JP4447714B2 - 光輝性固形描画材 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、筆記具、印刷インキ、塗料関連分野、化粧品関連分野などに好適に使用することができる光輝性固形描画材において、特にワックス類を含有するクレヨン、パス等の光輝性固形描画材に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ワックス類を含有するクレヨン、パス等の固形描画材では、強い光輝感と立体感の筆跡乃至塗膜を持つ光輝性固形描画材が提供されていなかった。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、従来の固形描画材と比較して、より強い光輝感を持ち、さらには従来の固形描画材にはなかった強い立体感を併せ持つ筆跡乃至塗膜を得ることができる光揮性固形描画材、中でもワックス類を含有するクレヨン、パス等の光輝性固形描画材を提供するところにある。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため鋭意検討した結果、本発明は、必須成分として、ガラスフレーク顔料、体質顔料、ワックス及びオイルを含んでなる光輝性固形描画材を採用した。また、本発明は、必須成分として、金属被覆無機顔料、体質顔料、ワックス及びオイルを含んでなる光輝性固形描画材を採用した。なお、本発明でいう「金属被覆無機顔料」とは、金属及び金属酸化物のうち少なくともいずれか1つの物質が被覆された無機顔料を総称するものとして定義される。
【0005】
従って、上記のガラスフレーク顔料を含有したクレヨン、パス等の光輝性固形描画材は、従来の固形描画材と比較して、より強い光輝感と立体感を有する筆跡乃至塗膜を得ることができる。
【0006】
また、上記の金属被覆無機顔料を含有したクレヨン、パス等の光輝性固形描画材も、無機顔料が金属蒸着等で着色されているため、従来の固形描画材と比較して、より強い光輝感と立体感を有する筆跡乃至塗膜を得ることができる。
【0007】
【発明の実施の形態】
(ガラスフレーク顔料)
本発明で用いられるガラスフレーク顔料は、フレーク状ガラスが金属などで被覆された構造からなり、光輝感と立体感を有する顔料として定義される。一例を挙げれば、フレーク状ガラスが無電解メッキ法により金属で被覆されたガラスフレーク顔料を使用することができる。例えば、銀で被覆された東洋アルミニウム社製の商品名「メタシャインREFSX−2015PS」、「メタシャインREFSX−2025PS」、及び「メタシャインREFSX−2040PS」、日本板硝子社製の商品名「メタシャインRCFSX−5480PS」、「メタシャインRCFSX−5230PS」「メタシャインRCFSX−5150PS」、「メタシャインRCFSX−5090PS」を例示することができる。
【0008】
また、フレ−ク状ガラスがスパッタリング法により金属で被覆されたガラスフレーク顔料も使用することができる。例えば、銀で被覆された東洋アルミニウム社製の商品名「クリスタルカラ−GF2125」、「クリスタルカラーGF2125−M」、「クリスタルカラーGF2140」、「クリスタルカラーGF2140−M」がある。また、ニッケル・クロム・モリブデンで被覆された同社製の商品名「クリスタルカラーGF2525」、「クリスタルカラーGF2525−M」、「クリスタルカラーGF2540」、「クリスタルカラーGF2540−M」がある。また、真鍮で被覆された同社製の商品名「クリスタルカラーGF250」、銀合金で被覆された同社製の商品名「クリスタルカラーGF1345」、チタンで被覆された同社製の商品名「クリスタルカラーGF1445」がある。
【0009】
本発明ではガラスフレーク顔料のメジアン径は500μm以下、特に5〜100μmが好適である。ガラスフレーク顔料のメジアン径が500μmを超えると筆記時滑りが発生し均一な筆跡乃至塗膜ができない状態になるため好ましくない。メジアン径が5μm未満の場合は、上記の粒子が小さすぎるため光輝性が低下する。
【0010】
本発明におけるガラスフレーク顔料は、固形描画材全量に対して1〜50重量%含まれていることが好ましい。ガラスフレーク顔料が固形描画材物全量に対して1重量%未満の場合は光輝性及び立体感が充分でない。また、ガラスフレーク顔料が固形描画材全量に対して50重量%を超えると、固形分が多くなり、固形描画材としては粘度が上がりすぎ、流動性が低下し、成形しにくい状態になり好ましくない。ガラスフレーク顔料の最適配合量は3〜20重量%である。
