JP4469958B2 - アセチル化アミノ糖及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を有する耐熱性酵素 - Google Patents
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Description
また、同様にN-アセチルガラクトサミン(N-Acetylgalactosamine)も膜構造の構築に於いて重要な糖であるが、この糖の合成経路に関しては、不明な点が多く、ガラクトサミン-1-リン酸(Galactosamine-1-phosphate)をアセチル化する酵素活性はこれまでに見出されていない。
Mengin-Lecreulx D and van Heijenoort J. " Copurification ofglucosamine-1-phosphate acetyltransferase and N-acetylglucosamine-1-phosphateuridyltransferase activities of Escherichia coli: characterization ofthe glmU gene product as a bifunctional enzyme catalyzing two subsequent stepsin the pathway for UDP-N-acetylglucosamine synthesis." (1994) J. Bacteriology,176, 5788-5795. Brown K, Pompeo F, Dixon S, Mengin-Lecreulx D, Cambillau C and BourneY "Crystal structure of the bifunctional N-acetylglucosamine 1-phosphateuridyltransferase from Escherichia coli: a paradigm for the relatedpyrophosphorylase superfamily." (1999) EMBO J., 18, 4096-4107. Sulzenbacher G, Gal L, Peneff C, Fassy F and Bourne Y. " Crystalstructure of Streptococcus pneumoniae N-acetylglucosamine-1-phosphateuridyltransferase bound to acetyl-coenzyme A reveals a novel active sitearchitecture." (2001) J. Biol. Chem., 276, 11844-11851.
(1)配列番号4に記載のアミノ酸配列を有するか、あるいは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に一乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつアセチル化アミノ糖合成活性及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を有することを特徴とする、蛋白質。
(2)上記(1)に記載の蛋白質をコードするDNA。
(3)配列番号5に記載の塩基配列を有することを特徴とするDNA。
(4)配列番号5に記載のDNA とストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセチル化アミノ糖合成活性及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質をコードすることを特徴とする、DNA。
(5)上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAから選ばれるDNAがベクターに組み込まれていることを特徴とする組換え体DNA。
(6)上記(5)に記載の組換え体DNAが宿主細胞に導入されていることを特徴とする形質転換体。
(7)上記(6)に記載の形質転換体を培地に培養し、培養物からアセチル化アミノ糖合成活性及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質を採取することを特徴とする、アセチル化アミノ糖合成活性及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を有する蛋白質の製造方法。
(8)グルコサミン-1-リン酸及び/又はガラクトサミン-1-リン酸に、アセチルCoA存在下、上記(1)に記載の蛋白質を作用させることを特徴とする、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸の製造方法。
(9)グルコサミン-1-リン酸及び/又はガラクトサミン-1-リン酸に、アセチルCoA存在下、上記(6)に記載の形質転換体の培養液あるいは培養物の処理物を作用させることを特徴とする、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸の製造方法。
(10)グルコサミン-1-リン酸及び/又はガラクトサミン-1-リン酸に、アセチルCoA存在下、 上記(3)又は(4)に記載のDNAにコードされるタンパク質を作用させることを特徴とする、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸の製造方法。
