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JP4455909B2 - ハニカム構造体及びその製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は、ハニカム構造体及びその製造方法に関する。さらに詳しくは、外壁部の機械的強度に優れるとともに、隔壁のヨレや歪み等の成形不良が有効に防止されたハニカム構造体及びその製造方法に関する。
内燃機関、ボイラー等の排気ガス中の微粒子や有害物質は、環境への影響を考慮して排気ガス中から除去する必要性が高まっている。特に、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の除去に関する規制は、欧米、日本国内ともに強化される方向にあり、粒子状物質を除去するための捕集フィルタ(以下、DPFということがある)にハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが使用されている。また、上下水等の液体の濾過にもハニカム構造体を用いたハニカムフィルタが用いられている。
このようなハニカム構造体は、一般に、図17(a)及び図17(b)に示すように、多数のセル63を形成するハニカム構造を有する隔壁64(セル壁)と、その外周を被覆する外壁62(外周スキン層)とから構成されている。図17(a)は、従来のハニカム構造体を模式的に示す斜視図であり、図17(b)は、図17(a)のハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。なお、このハニカム構造体61をハニカムフィルタとして用いる場合には、所定のセルの一方の開口部と、残余のセルの他方の開口部とを交互に封止する。これにより、ハニカム構造体61の一方の端面(所定のセルの一方の開口部)から被処理流体が流入すると、流入した被処理流体は、多孔質の隔壁64を通過して隣接するセル63(残余のセル)に移動し、他方の端面(残余のセルの他方の開口部)から流出する。その際、隔壁64がフィルタとなり被処理流体に含まれる粒子状物質を捕捉する。また、このようなハニカム構造体61の強度の低下を補うために、例えば、図示は省略するが、外周スキン層の内周近傍に、ハニカム構造体の一方の端面より他方の端面に到る円筒状の補強層を円心状に設ける技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
このような従来のハニカム構造体を製造方法する方法としては、例えば、図18に示すようなハニカム構造体成形装置を用いて連続的に押出成形してハニカム成形体82を得、得られたハニカム成形体82を焼成する方法が用いられている(例えば、特許文献2参照)。ここで、図18は、従来のハニカム構造体を製造する際に用いられるハニカム構造体成形装置を模式的に示す垂直断面図である。このハニカム構造体成形装置70は、成形原料を導入する裏孔73及び導入した成形原料を押出すスリット72を有する口金74と、この口金74の下流側(スリット72側)に配設された押さえ板75とを備えたものである。
このハニカム構造体成形装置70による押出成形においては、成形原料が口金74の上流側(裏孔73側)から押出機(図示せず)によって口金74を通じて下流側(スリット72側)に押出される。そして、下流側が開放された、内側部分のスリット83から押出された成形原料は、複数のセルが区画形成されたハニカム構造(セル構造部)を形成する。一方、口金74の外側部分のスリット84から押出された成形原料は、隙間部77の作用によって、ハニカム形状が潰されるとともに、押出し方向から進行方向を変え、押さえ板75が開口されたところで、再び押出方向へと進行方向を変え、セルを取り囲む外壁を形成する。このようにしてハニカム成形体82を得、得られたハニカム成形体82を焼成してハニカム構造体を製造している。なお、押さえ治具78及び裏押さえ板79は、口金74と押さえ板75を固定するためのホルダーである。
特開平11−268018号公報 特開2002−283327号公報
しかしながら、上述した方法によってハニカム構造体を製造した場合に、ハニカム構造体の軸方向に垂直な断面において、ハニカム構造(セル構造部)を構成する隔壁にヨレや歪みが発生したり、成形の精度、例えば、成形体の真円度等が悪くなるという問題があった。このようなヨレや歪みが発生したセル構造部はアイソスタティック強度が低下し、ハニカム構造体の強度低下を招き好ましくない。また、例えば、ハニカム構造体をDPF等として用いる場合には、濾過機能が働かない部分が生じ性能低下を招き好ましくない。特に、ハニカム構造体を触媒担体やフィルタとして用いる場合においては、圧力損失を低減するとともに排気ガス浄化効率を向上することを目的として隔壁の厚さを薄くするという要求があるが、隔壁の厚さが薄くなるに従って、上述したヨレや歪みの問題が顕著となる。また、特許文献1に示されたセラミックハニカム構造体は、押出成形するための口金自体に加工が必要であり、その製造工程が煩雑でコスト高になるとともに、一つの口金から一通りの形状のハニカム構造体しか製造することができないという問題があった。
また、ハニカム構造体のハンドリング時における破損防止のために、セル構造部の外周を被覆する外壁(外壁部)の機械的強度を向上させる目的として、この外壁の厚さを厚くするという要求があるが、単に外壁の厚さを厚くした場合、押出成形の際に外壁として押出成形される成形原料の量が多くなるに従って、上述したヨレや歪みの問題が顕著となる。このように、セル構造部を構成する隔壁のヨレや歪みを防止することと、外壁の厚さを厚くして機械的強度を向上させることとは二律背反の関係にあり、両者を両立させることは極めて困難であった。
本発明は、このような従来技術の問題に鑑みてなされたものであり、外壁部の機械的強度に優れるとともに、隔壁のヨレや歪み等の成形不良が有効に防止されたハニカム構造体及びその製造方法を提供する。
本発明者は、上述の課題を解決するべく鋭意研究した結果、セル構造部の外周上に配設された外壁部が、セル構造部の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁から構成されたものとすることにより、上記目的を達成することができることを見出し、本発明を完成させた。即ち、本発明によれば、以下のハニカム構造体及びその製造方法が提供される。
[1]多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、前記セル構造部の外周上に配設された外壁部とを備えたハニカム構造体であって、前記外壁部が、前記セル構造部の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁から構成されたものであるハニカム構造体(以下、「第一の発明」ということがある)。
[2]前記外壁部を構成するそれぞれの前記外壁が、焼成一体化したものである前記[1]に記載のハニカム構造体。
[3]前記外壁部が、前記セル構造部を被覆するように配設された一の前記外壁である内層外壁と、前記内層外壁の外周面上に積層された他の前記外壁である一つ以上の外層外壁とから構成されたものである前記[1]又は[2]に記載のハニカム構造体。
[4]前記外壁部を構成する前記内層外壁の厚さが、前記外層外壁の厚さより薄い前記[3]に記載のハニカム構造体。
[5]前記外壁部を構成する前記内層外壁の厚さが、前記セル構造部を構成する前記隔壁の厚さの0.3〜4倍である前記[3]又は[4]に記載のハニカム構造体。
