JP4467751B2 - 動圧軸受装置および偏向走査装置 - Google Patents
動圧軸受装置および偏向走査装置 Download PDFInfo
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、レーザプリンタやバーコード読取装置のスキャナ光学系等に用いられる動圧軸受装置および偏向走査装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
レーザプリンタやバーコード読取装置において、レーザビームによって感光体を走査するためのスキャナ光学系は、高速回転する回転多面鏡を支える軸受部に、安定した滑らかな回転が得られる動圧軸受を用いる。また、光ディスクや磁気ディスク等の情報記憶機器においても、高速で回転するディスクを支える軸受に、動圧軸受が幅広く使用されてきている。
【0003】
図12は、一従来例による偏向走査装置の主要部を示すもので、これは、軸101を軸受孔内に回転自在に支持するスリーブ102と、スリーブ102の下端に固定されて前記軸受孔を封鎖する固定板103およびこれに支持されたスラスト板104と、スリーブ102の軸受孔の内側面と軸101の外側面の間や、スラスト板104と軸101の端面の間に充填されたオイルを有し、軸101の端面は摩擦抵抗の低い材料によって形成され、スラスト板104とともにスラスト軸受を構成する。
【0004】
軸101の上部にはフランジ部材110が固定され、反射面111aを有する回転多面鏡111は、フランジ部材110上に載置され、押えバネによって押圧されて、フランジ部材110およびロータ112と一体的に結合されている。
【0005】
ロータ112は、永久磁石112aとこれを支持するヨーク112bを有する。スリーブ102には回路基板114が固定され、回路基板114にはステータ113のステータコア113bが立設支持される。ステータコア113bに巻回されたステータコイル113aは、ロータ112の永久磁石112aに対向しており、両者によって、回転多面鏡111を回転駆動するモータが構成されている。
【0006】
スリーブ102の軸受孔の上端部には油たまり102aが設けられ、これによって、軸受孔内のオイルの液面の暴れに対して冗長性を確保している。また、スリーブ102の下端部および中央部にもそれぞれ大径部が設けられ、これらはオイルの動圧損失を低減するための逃げ部102b、102cを構成し、上端の油たまり102aと中央の逃げ部102cの間と、中央の逃げ部102cと下端の逃げ部102bの間には、それぞれヘリングボーン状の動圧発生溝105a、105bが形成されている。
【0007】
スラスト板104の上面にはスパイラル溝が形成されており、軸101の上端部はスリーブ102の軸受孔より上方に突出し、フランジ部材110による回転多面鏡111の結合部を構成している。
【0008】
このように構成された動圧軸受装置において、軸101が回転するとスリーブ102の軸受孔に設けられた動圧発生溝105a、105bの作用でオイルに動圧が発生し、軸101はスリーブ102の軸受孔に非接触で回転する。またスラスト方向についてもスラスト板104に設けられたスパイラル溝の作用で動圧が発生し、軸101が浮上した状態で支持される。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記従来の技術によれば、動圧軸受の動作流体としてオイル等の液体を用いると、初期組立においてスリーブ102と軸101とを嵌合させる際に、動作流体の内部に空気が巻き込まれることがある。巻き込まれた空気が逃げ部102b、102cに大量に滞留すると、回転によって装置温度が上昇したり、高地などの低圧の場所に装置を設置した時に、逃げ部102b、102cから空気が動圧軸受の軸受間隙に入り込み、その結果気泡状になった空気が、軸受開口部から外部に抜けるときにいっしょにオイルを持ち出すことがある。
【0010】
装置の起動/停止といった繰り返しの使用状態において、上記のように軸受開口部よりオイルが漏れ出し、そのオイルが、フランジ部材110、ヨーク112bを伝って、これらの回転に伴なう遠心力で飛散し、機器の動作不具合を起こすという未解決の課題があった。
【0011】
このため、オイルの漏出防止部を軸に付設したり(特開平6−311696号公報参照)、漏出したオイルを吸収する油吸収シートを介在させる(特開平8−75011号公報参照)等の工夫がなされているが、漏出防止効果が不充分であったり、組立工程が複雑化する等の問題が残っている。
