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JP4441998B2 - コンタクトレンズ材料、コンタクトレンズ及びその製造方法 - Google Patents

コンタクトレンズ材料、コンタクトレンズ及びその製造方法 Download PDF

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JP4441998B2
JP4441998B2 JP2000213897A JP2000213897A JP4441998B2 JP 4441998 B2 JP4441998 B2 JP 4441998B2 JP 2000213897 A JP2000213897 A JP 2000213897A JP 2000213897 A JP2000213897 A JP 2000213897A JP 4441998 B2 JP4441998 B2 JP 4441998B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コンタクトレンズ材料、コンタクトレンズ及びその製造方法に関する。さらに詳細には、防汚染性、加工性、機械的強度、耐久性等に優れる架橋重合体を用いたソフトコンタクトレンズに特に有効な、コンタクトレンズ材料及びコンタクトレンズ、並びにコンタクトレンズ製造時における歪みや設計寸法のズレ等を抑制しうるコンタクトレンズの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
コンタクトレンズは、メチルメタクリレート等の疎水性モノマーを主成分とするハードコンタクトレンズと、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等の親水性モノマーを主成分とする含水性ソフトコンタクトレンズとに分けられ、広く利用されている。ハードコンタクトレンズは、最も古くから使用されており、機械的強度、耐防汚性等に優れる。最近では角膜への酸素供給の点から、有機シラン系化合物やフッ素化合物を有する酸素透過性の高いハードコンタクトレンズが主流になっている。
しかし、これらのハードコンタクトレンズは、有機シランを含有することにより酸素透過性が付与されるが、涙液中のタンパク質や脂質等の汚れが付着し易い、また割れ易い等の欠点がある。
【0003】
一方、含水性ソフトコンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズに比較して目に馴染みやすく、装用感に優れたレンズである。しかし、涙液中の蛋白質、脂質等が沈着し易く、強度が低いという欠点がある。また高含水性ソフトコンタクトレンズは、切削、研磨によるレンズ加工が難しく、ソフトコンタクトレンズに不可欠な滅菌処理の繰り返しによる黄変等の問題や、含水率を高めるとレンズの機械的強度が低下する等の問題が生じる。
【0004】
これら涙液中のタンパク質のコンタクトレンズへの吸着を改善するために、ホスホリルコリン基を有する単量体、特に、2−メタクリロイルオキシエチル−2’−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートを共重合成分として使用する技術が提案されている(特開平6−43401号公報、特開平6−313865号公報、特開平7−159736号公報、EP0555295(B)1等)。
【0005】
ところで、通常の実用的なコンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズ、ソフトコンタクトレンズのいずれであっても、重合反応と架橋反応とを同時に行って作製される。一般に、重合反応前のモノマーの体積と、重合後のポリマーの体積を比較すると、重合により体積が減少(収縮)することが広く知られている。これは、分子が混合状態から反応による結合状態に変化することにより、分子の専有体積が減少することによって生じる現象である。ここで、重合時に2官能以上の架橋モノマーが存在する場合、ポリマー中の各主鎖は、架橋剤による分子の運動に制限があるために安定な配列となり難く、内部応力(歪み)が残存する。この歪みは、コンタクトレンズの形状を変化させるので、製造後のコンタクトレンズが設計したレンズの形状(例えばカーブ)と異なる原因の一つになったり、あるいは歩留まりを低下させる等の原因の一つとなっている。このため、より歪みの少ない材料がコンタクトレンズに求められている。
【0006】
従来、含水ソフトコンタクトレンズを製造する方法としては、例えば、エチレン性の単量体組成物をコンタクトレンズ形状の型に流し込み、そのままラジカル重合により硬化させ、後で含水させる方法、エチレン性の単量体組成物をラジカル重合によりロッド(棒状)型に硬化させた後、切り出して切削加工し、その後含水させる方法、エチレン性の単量体組成物をラジカル重合によりボタン型に硬化させた後、切削加工し、その後含水する方法が採用されている。
これらの方法により製造される含水性ソフトコンタクトレンズは、未反応物の残存、ラジカル重合開始剤分解物の残存等が問題となる。このような問題は、含水時において水で十分置換する操作、あるいは使用前に煮沸消毒することにより解決しうるが、製造工程が煩雑であるという問題は残っている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、防汚染性、加工性、機械的強度、耐久性等に優れるコンタクトレンズ材料及びコンタクトレンズを提供することにある。