[6]前記セル構造部及び前記外壁部が、セラミックス及び/又は金属を主成分とする材料から構成された前記[1]〜[5]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[7]前記外壁部を構成する二つ以上の前記外壁のうちの少なくとも一の前記外壁が、前記セル構造部を構成する材料とは異なる種類の材料から構成された前記[1]〜[6]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[8]筒状の前記セル構造部の一方の端部における所定の前記セルの開口部と、他方の端部における残余の前記セルの開口部とが封止部材により封止され、フィルタとして使用される前記[1]〜[7]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[9]前記セル構造部を構成する前記隔壁の表面及び/又は前記隔壁の内部の細孔表面に、触媒が担持された前記[1]〜[8]のいずれかに記載のハニカム構造体。
[10]前記触媒が、自動車排気ガスを浄化する機能を有する前記[9]に記載のハニカム構造体。
[11]成形原料を押出成形して、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状の未焼成セル構造部と、前記未焼成セル構造部の外周に配設された未焼成外壁部とから構成されたハニカム成形体を得、得られた前記ハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法であって、少なくとも所定の成形原料を、一方の表面に前記成形原料を導入する裏孔が形成されるとともに、他方の表面に前記裏孔に連通するスリットが形成された板状の口金の前記裏孔から導入し、導入した前記所定の成形原料を前記口金の前記スリットから押出して、前記未焼成セル構造部を成形するとともに、残余の成形原料を、前記未焼成セル構造部の外周上に二つ以上の中空筒状に押出して、前記未焼成セル構造部の径方向に積層された二つ以上の未焼成外壁から構成された前記未焼成外壁部を成形して、前記ハニカム成形体を得るハニカム構造体の製造方法(以下、「第二の発明」ということがある)。
[12]前記未焼成外壁部が、前記未焼成セル構造部を被覆するように配設された一の前記未焼成外壁である未焼成内層外壁と、前記未焼成内層外壁の外周面上に積層された他の前記未焼成外壁である一つ以上の未焼成外層外壁とから構成された前記[11]に記載のハニカム構造体の製造方法。
[13]二つ以上の前記未焼成外壁のうちの少なくとも一の前記未焼成外壁を、前記未焼成セル構造部を成形する前記所定の材料と異なる種類の材料の成形原料を用いて押出し成形する前記[11]又は[12]に記載のハニカム構造体の製造方法。
[14]前記口金の前記他方の表面側に、同心円環状の二つ以上の押出口を形成するように外壁部成形手段を配設し、前記残余の成形原料を二つ以上の前記押出口から押出して、前記未焼成外壁部を成形する前記[11]〜[13]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
15]前記未焼成外層外壁を成形する際に、前記未焼成外層外壁を成形する前記成形原料と前記未焼成内層外壁を成形する前記成形原料との隙間、及び/又は二つ以上の前記未焼成外層外壁を成形する前記成形原料相互間の隙間を制御する前記[12]〜[14]のいずれかに記載のハニカム構造体。
16]前記未焼成内層外壁の外周上に、一つの前記未焼成外層外壁を押出して成形する場合において、前記外壁部成形手段が、前記未焼成外層外壁の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔及び前記残余の成形原料の一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔が形成された板状部材と、前記未焼成外層外壁の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔が形成された押さえ板とを有し、前記板状部材と前記押さえ板とが、前記成形原料の押出し方向に所定の隙間を隔てた状態で、かつ前記外層内周貫通孔と前記外層外周貫通孔との中心が前記成形原料の押出し方向の同軸上に位置するように、前記口金の前記他方の表面側に配設されたものであり、前記口金と前記板状部材との隙間、及び前記板状部材と前記押さえ板との隙間によって形成された同心円環状の二つの前記押出口から前記未焼成内層外壁及び前記前記未焼成外層外壁を押出して成形する前記[14]又は[15]に記載のハニカム構造体の製造方法。
17]前記未焼成内層外壁の外周側に、二つ以上の前記未焼成外層外壁を押出成形する場合において、前記外壁部成形手段が、前記未焼成外層外壁の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔及び前記残余の成形原料の一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔が形成された二つ以上の板状部材と、二つ以上の前記未焼成外層外壁のうち最外周の前記未焼成外層外壁の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔が形成された押さえ板とを有し、二つ以上の前記板状部材と前記押さえ板とが、前記成形原料の押出し方向に所定の隙間を隔てた状態で、かつ前記外層内周貫通孔と前記外層外周貫通孔との中心が前記成形原料の押出し方向の同軸上に位置するように、前記口金の前記他方の表面側に配設されたものであり、前記口金と前記板状部材との隙間、隣接する前記板状部材同士の隙間、及び前記板状部材と前記押さえ板との隙間によって形成された同心円環状の三つ以上の前記押出口から前記未焼成内層外壁及び二つ以上の前記前記未焼成外層外壁を押出して成形する前記[14]又は[15]に記載のハニカム構造体の製造方法。
18]前記未焼成外壁部を構成する前記未焼成外層外壁を、前記未焼成外壁部を構成する前記未焼成内層外壁の外周面に対して30〜90°の角度で接触するように押出して成形する前記[12]〜[17]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
19]前記板状部材と前記押さえ板とが前記口金から取り外し可能であり、前記板状部材及び/又は前記押さえ板を、前記外層内周貫通孔の形状が異なる他の板状部材及び/又は前記外層外周貫通孔の形状が異なる他の押さえ板に交換し、異なる形状の前記未焼成外壁部を成形することが可能な前記[11]〜[18]のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
本発明のハニカム構造体は、外壁部の機械的強度に優れるとともに、隔壁のヨレや歪み等の成形不良が有効に防止されている。また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、このようなハニカム構造体を簡便かつ低コストに製造することができる。
以下、図面を参照して、本発明のハニカム構造体及びその製造方法の実施の形態について詳細に説明するが、本発明は、これに限定されて解釈されるものではなく、本発明の範囲を逸脱しない限りにおいて、当業者の知識に基づいて、種々の変更、修正、改良を加え得るものである。
