過を制限するものであって、板状部材によって構成されており、露光光ELの光路の少なくとも一部の領域に配置されることで、その一部の領域に対応する露光光ELの通過をほぼ完全に(ほぼ100%)遮光可能である。遮光部材72としては、例えば金属製の板状部材の表面にクロムなどの遮光性材料を塗布した部材を用いることができる。また、遮光部材72は、基板Pの形状(エッジ部EGの外形)に応じた内側エッジ部72Aを有している。本実施形態において、基板Pは略円形状であり、内側エッジ部72Aは、基板Pのエッジ部EGの形状に応じた略円弧状となっている。そして、遮光部材72は、その内側エッジ部72A側を、露光光ELの通過する開口部71Aに配置可能である。内側エッジ部72Aの曲率半径C1は、円形状の基板Pの半径C2に応じて設定されている。具体的には、内側エッジ部72Aの曲率半径C1と投影光学系PLの投影倍率βとの積が、基板Pの半径C2とほぼ同じになるように、内側エッジ部72Aが形成されている。
駆動装置73は、ベース部71の上面に設けられたガイド部74と、ガイド部74に沿って移動可能に設けられた被ガイド部75と、被ガイド部75に対して遮光部材72を移動可能に支持するアクチュエータ76とを備えている。ガイド部74は、開口部71Aに沿って略円環状に設けられている。ガイド部74と被ガイド部75との間には、非接触軸受である気体軸受(エアベアリング)が介在しており、ガイド部74は被ガイド部75を非接触支持する。また、ガイド部74にはリニアモータの固定子が設けられ、被ガイド部75には可動子が設けられている。そのため、被ガイド部75にアクチュエータ76を介して連結されている遮光部材72は、ガイド部74に沿って開口部71Aの周囲を移動可能となっている。本実施形態において、遮光部材72は、ガイド部74に沿って光軸AXを回動中心としてθZ方向に移動する。ここで、遮光部材72は開口部71Aの周方向(図5中、矢印Y1参照)に移動するとき、その内側エッジ部72Aを常に開口部71A側(光軸AX側)に向けつつ移動する。
また、アクチュエータ76は被ガイド部75に対して遮光部材72をXY平面に沿って移動可能であり、少なくとも光軸AXに対して接近及び離間方向(矢印Y2参照)に移動する。そして、遮光部材72が光軸AXに接近方向に移動して、露光光ELの光路の一部(照明領域IAの一部)に配置されることにより、その露光光EL(光路)の少なくとも一部の通過を制限(遮光)する。
図4に示すように、マスクMは、そのパターン形成面Maを覆うペリクルPEと、マスクMの下面に対してペリクルPEを支持するペリクル枠PFとを備えている。そして、制限装置70の遮光部材72は、ペリクルPE(マスクM)の下方において、ペリクルPEに対して離れた位置で移動する。
マスクMのパターン形成面Maと基板Pの表面(投影光学系PLの像面)とは、光学的にほぼ共役な位置にある。したがって、マスクMの近傍に設けられた遮光部材72は、基板Pの表面(被露光処理面)と光学的にほぼ共役な位置にある。
次に、上述した露光装置EXを用いてマスクMのパターン像を基板Pに露光する方法について説明する。
本実施形態における露光装置EXは、マスクMと基板Pとを露光光ELに対してX軸方向(走査方向)に移動しながらマスクMのパターン像を基板Pに走査露光するものであって、走査露光時には、投影光学系PLの投影領域AR1にマスクMの一部のパターン像が投影され、投影光学系PL(露光光EL)に対して、マスクMが−X方向(又は+X方向)に速度Vで移動するのに同期して、基板ステージPST(XYステージ53)を介して基板Pが+X方向(又は−X方向)に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。
露光処理を行うに際し、制御装置CONTは液体供給機構10及び液体回収機構20を駆動し、液体LQの供給及び回収を行う。液体供給機構10の第1、第2液体供給部11、12のそれぞれから送出された液体LQは、供給管11A、12Aを流通した後、流路形成部材80内部に形成された供給流路82A、82Bを介して基板P上に供給される。 基板P上に供給された液体LQは、基板Pの動きに合わせて投影光学系PLの下を流れる。例えば、あるショット領域の露光中に基板Pが+X方向に移動しているときには、液体LQは基板Pと同じ方向+X方向に、ほぼ基板Pと同じ速度で、投影光学系PLの下を流れる。一方、基板P上の液体LQは、液体回収機構20の回収口23より吸引回収され、回収流路84、回収管22を介して液体回収部21に送られる。
照明光学系ILより射出されマスクMを通過した露光光ELは投影光学系PLの像面側に照射され、これによりマスクMのパターンが投影光学系PL及び液浸領域AR2の液体LQを介して基板Pに露光される。制御装置CONTは、液体供給機構10による基板P上への液体LQの供給及び液体回収機構20による基板P上の液体LQの回収を行いながら、投影光学系PLと液体LQとを介して基板P上に露光光ELを照射して基板Pを露光する。
