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JP4451179B2 - 車線位置検知システム - Google Patents

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Description

車載カメラで路面を撮像して得られた画像を俯瞰画像に変換し、該俯瞰画像の輝度を車両進行方向に平行に積分して進行方向に垂直な方向に対する輝度プロファイルを求めて白線の位置を検出する車線位置検知システムに関する。
従来より、車両の進行方向前方又は後方に向けてカメラを設置し、視点変換技術を用いて撮影されたカメラの画像を俯瞰画像に変換する方法が知られており(例えば、特許文献1、特許文献2、特許文献3、特許文献4参照)、さらに、変換された俯瞰画像より路面の白線(レーンマーカー)位置を検出するレーンマーカー位置検出装置が提案されている(特願2002−246859号明細書、特願2003−146535号明細書参照)。
図7は、上述したレーンマーカー位置検出装置の概略構成を示したブロック図である。レーンマーカー位置検出装置1は、カメラ2と、俯瞰画像変換装置3と、白線検知/逸脱警報装置4と、モニタ5とを備えている。図8は車両後方に設置したカメラ(リアカメラ)2により撮影された画像である。カメラ2で撮影された画像は、俯瞰画像変換装置3で、図9(a)に示すように俯瞰画像に変化される。
白線検知/逸脱警報装置4は、マイコン6と、ワークメモリ7と、エンコーダ8と、バッファメモリ9と、警報装置10とを備えている。マイコン6は、俯瞰画像変換装置3で変換された俯瞰画像を、ワークメモリ7を用いて画像の縦方向の輝度を画素毎に積算し、積算した輝度を横方向の画素毎にグラフ化して俯瞰画像の輝度プロファイルを生成する(図10のステップS1)。図9(b)は、図9(a)に示した俯瞰画像の理想的な輝度プロファイルを示したものである。路面において白色で記される標識・白線等は、高い強度(輝度値)を示すので、強度値の強さ(輝度の高さ)やその位置、ピーク幅等から白線に対応するピークを輝度プロファイルより求めることが可能となる(図10のステップS2)。俯瞰画像をモニタ5に出力する場合には、俯瞰画像の画像信号がエンコーダ8によりコンポジット信号などに変換されてモニタに出力される。なお、警報装置10は、車両位置と白線位置との比較に基づいて車両が白線に従って(沿って)走行していないと判断した場合に、運転者にブザー等の警告を発する(図10のステップ3)。俯瞰画像変換装置3とマイコン6の間に設置されるバッファメモリ9は両者の同期をとるためのメモリである。
上述したようにマイコン6により生成された輝度プロファイルは、理想的な値で検出されれば、図9(b)、図11(a)に示すようなグラフとなるが、現実的に生成される輝度プロファイルは、ノイズ等の影響を受けて、図11(b)に示すような連続した曲線等により構成されたグラフとなる。このため、マイコン6は、ハイパスフィルタ等を用いたフィルタ処理を輝度プロファイルに施すことによって、図11(c)に示すように白線に関連した信号部分を強調する処理を行った後に車線検知を行う。
特開平3−99952号公報 特開平9−171348号公報 特開2001−114048号公報 特開2001−116567号公報
しかしながら、道路環境は多様であり、路面には白線以外の特徴点も多く存在することから、白線以外の部分が生成された輝度プロファイル内でピーク強度として現れてしまう場合がある。また、状況によってはこのピーク強度が顕著に現れてしまう場合があり、白線との強度比において差異がない場合には車線を誤認識するおそれがある。特に、天候や時間帯の変化に伴って路面状況が変化する場合には誤認識してしまうおそれが高いので、単一のフィルタ処理を用いて全ての路面状況に対応することが困難であるという問題があった。
