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JP4468907B2 - 感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよびアゾ色素 - Google Patents

感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよびアゾ色素 Download PDF

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Description

本発明は特定のアゾ色素を含有することを特徴とする感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよび新規なアゾ色素に関する。
技術背景
近年、画像記録材料としては、特にカラー画像を形成するための材料が主流であり、具体的には、インクジェット方式記録材料、感熱転写型画像記録材料、電子写真方式を用いる記録材料、転写式ハロゲン化銀感光材料、印刷インク、記録ペン等が盛んに利用されている。
これらのカラー画像記録材料では、フルカラー画像を再現あるいは記録するために、いわゆる加法混色法や減法混色法の3原色の着色剤(染料や顔料)が使用されている。しかしながら、好ましい色再現域を実現できる吸収特性を有し、且つさまざまな使用条件に耐えうる堅牢な着色剤がないのが実状であり、改善が強く望まれている。
感熱転写記録には、ベースフィルム(支持体)上に熱溶融性インク層を形成させた感熱転写材料をサーマルヘッドにより加熱し該インクを溶融して受像材料上に記録する方式と、ベースフィルム上に熱移行性色素を含有する色素供与層を形成させた感熱転写材料を熱ヘッドにより加熱して色素を受像材料上に熱拡散転写させる方式とがある。後者の感熱転写方式は、サーマルヘッドに加えるエネルギーを変えることにより色素の転写量を変化させることができるために階調記録が容易であり、高画質のフルカラー記録には特に有利である。しかしこの方式に用いる熱移行性色素には種々の制約があり、必要とされる性能を全て満たすものは極めて少ない。
必要とされる性能としては、例えば、色再現上好ましい分光特性を有すること、転写し易いこと、光や熱に堅牢であること、種々の化学薬品に堅牢であること、合成が容易であること、感熱転写用記録材料を作りやすいこと等があり、特に優れた分光特性を有し、光堅牢性の高い色素の開発が望まれていた。
一方、ピラゾールの4位にアゾ結合を有するアゾ色素が特許文献1〜8に、また、5−アミノピラゾールをカップリング成分とするアゾ色素が特許文献9〜15に開示されている。しかし、下記一般式(1)のアゾ色素が感熱転写記録に有効に使用できることは記載されていない。
特開2005−162812号公報 特開2003−41160号公報 特開2003−41161号公報 特開2003−41162号公報 特開2003−41163号公報 特開2003−128953号公報 特開2002−194258号公報 特開平8−231867号公報 特開2005−226022号公報 特開2003−221535号公報 特開2003−128953号公報 特開平8−90939号公報 特開平6−106862号公報 特開平2−24191号公報 特開平1−225592号公報
本発明は、吸収がシャープな優れた分光特性および高い堅牢性を有するアゾ色素を含有する感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよび新規なアゾ色素を提供することにある。さらには、印画サンプルにおける優れた色再現性、湿熱経時における画像のにじみが少なく、再転写等の起こりにくい画像保存性に優れた感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよび新規なアゾ色素を提供することにある。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、以下の構成によって上記課題が達成されることを見出した。
(1)下記一般式(1)で表されるアゾ色素を含有することを特徴とする感熱転写記録材料用インクシート。
Figure 0004468907
(一般式(1)中、R1 、R 3およびR4は各々独立に、水素原子または置換基を表し、 2 は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表し、Hetはヘテロ環基を表し、該へテロ環は置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。)
(2)前記Hetが、下記ヘテロ環の群1から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
Figure 0004468907
(ヘテロ環基の群1中、R11、R12、R13およびR14は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
(3)前記Hetが下記ヘテロ環の群2から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
Figure 0004468907
(ヘテロ環基の群2中、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
(4)前記Hetが下記ヘテロ環の群3から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
Figure 0004468907
(ヘテロ環基の群3中、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
(5)前記アゾ色素が、下記一般式(2)または(3)で表されるアゾ色素であることを特徴とする(1)に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
Figure 0004468907
(一般式(2)および(3)中、R1、R3、R4、R5およびR6は各々独立に水素原子または一価の置換基を表し、 2 は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表し、EWGはHammettの置換基定数σ P 値が0.3以上の電子求引性基を表す。)
(6)前記EWGが、ニトロ基、シアノ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロアセチル基、ジメチルアミノスルホニル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルボキシ基、スルホ基、またはカルバモイル基であることを特徴とする(5)に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