本発明の他の目的は、製造時におけるコンタクトレンズの歪みや設計寸法のズレ等が抑制でき、防汚染性、機械的強度、耐久性等に優れるコンタクトレンズを高い歩留りにおいて製造し得るコンタクトレンズの製造方法を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、(a)成分;式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有不飽和単量体10〜99.8質量%、(b)成分;エポキシ基含有不飽和単量体0.1〜20質量%、(c)成分;ブロックカルボン酸基含有不飽和単量体0.1〜80質量%、及び(d)成分;その他不飽和単量体0〜80質量%からなる単量体組成物を重合させて得た、重量平均分子量3000〜1000000の共重合体を加熱し、架橋させて得た架橋重合体を含むコンタクトレンズ材料が提供される。
【化7】
Figure 0004441998
(式中、R 1 、R 2 及びR 3 は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基示す。X 1 は2価の有機残基を示し、Y 1 は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示す。Z 1 及びZ 2 は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R 4 (ただし、R 4 は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。mは0又は1、nは2〜4の整数である。)
また本発明によれば、式(5)で表される構成単位(a)10〜99.8質量%と、式(6)で表される構成単位(b)0.1〜20質量%と、式(8)で表される構成単位(c2)0.1〜80質量%とを含み、ランダム型の重量平均分子量3000〜1000000の共重合体を加熱し、架橋させて得た架橋重合体を含むコンタクトレンズ材料が提供される。
【0009】
【化9】
Figure 0004441998
【0010】
(式(5)中、R1、R2及びR3は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基示し、X1は2価の有機残基を示し、Y1は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Z1及びZ2は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R4(ただし、R4は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。mは0又は1、nは2〜4の整数である。式(6)中、R5は水素原子又はメチル基を示し、X2は2価の有機残基を示す。式(7)中、R6は水素原子又はメチル基を示し、X3は2価の有機残基を示す。式(8)中、R7、R8及びR9は同一又は異なる基であって、水素原子又は1〜18の有機基を示し、R10は炭素数1〜18の有機基示す。R9及びR10は互いに結合してY2をヘテロ原子とする複素環を形成していてもよい。Y2は酸素原子又はイオウ原子を示す。Z3及びZ4は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R11(ただし、R11は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。)
更に本発明によれば、上記コンタクトレンズ材料を加工して得たコンタクトレンズが提供される。
更にまた本発明によれば、上記コンタクトレンズ材料を、加工することを特徴とする上記コンタクトレンズの製造方法が提供される。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明をさらに詳細に説明する。
本発明に用いる共重合体は、(a)成分;ホスホリルコリン類似基含有不飽和単量体、(b)成分;エポキシ基含有不飽和単量体、(c)成分;ブロックカルボン酸基含有不飽和単量体及び(d)成分;その他不飽和単量体を特定割合で含む単量体組成物を重合させて得た、重量平均分子量3000〜1000000の共重合体である。また、本発明に用いる共重合体は、上記式(5)で表される構成単位(a)と、上記式(6)で表される構成単位(b)と、上記式(8)で表される構成単位(c2)とを含み、ランダム型の重量平均分子量3000〜1000000の共重合体である。
【0012】
(a)成分としては、式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有不飽和単量体が好ましく、この(a)成分により上記式(5)で表される構成単位(a)を形成することができる。
【化10】
Figure 0004441998
式中、R1、R2及びR3は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基を示す。この炭化水素基としてはアルキル基等が挙げられる。X1は2価の有機残基を示す。この有機残基としてはアルキレン基等が挙げられる。Y1は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示す。Z1及びZ2は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R4(ただし、R4は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。mは0又は1、nは2〜4の整数である。
【0013】