本発明は、上述した問題に鑑みてなされたものであり、種々の道路状況・道路環境に応じて自動的に最適な白線検知処理を行うことが可能な車線位置検知システムを提供することを課題とする。
請求項1に係る発明は、車載カメラで路面を撮像して得られた画像を俯瞰画像に変換し、該俯瞰画像の輝度を車両進行方向に平行に積分して進行方向に垂直な方向に対する輝度プロファイルを求め、該輝度プロファイルにフィルタ処理を施すことによって白線の位置を検出する車線位置検知システムにおいて、前記フィルタ処理に用いられるフィルタとして周波数特性の異なる複数のフィルタを用意し、1つの前記輝度プロファイルに対して、それらの複数のフィルタをそれぞれに用いたフィルタ処理を施して得られた複数の輝度プロファイル間のピーク強度を比較して、白線位置の判定を行う車線位置検出システムであることを特徴とする。
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の車線位置検出システムにおいて、複数のハイパスフィルタを用いて、1つの前記輝度プロファイルに対して、前記フィルタ処理を施された複数の前記輝度プロファイルを比較した場合に、前記ピーク強度の差が一定以上の大きさを示す部分を誤信号として削除することを特徴とする。

請求項3に係る発明は、請求項1に記載の車線位置検出システムにおいて、前記フィルタ処理に用いられるフィルタが微分フィルタとハイパスフィルタとであり、当該微分フィルタを用いてフィルタ処理を施した輝度プロファイルにおいて二重ピークが現れる部分を白線位置の候補として判断し、前記ハイパスフィルタを用いてフィルタ処理を施した輝度プロファイルから、さらに白線位置を絞り込むことを特徴とする。
本発明に係る車線位置検知システムによれば、複数のフィルタを用いてフィルタ処理を行って輝度プロファイルのピーク強度の比較を行うので、白線検知の検出精度を向上させることができる。
以下、本発明に係る車線位置検知システムを、図面を用いて説明する。本発明に係る車線位置検知システムは複数の情報を利用して白線検知精度を高めることを特徴とするものである。このようにして白線検知精度を高める方法として、(1)車両に設置されるセンサ等により検出される結果及び電装機器の稼働状況等を参考にして道路状況を判断する方法と、(2)複数の処理を並列化してその結果の違いを評価しながら、適切なフィルタ処理或いは結果等を選択する方法との2種類の方法を用いる。なお、この2種類の方法を原理的な説明と代表的な複数の実施例を用いて説明するが、現実の道路状況・道路環境は多種多様であるため、本発明の処理方法は実施例に示したものだけに限定されるものではない。
(1)センサ等の検出結果及び電装機器の稼働状況等に基づいて道路状況を判断する方法
図1は、本発明に係る車線位置検知しシステムを示したブロック図である。車線位置検知システム20は、カメラ21と俯瞰図生成部22とプロファイル生成部23とレーン検知部24と警報部25と、環境判定部26とを備えている。環境判定部26には、車両に設置される各種センサ27の検出結果及び電装機器の稼働状況等が伝達される。具体的に、環境判定部26は、車速パルスセンサ、ギアスイッチ、ワイパースイッチ、光センサ(ヘッドライト自動点消灯用光センサ)、ヘッドライト、方向指示器スイッチ、舵角センサ、ナビゲーションシステム(道路情報(マップ情報)、位置情報、日付・時間情報、加速度センサ)等の情報を受信することによって、路面状況(周囲の明るさ、ウェット・ドライ状況等)、道路環境情報(高速道・一般道、車線数・道路幅)、車両走行状況、走行車線特定、道路カーブ・直線状況、車線変更の有無等の判断を行う。
環境判定部26は、路面状況等の判断結果を、俯瞰図生成部22、プロファイル生成部23、レーン検知部24等に送信する。プロファイル生成部23では、受信した判断結果に基づいて、俯瞰画像のうち輝度プロファイルを作成する領域を選択する処理(着目領域制御処理)や輝度プロファイルに施すフィルタ処理用のフィルタの選択・調整を行い、1つ或いは複数の輝度プロファイルを生成する。
