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JP4465802B2 - サイディングパネル及びこれを用いた外壁パネル - Google Patents

サイディングパネル及びこれを用いた外壁パネル Download PDF

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JP4465802B2 JP2000124403A JP2000124403A JP4465802B2 JP 4465802 B2 JP4465802 B2 JP 4465802B2 JP 2000124403 A JP2000124403 A JP 2000124403A JP 2000124403 A JP2000124403 A JP 2000124403A JP 4465802 B2 JP4465802 B2 JP 4465802B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、既存または新築の戸建住宅、集合住宅に使用するサイディングパネル及びこれを用いた外壁パネルに関する。
【0002】
【従来の技術】
戸建住宅、集合住宅に使用するサイディングパネルには、従来から、硬質ウレタンフォーム、石膏ボード、フェノールフォームを芯材とするエンボス化された金属サイディング材、セラミックタイル調、天然石目調の窯業系サイディング材、湿式モルタルにリシン化粧した外壁材、セラミックタイル貼り外壁材等が一般に使用されている。なかでも、意匠性に優れることから、セラミックタイル調、天然石目調の窯業系サイディング材が多用されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来のサイディングパネルは以下に示すような課題を有する。
【0004】
すなわち、窯業系サイディング材は、近年、更に意匠性、高級感を高めるべく、深エンボスの方向に移行しつつあり、板の厚みが厚くなる方向にある。この結果、意匠性、高級感は満足されるが、窯業系サイディング材は、コストアップ、板厚の増加及び重量増により施工性が悪くなる結果、施工コストがアップし、価格対応の対策に迫られている。又、新省エネ基準に対応する断熱対策にも迫られているのが現状である。更に、既存住宅の外壁をリフォームする場合においても、板厚増と重量増により既存外壁に重ね貼り施工が困難で、且つ、既存住宅の外壁下地の補強対策も必要となるなど、施工コストのアップにつながり、外壁リフォームとして普及させる為にもコストダウン対策が重要な課題となっている。
【0005】
又、硬質ウレタンフォームを芯材とする金属サイディング材は、可燃で防耐火性に欠ける為、防火地域の新築又は既存住宅の外壁、リフォーム壁には、法規上使用出来ない。
【0006】
更に硬質ウレタンフォームを芯材とする金属サイディング材は、防耐火対策が重要課題であり、不燃性のフェノールフォームを芯材とする金属サイディングに移行しつつあるが、不燃性のフェノールフォームを芯材とする金属サイディングを大きく普及させる為には、価格対策が必要となってきている。
【0007】
又、石膏ボードを芯材とする金属サイディング材は、断熱性と防水性に欠け、年々減少して来ている。
【0008】
更に、湿式モルタルにリシン化粧した外壁材やセラミックタイル貼り外壁材は、クラック等の品質上の問題や、施工の工期が長い等の理由で、年々減少しつつあるのが現状である。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、不燃性、防耐火性、断熱性及び防水性を有し、且つ施工性の向上及びコストダウンを可能とするサイディングパネル及び外壁パネルを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、本発明のサイディングパネルは、主として金属を含有する表面材と、無機質短繊維を主として含むフェルトからなる裏打材とを備える複合板にエンボス成形加工によって表面材の表面に凹凸模様を形成してなることを特徴とする。
【0011】