)支持体上にポリマーを含有するインク受容層を有する受像材料上に(1)〜()のいずれか1項に記載の感熱転写記録材料用インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
)前記(1)〜()のいずれか1項に記載の感熱転写記録材料用インクシートが装填されていることを特徴とするインクカートリッジ。
)下記一般式(4)または(5)で表されるアゾ色素。
Figure 0004468907
(一般式(4)および(5)中、RA、RB、RCおよびRDは各々独立に水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
本発明によって、吸収がシャープな優れた分光特性および堅牢性に優れた感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法およびインクカートリッジを提供することができる。さらには印画サンプルにおける優れた色再現性、湿熱経時における画像のにじみが少なく、再転写等の起こりにくい画像保存性に優れた感熱転写記録材料用インクシート、感熱転写記録方法、インクカートリッジおよび新規なアゾ色素を提供することができる。
以下において、本発明の感熱転写記録材料用インクシートやそれに用いるアゾ色素等について詳細に説明する。以下に記載する構成要件の説明は、本発明の代表的な実施態様に基づいてなされることがあるが、本発明はそのような実施態様に限定されるものではない。なお、本明細書において「〜」を用いて表される数値範囲は、「〜」の前後に記載される数値を下限値および上限値として含む範囲を意味する。
まず、本発明の感熱転写記録材料用インクシートに用いる、一般式(1)で表されるアゾ色素について詳細に説明する。
一般式(1)において、Hetはへテロ環基を表す。ここで、該へテロ環基はジアゾニウム塩から誘導可能な、置換もしくは無置換のへテロ環基であることが合成的な点で好ましく、いわゆるHetはジアゾ成分であることが好ましい。ジアゾ成分とは、アミノ基を置換基として有するヘテロ環化合物をジアゾ化合物(ジアゾニウム塩)に変換し、カプラーとのジアゾカップリング反応により導入できる部分構造のことであり、アゾ色素の分野では頻繁に使用される概念である。言い換えれば、ジアゾ化反応が可能であるアミノ置換されたヘテロ環化合物のアミノ基を取り去り一価の基とした置換基である。一価のヘテロ環基を置換位置を限定しない環構造で例示すると、ピロール環、ピラゾール環、トリアゾール環、チアゾール環、イソチアゾール環、ベンゾチアゾール環、1,3,4−チアジアゾール環、1,2,4−チアジアゾール環、オキサゾール環、ベンゾオキサゾール環、イミダゾール環、ベンゾイソチアゾール環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピリジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、ピラジン環、インドール環、キノリン環、プリン環、カルバゾール環、アクリジン環を挙げることができる。これらのヘテロ環はさらに置換基を有していてもよく、さらに他の環(たとえは炭素環、ヘテロ環他)と縮環していてもよい。
1 、R 3およびR4は水素原子または置換基を表し、R 2 は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表す。
こで 1 、R 3 およびR 4 における置換基に関しては特に制限はないが、代表例として、ハロゲン原子、アルキル基(本願では、シクロアルキル基、ビシクロアルキル基を含む飽和脂肪族基を意味する)、アルケニル基(本願では、シクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基を含む二重結合を有する不飽和脂肪族基を意味する)、アルキニル基、アリール基、ヘテロ環基、シアノ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アミノ基(アルキルアミノ基、アニリノ基およびヘテロ環アミノ基を含む)、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、スルファモイル基、アルキルもしくはアリールスルフィニル基、アルキルもしくはアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリールもしくはヘテロ環アゾ基、イミド基を挙げることができ、それぞれの基はさらに置換基を有していてもよい。
以下にR1、R2、R3およびR4をさらに詳しく説明する。
1 、R 3およびR4で表されるハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、およびヨウ素原子が挙げられる。中でも塩素原子、臭素原子が好ましく、特に塩素原子が好ましい。
1、R2、R3およびR4で表されるアルキル基には、シクロアルキル基、およびビシクロアルキル基が含まれる。アルキル基には、直鎖、分岐の置換もしくは無置換のアルキル基が含まれる。直鎖、分岐の置換もしくは無置換のアルキル基は炭素数1〜30のアルキル基が好ましい。例としてはメチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、tert−ブチル基、n−オクチル基、エイコシル基、2−クロロエチル基、2−シアノエチル基、および2−エチルヘキシル基を挙げることができる。シクロアルキル基としては置換もしくは無置換のシクロアルキル基が含まれる。置換もしくは無置換のシクロアルキル基は、炭素数3〜30のシクロアルキル基が好ましい。例としては、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、4−n−ドデシルシクロヘキシル基を挙げることができる。ビシクロアルキル基としては、炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルキル基、つまり、炭素数5〜30のビシクロアルカンから水素原子を一個取り去った一価の基を挙げることができる。例として、ビシクロ[1,2,2]ヘプタン−2−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクタン−3−イル基を挙げることができる。さらに環構造が多いトリシクロ構造なども包含するものである。以下に説明する置換基の中の「アルキル」(例えばアルキルチオ基の「アルキル」)もこのような概念の「アルキル」を表す。