【0012】
本発明は上記従来の技術の有する未解決の課題に鑑みてなされたものであり、スリーブの外側にオイルを捕集する捕集手段を設けることにより、漏出してしまったオイルが機器の動作を阻害することのない高性能で安定性にすぐれた動圧軸受装置および偏向走査装置を提供することを目的とするものである。
【0013】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために本発明の動圧軸受装置は、所定の傾斜方向に傾斜した回転軸と、該回転軸を回転自在に支持するスリーブと、該スリーブと前記回転軸の間の軸受間隙に充填された動圧発生用の動作流体と、前記スリーブの前記傾斜方向の外側面において前記動作流体の漏出分を捕集する捕集手段を有しており、前記捕集手段が、スリーブの外側面に設けられた外溝と、前記スリーブを覆う円筒部材によって構成されていることを特徴とする。
【0015】
スリーブの外溝の上端に面取りが施されているとよい。
【0016】
スリーブの外溝内に、動作流体の漏出分を捕捉する捕捉部材が配設されているとよい。
【0017】
スリーブを覆う円筒部材が設けられており、捕集手段が、前記円筒部材の突出部によって構成されていてもよい。
【0018】
円筒部材の突出部に、動作流体の漏出分を捕捉する捕捉部材が配設されているとよい。
【0019】
円筒部材の上部が、スリーブの上端から突出するように配設されているとよい。
【0020】
スリーブの内側面に、動作流体の漏出分を捕集手段に向かって誘導する内溝が設けられているとよい。
【0021】
【作用】
動圧軸受装置の回転軸が傾斜して配設されている場合には、軸受間隙の動作流体がスリーブの開口部から漏出するときに、スリーブの傾斜方向の外側面に向かって流動する。そこで、スリーブの傾斜方向の外側面において動作流体の漏出分を捕集する捕集手段を設けておき、動作流体の漏出分が周辺の機器に飛散するのを防ぐ。
【0022】
捕集手段が、動作流体の漏出分を吸収して捕捉する捕捉部材を備えていれば、捕集手段内に捕集された動作流体が再流出するのを回避できる。
【0023】
捕集手段に向かって動作流体の漏出分を誘導するために、スリーブに内溝を設けたり、スリーブの上端に面取りを施すと、動作流体の漏出分を確実に捕集できる。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
【0025】
図1は第1の実施の形態による動圧軸受装置を用いた回転装置を示すもので、これは、後述する偏向走査装置において光ビームを偏向走査するための反射面11aを有する回転多面鏡11を回転駆動するためのモータを有する。
【0026】
回転軸である軸1はフランジ部材10を介して永久磁石12aとヨーク12bからなるロータ12および回転多面鏡11と一体化され、スリーブ2は、ステータコイル13aおよびステータコア13bからなるステータ13と一体的に結合されている。
【0027】
ステータコア13bは多極のポールシュウを有し、各ポールシュウにステータコイル13aが巻回されている。多極に磁化された永久磁石12aの回転位置により順次通電が切り替えられ、ロータ12とステータ13との間に回転力を発生する。
【0028】
ステータコイル13aが巻回されたステータコア13bは、駆動回路を構成する回路部品とともに回路基板14に固定され、回路基板14は、スリーブ2と一体化されている。このようなロータ部とステータ部をそれぞれ個別に作成し、モータとしての総組が行なわれる。このとき、スリーブ2内に、オイル注油装置により規定量の動圧発生用の動作流体であるオイルが注油され、その後に、スリーブ2内に軸1が挿入されてモータが完成する。
【0029】
このモータの軸受部は、前述のように、軸1を軸受孔内に回転自在に支持するスリーブ2と、スリーブ2の下端に固定されて前記軸受孔を封鎖する固定板3およびこれに支持されたスラスト板4と、スリーブ2の軸受孔の内側面と軸1の外側面の間や、スラスト板4と軸1の端面の間に充填されたオイルによって構成される動圧軸受装置である。
【0030】
スリーブ2の軸受孔の上端部には油たまり2aが設けられ、下端部および中央部はそれぞれ大径部による逃げ部2b、2cとなっており、上端の油たまり2aと中央の逃げ部2cの間と、中央の逃げ部2cと下端の逃げ部2bの間には、それぞれヘリングボーン状の動圧発生溝5a、5bが形成されている。また、スラスト板4の上面にはスパイラル溝が形成されている。