図2(a)は、雨天時に高速走行中する車両の後方路面状況を示した俯瞰画像である。このような雨天時の環境では、晴天時の場合に比べて、
特徴1.後車輪により轍状の水しぶきが発生し疑似的に白線30が発生してしまう。
特徴2.雨天により外周の照度が低下するため(低照度)、俯瞰画像において背景ノイズが相対的に増加してしまう。
という特徴がある。特に、特徴1は、図2(b)に示すように輝度プロファイルを生成する場合に水しぶきが疑似白線として誤認識される可能性が高くなるので重要な問題となる。
このため、環境判定部26は、ワイパースイッチと速度センサとを用いて周囲の状況が雨天であるかどうかを判断する。特に、ワイパースイッチは、雨の状況によって間欠動作状態から連続動作状態へと段階的に切り替え設定されるので、雨の強弱を判断することができる。例えば、路面に水しぶきがあがる状況は、路面に水がそれなりに溜まる必要があるため、ワイパーが連続動作状態に切り替えられたときに水しぶきが発生し得るものと推定することができる。
また、車両が一定の速度以上で走行しなければ長い水しぶき跡が路面に残らないため、環境判定部26は、走行速度情報をワイパーの連続動作状況と併用して判断することにより水しぶき対応処理を行うか否かの判断を行う。
ワイパーの稼動状況と車両走行速度情報との2つの条件を満たす場合、環境判断部26は、道路状況は水しぶきがあがり得る環境にあるものと判断し、プロファイル生成部23対して水しぶき対応した処理を実施するように指示を出す。
水しぶきがあがり得る環境と判定した場合、プロファイル生成部23は、まず、輝度プロファイルにフィルタ処理を施すためのハイパスフィルタ(HPF)の遮断周波数を変更する。例えば、水しぶきによる白線状の軌跡30は、実際の白線31に比べ俯瞰画像においてエッジがぼけて示される。また、水しぶきはタイヤの外に広がるため、俯瞰画像における見た目の幅が白線よりも広がってしまう。水しぶきのピーク値は白線のピーク値に比べて低周波成分を多く含むので、ハイパスフィルタの遮断周波数を通常よりも高く設定することによって、図2(c)に示すように水しぶきによる信号強度を選択的に低下させる。この遮断周波数は、事前に実験などによりあらかじめ決めておく。この遮断周波数の変更は、信号強度を弱めるため、こうした水しぶきの問題がない晴天時などは、低い方が望ましい。
以上のように、雨天状況専用のフィルタ処理を施した後に、レーン検知部24が白線位置の検出処理を行うが、このレーン検知部24における白線検知処理においても雨天状況専用の判定処理を行う。水しぶきによる擬似白線30は後車輪の位置で発生する特徴があるため、その特徴を利用した処理を行うことで誤検出を低減させることができる。
例えば、水しぶきはタイヤの外に広がるため、俯瞰画像における見た目の幅が白線よりも広がってしまい、水しぶきのピーク幅と白線のピーク幅には幅差が現れやすい。このため、ピーク幅の誤差をより重く評価することで、水しぶきと白線31との判定精度を上げることができ、誤検出を低減させることが可能となる。また、検出されるピーク位置に置いて、車輪位置33にある信号の重み付けを相対的に軽くすることによって、タイヤからのびる水しぶきの擬似白線の誤検出を低減させることができる。
さらに、輝度プロファイルの変化を経時的(時間的)に判断したものに対して、時間軸を基準としたフィルタ処理(時間軸に関するフィルタ処理、時間フィルタ)を変更することにより、また、雨天等による外周の照度の低下(低照度)により、俯瞰画像において背景ノイズが混入しやすくなっていると考えられる場合には、時間的なローパスフィルタ(LPF)において遮断周波数を低周側にずらしたフィルタに切り替えることによって、ノイズを減少させて検出強度の安定性を高めることが可能である。なお、フィルタ部(空間フィルタ)での変更処理、判定部での処理変更、時間フィルタ部での処理変更の3つの要素を全て実行する構成だけに限定されるものではなく、道路状況等によっては、いずれかの処理を選択的に施すだけで十分な精度で車線検知を行うことが可能な場合もある。従って、車線検知処理は上述したものに限定されるものではなく、各種センサで道路状況等を特定し、最適なフィルタ特性を選ぶことで総合的に信頼性を向上させることが可能である。