1、R2、R3およびR4で表されるアルケニル基にはシクロアルケニル基、ビシクロアルケニル基が含まれる。アルケニル基としては直鎖、分岐、環状の置換もしくは無置換のアルケニル基を表す。アルケニル基としては、炭素数2〜30の置換または無置換のアルケニル基が好ましい。例としてはビニル基、アリル基、プレニル基、ゲラニル基、オレイル基を挙げることができる。シクロアルケニル基としては、炭素数3〜30の置換もしくは無置換のシクロアルケニル基、つまり、炭素数3〜30のシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例としては、2−シクロペンテン−1−イル基、2−シクロヘキセン−1−イル基が挙げられる。ビシクロアルケニル基としては、置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基が含まれる。ビシクロアルケニル基としては炭素数5〜30の置換もしくは無置換のビシクロアルケニル基、つまり二重結合を一個持つビシクロアルケンの水素原子を一個取り去った一価の基が好ましい。例として、ビシクロ[2,2,1]ヘプト−2−エン−1−イル基、ビシクロ[2,2,2]オクト−2−エン−4−イル基を挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルキニル基は、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキニル基が好ましく、例えば、エチニル基、およびプロパルギル基が挙げられる。
1、R2、R3およびR4で表されるアリール基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基が好ましく、例えば、フェニル基、p−トリル基、ナフチル基、m−クロロフェニル基、o−ヘキサデカノイルアミノフェニル基が挙げられる。
1 、R 3およびR4で表されるヘテロ環基は、置換もしくは無置換の芳香族もしくは非芳香族のヘテロ環化合物から一個の水素原子を取り除いた一価の基であり、それらはさらに縮環していてもよい。これらのヘテロ環基としては、好ましくは5または6員のヘテロ環基であり、また環構成のヘテロ原子としては、酸素原子、硫黄原子、窒素原子が好ましい。さらに好ましくは、炭素数3〜30の5もしくは6員の芳香族のヘテロ環基である。ヘテロ環基を構成する環を置換位置を限定しないで例示すると、ピリジン環、ピラジン環、ピリダジン環、ピリミジン環、トリアジン環、キノリン環、イソキノリン環、キナゾリン環、シンノリン環、フタラジン環、キノキサリン環、ピロール環、インドール環、フラン環、ベンゾフラン環、チオフェン環、ベンゾチオフェン環、ピラゾール環、イミダゾール環、ベンズイミダゾール環、トリアゾール環、オキサゾール環、ベンズオキサゾール環、チアゾール環、ベンゾチアゾール環、イソチアゾール環、ベンズイソチアゾール環、チアジアゾール環、イソオキサゾール環、ベンズイソオキサゾール環、ピロリジン環、ピペリジン環、ピペラジン環、イミダゾリジン環、チアゾリン環が挙げられる。
1 、R 3およびR4で表されるアルコキシ基には、置換もしくは無置換のアルコキシ基が含まれる。置換もしくは無置換のアルコキシ基としては、炭素原子数が1〜30のアルコキシ基が好ましい。アルコキシ基の例には、メトキシ基、エトキシ基、イソプロポキシ基、n−オクチルオキシ基、メトキシエトキシ基、ヒドロキシエトキシ基および3−カルボキシプロポキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアリールオキシ基は、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシ基が好ましい。アリールオキシ基の例として、フェノキシ基、2−メチルフェノキシ基、4−tert−ブチルフェノキシ基、3−ニトロフェノキシ基、2−テトラデカノイルアミノフェノキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアシルオキシ基は、ホルミルオキシ基、炭素数2〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルオキシ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルオキシ基が好ましい。アシルオキシ基の例には、ホルミルオキシ基、アセチルオキシ基、ピバロイルオキシ基、ステアロイルオキシ基、ベンゾイルオキシ基、p−メトキシフェニルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるカルバモイルオキシ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイルオキシ基が好ましい。カルバモイルオキシ基の例には、N,N−ジメチルカルバモイルオキシ基、N,N−ジエチルカルバモイルオキシ基、モルホリノカルボニルオキシ基、N,N−ジ−n−オクチルアミノカルボニルオキシ基、N−n−オクチルカルバモイルオキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルコキシカルボニルオキシ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルオキシ基が好ましい。アルコキシカルボニルオキシ基の例には、メトキシカルボニルオキシ基、エトキシカルボニルオキシ基、tert−ブトキシカルボニルオキシ基、n−オクチルカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアリールオキシカルボニルオキシ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルオキシ基が好ましい。アリールオキシカルボニルオキシ基の例には、フェノキシカルボニルオキシ基、p−メトキシフェノキシカルボニルオキシ基、p−n−ヘキサデシルオキシフェノキシカルボニルオキシ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアミノ基は、アルキルアミノ基、アリールアミノ基およびヘテロ環アミノ基を含む。アミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールアミノ基が好ましい。アミノ基の例には、例えば、アミノ基、メチルアミノ基、ジメチルアミノ基、アニリノ基、N-メチル−アニリノ基、ジフェニルアミノ基、ヒドロキシエチルアミノ基、カルボキシエチルアミノ基、スルフォエチルアミノ基、3,5−ジカルボキシアニリノ基、4−キノリルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアシルアミノ基は、ホルミルアミノ基、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルカルボニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニルアミノ基が好ましい。アシルアミノ基の例には、ホルミルアミノ基、アセチルアミノ基、ピバロイルアミノ基、ラウロイルアミノ基、ベンゾイルアミノ基、3,4,5−トリ−n−オクチルオキシフェニルカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアミノカルボニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアミノカルボニルアミノ基が好ましい。アミノカルボニルアミノ基の例には、カルバモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノカルボニルアミノ基、N,N−ジエチルアミノカルボニルアミノ基、モルホリノカルボニルアミノ基などを挙げることができる。なお、この基における「アミノ」の用語は、前述のアミノ基における「アミノ」と同じ意味である。