本実施形態において、露光動作中、液体供給機構10は、供給口13、14より投影領域AR1の両側から基板P上への液体LQの供給を同時に行う。これにより、供給口13、14から基板P上に供給された液体LQは、投影光学系PLの終端部の光学素子35の下端面と基板Pとの間に良好に濡れ拡がり、液浸領域AR2を少なくとも投影領域AR1より広い範囲で形成する。なお、投影領域AR1の走査方向両側から基板Pに対して液体LQを供給する際、制御装置CONTは、液体供給機構10の第1、第2液体供給部11、12の液体供給動作を制御し、走査方向に関して、投影領域AR1の手前から供給する単位時間あたりの液体供給量を、その反対側で供給する液体供給量よりも多く設定してもよい。例えば、基板Pを+X方向に移動しつつ露光処理する場合、制御装置CONTは、投影領域AR1に対して−X側(すなわち供給口13)からの液体量を、+X側(すなわち供給口14)からの液体量より多くし、一方、基板Pを−X方向に移動しつつ露光処理する場合、投影領域AR1に対して+X側からの液体量を、−X側からの液体量より多くする。ここで、例えば基板Pが+X方向に移動することにより、投影領域AR1に対して+X側に移動する液体量が増し、基板Pの外側に大量に流出する可能性がある。ところが、+X側に移動する液体LQは流路形成部材80の+X側下面に設けられているトラップ面81で捕捉されるため、基板Pの周囲等に流出したり飛散したりする不都合を抑制できる。
図6は、マスクM及び投影光学系PLを介した露光光ELが基板Pに照射されている状態を示す模式図である。
基板P上の中央部に設定されているショット領域(S1〜S24)を露光するとき、制御装置CONTは、駆動装置73を介して遮光部材72を露光光ELの光路上、すなわち照明領域IAから遠ざける方向に移動し、遮光部材72を露光光ELの光路上より退避させる。これにより、照明領域IAに応じたマスクM上の部分パターンが、基板P上のショット領域S1〜S24に露光される。
マスクM上での露光光ELの照明領域IAは、マスクM上のパターン形成領域PA内でY軸方向に延びたスリット状に設定されており、そのY軸方向の両端部は遮光帯SB上に位置する。そして、マスクM上の照明領域IA内に含まれる部分パターンは、投影光学系PLの投影領域AR1に投影される。制御装置CONTは、マスクM上の照明領域IAに露光光ELを照射しながら、露光光ELに対してマスクMを支持するマスクステージMSTを−X方向に速度Vで移動することで、マスクMのパターン形成領域PAの全面に順次露光光ELを照射する。また、基板Pを支持する基板ステージPSTは、+X方向に速度β・V(βは投影倍率)で移動する。マスクMを支持したマスクステージMSTが移動するとき、上述したように、制限装置70のベース部71も一緒に移動する。したがって、ベース部71上の遮光部材72も、マスクMを支持したマスクステージMSTと同期して移動する。
一方、図6の模式図に示すように、基板Pのエッジ領域Eを露光するときは、その基板Pの露光中に、基板Pの外側のプレート部材60の平坦面60Aに露光光ELが照射されないように、制御装置CONTは、駆動装置73を介して遮光部材72を照明領域IAに近づける方向に移動する。遮光部材72が露光光ELによる照明領域IAの一部に配置されることにより、露光光ELの一部が遮光される。これにより、露光光ELのうち基板Pに当たらない露光光ELが遮られ、基板Pの外側の平坦面60Aには露光光ELが照射されない。これにより、露光光ELが照射されることに起因する平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制できる。
本実施形態において、基板PはマスクMと同期して露光光ELに対して移動しながら走査露光される構成であるため、マスクMと一緒に移動するベース部71上で移動可能に設けられている遮光部材72は、基板Pの外側の平坦面60Aに露光光ELが照射されないように、マスクM及び基板Pの移動に合わせてベース部71上を移動する。走査露光中において、制御装置CONTは、レーザ干渉計42によるマスクMの位置情報及びレーザ干渉計44による基板Pの位置情報に基づいて、駆動装置73を駆動することにより、基板Pの外側の平坦面60Aに露光光ELが照射されないように遮光部材72を移動することができる。なお、マスクMの位置情報と基板Pの位置情報とのいずれか一方に基づいて遮光部材72を移動するようにしてもよい。
具体的には、液浸露光処理前に、基板Pのエッジ部EGの位置情報(プレート部材60の位置情報)を、記憶装置MRYに記憶しておく。また、基板P上のショット領域の配置(ショットマップ)を記憶しておく。制御装置CONTは、レーザ干渉計42、44の計測結果と、記憶装置MRYに記憶されている基板Pのエッジ部EGの位置情報と、ショットマップ情報とに基づいて、基板Pのエッジ付近を露光するときに、基板Pに当たらない光を遮るように、マスクステージMSTの移動に追従させるように、遮光部材72を駆動装置73を介して移動する。