(11)N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸に、ヌクレオシド三リン酸の存在下、上記(1)に記載のタンパク質を作用させることを特徴とする、
N-アセチルグルコサミンおよび/又はN-アセチルガラクトサミンのヌクレオシド二リン酸結合体の製造方法。
(12)N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸に、ヌクレオシド三リン酸の存在下、上記(6)に記載の形質転換体の培養液あるいは培養物の処理物を作用させることを特徴とする、N-アセチルグルコサミンおよび/又はN-アセチルガラクトサミンのヌクレオシド二リン酸結合体の製造方法。
(13)N-アセチルグルコサミン-1-リン酸及び/又はN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸に、ヌクレオシド三リン酸の存在下、上記(2)〜(4)のいずれかに記載のDNAにコードされるタンパク質を作用させることを特徴とする、N-アセチルグルコサミンおよび/又はN-アセチルガラクトサミンのヌクレオシド二リン酸結合体の製造方法。
一方、アセチル化アミノ糖ヌクレオチドは、糖タンパク質、糖脂質、多糖類の糖鎖合成にアセチル化アミノ糖供与体として機能するものであり、これらの糖鎖は、癌転移、器官発生あるいは細胞性免疫等に密接に関連するものとして近年注目されており、本発明は、これら糖鎖の人工的合成発展において、その貢献度は極めて大きい。
本発明の酵素は、好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイ(Sulfolobus tokodaii)(JCM登録番号JCM10545)由来の酵素であり、該超好熱古細菌から本酵素活性を示すと推定した遺伝子領域を、PCR反応で増幅・抽出し、蛋白質発現プラスミドpET21bに挿入後、そのプラスミドにより形質転換した大腸菌を用いて得られたものである。生産された酵素は加熱処理およびカラムクロマトグラムで単離精製し、精製された酵素は、分子量が約44,000のタンパク質で、アセチル化アミノ糖合成活性及びアセチル化アミノ糖ヌクレオチド合成活性を共に有する酵素である。本発明の酵素は、特に、グルコサミン-1-リン酸からN-アセチルグルコサミン-1-リン酸を合成する活性及びN-アセチルグルコサミン-1-リン酸からN-アセチルグルコサミンのヌクレオシド二リン酸結合体を合成する活性のほかに、ガラクトサミン-1-リン酸からN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸を合成する活性及びN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸からN-アセチルガラクトサミンのヌクレオシド二リン酸結合体を合成する活性を有する点に新規な特徴を有する。なお、これらヌクレオシド二リン酸結合体は、N-アセチルグルコサミン、N-アセチルガラクトサミンのそれぞれ1位にヌクレオシド二リン酸のリン酸基が結合しているものである。
この酵素のアミノ酸配列およびその遺伝子DNA(ST0452)の塩基配列を、それぞれ配列表の配列番号4及び5に示す。
アミノ糖-1-リン酸としては、例えば、グルコサミン-1-リン酸、ガラクトサミン-1-リン酸が挙げられる。
本発明においては、この酵素を用いて、アセチル化アミノ糖-1-リン酸の糖ヌクレオチド体を合成するが、この合成においては、アセチル化アミノ糖-1-リン酸とヌクレオシド三リン酸を含有する溶液に、該酵素を添加し、反応温度60℃〜95℃で反応させ、該アセチル化アミノ糖分子の糖ヌクレオチド体を得る。
アセチル化アミノ糖-1-リン酸としては、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸、N-アセチルガラクトサミン-1-リン酸が挙げられ、ヌクレオシド三リン酸としては、N-アセチルグルコサミン-1-リン酸を基質とする場合にはTTP(チミジントリフォスフェート)及びUTP(ウリジントリフォスフェート)が挙げられ、N-アセチルガラクトサミン-1-リン酸を基質とする場合にはUTP(ウリジントリフォスフェート)が挙げられる。
以下に、本発明の実施例を示すが、本発明実施例により限定されるものではない。
(1)菌の培養
好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイ(JCM10545)は次の方法で培養した。
1.3gの(NH4)2SO4、0.28 gのKH2PO4、0.25 gのMgSO4・7H2O、0.07 gのCaCl2・2H2O、0.02 gのFeCl3・6H2O、1.8 mg のMnCl2・4H2O、4.5 mgのNa2B4O7・10H2O、0.22 mgのZnSO4・7H2O、0.05 mgのCuCl2・2H2O、0.03 mgのNa2MoO4・2H2O、0.03 mgのVOSO4・xH2O、0.01 mgのCoSO4・7H2O、1.0 gの酵母エキスを1Lの蒸留水に溶かし、この溶液のpHを3.5に10規定H2SO4溶液で調製した。加圧殺菌した後、JCM10545を植菌した。この培養液を80℃で1〜2日培養し、その後遠心分離し集菌した。