【0011】
なお、ガラスフレーク顔料は1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、ガラスフレーク顔料を、金属被覆無機顔料、アルミニウム顔料、パ−ル顔料などの光輝性顔料と混合して用いることもできる。
【0012】
(金属被覆無機顔料)
本発明で用いる金属被覆無機顔料とは、例えば金属蒸着等で金属及び又は金属酸化物が被覆された無機顔料として構成されている。一例を挙げれば、酸化鉄(III)が被覆されたアルミニウムを用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Gold L2000」、「Paliocrom Gold L2002」、「Paliocrom Gold L2020」、「Paliocrom Gold L2022」、「Paliocrom Gold L2025」「Paliocrom Orange L2800」がある。また、酸化鉄(III)が被覆された雲母を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Red Gold L2500」、「Paliocrom Red L4000」がある。また、アルミニウム−マンガン被覆の雲母状酸化鉄(III) を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Copper L3000」及び「Paliocrom Copper L3001」がある。また、還元二酸化チタンが被覆された雲母を用いることができる。例えばBASF株式会社製の商品名「Paliocrom Blue Silver L6000」、「Paliocrom Blue Silver L6001」がある。また、二酸化チタンが被覆された雲母も用いることができる。
【0013】
上記の金属被覆無機顔料のメジアン径も、ガラスフレーク顔料のメジアン径と同様に、500μm以下、特に5〜100μmが好適である。金属被覆無機顔料のメジアン径が5μm未満の場合は、上記の無機顔料粒子が小さすぎるため光輝性に劣り、また500μmを超えると筆記時滑りが発生し均一な塗膜ができない状態になるため好ましくない。
【0014】
金属被覆無機顔料の配合量も、ガラスフレーク顔料と同様に、固形描画材全量に対して1〜50重量%含まれていることが好ましい。上記の無機顔料が固形描画材全量に対して1重量%未満の場合は光輝性が充分でない。また、上記の無機顔料が固形描画材全量に対して50重量%を超えると、固形分多くなり、固形描画材としては粘度が上がりすぎ、流動性が低下し、成形しにくい状態になり好ましくない。上記の無機顔料の最適配合量は3〜20重量%である。
【0015】
なお、金属被覆無機顔料は1種又は2種以上を混合して用いることができる。また、金属被覆無機顔料を、ガラスフレーク顔料、アルミニウム顔料、パ−ル顔料などの光輝性顔料と混合して用いることもできる。
【0016】
(体質顔料)
体質顔料としては、固形描画材に含まれるものとして、公知の体質顔料を用いることができる。体質顔料としては、透明なもの、特にバインダー中で透明なものを好適に用いることができる。また、潤滑性(滑り)が優れているものが好ましい。具体的には、体質顔料としては、例えば、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、硫酸バリウム、タルク、クレー、カオリン、シリカ、アルミナシリケート、ベントナイト等を例示することができる。そしてこれらの中から適宜選択して単独で又は組み合わせて使用できる。これらの中でも、炭酸マグネシウム、炭酸カルシウム、タルクが最適である。
【0017】
体質顔料の配合量は、固形描画材全量に対して5〜60重量%、好ましくは15〜50重量%である。体質顔料の配合量が固形描画材全量に対して5重量%より少ないと滑りが低下して潤滑性が低下するとともに、着き(定着性)が低下する。一方、体質顔料の配合量が固形描画材全量に対して60重量%より多いと着色性、成型性が低下する。
【0018】
(ワックス)