1 、R 3およびR4で表されるアルコキシカルボニルアミノ基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニルアミノ基が好ましい。アルコキシカルボニルアミノ基の例には、メトキシカルボニルアミノ基、エトキシカルボニルアミノ基、tert−ブトキシカルボニルアミノ基、n−オクタデシルオキシカルボニルアミノ基、N−メチルーメトキシカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアリールオキシカルボニルアミノ基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニルアミノ基が好ましい。アリールオキシカルボニルアミノ基の例には、フェノキシカルボニルアミノ基、p−クロロフェノキシカルボニルアミノ基、m−n−オクチルオキシフェノキシカルボニルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるスルファモイルアミノ基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイルアミノ基が好ましい。スルファモイルアミノ基の例には、スルファモイルアミノ基、N,N−ジメチルアミノスルホニルアミノ基、N−n−オクチルアミノスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルキルもしくはアリールスルホニルアミノ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルスルホニルアミノ基、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリールスルホニルアミノ基が好ましい。アルキルスルホニルアミノ基およびアリールスルホニルアミノ基の例には、メチルスルホニルアミノ基、ブチルスルホニルアミノ基、フェニルスルホニルアミノ基、2,3,5−トリクロロフェニルスルホニルアミノ基、p−メチルフェニルスルホニルアミノ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルキルチオ基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のアルキルチオ基が好ましい。アルキルチオ基の例には、メチルチオ基、エチルチオ基、n−ヘキサデシルチオ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるスルファモイル基は、炭素数0〜30の置換もしくは無置換のスルファモイル基が好ましい。スルファモイル基の例には、N−エチルスルファモイル基、N−(3−ドデシルオキシプロピル)スルファモイル基、N,N−ジメチルスルファモイル基、N−アセチルスルファモイル基、N−ベンゾイルスルファモイル基、N−(N’−フェニルカルバモイル)スルファモイル)基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルキルもしくはアリールスルフィニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルフィニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルフィニル基が好ましい。アルキルもしくはアリールスルフィニル基の例には、例えば、メチルスルフィニル基、エチルスルフィニル基、フェニルスルフィニル基、p−メチルフェニルスルフィニル基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルキルもしくはアリールスルホニル基は、炭素数1〜30の置換または無置換のアルキルスルホニル基、6〜30の置換または無置換のアリールスルホニル基が好ましい。アルキルもしくはアリールスルホニル基の例には、メチルスルホニル、エチルスルホニル、フェニルスルホニル、p−トルエンスルホニル基などを挙げることができる。
1、R2、R3およびR4で表されるアシル基は、ホルミル基、炭素数2〜30の置換または無置換のアルキルカルボニル基、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールカルボニル基、炭素数4〜30の置換もしくは無置換の炭素原子でカルボニル基と結合しているヘテロ環カルボニル基が好ましい。アシル基の例には、例えば、アセチル、ピバロイル、2−クロロアセチル、ステアロイル、ベンゾイル、p−n−オクチルオキシフェニルカルボニル、2−ピリジルカルボニル、2−フリルカルボニル基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアリールオキシカルボニル基は、炭素数7〜30の置換もしくは無置換のアリールオキシカルボニル基が好ましい。アリールオキシカルボニル基の例には、フェノキシカルボニル、o−クロロフェノキシカルボニル、m−ニトロフェノキシカルボニル、p−tert−ブチルフェノキシカルボニル基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアルコキシカルボニル基は、炭素数2〜30の置換もしくは無置換アルコキシカルボニル基が好ましい。アルコキシカルボニル基の例には、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、tert−ブトキシカルボニル、n−オクタデシルオキシカルボニル基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるカルバモイル基は、炭素数1〜30の置換もしくは無置換のカルバモイル基が好ましい。カルバモイル基の例には、カルバモイル、N−メチルカルバモイル、N,N−ジメチルカルバモイル、N,N−ジ−n−オクチルカルバモイル、N−(メチルスルホニル)カルバモイル基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるアリールもしくはヘテロ環アゾ基として、例えば、フェニルアゾ、4−メトキシフェニルアゾ、4−ピバロイルアミノフェニルアゾ、2−ヒドロキシ−4−プロパノイルフェニルアゾ基などを挙げることができる。