液浸露光終了後、制御装置CONTは、液体回収機構20などを使って基板P上や、プレート部材60を含む基板ステージPST上に残留している液体LQを回収する。プレート部材60の平坦面60Aや基板ステージPST上面の撥液性は、露光光ELが照射されないことで維持されているため、液体回収機構20は、残留している液体LQを良好に回収することができる。また、基板Pとプレート部材60とのギャップからの液体LQの浸入も抑制される。
図7(a)は、投影領域AR1が基板Pのエッジ領域Eに配置されているときの平面図、図7(b)は、図7(a)の要部拡大図である。また図8は、基板Pのエッジ領域Eの断面を模式的に示した図である。
図8に示すように、基板Pを構成する基材90の表面には、感光材(フォトレジスト)91が設けられたレジスト領域92と、感光材91が設けられていないレジスト除去領域93とが設けられている。レジスト除去領域93は、基板P(基材90)の周縁部に所定幅(例えば3mm程度)で設定されており、レジスト領域92は、レジスト除去領域93の内側に設けられ、基板P(基材90)の表面の殆どの領域を占めている。また、感光材91の上層にはトップコート層と呼ばれる保護層(液体から感光材91を保護する膜)94が設けられており、この保護層94はレジスト除去領域93における基材90上や基材90の側面にも設けられている。レジスト領域92は露光処理可能な有効領域であり、レジスト除去領域93は露光処理不能な非有効領域である。
基材90上に感光材91を設ける場合、例えばスピンコート法等の所定の塗布方法で設けられる場合が多いが、その場合、基材90の周縁部において感光材91が中央部より盛り上がるように多量に設けられる現象が生じる場合がある。その基材90の周縁部の感光材91は剥離し易く、剥離した感光材91は異物となり、その異物が基板P上に付着するとパターン転写精度に影響を及ぼす。そこで、基材90上に所定の塗布方法で感光材91を設けた後、露光処理を行う前に、周縁部の感光材91を例えば溶剤を使って除去することが行われており、これにより、基材90(基板P)の周縁部にはレジスト除去領域93が形成される。
そこで、本実施形態では、遮光部材72のエッジ部72Aの像がプレート部材60の内側エッジ(内側面60B)とレジスト領域(有効領域)92のエッジ部との間に位置するように、遮光部材72の移動が行われる。
本実施形態では、遮光部材72は、基板Pと光学的にほぼ共役な位置にあるマスクMの近傍に設けられているものの、マスクMのパターン形成面Maに対して僅かに離れた位置に配置されているため、遮光部72(内側エッジ部72A)の基板P上での像にはぼけが生じるが、例えば、図7に示すように、制御装置CONTは、基板Pの周縁部を含むエッジ領域Eを露光するときに、遮光部材72の内側エッジ部72Aの像(デフォーカス像)、つまり基板P上に照射される露光光ELのエッジ部96が基板P上のレジスト除去領域93に位置するように、遮光部材72を使って露光光ELの一部を遮る。これにより、パターンが形成されるレジスト領域92にはぼけた像が露光されず、平坦面60Aに対する露光光ELの照射も確実に防止することができる。
本実施形態において、露光光ELのエッジ部96とは、投影領域AR1に相当する領域のうち、露光光ELが照射される照射領域97と、遮光部材72によって露光光ELが照射されない非照射領域98との境界部であって、照射領域97のうち基板P上(平坦面60A上)において露光光ELがぼけた状態で照射されるぼけ領域がレジスト除去領域93内部に収まることが好ましい。
また、例えばマスクM(基板Pと光学的に共役な位置)と遮光部材72との距離が大きいと、ぼけ領域が大きくなるが、ぼけ領域がレジスト除去領域93内部に収まるように、レジスト除去領域93の幅を設定したり、あるいはマスクM(基板Pと光学的に共役な位置)と遮光部材72との距離を設定することが好ましい。
以上説明したように、基板Pの露光中にその基板Pの外側に露光光ELが照射されないようにすることにより、基板Pの周囲に設けられた撥液性を有するプレート部材60の平坦面60Aや基板ステージPST上面には露光光ELが照射されない。そのため、露光光ELの照射に起因するプレート部材60(平坦面60A)の撥液性の劣化を防止することができる。したがって、基板ステージPST上やプレート部材60上に液体LQが残留することを防止でき、たとえ残留してもその液体LQを円滑に回収できる。したがって、残留した液体LQに起因する露光精度の劣化を防止することができ、所望の性能を発揮できるデバイスを製造することができる。