本発明では、ワックスを用いることができる。ワックスとしては、加熱時に溶融し、常温で固体ものが好ましい。ワックスとしては、例えば、木ロウ、蜜ロウ、カルナウバワックス、牛脂硬化油、ポリエチレンワックス、α−オレフィンオリゴマー、ラード、パラフィンワックス等が挙げられる。ワックスとしては、パラフィンワックス、牛脂硬化油、カルナウバワックスが好適である。
【0019】
ワックスの配合量は、固形描画材全量に対して20〜80重量%、好ましくは30〜50重量%である。ワックスの配合量が固形描画材全量に対して20重量%より少ないと、固形描画材の強度が低下するとともに、成型性が低下し、着き(定着性)が低下する。一方、ワックスの配合量が固形描画材全量に対して80重量%より多いと色が透明で薄くなる。
【0020】
(オイル)
本発明では、オイルを用いることができる。オイルとしては、透明でワックスに溶解するものが好適である。オイルとしては、例えば、流動パラフィン、スピンドルオイル、ヤシ油、ヒマシ油等が挙げられる。オイルとしては、流動パラフィンが好適である。
【0021】
オイルの配合量は、固形描画材全量に対して3〜20重量%、好ましくは5〜15重量%である。オイルの配合量が固形描画材全量に対して3重量%より少ないと、滑りが低下して描画性が低下するとともに、着き(定着性)が低下する。一方、オイルの配合量が固形描画材全量に対して20重量%より多いと、強度が弱くなり、耐熱性が低下する。
【0022】
(着色剤)
本発明では着色剤を用いることができる。着色剤を用いることにより、固形描画材の色を種々の色に調整することができる。着色剤としては、ガラスフレーク顔料や金属被覆無機顔料と反応せず、また、このようなガラスフレーク顔料や金属被覆無機顔料の発色に影響を与えないものを用いることが重要である。なお、本発明では着色剤を配合しない光輝性固形描画材も含まれる。
【0023】
具体的には、着色剤としては、酸性染料、直接染料、塩基性染料などの水溶性染料(トリフェニルメタン系、キサンテン系、アントラキノン系、金属錯体系、銅フタロシアニン系など)、フタロシアニン、キナクリドン、カーボンブラック、酸化チタンなどの有機顔料又は無機顔料、或いは蛍光顔料、着色樹脂エマルジョンなどを使用することができる。着色剤は1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0024】
本発明では、着色剤は、既述の通り、含有されていても含有されていなくても差し支えない。但し、着色剤が含有されている場合は、固形描画材全量に対して40重量%以下、特に20重量%以下含まれていることが好ましい。着色剤が固形描画材全量に対して40重量%を超えると、光輝感が低下し、滑りが低下する。さらに、成形性も低下する。
【0025】
本発明の固形描画材(クレヨンなど)では、その他の成分として必要に応じて公知の添加剤を適宜配合することができる。
【0026】
本発明の固形描画材の製造方法は、基本的には上記の各成分を均一に混合すれば良い。例えば、着色剤を配合する場合は、まずワックスと着色剤(顔料など)とを混練機(ロールミルやニーダーなど)を用いて混合する。その後、加熱溶融してガラスフレーク顔料及び/又は金属被覆無機顔料、体質顔料を添加して混合することにより、光揮性固形描画材組成物を調製することができる。当該固形描画材組成物を、所望の形状を有する金型に流し込み、冷却固化させることにより、特定の形状の固形描画材を得ることができる。なお、上記方法では、各成分を溶解混合させるのに際し、必要に応じて加熱しても良い。本発明のクレヨン、パスなどの固形描画材は、これらの成分を用い、公知のクレヨン、パス等の製法に従って製造することができる。
【0027】
本発明の固形描画材は、特定の光輝性顔料を用いることから、優れた筆記性とより高い光輝性を発揮することができる。特に、筆記性に関しては、紙、金属、セラミック、プラスチック、ガラス等のあらゆる材質に適用できる。
【0028】
また、付着性に優れ、しかも付着後の筆跡乃至塗膜は色移りや光輝性顔料の脱落はしない。さらに、従来のクレヨン、パス等よりも取り扱いに優れている。
【0029】
本発明の光輝性固形描画材は、筆記具分野、印刷関連分野、塗料関連分野、化粧品関連分野などにおいて用いられ、筆記具用、描画用、塗布具用等各種用途で有用である。また、本発明は、ワックス、オイル類を含有するクレヨン、パス等以外の、ガラスフレーク顔料及び又は金属被覆無機顔料を含む光輝性固形描画材に広く適用することができる。