図1は、本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図であり、図2は、図1に示すハニカム構造体1の一方の端面を模式的に示す平面図である。図1及び図2に示すように、本実施の形態のハニカム構造体1は、多孔質の隔壁4によって流体の流路となる複数のセル6が区画形成された筒状のセル構造部2と、セル構造部2の外周上に配設された外壁部3とを備えたハニカム構造体1であって、外壁部3が、セル構造部2の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁5から構成されたものである。このように構成することによって、外壁部3の厚さを厚くした場合であっても、セル構造部2を構成する隔壁4のヨレや歪み等の成形不良が有効に防止され、成形精度の優れたハニカム構造体1とすることができる。さらに、このような高い成形精度を維持したまま、外壁部3の厚さを厚くすることが可能であり、外壁部3の機械的強度を向上させることができる。なお、図1及び図2においては、外壁部3が、中空筒状の二つの外壁5がセル構造部2の径方向に積層された例を示しているが、例えば、図3に示すように、外壁部3が、中空筒状の三つの外壁5がセル構造部2の径方向に積層されたものであってもよく、また、図示は省略するが、中空筒状の四つ以上の外壁がセル構造部の径方向に積層されたものであってもよい。本実施の形態のハニカム構造体1は、上下水等の液体の濾過用フィルタや、ディーゼルエンジンから排出される粒子状物質の除去するためのフィルタ、また触媒担体等として好適に用いることができる。
一般的にハニカム構造体を製造する場合には、所定の成形原料を押出成形してハニカム成形体を得、得られたハニカム成形体を焼成するという方法が用いられているが、未焼成のセル構造部の外周側に押出成形される未焼成外壁部によって、成形されたばかりの未焼成のセル構造部が内側に押さて変形したり、押出成形方向に引っ張られたりするということがあり、ハニカム成形体を構成する未焼成のセル構造部にヨレや歪み等の成形不良が生じることがあったが、本実施の形態のハニカム構造体1においては、外壁部3が二つ以上の外壁5から構成されており、押出成形時の未焼成のセル構造部に加わる応力を分散させることが可能である。また、特許文献1に示されたセラミックハニカム構造体のように、外周スキン層(外壁部)の内周近傍に補強層を設けたものと比較して、その製造工程が簡便であるとともに、外壁部の機械的強度をより向上させることが可能となる。
また、従来の製造方法で製造した場合の未焼成のセル構造部に加わる応力と同程度の応力を許容した場合には、本実施の形態のハニカム構造体1においては、その外壁部3の厚さを厚くすることが可能となり、ハニカム構造体1の成形精度を維持したまま、外壁部3の機械的強度を向上させることができる。
本実施の形態のハニカム構造体1においては、特に限定されることはないが、外壁部3を構成するそれぞれの外壁5が、焼成一体化したものであることが好ましい。このようにセル構造部2の径方向に積層された二つ以上の外壁5を実質的に一体化したもの、具体的には、成形原料を押出成形する段階で二つ以上の外壁5を積層し、これを焼成して一体化したものとすることにより、外壁部3の機械的強度を、同一の厚さの一体成形品と同程度にすることができる。また、外壁部3を構成する二つ以上の外壁5のうちの少なくとも一つの外壁5を、セル構造部2を成形するための材料と異なる種類の材料の成形原料を用いて押出し成形することにより、外壁5に均質な異質材を付加することができ、外壁5に別の機能を持たせることができる。例えば、セル構造部2を成形するための材料とは異なるシリカリッチな成形原料を異なるの流路から押出して、少なくとも一つの外壁5を成形するにより、外壁5に耐水性を持たせ、例えば、セル6を通過する流体として液体を用いた場合に、この液体が外壁5の外周側からハニカム構造体1の外部に漏洩するのを有効に防止することができる。また、外壁5の熱伝導性を制御することにより、放熱しにくくすることができる。さらに、本実施の形態のハニカム構造体1においては、その製造時に、二つ以上の外壁5の成形速度を若干変えることにより、外壁5相互間の配向を持たせ、その組織をコントロールすることができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体1においては、外壁部3が、セル構造部2を被覆するように配設された一の外壁5である内層外壁8と、内層外壁8の外周面上に積層された他の外壁5である一つ以上の外層外壁9とから構成されたものであることが好ましい。このように、セル構造部2の径方向に積層された二つ以上の外壁5は、内層外壁8と外層外壁9とに大別することができる。内層外壁8は、セル構造部2の外周上に直接配設され、押出成形時に加わるセル構造部2への応力の主用部分を支配するものがある。また、外層外壁9は、内層外壁8の外周上に積層されたものであり、押出成形時には、内層外壁8によってセル構造部2に加わる応力が緩和される。
本実施の形態のハニカム構造体1においては、特に限定されることはないが、外壁部3を構成する内層外壁8の厚さが、外層外壁9の厚さと同一、又は外層外壁9の厚さよりも薄いことが好ましく、特に、外層外壁9の厚さよりも薄いことが好ましい。具体的には、例えば、内層外壁8の厚さが、外層外壁9の厚さの0.25〜1倍であることが好ましく、0.3〜1倍であることがさらに好ましく、0.4〜0.6倍であることが特に好ましい。このように構成することにより、外層外壁9によって外壁部3の厚さの微調整を容易に行うことができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体1においては、特に限定されることはないが、外壁部3を構成する内層外壁8の厚さが、セル構造部2を構成する隔壁4の厚さの0.3〜4倍であることが好ましく、0.5〜3倍であることがさらに好ましく、1〜2倍であることが特に好ましい。内層外壁8の厚さが、隔壁4の厚さの0.3倍未満であると、外壁部3として十分な機械的強度を得るためには、内層外壁8の厚さが薄過ぎて、その外周上に配設する外層外壁9の応力を支えきれずに変形してしまう恐れがある。また、内層外壁8の厚さが、隔壁4の厚さの4倍を超えると、内層外壁8がセル構造部2の外周上に配設される場合に、その応力によってセル構造部2にヨレや歪みが発生する恐れがある。
また、隔壁4の厚さについても特に制限はないが、例えば、30〜2000μmであることが好ましく、40〜1000μmであることがさらに好ましく、50〜750μmであることが特に好ましい。また、セル構造部2のセル密度についても特に制限はないが、例えば、6〜2000セル/平方インチ(0.9〜311セル/cm2)、好ましくは50〜1000セル/平方インチ(7.8〜155セル/cm2)程度とすることができる。
セル構造部2及び外壁部3は、強度、耐熱性、耐久性等の観点から、セラミックス及び/又は金属を主成分とする材料から構成されたものであることが好ましく、具体的には、例えば、セラミックスとしてはコージェライト、ムライト、アルミナ、スピネル、炭化珪素、窒化珪素、窒化アルミニウム、ジルコニア、リチウムアルミニウムシリケート及びチタン酸アルミニウム等を挙げることができ、金属としてはFe−Cr−Al系金属及び金属珪素等を挙げることができ、これらの中から選ばれた少なくとも1種を主成分とすることが好ましい。さらに、高強度、高耐熱性等の観点からは、アルミナ、ムライト、ジルコニア、炭化珪素及び窒化珪素からなる群から選ばれた少なくとも1種であることが好ましく、熱伝導率及び耐熱性の観点からは、炭化珪素又は珪素−炭化珪素複合材料が特に適している。また、活性炭、シリカゲル、ゼオライト等の吸着材料も好適な材料として挙げることができる。ここで、「主成分」とは、セル構造部2及び外壁部3の50質量%以上、好ましくは70質量%以上、さらに好ましくは80質量%以上を構成することを意味する。
また、本実施の形態のハニカム構造体1は、図4に示すように、セル構造部2の一方の端部における所定のセル6aの開口部と、他方の端部における残余のセル6bの開口部とが封止部材7により封止され、フィルタとして使用されるものであってもよい。このようにフィルタとして使用する場合には、例えば、ハニカム構造体1の一方の端部側の端面から流入した粒子状物質を含む排気ガスは、隔壁4を通過して他方の端部側の端面から流出するが、隔壁4を透過する際に多孔質の隔壁4がフィルタの役目をはたし、粒子状物質を捕集することができる。