なお、本実施形態においては、レジスト領域92は基板Pの形状に応じた円形状であるため、遮光部材72(内側エッジ部72A)を基板Pの外形に応じた形状とすることで露光光ELのエッジ部96をレジスト除去領域93に位置することができるが、基板Pとレジスト領域92とが異なる形状の場合、例えば基板Pが円形状でレジスト領域92が矩形状である場合、遮光部材72(内側エッジ部72A)は、レジスト領域92の形状に応じた形状に設けられることが好ましい。また、基板P(基材90)とレジスト領域92との大きさがほぼ同じ場合には、遮光部材72の内側エッジ部72Aの曲率半径C1を基板Pの半径C2に応じて設定しても構わないが、基板P(基材90)に対してレジスト領域92が極端に小さい場合においては、遮光部材72の内側エッジ部72Aの曲率半径C1は、レジスト領域92の半径に応じて設定されることが好ましい。
上記実施形態においては、遮光部材72を基板Pの動作に同期して動かすことにより、基板Pの外側(平坦面60A)に露光光ELが照射されないようにしているが、基板Pの走査露光中に、露光光ELと基板Pのエッジ部EGとの位置関係に基づいて、露光光ELの発射を停止することで、基板Pの外側に露光光ELが照射されないようにしてもよい。
例えば、図9(a)の模式図に示すように、基板Pの走査露光中に、露光光ELを照射される投影領域AR1が基板Pのエッジ部EGより完全に外側に出たときに、制御装置CONTは、光源1からの光束の発射を停止する。あるいは、照明光学系IL内部など露光光ELの光路上にシャッタを設け、投影領域AR1が基板Pのエッジ部EGより完全に外側に出たときに、前記シャッタで露光光ELの光路を遮断する。あるいは、遮光部材72を露光光ELの光路上に配置して遮光してもよい。これにより、基板Pの外側の平坦面60Aに照射される露光光ELの照射量を抑えることができ、平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制できる。このとき制御装置CONTは、レーザ干渉計43による基板Pの位置計測結果に基づいて基板Pのエッジ部EGの位置情報を求め、その求めたエッジ部EGの位置情報に基づいて、露光光ELの発射を停止するタイミングを設定する。
なお、図9(a)を参照して説明した実施形態では、平坦面60Aに僅かに露光光ELが照射されるが、投影光学系PLの像面側に照射される露光光ELのうち、基板P上のレジスト領域92の外側に照射される露光光ELの光量(積算光量)を、基板P上のレジスト領域92に照射される露光光ELの光量(積算光量)よりも小さくすることができるので、平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制することができる。
あるいは、図9(b)の模式図に示すように、基板Pの走査露光中に、露光光ELを照射される投影領域AR1の少なくとも一部が基板Pのエッジ部EGより外側に出たときに、制御装置CONTは、光源1からの光束の発射を停止する。あるいは、照明光学系IL内部など露光光ELの光路上にシャッタを設け、投影領域AR1が基板Pのエッジ部より完全に外側に出たときに、前記シャッタで露光光ELの光路を遮断する。あるいは、遮光部材72を露光光ELの光路上に配置して遮光してもよい。これにより、基板Pの外側の平坦面60Aには露光光ELがほとんど照射されないので、平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制できる。このとき制御装置CONTは、レーザ干渉計43による基板Pの位置計測結果に基づいて基板Pのエッジ部EGの位置情報を求め、その求めたエッジ部EGの位置情報に基づいて、露光光ELの発射を停止するタイミングを設定する。
なお、図9(b)を参照して説明した実施形態では、基板P(エッジ領域E)の一部には露光光ELが照射されない場合が生じるが、投影領域AR1を小さくすることにより、露光光ELが照射されない領域を小さくすることができ、未露光部分を最小限に抑えることができる。
なお、上記実施形態においては、遮光部材72はリニアモータを含む駆動装置で駆動されるように説明したが、リニアモータには限定されず、例えばステッピングモータやボイスコイルモータなどを使用しても構わない。更に、駆動装置として例えばロボットアームを用い、遮光部材72をロボットアームで移動するようにしてもよい。
上記実施形態において、ショット領域S1〜S24を露光するときと、エッジ領域Eを露光するときとで、露光条件を変えてもよい。例えばCMP処理における基板Pの片当たりを防止するためにエッジ領域Eを露光する場合には、そのパターン転写精度はショット領域S1〜S24を露光するときに比べて低くても構わないので、エッジ領域Eを露光するときは、ショット領域S1〜S24を露光するときよりも、例えば走査速度を高速にすることができる。これにより、スループットを向上することができる。
以下、遮光部材72(制限装置70)の別の実施形態について説明する。以下の説明において、上述した実施形態と同一又は同等の構成部分については同一の符号を付し、その説明を簡略もしくは省略する。