車線検出の信頼性を向上させるためには、[実施例1]に示したようにフィルタ特性を制御するだけでなく、俯瞰図生成部22を制御して車線検出を行うための俯瞰画像の俯瞰パターン或いは画像処理領域を制御する方法も有効である。このような画像処理には、俯瞰パターンの縮尺そのものを変更する方法と、画像の特定の走査線領域のみを処理する方法との2種類の方法がある。俯瞰パターンの縮尺変更方法は俯瞰図生成部22における処理により実現され、特定の走査線領域のみを処理する方法は、プロファイル生成部23における処理により実現される。それぞれ、俯瞰画像の粗調整及び微調整に有効な方法である。
例えば、車両走行中の道路が直線道路であるか、カーブであるかによって、車線検出に用いられる俯瞰画像を適宜切り替えることが望ましい。車両が直線走行している場合には、できるだけ俯瞰画像の前端から後端までの広い画像領域を用いて輝度プロファイルを作成することにより、白線31のピークを高く高精度に検出することが可能になるとともに、ノイズによるピークを白線ピークに比べて低減させることができる。また、水しぶきのような擬似白線(白波線)30のピークとの違いを明確にすることが可能となり、白線31の信号強度を安定的に確保することが可能となる。一方、図3(a)に示すようなカーブを走行している場合には、車線位置の検出精度を確保するために、直線道路に近似することができる車両近景部分(車両に近い側)35の俯瞰画像を車線検出処理に用いることが望ましい。カーブの検知は、前述したセンサ27、例えばカーナビゲーションシステムからのナビ情報、舵角センサによるハンドルの操舵角度情報、或いは左右車速センサの回転数差などの情報を用いて判断する。環境判断部26により車両がカーブを走行していると判断された場合、プロファイル生成部23は環境判断部26からの信号に基づいて俯瞰画像の範囲を俯瞰画像の全範囲から近景範囲35に変更してプロファイルを生成する。このとき、前述した2種類の方法のうちどちらの方法を採用するのかはハードウェアの制約など考慮して適切な選択する。図3(b)は俯瞰画像の全範囲を対象として生成した輝度プロファイルを示しており、図3(c)は俯瞰画像のうち近景範囲35だけを対象として生成した輝度プロファイルを示している。図3(b)、(c)より明らかなように、近景範囲35だけを用いた輝度プロファイルでは、遠景範囲36の白線部分のピーク強度(図3(c)の鎖線で示されている部分)が含まれていないため、ピーク幅が狭くなり、車線位置の検出精度が向上する。
図4は、夜間時に高速走行中する車両の後方路面状況を示した俯瞰画像である。夜間は図4に示すように遠方までライトの光が届かないため、白線31の輝度に基づいて車線検知処理を行う場合、有効に白線検知処理を行うことが可能な範囲は、ライセンスプレートの光が路面を照射可能な範囲である車両に近い領域(図4の処理領域1)だけである。
環境判断部26は、ランプ類の点灯の有無を検知したり、時刻情報をカーナビゲーションシステムナビから受信したりすることによって、走行時刻が夜間であるか否かの判断を行う。環境判断部26が夜間であると判断した場合、プロファイル生成部が、図4の処理領域1の範囲だけを抽出して、この範囲だけを用いて輝度プロファイルを作成する。処理領域1だけを用いて輝度プロファイルを生成することによって、輝度プロファイルの信頼性を高めることができ、白線の検知精度を向上させることが可能となる。なお、この具体的手法を用いる場合には[実施例2]と同様に2種類の方法を用いることが可能である。