式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有不飽和単量体としては、例えば、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート(以下、アクリル基又はメタクリル基とを併せて(メタ)アクリルと示す。)、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリエチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリプロピルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリブチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシブチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−3'−(トリメチルアンモニオ)プロピルホスフェート、2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、3−(メタ)アクリロイルオキシプロピル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、4−(メタ)アクリロイルオキシブチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、5−(メタ)アクリロイルオキシペンチル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート、6−(メタ)アクリロイルオキシヘキシル−4'−(トリメチルアンモニオ)ブチルホスフェート等が挙げられる。
【0014】
さらに、α−メチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−メチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−プロピル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−プロピル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−(2"−ヒドロキシエチル)−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−(2"−ヒドロキシエチル)−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−(2"−ヒドロキシエチル)−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸プロピル)イタコネート、β−(2"ーヒドロキシエチル)−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸プロピル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−N,N−ジメチル−N−エチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニオ)エチルリン酸エチル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸プロピル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸プロピル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸ブチル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸ブチル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エトキシエチル)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸エトキシエチル)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸ジイソプロピレングリコール)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸ジイソプロピレングリコール)イタコネート、α−エチル−β−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸トリエチレングリコール)イタコネート、β−エチル−α−((2'−トリメチルアンモニオ)エチルリン酸トリエチレングリコール)イタコネート、エチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、t−ブチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、シクロヘキシル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、2−ヒドロキシエチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、イソプロピル−(2'−トリエチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、sec−ブチル−(2'−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、エチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸プロピル)フマレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸ブチル)フマレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エトキシエチル)フマレ−ト、t−ブチル−(2'−トリエチルアンモニオエチルリン酸エトキシエチル)フマレ−ト、イソプロピル−(2