上記実施形態においては、遮光部材72は光をほぼ100%遮るように説明したが、遮光部材72としては、図10(a)に示すような、露光光ELの一部を通過する例えば光透過率50%の遮光部材72であってもよい。この場合、平坦面60Aやレジスト除去領域93に露光光ELが僅かに照射されることになるが、基板Pの露光中に、投影光学系PLの像面側に照射される露光光ELのうち、基板P上のレジスト領域92の外側に照射される露光光ELの強度(照度)を、基板P上のレジスト領域92に照射される露光光ELの強度(照度)よりも弱くすることができるので、平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制することができる。
また、遮光部材72としては、金属製の板状部材の表面全域にクロムなどの遮光性材料を塗布する構成の他に、図10(b)に示すような、ガラスなどからなる板状の光学部材72の一部の領域に遮光性材料を設けて遮光部を形成するようにしてもよい。図10(b)に示す例では、光学部材72の表面のうち外側エッジ部72B側に遮光性材料が設けられて遮光部が形成され、内側エッジ部72A近傍には遮光性材料が設けられておらず透光部が形成されている。
図10(c)に示すように、遮光部材72に光透過率分布を設けてもよい。図10(c)に示す例では、内側エッジ部72Aから外側エッジ部72Bに向かうにつれて光透過率が漸次小さくなるように設けられている。この場合においても、平坦面60Aやレジスト除去領域93に露光光ELが僅かに照射されることになるが、基板Pの露光中に、投影光学系PLの像面側に照射される露光光ELのうち、基板P上のレジスト領域92の外側に照射される露光光ELの強度(照度)を、基板P上のレジスト領域92に照射される露光光ELの強度(照度)よりも弱くすることができるので、平坦面60Aの撥液性の劣化を抑制することができる。
図11(a)に示すように、遮光部材72の内側エッジ部72Aは直線状でもよい。遮光部材72の内側エッジ部72Aは、基板P(レジスト領域92)の外形に応じた形状を有していることが好ましいが、投影領域AR1のスリット幅が十分に小さい場合や、レジスト除去領域93の幅が十分に大きい場合には、内側エッジ部72Aを円弧状にせずに例えば直線状にしても、露光光ELのエッジ部96をレジスト除去領域93に配置することができる。また、露光光ELのエッジ部96をレジスト除去領域93に配置することができれば、内側エッジ部72Aの形状は任意でよく、例えば波形状であってもよい。
また、図11(b)に示すように、遮光部材72をマスクM上の照明領域IAを囲むような環状部材としてもよい。あるいは、図11(c)に示すように、円弧状の遮光部材72を複数(ここでは4つ)設け、それぞれを移動可能に設けてもよい。
更に、基板Pに切欠部(ノッチ部やオリエンテーションフラット部など)がある場合には、遮光部材2の内側エッジ部72の形状をその切欠部に合わせておくのが望ましい。
遮光部材72を設ける位置としては、基板Pの表面と光学的に共役な位置、もしくはその近傍であればよく、図12に示すように、遮光部材72を含む制限装置70を、例えば可動マスクブラインド7B近傍に配置してもよい。上記実施形態においては、マスクMのペリクルPE(ペリクル枠PF)の存在によって、遮光部材72をマスクMのパターン形成面Ma(基板Pの表面と光学的に共役な位置)近接して配置することに制約があったが、遮光部材72を可動マスクブラインド7B近傍に配置することで、基板Pの表面と光学的に共役な位置により近い位置に設けることができる。したがって、基板P上において前記ぼけ領域を小さくすることができる。
ここで、図12に示す例においては、制限装置70のベース部71が固定マスクブラインド7Aとしての機能を有し、ベース部71の開口部71A(7K)は、マスクM上の照明領域IAを規定するように矩形のスリット状に形成されている。
あるいは、照明光学系IL内におけるリレーレンズによる空間像形成面に遮光部材72を設けることができるし、例えば基板ステージPST上にベース部71を設け、遮光部材72をベース部71上で移動可能に設けて、遮光部材72が基板Pの近傍に配置されるようにしてもよい。この場合、ベース部71は基板ステージPSTと一緒に移動し、遮光部材72は基板Pと同期して移動し、基板Pに当たらない光を遮る。
また、制限装置70としては、図13に示す構成を有するものを採用してもよい。なお以下では、図13に示す制限装置70は可動マスクブラインド7B近傍に配置されるものとして説明するが、可動マスクブラインド7B近傍の位置以外の、基板Pの表面と光学的に共役な位置もしくはその近傍に配置されてもよい。