【0031】
このように構成された動圧軸受装置において、軸1が回転するとスリーブ2の軸受孔に設けられた動圧発生溝5a、5bの作用でオイルに動圧が発生し、軸1はスリーブ2の軸受孔に非接触で回転する。またスラスト方向についてもスラスト板4に設けられたスパイラル溝の作用で動圧を発生し軸1が浮上した状態で支持される。
【0032】
この装置は、後述する偏向走査装置のスキャナ光学系を支持する筐体(ステイ)に対して取り付けるときに、所定の傾斜方向に傾斜角θだけ傾けて配設される。傾斜角θは、各機種に応じてスキャナ光学系と機械の大きさ等によって決まるもので、水平面に対して角度0°〜90°の範囲で任意に設定される。
【0033】
このように傾斜角θだけ傾けて配置された回転装置においては、動圧発生用のオイルが、常にスリーブ開口部の定位置からスリーブの傾斜方向に漏出するため、この部位のスリーブ外側面にオイルの漏出分を捕集する外溝2dを設ける。通常この外溝2dは、エンドミルなどで切削加工により形成するが、場合によっては鍛造といった方法や、化学的手段であるエッチングで形成することも可能である。
【0034】
また、スリーブ2の外周面に外溝2dを囲むように円筒部材である円筒状のリング6を組み付けて、スリーブ2の上端開口から漏出するオイルを捕集する。なお、リング6の材料は、金属や樹脂等である。
【0035】
すなわち、円筒状のリング6と、スリーブ2の外周面に形成された外溝2dとによって、スリーブ2の軸受間隙から漏出するオイルの捕集手段を構成するもので、その組立は、図2に示すように、リング6をスリーブ2の上方から軸方向に嵌合させるだけでよい。
【0036】
リング6が金属材料で作られている場合は、スリーブ2の上部の外形よりリング6の内径を少し狭めて、焼嵌により組み立ててもよい。
【0037】
リング6が樹脂材料で作られていれば、圧入や落とし込みののちにリング6の下面を円周に沿ってシーリングしながら固定してもよい。
【0038】
そして、このように構成されたスリーブ2を回路基板14に固定する工程では、傾斜角θで傾斜したスリーブ2の開口部から流出するオイルの漏出分が、重力を受けて流れ出す定位置である傾斜方向の外側面に外溝2dが位置するように配置することを忘れてはならない。
【0039】
従来例で述べたような原因でオイルがスリーブ2の開口部より漏出する時は、スリーブ2の開口部と軸1との間で働くオイルの表面張力を破って保持しきれなくなったオイルが漏出を始めるが、この回転装置は、全体が傾斜角θで傾けて配置されているため、漏出したオイルが重力の影響を受けて、装置の傾斜方向すなわち、図1の右側へ流れ出す。するとその先には、リング6とスリーブ2の外周面に形成された外溝2dとで形成された捕集手段があるため、ここにオイルの漏出分が捕集される。従来例のように、軸受外部へオイルが流出して周辺の機器を汚染し、動作不具合を生じることはない。
【0040】
また、リング6は、その上部がスリーブ2の上端から上方へ突出するように長くしておく。これによって、スリーブ2の開口部の他の部位からのオイルの漏れ出しも防ぐことができる。
【0041】
図3に示すように、スリーブ2の内側面すなわち開口部の内径側に、外溝2dに対向するように内溝2eを形成してもよい。スリーブ2の開口部に付着したオイルが、表面張力のために内溝2eに集まり易くなり、傾斜角θによる重力の影響も加わって、外溝2dに向かって流出しやすくなる。
【0042】
このように、外溝2dに捕集されるオイルが最短の径路で外溝2dに集まるように誘導することで、オイルの捕集を確実に行なうことができる。
【0043】
また、図4に示すように、スリーブ2の外溝2dの上端にC面取(図4の(a)参照)やR面取(図4の(b)参照)によって丸みをつけておけば、オイルがスリーブ2の上端に付着したままそこで滞留してしまうのを防ぎ、スムーズにオイルの捕集を行なうことができる。
【0044】
特に、図5に示すように、傾斜角θが90°に近い状態では、捕集後のオイルが再流出しないように、リング6の上端に曲折部6aを設けて流入口を狭めた構造にしたり(図5の(a)参照)、捕集手段内に綿状やスポンジ状の捕捉部材であるオイル捕捉部材7を配設してもよい(図5の(b)参照)。
【0045】