この発明によれば、無機質短繊維を含むフェルトが相応の断熱性を有するので、外壁材として使用した場合、冬季に於いて表面材の裏面での結露が防止される。又、無機質短繊維を含むフェルトはそれ自身不燃材料であり、また表面材が主として金属を含有するため、本発明のサイディングパネルは、防水性を有すると共に、防火性を有し、防火地区の既存住宅の外壁リフォーム用パネルとして使用することが可能となる。又、表面材にフェルトが裏打ちされることにより、エンボス成形加工時の機械的な外力が緩和されるため、表面材のエンボスされる部分において亀裂やシワの発生が低減され、表面の深エンボス加工が可能となる。このため、窯業系サイディングに匹敵する質感が得られる。更には、サイディングパネルは、表面材に比べて比重の小さい無機質短繊維を主として含むフェルトからなる裏打材と表面材の複合板で構成されるため、全体として軽量となり、サイディングパネルを用いる場合の作業性が向上する。又、複合板をエンボス加工する場合、表面材の凸部分の裏側にフェルトが入り込むため、サイディングパネルを薄くすることが可能となる。更には、フェルトが柔軟性を有するので既存住宅の外壁面の不陸(表面の凹凸を意味する)に対してフェルト面がフィットし、施工納りが良好となる施工性を有し、ひいてはコストダウンが可能となる。
【0012】
上記サイディングパネルは、表面材の表面にランダム多色塗装してなることが好ましい。これにより、サイディングパネルの表面がセラミックタイル調、天然石目調に化粧仕上げされることになり、既存住宅のリフォーム用パネル、新築住宅用途として良好な質感を有し、意匠性に優れた好適な外壁パネル条件を有することとなる。
【0013】
上記サイディングパネルにおいて、複合板における表面材が好ましくは0.15〜0.5mmの厚さを有し、より好ましくは0.2〜0.5mmの厚さを有する。この場合、軽量性及び加工性が良好になる。なお、表面材の厚さが0.15mm未満では外力により凹みが生じ易く、施工後の平坦性が劣化する傾向があり、0.5mmを超えると、材料コストが高くなる上、重量が増し、施工性が劣化する傾向がある。
【0014】
又、上記サイディングパネルにおいては、表面材が亜鉛メッキ鋼、樹脂被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であることが好ましい。このような材料を用いることにより他の材料を用いる場合に比べて軽量で施工性が良く、成型加工性が良好になる。
【0015】
更には、上記サイディングパネルにおいて、裏打材を構成するフェルトが、ロックウール、ガラスウール及びセラミックウールからなる群より選ばれる少なくとも1種の人造無機質短繊維と、アタパルジャイト、ワラストナイト及びセピオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種の天然無機質短繊維とを含有し、フェルトのかさ比重が0.2〜0.6であり、且つ裏打材が2〜10mmの厚さを有することが好ましい。
【0016】
フェルトのかさ比重が0.2未満では、フェルト加工が困難で、引裂強度が低下すると共に、クッション性が劣化して、エンボス加工により表面材が損傷する傾向があり、かさ比重が0.6を超えると、コストが高くなる上、断熱性も低下する傾向がある。更に、裏打材の厚さが2mm未満では、不陸調整機能、引裂強度及び遮音性が低下する傾向があり、10mmを超えるとコストが高くなる上、重量が増して施工性が低下する傾向がある。
【0017】
更には、上記サイディングパネルにおいて、表面材の長手方向に沿った両縁部のうち一方の縁部が折り曲げられて雌型の収容部を形成しており、他方の縁部が収容部に嵌合可能な形状を有する雄型の縁部となっていることが好ましい。
【0018】
この発明に係る複数のサイディングパネルを用意した場合、各サイディングパネルの表面材の長手方向に沿った両縁部の雌型の収容部に、別のサイディングパネルの表面材の雄型の縁部を収容することで、表面材の長手方向側で複数のサイディングパネル同士の連結が容易となる。
【0019】
又、上記サイディングパネルにおいて、表面材の短手方向に沿った両端部がそれぞれL字形状となっていることが好ましい。
【0020】
この発明に係る複数のサイディングパネルを用意し、各サイディングパネルの表面材の短手方向に沿ったL字形状の両端部同士を重ね合わせることで、溝を形成することが可能となる。このため、その溝にシーリング材等を充填することができ、サイディングパネル間への水の侵入を防止できると共に、施工後のサイディングパネルの意匠性を高めることができる。
【0021】
上記サイディングパネルにおいて、表面材と裏打材とが接着剤によって剥離可能に接合されていることが好ましい。この場合、使用済みのサイディングパネルにおいて、表面材と裏打材とを容易に剥離することができ、後の解体時にリサイクル分別が容易となる。
【0022】