'−トリヒドロキシエチルアンモニオエチルリン酸エチル)フマレ−ト、エチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、t−ブチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、シクロヘキシル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、2−ヒドロキシエチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、イソプロピル−(2'−トリエチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、sec−ブチル−(2'−N,N−ジエチル−N−メチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト、エチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸プロピル)マレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸ブチル)マレ−ト、イソプロピル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸エトキシエチル)マレ−ト、t−ブチル−(2'−トリメチルアンモニオエチルリン酸ブチル)マレ−ト、t−ブチル−(2'−トリエチルアンモニオエチルリン酸エトキシエチル)マレ−ト、イソプロピル−(2'−トリヒドロキシエチルアンモニオエチルリン酸エチル)マレ−ト等が挙げられる。
特に入手性などから2−(メタ)アクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェートが好ましく挙げられる。
【0015】
(b)成分としては、式(2)で表されエポキシ基含有不飽和単量体が好ましく、この単量体により、上記式(6)で表される構成単位(b)を形成することができる。
【化11】
Figure 0004441998
式中、R5は水素原子又はメチル基を示し、X2は2価の有機残基を示す。この有機残基としてはアルキレン基等が挙げられる。
【0016】
式(2)で表されエポキシ基含有不飽和単量体としては、例えば、グリシジル(メタ)アクリレート、グリシジルイタコネート、グリシジルフマレート、3,4−エポキシシクロヘキシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
【0017】
(c)成分としては、式(4)で表されるブロックカルボン酸含有不飽和単量体等が挙げられる。式(4)で表されるブロックカルボン酸含有不飽和単量体により、上記式(8)で表される構成単位(c2)を形成することができる。また、必要により式(3)で表されヒドロキシル基含有不飽和単量体を用いることもできる。式(3)で表されヒドロキシル基含有不飽和単量体により、上記式(7)で表される構成単位(c 1 )を形成することができる。
【0018】
式(3)で表されヒドロキシル基含有不飽和単量体としては、例えば、2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、エチルα−ヒドロキシメチルアクリレート等が挙げられる。
式(4)で表されるブロックカルボン酸含有不飽和単量体としては、例えば、1−イソプロポキシエチル(メタ)アクリレート、1−エトキシエチル(メタ)アクリレート、1−t−ブトキシエチル(メタ)アクリレート、1−(1−メチルヘキシロキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−(1,1−ジメチルプロポキシ)エチル(メタ)アクリレート、1−イソプロポキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−エトキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−t−ブトキシエチル(メタ)アクリルアミド、1−(1−メチルヘキシロキシ)エチル(メタ)アクリルアミド、1−(1,1−ジメチルプロポキシ)エチル(メタ)アクリルアミド、1,2,4−ベンゼントリカルボン酸−2,4−ビス(プロポキシエチル)−1−((メタ)アクリロキシエチル)エステル等が挙げられる。
【0019】
本発明に用いる共重合体において、前記(a)成分、(b)成分及び(c)成分を必須成分とする単量体組成物は、必要に応じて、(d)成分;その他不飽和単量体を含んでいても良い。
(d)成分としては、例えば、スチレン、メチルスチレン、クロロメチルスチレン、アミノスチレン等のスチレン系単量体;メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、ドデシル(メタ)アクリレート、セチル(メタ)アクリレート、ステアリル(メタ)アクリレート、シクロヘキシル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート等の各種モノアルキル(メタ)アクリレート;(メタ)アクリロイルオキシエチルトリメトキシシラン等の反応性官能基含有(メタ)アクリレート;2−(メタ)アクリロイルオキシエチルブチルウレタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルベンジルウレタン、2−(メタ)アクリロイルオキシエチルフェニルウレタン等のウレタン変性(メタ)アクリレート;メチルビニルエーテル、エチルビニルエーテル、ブチルビニルエーテル等のビニルエーテル類;酢酸ビニル等のビニルエステル類;塩化ビニル