JP4445617B2 - 内視鏡用処置具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、医療用処置具に関し、特に、内視鏡と組み合わせて使用し、患者等の体腔内の組織を切除し、あるいは、採取するのに適した内視鏡用処置具に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
このような、医療の用途に用いる内視鏡用処置具の例は、特願平10−34784号、特開平10−216148号公報、特開平11−9610号公報に記載されている。
【0003】
特願平10−34784号には、内側チューブと外側チューブを有し、内側チューブの先端部に組織切除手段および生体組織吸引用の先端ユニットを設け、内側チューブの基端部に吸引手段を設け、これらの内側チューブと外側チューブとの相対移動により、内側チューブの先端部に吸引した組織を切除することのできる内視鏡用処置具が開示されている。
【0004】
また、上記特開平10−216148号公報には、中空構造の挿入軸の中に鉗子手段とスネア手段とを配置した鉗子装置が開示されている。
【0005】
【発明が解決すべき課題】
上記特願平10−34784号に記載の内視鏡用処置具は、切除手段と組織を吸引する先端ユニットとが同時に挿入部の軸方向へ動くため、組織の切除量を調整することが困難である。また、先端ユニットが切除手段の先端から隠れた位置にあるため、目的とする組織が術者に見にくく、また、先端ユニットよりも先に切除手段が組織に当たるため、確実に目的とする組織を吸引することが困難であった。
【0006】
また、上記特開平10−216148号公報に記載の鉗子装置は、組織の把持手段がリンク式の金属製の把持機構で形成されているため、スネアと併用する際に必要な絶縁構造とするためには、極めて複雑な構造を採用せざるを得なかった。
また、伸縮しやすい組織の場合には、把持手段が滑りやすいという点でも不都合であった。
【0007】
本発明は、上述に鑑みてなされたもので、体内の組織を確実に採取でき、また組織の採取量を調節でき、簡便な構造を持つ内視鏡用処置具を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明の内視鏡用処置具は、挿入部と、上記挿入部の先端に設けられた開閉自在な部材で切除対象組織を切除する組織切除手段と、上記部材の内側において進退自在に設けられ、上記部材の先端から突き出して切除対象組織を吸着して保持し、上記切除対象組織を上記部材の内側まで引き込み可能な吸引チューブと、を具備し、上記部材は、少なくとも基端部が上記挿入部の先端部内に引き込まれて閉じ、上記吸引チューブを前進したときには上記吸引チューブに追従して移動し、該部材自身の弾性復元力で先端部分が開くことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】
<第1実施形態>
本発明の第1の実施形態を、図1から図4を参照して説明する。第1実施形態の内視鏡用処置具は、例えば膀胱腫瘍等を削除する場合に軟性内視鏡と組合わせて使用するのに適したものである。
本実施形態の内視鏡用処置具10は、操作部12と挿入部14とを備える。この操作部12は、手元側の一端にリング16を有し、他方の先端側の一端で挿入部14と接続される操作部本体18と、この操作部本体18上を摺動自在の第1スライダ20と、この第1スライダ20上に配置されて図示しない電源に接続されるプラグ22と、操作部本体18に軸方向に沿って形成されたスリット24内に配置され、プラグ22に接続される操作棒26とで構成されている。また、挿入部14は、口金部28を介して操作部本体18に接続され、この口金部28は第2スライダ30と、シリンジ取り付け口32と、これらのシリンジ取り付け口32および第2スライダ30が摺動するスリット34とを備える。
【0010】
上記挿入部14は、コイル36aの周部を絶縁被覆36bで覆って形成された挿入部シース36内に、スライド自在に収容された操作ワイヤ38と吸引チューブ40とを備え、この吸引チューブ40は、後述するように、シリンジによる吸引力で生体組織を吸引固定する組織固定手段を形成する。このように可撓性構造に形成される挿入部シース36先端部には先端カバー42が固定され、さらに先端カバー42の内面側に開閉自在の組織切除手段を形成するカップ44が取付けられている。
【0011】