(2)複数の処理を並列化してその結果の違いを評価しながら、適切なフィルタ処理或いは結果等を選択する方法。
次に複数の処理を並列化(並列フィルタ処理による自立的判定)を行う方法を説明する。
上述する各種センサ27の情報が十分に得られない場合には、特定の条件に適応したフィルタ処理を幾つか動作させ、複数のプロファイルを生成する。その後、各プロファイルを用いて総合的に或いは選択的に判断することにより白線の検出精度を高める。この方法は、以下の2つの手法に分類される。
方法1 輝度プロファイルを比較し誤信号を排除してから白線検知を行う方法(実施例4)。
方法2 輝度プロファイル毎に白線検知を行い比較により判断する方法(実施例5)
以下、上述した2つの方法について説明を行う。なお、以下の説明において便宜的にフィルタを2つ併用した例を用いて説明を行うが、フェイルセーフ的な考え方の下では3つ以上のフィルタを併用して判断することが望ましい場合も多くあり、その数は状況に応じて変化するので、2つに限定されるわけではない。
で述べた轍状の水しぶきによる疑似白線が路面上に表示されている場合には、水しぶきの特性として表されるエッジぼけ部分を対象にして遮断周波数を決定し、フィルタ処理を施すことによって、図2(c)のように水しぶきが原因となって輝度プロファイルに発生するピーク強度を低下或いは強調させることができる。従って複数のフィルタ処理を施された輝度プロファイルを比較した場合に、ピーク強度の状態が異なる部分ほどそのピークが白線31以外の部分(例えば、水しぶき部分)である可能性が高いと判断できる。このため、同時に2つのフィルタ処理を施して、そのピーク強度の差が一定以上大きさを示す信号を無視するか、或いは重み付けを軽くすることで、車線検知の誤検出を低減させることが可能となる。
図5(a)は、路面表面の色合いが補修等によって異なる道路を示す俯瞰画像である。
図5(a)に示すように、広範囲の暗い領域(補修面40)と、明るい領域(路面41)とがある場合、境界42付近で輝度プロファイルの強度がステップ関数のように変化することとなり高周波成分を含むため、フィルタ処理を施しても信号強度か残りやすくなり誤認識を生じやすいという問題がある(図5(b))。
このような問題を回避するため、微分フィルタを併用することにより変曲点を検出して輝度プロファイルのピークの値が白線31であるか、明暗領域の境界42であるかの判断を行う。微分フィルタを用いたフィルタ処理を施すと、図5(c)に示すように、明暗領域の境界42部分では変化点が1つであるためピークが1つになるが、白線31のように明るい領域が一定幅の部分では二重にピークが現れる。従って、微分フィルタを用いたフィルタ処理を施すことによって、輝度プロファイルに二重ピークが生じた箇所を白線31位置の候補とし、それ以外の場所は白線31位置以外の場所であるもの判断して無視したり、評価関数での重み付けを軽くしたりすることによって、検出誤差を低減させることが可能となる。
なお、最初から微分フィルタのみを用いて白線位置の判断処理を行うことも原理的に可能である。しかしながら、微分フィルタは強度の低いノイズでも急激に変化していればピークが強調されてしまうため、ピークの数が増加しやすくなりそのままでは計算量が増えてしまうので、かえって誤認識を増加させる可能性もある。従って、図5(b)に示すような、ハイパスフィルタを用いたフィルタ処理と、図5(c)に示すような、微分フィルタを用いたフィルタ処理との2つの処理を同時に利用し、その相乗効果により誤認識を抑制させることが有効である。さらに、一方のフィルタで着目領域を先に抽出し、その領域のみに対して局所的に他方のフィルタ処理を施すことによって全体のフィルタ処理の軽減を図ることも可能である。すなわち、フィルタ処理の併用により、白線認識率の向上と負荷低減の2面の相乗効果が期待できる。