好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイ(JCM10545)の染色体DNAは以下の方法により調製した。
培養終了後5000 rpm、10分間の遠心分離により菌体を集菌する。菌体を10 mM EDTA(pH 6.0)溶液で洗浄後、50 mM Tris/HCl-50 mM EDTA (pH 8.5)溶液を加えて細胞を溶解させる。さらに、0.5% Na-lauroylsarcosinate、1 mg/ml プロテアーゼKとなるように各々を加えた後、50℃で3時間保温する。フェノール処理を3回行った後、溶液を10 mM Tris-10 mM EDTA (pH 8.0)溶液に対して透析する。37℃で30分間のRNaseによるRNAの分解後、フェノールクロロフォルム溶液で処理した後、10 mM Tris-1 mM EDTA(pH 8.0)で透析を行う。
実施例2で得られた染色体DNAを超音波処理することにより断片化した後、アガロースゲル電気泳動により1kb及び2kb長のDNA断片を回収した。この断片をプラスミドベクターpUC118のHincII制限酵素部位に挿入したショットガンライブラリーを作製した。各ショットガンクローンの末端塩基配列を、ABI社製自動塩基配列読み取り装置377を用いて解読していった。各ショットガンクローンから得られた塩基配列を塩基配列自動連結ソフトSequencherを用いて連結編集し、本菌の全塩基配列を決定していった。
上記手法で決定された好酸性好気性超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイのゲノム塩基配列の大型計算機による解析を行い、グルコサミン-1-リン酸アセチル化活性を有する可能性のあるタンパク質をコードする遺伝子(ST0452)を同定した。超好熱古細菌スルフォロバス、トーコーダイイのST0452遺伝子の開始コドンはATGで、401アミノ酸残基のタンパク質をコードする候補遺伝子として同定された。
構造遺伝子領域の前後に制限酵素(NdeIとXhoI)サイトを構築する目的でDNAプライマーを合成し、PCRでその遺伝子の前後に制限酵素サイトを導入した。その際に合成されるタンパク質のC末端にヒスチジン残基をタグとして結合するように合成されるようにする場合とST0452遺伝子がコードするタンパク質のみを合成させるようにする場合とでプライマーの配列が異なる。
5'- ATAGCATATGAAGGCATTTATTCTTGCTGC -3'(配列番号1)
(下線部はNdeIサイトを示す)
Lower prime 1, ヒスチジン残基を結合させる場合
5'- TCAACTCGAGGACCTTGAAAAACTCACC-3'(配列番号2)
(下線部はXhoIサイトを示す)
Lower prime 2, ヒスチジン残基を結合させ無い場合
5'- TCAACTCGAGCTAGACCTTGAAAAACTCACC -3'(配列番号3)
(下線部はXhoIサイトを示す)
制限酵素NdeIとXhoIで切断後精製したpET21b(Novagen社製)と上記の構造遺伝子(ST0452)領域断片とをT4リガーゼを用いて16℃、2時間反応させることによって連結した。連結したDNAの一部を大腸菌DH5αのコンピテントセルに導入し形質転換体のコロニーを得た。得られたコロニーからプラスミドをQIAprep Spin Miniprep Kit(QIAGEN社製)で精製し、塩基配列を確認して発現プラスミド、pET21b/ST0452-1及びpET21b/ST0452-2を得た。発現プラスミドpET21b/ST0452-1を用いるとST0452タンパク質はC末端にヒスチジンタグが付加された融合タンパク質として生産され、発現プラスミドpET21b/ST0452-2を用いるとC末端にヒスチジンタグが付加されないタンパク質として生産される。
大腸菌(E. coli BL21(DE3) CodonPlus RIL,、Novagen社製)のコンピテントセルを融解して、二本のファルコンチューブに各々0.1 mlづつ移す。その中に上記の2種の発現プラスミド10 ng分に相当する溶液を別々に加え氷中に30分間放置した後42℃でヒートショックを30秒間行い、そこにSOC培地0.9 mlを加え、37℃で1時間振とう培養する。その後、アンピシリンを含むLB寒天プレート上に適量まき、37℃で一晩培養し、形質転換体大腸菌 BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/ST0452-1及び形質転換体大腸菌 BL21(DE3) CodonPlus RIL/pET21b/ST0452-2を得た。
8リットル培養液から集菌した菌体に2倍量の40 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)、1錠のプロテアーゼ阻害剤(Complete EDTA-free, Roche社製)、0.5 mgのDNase RQ1(プロメガ社製)を加え懸濁液を得た。得られた懸濁液を超音波破砕し、75℃で10分保温した後、遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を得た。この上清液を用いNi-カラム(Novagen, His・Bind metal chelation resin & His・Bind buffer kitを使用)による親和性クロマトグラムを行った。ここで得られた0.5 Mイミダゾール溶出画分(20 ml)を、再度75℃で10分加熱処理し、遠心分離(11,000 rpm、20分)により上清液を得た。次に、セントリプレップYM-50 (アミコン社)で2 mlまで濃縮し、これを20 mMトリス塩酸緩衝液(pH 8.0)で透析し、精製サンプルとした。
