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JP4459428B2 - 操作量検出装置 - Google Patents

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JP4459428B2
JP4459428B2 JP2000376924A JP2000376924A JP4459428B2 JP 4459428 B2 JP4459428 B2 JP 4459428B2 JP 2000376924 A JP2000376924 A JP 2000376924A JP 2000376924 A JP2000376924 A JP 2000376924A JP 4459428 B2 JP4459428 B2 JP 4459428B2
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伸光 谷口
和廣 岡田
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は操作量検出装置に関し、特に、ゲーム用コントローラや小型電子機器の操作入力を検出するのに適した操作量検出装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ゲーム用コントローラや小型電子機器の操作入力を検出し、これを電気信号として出力する操作量検出装置として、これまでに種々の原理に基づくものが利用されている。これらの操作量検出装置の中でも、静電容量素子型の力検出装置を利用したタイプのものは、製造コストが低く、大量生産に向くという利点を有するため、今後も様々な機器に組み込まれてゆくものと予想される。静電容量型の力検出装置の原型は、たとえば、特開平5−346356号公報にその基本構造が開示されており、特開平10−132668号公報には量産に適した製造プロセスが示されている。また、特開2000−146729号公報にはテスト機能を付加した力検出装置の構成が示されており、特開2000−249609号公報には、他軸干渉を排除した多次元力検出装置が開示されている。いずれの力検出装置も、作用した外力によって容量素子を構成する一対の電極間隔を変化させ、容量素子の静電容量値の変化を電気信号として取り出すことにより、外力の向きと大きさを検出するという基本原理に基づいている。実用上は、温度などの環境要素の影響を排除するために、ある特定方向の力が作用したときに、一方の電極間隔は広がり、他方の電極間隔は狭くなるような互いに逆の動作を行う2組の容量素子を用意し、両容量素子の静電容量値の差分に基づいて検出値を得るタイプのものが広く普及している。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述したように、静電容量型の力検出装置は、容量素子の静電容量値に基づいて電気信号を得る構造を有するため、容量素子を構成する一対の電極の間隔に変化が生じると、何らかの検出信号が得られることになる。このため、予期せぬ機械的な変位要素に基づいて誤検出信号が出力される可能性がある。たとえば、個々のロットごとの個体差によって、各容量素子の電極間隔の厳密な寸法は異なるため、零点調節が不十分であると、検出対象となる力が全く作用していないにもかかわらず、わずかな検出信号が出力されてしまうことになる。あるいは、出荷当初は零点調節されていても、経年変化により零点に狂いが生じる可能性もある。また、機械的構造部分にゴムなどの弾性部材を利用していると、この弾性部材の有する機械的ヒステリシス特性により、検出対象となる力が無くなったにもかかわらず、しばらくの間、検出信号が出力されてしまうような現象も起こり得る。
【0004】
このような現象は、力検出装置を純然たる測定装置として利用する場合には、測定値の解析時に何らかの対応が可能である。しかしながら、ゲーム用コントローラや小型電子機器などの操作入力を検出する操作量検出装置の用途に利用する場合、操作者の意図どおりの操作量検出を行うことができなくなるため、良好な操作性、応答性を確保することができなくなる。すなわち、操作者が何ら操作入力を行っていないにもかかわらず、誤った操作入力が検出されてしまったり、あるいは、操作者が何らかの操作入力を行った後、既に指を離しているにもかかわらず、操作入力が継続したままの状態になったりする現象が生じるため、入力装置としての操作性や応答性が低下することになる。また、操作入力を検出する装置としては、本来、不感帯領域(いわゆる「遊び」の領域)を設定しておき、所定のしきい値以下の操作量に対しては、検出信号が出力されないようにするのが好ましい。しかしながら、従来の静電容量型の力検出装置では、このような不感帯領域を設定することが困難である。もちろん、出力信号に対して何らかの演算処理を施すことにより、柔軟な操作量検出が可能になるようにすることも可能ではあるが、そのような演算処理回路を付加することは、コストの増加を招くことになり、低コストで量産が可能であるという静電容量型の力検出装置のメリットを損なうことになる。
【0005】
そこで本発明は、操作入力の検出に適した低コストの静電容量型の操作量検出装置を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
(1) 本発明の第1の態様は、XYZ三次元座標系におけるX軸方向への操作量を示すX軸操作入力を検出するための操作量検出装置において、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
この基板上方のZ軸を中心とした位置に配置された作用部と、この作用部を周囲から支持し可撓性をもった可撓部と、この可撓部の周囲部分を基板に固定する固定部と、を有し、作用部にX軸操作入力が加えられたときに作用部がX軸に対して傾斜するような変位を生じる起歪体と、
基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
基板上面のX軸正方向位置の第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
基板上面のX軸負方向位置の第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
第1の内側電極、第1の外側電極、第2の内側電極、第2の外側電極のそれぞれに対向するように、起歪体下面の変位を生じる位置に形成され、作用部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第1の外側電極に接触し、作用部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第2の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
この変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、第1の内側電極と変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第2の内側電極と変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第1の静電容量値と第2の静電容量値との差に基づいてX軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
を設け、変位電極がいずれの外側電極とも接触するに至らない程度の小さな操作入力に対しては、検出信号が出力されない不感帯が設定されるようにしたものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、XYZ三次元座標系におけるX軸方向への操作量を示すX軸操作入力とY軸方向への操作量を示すY軸操作入力とを検出するための操作量検出装置において、
上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
この基板上方のZ軸を中心とした位置に配置された作用部と、この作用部を周囲から支持し可撓性をもった可撓部と、この可撓部の周囲部分を基板に固定する固定部と、を有し、作用部にX軸操作入力が加えられたときに作用部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、作用部にY軸操作入力が加えられたときに作用部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる起歪体と、
基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
基板上面のX軸正方向位置の第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
基板上面のX軸負方向位置の第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
基板上面のY軸正方向位置の第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