また、暗い領域と明るい領域とにより境界42が現れる道路状況であれば、図5(a)に示すように境界が補修面と通常路面とにより生ずる場合だけでなく、道路の一部が日陰になってしまって、他の日の当たる部分との比較により暗い領域と明るい領域との境界が現れてしまう場合にも同様に適用することが可能である。
輝度プロファイルを作成して白線検知を行うためには、できるだけ車両の遠方から車両側近までの広い範囲の俯瞰画像を用いて輝度積算を行い、ピーク強度を求めることが望ましく、このようにしてピーク強度を求めることによって安定的に白線検出を行うこと可能となる。しかしながら、あまりに遠方の情報を用いると、[実施例2]で示したように、車両がカーブを走行している場合に正確な白線位置を検出することが困難となり、また、異常に接近してきた車両が存在する場合には誤検出を起こしやすいという問題があった。
そこで、例えば、図3に示すように俯瞰画像を領域毎に分割し、近景と遠景とを独立に処理することにより道路がカーブであるか否かを自立的に検出することができる。
具体的な処理手順を例示すると
1.俯瞰画像の全範囲(全画面)を用いて輝度プロファイルを生成し、白線位置(位置1とする)を推定する。
2.俯瞰画像の近景領域を用いて輝度プロファイルを生成し、位置1付近より白線位置(位置2とする)を推定する。
3.俯瞰画像の遠近景領域を用いて輝度プロファイルを生成し、位置1付近より白線位置(位置3とする)を推定する。
4.位置1及び位置2の誤差が許容値以下の場合、その位置を白線位置と認定する
5.位置2に対して位置3がシフトしている場合はカーブであると判定する。
6.位置2に対して位置3が大きく異なる場合には異常事態(接近車等)であると判定する。
となる。このステップを経ることでカーブ走行などを自動検知し、白線検知の精度・信頼性を向上することが可能となる。
図6(a)は、正常な白線と傷みや汚れにより見えにくくなった白線とを示した俯瞰画像である。白線検知において検知を行う白線が道路工事や経年劣化などによって激しく傷み、白線が見えにくくなっている場合には、輝度プロファイルを作成しても正常な白線45に比べプロファイル強度が低下してしまい十分なピーク強度を得ることができないので、白線検知の誤検出を招くおそれがある。
元来、フィルタ処理は信号強度の絶対値を弱くする性質を有するため、正常な白線45に合わせてフィルタ処理(例えば、バンドパスフィルタを用いたフィルタ処理。このときに用いるフィルタをフィルタ1とする。)を施すと、図6(b)に示すように、弱い信号を有効に分離できない場合がある。一方で、弱い信号に合わせたフィルタ処理(例えば、ハイパスフィルタを用いたフィルタ処理。このときに用いるフィルタをフィルタ2とする。)を通常強度の輝度プロファイに適用すると、図6(c)に示すように弱い背景ノイズまで拾ってしまい、処理が煩雑になりやすいとく問題がある。
このような状況に対応するために、白線検知が可能な強度範囲が異なる2種類以上のフィルタを併用し、強い強度に対応したフィルタから順に信号検出判定を行い、信号が検出できなかった場合に順に低い強度のフィルタ処理結果を参照することで、白線検知に用いるフィルタを選択する。図6(a)の例で示せば、
1.通常はフィルタ1を用いたフィルタ処理により白線位置を検知する(図6(b))。
2.一定時間、白線未検出状態が連続したときには、フィルタ2を用いたフィルタ処理により白線位置を検出する(図6(c))。
となる。フィルタ2は先に述べたように疑似ピークがあるため、フィルタ処理の処理負担が重くなり、単位時間に処理できる回数が低下するが、フィルタ1を用いた未検出状態に比べれば大幅に白線検知精度を改善することができる。また、フィルタ1で検出したピーク強度の信頼性は高いと考えられるため、このピーク強度を信頼して、見えにくくなった白線46の位置をフィルタ2の結果から検索することで、信頼性の向上を図ることが可能となる。このようにしたフィルタ構成例として、遮断周波数帯及びフィルタ次数を調整したハイパスフィルタ(HPF)或いはバンドパスフィルタ(BPF)等が用いられる。