この組織切除手段を形成するカップ44は、互いに同様な構造を持つ一対の半片部材44aを備える。各半片部材44aは、半球状に形成した先端部46と、弾性を持つ板状アームで形成した中間部48と、半円筒状に形成した後端部50とを有し、その全体がステンレス等の好適な金属材料から打ち抜き成形等の適宜の工程を経て形成される。このカップ44のそれぞれの半片部材44aは、外力が加わらない状態では、中間部48が板状アームの弾性力により弓状に外方へ変形している(図2および図3)。
【0012】
これらの半片部材44aの一方の先端部46の外面の一部には、係止部52が設けられ、他方の半片部材44aには、操作ワイヤー38を挿通する孔54が設けられている。また、カップ44の操作部側には、PTFEやセラミック等の好適な絶縁材料で形成された円盤状のスペーサ56が固定されている。このスペーサ56には、吸引チューブ40を挿通する大径開口部58をほぼ中央部に形成し、操作ワイヤ38を挿通する小径開口部60を外周部の近部に形成してある。
【0013】
操作ワイヤ38は、カップ44側の先端部を取り囲むようにループ状に形成してあり、挿入部シース36からスペーサ56の開口部60と半片部材44aの孔54の順に通ってこの半片部材44aの外面に突出する。更に、操作ワイヤ38の先端部38aは、カップ44の他方の半片部材44aの外面に設けられた係止部52と、先に通った半片部44aの孔54の順に通って、このカップ44に近接する部位で操作ワイヤ38の中間部に固定される。一方、操作ワイヤ38の操作部12に近接する基端部は、操作棒26に固定されており、カップ44とプラグ22とがこの操作ワイヤ38を介して電気的に接続される。
【0014】
操作ワイヤ38がこのようにカップ44と操作棒26とに取付けられていることにより、操作部12側へ牽引すると、カップ44の両半片部材44aがその先端部46を閉じる。この走査ワイヤ38の牽引力によって、通常はその先端部46を開いた状態に付勢されていたカップ44の各半片部材44aは、操作ワイヤ38の先端部のループ状の部分が一方の半片部材44aに形成された孔54を基点として引き絞られ、これにより、各半片部材44aの半球状の先端部46が互いに接近する方向へ移動させられ、カップ44が閉じる。
【0015】
この内視鏡用処置具10は、挿入部14の先端部14aを上述のように形成したことにより、この挿入部14の先端部14aに設けられたカップ44内に吸引チューブ40を摺動自在に配置することができる。
【0016】
吸引チューブ40は、上述のスペーサ56の略中央部に形成された大径開口部58を通って、操作部12の第2スライダ30とシリンジ取付口32とに接続されている。これにより、第2スライダ30がスリット34を介して挿入部シース36に対して移動することにより、その先端がカップ44の先端部から突出した状態と、カップ44内に引込んだ状態との間を自由に移動することができる。この吸引チューブ40の内腔は、口金部28に設けられたシリンジ取付口32と連通している。
【0017】
次に、本実施形態による内視鏡用処置具10の作用について図4を参照して説明する。
体内の生体組織Sを切除あるいは採取する場合は、予め軟性内視鏡等を所要部位の近部に配置しておく。そして、この内視鏡用処置具10の挿入部14を内視鏡のチャンネルを通して体腔内に挿入し、体内組織表面H側から、カップ44を目的の部分である生体組織Sに近づける。
【0018】
次に、操作部12の第1スライダ20を操作してカップ44を開き、このカップ44が開いた状態で操作部12のシリンジ取付口32にシリンジ(図示しない)を取り付ける。その後、第2スライダ30を操作し、吸引チューブ40の先端部をカップ44から突出させ、目的の生体組織Sの部分に接触させる。そして、操作部12のシリンジを操作することにより、吸引チューブ40の先端部内に生体組織Sを吸引し、この状態で固定する。
【0019】
更に、吸引チューブ40をカップ44内に引込みむ。このとき、吸引チューブ40の移動量を調整することによって引っ込み量を調整しつつ、カップ44を閉じ、各半片部材44aの対向縁部に形成した切断エッジにより、生体組織Sを生体から切除する。この生体組織を切除する際、プラグ22に高周波電源を接続し、カップ44に通電しながら切除しても良い。
【0020】
この実施形態による内視鏡用処置具10は、カップ44内に生体組織Sを引込みながら切除することができるため、カップ44を形成する半片部材44aの先端部46よりも大きな生体組織でも切除することができ、大きな生体組織を一度で切除することが可能である。また、吸引チューブ40内に生体組織Sを吸引し、この吸引チューブ40の吸引力で生体組織Sを固定しているため、切除する際に生体組織Sが滑りにくく、したがって、簡便な構造でありながらも生体組織Sを簡単かつ確実に固定することができる。更に、吸引チューブ40内への引込み量を任意に調整することができるため、切除量を自由に調整することができる。