基板上面のY軸負方向位置の第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
第1の内側電極、第1の外側電極、第2の内側電極、第2の外側電極、第3の内側電極、第3の外側電極、第4の内側電極、第4の外側電極のそれぞれに対向するように、起歪体下面の変位を生じる位置に形成され、作用部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第1の外側電極に接触し、作用部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第2の外側電極に接触し、作用部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第3の外側電極に接触し、作用部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
この変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、第1の内側電極と変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第2の内側電極と変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第3の内側電極と変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第4の内側電極と変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、変位電極に接触している外側電極と第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、第1の静電容量値と第2の静電容量値との差に基づいてX軸操作入力についての検出値を出力し、第3の静電容量値と第4の静電容量値との差に基づいてY軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
を設け、変位電極がいずれの外側電極とも接触するに至らない程度の小さな操作入力に対しては、検出信号が出力されない不感帯が設定されるようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1または第2の態様に係る操作量検出装置において、
基板上の原点近傍位置に、Z軸方向成分を有する押圧力に基づいて動作するスイッチを更に設け、この押圧力からなるスイッチ入力が作用部に加えられたときに、この作用部の変位に基づいてスイッチが動作するようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る操作量検出装置において、
作用部から下方に突出する押圧棒を設け、この押圧棒を介して伝達される押圧力に基づいてスイッチを動作させるようにしたものである。
【0010】
(5) 本発明の第5の態様は、上述の第4の態様に係る操作量検出装置において、
作用部にX軸操作入力もしくはY軸操作入力が加えられたときに、基板上のスイッチに接触した押圧棒の先端部を支点として、作用部のX軸もしくはY軸に対する傾斜が生じるように構成したものである。
【0011】
(6) 本発明の第6の態様は、上述の第1〜第5の態様に係る操作量検出装置において、
基板上面に、物理的に単一の共通外側電極を配置し、すべての外側電極を、それぞれ共通外側電極の一部によって構成するようにしたものである。
【0012】
(7) 本発明の第7の態様は、上述の第6の態様に係る操作量検出装置において、
すべての内側電極の周囲を取り囲むように配置された単一の環状電極によって共通外側電極を構成するようにしたものである。
【0013】
(8) 本発明の第8の態様は、上述の第1〜第7の態様に係る操作量検出装置において、
内側電極と変位電極とが電気的に接触しないように、すべての内側電極の上面に絶縁膜を形成するようにしたものである。
【0014】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第1〜第8の態様に係る操作量検出装置において、
起歪体を弾性材料によって構成し、作用部の上面に剛性材料からなる操作体を配置し、この操作体に加えられた力を作用部を介して可撓部へ伝達できるようにしたものである。
【0015】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第1〜第9の態様に係る操作量検出装置において、
可撓部の厚みを作用部の厚みに比べて薄くすることにより、可撓部に可撓性をもたせる構造にしたものである。
【0016】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第1〜第9の態様に係る操作量検出装置において、
可撓部に溝を形成することにより可撓性をもたせる構造にしたものである。
【0017】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第1〜第11の態様に係る操作量検出装置において、
変位電極の変位の自由度が作用部もしくは操作体によって制限を受けないように、加えられた力を可撓部へと伝達する機能を果たす部分の外周にくびれ部を形成するようにしたものである。
【0018】
(13) 本発明の第13の態様は、上述の第1〜第12の態様に係る操作量検出装置において、
変位電極を弾性材料によって構成し、外側電極もしくは内側電極上の絶縁膜との接触により弾性変形が生じるようにしたものである。
【0019】
(14) 本発明の第14の態様は、上述の第13の態様に係る操作量検出装置において、
変位電極を導電性ゴムまたは導電性エラストマによって構成するようにしたものである。
【0020】
(15) 本発明の第15の態様は、上述の第13の態様に係る操作量検出装置において、
変位電極を非導電性ゴムまたは非導電性エラストマに導電性インクまたは導電性塗料を塗布してなる構造体によって構成するようにしたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基づいて説明する。
§1.本発明の基本的な実施形態の構造
【0022】
図1は、本発明の基本的な実施形態に係る操作量検出装置の側断面図である。この操作量検出装置は、XYZ三次元座標系におけるX軸方向への操作量を示すX軸操作入力と、Y軸方向への操作量を示すY軸操作入力と、Z軸方向成分を有する押圧力からなるスイッチ入力と、を検出する機能を有する。ここで、X軸操作入力は、X軸方向に関する符号と操作量とを示す操作入力であり、X軸負方向の最大値から0を経てX軸正方向の最大値までX軸に沿って変化する操作量を示す入力であり、Y軸操作入力は、Y軸方向に関する符号と操作量とを示す操作入力であり、Y軸負方向の最大値から0を経てY軸正方向の最大値までY軸に沿って変化する操作量を示す入力である。実際には、操作者からの操作入力のX軸方向成分とY軸方向成分とが別個独立して検出されることになる。一方、スイッチ入力は、この実施形態の場合、ON/OFFのいずれかの状態を示す操作入力であり、図示の実施形態の場合、定常状態ではOFF状態を維持しているが、操作者がZ軸負方向への押圧力を加えることによりON状態に切り替わる。
【0023】
この操作量検出装置の基本的な構成要素は、基板10および起歪体20、ならびに複数の電極群である。この実施形態では、操作性を向上させるため、起歪体20の上部にキャップ30を被せるようにしている。また、起歪体20の周囲部分は固定部材40によって、基板10に固定されている。
【0024】
基板10は、平板状の基本構成要素であり、この実施形態の場合、一般的な回路実装用のプリント回路基板を用いている。このように基板10としてプリント回路基板を用いると、電極や配線を基板10上に形成することが容易になり、量産に適した操作量検出装置を実現することができる。ここでは、説明の便宜上、この基板10の上面の中心部に座標系の原点Oを定義し、図示のとおり、基板10の上面がXY平面に含まれるようなXYZ三次元座標系を定義する。図2は、この基板10の上面図である。基板10の中心、すなわち、原点Oの位置には、薄型スイッチSWが配置されている。この薄型スイッチSWは、上方から押し込むような力(Z軸方向成分を有する押圧力)に基づいて動作するスイッチであり、定常状態ではOFF状態を維持しているが、押圧力が加わるとON状態に変化する。薄型スイッチSWの具体的な構造は、どのようなものを採用してもかまわないが、この実施形態では、金属ドーム51の変形を利用して動作する機械式スイッチ(構造については後述する)を用いている。
【0025】