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、イソブチレン等のハロゲン置換もしくは無置換炭化水素単量体;ジエチルフマレート、ジエチルマレート等の多官能エステル型単量体;(メタ)アクリル酸、アコニット酸、イタコン酸、メタコン酸、シトラコン酸、フマル酸、マレイン酸、メタコン酸等のカルボキシル基含有単量体;ビニルスルホン酸、アクリルアミド−2−メチルプロパンスルホン酸、ビニルスルホン酸等のスルホン酸系単量体、及びこれらの各種金属塩;N,N−ジメチルアミノプロピル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチルアミノエチル(メタ)アクリレート、N,N−ジエチルアミノエチル(メタ)アクリレート等の含窒素単量体、及びこれらの各種四級塩;2−ビニルピリジン、3−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、2−ビニルイミダゾール、N−メチル−2−ビニルイミダゾール、N−ビニルイミダゾール、(メタ)アクリルアミド、N−メチル(メタ)アクリルアミド、N,N−ジメチル(メタ)アクリルアミド、N−エチル(メタ)アクリルアミド、N−イソプロピル(メタ)アクリルアミド、N−t−ブチル(メタ)アクリルアミド、N−[トリス(ヒドロキシメチル)メチル]アクルアミド等のアミド型単量体;2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、1,3−ジヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート等の水酸基含有単量体;ポリエチレングリコール(メタ)アクリレート;N−ビニルピロリドン、N−(メタ)アクリロイルピロリドン、アクリロイルモルホリン等の含窒素環状単量体、マレイン酸イミド、無水マレイン酸、アクリロニトリル、ビニルベンジルアミン、各種疎水性マクロモノマー、各種親水性マクロモノマー等が挙げられる。
【0020】
本発明に用いる共重合体において、単量体組成物中の前記(a)成分の配合割合は、組成物全量に対して、10〜99.8質量%、好ましくは30〜99.5質量%である。10質量%未満では、ホスホリルコリン類似基の示す抗タンパク質吸着能が低下し、99.8質量%を超えると得られるコンタクトレンズ材料の強度が低下する。
本発明に用いる共重合体において、前記(b)成分の配合割合は、組成物全量に対して、0.1〜20質量%、好ましくは0.5〜10質量%である。0.1質量%未満又は20質量%を超える場合には、得られるコンタクトレンズ材料の強度が弱くなる。
本発明に用いる共重合体において、前記(c)成分の配合割合は、組成物全量に対して、0.1〜80質量%、好ましく2〜80質量%である。0.1質量%未満では得られるコンタクトレンズ材料の強度が弱くなり、80質量%を超えると前記(a)成分の示す抗タンパク質吸着能が低下する。
本発明に用いる共重合体において、前記(d)成分の配合割合は、組成物全量に対して、0〜80質量%、好ましくは30〜70質量%である。80質量%を超えると前記(a)成分の示す抗タンパク質吸着能が低下する。
【0021】
本発明に用いる共重合体において、前記単量体組成物を重合する方法としては、公知のラジカル重合法等を採用することができる。
重合に際しては、必要に応じて反応系に、重合溶媒や重合開始剤を加えることができる。重合溶媒としては、重合に用いられる溶媒であれば良く、例えば、水、アルコ−ル、あるいは水とアルコ−ルとの混合物等が好ましく挙げられる。
重合に際して、重合溶媒中での全単量体の濃度は、5〜100質量%が好ましい。5質量%未満の濃度では重合効率が悪くなり好ましくない。
【0022】
重合開始剤としては、例えば、2,2'−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2'−アゾビス(2−(5−メチル−2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビス(2−(2−イミダゾリン−2−イル)プロパン)二塩酸塩、2,2'−アゾビスイソブチルアミド二水和物、アゾビスイソブチロニトリル、2,2'−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、過硫酸アンモニウム、過硫酸カリウム、過酸化ベンゾイル、ジイソプロピルペルオキシジカーボネート、t−ブチルペルオキシ−2−エチルヘキサノエート、t−ブチルペルオキシピバレート、t−ブチルペルオキシジイソブチレート、過酸化ラウロイル、t−ブチルペルオキシネオデカノエート(商品名「パーブチルND」、日本油脂(株)社製)が挙げられる。また、重合開始剤には、各種レドックス系の促進剤を用いても良い。
重合開始剤の使用量は、全単量体100質量部に対して、0.01〜10質量部、さらには0.1〜5質量部が好ましい。
【0023】
本発明に用いる共重合体において、前記単量体組成物の重合は、例えば、前記単量体を必要に応じて重合溶媒で溶解し、必要に応じて、他の添加剤を加えた後、前記重合開始剤を加え、必要に応じて重合系を不活性ガス、例えば、窒素、二酸化炭素、ヘリウムで置換ないし雰囲気下にし、必要に応じて重合温度を設定する方法等により得ることができる。重合温度は、重合開始剤の種類により異なるが、0〜80℃が好ましく、重合時間は10分間〜120時間が望ましい。重合温度が80℃を超える場合には、重合と同時に架橋反応が生じる恐れがあるので好ましくない。
得られた共重合体は、公知の精製方法、例えば、沈澱、ろ過、抽出、溶媒留去等の方法により精製した後、必要であればさらに再沈、カラムクロマトグラフィー、活性炭処理、活性白土処理の操作で精製することができる。
【0024】