【0021】
また、カップ44に高周波電流を通電可能であるため、生体組織の切除量を大きくしても、確実に止血しながら切除を行うことができる。
【0022】
<第2実施形態>
本発明の第2の実施形態を図5から図7を参照しつつ説明する。なお、以下の実施形態では、上述の実施形態と同様な部材には同様な符号を付してその詳細な説明を省略する。
【0023】
本実施形態における内視鏡用処置具110では、口金部128内における吸引チューブ140の摺動する管腔に2つのOリング70,72を設け、吸引チューブ140のこれらの2つのOリング70,72間に配置される部位の周壁部に開口部74を形成し、口金部128にシリンジ取付部76を設け、これにより、吸引チューブ140の内腔と口金部128の内腔とで1つの連続した管腔を形成してある。この吸引チューブ140の後端部は操作棒26に結合される。
【0024】
また、挿入部14の先端部においては、先端カバー42に対してカップ144を摺動自在に形成してある。すなわち、各半片部材144aの半円筒状に形成した後端部150をスペーサ156の先端部あるいは外周部に固定し、このスペーサ156と共に各半片部材144aが先端カバー42に対して軸方向に摺動自在となっている。
【0025】
このように形成されたカップ144内には、吸引チューブ140の先端に接続される吸引部材78を組織固定手段として配置してあり、これらの吸引チューブ140と吸引部材78とは、挿入部シース36あるいはコイル36aに対して摺動自在に設けられている。吸引部材78は吸引チューブ140に近接する側に細径部78aを有し、この細径部78aをスペーサ156の中央開口部158内にスライド自在に挿通させた後、吸引チューブ140に接続している。
【0026】
本実施形態では、吸引チューブ140の先端部は、吸引部材78の細径部78aの外周部に固定してあり、したがって、吸引部材78に取付けた後の吸引チューブ140の先端部の外径は、スペーサ156の開口部158の内径よりも大きく形成される。また、吸引部材78の先端部側から細径部78aに移行する部位に形成される段部が、スペーサ156の開口部158の内径よりも大径に形成され、スペーサ156に対する突き当て部78bとして作用する。したがって、吸引部材78がスペーサ156からコイル36aの内部に引込まれることはない。
その他の構成については、上述の第1実施形態と同様である。
【0027】
本実施形態の内視鏡用処置具110の作用は以下の通りである。
操作部12内のスライダ20を先端部側へ移動させると、吸引チューブ140あるいは吸引部材78の先端部がカップ144の半球状先端部146の先端内面に突き当たり、カップ144が先端カバー42に対して先端部側に向けて軸方向移動する。これにより、弾性板状アームで形成した中間部148が拘束を解除され、半球状の先端部146を外方に開く。更に、スライダ20を先端側に移動させると、吸引部材78が細径部78aをスペーサ156に対して摺動させつつ、カップ144に対して移動し、カップ144の先端から、吸引部材78の先端を突出させる。このようなカップに対する吸引部材の移動を確実にするために、先端カバー42の内周面とカップ144の外周面とに好適なストッパー機構を設けてもよい。
【0028】
カップ144の先端から、吸引部材78の先端が突出した状態で、シリンジを操作し、吸引部材78の先端内に生体組織を吸引固定する。次に、スライダ20を手元側あるいは基端側へ移動し、カップ144内に生体組織を引込む。更に、スライダ20を基端側へ移動させると、吸引部材78の突き当て部78bがスペーサ156の先端面に突き当たり、スペーサ156と共にカップ144を先端カバー42内に引き込み、各半片部材144aの先端部146を閉じる。
【0029】
この実施形態における内視鏡用処置具110によると、吸引部材78とカップ144とが連動するため、1つのスライダ20を操作するだけで吸引部材78とカップ144とを操作することができ、操作性が向上する。
【0030】
<3実施形態>
次に、図8および図9を参照して本発明の第3実施形態について説明する。 本実施形態の内視鏡用処置具210は、第2実施形態のものとほぼ同様であるが、第2実施形態におけるカップ144を形成する半片部材144aを更に半分に分割した状態に形成してある。
すなわち、図8および図9に示すように、本実施形態では、カップ244は、各半片部材244aを閉じたときに、半円状の横断面形状を形成する。また、吸引部材240の先端部には、カップ244の切断エッジ245に向けて屈曲する屈曲部240aが組織固定手段として形成してある。
その他の点については、上述の第2実施形態と同様である。