この薄型スイッチSWの周囲には、4枚の内側電極E11〜E14が形成されており、更にその外側には、円環状の単一の共通外側電極E10が形成されている。ここで、第1の内側電極E11はX軸正方向位置に配置され、第2の内側電極E12はX軸負方向位置に配置され、第3の内側電極E13はY軸正方向位置に配置され、第4の内側電極E14はY軸負方向位置に配置されている。各内側電極はいずれも形状および大きさが同一となっており、原点Oから同一距離だけ離れた位置に、X軸もしくはY軸に関して対称となるように配置されている。これは、X軸操作入力とY軸操作入力との感度を等しくし、かつ、両者の干渉を避けるための配慮である。一方、共通外側電極E10は、各内側電極E11〜E14の周囲を取り囲むように配置された単一の円環状の電極であり、その中心は原点Oに一致する。この共通外側電極E10の更に外側に破線で描かれた円は、図1に示されている起歪体20の外周輪郭位置を示している。
【0026】
もっとも、本発明の原理上は、共通外側電極E10は必ずしも物理的に単一の環状電極によって構成する必要はない。すなわち、原理的には、第1の内側電極E11より外側に配置された第1の外側電極と、第2の内側電極E12より外側に配置された第2の外側電極と、第3の内側電極E13より外側に配置された第3の外側電極と、第4の内側電極E14より外側に配置された第4の外側電極と、を基板上に配置すればよい。ただ、後述するように、本発明に用いる検出回路では、これら各外側電極は電気的に等電位になるように接続されるので、実用上は、物理的に独立した4枚の外側電極をそれぞれ配置するよりも、図示のとおり、物理的に単一の共通外側電極E10を配置するのが好ましい。
【0027】
図1の側断面図は、この操作量検出装置をXZ平面で切断した断面図に相当する。ただ、図が繁雑になるのを避けるため、この図1(および後述する各側断面図)では、基板10上に形成された各電極については、その断面部分のみを示し、断面より奥に見える部分についての図示は省略している。また、4枚の内側電極E11〜E14の上面には、それぞれ絶縁膜Rが形成されている(図2の上面図においては、絶縁膜Rの図示は省略されている)。この絶縁膜Rは、ある程度の抵抗をもった一般的なレジスト層によって構成すればよい。
【0028】
一方、起歪体20にキャップ30を被せてなる構造体の上面を図3に示し、下面を図4に示す。図3に示すように、この構造体は円形をなし、実際には、図2の破線位置に配置された状態において、固定部材40によって基板10側に固定される。図1に示されているとおり、起歪体20は、中心に位置する作用部21と、その周囲に位置する可撓部22と、更にその周囲に位置する固定部23と、によって構成されている。作用部21は、基板10の上方のZ軸を中心とした位置に配置された円柱状の部分であり、この作用部21の上面および側面にキャップ30が嵌め込まれている。可撓部22は、この作用部21を周囲から支持する肉薄のワッシャ状の部分であり、十分な可撓性を有している。固定部23は、この可撓部22の周囲部分を基板10に固定するためのものであり、円環状の形態をなす部分である。
【0029】
図4の下面図に示されているとおり、起歪体20の下面(作用部21の外側部分および可撓部22の内側部分)には、ワッシャ状の変位電極E20が配置されている。この変位電極E20は、図1の側断面図に示されているとおり、各内側電極E11〜E14と、共通外側電極E10とのそれぞれに対向するような形状および大きさを有しており、起歪体20下面の変位を生じる位置に形成されている。その結果、第1の内側電極E11と変位電極E20の一部分とによって第1の容量素子C11が形成され、第2の内側電極E12と変位電極E20の一部分とによって第2の容量素子C12が形成され、第3の内側電極E13と変位電極E20の一部分とによって第3の容量素子C13が形成され、第4の内側電極E14と変位電極E20の一部分とによって第4の容量素子C14が形成されることになる。各内側電極E11〜E14の上面に形成された絶縁膜Rは、各内側電極と変位電極E20とが電気的に接触しないようにする機能を果たしている。
【0030】
キャップ30は、その本体として機能する操作体31と、この操作体31の中心位置から下方へと伸びた押圧棒32と、によって構成されており、作用部21に接着されている。作用部21の中心位置(Z軸に沿った部分)には、押圧棒32を挿通するための貫通孔が形成されており、押圧棒32は作用部21の下面から更に下方へと突出している。図4の下面図には、この押圧棒32が、変位電極E20の中心部を突き抜けている状態が明瞭に示されている。
【0031】
この実施形態では、起歪体20を弾性材料(具体的には、たとえば、ゴム)によって構成し、キャップ30を剛性材料(具体的には、たとえば、プラスチック)によって構成している。起歪体20は、少なくとも可撓部22の部分が力検出に必要な可撓性を有していればよいので、全体を弾性材料で構成する必要はないが、製造コストを低減させる上では、この実施形態のように、起歪体20全体をゴムなどの弾性材料で構成し、可撓部22の部分の厚みを作用部21の部分の厚みに比べて薄くすることにより、必要な可撓性を確保できるような構造にするのが好ましい。また、原理的には、剛性材料からなるキャップ30は必ずしも必要ではないが、実用上は、起歪体20を弾性材料によって構成した場合、剛性材料からなるキャップ30を設けるのが好ましい。操作者は剛性材料からなる操作体31の部分を指で操作することになるので、より確実な操作感が得られることになる。操作体31に加えられた力は、作用部21を介して可撓部22へと伝達される。
【0032】
図3におけるキャップ30上に示されたX印のマークP0,P11〜P14は、操作者からの操作入力が加わる位置の一例を示したものである。操作者は、位置P0に指を置いて押し込むような操作を加えればスイッチ入力を行うことができ、位置P11に指を置いて押し込むような操作を加えればX軸正方向への操作入力を行うことができ、位置P12に指を置いて押し込むような操作を加えればX軸負方向への操作入力を行うことができ、位置P13に指を置いて押し込むような操作を加えればY軸正方向への操作入力を行うことができ、位置P14に指を置いて押し込むような操作を加えればY軸負方向への操作入力を行うことができる。ここで、位置P0に指を置いたスイッチ入力は、薄型スイッチSWをON状態とする入力になり(いわゆるクリック動作)、位置P11〜P14に指を置いた操作入力は、所定方向への所定の操作量の入力になる(より大きな力を加えれば、より大きな操作量が入力される)。もちろん、操作者が指で操作する位置は、図3のX印の位置に限定されるわけではなく、キャップ30の任意の位置に操作力を加えることが可能である。たとえば、位置P11と位置P13との中間あたりに操作力を加えれば、X軸正方向の操作量とY軸正方向の操作量とを同時に入力したことになる。また、操作者は、キャップ30全体を指で摘んで、上述した種々の操作入力と同等の操作入力を加えることも可能である。
【0033】
この操作量検出装置の特徴は、作用部21に対して、X軸正方向への操作入力(位置P11を指で押したのと同等の操作入力)が加えられたときに、作用部21がX軸正方向へ傾斜するような変位を生じ、X軸負方向への操作入力(位置P12を指で押したのと同等の操作入力)が加えられたときに、作用部21がX軸負方向へ傾斜するような変位を生じ、Y軸正方向への操作入力(位置P13を指で押したのと同等の操作入力)が加えられたときに、作用部21がY軸正方向へ傾斜するような変位を生じ、Y軸負方向への操作入力(位置P14を指で押したのと同等の操作入力)が加えられたときに、作用部21がY軸負方向へ傾斜するような変位を生じるようになっている点である。これは、可撓部22が可撓性を有し、作用部21が操作入力に応じて変位を生じるためである。
【0034】
§2.本発明の基本的な実施形態の動作
続いて、§1で述べた操作量検出装置の動作を説明する。この操作量検出装置は、ON/OFFスイッチの状態を検出するスイッチとしての機能と、X軸およびY軸に関する操作入力を検出する二次元力センサとしての機能と、の双方を備えた装置である。
【0035】
まず、スイッチとしての機能は、薄型スイッチSWの動作によって実現される。すなわち、図5の側断面図に示されているように、操作者がZ軸負方向成分F0を含む押圧力を操作体31に対して加えると、可撓部22が撓むことにより、作用部21が図の下方(Z軸負方向)に変位することになる。すると、押圧棒32の先端から薄型スイッチSWに対して押圧力が加わり、薄型スイッチSWがON状態に切り替わる。薄型スイッチSWとしては、どのような構造のスイッチを用いてもかまわないが、この実施形態では、図6(a) の側断面図に示すような構造をもった薄型スイッチSWを用いている。すなわち、薄型スイッチSWの筐体50内には、椀を伏せた形状をした金属ドーム51が配置されており、基板10の上面側には、接触用電極52が形成されている。スイッチの筐体50の上面には、開口窓が形成されており、金属ドーム51の一部が露出した状態となっている。図6には示されていないが、この金属ドーム51の上方に押圧棒32の先端部が位置することになる。押圧棒32を介して、Z軸負方向成分F0を含む押圧力が加えられると、図6(b) に示すように、金属ドーム51の中心部分が反転し、接触用電極52に接触した状態となる。したがって、金属ドーム51と接触用電極52との間の導通状態に基づいて、薄型スイッチSWのON/OFF状態が検出できる。
【0036】