本発明に用いる共重合体は、上記式(5)と、式(6)と、式(8)とで示される、構成単位(a)と、構成単位(b)と、構成単位(c2)とを必須の構成単位として含む共重合体であることが好ましい。これらの構成単位はランダム構造であって、これらの割合は、共重合体中に、構成単位(a)が10〜99.8質量%、構成単位(b)が0.1〜20質量%、構成単位(c 2 )の合計が0.1〜80質量%であることが望ましい。この際、本発明の共重合体には、他の構成単位が80質量%以下含まれていても良い。
【0025】
本発明に用いる共重合体には、必要に応じて、例えば、その物性に影響を与えない範囲で、色素、染料、顔料、紫外線吸収剤等を含んでいても良い。具体的には、青色201号、青色204号、紫色201号、赤色404号、緑色202号、青色404号等の色素又は顔料;2−(2'−ヒドロキシフェニル)ベンゾトリアゾール、2−(ヒドロキシ)ベンゾフェノン等の紫外線吸収剤等が挙げられる。
【0026】
本発明に用いる架橋重合体は、上記共重合体を加熱し架橋させたものである。例えば、上記共重合体を、キャストや、加圧成型等により適当な形状に成型、乾燥後、加熱することで架橋させることができる。
前記キャストは、修飾反応や重合反応で得た共重合体液をそのまま用いるか、前記共重合体を適当な溶媒で溶解し、共重合体溶液とした後、風乾、スピンキャスト等、一般的なキャスト方法で共重合体のキャスト物を得る方法により行なうことができる。
前記加圧成型は、前記共重合体の乾燥物を加圧成型機に挿入し、0.5〜50MPaの条件で、加圧成型する方法により行なうことができる。加圧が0.5MPa未満では、得られる成型物に十分な強度が付与できず、50MPaを超える場合には用いる成型器の耐圧性が実用的でないので好ましくない。
【0027】
上記共重合体を加熱し、架橋させるには、前記キャスト法、加圧成型法等を用いて上記共重合体を所望の形状に成形した後、あるいは上記共重合体を溶液状態で鋳型に入れ、次いで、好ましくは80〜160℃に昇温し、所定時間保持することにより架橋させることにより、所望の架橋重合体を得ることができる。
本発明に用いる共重合体及び架橋重合体に含まれるリン元素の量は、好ましくは0.17〜3.4mmol/gである。0.17mmol/g未満では、ホスホリルコリン類似基の示す抗蛋白質吸着能が低下し、3.4mmol/gを超える場合には、得られるコンタクト材料の強度が低下するので好ましくない。また、本発明に用いる共重合体及び架橋重合体に含まれるエポキシ基の量は、好ましくは0.007〜1.5mmol/gである。この範囲外では、得られるコンタクト材料の強度が低下するので好ましくない。
【0028】
本発明のコンタクトレンズ材料は、上記架橋重合体を含んでおれば良く、架橋重合体自体であっても良い、コンタクトレンズ形状の材料である。
コンタクトレンズ形状にするには、上記架橋重合体を得る際の条件に基づいて、例えば、上記共重合体溶液を、試験管等の適当な容器の中に入れて架橋させ、丸棒又はブロックを得た後、切削、研磨等の機械加工する方法、所定の鋳型に上記共重合体溶液を注入し、鋳型中で架橋することで、直接コンタクトレンズ形状に成型する方法、所定の鋳型上に上記共重合体溶液を、キャストを行いながら加熱又は光照射により架橋させる方法等により行なうことができる。
【0029】
本発明のコンタクトレンズは、上記コンタクトレンズ材料を加工して得られたコンタクトレンズである。特に、ソフトコンタクトレンズであることが好ましく、その際の含水率は、10〜90質量%が好ましい。含水率が10質量%未満の場合は装用感が低下し、90質量%を越えると強度が低下するので好ましくない。
【0030】
本発明のコンタクトレンズを製造するには、上記共重合体を、成形・加熱することにより架橋させ、通常のコンタクトレンズを加工する工程により得ることができる。この際の成形・加工は、上述の架橋重合体及びコンタクトレンズ材料において説明した条件や方法と同様に行なうことができる。
この製造方法では、上記共重合体を得た後に、架橋を行なうので、即ち、共重合反応と架橋反応とを別個に行なうので、コンタクトレンズの設計寸法の狂いを抑制することができ、歩留りを高くでき、しかも、未反応物の残存を抑えることができる。
【0031】
【発明の効果】
本発明に用いる共重合体は、ホスホリルコリン類似基、エポキシ基及びエポキシ基と架橋反応しうる基を分子中に有するので、加熱により架橋可能であり、しかも、架橋させる前に精製して不純物を少なくした状態で架橋させることができる。また、本発明に用いる架橋重合体、コンタクトレンズ材料及びコンタクトレンズは、上記共重合体を架橋させて得られたものであり、且つ分子中にホスホリルコリン類似基を有するので、耐汚染性、生体適合性に優れる。しかも、コンタクトレンズに要求される機械的強度、耐久性にも優れ、材料としては成形加工性にも優れる。
本発明のコンタクトレンズの製造方法では、共重合反応させた上記共重合体を、成形・加熱することにより架橋させるので、即ち、共重合反応と架橋反応とを別々に行うので、得られる材料の歪みが少なく、寸法安定性に優れる。しかも、架橋前に共重合体を精製することもできることから、得られるコンタクトレンズに未反応物が残存しにくく、生体に直接触れるコンタクトレンズの製造方法として有用である。
【0032】
【実施例】
以下、実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
製造例1;直鎖共重合体の合成