1 、R 3およびR4で表されるイミド基として、例えば、N−スクシンイミド基、N−フタルイミド基などを挙げることができる。
1は、好ましくは、水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換または無置換のアシルアミノ基、置換または無置換のアミノカルボニルアミノ基、置換または無置換のアルコキシカルボニルアミノ基、および置換または無置換のアミノ基であり、より好ましくは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基である。
2 は水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のアシル基であり、好ましくは水素原子、置換または無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基である。
3、R4は、各々独立に、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換または無置換のアシル基である。より好ましくは水素原子または置換もしくは無置換のアルキル基である。
Hetは、上記ヘテロ環基の群1から選ばれるヘテロ環基であることが好ましい。
群1の構造式において、R11、R12、R13およびR14は各々独立に水素原子または置換基を表す。置換基の例としては、R1 、R 3 および4の置換基として記載した例が挙げられる。
11は、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基、置換もしくは無置換のヘテロ環基である。より好ましくは置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアリール基である。
12、R13およびR14は各々独立に、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、置換または無置換のアシル基、シアノ基、カルバモイル基、アルコキシカルボニル基である。より好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、シアノ基である。
Hetは、上記ヘテロ環基の群2から選ばれるヘテロ環基であることがより好ましい。
群2の構造式において、R11、R12およびR13は、各々ヘテロ環基の群1のR11、R12およびR13と同義である。好ましい例も同じである。
Hetは、上記ヘテロ環基の群3から選ばれるヘテロ環基であることがさらに好ましい。
群3の構造式において、R11、R12およびR13は、各々ヘテロ環基の群1および2のR11、R12およびR13と同義である。好ましい例も同じである。
本発明の一般式(1)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。具体的に好ましい組み合わせの例は、R1が無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R2が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基、R3およびR4が水素原子、Hetが複素環基の群2で表される基であり、最も好ましくは一般式(2)または一般式(3)で表される色素である。
以下に、一般式(2)または(3)で表されるアゾ色素について詳細に説明する。
ここで、Hammettの置換基定数σp値について説明する。
Hammett則は、ベンゼン誘導体の反応または平衡に及ぼす置換基の影響を定量的に論ずるために1935年L.P.Hammettにより提唱された経験則であるが、これは今日広く妥当性が認められている。Hammett則で求められた置換基定数にはσp値とσm値があり、これらの値は多くの一般的な成書に見出すことができるが、例えば、J.A.Dean編「Lange's Handbook of Chemistry」第12版、1979年(Mc Graw-Hill)や「化学の領域」増刊122号96〜103頁,1979年(南光堂)に詳しい。なお、本明細書において各置換基をハメットの置換基定数σpにより限定したり、説明したりするが、これは上記の成書で見出せる、文献既知の値がある置換基にのみ限定されるという意味ではなく、その値が文献未知であってもHammett則に基づいて測定した場合にその範囲内に包まれるであろう置換基をも含むことを意味する。また、本発明の一般式中には、ベンゼン誘導体ではないものも含まれるが、置換基の電子効果を示す尺度として、置換位置に関係なくσp値を使用する。本明細書においてσp値をこのような意味で使用する。
EWGは、Hammettの置換基定数σp値が0.30以上の電子求引性基を表す。EWGはσpが0.45以上の電子求引性基であるのが好ましく、0.60以上の電子求引性基であるのが特に好ましい。σpの上限は、好ましくは1.0以下である。σp値が0.60以上の電子求引性基の例として、ニトロ基、シアノ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロアセチル基、ジメチルアミノスルホニル基、スルファモイル基などが挙げられ、σp値が0.45以上の電子求引性基の例として、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルボキシ基が挙げられ、σ p 値が0.30以上の電子求引性基の例として、スルホ基、カルバモイル基が挙げられる。より好ましくは、シアノ基、カルボキシル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、さらに好ましくはシアノ基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基であり、最も好ましくはシアノ基、カルバモイル基である。
一般式(2)および(3)におけるR1、R2、R3およびR4は、各々一般式(1)中のR1、R2、R3およびR4と同義である。好ましい例も同じである。
5およびR8は、各々独立に水素原子または置換基を表す。具体的な置換基の例としてはR1 、R 3およびR4の置換基の例として記載したものが挙げられる。
5およびR6は各々独立に、好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換または無置換のアルケニル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基、アシル基である。より好ましくは水素原子、または置換もしくは無置換のアルキル基、置換または無置換のアリール基、置換または無置換のヘテロ環基である。