図13において、制限装置70は、マスクM上の照明領域IAを規定する矩形状の開口部71A(7K)を有するベース部71と、開口部71Aに配置される内側エッジ部72Aを有する遮光部材72とを備えている。遮光部材72は複数設けられており、本実施形態においては、開口部71Aに対して走査方向両側のそれぞれに1つずつ設けられている。そして、遮光部材72は、後述する遮光部材72を駆動する駆動装置300によって駆動されることにより、その内側エッジ部72Aを開口部71Aに配置する。
基板Pの中央部のショット領域S1〜S24を露光するときは、図13(a)に示すように、遮光部材72(内側エッジ部72A)は開口部71Aに配置されない。一方、基板Pのエッジ領域Eを露光するときには、制御装置CONTは、基板P(プレート部材60)のエッジ部の形状に応じて、プレート部材60の平坦面60Aに露光光ELが照射されないように、遮光部材72を適宜移動(変形)して内側エッジ部72Aを開口部71Aに配置する。図13(b)には、開口部71Aの図中下側に配置された遮光部材72の内側エッジ部72Aが開口部71Aに配置され、図13(c)には、開口部71Aの図中上下両側の遮光部材72の内側エッジ部72Aが配置されている例が示されている。このように、制御装置CONTは、遮光部材72を使って、基板P(プレート部材60)のエッジ部の形状に応じて、露光光ELの通過するベース部71の開口部71Aの形状(大きさ)を変更可能である。もちろん、露光中の基板Pのエッジと露光光ELとの位置関係の変化に応じて、遮光部材72のエッジ部72Aの形状を変化させることも可能である。なお、本実施形態においては、遮光部材72は開口部71Aの走査方向両側に設けられているため、開口部71Aのうち非走査方向に延びるエッジ部71Acが可変エッジ部となっているが、遮光部材72を開口部71Aの非走査方向両側に設け、走査方向に延びるエッジ部71Amを可変エッジ部としてもよい。
図14は、遮光部材72のエッジ部72Aを変形する駆動装置300を示す概略図であり、図15は、本実施形態に係る遮光部材72の構成を概略的に示す図である。図14に示すように、遮光部材72は、ルーズホールを介したピン接合により連接された複数の羽根部材(72S、72T)により構成され、第1の羽根部材72Sと第2の羽根部材72Tとが交互に連結されている。駆動装置300は、第1の羽根部材72Sと第2の羽根部材72Tとの間の各ピン接合部を移動させるための複数のアクチュエータ321を備えている。各アクチュエータ321と対応する各ピン接合部との間は棒状部材322によって連結されている。
なお、図15に示すように、第1の羽根部材72Sと第2の羽根部材72Tとはほぼ同じ構成を有するが、アクチュエータ側とは反対側のエッジ部分すなわち内側エッジ部72Aを形成するエッジ部分の構成が異なっている。具体的には、第1の羽根部材72S及び第2の羽根部材72Tのエッジ先端部は、光軸AXに垂直な第1面と光軸AXとの間で所定の角度θをなす第2面(テーパ面)とを有する片刃状に形成されているが、第1の羽根部材72Sでは第2の羽根部材72Tとの当接面である第1面がマスク側に向いているのに対し、第2の羽根部材72Tでは第1の羽根部材72Sとの当接面である第1面が光源側に向いている。
したがって、互いに連接された状態において、第1の羽根部材72Sのエッジ先端と第2の羽根部材72Tのエッジ先端とが光軸AXと直交する同一平面に沿って直線状または曲線状に延びることになる。こうして、各アクチュエータ321を駆動することにより、第1の羽根部材72Sのエッジ先端と第2の羽根部材72Tのエッジ先端とで構成される内側エッジ部72Aを所望の直線状または曲線状に形成し、露光光ELの通過する開口部71Aの形状及び大きさの制御が可能になる。
上述したように、本実施形態における液体LQは純水により構成されている。純水は、半導体製造工場等で容易に大量に入手できるとともに、基板P上のフォトレジストや光学素子(レンズ)等に対する悪影響がない利点がある。また、純水は環境に対する悪影響がないとともに、不純物の含有量が極めて低いため、基板Pの表面、及び投影光学系PLの先端面に設けられている光学素子の表面を洗浄する作用も期待できる。なお工場等から供給される純水の純度が低い場合には、露光装置が超純水製造器を持つようにしてもよい。
そして、波長が193nm程度の露光光ELに対する純水(水)の屈折率nはほぼ1.44と言われており、露光光ELの光源としてArFエキシマレーザ光(波長193nm)を用いた場合、基板P上では1/n、すなわち約134nmに短波長化されて高い解像度が得られる。更に、焦点深度は空気中に比べて約n倍、すなわち約1.44倍に拡大されるため、空気中で使用する場合と同程度の焦点深度が確保できればよい場合には、投影光学系PLの開口数をより増加させることができ、この点でも解像度が向上する。