上述した封止部材7は、セル構造部2を構成する隔壁4と同一の材料であってもよく、また、異なるものでもよいが、隔壁4と封止部材7とでは要求される機能が異なるため、各々の要求される機能に応じて、材料を選択することが好ましい。
また、セル構造部2を構成する隔壁4の表面及び/又は隔壁4の内部の細孔表面に、触媒が担持されたものであってもよい。例えば、ハニカム構造体1をDPFとして用いる場合には、捕集された粒子状物質が隔壁4上に徐々に堆積するに従って圧力損失が上昇するためにエンジンに負担がかかり、燃費、ドライバビリティが低下するので、定期的にヒーター等の加熱手段によって粒子状物質を燃焼除去し、フィルタ機能を再生させるようにする。この再生時における燃焼を促進させるため、ハニカム構造体1に触媒を担持する。
また、上述した触媒は、自動車排気ガスを浄化する機能を有することが好ましく、例えば、触媒能を有する金属等、具体的には、貴金属系のPt、Pd、Rh等、非金属系のペロブスカイト型触媒等を好適例として挙げることができる。
本実施の形態のハニカム構造体1は、その形状に特に制限はなく、例えば、ハニカム構造体1の断面形状は、円形、楕円形、レーストラック形状、四角形等、用途や設置場所に応じて適宜決定することができる。また、セル6の断面形状に特に制限はないが、三角形、四角形、六角形であることが好ましい。
次に、本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法の実施の形態について説明する。本実施の形態のハニカム構造体の製造方法は、例えば、図5に示すようなハニカム構造体成形装置21を用いて実現することができる。このハニカム構造体成形装置21は、裏孔24とスリット25とが形成された板状の口金22と、ハニカム構造体1(図1参照)の外壁部3(図1参照)を押出成形するための外壁部成形手段23とを備えたものである。本実施の形態のハニカム構造体の製造方法は、成形原料26を押出成形して、流体の流路となる複数のセル6が区画形成された筒状の未焼成セル構造部12と、未焼成セル構造部12の外周に配設された未焼成外壁部13とから構成されたハニカム成形体11を得、得られたハニカム成形体11を焼成してハニカム構造体1(図1参照)を得るハニカム構造体の製造方法であって、所定の成形原料26を、一方の表面に成形原料を導入する裏孔24が形成されるとともに、他方の表面に裏孔24に連通するスリット25が形成された板状の口金22の裏孔24から導入し、導入した成形原料26を口金22のスリット25から押出して、未焼成セル構造部12を成形するとともに、残余の成形原料26bを、未焼成セル構造部12の外周上に二つ以上の中空筒状に押出して、未焼成セル構造部12の径方向に積層された二つ以上の未焼成外壁15から構成された未焼成外壁部13を成形してハニカム成形体11を得るハニカム構造体の製造方法である。このように構成することによって、図1に示すような、外壁部3がセル構造部2の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁5から構成されたハニカム構造体1を、簡便かつ低コストに製造することができる。
図5に示すように、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、成形された未焼成外壁部13が、未焼成セル構造部12を被覆するように配設された一の未焼成外壁15である未焼成内層外壁18と、この未焼成内層外壁18の外周面上に積層された他の未焼成外壁15である一つ以上の未焼成外層外壁19とから構成されたものであることが好ましい。
また、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、口金22の他方の表面(スリット25側の表面)側に上述した外壁部成形手段23を配設して同心円環状の二つ以上の押出口27を形成し、残余の成形原料26bを、この二つ以上の押出口27から押出して二つ以上の未焼成外壁15から構成された未焼成外壁部13を成形することが好ましい。
具体的には、例えば、未焼成内層外壁18の外周上に、一つの未焼成外層外壁19を押出して成形する場合において、外壁部成形手段23が、図6に示すような、未焼成外層外壁19の内周の大きさ対応する外層内周貫通孔30及び未焼成外層外壁19を成形するための残余の成形原料26bの一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔31が形成された板状部材28と、図7に示すような、未焼成外層外壁19の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔32が形成された押さえ板29とを有し、図5に示すように、板状部材28と押さえ板29とが、成形原料26の押出し方向に所定の隙間33を隔てた状態で、かつ外層内周貫通孔30と外層外周貫通孔32との中心が成形原料26の押出し方向の同軸上に位置するように、口金22の他方の表面側、即ち、スリット25が形成された側の表面に配設されたものであり、口金22と板状部材28との隙間33a、及び板状部材28と押さえ板29との隙間33bによって形成された同心円環状の二つの押出口27から未焼成内層外壁18及び未焼成外層外壁19を押出して成形することが好ましい。
このように構成することによって、口金22のスリット25から押出された未焼成セル構造部12の外周上に、口金22と板状部材28との隙間33aを通過した成形原料26bを外層内周貫通孔30から押出して未焼成内層外壁18を成形するとともに、この未焼成内層外壁18の外周上に、板状部材28と押さえ板29との隙間33bを通過した成形原料26bを押出して未焼成外層外壁19を簡便に成形することができる。なお、口金22と板状部材28との隙間33a、及び板状部材28と押さえ板29との隙間33bには、所定の厚さのスペーサ34を配設して上述した隙間33a,33bを形成することが好ましい。
図5に示す口金22は、ハニカム構造体の製造に従来使用されている口金をそのまま用いることができるために、上述した外壁部成形手段23を従来公知の口金に配設することにより、図5に示すハニカム構造体成形装置21を構成することが可能であり、このハニカム構造体成形装置21を用いて本実施の形態のハニカム構造体の製造方法を実施することができる。また、図5に示す外壁部成形手段23は、さまざまな種類の口金に対して付替え可能なものとすることにより、口金22の枚数の削減を実現することができ、ハニカム構造体を低コストに製造することができる。
また、図5においては、口金22のスリット25が形成された側の表面が平坦な例を示しているが、例えば、図8に示すような、未焼成セル構造部12を押出成形する内側部がテーパ状に突出した口金22であってもよい。この口金22の内側部分の突出するテーパ角は、0〜90°であることが好ましい。図8において、図5に示す各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
板状部材28に形成された外層内周貫通孔30の大きさは、板状部材28が一枚の場合には、未焼成内層外壁18の外周の大きさに対応した大きさとすることも可能であり、具体的には、外層外周貫通孔32の大きさは、未焼成外層外壁19の内周の大きさ又は未焼成内層外壁18の外周の大きさより1〜50mm大きくすることが好ましい。
