JP4464110B2 - エレベータの制御装置 - Google Patents
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また、運転モードの決定に関しては、複数の運転モードの選択条件が成立した場合、優先関係を整理・考慮して設計しないと、誤動作の原因となり、又仕様が理解し難くなる。
例えば、手動運転、非常呼戻し運転、非常停止スイッチ停止運転では、2者間の優先関係は、以下の通りであり、一見ジャンケンの様に3者間の優先関係が無い様に思われる。
手動運転>非常呼戻し運転・・・保守・点検時の手動運転は、他の自動運転モードよりも優先する。
非常呼戻し運転>非常停止スイッチ停止運転・・・日本エレベータ協会標準:JEAS−D401の3.2.(3)による。
非常停止スイッチ運転>手動運転・・・非常停止スイッチ操作時は、手動運転による起動も阻止する。
ここで、3者の選択条件が同時に成立した場合は、以下の理由により、非常停止スイッチ停止運転を選択する。
その理由は、保守・点検時等で、保守員が手動運転時にて起動阻止の為、非常停止スイッチを操作していた時、火災が発生して非常呼戻しスイッチが操作された場合、非常呼戻し運転の条件により非常停止スイッチを無効としてしまうと、保守員が意図せずエレベータが避難階に走行することになり、危険であるからである。
図1はこの発明の実施の形態1を示すエレベータの制御装置のブロック構成図である。図において、1はこの発明のエレベータ制御装置、2は運転モード決定条件制御手段で、運転モード選択入力信号を決定する為の条件を作成する手段である。この運転モード決定条件制御手段2は、電源モード決定条件と、運転モード決定条件に大別される。この電源モードと運転モードを決定する条件は外部から入力される種々の電源情報、運転情報や、エレベータ内部の状態情報(図示せず)から制御する。
(1)電源モード・・・エレベータに供給される電源を特定するモード。例えば、通常電源モード、非常電源モード(停電時等にビルの自家発電源から供給される電源)、バッテリ電源モード(停電時にバッテリから供給される非常用の電源)が上げられる。
電力によりかごを昇降させるエレベータは、当然ながら、供給されている電源により、決定する運転モードが制限される為、この電源モードを決定することにより、選択可能な運転モードの絞り込みを行う。即ち、
・通常電源モードの時は、ほぼ全ての運転モードが選択可能(停電時帰着運転、バッテリ救出運転は除く)である(図3参照)。
・非常電源モードの時は、通常電源モードよりも選択可能な運転モードが制限される(図4参照。全自動運転、休止運転、乗場異常停止運転は選択せず、停電時帰着運転が選択可能となる。)。
・バッテリ電源モードの時は、バッテリの許容範囲内でのみかごを起動する為、選択可能な運転モードが更に制限される(図5参照。手動運転、バッテリ救出運転、安全装置停止運転、非常停止スイッチ停止運転、高ガル地震管制運転、低ガル地震管制運転)。
後述の運転モード決定手段4により条件成立している電源モード決定条件のうち、最優先の電源モードを1つ決定する。
(2)電源モード決定条件・・・前記電源モードを決定する為の条件。
(a)通常電源モード決定条件・・・以下の非常(停電時等)電源モード決定条件が何れも成立していない時に成立する。そうでない時が不成立。
(b)非常電源モード決定条件・・・ビルから支給される非常電源接点がONしている時、非常電源モード決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(c)バッテリ電源モード決定条件・・・バッテリ電源接点がONしている時、バッテリ電源モード決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(3)運転モード・・・エレベータの運転(一連の動作)を特定するモード。この発明では、かご動作制御(方向設定、起動、停止)、ドア動作制御(開閉)の両方が異なる一連の動作とする。
(4)運転モード決定条件・・・前記運転モードを決定する為の条件。図3中の運転モードの決定条件は以下の通りとなる。
(a)手動運転・・・かご内、かご上、制御盤のうち、何れかの自動/手動切換えスイッチが「手動」の時、手動運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(b)消防夫運転・・・かご内の消防夫運転スイッチがONの時、消防夫運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(c)非常呼戻し運転・・・避難階乗場の非常呼戻しスイッチがONの時、非常呼戻し運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(d)火災管制運転・・・避難階乗場や監視盤の火災管制運転スイッチがON、又はビルの火災報知器接点がONの時、火災管制運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(e)運転手付運転・・・かご内の運転手付運転スイッチがONの時、運転手付運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(f)休止運転・・・特定階乗場や監視盤の休止運転スイッチがONの時、休止運転決定条件が成立する。