本実施の形態によれば、回転多面鏡を回転駆動する回転装置の起動/停止といった繰り返しの使用状態において、スリーブの開口部より漏れ出してしまったオイルを効果的に捕集することにより、オイルの飛散を防止し、オイル漏れによる回路基板の汚染やその他の機器の動作不具合を起こすのを回避できるため、油吸収シート等の高価な部材を用いることなく、安価で耐久性にすぐれた高機能な動圧軸受装置、回転装置および偏向走査装置を実現できる。
【0046】
図6は第2の実施の形態による動圧軸受装置を用いた回転装置を示すもので、回転軸である軸21を軸受孔内に回転自在に支持するスリーブ22と、スリーブ22の下端に固定されて前記軸受孔を封鎖する固定板23およびこれに支持されたスラスト板24と、スリーブ22の軸受孔の内側面と軸21の外側面の間や、スラスト板24と軸21の端面の間に充填されたオイルによって構成されている。
【0047】
スリーブ22の軸受孔の上端部には油たまり22aが設けられ、下端部および中央部はそれぞれ大径部による逃げ部22b、22cとなっており、上端の油たまり22aと中央の逃げ部22cの間と、中央の逃げ部22cと下端の逃げ部22bの間には、それぞれヘリングボーン状の動圧発生溝25a、25bが形成されている。また、スラスト板24の上面にはスパイラル溝が形成されている。
【0048】
このように構成された動圧軸受装置において、軸21が回転するとスリーブ22の軸受孔に設けられた動圧発生溝25a、25bの作用でオイルに動圧が発生し、軸21はスリーブ22の軸受孔に非接触で回転する。またスラスト方向についてもスラスト板24に設けられたスパイラル溝の作用で動圧を発生し軸21が浮上した状態で支持される。
【0049】
なお、軸21に対してフランジ部材10を介して固定された回転多面鏡11、永久磁石12aとヨーク12bからなるロータ12、ステータコイル13aとステータコア13bからなるステータ13、回路基板14等は第1の実施の形態と同様であるから、同一符号で表わし、説明は省略する。
【0050】
上記の回転装置は、偏向走査装置のスキャナ光学系を支持する筐体(ステイ)に対して取り付けるときに、所定の傾斜方向に傾斜角θだけ傾けて配設される。傾斜角θは、各機種に応じてスキャナ光学系と機械の大きさ等によって決まるもので、水平面に対して角度0°〜90°の範囲で任意に設定される。
【0051】
このように傾斜角θだけ傾けて配置された回転装置においては、動圧発生用の動作流体であるオイルが、常にスリーブ開口部の定位置からスリーブの傾斜方向の外側面に向かって漏出するため、スリーブ外周面を包囲する円筒部材であるリング26を設けるとともに、リング26に突出部26aを形成し、これを、スリーブ22の前記定位置における外側面に配設する。
【0052】
スリーブ22の外周面に円筒状のリング26を組み付けて、スリーブ22の上端開口から漏出するオイルをリング26の突出部26a内の空所に捕集する。リング26の材料は、金属や樹脂等である。
【0053】
すなわち、円筒状のリング26は、その突出部26aとスリーブ22の外周面の間に形成される空所によって、スリーブ22の軸受間隙から漏出するオイルの捕集手段を構成するもので、その組立は、図7に示すように、リング26をスリーブ22の上方から軸方向に嵌合させるだけでよい。
【0054】
リング26が金属材料で作られている場合は、スリーブ22の上部の外形よりリング26の内径を少し狭めて、焼嵌により組み立ててもよい。
【0055】
リング26が樹脂材料で作られていれば、圧入や落とし込みののちにリング26の下面を円周に沿ってシーリングしながら固定してもよい。
【0056】
そして、このように構成されたスリーブ22を回路基板14に固定する工程では、スリーブ22の開口部からオイルが漏出して重力を受けて流れ出す定位置に、リング26の突出部26aが位置するように配置することを忘れてはならない。
【0057】
従来例で述べたような原因でオイルがスリーブ22の開口部より漏出する時は、スリーブ22の開口部と軸21との間で働くオイルの表面張力を破って保持しきれなくなったオイルが漏出を始めるが、この回転装置は、全体が傾斜角θで傾けて配置されているため、漏出したオイルは、重力の影響を受けて、図6の右側へ流れ出す。するとその先には、リング26の突出部26aによって形成されたオイルの捕集手段があるため、ここにオイルが捕集される。従来例のように、他へオイルが流出して周辺の機器を汚染し、動作不具合を生じることはない。
【0058】