続いて、二次元力センサとしての機能を説明しよう。ここでは、図3に示す位置P11を指で押し込むようなX軸正方向への操作入力が加えられた場合を例にとって説明を行うことにする。図7は、このようなX軸正方向への操作入力に相当する力F11が加えられたときの起歪体20の変形状態を示す側断面図である。図示のとおり、力F11により可撓部22が撓み、作用部21がX軸正方向に向けて傾斜することになる。このとき、力F11がある程度以上の大きさであれば、押圧棒32の先端部が薄型スイッチSWに対して押圧力を加えて薄型スイッチSWがON状態となり、この押圧棒32の先端部が支点として機能することにより、図示のとおり、第1の容量素子C11(第1の内側電極E11と変位電極E20の対向部分とによって構成される容量素子)の電極間隔は狭くなり、逆に、第2の容量素子C12(第2の内側電極E12と変位電極E20の対向部分とによって構成される容量素子)の電極間隔は広くなる。その結果、第1の容量素子C11の静電容量値C11は増加し、第2の容量素子C12の静電容量値C12は減少する。したがって、静電容量値C11,C12の差をとれば、この差は、作用部21のX軸方向への傾斜量を示すことになる。
【0037】
逆に、図3に示す位置P12を指で押し込むようなX軸負方向への操作入力が加えられた場合は、図7における左右を逆にした状態となり、第1の容量素子C11の静電容量値C11は減少し、第2の容量素子C12の静電容量値C12は増加する。したがって、静電容量値C11,C12の差をとれば、この差の符号は逆転する。結局、静電容量値C11,C12の差の符号は、加えられたX軸操作入力の符号(X軸正方向への操作入力か、X軸負方向への操作入力か)を示し、差の絶対値は、加えられたX軸操作入力の操作量を示すことになる。同様に、Y軸操作入力(図3に示す位置P13あるいはP14を指で押し込むような操作入力)の符号および操作量は、第3の容量素子C13の静電容量値C13と第4の容量素子C14の静電容量値C14との差によって検出することができる。
【0038】
なお、ここでは、X軸操作入力あるいはY軸操作入力が与えられたときに、X軸上あるいはY軸上に配置された一対の容量素子の静電容量値の一方が増加し、他方が減少する、というケースを示したが、場合によっては、一対の容量素子の静電容量値が双方ともに増加する、というケースもありうる。たとえば、押圧棒32が変形する材質から構成されており、力F11を加えることにより長さ方向に収縮するような場合、力F11の作用により全容量素子の電極間隔が狭くなり、全容量素子の静電容量値が増加する。あるいは、§3の変形例(5) で述べるように、押圧棒32自身を省略した実施形態の場合も、力F11の作用により全容量素子の静電容量値が増加することになる。ただ、このように全容量素子の静電容量値が増加するような場合であっても、X軸上あるいはY軸上に配置された一対の容量素子の静電容量値の差によって、X軸操作入力あるいはY軸操作入力を検出できる点については変わりはない。たとえば、図3に示す位置P11を指で押し込むようなX軸正方向への操作入力が加えられ、全容量素子の電極間隔が狭くなったとしても、第1の容量素子C11の電極間隔の変化は、第2の容量素子C12の電極間隔の変化よりも大きくなるので、静電容量値C11,C12の双方が増加したとしても、静電容量値C11の増加分は静電容量値C12の増加分よりも大きくなる。したがって、X軸正方向への操作入力は、静電容量値の差(C11−C12)により検出することができる。
【0039】
実際には、図8に示すような検出回路を用意しておき、X軸操作入力およびY軸操作入力の検出を行うようにすればよい。ここで、C/V変換回路61〜64は、それぞれ容量素子C11〜C14の静電容量値を電圧値V11〜V14に変換する回路であり、差分回路65,66は、各電圧値の差を出力する回路である。すなわち、差分回路65が出力端子Txに出力する信号は、電圧値V11とV12との差であり、静電容量値C11とC12との差を示す信号ということになる。これは、X軸操作入力を示す信号である。同様に、差分回路66が出力端子Tyに出力する信号は、電圧値V13とV14との差であり、静電容量値C13とC14との差を示す信号ということになる。これは、Y軸操作入力を示す信号である。
【0040】
このように、2組の容量素子の静電容量値の差に基づいて、作用した力の方向および量を検出する手法は、既に従来の容量式力検出装置で利用されている技術である。本発明の特徴は、各容量素子C11〜C14の静電容量値の検出を行うために、各内側電極E11〜E14と、これに対向する変位電極E20との間の静電容量値を直接測定する代わりに、各内側電極E11〜E14と、共通外側電極E10との間の静電容量値を測定する点にある。たとえば、X軸正方向への操作入力の操作量がある程度大きい場合、図7に示すように、作用部21がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜し、変位電極E20の一部が共通外側電極E10の一部に接触することになる。したがって、この状態では、共通外側電極E10と変位電極E20とが導通状態となっており、第1の内側電極E11と共通外側電極E10との間の静電容量は、第1の容量素子C11の静電容量値C11を示すことになる。結局、X軸正方向の操作入力、X軸負方向の操作入力、Y軸正方向の操作入力、Y軸負方向の操作入力のいずれの操作入力があったとしても、その操作量が所定のしきい値以上であれば、変位電極E20と共通外側電極E10とがいずれかの箇所で接触した状態になるので、共通外側電極E10と各内側電極E11〜E14との間の電気的特性を測定することにより、各容量素子C11〜C14の静電容量値を求めることが可能になり、各操作入力の検出が可能になる。
【0041】
別言すれば、図8に示す回路において、容量素子C11〜C14として描かれている一方の電極はそれぞれ内側電極E11〜E14であるが、もう一方の電極は、本来、容量素子の対向電極となるべき変位電極E20ではなく、基板10側に形成された共通外側電極E10ということになる。したがって、図8に示す検出回路が、本来の検出処理を実行するためには、変位電極E20と共通外側電極E10とがいずれかの箇所で接触し、電気的に導通状態となっていることが前提となる。一般的には、共通外側電極E10を接地電位に接続しておくようにし、変位電極E20と共通外側電極E10とが接触した場合に、変位電極E20が接地電位となるような構成にしておけばよい。
【0042】
なお、ここに示す実施形態では、物理的に単一の共通外側電極E10を設けるようにしているが、その代わりに、各内側電極の外側にそれぞれ別個独立した外側電極を設けた場合であれば、各内側電極E11〜E14と、変位電極E20に接触状態となったいずれかの外側電極と、の間の電気的特性を測定することにより、各容量素子C11〜C14の静電容量値を求めることが可能になり、各操作入力の検出が可能になる。この場合、一般的には、個々の外側電極をいずれも接地電位に接続しておくようにし、変位電極E20がいずれかの外側電極と接触した場合に、変位電極E20が接地電位となるような構成にしておけばよい。
【0043】
このように、各容量素子を構成する対向電極間の電気的特性を直接測定する代わりに、基板10側に設けられた内側電極と外側電極との間の電気的特性を測定するようにする1つのメリットは、電極に対する配線が基板10側だけですむという点である。図示の実施形態の場合、各内側電極E11〜E14と共通外側電極E10とに対して、基板10上で配線を行えば、変位電極E20に対する配線は不用になる。基板10をプリント基板によって構成しておけば、基板10上における配線は非常に容易に行うことができ、量産を行う上では極めて実用的である。
【0044】
もっとも、本発明のより本質的かつ重大なメリットは、上述した配線を行う上のメリットではなく、ゲーム用コントローラや小型電子機器などの操作入力を検出する用途に利用する場合に、良好な操作性、応答性を確保できるという点にある。たとえば、図1に示す状態を考えてみよう。この状態は、操作者からの操作入力が全く行われていない状態である。この状態では、もちろん、薄型スイッチSWはOFF状態を維持している。しかも、この状態においては、図8の出力端子Tx,Tyには、何ら有意な信号出力が現れない。なぜなら、この状態では、共通外側電極E10と変位電極E20とは接触していないため、図8の回路図は不完全な状態となり、各容量素子C11〜C14の容量値が各C/V変換回路61〜64において検出されないためである。もちろん、基板10側に形成された各内側電極E11〜E14と、共通外側電極E10との間にも、微小な静電容量値が存在することになり、その他、基板10上の配線による寄生容量なども存在するため、厳密に言えば、図1に示す状態においても、C/V変換回路61〜64からは、何らかの検出電圧が出力されることになるが、これらの検出電圧は本来の検出電圧に比べて微小なものであり実用上は無視できる。
【0045】