更に、本発明の外壁パネルは、上記サイディングパネルと、サイディングパネルの裏打材に取り付けられる下地材とを備え、下地材が、かさ比重0.5以下の鉱物質繊維板、かさ比重0.3以下の乾式ロックウールボード、かさ比重1.0以下の木毛セメント板、かさ比重0.5以下のロックウールボードを一対の木毛セメント板で挟持したサンドイッチパネル、かさ比重0.8以下の繊維混入珪酸カルシウム板、かさ比重0.3以下の無機質充填フェノールフォーム板、かさ比重1.0以下の石膏スラグセメント板及び石膏板からなる群より選ばれることを特徴とする。
【0023】
この外壁パネルは、断熱性、防耐火性及び機械的強度を有するので、断熱性、防耐火性及び機械的強度が要求される新築住宅の外壁パネルとして特に有効である。
【0024】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面と共に本発明の実施形態について説明する。
【0025】
本発明のサイディングパネル10は、図1に示すように主として金属を含有する表面材1と無機質短繊維を主として含むフェルトからなる裏打材2とを備える複合板に、エンボス成形加工によって表面材1の表面に凹部3と凸部4とからなる凹凸模様を形成してなるものである。
【0026】
本発明のサイディングパネル10の裏打材2を構成する無機質短繊維を含むフェルトは、主として金属を含有する表面材1に裏打ちされることにより、エンボス成形加工時の機械的な外力を緩和させるため表面材1のエンボスされる部分の亀裂、シワの発生を低減し、表面材1の表面に対してエンボス加工、特に深エンボス加工を可能にする。又、フェルトは、相応の断熱性を有し、外壁面に使用した場合、冬季に於いて表面材1の裏面での結露を防止する働きもある。又、フェルトは柔軟性を有するため既存住宅の外壁面の不陸に対してフェルト面がフィットし、施工納りが良好なる施工性を有している。更には、無機質短繊維を含むフェルトはそれ自身不燃材料であり、表面材1にフェルトを裏打ちした本発明のサイディングパネルには、防火地区の既存住宅の外壁リフォーム用パネルとしての使用が認められる。
【0027】
本発明のサイディングパネルに用いられる無機質短繊維を含むフェルトは、不燃性及び防火性を付与する為に実質的にショットと称する非繊維化粒子を分離除去し、10mm以下の繊維長に切断加工されたロックウール、セラミックウール、10mm以下のガラスチョップドファイバー、ガラスウール等の人造無機質短繊維を水に分散させスラリーとし、抄紙と同様の方式でフェルトを抄造製造する事が出来る。
【0028】
ここで、本発明のサイディングパネルに使用される無機質短繊維を含むフェルトについて詳述する。
【0029】
本発明のサイディングパネルのフェルトに含まれる人造無機質短繊維としてのロックウールは次のようにして得られる。すなわちまずSiO235〜55Wt%、Al2O310〜20Wt%、MgO5〜40Wt%、CaO5〜40Wt%、FeO0〜10Wt%、Cr2O3、Na2O、K2O、TiO2、MnO等の微量成分0〜10Wt%とからなる原料鉱石混合物をキュポラ炉、電気炉で溶融し、ブローイング法や高速回転体によるスピニング法で繊維化する。この繊維はウール状となっており、繊維長が数ミリから数十ミリの範囲にあり、ショットと呼ばれる非繊維粒子を10〜30Wt%含有し、かかる繊維は一般に粒状綿、細粒綿と呼ばれている。粒状綿、細粒綿は、直接フェルト用の原料として使用することは困難であり、ショットの分離除去と解繊切断処理による繊維長を調整した加工短繊維の形で使用する。係る処理は、粒状綿、細粒綿を水に分散させた状態でパルパー、クリナーによってなされる。こうして、実質的にショットを含まない繊維長10mm以下の加工短繊維形のロックウールが得られる。
【0030】
フェルト中のロックウールの配合割合は、不燃性とフェルト強度の関係で80〜97Wt%の範囲が好適である。これは、ロックウールの配合割合が80Wt%未満では不燃性が損なわれる傾向があり、97Wt%以上では引張強度が不充分となる傾向があるからである。
【0031】
又、その他の人造無機質短繊維として利用出来るセラミックウールは次のようにして得られる。すなわちまずSiO245〜50Wt%、Al2O345〜50Wt%、ZrO2等の微量成分0〜5Wt%となる粉末原料を電気炉で高温溶融し、ロックウールと同様にブローイング法や高速回転体によるスピニング法で繊維化する。このとき得られる繊維の形状及びショット含有量は略ロックウールの場合と同様であり、ロックウールと同様にして、脱ショットした繊維長10mm以下の加工短繊維を得る。こうして本発明に用いるセラミックウールが得られる。