図5においては、板状部材28の外層内周貫通孔30を形成する内周面が、成形原料26の押出方向に平行な場合の例を示しているが、例えば、成形原料26の押出方向に対して0〜60°にテーパ状に形成されていてもよい。即ち、板状部材28の口金22と対向する側の表面と、外層内周貫通孔30を形成する内周面とによって構成される角Aが、90〜150°であることが好ましい。また、上述した角Aが曲率を有するものとしてもよく、また、角Aが所定の長さで面取りされていてもよい。角Aが曲率を有する場合には、曲率半径が1mm以下であることが好ましく、面取りされている場合は、C面の長さが0.05〜1mmであることが好ましい。
また、板状部材28の外層内周貫通孔30近傍部分における押さえ板29と対向する表面は、未焼成外層外壁19を押出成形するための通路及び押出口27の一部となるために、押出した未焼成外層外壁19が、未焼成内層外壁18を適度に押さえつつ、確実に未焼成内層外壁18の外周面と密着するように、この表面に傾斜をもたせてもよい。具体的には、板状部材28の外層内周貫通孔30近傍部分における押さえ板29と対向する表面と、外層内周貫通孔30を形成する内周面とによって構成される角Bが、30〜90°となるように構成されていることが好ましい。このように構成することによって、未焼成外層外壁19を、板状部材28と押さえ板29との隙間33bに形成された押出口27から、未焼成内層外壁18の外周面に対して30〜90°の角度で接触するように押出して成形することが可能となり、未焼成内層外壁18と未焼成外層外壁19との密着性を向上させることができる。また、上述した角Bが曲率を有するものとしてもよく、また、角Bが所定の長さで面取りされていてもよい。角Bが曲率を有する場合には、曲率半径が0.1〜5mmであることが好ましく、面取りをする場合は、C面の長さが0.1〜5mmであることが好ましい。
板状部材28に形成された一つ以上の成形原料通過孔31については、未焼成外層外壁19を成形するための残余の成形原料26bの一部が、口金22側から押さえ板29側に通過するための通路となるものであれば、その形状等については特に制限はないが、例えば、自動車用のDPF等に使用するハニカム構造体を製造する場合には、この成形原料通過孔31が、外層内周貫通孔30の外側に、1〜1000個程度形成されていることが好ましく、また、成形原料通過孔31の開口径の大きさは、0.5〜10mmであることが好ましい。また、この成形原料通過孔31が二つ以上である場合には、外層内周貫通孔30の外側に、放射状や格子状に配設した状態で形成されていることが好ましい。
また、板状部材28の厚さについては特に制限はないが、0.1mm以上であることが好ましい。このように構成することによって、未焼成外壁部13の成形精度を向上させることができる。
板状部材28と口金22との隙間33aは、未焼成内層外壁18を成形する成形原料26bが通過する通路となることから、必要十分な量の成形原料26が供給され、未焼成セル構造部12の成形速度に合わせて押出成形することが可能な間隔で形成されていることが好ましい。具体的には、板状部材28と口金22との隙間33aの間隔は、成形する未焼成内層外壁18の厚さの1〜4倍とすることが好ましい。このような隙間33aを形成するためには、上述した厚さを有するスペーサ34を板状部材28と口金22との間に配設して隙間33aを調整することが好ましい。このようなスペーサ34としては、板状部材28の外側を囲うような環状の形状とすることにより、板状部材28外側からの成形原料16の流出を防止することができる。
また、外壁部成形手段23を構成する押さえ板29は、未焼成外層外壁19の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔32が形成されたものである。この外層外周貫通孔32の具体的な大きさについては、成形する外層外壁の大きさによって異なるが、例えは、外層内周貫通孔30の大きさより、0.5〜50mm程度大きく形成することが好ましい。
押さえ板29の外層外周貫通孔32近傍部分は、上述した、板状部材28の表面と外層内周貫通孔30を形成する内周面とによって構成される角Bの形状に沿った形で、その間隔、即ち、未焼成外層外壁19を押出す押出口27の幅が0.05〜5mm程度となるように形成されていることが好ましい。また、図5に示すように、外層外周貫通孔32が、押出方向に向って広くなるように構成されている場合には、ハニカム成形体11に加わる応力が開放され、成形精度を向上させることができる。また、図示は省略するが、外層外周貫通孔が、押出方向に向って狭くなるように構成されていてもよく、この場合には、外壁部を構成するそれぞれの外壁の密着性を向上させることができる。
図5に示すように、板状部材28と押さえ板29との隙間33bは、未焼成外層外壁19を成形する成形原料26が通過する通路となることから、必要十分な量の成形原料26が供給され、同時に押出成形される未焼成内層外壁18の成形速度に合わせることができるように形成されていることが好ましく、具体的には、0.025〜1mmであることが好ましい。この板状部材28と押さえ板29との隙間33bと、板状部材28の表面と外層内周貫通孔30を形成する内周面とによって構成される角Bを変化させることにより、上述した未焼成外層外壁19を押出す押出口27の幅を変化させることができる。
また、押さえ板29は、図9(a)及び図9(b)に示すように、板状部材28(図5参照)に対向する表面側に環状の溝部35が形成されたものであってもよい。この溝部35に、成形原料26(図5参照)を溜めておくことができることから、外層内周貫通孔30から押出す成形原料26(図5参照)の量を増大させること可能であるとともに、安定した量の押出を実現することができる。また、図10(a)及び図10(b)に示すように、板状部材28(図5参照)に対向する表面側に環状の溝部35が形成されるとともに、押出す成形原料26(図5参照)の量を調整するためのネジ36が配設されたものであってもよい。このように構成することによって、外層内周貫通孔30から押出す成形原料26の量を増大させるだけでなく、押出す成形原料26の量を調整することができる。また、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、図11に示すように、押さえ板29の外周側から成形原料26を導入して、未焼成外層外壁19を成形するものとしてもよく、この場合には、図12(a)及び図12(b)に示すように、板状部材28(図5参照)に対向する表面側に環状の第一の溝部37が形成されるとともに、この第一の溝部37から外周側に向って放射状に第二の溝部38が形成されたものであってもよい。このように構成することによって、第二の溝部38から十分な量の成形原料26を導入し、導入した成形原料26を第一の溝部37に溜めておくことが可能となり、外層内周貫通孔30から押出す成形原料26の量をさらに増大させることが可能となる。なお、図11において、図5に示す各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
また、図5においては、口金22の外周の大きさと、外壁部成形手段23を構成する板状部材28及び押さえ板29の外周の大きさが略同一であるが、例えば、図13に示すように、口金22の外周側においては、スリット25を形成せずに、裏孔24を口金22の一方の表面から他方の表面まで貫通させ、この裏孔24から成形原料26bを直接導入することができるようにしてもよい。また、図14に示すように、口金22の外周の大きさを、板状部材28及び押さえ板29の外周の大きさより小さくし、この板状部材28及び押さえ板29の外周の大きさに対応した筒状の外枠55を配設して、成形原料26bを口金22の外側を経由させることにより、板状部材28と押さえ板29との隙間33bに直接導入することができるようにしてもよい。このように構成することによって、未焼成外壁部13を構成する成形原料26bの導入量を増大させることができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、二つ以上の未焼成外壁15のうちの少なくとも一つの未焼成外壁15を、未焼成セル構造部12を成形する所定の材料と異なる種類の材料の成形原料を用いて押出し成形してもよい。例えば、二つ以上の未焼成外壁15を成形する成形原料26bのうちの少なくとも一部の成形原料126としてシリカリッチな成形原料を用い、それ以外の成形原料127とは異なるの流路から押出して少なくとも一つの未焼成外壁5を成形する。このように構成することによって、外壁5(図1参照)に耐水性を持たせ、セル6(図1参照)を通過する流体として液体を用いた場合に、この液体が外壁5(図1参照)の外周側からハニカム構造体1(図1参照)の外部に漏洩するのを有効に防止することができる。