このように、図1に示す状態において、「出力端子Tx,Tyには有意な信号出力が現れない」ということは、「零点調節を行う必要がない」ということを意味する。通常、このような操作量検出装置を量産した場合、機械的な加工精度上の問題により、個々のロットごとに個体差が生じ、各容量素子の電極間隔の厳密な寸法は異なってしまう。このため、従来の容量式操作量検出装置のように、各容量素子を構成する対向電極間の電気的特性を直接測定する方法を採った場合は、何ら操作入力が加えられていない状態でも、個々の装置ごとに何らかの検出出力が出てしまう可能性があり、何らかの方法で零点調節を行う必要が生じる。本発明に係る操作量検出装置では、変位電極E20に対する直接的な配線は行われていないため、図1に示す状態では、変位電極E20は電気的な浮遊状態となり、静電容量値の有意な検出値は出力されない。このため、本発明に係る装置では、製品出荷時においても、また、経年変化が生じた場合にも、零点調節は不用になる(上述したように、実際には、配線などに基づく寄生容量が存在するため、厳密な意味では、機械的な要因に基づく零点調節は不用であるが、電気的な要因に基づく零点調節は必要である)。
【0046】
また、図5に示す状態においても、共通外側電極E10と変位電極E20とは接触していないため、出力端子Tx,Tyには有意な信号出力は現れない。この図5に示す状態は、操作者が図3の位置P0に指をおいて、操作体31を基板10側へと押し込むスイッチ入力(いわゆるクリック操作)を行ったときの状態である。この操作により、薄型スイッチSWがON状態となり、スイッチ入力は検出されるものの、X軸操作入力やY軸操作入力が検出されることはない。このような特性は、ゲーム用コントローラや小型電子機器などの操作入力を検出する用途に利用する場合に、非常に有利である。通常、操作者が位置P0に対して押圧操作を行った場合、加えられた押圧力の主要成分はZ軸方向成分F0であったとしても、必ずX軸方向成分やY軸方向成分も含まれていることになる。人間の行う操作であるから、Z軸方向成分F0のみしか含まないような押圧力を作用させることは実質的に不可能である。特に、いわゆる「ダブルクリック操作」のように、短時間に2回続けてスイッチ入力を行うような場合、必ずX軸方向成分やY軸方向成分も含まれてしまう。従来の容量式操作量検出装置では、各容量素子を構成する対向電極間の電気的特性が直接測定されるため、このようなクリック操作やダブルクリック操作に対しても、X軸操作入力やY軸操作入力が検出されてしまうことになる。これは、操作者がスイッチ入力(クリック操作)だけを行ったと意識しているにもかかわらず、X軸あるいはY軸への操作量が現れてしまう結果となり、操作者の立場からの操作性を低下させる要因になる。本発明に係る操作量検出装置では、このようなスイッチ入力に対しては、X軸あるいはY軸への有意な操作量が現れることはないため、操作者の立場からの操作性が向上することになる。
【0047】
別言すれば、本発明に係る操作量検出装置では、X軸操作入力やY軸操作入力に関して不感帯が設けられていることになり、共通外側電極E10と変位電極E20とがいずれかの箇所で接触する程度の大きさの操作量が加えられない限り、有意な操作量出力は現れないことになる。これは、たとえば、本発明に係る操作量検出装置を、ゲームコントローラ用のジョイスティックとして利用した場合、操作体31の操作に遊びが生まれることになり、操作性の向上を図ることが可能になる。従来の操作量検出装置の場合、このような遊び(不感帯)を設定するためには、出力信号に対して何らかの信号処理を施したり、ソフトウエア的に何らかの演算処理を施す必要があったが、本発明に係る操作量検出装置の場合、特別な信号処理や演算処理を施す必要はない。
【0048】
また、本発明に係る操作量検出装置のもつ上述の特性は、機械的構造部分にゴムなどの弾性材料を利用していた場合の機械的ヒステリシス特性に基づく応答性の低下を防ぐ意味でも有用である。たとえば、上述の実施形態では、起歪体20をゴムなどの弾性材料によって構成しているが、このような弾性材料には、機械的ヒステリシス特性が備わっており、外力が無くなった場合でも、直ちに元の状態に復帰することはない。たとえば、図7に示すように、X軸正方向への操作入力を加えた後、操作者が指を離したとすると、変形していた起歪体20は元の状態へと復帰することになるが、図1に示すような元の状態にまで直ちに復帰できるわけではない。このため、従来の操作量検出装置では、操作者が指を離した後も、しばらく操作量が出力され続けることになり、操作者の立場からの応答性を低下させる要因になる。本発明に係る操作量検出装置では、共通外側電極E10と変位電極E20とが非接触状態になった時点で、有意な操作量出力は消滅することになるので、操作者の立場からの応答性が向上することになる。
【0049】
§3.本発明の変形例に係る実施形態
続いて、本発明のいくつかの変形例を示す。
【0050】
(1) くびれ部を有する変形例
図9は、図1に示す操作量検出装置の変形例を示す側断面図である。この操作量検出装置は、基板10A、起歪体20A、キャップ30A、固定部材40Aから構成されている。基板10Aは、図1に示す基板10と全く同様の構成要素であり、その上面には、絶縁膜Rで覆われた4枚の内側電極E11〜E14と、共通外側電極E10と、薄型スイッチSWとが配置されている。固定部材40Aも、図1に示す固定部材40と全く同様の構成要素であり、起歪体20Aを基板10A上に固定する機能を果たす。また、起歪体20Aの下面に形成された変位電極E20も、図1に示す変位電極E20と全く同一のものである。
【0051】
起歪体20Aおよびキャップ30Aは、図1に示す操作量検出装置の起歪体20とほぼ同じ構成要素であるが、その外周部分にくびれ部Vが形成されている点だけが異なっている。すなわち、起歪体20Aは、作用部21A,可撓部22A,固定部23Aによって構成されているが、作用部21Aの下部にはくびれ部Vが形成されており、上半分の直径に比べて下半分の直径の方が小さくなっている。その結果、可撓部22A(肉厚の薄い部分)は、図1の可撓部22に比べてより広い領域に跨がっている。キャップ30Aは、操作体31Aと押圧棒32Aによって構成されている。操作体31Aの側面部は、図1の操作体31の側面部に比べて、くびれ部Vに相当する部分だけ短くなっている。
【0052】
この変形例におけるくびれ部Vは、変位電極E20の変位の自由度が作用部21Aもしくは操作体31Aによって制限を受けないようにする働きをする。たとえば、図10に示すように、操作体31Aに対して、X軸正方向への操作入力に相当する力F11が加えられると、図示のとおり、押圧棒32Aの先端を支点として作用部21Aが傾斜して、変位電極E20の図の右端部分が共通外側電極E10に接触した状態になる。このとき、第1の内側電極E11と変位電極E20との距離(容量素子C11の電極間隔)は狭くなり、第2の内側電極E12と変位電極E20との距離(容量素子C12の電極間隔)は広くなり、図8の検出回路における出力端子Txに電圧(V11−V12)に相当する検出信号が出力されることは、図1に示す操作量検出装置と同様である。
【0053】
ところが、このくびれ部Vを有する実施形態の場合、図11に示すように、操作体31Aに対して、更に強い力F11が加えられると、図示のとおり、可撓部22Aの図の右側部分が更に変形し、この部分に関する変位電極E20の基板10Aに対する密着度が更に高まっており(図示の例では、変位電極E20の右側部分は、第1の内側電極E11の上面に形成された絶縁膜Rに完全に密着した状態になっている)、容量素子C11の電極間隔は更に狭い状態となっている。したがって、この実施形態の場合、図10に示す状態から出力端子Txに有意な検出出力が得られ始め、力F11を力F11にまで強めてゆくと、図11に示す状態になるまで容量素子C11の電極間隔が徐々に狭くなってゆき、出力端子Txに得られる検出信号が増加しつづけることになる。もちろん、図1に示す実施形態の場合でも、力F11を加えると図7に示す状態へと変化し、この状態から更に力F11を強めてゆくと、容量素子C11の電極間隔が更に狭くなってゆく、という点については同じである。しかしながら、図7に示すように、変位電極E20の一部は作用部21の領域に形成されており、変位電極E20の変位の自由度は作用部21もしくは操作体31によって制限されてしまうため、変位電極E20の基板10に対する密着度は、図11に示す実施形態ほどは高まらない。
【0054】
要するに、図9に示す実施形態は、図1に示す基本的な実施形態に係る操作量検出装置において、操作体31に加えられた力を可撓部22へと伝達する機能を果たす部分の外周にくびれ部Vを形成したものになる。このくびれ部Vの形成により、変位電極E20の変位の自由度が作用部21もしくは操作体31によって制限を受けないようにすることができる。これにより、変位電極E20の基板に対する密着度の範囲が広がり、結果的に、操作量を検出することが可能なダイナミックレンジを広げることが可能になる。
【0055】
(2) 可撓部に溝を形成した変形例
図12は、図1に示す操作量検出装置の別な変形例を示す側断面図である。この操作量検出装置は、基板10B、起歪体20B、キャップ30B、固定部材40Bから構成されている。基板10Bは、図1に示す基板10と全く同様の構成要素であり、その上面には、絶縁膜Rで覆われた4枚の内側電極E11〜E14と、共通外側電極E10と、薄型スイッチSWとが配置されている。固定部材40Bも、図1に示す固定部材40と全く同様の構成要素であり、起歪体20Bを基板10B上に固定する機能を果たす。また、起歪体20Bの下面に形成された変位電極E20も、図1に示す変位電極E20と全く同一のものである。