【0032】
又ガラスウールは次のようにして得られる。すなわちまずSiO2 60〜72 Wt% 、Al2O31〜5Wt%、MgO0〜5Wt%、CaO6〜11 Wt%、B2O30〜7Wt%、Na2O+K2O14〜19 Wt%、その他微量成分からなる粉末原料を電気炉で熔融し、縦型スピニング法や火陥法等により、溶融物を高速回転体の側壁の細孔より遠心力を利用して排出させることにより繊維化する。こうして得られる繊維は実質的にショットを含有していないので、10mm以下の繊維長に切断加工した加工短繊維の形で本発明のガラスウールとして使用することが出来る。
【0033】
上述したロックウール、セラミックウール、ガラスウール等の人造無機質短繊維には、コストダウン、フェルトの表面平滑性、人造無機質短繊維との高温焼結による耐熱性付与の観点から、アタパルジャイト、ワラストタイト、セピオライト等の天然無機質短繊維を10Wt%以下の範囲で少量配合することが好ましい。このように天然無機質短繊維を配合する場合、耐火性が向上するという利点がある。これらの天然無機質短繊維のうちセピオライト繊維が特に好ましい。これは、セピオライト繊維は焼結性に優れるためその添加はフェルトの耐熱保形性を向上させるのに効果的だからである。
【0034】
上記人造無機質短繊維、天然無機質短繊維には、フェルトの柔軟性、機械的強度及び耐水性を付与させる為に、少量の有機質結合材及び結合助剤を添加する。有機質結合材として使用される樹脂は、アクリル樹脂、変性アクリル樹脂、ポリ酢酸ビニル、エチレン・酢酸ビニル共重合樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂等のエマルジョンやフェノール樹脂、メラミン樹脂等の粉末樹脂や無機物配合樹脂、更にはポリエチレンパルプの様なパルプ状の有機質結合材を挙げることが出来る。又、有機質結合材の一種として利用される熱融着性有機質繊維としては、ポリプロピレン繊維、ナイロン繊維、エチレン・プロピレン複合繊維を挙げることが出来、特にエチレン・プロピレン複合繊維が好適である。
【0035】
又、フェルトは湿式抄造法で製造する為、有機質結合材をフェルトに効果的に保持させるポリアクリルアミドや硫酸バンド等の凝集剤、フェルトに撥水性を付与するワックスエマルジョン、シリコーン樹脂エマルジョン等の撥水剤を結合助剤として少量添加することが出来る。有機質結合剤及び少量の凝集剤や撥水剤等の結合助剤の配合割合は、強度、不燃性との関係で2〜10 Wt%の範囲が好ましい。配合割合が2wt%未満では、不燃性は良いが、引裂強度が劣化する傾向があり、10wt%を超えると、引裂強度は十分であるが、不燃性が損なわれる傾向がある。
【0036】
更には、上記人造無機質短繊維、天然無機質短繊維には、フェルトの抄造成形性の為に、繊維長10mm以下の合成繊維やセルローズファイバー等の有機質繊維等を添加することが好ましい。
【0037】
更に、フェルトには、防耐火性、軽量化、コストダウン等の点から、水酸化アルミニウム、シラスバルーン、炭酸カルシウム、膨脹黒鉛を少量配合することが好ましい。
【0038】
無機質短繊維フェルトの構成成分は上述の通りであるが、フェルトの構成成分を配合した混合物を水に分散させ、円網式、長網式、ロートフォーマー等の製紙用抄造機でフェルト状に抄造し、続いて乾燥することにより不燃で柔軟性を有するフェルトが製造される。フェルトの厚さは2〜10mmであることが好ましい。
【0039】
フェルトの片面又は両面には、フェルトの補強対策として、目付50g/m2以下、好ましくは30g/m2以下の不燃性を損なわない範囲でポリエステル不織布を積層し、ニードルパンチ加工し、その形で表面材1と接着剤を介して積層複合化することが好ましい。これにより、上記フェルトの機械的な強度がより向上し、エンボス成形加工時において表面材1と裏打材2との間の層間剥離が十分防止されることになる。
【0040】
本発明のサイディングパネルの表面材1としては、例えば亜鉛メッキ鋼、塩化ビニル樹脂等の樹脂を被覆した鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミ合金、銅等が好ましく用いられる。又、サイディングパネルの表面材1に対する深エンボス加工成形時に、表面材1の表面のエンボス部分における亀裂、シワ等の発生をより一層防ぐ観点からは、柔軟性があり、伸び率が良好なアルミニウム、アルミ合金が好ましい。
【0041】