【0030】
【実施例】
表1に示す組成及び配合量(重量部)で、原料をロールミル又はニーダー等を用いて、加熱下で混練して、各実施例及び比較例のクレヨンをつくった。具体的には、着色剤(顔料)とワックスとを加熱下で攪拌混練して、その後加熱下で光揮性顔料、体質顔料を入れて加熱攪拌し混練して、組成物を調製した。当該クレヨン組成物を通常の成型方法で成型してクレヨンを得た。
【0031】
【表1】
【0032】
(ガラスフレーク顔料)
I:商品名「メタシャインREFSX−2040PS」、東洋アルミニウム株式会社製、メジアン径約40μm
II:商品名「メタシャインREFSX−2025PS」、東洋アルミニウム株式会社製、メジアン径約25μm
(有色顔料)
I:商品名「ハンザエロー10G」、Pigment Yellow 3、クラリアント株式会社製
II:商品名「カーミン6B」、Pigment Red 48:1、野間化学株式会社製
III:商品名「サンカチタンFA−50」、Pigment White 6、古河工業株式会社製
(体質顔料)
I:商品名「炭酸カルシウム」、近江化学株式会社製
II:商品名「タルク」、日本タルク株式会社製
III:商品名「炭酸マグネシウムNo.700」、旭硝子株式会社製
(ワックス)
I:商品名「ギュウシIHFフレーク」、ミヨシ油脂株式会社製
II:商品名「パラフィン135°」、モービル石油株式会社製
III:商品名「ハイミック1080」、日本精蝋株式会社製
(オイル)
商品名「ホワイトミネラルオイル」、中央化成株式会社製
【0033】
(評価試験)
次に、これらのクレヨンを用いて、下記の試験を行った。これらの評価結果は表1に示した。
【0034】
(光輝感及び立体感)
これらのクレヨンを用いて市販のルーズリーフ用紙に筆記し、各クレヨンの光輝感及び立体感についてそれぞれ評価した。光輝感は筆記状態を目視観察により行い、光輝感の強いものを○、光輝感が小さい又は光輝感がないものを×として評価した。また立体感についても筆記状態を目視観察により行い、立体感があるものを○、立体感がないものを×として評価した。表1にそれらの結果を示す。
【0035】
(着色性)
各実施例及び比較例に係るクレヨンを用いて、市販のルーズリーフ用紙に筆記し、各クレヨンの着色性を、目視観察により、以下の基準で評価する。
○:着色性が極めて良い。
△:着色性が良い。
×:着色性が悪い。
【0036】
(成型性)
各実施例及び比較例で得られたクレヨンの寸法や気泡の有無などを目視で観察して、次の基準で成型性を評価した。
○:所定の寸法であり、気泡はまったくない。
△:所定の寸法であり、気泡がほとんどなく、実用上支障がない。
×:寸法が所定よりも小さく、また気泡を有している。
【0037】
実施例に係るクレヨンは、光揮感及び立体感が極めて強く、また成型性も優れている。
【0038】
【発明の効果】
本発明は、必須成分として、ガラスフレーク顔料、体質顔料、ワックス及びオイルを含んでなる光輝性固形描画材であるので、従来の固形描画材と比較して、より強い光輝感と立体感を持つ従来にない独特の筆跡乃至塗膜を得ることができる。
【0039】
また、必須成分として、金属被覆無機顔料、体質顔料、ワックス及びオイルをを含んでなる光輝性固形描画材も、光輝性が失われることなく、強い光輝感を持つ筆跡乃至塗膜を得ることができる。
Claims (5)
- 必須成分として、ガラスフレーク顔料、体質顔料、ワックス及びオイルを含んでなる光輝性固形描画材であって、
ガラスフレーク顔料はフレーク状ガラスが銀又は銀合金で被覆された構造で、5〜500μmのメジアン径を有し、固形描画材全量に対して1〜50重量%含まれ、
オイルに流動パラフィンを用いる光輝性固形描画材。 - 流動パラフィンは、固形描画材全量に対して3〜20重量%含まれている請求項1記載の光輝性固形描画材。
- さらに着色剤が40重量%以下含まれている請求項2記載の光輝性固形描画材。
- ワックスがパラフィンワックス、牛脂硬化油、カルナウバワックスである請求項3記載の光輝性固形描画材。
- ワックスは固形描画材全量に対して20〜80重量%含まれている請求項4記載の光輝性固形描画材。
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