【0056】
起歪体20Bおよびキャップ30Bは、図1に示す操作量検出装置の起歪体20とほぼ同じ構成要素であるが、キャップ30Bの下側部分にはくびれ部Vが形成されている。また、起歪体20Bは、作用部21B,可撓部22B,固定部23Bによって構成されているが、可撓部22Bの上面には溝Gが形成されている。図1に示す操作量検出装置の場合、可撓部22は肉厚を薄くすることにより必要な可撓性を確保していたが、ここに示す操作量検出装置の場合、可撓部22Bに溝Gを形成することにより可撓性をもたせる構造としている。キャップ30Bは、操作体31Bと、力伝達体31BBと、押圧棒32Bと、によって構成されている。力伝達体31BBの径は、その周囲にくびれ部Vを形成するため、操作体31Bの径よりも小さくなっている。このくびれ部Vの存在により、可撓部22Bの変形の自由度、すなわち、変位電極E20の変位の自由度が高まり、操作量を検出することが可能なダイナミックレンジが広がるメリットが得られる点は、前述の変形例(1) と同様である。
【0057】
また、図12に示す操作量検出装置では、操作体31Bの上面がほぼ球面状となっており、操作者による操作入力の与え方が若干異なっている。すなわち、図1に示す基本的な実施形態では、操作者は図3に示すキャップ30の上面の所望の位置に、押し込むような押圧力(ほぼ、Z軸方向に沿った力)を加えるような操作入力を行うことになるが、図12に示す実施形態では、操作者は、通常、操作体31Bを斜めに倒すような力(Z軸方向成分に、X軸あるいやY軸方向成分を合成した力)を加えるような操作入力を行うことになる。このように、本発明における操作入力とは、操作者が、ある特定の座標軸方向への操作量と認識しながら、操作体あるいは作用部に対して加える入力を指しており、操作者によって加えられる物理的な力そのものを指しているわけではない。たとえば、「X軸正方向への操作入力」と言った場合、図1に示す実施形態の場合であれば、図3に示されている位置P11に対して下方への押圧力(−Z方向の力)を加える操作になり、図12に示す実施形態の場合であれば、操作体31Bを図の斜め右下方向に倒すような力(−Z方向の力と+X方向の力との合成力)を加える操作になる。
【0058】
(3) 一次元操作入力のみを検出する変形例
これまで述べてきた実施形態は、いずれも、薄型スイッチSWを利用したスイッチ入力と、4組の容量素子C11〜C14を利用したX軸およびY軸の二次元操作入力と、を検出する操作量検出装置であった。一般に、ゲームコントローラやパソコンなどの入力装置として利用する場合には、このような二次元操作入力機能をもった操作量検出装置が必要になるが、携帯電話や小型電子機器の入力装置として利用する場合には、一次元操作入力の機能があれば十分なことも少なくない。そのような場合には、薄型スイッチSWを利用したスイッチ入力と、2組の容量素子C11,C12を利用したX軸操作入力と、を検出する操作量検出装置を用いれば十分である。
【0059】
図13は、このような操作量検出装置の一例を示す側断面図である。この操作量検出装置は、基板10C、起歪体20C、キャップ30C、固定部材40Cから構成されている。基板10Cは、図1に示す基板10とほぼ同様の構成要素であるが、その上面の電極構成が若干異なっている。図14は、この電極構成を示す平面図である。図示のとおり、原点Oの位置に薄型スイッチSWが配置されている点は、これまでの実施形態と同様であるが、電極構成は、X軸上に配置された4枚の電極EE11〜EE14のみである。ここで、第1の内側電極EE11および第2の内側電極EE12は、それぞれ容量素子C11および容量素子C12を形成するための一方の電極であり、実際には、その上面は絶縁膜Rによって覆われている(図13の側断面図参照)。一方、第1の外側電極EE13および第2の外側電極EE14は、それぞれ第1の内側電極EE11および第2の内側電極EE12の外側位置に配置された電極であり、起歪体20C側に形成された変位電極EE20と電気的に接触をとるための電極である。これまで述べてきた実施形態では、4枚の内側電極E11〜E14のそれぞれについて別個の外側電極を設ける代わりに、円環状の共通外側電極E10を1枚だけ配置するようにしていたが、一次元操作入力のみを検出する操作量検出装置の場合、電極はX軸上に配置するだけですむので、図14に示す例のように、それぞれ別個の外側電極EE13,EE14を設けた方が、配置スペースを節約することができ、装置全体の小型化が図れる。
【0060】
起歪体20C,キャップ30C,固定部材40Cは、これまでの実施形態とほぼ同じである。起歪体20Cは、作用部21C,可撓部22C,固定部23Cによって構成されており、固定部材40Cによって固定部23Cが基板10C上に固定されている。可撓部22Cは、肉厚を薄くすることにより可撓性をもたせている。ただ、この操作量検出装置では、Y軸方向に関する検出が不用なため、起歪体20Cおよびキャップ30Cは円形にする必要はなく、X軸方向に細長い形状のものを用いれば十分である。作用部21Cの下面に形成された変位電極EE20も、中央部に押圧棒32Cを挿通するための開口部を有する矩形形状の電極を用意すれば足りる。あるいは、図14において、右側の電極EE11,EE13の上方に位置する右側電極と、左側の電極EE12,EE14の上方に位置する左側電極と、を設け、この右側電極と左側電極とを配線で接続したものを、変位電極として用いてもかまわない。また、作用部21Cの変位の自由度は、X軸方向に関して傾斜するだけで十分である。図示の例では、操作体31Cの上面は、指で操作しやすいように、X軸に沿って湾曲した形状となっている。
【0061】
この操作量検出装置の動作原理は、これまで述べた実施形態におけるX軸操作入力の検出原理と全く同様である。すなわち、操作体31Cを真下に押し込むようなスイッチ入力は、薄型スイッチSWがON状態に切り替わることにより検出できる。また、操作体31CをX軸方向に傾斜させるような操作入力は、第1の内側電極EE11と変位電極EE20とによって構成される第1の容量素子C11と、第2の内側電極EE12と変位電極EE20とによって構成される第2の容量素子C12と、の静電容量値を測定することにより検出できる(実際の測定は、変位電極EE20の代わりに、いずれかの外側電極EE13,EE14が用いられる)。このような検出は、図8の上半分の検出回路(電極E10の代わりに、電極EE13,EE14が用いられる)によって行われ、出力端子Txに検出信号が得られることになる(下半分の検出回路は不用)。第1の外側電極EE13と第2の外側電極EE14とは、物理的には別個独立した電極であるが、実際の検出回路上では、両者を同電位(たとえば、接地電位)に接続し、電気的に導通した状態とするのが好ましい。
【0062】
ここで、図15の側断面図に示されているように、操作体31CをX軸正方向に傾斜させるような、ある程度の大きさの操作入力が与えられた場合を考えてみよう。この場合、第1の外側電極EE13と変位電極EE20とが接触し、第1の容量素子C11の容量値と第2の容量素子C12の容量値との差に相当する有意な検出信号が、出力端子Txに得られることになる。逆に、操作体31CをX軸負方向に傾斜させるような、ある程度の大きさの操作入力が与えられると、第2の外側電極EE14と変位電極EE20とが接触し、やはり、第1の容量素子C11の容量値と第2の容量素子C12の容量値との差(符号は前述の場合と逆になる)に相当する有意な検出信号が、出力端子Txに得られる。
【0063】
(4) くびれ部を設けた一次元操作量検出装置
図16に示す変形例は、上述した変形例(3) において、更にくびれ部Vを形成した実施形態である。変形例(3) との相違は、キャップ30Cをキャップ30Dに交換した点だけである。変形例(3) の場合も、図13に示されているように、操作体31Cと作用部21Cとの接続部分には若干のくびれ部が形成されているが、図16に示す例では、操作体31Dと作用部21Cとの間には、かなり大きなくびれ部Vが形成されており、操作体31Dと作用部21Cとは、力伝達体31DDの部分においてのみ接合されている。このように、操作体31Dに加えられた力を可撓部22Cへと伝達する機能を果たす部分(力伝達体31DD)の外周にくびれ部Vを形成することにより、変位電極EE20の変位の自由度が作用部21Cもしくは操作体31Dによって制限を受けないようにすることができ、上述したように、操作量検出のダイナミックレンジが広がるメリットが得られる。
【0064】
(5) その他の変形例