表面材1の厚さは、好ましくは0.15〜0.5mmであり、より好ましくは0.2〜0.5mmである。
【0042】
本発明のサイディングパネルを構成する主要材料は以上であるが、表面材1と無機質短繊維を含むフェルトからなる裏打材2は、接着等の手段で貼合わせ複合化される。この接着剤加工は、表面材1の裏面側に、アクリル樹脂系、酢酸ビニル樹脂系、ウレタン樹脂系、SBR・NBR等の合成ゴム系、エポキシ樹脂系の接着剤を塗布し、続いてフェルトを圧着させ、必要に応じて乾燥させる事で行う事が出来る。ここで、接着剤は、表面材1と裏打材2とを剥離可能な程度の接着強度を持つことが好ましい。こうすることにより、使用済みのサイディングパネルにおいて表面材1と裏打材2とを容易に剥離することができ、表面材1と裏打材2のリサイクル化が可能となる。剥離可能な程度の接着強度とするためには、例えば接着に際して、表面材1の裏面側に接着剤を点状に接着した後、裏打材2を重ね合わせるようにすればよい。
【0043】
こうして得られる複合板に対しては、セラミックタイル調、天然石目調の柄のついたロール状または平板状の一対の雌雄プレス金型に挿入し、プレス成形する事で表面材1の表面にエンボス柄を形成する。こうして表面材1に凹凸模様が形成され、意匠性が付与されることになる。
【0044】
なお、サイディングパネル10が矩形状である場合、図2に示すように、表面材1の長手方向に沿った両縁部のうち一方の縁部5aが折り曲げられて雌型の収容部6を形成しており、他方の縁部5bが収容部6に嵌合可能な形状を有する雄型の縁部となっていることが好ましい。こうした構成の複数のサイディングパネル10を用意した場合、各サイディングパネル10の表面材1の長手方向に沿った両縁部5a,5bの雌型の収容部6に、別のサイディングパネル10の表面材1の雄型の縁部5bを収容することで、複数のサイディングパネル10同士を容易に連結することが可能となる。なお、図5に示すように、縁部5aの先端部11、縁部5bの先端部12はそれぞれロールフォーマー等の成形機で折り返して2枚重ねとすることが好ましい。この場合、収容部6と縁部5bとの結合が補強される。
【0045】
係る加工段階のサイディング材は、所要の長さに回転歯等のカッターで切断されるが、表面材1の短手方向に沿った両端部は、後述の実施例の様にプレス成形によりL字形状とすることが好ましい(図6参照)。このような構造とすると、複数のサイディングパネル10同士を短手方向側で連結する場合、L字形状の両端部13同士を重ね合わせることで、溝14を形成することが可能となる。このため、その溝14にシーリング材15等を充填することができ、サイディングパネル10間への水の侵入を防止できると共に、施工後のサイディングパネル10の意匠性を高めることができる。こうして、サイディングパネルとしての最終基本形状に加工される。
【0046】
本発明のサイディングパネルに窯業系外壁材と同様の意匠性を付与する方法として、前述したように、表面材1に深エンボス成形加工する方法があり、これにより表面材1の表面に複雑且つ立体的な形状が付与され、意匠性が満足されるが、意匠性を高めるもう一つの手段に表面化粧法がある。ここで、スプレーまたはロールコーター等の手段で単色を繰り返し塗装することによりセラミックタイル調、天然石目調に仕上げる従来の塗装方法では満足出来る意匠性を付与する事は困難である。そのため、本発明のサイディングパネルの意匠性を高める為には、サイディングパネルの表面材1の表面にランダム多色塗装を行うことが好ましい。ランダム多色塗装法としては、例えば大日本塗料(株)のRSコーティング(Random select coating)方式を採用する事が出来る。こうして深エンボス成形とランダム多色塗装を施すことにより、本発明のサイディングパネルをセラミックタイルや天然石調に近い外観に仕上げることが可能となる。
【0047】
本発明のサイディングパネルは、建設省告示の不燃材(JIS A1321の難燃一級)に該当するので、既存住宅の外壁リフォーム用パネルとして使用しても防火性能を損なうことがないため、防火地域での使用制限を受けない利点がある。又、サイディングパネルは無機質短繊維を含むフェルトの裏打材2で構成されている為、軽量で且つ切断加工性がよく、若干の凹凸(不陸)のある外壁面に取り付けても施工納まりが良く、リフォーム用サイディングパネルとしての適性がある。又、サイディングパネルは、住宅の壁に取り付けた後で、縦目地、横目地に石目調の外観を呈する。更には、サイディングパネルに対してコーキング材で目地シールし、更に、外壁の出隅、入隅のコーナー部分に窯業系のL地型部材を採用する事で、窯業系外壁材に匹敵する意匠性のある外壁に仕上げることが出来る。