(1)アミノ糖アセチル化反応(アセチルCoAからアミノ糖へのアセチル基の転移反応)
50 mM Tris緩衝液(pH7.5)、2 mM MgCl2、2 mM グルコサミン-1-リン酸又はガラクトサミン-1-リン酸、2 mM アセチルCoAからなる酵素反応液10 μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この反応液を80℃で2分間保温することにより、反応を進行させた。40 μl の50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、6.4 M グアニジン塩酸を加えて反応を終了させた後に、50 μl の50 mM Tris緩衝液(pH7.5)、1 mM EDTA、0.5 mM 5,5’-dithio-bis(2-nitrobenzoic acid) [DTNB]を加えた。
上記(1)の反応では、DTNBがCoAと反応し、4-ニトロチオフェノレートを生成するが、この分子は412 nmでの吸収の増大として検出できる。図1に示すように標準物質であるCoAを基質として加えた反応液では、CoAの量に比例した412 nmでの吸収の増大が見られた。標準CoAサンプル添加量を変化させたときの、吸光度と標準物質量は正確な比例関係にあり、この検量線を用いることにより反応生成物を定量出来る事が示された。さらに、図2に示すように、本バイファンクショナル酵素を添加後の時間に従った412 nmの吸光度の増幅が見られた事から、本酵素はグルコサミン-1-リン酸のアセチル化活性を有する事が確認された。
(1)アセチル化アミノ糖ヌクレオチド(NDP-GlcNAc)合成反応(アセチル化アミノ糖とヌクレオチド結合反応)
50 mM Tris緩衝液(pH7.5)、2 mM MgCl2、2 mM N-アセチルグルコサミン-1-リン酸、1
mM TTPまたはUTPからなる酵素反応液10μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この反応液を80℃で5分間保温することにより、反応を進行させた。5分後に100 μl の500 mM KH2PO4溶液を加える事により反応を停止させた。
HPLCを用いて、反応生成物であるNDP-GlcNAcの量を、ヌクレオチド部分の紫外線の吸収を目安に測定した。図3に示すように標準物質であるUTP及びUDP-GlcNAcは、HPLCにおいて溶出位置が全く異なる。さらに、図4に示すように標準サンプル添加量を変化させた時の、ピークの面積と標準物質量は正確な比例関係にあり、この検量線を用いることにより反応生成物を定量出来る事が示された。
そこで、上記(1)で反応させたサンプルに関しても、HPLCで同様の解析を行った。
50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、2 mM UDP-GalNAc、1 mM ピロリン酸からなる酵素反応液10 μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この反応液を80℃で5分間保温することにより、反応を進行させた。5分後に100 μl の500 mM KH2PO4溶液を加える事により反応を停止させた。
HPLCを用いて、反応生成物であるUTPの量を、ヌクレオチド部分の紫外線の吸収を目安に測定した。図5に示すように標準物質であるUTP及びUDP-GalNAcは、HPLCにおいて溶出位置が全く異なる。さらに、図6に示すように標準UTPサンプル添加量を変化させたときの、ピークの面積と標準物質量は正確な比例関係にあり、この検量線を用いることにより反応生成物を定量出来る事が示された。
そこで、上記(1)で反応させたサンプルに関しても、HPLCで同様の解析を行った。
(1)タンパク質化学的性質
当該酵素は上記の精製プロセスで完全に精製され、SDS-PAGEで分子量約44 KDaの単一バンドを示した(図7)。当該酵素は401アミノ酸残基より構成され(配列番号4)、そのアミノ酸配列から予測される分子量は44,000 Daであった。
当該酵素は、図8に有るように80℃においては、グルコサミン-1-リン酸及びガラクトサミン-1-リン酸を基質としたどちらの場合にも高い活性を示した。
50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、2 mM アミノ糖-1-リン酸及び2 mM アセチルCoAからなる酵素反応液10μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この反応液を80℃で2分間保温することにより、反応を進行させた。反応の進行は、実施例2の(2)に有るように412 nmの吸光度で測定した。結果を表1に示す。表1から明らかなように、本酵素はグルコサミン-1-リン酸以外にガラクトサミン-1-リン酸も基質として利用出来るが他の糖リン酸は利用出来ないことが示された。
当該酵素は、図9に有るように80℃においてはN-アセチルグルコサミン-1-リン酸及びUDP-GalNAcとピロリン酸を基質とした場合に、酵素活性を示した。