以上、本発明をいくつかの実施形態について説明したが、本発明はこれらの実施形態に限定されるものではなく、この他にも種々の形態で実施可能である。たとえば、上述の実施形態では、いずれも基板上に薄型スイッチSWを配置し、ON/OFF状態を切り替えるスイッチ入力(クリック操作)を検出できる機能を設けているが、このようなスイッチ入力の検出が不用な場合には、薄型スイッチSWを設ける必要はない。この場合、薄型スイッチSWに対して押圧力を伝達させる押圧棒も不用になる。もっとも、押圧棒は、その先端を支点として用いることにより、作用部の傾斜を効果的に行わせる作用も果たしているので、容量差(C11−C12)あるいは容量差(C13−C14)を顕著にする意味では、薄型スイッチSWを用いない場合であっても、支点として機能する押圧棒は設けておくようにするのが好ましい。
【0065】
また、上述の実施形態では、内側電極の上面に絶縁膜Rを形成しているが、この絶縁膜Rは必ずしも必要なものではない。絶縁膜Rが形成されていなくても、内側電極に変位電極が接触しない限りは、両電極は容量素子としての機能を果たすことができるので、必要な検出出力を得ることができる。ただ、両者が一部分でも接触してしまうと、もはや容量素子として機能しなくなり、検出出力を得ることはできなくなる。したがって、実用上は、できるだけ広い検出ダイナミックレンジを確保するために、絶縁膜Rを形成しておくのが好ましい。
【0066】
更に、上述の実施形態では、二次元力センサとしての機能は、薄型スイッチSWがON状態に切り替わっていることを前提として、静電容量値の測定を行うことにより実現されていたが、本発明は必ずしもそのような実施形態に限定されるものではなく、二次元力センサとしての機能が、薄型スイッチSWがOFF状態でも有効となるような設計も可能である。ここで述べた実施形態の場合、薄型スイッチSWは、図6に示すように、金属ドーム51の変形に基づいて動作する。ここで、金属ドーム51が比較的弱い力で変形するように構成しておけば(たとえば、厚みを小さくするとか、スリットや溝を形成するとか、可撓性の高い材料を用いるとかすればよい)、これまで述べてきた実施形態のとおり、薄型スイッチSWがON状態に切り替わっていることを前提として、静電容量値の測定が行われる装置が実現できる。この場合、操作者は、まず、操作体31を押し込むような操作を行った後、X軸あるいはY軸方向への操作入力を与えることになる。これとは逆に、金属ドーム51が比較的強い力を加えないと変形しないように構成しておけば(たとえば、厚みを大きくするとか、可撓性の低い材料を用いるとかすればよい)、薄型スイッチSWがOFF状態のままでも、静電容量値の測定が可能になる。図17は、図1に示す操作量検出装置における金属ドーム51が、上述したように変形しにくい構造を有している場合に、X軸正方向の操作入力が加えられたときの状態を示す側断面図である。図7に示す側断面図と図17に示す側断面図との相違は、前者では、押圧棒32の先端部が金属ドーム51を変形させ、薄型スイッチSW内にめり込むようになり、スイッチをON状態にしているのに対し、後者では、押圧棒32の先端部が金属ドーム51を変形させるまでには至らず、薄型スイッチSWは依然としてOFF状態となっている点だけである。後者の場合、操作者は、まず、操作体31に対して、X軸あるいはY軸方向への操作入力を与えた後、操作体31を更に押し込むような力を加えることにより、スイッチをON状態に切り替える操作を行うことができる。このような操作は、たとえば、「カーソルを所定の位置まで移動させてからクリックを行う」というような操作入力を行う場合に利用価値が高い。
【0067】
(6) 各電極の材質
本発明に係る操作量検出装置の各部に配置される電極は、導電性をもった材料であれば、どのような材質のものを用いてもかまわない。ただ、各電極を弾性材料を用いて構成しておくと、電極間の接触あるいは電極と絶縁膜との接触が生じたときに、電極自身がある程度の弾性変形を生じることができ、接触時の密着性が向上する効果が期待できる。これは、検出ダイナミックレンジを広げる上で効果的である。
【0068】
もっとも、実用上は、基板として回路用プリント基板を用いるのであれば、基板上に形成される内側電極および外側電極は、銅などの金属からなる配線パターンの一部によって構成するのが好ましい。これに対して、起歪体としてゴムなどの弾性材料を用いる場合、起歪体の下面側に形成される変位電極としては、弾性材料を用いるのが適している。変位電極に弾性材料を用いれば、上述したように、外側電極との接触、あるいは内側電極上の絶縁膜との接触により弾性変形が生じるようになるので、接触時の密着性が向上し、検出ダイナミックレンジを広げることができる。
【0069】
具体的には、変位電極を導電性ゴムまたは導電性エラストマによって構成しておけば、ゴムからなる起歪体との接合性も良好になる。あるいは、変位電極を、非導電性ゴムまたは非導電性エラストマに導電性インクまたは導電性塗料を塗布してなる構造体によって構成してもよい。
【0070】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、操作入力の検出に適した低コストの静電容量型の操作量検出装置を提供することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の基本的な実施形態に係る操作量検出装置の側断面図である。
【図2】 図1に示す操作量検出装置における基板10の上面図である。
【図3】 図1に示す操作量検出装置における起歪体20にキャップ30を被せてなる構造体の上面図である。
【図4】 図1に示す操作量検出装置における起歪体20にキャップ30を被せてなる構造体の下面図である。
【図5】 図1に示す操作量検出装置にスイッチ入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【図6】 図1に示す操作量検出装置の薄型スイッチSWの詳細な構造を示す側断面図である。
【図7】 図1に示す操作量検出装置にX軸操作入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【図8】 図1に示す操作量検出装置に利用される検出回路の一例を示す回路図である。
【図9】 図1に示す操作量検出装置において、くびれ部Vを形成した変形例を示す側断面図である。
【図10】 図9に示す操作量検出装置にX軸操作入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【図11】 図10に示す操作量検出装置に更に大きなX軸操作入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【図12】 図1に示す操作量検出装置の別な変形例を示す側断面図である。
【図13】 一次元操作入力の検出に適した操作量検出装置の側断面図である。
【図14】 図13に示す操作量検出装置の基板10C上の電極配置を示す平面図である。
【図15】 図13に示す操作量検出装置にX軸操作入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【図16】 図13に示す操作量検出装置において、くびれ部Vを形成した変形例を示す側断面図である。
【図17】 図1に示す操作量検出装置に、薄型スイッチSWをOFF状態に維持したまま、X軸操作入力を与えたときの状態を示す側断面図である。
【符号の説明】
10,10A,10B,10C…基板
20,20A,20B,20C…起歪体
21,21A,21B,21C…作用部
22,22A,22B,22C…可撓部
23,23A,23B,23C…固定部
30,30A,30B,30C,30D…キャップ
31,31A,31B,31C,31D…操作体
31BB,31DD…力伝達体
32,32A,32B,32C,32D…押圧棒
40,40A,40B,40C…固定部材
50…スイッチの筐体
51…金属ドーム
52…接触用電極
61〜64…C/V変換回路
65,66…差分回路
C11〜C14…容量素子/静電容量値
E10…共通外側電極
E11〜E14…内側電極
EE11,EE12…内側電極
EE13,EE14…外側電極
E20,EE20…変位電極
F0,F11,F11…力
G…溝
O…座標系の原点
P0,P11〜P14…キャップ上の位置
R…絶縁膜
SW…薄型スイッチ
Tx,Ty…出力端子
V…くびれ部
V11〜V14…静電容量値C11〜C14に対応した電圧

Claims (15)

  1. XYZ三次元座標系におけるX軸方向への操作量を示すX軸操作入力を検出するための操作量検出装置であって、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置された作用部と、この作用部を周囲から支持し可撓性をもった可撓部と、この可撓部の周囲部分を前記基板に固定する固定部と、を有し、前記作用部に前記X軸操作入力が加えられたときに前記作用部がX軸に対して傾斜するような変位を生じる起歪体と、
    前記基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
    前記基板上面のX軸正方向位置の前記第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置の前記第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