【0048】
また、本発明のサイディングパネルは、通常矩形状となっており、長手方向の長さは通常3700〜4000mmであり、短手方向の長さは通常360〜380mmである。
【0049】
更に、新築住宅の外壁に本発明のサイディングパネルを使用する場合、外壁に断熱性、防耐火性、機械的強度が付与されなければならない。係る要求性能を満足させる為には、図3に示すように、軽量性、断熱性、防火性、機械的強度のある下地材8に本発明のサイディングパネル10を施工現場で積層し、下地板8とサイディングパネル10とを備える外壁パネル11とすることで達成する事が出来る。係る下地板8としては、例えばかさ比重0.5以下の鉱物質繊維板(具体例として サーマルセラミック社製のフェスコボード、日東紡績(株)社製のミネラボード)、かさ比重0.3以下の乾式ロックウールボード(具体例として、ロックウールインターナショナル社製のハードタイプ)、かさ比重1.0以下の木毛セメント板(具体例としてヘラクリート社製のヘラクリートM)、かさ比重0.5以下のロックウールボードを一対の木毛セメント板で挟持した施工時のくぎ打ちが容易なサンドイッチパネル(具体例としてヘラクリート社製のテクタランE)、かさ比重0.8以下の繊維混入珪酸カルシウム板(具体例として(株)ニチアス製のNAラックス)、かさ比重0.3以下の無機質充填フェノールフォーム板(具体例として日東紡績(株)製のファイヤロックDN)かさ比重1.0以下の石膏スラグセメント板や石膏板(具体例として 吉野石膏(株)製のタイガーガラスロック)等を挙げる事が出来る。係る下地材8を住宅の間柱、胴縁に下地板8として取り付け、その上に本発明のサイディングパネル10を積層仕上げする事で、新築住宅の外壁を構成する事が出来る。下地材8の厚さは、施工性をより向上させる観点からは、15〜50mm程度であることが好ましい。
【0050】
係る外壁パネル11は、下地材8の厚さを25mm程度とした場合、防火30分、準耐火45分に合格する。なお、内壁側に気密防湿シートが貼られている場合には、外壁パネル11のサイディングパネル10と下地材8との間に通気層を形成する外壁通気工法とする事で、内部結露を防止した耐久性に優れ、更に地域別省エネ基準に適合する断熱性能と窯業系外壁材に匹敵する意匠性に優れた外観に仕上げられる。
【0051】
又、本発明のサイディングパネルは、使用する表面材1にもよるが、製品単重20〜25kg/m2の窯業系外壁材と比較し、軽量で且つ加工性も良く、その結果として施工性に優れ、従来の施工費をコストダウンする利点もある。
【0052】
以下本発明のサイディングパネル及び外壁パネルの具体的な製造方法と性能、既存住宅のリフォーム、新築住宅の外壁の施工方法を実施例を以て説明する。
【0053】
【実施例】
(実施例1)
SiO240Wt%、CaO37Wt%、MgO5Wt%、Al2O313 Wt% その他微量成分5Wt%の組成からなる鉄鋼スラグ系ロックウール粒状綿を水に分散しパルパーで解繊切断し、続いてクリーナーで脱ショット処理した繊維長100〜500μmのロックウール93.7 Wt%、繊維長10mm、3デニールのエチレン・プロピレン複合繊維1Wt%、ガラス転移温度−14℃、45%濃度の熱自己架橋型アクリル樹脂エマルジョン5Wt%(固形分ベース)、15%濃度のポリアクリルアミド水溶液0.2Wt%(固形分ベース)、40%濃度のワックスエマルジョン0.1 Wt%(固形分ベース)からなる混合物をミキサーで分散し、約1Wt%濃度の水性スラリーを調整する。係るスラリーをロートフォーマー抄造機で抄造し吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて、目付20g/m2のポリエステル繊維の不織布をフェルトの表面に乗せ、5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して柔軟性のある厚さ4.0mmの無機質短繊維フェルトAを製造した。フェルトAの性能を表1に示す。なお、表1中、「引張強度」、「熱伝導率」、「防火性」、「吸音率」はそれぞれJIS L−1068、JIS A−1413法、JIS A−1321法、JISA−1409管内法によって測定評価したものである。
【0054】
【表1】
Figure 0004465802
【0055】