また、リング26は、その上部がスリーブ22の開口部より上方へ突出するように長くしておく。これによって、スリーブ22の開口部の他の部位からのオイルの漏れ出しも防ぐことができる。
【0059】
図8に示すように、スリーブ22の内側面である開口部の内径側に、リング26の突出部26aに対向するように内溝22eを形成してもよい。スリーブ22の開口部に付着したオイルが、表面張力のために内溝22eに集まり易くなり、傾斜角θによる重力の影響も加わって、リング26の突出部26aに向かって流出しやすくなる。
【0060】
このように、リング26の突出部26aに捕集されるオイルが最短の径路で集まるように誘導することで、オイルの捕集を確実に行なうことができる。
【0061】
また、図9に示すように、スリーブ22の上端にC面取(図9の(a)参照)やR面取(図9の(b)参照)によって丸みをつけておけば、オイルがスリーブ22の上端に付着したままそこで滞留してしまうのを防ぎ、スムーズにオイルの捕集を行なうことができる。
【0062】
特に、図10に示すように、傾斜角θが90°に近い状態の場合は、捕集後のオイルが再流出しないように、リング26の上端に曲折部26bを設けて流入口を狭めた構造にしたり(図10の(a)参照)、捕集手段内に綿状やスポンジ状のオイル捕捉部材27を配設してもよい(図10の(b)参照)。
【0063】
このようにして、回転装置の起動/停止といった繰り返しの使用状態において、スリーブの開口部より漏れ出してしまったオイルを効果的に捕集することにより、オイルの飛散を防止し、オイル漏れによる回路基板の汚染やその他の機器の動作不具合を起こすのを回避できるため、油吸収シート等の高価な部材を用いることなく、安価で高機能な動圧軸受装置、回転装置および偏向走査装置を実現できる。
【0064】
図11は偏向走査装置の主要部を示すもので、これは、レーザ光等の光ビーム(光束)を発生する光源51と、前記光ビームを回転多面鏡11の反射面11aに線状に集光させるシリンドリカルレンズ51aとを有し、前記光ビームを回転多面鏡11の回転によって偏向走査し、結像光学系である結像レンズ系52を経て回転ドラム上の感光体53に結像させる。結像レンズ系52は球面レンズ52a、トーリックレンズ52b等を有し、感光体53に結像する点像の走査速度等を補正するいわゆるfθ機能を有する。
【0065】
前記モータによって回転多面鏡11が回転すると、その反射面11aは、回転多面鏡11の軸線まわりに等速で回転する。前述のように光源51から発生され、シリンドリカルレンズ51aによって集光される光ビームの光路と回転多面鏡11の反射面11aの法線とがなす角、すなわち該反射面11aに対する光ビームの入射角は、回転多面鏡11の回転とともに経時的に変化し、同様に反射角も変化するため、感光体53上で光ビームが集光されてできる点像は回転ドラムの軸方向(主走査方向)に移動(走査)する。
【0066】
結像レンズ系52は、回転多面鏡11において反射された光ビームを感光体53上で所定のスポット形状の点像に集光するとともに、該点像の主走査方向への走査速度を等速に保つように設計されたものである。
【0067】
感光体53に結像する点像は、回転多面鏡11の回転による主走査と、感光体53を有する回転ドラムがその軸まわりに回転することによる副走査に伴なって、静電潜像を形成する。
【0068】
感光体53の周辺には、感光体53の表面を一様に帯電するための帯電装置、感光体53の表面に形成される静電潜像をトナー像に顕像化するための現像装置、前記トナー像を記録紙に転写する転写装置(いずれも不図示)等が配置されており、光源51から発生する光ビームによる記録情報が記録紙等にプリントされる。
【0069】
検出ミラー54は、感光体53の表面における記録情報の書き込み開始位置に入射する光ビームの光路よりも主走査方向上流側において光ビームを反射して、フォトダイオード等を有する受光素子55の受光面に導入する。受光素子55はその受光面が前記光ビームによって照射されたときに、走査開始位置(書き出し位置)を検出するための走査開始信号を出力する。
【0070】
光源51は、ホストコンピュータからの情報を処理する処理回路から与えられる信号に対応した光ビームを発生する。光源51に与えられる信号は、感光体53に書き込むべき情報に対応しており、処理回路は、感光体53の表面において結像する点像が作る軌跡である一走査線に対応する情報を表す信号を一単位として光源51に与える。この情報信号は、受光素子55から与えられる走査開始信号に同期して送信される。