    前記第1の内側電極、前記第1の外側電極、前記第2の内側電極、前記第2の外側電極のそれぞれに対向するように、前記起歪体下面の変位を生じる位置に形成され、前記作用部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第1の外側電極に接触し、前記作用部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第2の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
    前記変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、前記第1の内側電極と前記変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第2の内側電極と前記変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第1の静電容量値と前記第2の静電容量値との差に基づいて前記X軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
    を備えることを特徴とする操作量検出装置。
  2. XYZ三次元座標系におけるX軸方向への操作量を示すX軸操作入力とY軸方向への操作量を示すY軸操作入力とを検出するための操作量検出装置であって、
    上面がXY平面に含まれ、この上面の中心部に座標系の原点がくるように配置された基板と、
    前記基板上方のZ軸を中心とした位置に配置された作用部と、この作用部を周囲から支持し可撓性をもった可撓部と、この可撓部の周囲部分を前記基板に固定する固定部と、を有し、前記作用部に前記X軸操作入力が加えられたときに前記作用部がX軸に対して傾斜するような変位を生じ、前記作用部に前記Y軸操作入力が加えられたときに前記作用部がY軸に対して傾斜するような変位を生じる起歪体と、
    前記基板上面のX軸正方向位置に配置された第1の内側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置に配置された第2の内側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置に配置された第3の内側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置に配置された第4の内側電極と、
    前記基板上面のX軸正方向位置の前記第1の内側電極より外側に配置された第1の外側電極と、
    前記基板上面のX軸負方向位置の前記第2の内側電極より外側に配置された第2の外側電極と、
    前記基板上面のY軸正方向位置の前記第3の内側電極より外側に配置された第3の外側電極と、
    前記基板上面のY軸負方向位置の前記第4の内側電極より外側に配置された第4の外側電極と、
    前記第1の内側電極、前記第1の外側電極、前記第2の内側電極、前記第2の外側電極、前記第3の内側電極、前記第3の外側電極、前記第4の内側電極、前記第4の外側電極のそれぞれに対向するように、前記起歪体下面の変位を生じる位置に形成され、前記作用部がX軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第1の外側電極に接触し、前記作用部がX軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第2の外側電極に接触し、前記作用部がY軸正方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第3の外側電極に接触し、前記作用部がY軸負方向に向けて所定量だけ傾斜したときに、その一部分が前記第4の外側電極に接触するように構成された変位電極と、
    前記変位電極がいずれかの外側電極と接触したときに、前記第1の内側電極と前記変位電極とによって構成される第1の容量素子の静電容量を示す第1の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第1の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第2の内側電極と前記変位電極とによって構成される第2の容量素子の静電容量を示す第2の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第2の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第3の内側電極と前記変位電極とによって構成される第3の容量素子の静電容量を示す第3の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第3の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第4の内側電極と前記変位電極とによって構成される第4の容量素子の静電容量を示す第4の静電容量値を、前記変位電極に接触している外側電極と前記第4の内側電極との間の電気的特性に基づいて測定し、前記第1の静電容量値と前記第2の静電容量値との差に基づいて前記X軸操作入力についての検出値を出力し、前記第3の静電容量値と前記第4の静電容量値との差に基づいて前記Y軸操作入力についての検出値を出力する検出回路と、
    を備えることを特徴とする操作量検出装置。
  3. 請求項1または2に記載の操作量検出装置において、
    基板上の原点近傍位置に、Z軸方向成分を有する押圧力に基づいて動作するスイッチを更に設け、前記押圧力からなるスイッチ入力が作用部に加えられたときに、この作用部の変位に基づいて前記スイッチが動作するようにしたことを特徴とする操作量検出装置。
  4. 請求項3に記載の操作量検出装置において、
    作用部から下方に突出する押圧棒を設け、この押圧棒を介して伝達される押圧力に基づいてスイッチを動作させるようにしたことを特徴とする操作量検出装置。
  5. 請求項4に記載の操作量検出装置において、
    作用部にX軸操作入力もしくはY軸操作入力が加えられたときに、基板上のスイッチに接触した押圧棒の先端部を支点として、作用部のX軸もしくはY軸に対する傾斜が生じるように構成されていることを特徴とする操作量検出装置。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    基板上面に、物理的に単一の共通外側電極を配置し、すべての外側電極を、それぞれ前記共通外側電極の一部によって構成したことを特徴とする操作量検出装置。
  7. 請求項6に記載の操作量検出装置において、
    すべての内側電極の周囲を取り囲むように配置された単一の環状電極によって共通外側電極を構成したことを特徴とする操作量検出装置。
  8. 請求項1〜7のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    内側電極と変位電極とが電気的に接触しないように、すべての内側電極の上面に絶縁膜を形成したことを特徴とする操作量検出装置。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    起歪体を弾性材料によって構成し、作用部の上面に剛性材料からなる操作体を配置し、この操作体に加えられた力を作用部を介して可撓部へ伝達できるようにしたことを特徴とする操作量検出装置。
  10. 請求項1〜9のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    可撓部の厚みを作用部の厚みに比べて薄くすることにより、可撓部に可撓性をもたせる構造としたことを特徴とする操作量検出装置。
  11. 請求項1〜9のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    可撓部に溝を形成することにより可撓性をもたせる構造としたことを特徴とする操作量検出装置。
  12. 請求項1〜11のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    変位電極の変位の自由度が作用部もしくは操作体によって制限を受けないように、加えられた力を可撓部へと伝達する機能を果たす部分の外周にくびれ部を形成したことを特徴とする操作量検出装置。
  13. 請求項1〜12のいずれかに記載の操作量検出装置において、
    変位電極を弾性材料によって構成し、外側電極もしくは内側電極上の絶縁膜との接触により弾性変形が生じるようにしたことを特徴とする操作量検出装置。
  14. 請求項13に記載の操作量検出装置において、
    変位電極を導電性ゴムまたは導電性エラストマによって構成したことを特徴とする操作量検出装置。
  15. 請求項13に記載の操作量検出装置において、
    変位電極を非導電性ゴムまたは非導電性エラストマに導電性インクまたは導電性塗料を塗布してなる構造体によって構成したことを特徴とする操作量検出装置。
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