単量体としてのグリシジルメタクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート及びブチルメタクリレートを、質量比で5.1:4.7:74.8:15.4を秤量し、これらの合計濃度が25質量%になるように、イソプロパノールを加え混合溶解した。この溶液に窒素を1時間吹き込み、系の温度を50℃に設定し、開始剤として、商品名「パーブチル−ND」(日本油脂株式会社製)を単量体全量に対して0.025mol/mol添加した。続いて、50℃で6時間攪拌後、室温に冷却し、重合を完了した。この重合液は重合液量に対して10倍容量のジイソプロピルエーテルに滴下することで沈澱精製し、真空乾燥を行い共重合体を得た。得られた共重合体のゲルパーミエイションクロマトグラフィーによる分子量測定を行なった。結果を表1に示す。また、得られた共重合体のリン定量、エポキシ定量、NMRスペクトルを測定した。これらの結果から算出した各単量体に基づく構成単位の組成比を表1に示す。また、得られた共重合体のNMRスペクトル測定結果を図1に示す。
以上の結果より、得られた共重合体は、以下の構造単位を有することがわかった。
【0033】
【化13】
Figure 0004441998
【0034】
製造例2〜4;直鎖重合体の合成
用いた単量体を表1に示す単量体に代えた以外は製造例1と同様にして共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
【0035】
比較製造例1;ホスホリルコリン基を含有しない重合体の作製
用いた単量体を表1に示す単量体に代えた以外は製造例1と同様にして共重合体を得、各測定を行なった。結果を表1に示す。
【0036】
【表1】
Figure 0004441998
【0037】
なお、表1で用いた略号は、以下の通りである。
GMA:グリシジルメタクリレート、HEMA:2−ヒドロキシエチルメタクリレート、MPC:2−メタクリロイルオキシエチル−2'−(トリメチルアンモニオ)エチルホスフェート、BMA:ブチルメタクリレート、POEM:1−イソプロポキシエチルメタクリレート、iPOH:イソプロパノール
【0038】
参考例1;コンタクトレンズ材料の作製
製造例1で調製した共重合体をイソプロピルアルコールに濃度が20質量%になるように溶解し、テフロン(登録商標)シャーレ上でキャスト処理した(30℃、1晩)。得られたキャストフィルムを150℃のホットプレート上に乗せ、さらにその上に重石としてテフロン(登録商標)板を乗せ、フィルムがめくれ上がるのを防ぎ、1時間放置することでフィルムの架橋を行いコンタクトレンズ材料を得た。得られたコンタクトレンズ材料について、以下に示す各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0039】
架橋性及び溶解性残存物(未反応物を含む)の評価:得られたコンタクトレンズ材料及び比較材料を秤量し(W1)、自重の10000倍のエタノールに投入し、室温で放置した。1晩後、これらの材料が溶解したか、ゲルのままかを目視で判断し、架橋性の評価を行った。なお、評価結果はエタノール不溶のものを架橋性○、エタノールに溶解したものを架橋性×とした。さらに、上清を捨て、エタノールを含んだゲルを80℃で乾燥後秤量した(W2)。この時の質量減少を、未反応物を含む溶解性残存物とし、下記の数式に従い算出した。
溶解性残存物(%)=((W1−W2)/W1)×100
式中、W1は処理前の質量、W2はエタノール抽出試験後の質量を示す。
歪の測定:コンタクトレンズ材料及び比較材料を株式会社ルケオ社製歪検査器(LSM−202)を用いて歪の検査を行い、歪の有無を検査した。
なお、評価結果は、被検体が透明で均一に観察され、歪みのないものを○、被検体が一部でも白色あるいは虹色に観察され、歪みのあるものを×とした。
【0040】
材料の膨潤:コンタクトレンズ材料及び比較材料を自重の10000倍の精製水に投入し、室温で1晩放置することで、水に膨潤させハイドロゲルを得た。得られたハイドロゲルについて、以下に示す各物性を評価した。
含水率の測定:上記ハイドロゲルを秤量し(W3)、オーブン中で100℃で24時間乾燥後、再度、秤量した(W4)。含水率は次の数式により求めた。
含水率(%)=((W3−W4)/W3)×100
式中、W3は乾燥前の膨潤質量、W4は乾燥後の質量を示す。
機械的強度の測定:得られたハイドロゲルを幅2mm、長さ10mmの短冊状に切り出して試験片とし、引張強度試験器(山電(株)社製、レオナーRe−3305)を使用して1.0mm/分の引張速度で試験した。
蛋白吸着量の評価:アルブミン0.39g、リゾチーム0.17g及びγ−グロブリン0.11gを生理食塩水100gに溶解したタンパク溶液に、ハイドロゲル(直径9mm、厚さ80μm)を37℃で7日間浸漬した。引き続いて生理食塩水ですすいだ後、1質量%のドデシル硫酸ナトリウムの界面活性剤水溶液を用いてハイドロゲルからタンパク質を剥離させ、この溶液中に溶解したタンパク質を、タンパク質定量キットを用いて定量を行うことで、材料に吸着したタンパク質を測定した。
【0041】
参考例2、実施例1及び2;コンタクトレンズ材料の作製
用いた重合体を製造例2〜4で調製した共重合体に変更した以外は参考例1と同様の操作を行うことで架橋を行いコンタクトレンズ材料を得、参考例1と同様な各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0042】
比較例;PC基を含有しない比較材料の作製
用いた重合体を比較製造例1で調製した共重合体に変更した以外は参考例1と同様の操作を行ない、架橋してホスホリルコリン類似基(PC基)を含有しない比較材料を得、参考例1と同様な各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0043】
比較例;未架橋の比較材料の作製