本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、未焼成外層外壁19を成形する際に、未焼成外層外壁19の配向を制御することが好ましく、また、未焼成外層外壁19を成形する成形原料と未焼成内層外壁18を成形する成形原料との隙間、及び/又は二つ以上の未焼成外層外壁19を成形する成形原料相互間の隙間を制御することも好ましい。具体的な方法としては、成形材料の押出速度を異ならせて、配向や、それぞれの隙間を制御する方法を挙げることができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、使用する板状部材28と押さえ板29とが口金22から取り外し可能であり、板状部材28及び/又は押さえ板29を、外層内周貫通孔30の形状が異なる他の板状部材(図示せず)及び/又は外層外周貫通孔32の形状が異なる他の押さえ板(図示せず)に交換し、異なる形状の未焼成外壁部13を成形することができる。このように、板状部材28及び/又は押さえ板29を交換することができるため、さまざまな大きさのハニカム構造体を簡便に製造することができる。また、未焼成外壁部13が、未焼成セル構造部12の内部に流入しないため、ハニカム構造を良好に保つことができる。
また、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法においては、例えば、図15に示すようなハニカム構造体成形装置41を用いて、未焼成内層外壁18の外周側に、二つ以上の未焼成外層外壁19を押出成形してもよい。具体的には、未焼成内層外壁18の外周側に、二つ以上の未焼成外層外壁19を押出成形する場合において、外壁部成形手段43が、未焼成外層外壁19の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔50及び未焼成外層外壁19を成形するための残余の成形原料26bの一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔51が形成された二つ以上の板状部材48と、二つ以上の未焼成外層外壁19のうち最外周の未焼成外層外壁19aの外周の大きさに対応する外層外周貫通孔52が形成された押さえ板49とを有し、二つ以上の板状部材48と押さえ板49とが、成形原料26の押出し方向に所定の隙間53を隔てた状態で、かつ外層内周貫通孔50と外層外周貫通孔52との中心が成形原料26の押出し方向の同軸上に位置するように、口金22の、スリット25が形成された他方の表面側に配設されたものであり、口金22と板状部材48との隙間53a、隣接する板状部材同士の隙間53c、及び板状部材48と押さえ板49との隙間53bによって形成された同心円環状の三つ以上の押出口47から未焼成内層外壁18及び二つ以上の未焼成外層外壁19を押出して成形することが好ましい。なお、図13〜図15において、図5に示す各要素と同様に構成されているものについては、同一の符号を付して説明を省略する。
このように構成することによって、裏孔44から導入した成形原料26をスリットから押出して未焼成セル構造部12を成形すると同時に、成形した未焼成セル構造部12の外周上に、同心円環状の三つ以上の押出口47から三つ以上の未焼成外壁を押出して積層することができる。なお、図15に示すハニカム構造体成形装置41においては、外壁部成形手段43が二つ以上の板状部材48を有し、それぞれの板状部材48に、未焼成外層外壁19の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔50がそれぞれ形成されたものであり、口金22のスリット側の表面に、より内側に配設されるべき未焼成外壁部13の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔50が形成された板状部材48から順番に、所定の隙間53を隔てた状態で配設したものである以外は、図5に示すハニカム構造体成形装置21と略同様の構成とすることができる。なお、図15に示すハニカム構造体成形装置41においては、板状部材48の外層内周貫通孔50近傍部分には傾斜等をもたせなくともよく、それぞれの板状部材48は、平板状であることが好ましい。
図5に示すように、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置21は、裏孔24とスリット25とが形成された板状の口金22と、外壁部成形手段23を備えたものであるが、さらに、成形原料26を口金22の裏孔24側から押出すための、ピストンとシリンダと有する押出機(図示せず)や、裏押さえ板(図示せず)等を備えたものであってもよい。このようなハニカム構造体成形装置21を用いることにより、図1に示したようなハニカム構造体1を連続的に押出成形することが可能となり、高効率にハニカム構造体1を製造することができる。
なお、本実施の形態のハニカム構造体の製造方法において、上述した方法でハニカム成形体を得た後に行われる、ハニカム成形体を焼成する工程については、従来のハニカム構造体の製造方法にて行われている焼成方法を好適に用いることができる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、セル構造部の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁から構成された外壁部とを備えたハニカム構造体(実施例1)を、アルミナ、カオリン、及びタルクを主成分とするセラミックスを成形原料として、図5に示すようなハニカム構造体成形装置21を用いて成形して100個製造した。
本実施例のハニカム構造体の外壁部は、セル構造部を被覆するように配設された一の外壁である内層外壁と、内層外壁の外周面上に積層された他の外壁である外層外壁とから構成され、内層外壁の厚さは0.1mmであり、外層外壁の厚さは0.3mmである。
この100個のハニカム構造体のセルの形状不良を検査し、検査に合格したハニカム構造体の個数を測定した。なお、セルの形状不良の検査の方法としては、カメラでハニカム構造体を切断した断面を撮影し、正常な格子構造(ハニカム構造)に対してセルのずれ量を画像処理で判断するものとし、検査基準としては、それぞれのセルに対して、格子基準からのずれ量が0.1mm未満の場合は○とし、格子基準からのずれ量が0.1〜0.2mmの場合は△とし、格子基準からのずれ量が0.2mmを超える場合は×とした。
また、それぞれのハニカム構造体のアイソスタティック強度を測定した。なお、測定値に関しては、0MPaから1MPaおきに、最大値を10MPaとした。アイソスタティック強度を測定する方法としては、JASO規格M505−87に基づき静水圧下でハニカム構造体を圧縮してセルが破損したときの強度を評価したものとした。図16は、本実施例のハニカム構造体のアイソスタティック強度と、それぞれの外壁の厚さにおけるアイソスタティック強度測定時の破損個数との関係を示すグラフである。なお、横軸はハニカム構造体のアイソスタティック強度(MPa)を示し、縦軸は、アイソスタティック強度測定時の破損個数(個)を示す。アイソスタティック強度測定時の破損個数とは、ハニカム構造体の断面よりセルの破損が確認されたものの数を示す。