【0031】
また、この第3実施形態における内視鏡用処置具も、図5から図7を参照して説明した第2実施形態による内視鏡用処置具と同様な態様で作用する。
【0032】
この第3実施形態の内視鏡用処置具210によると、吸引部材240の動きが観察できるため、切除予定部Tに対してカップ244を確実かつ容易に接近させ、より確実に生体組織Sをカップ244内に引き込み、切除することができる。
更に、観察しやすくするために、カップ244を形成する半片部材244aのそれぞれの先端部を挿入部14の軸線に対して屈曲させても良い。
【0033】
なお、前述した説明によれば、少なくとも以下に付記として列記する特徴事項が得られる。
【0034】
<付記>
1. 挿入部先端の開閉自在の組織切除手段と、挿入部先端の組織固定手段とよりなる内視鏡用処置具において、
組織固定手段を組織切除手段内に進退自在に配置したことを特徴とする内視鏡用処置具。
【0035】
2. 上記1項において、組織固定手段の先端部は切除手段先端より突き出し可能であることを特徴とする内視鏡用処置具。
【0036】
3. 上記2項において、組織固定手段は吸引手段に接続する手段と、管腔と、先端開口を有し、吸引手段から先端開口まで管路を形成することを特徴とする内視鏡用処置具。
【0037】
4. 上記1から3項のいずれか1において、組織固定手段と組織切除手段はそれぞれ独立して作動可能であることを特徴とする内視鏡用処置具。
【0038】
5. 上記1から4項のいずれか1において、組織切除手段は一対の開閉自在の部材よりなることを特徴とする内視鏡用処置具。
【0039】
6. 上記1から5項のいずれか1において、切除手段は通電可能であることを特徴とする内視鏡用処置具。
【0040】
7. 上記6項において、組織固定手段と切除手段は互いに電気的に絶縁されることを特徴とする内視鏡用処置具。
【0041】
【発明の効果】
以上明らかなように、本発明の内視鏡用処置具によれば、極めて簡便な構造でありながらも、体内の組織を確実に採取でき、また組織の採取量を必要に応じて調節することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による内視鏡用処置具の全体構造を概略的に示す説明図。
【図2】図1の内視鏡用処置具の先端部の詳細を示す拡大図。
【図3】図2に示す先端部の内部構造を示し、(A)は分解図、(B)は(A)のB−B線に沿う断面図。
【図4】第1実施形態の内視鏡処置具により、生体組織を切除する状態を示し、(A)は吸引チューブを突出させて生体組織に当接させたときの説明図、(B)は吸引チューブを引込みんでカップにより切除する状態の説明図。
【図5】第2実施形態による内視鏡用処置具の全体を概略的に示す説明図。
【図6】図5に示す内視鏡用処置具の口金部の内部構造を示す断面図。
【図7】第2実施形態による内視鏡用処置具のカップの作動を示し、(A)は閉じた状態の断面図、(B)は開いた状態の断面図。
【図8】第3実施形態による内視鏡用処置具の先端部の概略的な斜視図。
【図9】図8に示す内視鏡用処置具の先端部の作動を示し、(A)はカップを閉じた状態の端面図、(B)は開いた状態の説明図。
【符号の説明】
10,110,210…内視鏡用処置具、12…操作部、14…挿入部、16…リング、18…操作部本体、20,30…スライダ、22…プラグ、24…スリット、26…操作棒、28,128…口金部、32…シリンジ取り付け口、34…スリット、36…挿入部シース、36a…コイル、36b…絶縁被覆、38…操作ワイヤ、40,140,240…吸引チューブ、42…先端カバー、44,144,144…カップ、44a,144a、244a…半片部材、46,146…先端部、48,148…中間部、50,150…後端部、52…係止部、54…孔、56,156…スペーサ、58,60,158…開口部、70,72…Oリング、74…開口部、76…シリンジ取付部、78…吸引部材、S…生体組織。
Claims (1)
- 挿入部と、
上記挿入部の先端に設けられた開閉自在な部材で切除対象組織を切除する組織切除手段と、
上記部材の内側において進退自在に設けられ、上記部材の先端から突き出して切除対象組織を吸着して保持し、上記切除対象組織を上記部材の内側まで引き込み可能な吸引チューブと、
を具備し、
上記部材は、少なくとも基端部が上記挿入部の先端部内に引き込まれて閉じ、上記吸引チューブを前進したときには上記吸引チューブに追従して移動し、該部材自身の弾性復元力で先端部分が開くことを特徴とする内視鏡用処置具。
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