なお、上述したように液浸法を用いた場合には、投影光学系の開口数NAが0.9〜1.3になることもある。このように投影光学系の開口数NAが大きくなる場合には、従来から露光光として用いられているランダム偏光光では偏光効果によって結像性能が悪化することもあるので、偏光照明を用いるのが望ましい。その場合、マスク(レチクル)のライン・アンド・スペースパターンのラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明を行い、マスク(レチクル)のパターンからは、S偏光成分(TE偏光成分)、すなわちラインパターンの長手方向に沿った偏光方向成分の回折光が多く射出されるようにするとよい。投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が液体で満たされている場合、投影光学系PLと基板P表面に塗布されたレジストとの間が空気(気体)で満たされている場合に比べて、コントラストの向上に寄与するS偏光成分(TE偏光成分)の回折光のレジスト表面での透過率が高くなるため、投影光学系の開口数NAが1.0を越えるような場合でも高い結像性能を得ることができる。また、位相シフトマスクや特開平6−188169号公報に開示されているようなラインパターンの長手方向に合わせた斜入射照明法(特にダイボール照明法)等を適宜組み合わせると更に効果的である。
また、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、微細なライン・アンド・スペースパターン(例えば25〜50nm程度のライン・アンド・スペース)を基板P上に露光するような場合、マスクMの構造(例えばパターンの微細度やクロムの厚み)によっては、Wave guide効果によりマスクMが偏光板として作用し、コントラストを低下させるP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりS偏光成分(TE偏光成分)の回折光が多くマスクMから射出されるようになるので、上述の直線偏光照明を用いることが望ましいが、ランダム偏光光でマスクMを照明しても、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。また、マスクM上の極微細なライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合、Wire Grid効果によりP偏光成分(TM偏光成分)がS偏光成分(TE偏光成分)よりも大きくなる可能性もあるが、例えばArFエキシマレーザを露光光とし、1/4程度の縮小倍率の投影光学系PLを使って、25nmより大きいライン・アンド・スペースパターンを基板P上に露光するような場合には、S偏光成分(TE偏光成分)の回折光がP偏光成分(TM偏光成分)の回折光よりも多くマスクMから射出されるので、投影光学系PLの開口数NAが0.9〜1.3のように大きい場合でも高い解像性能を得ることができる。
更に、マスク(レチクル)のラインパターンの長手方向に合わせた直線偏光照明(S偏光照明)だけでなく、特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線(周)方向に直線偏光する偏光照明法と斜入射照明法との組み合わせも効果的である。特に、マスク(レチクル)のパターンが所定の一方向に延びるラインパターンだけでなく、複数の異なる方向に延びるラインパターンが混在する場合には、同じく特開平6−53120号公報に開示されているように、光軸を中心とした円の接線方向に直線偏光する偏光照明法と輪帯照明法とを併用することによって、投影光学系の開口数NAが大きい場合でも高い結像性能を得ることができる。
本実施形態では、投影光学系PLの先端に光学素子35が取り付けられており、このレンズにより投影光学系PLの光学特性、例えば収差(球面収差、コマ収差等)の調整を行うことができる。なお、投影光学系PLの先端に取り付ける光学素子としては、投影光学系PLの光学特性の調整に用いる光学プレートであってもよい。あるいは露光光ELを透過可能な平行平面板であってもよい。
なお、液体LQの流れによって生じる投影光学系PLの先端の光学素子と基板Pとの間の圧力が大きい場合には、その光学素子を交換可能とするのではなく、その圧力によって光学素子が動かないように堅固に固定してもよい。
なお、本実施形態では、投影光学系PLと基板P表面との間は液体LQで満たされている構成であるが、例えば基板Pの表面に平行平面板からなるカバーガラスを取り付けた状態で液体LQを満たす構成であってもよい。
なお、本実施形態の液体LQは水であるが、水以外の液体であってもよい、例えば、露光光ELの光源がF2レーザである場合、このF2レーザ光は水を透過しないので、液体LQとしてはF2レーザ光を透過可能な例えば、過フッ化ポリエーテル(PFPE)やフッ素系オイル等のフッ素系流体であってもよい。この場合、液体LQと接触する部分には、例えばフッ素を含む極性の小さい分子構造の物質で薄膜を形成することで親液化処理する。また、液体LQとしては、その他にも、露光光ELに対する透過性があってできるだけ屈折率が高く、投影光学系PLや基板P表面に塗布されているフォトレジストに対して安定なもの(例えばセダー油)を用いることも可能である。この場合も表面処理は用いる液体LQの極性に応じて行われる。