(g)全自動運転・・・上記(a)−(f)の運転モードの決定条件が何れも成立していない時、全自動運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(h)安全装置停止運転・・・安全装置(調速器等)が動作している時、安全装置停止運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(i)非常停止スイッチ停止運転・・・かご内非常停止スイッチがONの時、非常停止スイッチ停止運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(j)高ガル地震管制運転・・・高ガル地震感知器がONの時、高ガル地震管制運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(k)低ガル地震管制運転・・・低ガル地震感知器がONの時、低ガル地震管制運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(l)乗場異常停止運転・・・乗場装置(乗場のUP/DN釦、階床表示等のインジケータ等)を制御するマイコンの異常が検出された時、乗場異常停止運転決定条件が成立する。そうでない時が不成立。
(優先順位1)電源立上がり時待機モード・・・供給される電源に関わらず、電源立上がり後の所定時間は、電源立上がり時の過渡期として待機する為、本モードとする。電源モードが本モードの時は、運転モードは「運転不能モード」となり、呼び制御、かご動作制御、ドア制御は全て無効とする。
(優先順位2)バッテリ電源モード
(優先順位3)非常電源モード
(優先順位4)通常電源モード
運転モードは、入荷をある階床から別の階床へ移動させることを主目的とするエレベータの性質上、以下の様に大別すると設計・仕様理解の上で有効である。即ち、前記移動が可能な状態か否か、更に移動可能な状態であれば、どの様に移動させる状況(運転)なのか、が運転モードの優先関係であり、以下の様に運転モードを大別する様にした。
(1)起動モード・・・ある階床から別の階床へのかご移動が可能な運転モード。
(a)手動運転・・・保守・据付時の手動低速による運転。
(b)消防夫運転・・・火災時の消火活動用の運転。かご呼びのみに応答し、戸開閉釦のみで戸開閉する。
(c)非常呼戻し運転・・・火災時に、避難階乗場のスイッチによりかごを呼戻し、消防夫運転を行う為の運転。全ての呼びは無効。
(d)火災管制運転・・・火災時に、避難階乗場のスイッチやビルの火災報知器接点により、かごを避難階に戻して乗客を避難させた後、戸閉後休止する。全ての呼びは無効。
(e)運転手付運転・・・かご・乗場呼びは有効で、運転手による戸閉釦押し続けで戸閉し、離すと戸開する。
(f)休止運転・・・特定階乗場又は監視盤のスイッチにより、かごを特定階に戻して戸閉後休止する。かご呼びは有効であるが、乗場呼びは無効。
(g)全自動運転・・・かご呼び・乗場呼びは有効で、ドア動作も自動の全てが自動で行われる運転。通常時はこの運転モードが選択されている。
(h)停電時帰着運転・・・ビルから供給される非常電源により、自動又は手動で指定階まで帰着し、休止する。
(2)停止モード・・・ある階床から別の階床へのかご移動が不能な運転モード
(i)安全装置停止運転・・・全ての呼び登録、かご動作(方向設定、起動)、ドア動作(開閉)を無効とする。
(j)非常停止スイッチ停止運転・・・全ての呼び登録、かご動作が無効。開閉可能位置であれば戸開し待機する。
(k)高ガル地震管制運転・・・全ての呼び登録、かご動作が無効。戸開後所定時間すると戸閉し、休止する。
(l)低ガル地震管制運転・・・上記高ガル地震管制運転と同様。
(m)乗場異常停止運転・・・上記高ガル地震管制運転と同様。
(n)バッテリ救出運転・・・バッテリ電源により、階間で停止している場合は最寄階まで低速走行させ、戸開して乗客を救出した後、所定時間後に戸閉して休止する。
(優先順位1)手動運転
(優先順位2)消防夫運転
(優先順位3)非常呼戻し運転
(優先順位4)火災管制運転
(優先順位5)運転手付運転
(優先順位6)休止運転
(優先順位7)全自動運転
7は運転パターン決定手段であり、呼び登録制御、かご動作制御、ドア制御の運転パターンを決定し、エレベータの動作形態を制御する。