続いて、無機質短繊維フェルトAの表面に厚み0.3mm、伸び率20%のアルミ板を、ニトリルゴム接触剤(日立化成ポリマー(株)製ハイボン2020S)で貼り合せ、アルミ板・無機質短繊維フェルト複合板を製造し、続いてロールフォーマ成形機でアルミ板の両縁部を図2に示すような形状とした後、セラミックタイル調の柄にエンボス成形する上下凹凸金型一対からなるエンボスロールに挿入し、図4に示すように、エンボスの深さ0.3〜0.4mm、セラミックタイル柄を有する複合板に成形加工した。
【0056】
係る複合板の金属表面に大日本塗料(株)RSコーティング方式でランダム多色塗装し、更に艶消剤を噴霧し、セラミックタイル調の色相に仕上げた矩形状のサイディングパネルAを製作した。サイディングパネルAは、横4000mm、縦380mmであった。
【0057】
こうして得られたサイディングパネルAを、既存住宅の防火構造のモルタル仕上げの外壁に、横貼り方式でビス・接着剤併用で取付けリフォーム施工した。出隅・入隅のコーナー部材は、一般窯業系コーナー部材を用い、短手方向、長手方向の目地部は着色シリコーン樹脂系(準不燃タイプ)のコーキング材でシーリング施工した。リフォーム外壁は、不燃で防火性(防火30分)を有し、無機質短繊維フェルトの裏打材により、モルタル外壁の不陸調整も可能で、施工納り性も良好であった。又、窯業系外壁材と同様の意匠性を有する外観が得られた。
(実施例2)
SiO2 48Wt%、CaO1Wt%、MgO28 Wt%、Al2O3 19Wt%、その他微量成分4Wt%の組成からなるニッケルスラグ系ロックウール粒状綿を水に分散しパルパーで解繊切断し、続いてクリーナーで脱ショット処理をした繊維長100〜500μのロックウール83.7 Wt%、繊維長10mm、3デニールのエチレン・プロピレン複合繊維1Wt%、ガラス転移温度−14℃、45%濃度の熱自己架橋型アクリル樹脂エマルジョン5Wt%(固形ベース)、15%濃度のポリアクリルアミド水溶液0.2 Wt%(固形ベース)、40%濃度のワックスエマルジョン0.1 Wt%(固形分ベース)、平均粒径80μの加熱膨脹黒鉛10 Wt%からなる混合物をミキサーで分散し、約1Wt%濃度の水性スラリーを調整する。係るスラリーをロートフォーマー抄造機で抄造し、吸引脱水後150℃、20分乾燥しフェルトを製造する。続いて、目付20g/m2のポリエステル繊維の不織布をフェルトの表面に乗せ5mmピッチ間隔でニードルパンチ加工して厚さ4.0mmの無機質短繊維フェルトBを製造した。フェルトBの性能を表1に示す。
【0058】
続いて、無機質短繊維フェルトBの表面に厚み0.27mm、伸び率30%の亜鉛メッキ銅板を実施例1と同様に接着複合化し、実施例1と同様の方法でセラミックタイル調の色相に仕上げたサイディングパネルBを製作した。サイディングパネルBは、横4000mm、縦380mmであった。このサイディングパネルBは、更に定尺切断後、両端短手方向に深さ3mmのL字形状にプレス成形加工した。
【0059】
こうして得られたサイディングパネルBを、実施例1と同様に、既存住宅の防火構造のモルタル仕上げの外壁に、横貼り方式でビス・接着剤併用で取付けリフォーム施工した。出隅・入隅のコーナー部材は、一般窯業系コーナー部材を用い、短手方向、長手方向の目地部は着色シリコーン樹脂系(準不燃タイプ)のコーキング材でシーリング施工した。
【0060】
リフォーム外壁は、不燃で防火性(防火30分)を有し、無機質短繊維フェルトの裏打材により、モルタル外壁の不陸調整も可能で、施工納り性も良好であった。又、窯業系外壁材と同様の意匠性を有する外観が得られた。
【0061】
又、サイディングパネルBに下地材として
▲1▼厚み40mmの鉱物質繊維板(日東紡績(株)製不燃ミネラボード)
▲2▼厚み35mmのフェノールフォームボード(日東紡績(株)製、ファイヤロックDN)
▲3▼厚み50mmの木毛・ロックウールボードサンドイッチパネル(ヘラクリート社製、テクタランSD)
を積層して外壁パネルとし、この外壁パネルについて、JISA 1304に準拠して耐火試験を実施した。その結果、▲1▼、▲2▼、▲3▼を有する試験体パネルのいずれも下地材の裏面温度260℃以下で耐火1時間に合格した。
【0062】