一般式(2)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。具体的に好ましい組み合わせの例は、R1が無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R2が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基、R3およびR4が水素原子、R5が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R6が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、または置換もしくは無置換のアリール基、EWGがカルバモイル基もしくはシアノ基の組み合わせであり、より好ましくは、R1が無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R2が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R3およびR4が水素原子、R5が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、R6が置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基、EWGがシアノ基の組み合わせである。
一般式(1)で表される化合物の分子量は、熱拡散性の観点から、500以下であることが好ましく、450以下であることがより好ましい。
以下に、本発明の一般式(4)または(5)で表されるアゾ色素について詳細に説明する。
一般式(4)または(5)で表される5−アミノピラゾリルアゾピラゾール色素は、置換基としてアリール基およびヘテロアリール基を有することのない色素であり、この特徴を有する色素はこれまで全く知られていなかった。これらの色素は置換基としてアリール基やヘテロアリール基を有する5−アミノピラゾリルアゾピラゾール色素と比較して、溶解性に優れており、上記記載の感熱転写記録用インクシートの用途に好適であることに加え、他の用途(例えばインク液等)にも好適に使用可能であると考えられる。
一般式(4)または(5)におけるRA、RB、RCおよびRDは、各々独立に水素原子または置換もしくは無置換の炭素数1〜6のアルキル基を表す。好ましくは水素原子または無置換の炭素数1〜6のアルキル基であり、より好ましくは無置換の炭素数1〜4のアルキル基である。また特に分岐アルキルを含むことが好ましい。
本発明の一般式(4)または(5)で表される色素の好ましい置換基の組み合わせについては、種々の置換基の少なくとも1つが前記の好ましい基である化合物が好ましく、より多くの種々の置換基が前記好ましい基である化合物がより好ましく、全ての置換基が前記好ましい基である化合物が最も好ましい。具体的に好ましい組み合わせの例は、RAが無置換の炭素数1〜4のアルキル基、RBが無置換の炭素数1〜4のアルキル基、RCが無置換の炭素数1〜4のアルキル基およびRDが無置換の炭素数1〜4のアルキル基の組み合わせであり、より好ましくはRAが分岐の無置換の炭素数3〜4のアルキル基、RBが無置換の炭素数1〜4のアルキル基、RCが無置換の炭素数1〜4のアルキル基およびRDが無置換の炭素数1〜4のアルキル基の組み合わせである。
以下に、本発明の一般式(1)で表されるアゾ色素の具体例を示すが、本発明で用いることができる一般式(1)のアゾ色素は以下の具体例によって限定されるものではない。なお、以下の具体例においてPhはフェニル基(−C65)を表す。
Figure 0004468907
Figure 0004468907
ここで、上記例示化合物(2)〜(5)は、前記一般式(4)または(5)で表されるアゾ色素の具体例でもある。
以下に、本発明の一般式(4)または(5)で表される他のアゾ色素の具体例を示すが、本発明の一般式(4)または(5)のアゾ色素は以下の具体例によって限定されるものではない。
Figure 0004468907
Figure 0004468907
一般式(1)で表されるアゾ色素は公知の方法で容易に合成できる。例えば、ヘテロアリールジアゾニウム塩(ジアゾ成分)と、そのジアゾニウム塩とアゾカップリング反応して色素を生成する酸性の水素原子を有する化合物(カプラー成分)を反応させて合成することができる。具体的には、HELV. CHIM. ACTA, 68 (1985) 1427頁、RUSS. CHEM. BI, 52, 7 (2003) 1600頁、COLLECT CZECH. CHEM. COMMUN., 50, 3 (1985) 658頁、およびJ. ORG. CHEM. 48, 14 (1983) 2330頁等に記載される方法や、下記の合成例1〜4に準じて合成することができる。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートは、一般式(1)で表されるアゾ色素を含有することを特徴とする。感熱転写記録材料用インクシートは、一般に支持体上に色素供与層が形成された構造を有しており、その色素供与層中に一般式(1)で表されるアゾ色素を含有させる。本発明の感熱転写記録材料用インクシートは、一般式(1)で表されるアゾ色素をバインダーとともに溶剤中に溶解するか、あるいは溶媒中に微粒子状に分散させることによってインク液を調製し、該インク液を支持体上に塗設し適宜乾燥して色素供与層を形成することにより製造することができる。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートの支持体には、インクシート用支持体として従来から用いられているものを適宜選択して用いることができる。例えば特開平7−137466号公報の段落番号0050に記載される材料を好ましく用いることができる。支持体の厚みは、2〜30μmが好ましい。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートの色素供与層に用いることができるバインダー樹脂は、耐熱性が高くて、加熱されたときに色素が受像シートへ移行するのを妨げないものであれば特にその種類は制限されない。例えば、特開平7−137466号公報の段落番号0049に記載されるものを好ましい例として挙げることができる。また、色素供与層形成用の溶剤についても、従来公知の溶剤を適宜選択して用いることができ、特開平7−137466号公報の実施例に記載されるものを好ましく用いることができる。
色素供与層中における一般式(1)で表されるアゾ色素の含有量は、0.03〜1.0g/m2が好ましく、0.1〜0.6g/m2がより好ましい。また、色素供与層の厚みは、0.2〜5μmが好ましく、0.4〜2μmがより好ましい。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートは、本発明の効果を過度に阻害しない範囲内であれば、色素供与層以外の層を有するものであってもよい。例えば、支持体と色素供与層との間に中間層を有するものであってもよいし、色素供与層とは反対側の支持体面(以下において「背面」ともいう)にバック層を有するものであってもよい。中間層としては、例えば下塗り層や、色素の支持体方向への拡散を防止するための拡散防止層(親水性バリアー層)を挙げることができる。また、バック層としては、例えば耐熱スリップ層を挙げることができ、サーマルヘッドのインクシートへの粘着防止を図ることができる。