50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、1 mM UTP、2 mM N-アセチルグルコサミン-1-リン酸からなる酵素反応液10 μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この酵素反応液を80℃で2分間保温することにより反応させた後、100 μl の500 mM KH2PO4溶液を加える事により反応を停止させた。反応の進行は、実施例3の(2)に有るようにHPLCで測定した。
50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、1 mM UTP、2 mM N-アセチルガラクトサミン-1-リン酸、1 mM ピロ燐酸からなる酵素反応液10 μlを2分間80℃でプレインキュベーションした後、その反応液中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この酵素反応液を80℃で2分間保温することにより反応させた後、100 μl の500 mM KH2PO4溶液を加える事により反応を停止させた。反応の進行は、実施例3の(4)に有るようにHPLCで測定した。
表2に示すように、本酵素はN-アセチルグルコサミン-1-リン酸以外にN-アセチルガラクトサミン-1-リン酸をアミノ糖ヌクレオチド合成活性の基質として利用出来ることが示された。
50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、1 mM NTP、及び2 mM N-アセチルグルコサミン-1-リン酸からなる酵素反応液10μl中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより反応を進行させた後に、100 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応を停止させた。反応の進行は、実施例3の(2)に有るようにHPLCで測定した。
または50 mM Tris緩衝液(pH 7.5)、2 mM MgCl2、1 mM NTP、2 mMガラクトサミン-1-リン酸、2 mMアセチルCoAからなる酵素反応液10μl中に実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより反応を進行させた後に、100 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応を停止させた。反応の進行は、実施例3の(2)に有るようにHPLCで測定した。
表3に示すように、本酵素はN-アセチルグルコサミン-1-リン酸を基質にする場合にはdTTPとUTPを、N-アセチルガラクトサミン-1-リン酸を基質とする場合にはUTPのみを基質として利用出来ることが示された。
50mM Tris緩衝液(pH7.5)、2 mM MgCl2、2 mM N-アセチルグルコサミン-1-リン酸、1
mM UTPからなる酵素反応液10 μl中に、あらかじめ80℃で5分10分20分30分40分60分90分120分180分間加熱した実施例1で得られた精製酵素0.05 μgを加えた。この酵素反応液を80℃で5分間保温することにより反応させた後に、100 μl の500 mM KH2PO4溶液に加える事により反応を停止させた。反応の進行は、実施例3の(2)に有るようにHPLCで測定した。その結果、図10に示すように、本酵素は80℃による180分間の加熱処理後でも、50%以上の活性を残すことから非常に安定で耐熱性が高いことが示された。
Claims (10)
- 配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、あるいは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質を含むことを特徴とする、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸及び/又はN−アセチルガラクトサミン−1−リン酸の合成用酵素製剤。
- アセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであって、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNAが発現可能に制御されている組換えDNAを含むことを特徴とする、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸及び/又はN−アセチル化ガラクトサミン−1−リン酸の合成用酵素製剤を製造するためのヌクレオチド製剤;
(1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、
(2)配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(3)配列番号5に記載の塩基配列を有するDNA、もしくは当該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNA。 - グルコサミン−1−リン酸及び/又はガラクトサミン−1−リン酸に、アセチルCoA存在下、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、あるいは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質を作用させることを特徴とする、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸及び/又はN−アセチルガラクトサミン−1−リン酸の製造方法。