又上記サイディングパネルBを、新築住宅の間柱、胴縁に取り付けた上記▲1▼、▲2▼、▲3▼の下地材の上に取付け施工した。出隅入隅のコーナー部材は、一般窯業系コーナー部材を用い、目地部は石目調に着色した準不燃グレードのシリコーン樹脂系のコーキング材でシーリング施工した。施工された外壁構造は、意匠性、防音性、断熱性及び防火性を満足するものであった。特に、木毛・ロックウールボードサンドイッチパネルを下地材として使用した場合、木毛板、ロックウールの通気性により外断熱通気構法としての工法にも適合し、省エネ・耐久性に優れた外壁構造とする事も可能となった。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明のサイディングパネルによれば、既存住宅の外壁リフォーム用パネルとして使用した場合、軽量で加工性も良く、更には外壁の不陸にもフィットするので施工性が向上し、ひいては施工費のコストダウンを図ることができる。又、本発明のサイディングパネルは、それ自身が不燃である為、防火地域の既存住宅の外壁リフォームも何ら法規制を受けることなく使用することができる。又、本発明のサイディングパネルは、断熱性及び防水性を有し、更には、表面材をエンボス加工して表面材に凹凸を形成してもフェルトが凸部の裏側に入り込むため、サイディングパネルを薄くすることが可能となる。
【0064】
又、本発明の外壁パネルは、新築住宅の外壁に使用した場合、防火性、断熱性、強度のある軽量ボードを下地材に使用し、その上に本発明のサイディングパネルを取付け施工する事により、機械的強度、防耐火性及び地域別省エネ基準に適合した断熱性能を付与する事が出来、新築住宅の外壁としての展開も可能となるとの利点が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のサイディングパネルの一実施形態を示す断面図である。
【図2】図1のサイディングパネルの長手方向に沿った両縁部の構造を示す斜視図である。
【図3】本発明の外壁パネルの一実施形態を示す断面図である。
【図4】表面材にランダム多色塗装したサイディングパネルを示す正面図である。
【図5】図1のサイディングパネルの長手方向に沿った両縁部の構造を示す拡大斜視図である。
【図6】サイディングパネルの短手方向に沿った両端部同士を連結した状態を示す部分断面図である。
【符号の説明】
1…表面材、2…裏打材、3…凹部、4…凸部、5a,5b…縁部、6…収容部、7…雄型の縁部、8…下地板、10…サイディングパネル、11…外壁パネル。

Claims (6)

  1. 主として金属を含有する表面材と、ロックウールを主として含むフェルトからなる裏打材とを備える複合板にエンボス成形加工によって前記表面材の表面に凹凸模様を形成してなるサイディングパネルにおいて、
    前記複合板における前記表面材が0.15〜0.5mmの厚さを有する亜鉛メッキ鋼、樹脂被覆鋼、ステンレス鋼、アルミニウム、アルミニウム合金及び銅からなる群より選ばれる少なくとも1種であり、
    前記裏打材を構成するフェルトが、アタパルジャイト、ワラストナイト及びセピオライトからなる群より選ばれる少なくとも1種の天然無機質短繊維と、ロックウールと、を含有し、前記フェルトのかさ比重が0.2〜0.6であり、且つ前記裏打材が2〜10mmの厚さを有し、前記フェルト中の前記ロックウールの配合率は80〜97Wt%であり、前記フェルト中の前記天然無機質短繊維の配合率は10Wt%以下であることを特徴とするサイディングパネル。
  2. 前記表面材の表面にランダム多色塗装してなることを特徴とする請求項1に記載のサイディングパネル。
  3. 前記表面材の長手方向に沿った両縁部のうち一方の縁部が折り曲げられて雌型の収容部を形成しており、他方の縁部が前記収容部に嵌合可能な形状を有する雄型の縁部となっていることを特徴とする請求項1又は2に記載のサイディングパネル。
  4. 前記表面材の短手方向に沿った両端部がそれぞれL字形状となっていることを特徴とする請求項に記載のサイディングパネル。
  5. 前記表面材と前記裏打材とが接着剤によって剥離可能に接合されていることを特徴とする請求項1〜のいずれか一項に記載のサイディングパネル。
  6. 請求項1〜のいずれか一項に記載のサイディングパネルと、
    前記サイディングパネルの前記裏打材に取り付けられる下地材とを備え、
    前記下地材が、かさ比重0.5以下の鉱物質繊維板、かさ比重0.3以下の乾式ロックウールボード、かさ比重1.0以下の木毛セメント板、かさ比重0.5以下の木毛セメント板サンドイッチパネル、かさ比重0.8以下の繊維混入珪酸カルシウム板、かさ比重0.3以下の無機質充填フェノールフォーム板、かさ比重1.0以下の石膏スラグセメント板及び石膏板からなる群より選ばれることを特徴とする外壁パネル。
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