本発明をフルカラー画像記録が可能な感熱転写記録材料に適用するには、シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン染料を含有するシアンインクシート、マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ染料を含有するマゼンタインクシート、イエロー画像を形成することができる熱拡散性イエロー染料を含有するイエローインクシートを支持体上に順次塗設して形成することが好ましい。また、必要に応じて他に黒色画像形成物質を含むインクシートがさらに形成されていてもよい。
シアン画像を形成することができる熱拡散性シアン染料を含有するシアンインクシートとしては、例えば、特開平3−103477号公報や特開平3−150194号公報などに記載されたものを好ましく用いることができる。
マゼンタ画像を形成することができる熱拡散性マゼンタ染料を含有するマゼンタインクシートとしては、例えば、特開平5−286268号公報などに記載されたものを好ましく用いることができる。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートを用いて感熱転写記録を行う際には、サーマルヘッド等の加熱手段と受像シートを組み合わせて用いる。すなわち、画像記録信号に従ってサーマルヘッドから熱エネルギーがインクシートに加えられ、該熱エネルギーが加えられた部分の色素が受像シートに移行し固定されることによって画像記録がなされる。受像シートの構成や使用材料については、例えば特開平7−137466号公報の段落番号0056〜0074に記載されたものを好ましく用いることができる。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートを用いて感熱転写記録を行えば、形成される画像は鮮やかな色相と優れた光堅牢性を示す。
本発明の感熱転写記録材料用インクシートは、インクカートリッジに装填することができる。インクカートリッジの構造や装填方法については、従来から感熱転写記録の分野で採用されているものを本発明でも用いることができる。具体的には、実開昭63−161851号公報、実開昭63−161851号公報、実開平1−101864号公報などに記載されるインクカートリッジの技術を本発明にも適用することができ、特に実開平1−101864号公報に記載されたものがより好ましい。
以下に合成例と実施例を挙げて本発明の特徴をさらに具体的に説明する。以下の実施例に示す材料、使用量、割合、処理内容、処理手順等は、本発明の趣旨を逸脱しない限り適宜変更することができる。したがって、本発明の範囲は以下に示す具体例により限定的に解釈されるべきものではない。
合成例1(例示化合物(7)の合成)
Figure 0004468907
5−アミノ−3−tert−ブチルピラゾールー4−カルボニトリル8.21g(0.05mol)、濃塩酸15.4mL、酢酸10mL、プロピオン酸15mLを内温0〜5℃で撹拌し、亜硝酸ナトリウム3.45g(0.05mol)/水7.3mLを内温5℃以下で滴下し、その後内温0〜5℃で30分撹拌した。このジアゾニウム塩溶液を、5−アミノ−3−tert−ブチル−1−フェニルピラゾール10.7g(0.05mol)のアセトニトリル溶液100mLに内温10℃以下で滴下した。ジアゾニウム塩溶液を滴下後、さらに反応液をそのまま30分間撹拌させた後、反応系より析出したアゾ色素を吸引ろ過し、水、続いてアセトニトリルでふり掛け洗いを行い、60℃にて一晩乾燥し、例示化合物(7)を得た。収量は12.9g、収率は66%、例示化合物(7)のλmax(酢酸エチル溶液)は421nmであった。
合成例2(例示化合物(8)の合成)
Figure 0004468907
例示化合物(7)2.50g(0.0064mol)、ジメチルアセトアミド10mL、炭酸カリウム0.88g(0.0064mol)、ヨードメタン0.40mL(0.0064mol)を加え室温で60分撹拌した。反応終了後、飽和食塩水50mLを加え、酢酸エチル50mLで抽出した。有機層を無水ボウ硝で乾燥し、カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/3)にて単離し、例示化合物(8)を得た。収量は1.03g、収率は40%、例示化合物(8)のλmax(酢酸エチル溶液)は432nmであった。
合成例3(例示化合物(92)の合成)
Figure 0004468907
5−アミノ−3−tert−ブチルピラゾール−4−カルボニトリル8.21g(0.05mol)、濃塩酸15.4mL、酢酸10mL、プロピオン酸15mLを内温0〜5℃で撹拌し、亜硝酸ナトリウム3.45g(0.05mol)/水7.3mLを内温5℃以下で滴下し、その後内温0〜5℃で30分撹拌した。このジアゾニウム塩溶液を、5−アミノ−3−tert−ブチル−1−フェニルピラゾール6.95g(0.05mol)のアセトニトリル溶液100mLに内温10℃以下で滴下した。ジアゾニウム塩溶液を滴下後、さらに反応液をそのまま30分間撹拌させた後、反応系より析出したアゾ色素を吸引ろ過し、水、続いてアセトニトリルでふり掛け洗いを行い、60℃にて一晩乾燥し、例示化合物(92)を得た。収量は13.2g、収率は84%、λmax(酢酸エチル溶液)は421nmであった。
合成例4(例示化合物(5)の合成)
Figure 0004468907
例示化合物(92)2.01g(0.0064mol)、ジメチルアセトアミド10mL、炭酸カリウム1.76g(0.0128mol)、ヨードメタン0.80mL(0.0128mol)を加え室温で60分撹拌した。反応終了後、飽和食塩水50mLを加え、酢酸エチル50mLで抽出した。有機層を無水ボウ硝で乾燥し、カラムクロマトグラフィー(充填剤:シリカゲル、展開溶媒:酢酸エチル/ヘキサン=2/3)にて単離し、例示化合物(5)を得た。収量は1.71g、収率は78%、λmax(酢酸エチル溶液)は432nmであった。
例示化合物(2)〜(4)および(49)〜(96)は、上記合成例1〜4に準じた方法で合成することができる。例示化合物(2)〜(4)および(49)〜(96)の酢酸エチル溶液中における吸収スペクトルの極大吸収波長を表1に示す。
Figure 0004468907
実施例1(感熱転写記録用インクシートの作製)
支持体として裏面に熱硬化アクリル樹脂(厚み1μm)により耐熱滑性処理が施された厚み6.0μmのポリエステルフィルム(ルミラー、商品名、(株)東レ製)を使用し、フィルムの表面側に下記の色素供与層用塗料組成物をワイヤーバーコーティングにより乾燥時の厚みが1μmとなるように塗布形成し、インクシート1を作製した。