なお、上記各実施形態の基板Pとしては、半導体デバイス製造用の半導体ウエハのみならず、ディスプレイデバイス用のガラス基板や、薄膜磁気ヘッド用のセラミックウエハ、あるいは露光装置で用いられるマスクまたはレチクルの原版(合成石英、シリコンウエハ)等が適用される。
露光装置EXとしては、マスクMと基板Pとを同期移動してマスクMのパターンを走査露光するステップ・アンド・スキャン方式の走査型露光装置(スキャニングステッパ)の他に、マスクMと基板Pとを静止した状態でマスクMのパターンを一括露光し、基板Pを順次ステップ移動させるステップ・アンド・リピート方式の投影露光装置(ステッパ)にも適用することができる。また、本発明は基板P上で少なくとも2つのパターンを部分的に重ねて転写するステップ・アンド・スティッチ方式の露光装置にも適用できる。
また、本発明は、特開平10−163099号公報、特開平10−214783号公報、特表2000−505958号公報などに開示されているツインステージ型の露光装置にも適用できる。
また、上述の実施形態においては、投影光学系PLと基板Pとの間に局所的に液体を満たす露光装置を採用しているが、本発明は、特開平6−124873号公報に開示されているような露光対象の基板を保持したステージを液槽の中で移動させる液浸露光装置にも適用可能である。
露光装置EXの種類としては、基板Pに半導体素子パターンを露光する半導体素子製造用の露光装置に限られず、液晶表示素子製造用又はディスプレイ製造用の露光装置や、薄膜磁気ヘッド、撮像素子(CCD)あるいはレチクル又はマスクなどを製造するための露光装置などにも広く適用できる。
基板ステージPSTやマスクステージMSTにリニアモータ(USP5,623,853またはUSP5,528,118参照)を用いる場合は、エアベアリングを用いたエア浮上型およびローレンツ力またはリアクタンス力を用いた磁気浮上型のどちらを用いてもよい。また、各ステージPST、MSTは、ガイドに沿って移動するタイプでもよく、ガイドを設けないガイドレスタイプであってもよい。
各ステージPST、MSTの駆動機構としては、二次元に磁石を配置した磁石ユニットと、二次元にコイルを配置した電機子ユニットとを対向させ電磁力により各ステージPST、MSTを駆動する平面モータを用いてもよい。この場合、磁石ユニットと電機子ユニットとのいずれか一方をステージPST、MSTに接続し、磁石ユニットと電機子ユニットとの他方をステージPST、MSTの移動面側に設ければよい。
基板ステージPSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−166475号公報(USP5,528,118)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
マスクステージMSTの移動により発生する反力は、投影光学系PLに伝わらないように、特開平8−330224号公報(US S/N 08/416,558)に記載されているように、フレーム部材を用いて機械的に床(大地)に逃がしてもよい。
以上のように、本願実施形態の露光装置EXは、本願特許請求の範囲に挙げられた各構成要素を含む各種サブシステムを、所定の機械的精度、電気的精度、光学的精度を保つように、組み立てることで製造される。これら各種精度を確保するために、この組み立ての前後には、各種光学系については光学的精度を達成するための調整、各種機械系については機械的精度を達成するための調整、各種電気系については電気的精度を達成するための調整が行われる。各種サブシステムから露光装置への組み立て工程は、各種サブシステム相互の、機械的接続、電気回路の配線接続、気圧回路の配管接続等が含まれる。この各種サブシステムから露光装置への組み立て工程の前に、各サブシステム個々の組み立て工程があることはいうまでもない。各種サブシステムの露光装置への組み立て工程が終了したら、総合調整が行われ、露光装置全体としての各種精度が確保される。なお、露光装置の製造は温度およびクリーン度等が管理されたクリーンルームで行うことが望ましい。
半導体デバイス等のマイクロデバイスは、図16に示すように、マイクロデバイスの機能・性能設計を行うステップ201、この設計ステップに基づいたマスク(レチクル)を製作するステップ202、デバイスの基材である基板を製造するステップ203、前述した実施形態の露光装置EXによりマスクのパターンを基板に露光する露光処理ステップ204、デバイス組み立てステップ(ダイシング工程、ボンディング工程、パッケージ工程を含む)205、検査ステップ206等を経て製造される。