(比較例1及び2)
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、セル構造部の外周上に配設された一層の外壁部とか構成されたハニカム構造体(比較例1及び2)を100個ずつ製造した。成形原料は、実施例1のハニカム構造体と同様にセラミックスを用い、比較例1のハニカム構造体の外壁部の厚さを0.1mm、比較例2のハニカム構造体の外壁部の厚さを0.3mmとした。
比較例1及び2のハニカム構造体に対して、セルの形状不良の検査と、アイソスタティック強度の測定を、実施例1と同様の方法で行った。結果は、図16に示すグラフに示している。
図16に示すグラフにおいては、グラフの分布が右にあるほどアイソスタティック強度が高いことを示しており、本実施例のハニカム構造体が比較例1及び2と比較してアイソスタティック強度が高いことを示している。特に、実施例1のハニカム構造体の外壁部の厚さ(内層外壁及び外層外壁の厚さの合計)は、比較例2のハニカム構造体の外層部の厚さと同じであることから、外層部を二つ以上の外壁(内層外壁及び外層外壁)とすることにより、そのアイソスタティック強度が向上していることが分かる。
(実施例2〜4)
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、セル構造部の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁(内層外壁及び外層外壁)から構成された外壁部とを備えたハニカム構造体(実施例2〜4)を、セラミックスを成形原料として製造した。実施例2のハニカム構造体は内層外壁の厚さが0.1m、外層外壁の厚さが0.1mmであり、実施例3のハニカム構造体は内層外壁の厚さが0.1mmであり、外層外壁の厚さが0.2mmであり、実施例4のハニカム構造体は内層外壁の厚さが0.1mmであり、外層外壁の厚さが0.5mmである。
実施例2〜4のハニカム構造体において、実施例1と同様の方法で、セルの形状不良の検査を行った。結果を表1に示す。また、外壁の形状の不良についても検査した。外壁の形状の不良の検査の方法としては、外壁にめくれやシワ、切れ目等の外観不良の有無を目視で確認した。検査基準としては、外観不良が確認されない状態の場合は○とし、数カ所の不良が確認される状態の場合は△とし、均等な外壁が付かない切れ目や、シワが多数発生した状態の場合は×とした。結果を表1に示す。
Figure 0004455909
(比較例3〜5)
多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、セル構造部の外周上に配設された一層の外壁部とか構成されたハニカム構造体(比較例3〜5)を製造した。成形原料は、実施例1のハニカム構造体と同様にセラミックスを用い、比較例3のハニカム構造体の外壁部の厚さを0.1mm、比較例4のハニカム構造体の外壁部の厚さを0.3mm、比較例5のハニカム構造体の外壁部の厚さを0.5mm、とした。
比較例3〜5のハニカム構造体に対して、セルの形状不良の検査と、外壁の形状の不良の検査とを、実施例2と同様の方法で行った。結果を表1に示す。
表1に示すように、実施例2〜4のハニカム構造体は、外壁部の厚さ(内層外壁の厚さと外層外壁の厚さの合計)が厚くなったとしても、セルの成形不良を起こし難く、アイソスタティック強度に優れていることが分かる。なお、比較例3のハニカム構造体は、セルの成形不良及び外壁の形状の不良の検査においては、ともに良好な結果であったが、図16に示すグラフからも分かるように、その外壁部の厚さが薄いために、アイソスタティック強度が低く、破損し易いものであった。
本発明のハニカム構造体は、外壁部の機械的強度に優れるとともに、隔壁のヨレや歪み等の成形不良が有効に防止されていることから、例えば、粒子状物質を除去するための捕集フィルタや、触媒担体等として好適に用いることができる。また、本発明のハニカム構造体の製造方法は、このようなハニカム構造体を簡便かつ低コストに製造することができる。
本発明(第一の発明)のハニカム構造体の一の実施の形態を模式的に示す斜視図である。 図1に示すハニカム構造体における、一方の端面を模式的に示す平面図である。 本発明(第一の発明)のハニカム構造体の他の実施の形態における、一方の端面を模式的に示す平面図である。 セルの開口部が封止部材によって封止されたハニカム構造体を模式的に示す斜視図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置の一例を示す断面図である。 図5に示すハニカム構造体成形装置に用いられる板状部材を示す平面図である。 図5に示すハニカム構造体成形装置に用いられる押さえ板を示す平面図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置の他の例を示す断面図である。 図9(a)は、図5に示すハニカム構造体成形装置に用いられる押さえ板の一例を模式的に示す平面図であり、図9(b)は、図9(a)に示した押さえ板をD−D線で切断した断面図である。 図10(a)は、図5に示すハニカム構造体成形装置に用いられる押さえ板の他の例を模式的に示す平面図であり、図10(b)は、図10(a)に示した押さえ板をE−E線で切断した断面図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法における、外壁部成形手段に成形原料を導入する方法を模式的に示す断面図である。 図12(a)は、図5に示すハニカム構造体成形装置に用いられる押さえ板の他の例を模式的に示す平面図であり、図12(b)は、図12(a)に示した押さえ板をF−F線で切断した断面図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置の他の例を示す断面図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置の他の例を示す断面図である。 本発明(第二の発明)のハニカム構造体の製造方法に用いられるハニカム構造体成形装置の他の例を示す断面図である。 本実施例における、ハニカム構造体のアイソスタティック強度と、それぞれの外壁の厚さにおけるアイソスタティック強度測定時の破損個数との関係を示すグラフである。 図17(a)は、従来のハニカム構造体を模式的に示す斜視図であり、図17(b)は、図17(a)のハニカム構造体の一方の端面を模式的に示す平面図である。 従来のハニカム構造体を製造する際に用いられるハニカム構造体成形装置を模式的に示す垂直断面図である。
符号の説明
1…ハニカム構造体、2…セル構造部、3…外壁部、4…隔壁、5…外壁、6,6a,6b…セル、7…封止部材、8…内層外壁、9…外層外壁、11…ハニカム成形体、12…未焼成セル構造部、13…未焼成外壁部、15…未焼成外壁、18…未焼成内層外壁、19…未焼成外層外壁、19a…最外周の未焼成外層外壁、21…ハニカム構造体成形装置、22…口金、23…外壁部成形手段、24…裏孔、25…スリット、26,26a,26b…成形原料、27…押出口、28…板状部材、29…押さえ板、30…外層内周貫通孔、31…成形原料通過孔、32…外層外周貫通孔、33,33a,33b…隙間、34…スペーサ、35…溝部、36…ネジ、37…第一の溝部、38…第二の溝部、41…ハニカム構造体成形装置、43…外壁部成形手段、47…押出口、48…板状部材、49…押さえ板、50…外層内周貫通孔、51…成形原料通過孔、52…外層外周貫通孔、53,53a,53b,53c…隙間、55…外枠、61…ハニカム構造体、62…外壁、63…セル、64…隔壁、70…ハニカム構造体成形装置、72,83,84…スリット、73…裏孔、74…口金、75…押さえ板、77…隙間部、78…押さえ部材、79…裏押さえ板、82…ハニカム成形体、126,127…成形原料、A,B…角。