先ず、ステップS1において、運転モード決定条件制御手段2により、電源モード決定条件及び運転モード決定条件の判定・作成を行う。次にステップS2で電源モード決定手段3により、最優先の電源モードを1つ決定する。その選択方法は電源モード決定手段3にて説明したとおりである。更に、ステップS3では、ステップS2で決定した電源モードに基づき、運転モード決定手段4中の起動モード決定手段5により、最優先の起動モードを1つ選択する。その選択方法は起動モード決定手段5にて説明したとおりである。ステップS4において、上記ステップS3で決定した起動モードに基づき、運転モード決定手段4中の停止モード有無判定手段6により、優先する停止モードの有無を判定する。ステップS5で優先する停止モードの条件が成立しているかどうか判断し、成立していなければステップS6に進み運転モードは起動モードとなり、成立していればステップS7に進み運転モードは停止モードとなる。なお、詳細は図3〜図5にて説明する。
電源モード決定手段3により、通常電源モードが決定されると、運転モード決定手段4により、図3のテーブルを用いて運転モードを決定する。
テーブルの縦軸は、起動モード決定手段5により決定された起動モードが優先順位の高い順に上から下に並んでいる。また、横軸は停止モードの決定条件が優先順位の高い順に左から右に並んでいる。縦軸の決定した起動モードに対し、左から右に停止モード決定条件が成立した場合の優先関係が「↓」又は「→」にて示されている。「↓」は決定条件が成立している停止モードが優先することを意味し、該当停止モード決定条件列の最下段に移動し、該当最下段に記載された停止モードが運転モードとして決定される。「→」は起動モードが優先することを意味し、1つ右横の停止モード決定条件との優先関係を判定する。もし優先する停止モード決定条件がない場合は、最右列1つ手前の「条件なし」まで進み、「→」により最右列に記載された起動モードが運転モードとして決定される。
ここで、起動モードが手動運転の場合を例として説明する。
縦軸の手動運転の列に注目し、右横に移動しながら優先する停止モードの有無を判定していく。最初の列は「安全装置動作」で、決定条件が成立していれば「↓」により、該当最下段の「安全装置停止運転」が運転モードとなる。成立していなければ次の「非常停止スイッチ動作」に進み、決定条件が成立していれば「↓」により該当最下段の「非常停止スイッチ停止運転」が運転モードとなる。成立していなければ次の「高ガル地震感知器動作」に進み、ここでは「→」により決定条件の成立如何に関わらず、次の決定条件に進む。(中略)このまま「乗場装置用マイコン故障」と「条件なし」の列は「→」の為、手動運転が運転モードとなる。
起動モードが他のモードであった場合も同様の判定方法で運転モードを決定する。
従って、例えば、手動運転、非常呼戻し運転、非常停止スイッチ停止運転が重複した時は、非常停止スイッチ停止運転に決定することになる。
参照方法は、図3の通常電源モードと同様である。起動モードは、全自動運転は実施できず、停電時帰着運転が実施可能となる。
参照方法は、図3の通常電源モード、図4の非常電源モードと同様である。ただし、前記通常電源モード、非常電源モードと比較して、実施可能な運転モード数が大幅に制限される。バッテリ電源救出運転がバッテリ電源モード特有の運転として実施可能となる。
2 運転モード決定条件制御手段
3 電源モード決定手段
4 運転モード決定手段
5 起動モード決定手段
6 停止モード有無判定手段
7 運転パターン決定手段
Claims (1)
- 複数の運転モードの中から、運転モード選択信号により、一つの運転モードを選択するエレベータの制御装置において、
外部から入力される種々の電源情報、運転情報から制御され、電源モード決定条件と運転モード決定条件を作成する運転モード決定条件制御手段と、
前記運転モード決定条件制御手段にて制御される電源モード決定条件のうち、バッテリ電源モード、非常電源モード、通常電源モード等の中から最優先の電源モードを一つ決定する電源モード決定手段と、
エレベータの起動モードのうち、手動運転、火災管制運転、運転手付運転、全自動運転等の中から優先順位を決定する起動モード決定手段と、
前記起動モード決定手段にて決定した起動モードに対して、優先する停止モードの決定条件が成立しているかどうか判定し、成立している場合には予め決められた優先順位に従って当該停止モードを運転モードに設定し、そうでなければ起動モードを運転モードに設定する停止モード有無判定手段とを備え、
前記電源モード決定手段、起動モード決定手段、及び停止モード有無判定手段の3者の相関関係から最優先の運転モードを一つ選択することを特徴とするエレベータの制御装置。
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