以上、本発明に係る車線位置検知システムを、図面を用いて説明したが、本発明に係る車線位置検知システムは、上述したものに限定されるものではなく、当業者が考え得る範囲での設計変更・改良を施したものも本発明に係る車線位置検知システムに含まれるものである。
本発明に係る車線位置検出システムを示したブロック図である。 (a)は雨天時に高速走行中する車両の後方路面状況を示した俯瞰画像であり、(b)は、(a)の俯瞰画像の輝度プロファイルを示しており、(c)は(b)に比べてハイパスフィルタの遮断周波数を高く設定した輝度プロファイルを示している。 (a)はカーブを高速走行中する車両の後方路面状況を示した俯瞰画像であり、(b)は、(a)の俯瞰画像の全領域を用いて生成した輝度プロファイルを示しており、(c)は(a)の俯瞰画像の近景領域を用いて生成した輝度プロファイルを示している。 夜間時に高速走行中する車両の後方路面状況を示した俯瞰画像である。 (a)は、路面表面の色合いが補修等によって異なる道路を示す俯瞰画像であり、(b)は、ハイパスフィルタによるフィルタ処理を施した輝度プロファイルを示しており、(c)は、微分フィルタによるフィルタ処理を施した輝度プロファイルを示している。 (a)は、正常な白線と傷みや汚れにより見えにくくなった白線とを示した俯瞰画像であり、(b)は、バンドパスフィルタによるフィルタ処理を施した輝度プロファイルを示しており、(c)は、ハイパスフィルタによるフィルタ処理を施した輝度プロファイルを示している。 従来のレーン位置検出装置を示したブロック図である。 車両後方に設置したカメラ(リアカメラ)により撮影された画像である。 (a)は図8に示した画像の俯瞰画像であり、(b)は輝度プロファイルである。 従来のレーン位置検出装置における車線位置検出処理を示したフローチャートである。 (a)は俯瞰画像より生成される理想的な輝度プロファイルを示しており、(b)は現実の輝度プロファイルを示しており、(c)は(b)に示す輝度プロファイルにハイパスフィルタによるフィルタ処理を施した輝度プロファイルを示している。
符号の説明
20 車線位置検出システム
21 カメラ
22 俯瞰図生成部
23 プロファイル生成部
24 レーン検知部
25 警報部
26 環境判定部
27 センサ

Claims (3)

  1. 車載カメラで路面を撮像して得られた画像を俯瞰画像に変換し、該俯瞰画像の輝度を車両進行方向に平行に積分して進行方向に垂直な方向に対する輝度プロファイルを求め、該輝度プロファイルにフィルタ処理を施すことによって白線の位置を検出する車線位置検知システムにおいて、
    前記フィルタ処理に用いられるフィルタとして周波数特性の異なる複数のフィルタを用意し、1つの前記輝度プロファイルに対して、それらの複数のフィルタをそれぞれに用いたフィルタ処理を施して得られた複数の輝度プロファイル間のピーク強度を比較して、白線位置の判定を行うことを特徴とする車線位置検出システム。
  2. 複数のハイパスフィルタを用いて、1つの前記輝度プロファイルに対して、前記フィルタ処理を施された複数の前記輝度プロファイルを比較した場合に、前記ピーク強度の差が一定以上の大きさを示す部分を誤信号として削除することを特徴とする請求項1に記載の車線位置検出システム。
  3. 前記フィルタ処理に用いられるフィルタが微分フィルタとハイパスフィルタとであり、当該微分フィルタを用いてフィルタ処理を施した輝度プロファイルにおいて二重ピークが現れる部分を白線位置の候補として判断し、前記ハイパスフィルタを用いてフィルタ処理を施した輝度プロファイルから、さらに白線位置を絞り込むことを特徴とする請求項1に記載の車両位置検知システム。
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