Claims (19)

  1. 多孔質の隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状のセル構造部と、前記セル構造部の外周上に配設された外壁部とを備えたハニカム構造体であって、
    前記外壁部が、前記セル構造部の径方向に積層された中空筒状の二つ以上の外壁から構成されたものであるハニカム構造体。
  2. 前記外壁部を構成するそれぞれの前記外壁が、焼成一体化したものである請求項1に記載のハニカム構造体。
  3. 前記外壁部が、前記セル構造部を被覆するように配設された一の前記外壁である内層外壁と、前記内層外壁の外周面上に積層された他の前記外壁である一つ以上の外層外壁とから構成されたものである請求項1又は2に記載のハニカム構造体。
  4. 前記外壁部を構成する前記内層外壁の厚さが、前記外層外壁の厚さより薄い請求項3に記載のハニカム構造体。
  5. 前記外壁部を構成する前記内層外壁の厚さが、前記セル構造部を構成する前記隔壁の厚さの0.3〜4倍である請求項3又は4に記載のハニカム構造体。
  6. 前記セル構造部及び前記外壁部が、セラミックス及び/又は金属を主成分とする材料から構成された請求項1〜5のいずれかに記載のハニカム構造体。
  7. 前記外壁部を構成する二つ以上の前記外壁のうちの少なくとも一の前記外壁が、前記セル構造部を構成する材料とは異なる種類の材料から構成された請求項1〜6のいずれかに記載のハニカム構造体。
  8. 筒状の前記セル構造部の一方の端部における所定の前記セルの開口部と、他方の端部における残余の前記セルの開口部とが封止部材により封止され、フィルタとして使用される請求項1〜7のいずれかに記載のハニカム構造体。
  9. 前記セル構造部を構成する前記隔壁の表面及び/又は前記隔壁の内部の細孔表面に、触媒が担持された請求項1〜8のいずれかに記載のハニカム構造体。
  10. 前記触媒が、自動車排気ガスを浄化する機能を有する請求項9に記載のハニカム構造体。
  11. 成形原料を押出成形して、隔壁によって流体の流路となる複数のセルが区画形成された筒状の未焼成セル構造部と、前記未焼成セル構造部の外周に配設された未焼成外壁部とから構成されたハニカム成形体を得、得られた前記ハニカム成形体を焼成してハニカム構造体を得るハニカム構造体の製造方法であって、
    少なくとも所定の成形原料を、一方の表面に前記成形原料を導入する裏孔が形成されるとともに、他方の表面に前記裏孔に連通するスリットが形成された板状の口金の前記裏孔から導入し、導入した前記所定の成形原料を前記口金の前記スリットから押出して、前記未焼成セル構造部を成形するとともに、残余の成形原料を、前記未焼成セル構造部の外周上に二つ以上の中空筒状に押出して、前記未焼成セル構造部の径方向に積層された二つ以上の未焼成外壁から構成された前記未焼成外壁部を成形して、前記ハニカム成形体を得るハニカム構造体の製造方法。
  12. 前記未焼成外壁部が、前記未焼成セル構造部を被覆するように配設された一の前記未焼成外壁である未焼成内層外壁と、前記未焼成内層外壁の外周面上に積層された他の前記未焼成外壁である一つ以上の未焼成外層外壁とから構成された請求項11に記載のハニカム構造体の製造方法。
  13. 二つ以上の前記未焼成外壁のうちの少なくとも一つの前記未焼成外壁を、前記未焼成セル構造部を成形する前記所定の材料と異なる種類の材料の成形原料を用いて押出し成形する請求項11又は12に記載のハニカム構造体の製造方法。
  14. 前記口金の前記他方の表面側に、同心円環状の二つ以上の押出口を形成するように外壁部成形手段を配設し、前記残余の成形原料を二つ以上の前記押出口から押出して、前記未焼成外壁部を成形する請求項11〜13のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  15. 前記未焼成外層外壁を成形する際に、前記未焼成外層外壁を成形する前記成形原料と前記未焼成内層外壁を成形する前記成形原料との隙間、及び/又は二つ以上の前記未焼成外層外壁を成形する前記成形原料相互間の隙間を制御する請求項12〜14のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法
  16. 前記未焼成内層外壁の外周上に、一つの前記未焼成外層外壁を押出して成形する場合において、
    前記外壁部成形手段が、前記未焼成外層外壁の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔及び前記残余の成形原料の一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔が形成された板状部材と、前記未焼成外層外壁の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔が形成された押さえ板とを有し、前記板状部材と前記押さえ板とが、前記成形原料の押出し方向に所定の隙間を隔てた状態で、かつ前記外層内周貫通孔と前記外層外周貫通孔との中心が前記成形原料の押出し方向の同軸上に位置するように、前記口金の前記他方の表面側に配設されたものであり、
    前記口金と前記板状部材との隙間、及び前記板状部材と前記押さえ板との隙間によって形成された同心円環状の二つの前記押出口から前記未焼成内層外壁及び前記前記未焼成外層外壁を押出して成形する請求項14又は15に記載のハニカム構造体の製造方法。
  17. 前記未焼成内層外壁の外周側に、二つ以上の前記未焼成外層外壁を押出成形する場合において、
    前記外壁部成形手段が、前記未焼成外層外壁の内周の大きさに対応する外層内周貫通孔及び前記残余の成形原料の一部が通過する一つ以上の成形原料通過孔が形成された二つ以上の板状部材と、二つ以上の前記未焼成外層外壁のうち最外周の前記未焼成外層外壁の外周の大きさに対応する外層外周貫通孔が形成された押さえ板とを有し、二つ以上の前記板状部材と前記押さえ板とが、前記成形原料の押出し方向に所定の隙間を隔てた状態で、かつ前記外層内周貫通孔と前記外層外周貫通孔との中心が前記成形原料の押出し方向の同軸上に位置するように、前記口金の前記他方の表面側に配設されたものであり、
    前記口金と前記板状部材との隙間、隣接する前記板状部材同士の隙間、及び前記板状部材と前記押さえ板との隙間によって形成された同心円環状の三つ以上の前記押出口から前記未焼成内層外壁及び二つ以上の前記前記未焼成外層外壁を押出して成形する請求項14又は15に記載のハニカム構造体の製造方法。
  18. 前記未焼成外壁部を構成する前記未焼成外層外壁を、前記未焼成外壁部を構成する前記未焼成内層外壁の外周面に対して30〜90°の角度で接触するように押出して成形する請求項12〜17のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
  19. 前記板状部材と前記押さえ板とが前記口金から取り外し可能であり、前記板状部材及び/又は前記押さえ板を、前記外層内周貫通孔の形状が異なる他の板状部材及び/又は前記外層外周貫通孔の形状が異なる他の押さえ板に交換し、異なる形状の前記未焼成外壁部を成形することが可能な請求項11〜18のいずれかに記載のハニカム構造体の製造方法。
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