製造例1で調製した共重合体をイソプロピルアルコ−ルに濃度が20質量%になるように溶解し、テフロン(登録商標)シャーレ上でキャスト処理し30℃、1晩放置して、未架橋の比較材料を得た。この材料について、参考例1と同様な各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0044】
比較例;重合と架橋とを同時に行うPC基を含有しない比較材料の作製
2−ヒドロキシエチルメタクリレート及びエチレングリコールジメタクリレート(質量比=99.5:0.5)を秤量、混合後、窒素を1時間吹き込み、系の温度を50℃に設定した。引き続いて、開始剤として「パーブチル−ND」(日本油脂株式会社製)を単量体全量に対して0.025mol/mol添加し、50℃で6時間放置後、室温に冷却し、架橋重合体からなる比較材料を得た。この材料について、参考例1と同様な各測定を行なった。結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0004441998
【0046】
なお表2中、−は未測定を示す。また、2HEMA−EDGMAは、2−ヒドロキシエチルメタクリレートとエチレングリコールジメタクリレートの共重合体を示す。
以上の結果から、本発明のコンタクトレンズ材料は、歪みが少なく、実用的な強度を有し、しかも、耐汚染性、生体適合性に優れることがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例1で調製した共重合体のNMRスペクトル測定結果を示すチャートである。

Claims (5)

  1. (a)成分;式(1)で表されるホスホリルコリン類似基含有不飽和単量体10〜99.8質量%、(b)成分;エポキシ基含有不飽和単量体0.1〜20質量%、(c)成分;ブロックカルボン酸基含有不飽和単量体0.1〜80質量%、及び(d)成分;その他不飽和単量体0〜80質量%からなる単量体組成物を重合させて得た、重量平均分子量3000〜1000000の共重合体を加熱し、架橋させて得た架橋重合体を含むコンタクトレンズ材料
    Figure 0004441998
    (式中、R 1 、R 2 及びR 3 は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基示す。X 1 は2価の有機残基を示し、Y 1 は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示す。Z 1 及びZ 2 は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R 4 (ただし、R 4 は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。mは0又は1、nは2〜4の整数である。)
  2. (b)成分が式(2)で表されるエポキシ基含有不飽和単量体であり、(c)成分が式(4)で表されるブロックカルボン酸基含有不飽和単量体であることを特徴とする請求項1記載のコンタクトレンズ材料
    Figure 0004441998
    (式中、R5は水素原子又はメチル基を示し、X2は2価の有機残基を示す。)
    Figure 0004441998
    (式中、R7、R8及びR9は同一又は異なる基であって、水素原子又は1〜18の有機基を示し、R10は炭素数1〜18の有機基示す。R9及びR10は互いに結合してY2をヘテロ原子とする複素環を形成していてもよい。Y2は酸素原子又はイオウ原子を示す。Z3及びZ4は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R11(ただし、R11は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。)
  3. 式(5)で表される構成単位(a)10〜99.8質量%と、式(6)で表される構成単位(b)0.1〜20質量%と、式(8)で表される構成単位(c2)0.1〜80質量%とを含み、ランダム型の重量平均分子量3000〜1000000の共重合体を加熱し、架橋させて得た架橋重合体を含むコンタクトレンズ材料
    Figure 0004441998
    (式中、R1、R2及びR3は同一又は異なる基であって、水素原子、炭素数1〜6の炭化水素基又はヒドロキシ炭化水素基示し、X1は2価の有機残基を示し、Y1は炭素数1〜6のアルキレンオキシ基を示し、Z1及びZ2は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R4(ただし、R4は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。mは0又は1、nは2〜4の整数である。)
    Figure 0004441998
    (式中、R5は水素原子又はメチル基を示し、X2は2価の有機残基を示す。)
    Figure 0004441998
    (式中、R7、R8及びR9は同一又は異なる基であって、水素原子又は1〜18の有機基を示し、R10は炭素数1〜18の有機基示す。R9及びR10は互いに結合してY2をヘテロ原子とする複素環を形成していてもよい。Y2は酸素原子又はイオウ原子を示す。Z3及びZ4は同一又は異なる基であって、水素原子、メチル基又は(C)OO−R11(ただし、R11は炭素数1〜10のアルキル基又は炭素数1〜10のヒドロキシアルキル基を表す)を示す。)
  4. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ材料を加工して得たコンタクトレンズ。
  5. 請求項1〜3のいずれか1項に記載のコンタクトレンズ材料を、加工することを特徴とする請求項4に記載のコンタクトレンズの製造方法。
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