(色素供与層用塗料組成物)
例示化合物(5) 5.5質量部
ポリビニルブチラール樹脂 4.5質量部
(エスレックBX−1、商品名、積水化学工業(株)製)
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
次に、上記例示化合物(5)を表1に記載される他の色素に変えた以外は、上記と同様にして、本発明のインクシート2〜8、10〜15および比較用インクシート16をそれぞれ作製した。
実施例2(感熱転写記録)
<受像材料の作製>
支持体として合成紙(ユポFPG200、商品名、ユポコーポレーション社製、厚み200μm)を用い、この一方の面に下記組成の白色中間層用組成物、受容層用組成物の順にバーコーターにより塗布を行った。それぞれの塗布量は、乾燥時に白色中間層1.0g/m2、受容層4.0g/m2となる量とし、乾燥は各層110℃で30秒間行った。
(白色中間層用組成物)
ポリエステル樹脂(バイロン200、商品名、東洋紡積(株)製) 10質量部
蛍光増白剤(Uvitex OB、商品名、チバガイギー社製) 1質量部
酸化チタン 30質量部
メチルエチルケトン/トルエン(1/1) 90質量部
(受容層用組成物)
塩化ビニル−酢酸ビニル樹脂 100質量部
(ソルバインA、商品名、日信化学工業(株)製)
アミノ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−3050C)
エポキシ変性シリコーン 5質量部
(信越化学工業(株)製、商品名、X22−300E)
メチルエチルケトン/トルエン(=1/1) 400質量部
ベンゾトリアゾール系紫外線吸収剤 5質量部
(Tinuvin900、商品名、チバスペシャリティーケミカルズ社製)
<画像記録および評価>
上記のようにして得られたインクシート1〜8、10〜16と受像材料とを、色素供与層と受像層とが接するようにして重ね合わせ、色素供与材料の背面側からサーマルヘッドを使用し、サーマルヘッドの出力0.25W/ドット、パルス巾0.15〜15ミリ秒、ドット密度6ドット/mmの条件で印字を行い、受像材料の受像層にイエロー色の染料を像状に染着させたところ、転写むらのない鮮明な画像記録が得られた。次に、得られた記録済の各熱転写受像材料を14日間、Xeライト(17000ルクス)で照射し、色像の光安定性(光堅牢性)を調べた。ステータスA反射濃度1.0を示す部分の照射後のステータスA反射濃度を測定し、照射前の反射濃度1.0に対する残存率(百分率)でその安定度を評価した。結果を表2に示した。
Figure 0004468907

上記の画像記録試験の結果、一般式(1)で表されるアゾ色素を用いたインクシートから受像層に転写された画像は、色相が鮮やかであり、比較用の色素を用いた場合と比較して光堅牢性に優れていることが確認された。さらには、本発明のアゾ色素は、比較用の色素と比較して湿熱経時における画像のにじみが少なく、再転写等が起こりにくくて、優れた画像保存性を示すことも確認された。
本発明によれば、吸収がシャープな優れた分光特性および高い堅牢性を有するアゾ色素を含有する感熱転写記録材料用インクシートが提供される。このため、本発明は高画質のフルカラー記録等に効果的に用いられることが期待され、産業上の利用可能性が高い。

Claims (9)

  1. 下記一般式(1)で表されるアゾ色素を含有することを特徴とする感熱転写記録材料用インクシート。
    Figure 0004468907
    (一般式(1)中、R1 、R 3およびR4は各々独立に、水素原子または置換基を表し、 2 は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表し、Hetはヘテロ環基を表し、該へテロ環は置換基を有していてもよく、縮環していてもよい。)
  2. 前記Hetが、下記ヘテロ環の群1から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
    Figure 0004468907
    (ヘテロ環基の群1中、R11、R12、R13およびR14は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
  3. 前記Hetが下記ヘテロ環の群2から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
    Figure 0004468907
    (ヘテロ環基の群2中、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
  4. 前記Hetが下記ヘテロ環の群3から選ばれるヘテロ環基であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
    Figure 0004468907
    (ヘテロ環基の群3中、R11、R12およびR13は各々独立に水素原子または置換基を表す。)
  5. 前記アゾ色素が、下記一般式(2)または(3)で表されるアゾ色素であることを特徴とする請求項1に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
    Figure 0004468907

    (一般式(2)および(3)中、R1 、R 3、R4、R5およびR6は各々独立に水素原子または一価の置換基を表し、 2 は水素原子、置換もしくは無置換のアルキル基、置換もしくは無置換のアルケニル基、置換もしくは無置換のアリール基、または置換もしくは無置換のアシル基を表し、EWGはHammettの置換基定数σ P 値が0.3以上の電子求引性基を表す。)
  6. 前記EWGが、ニトロ基、シアノ基、メタンスルホニル基、トリフルオロメタンスルホニル基、トリフルオロアセチル基、ジメチルアミノスルホニル基、スルファモイル基、アルコキシカルボニル基、アシル基、カルボキシ基、スルホ基、またはカルバモイル基であることを特徴とする請求項5に記載の感熱転写記録材料用インクシート。
  7. 支持体上にポリマーを含有するインク受容層を有する受像材料上に請求項1〜のいずれか1項に記載の感熱転写記録材料用インクシートを用いて画像を形成することを特徴とする感熱転写記録方法。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の感熱転写記録材料用インクシートが装填されていることを特徴とするインクカートリッジ。
  9. 下記一般式(4)または(5)で表されるアゾ色素。
    Figure 0004468907
    (一般式(4)および(5)中、RA、RB、RCおよびRDは各々独立に水素原子または置換されていてもよい炭素数1〜6のアルキル基を表す。)
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