【0071】
なお、回転多面鏡11、結像レンズ系52等は光学箱50に収容され、光源51等は光学箱50の側壁に取り付けられる。光学箱50に回転多面鏡11、結像レンズ系52等を組み付けたうえで、光学箱50の上部開口に図示しないふたを装着する。
【0072】
【発明の効果】
本発明は上述のとおり構成されているので、次に記載するような効果を奏する。
【0073】
軸受間隙から漏出するオイルをスリーブの外側面において捕集することで、オイルの漏出分が回路基板等を汚染したり、周辺機器の動作を阻害するのを防ぐ。
【0074】
これによって、長期間高い軸受性能を維持できる安定性にすぐれた動圧軸受装置を実現できる。
【0075】
このような動圧軸受装置を用いることで、回転多面鏡等を回転駆動する回転装置や偏向走査装置の高性能化と耐久性の向上に貢献できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施の形態を示す模式断面図である。
【図2】図1のスリーブとリングの組立方法を示すものである。
【図3】第1の実施の形態の第1の変形例を示す図である。
【図4】第1の実施の形態の第2、第3の変形例を示す図である。
【図5】第1の実施の形態の第4、第5の変形例を示す図である。
【図6】第2の実施の形態を示す模式断面図である。
【図7】図6のスリーブとリングの組立方法を示すものである。
【図8】第2の実施の形態の第1の変形例を示す図である。
【図9】第2の実施の形態の第2、第3の変形例を示す図である。
【図10】第2の実施の形態の第4、第5の変形例を示す図である。
【図11】偏向走査装置全体を説明する図である。
【図12】一従来例を示す図である。
【符号の説明】
1、21 軸
2、22 スリーブ
2a、22a 油たまり
2b、2c、22b、22c 逃げ部
2d 外溝
2e、22e 内溝
3、23 固定板
4、24 スラスト板
5a、5b、25a、25b 動圧発生溝
6、26 リング
7、27 オイル捕捉部材
10 フランジ部材
11 回転多面鏡
11a 反射面
12 ロータ
13 ステータ
14 回路基板
26a 突出部
Claims (8)
- 所定の傾斜方向に傾斜した回転軸と、該回転軸を回転自在に支持するスリーブと、該スリーブと前記回転軸の間の軸受間隙に充填された動圧発生用の動作流体と、前記スリーブの前記傾斜方向の外側面において前記動作流体の漏出分を捕集する捕集手段を有しており、前記捕集手段が、スリーブの外側面に設けられた外溝と、前記スリーブを覆う円筒部材によって構成されていることを特徴とする動圧軸受装置。
- 前記スリーブの外溝の上端に面取りが施されていることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
- 前記スリーブの外溝内に、動作流体の漏出分を捕捉する捕捉部材が配設されていることを特徴とする請求項1または2記載の動圧軸受装置。
- 前記スリーブを覆う円筒部材が設けられており、前記捕集手段が、前記円筒部材の突出部によって構成されており、前記円筒部材の突出部に、動作流体の漏出分を捕捉する捕捉部材が配設されていることを特徴とする請求項1記載の動圧軸受装置。
- 前記スリーブの外側面の上端に面取りが施されていることを特徴とする請求項4記載の動圧軸受装置。
- 前記円筒部材の上部が、スリーブの上端から突出するように配設されていることを特徴とする請求項1ないし5いずれか1項記載の動圧軸受装置。
- 前記スリーブの内側面に、動作流体の漏出分を捕集手段に向かって誘導する内溝が設けられていることを特徴とする請求項1ないし6いずれか1項記載の動圧軸受装置。
- 所定の傾斜方向に傾斜した回転軸と、該回転軸を回転自在に支持するスリーブと、該スリーブと前記回転軸の間の軸受間隙に充填された動圧発生用の動作流体とを有する動圧軸受装置と、該動圧軸受装置の回転軸およびスリーブと、それぞれ一体に形成されたロータおよびステータからなるモータと、該動圧軸受装置に対して回転支持された回転多面鏡とからなる偏向走査装置において、
前記スリーブの前記傾斜方向の外側面において前記動作流体の漏出分を捕集する捕集手段を有しており、前記捕集手段が、スリーブの外側面に設けられた外溝と、前記スリーブを覆う円筒部材によって構成されていることを特徴とする偏向走査装置。
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