- グルコサミン−1−リン酸及び/又はガラクトサミン−1−リン酸に、アセチルCoA存在下、アセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであって、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNAを用いて形質転換された形質転換体の培養液あるいは培養物の処理物を作用させることを特徴とする、N−アセチルグルコサミン−1−リン酸及び/又はN−アセチルガラクトサミン−1−リン酸の製造方法;
(1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、
(2)配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(3)配列番号5に記載の塩基配列を有するDNA、もしくは当該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつアセチル化アミノ糖合成活性を有する蛋白質をコードするDNA。 - 配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、あるいは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつUDP−N−アセチルガラクトサミンの合成活性を有する蛋白質を含むことを特徴とする、UDP−N−アセチルガラクトサミン合成用酵素製剤。
- UDP−N−アセチルガラクトサミン合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであって、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNAが発現可能に制御されている組換えDNAを含むことを特徴とする、UDP−N−アセチルガラクトサミン合成用酵素製剤を製造するためのヌクレオチド製剤;
(1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、
(2)配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつUDP−N−アセチルガラクトサミン合成活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(3)配列番号5に記載の塩基配列を有するDNA、もしくは当該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP−N−アセチルガラクトサミン合成活性を有する蛋白質をコードするDNA。 - N−アセチルガラクトサミン−1−リン酸に、ウリジントリフォスフェート(UTP)の存在下、配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質、あるいは、配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつUDP−N−アセチルガラクトサミンの合成活性を有する蛋白質を作用させることを特徴とする、UDP−N−アセチルガラクトサミンの製造方法。
- N−アセチルガラクトサミン−1−リン酸に、ウリジントリフォスフェート(UTP)の存在下、UDP−N−アセチルガラクトサミンの合成活性を有する蛋白質をコードするDNAであって、下記(1)〜(3)のいずれかに記載の塩基配列を含むDNAを用いて形質転換された形質転換体の培養液あるいは培養物の処理物を作用させることを特徴とする、UDP−N−アセチルガラクトサミンの製造方法;
(1)配列番号4に記載のアミノ酸配列からなる蛋白質をコードするDNA、
(2)配列番号4に記載のアミノ酸配列に1乃至数個のアミノ酸残基が欠失、置換、挿入又は付加されたアミノ酸配列を有し、かつUDP−N−アセチルガラクトサミン合成活性を有する蛋白質をコードするDNA、
(3)配列番号5に記載の塩基配列を有するDNA、もしくは当該DNAとストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、かつUDP−N−アセチルガラクトサミン合成活性を有する蛋白質をコードするDNA。 - グルコサミン−1−リン酸及び/又はガラクトサミン−1−リン酸に対し、アセチルCoA及びUTPの存在下で、請求項1又は5に記載の酵素製剤を作用させることを特徴とする、UDP−N−アセチルグルコサミン及び/又はUDP−N−アセチルガラクトサミンの製造方法。
- グルコサミン−1−リン酸及び/又はガラクトサミン−1−リン酸に対し、アセチルCoA及びUTPの存在下で、請求項2又は6に記載のヌクレオチド製剤を用いて形質転換された形質転換体の培養液あるいは培養物の処理物を作用させることを特徴とする、UDP−N−アセチルグルコサミン及び/又はUDP−N−アセチルガラクトサミンの製造方法。
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