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JP4441214B2 - 酸素濃縮装置 - Google Patents

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JP4441214B2 JP2003301021A JP2003301021A JP4441214B2 JP 4441214 B2 JP4441214 B2 JP 4441214B2 JP 2003301021 A JP2003301021 A JP 2003301021A JP 2003301021 A JP2003301021 A JP 2003301021A JP 4441214 B2 JP4441214 B2 JP 4441214B2
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Description

本発明は、酸素よりも窒素を優先的に吸着する吸着剤を用いた圧力変動吸着型の酸素濃縮装置に関するものであり、特に慢性呼吸器疾患患者などに対して行われる酸素吸入療法に使用する医療用酸素濃縮装置に関するものである。更に詳細には、使用者に供給される濃縮酸素ガスを制御する手段の上流側の圧力を所定の圧力に制御することが可能な医療用酸素濃縮器に関するものである。
近年、喘息、肺気腫症、慢性気管支炎等の呼吸器系器官の疾患に苦しむ患者が増加する傾向にあるが、その治療法として最も効果的なもののひとつに酸素吸入療法がある。かかる酸素吸入療法とは、酸素ガスあるいは酸素富化空気を患者に吸入させるものである。その供給源として、酸素濃縮装置、液体酸素、酸素ガスボンベ等が知られているが、使用時の便利さや保守管理の容易さから、在宅酸素療法には酸素濃縮装置が主流で用いられている。
酸素濃縮装置は、空気中の約21%の酸素を濃縮して供給する装置であり、それには酸素を選択的に透過する膜を用いた膜式酸素濃縮装置と、窒素または酸素を優先的に吸着しうる吸着剤を用いた圧力変動吸着型酸素濃縮装置があるが、得られる酸素濃度の点から圧力変動吸着型酸素濃縮装置が主流になっている。
酸素濃縮装置には処方どおりの酸素ガスを患者に供給すための流量調節器が備えられている。流量設定器としては、流量調節器の流入側の圧力を決定し、その圧力条件下で所望の流量を流すことの出来る複数のオリフィスが備えられ、使用流量にあったオリフィスを選択することで流量を調節するオリフィス式流量調節器や、ニードルバルブを用いた流量調節器、開度を自動的に調節することの出来る自動絞り弁と流量測定器を用いて、流量測定器の測定値を自動絞り弁にフィードバックして所定の流量になるように調節するタイプの流量調節器などが用いられている。これらの流量調節器は濃縮酸素ガスを患者に対して連続的に供給する方法である。
また、その他の酸素供給方法として、患者の呼吸に同調して、吸気相または吸気相の一部分にのみ酸素ガスを供給することによって、呼気相の期間に供給され患者に吸入されることの無い酸素ガスを無くし、患者の酸素ガスの利用効率を高める方法が提案されている。また、この呼吸同調間歇式の酸素ガス供給方法を圧力変動吸着型酸素濃縮装置と共に使用する方法も特許文献1で提案されている。
これら連続的、呼吸同調間歇的な酸素供給の方法では、一定流量の酸素を供給することを目的として特許文献2、特許文献3、特許文献4にあるように調圧弁が用いられている。調圧の機構としてはピストンとバネで構成された機械式の調圧弁が用いられている。
また、患者の行動範囲を広げ、QOL向上に貢献することのできる、バッテリー駆動による移動型あるいは携帯型の酸素濃縮装置が特許文献5、特許文献6、特許文献7で提案されている。
特開昭61−131756号公報 特開2001−187145号公報 特開2003−144549号公報 特開2003−144550号公報 特開2000−352482号公報 特開2002−121010号公報 特開平7−136272号公報
酸素吸入療法に用いられる酸素濃縮装置のうち特に携帯型酸素濃縮装置においては小型・軽量化が求められており、たとえわずかであっても部品点数が減ることが望ましい。従来の酸素濃縮器に搭載されている機械式調圧弁は主にピストン、バネ、ハウジングから構成されており、その構成上、機能発現のために所定の大きさが必要である。またハウジングは真鍮製もしくは軽量化を考慮したアルミニウム製であり、軽量化には限界がある。従ってかかる機械式調圧弁は酸素供給装置の小型・軽量化実現のためには、省略されることが望ましい。しかしながら、濃縮酸素ガスを安定的に患者に供給する目的で、調圧弁は必要とされている。
また、圧力変動吸着型酸素濃縮装置において、酸素ガス吐出圧力が低いほうが消費電力は低くなり、このことは、携帯型酸素濃縮装置として用いる場合にはバッテリーの低容量化が可能になり装置全体の小型・軽量化につながる。しかしながら、機械式調圧弁の場合ピストンの大きさとバネの反発特性によって機械的に調圧される圧力が決まっており、供給酸素流量が最大のときの最適圧力に合わさざるを得ず、それより小さい酸素流量で運転する場合には消費電力が高くなってしまう。さらには、流量設定器上流側をある圧力に調節しようとすれば調圧弁1次側圧力、すなわち吸着塔出側の圧力はさらに高く設定しなければならず消費電力が更に高くなってしまう。
また、使用者の呼吸に同調させ酸素を供給する方式をとり、流量調節手段に電磁弁を用いた場合、電磁弁を開ける時間によって酸素流量を制御するが、供給流量が少ないときは電磁弁を開ける時間が非常に短くなり、電磁弁上流側の圧力によっては所望の流量を流す時間が電磁弁の応答時間と同じ程度になってしまう場合も生じ、装置の制御面から好ましくない。
本発明はかかる問題を解決するものであり、圧力変動吸着型酸素濃縮装置の吸着塔より吐出される気体の圧力を機械式調圧弁を用いずに調節することができ、設定圧力も変更可能な調圧機構を備えた酸素濃縮装置を提供することを目的とする。
本発明は、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも一つの吸着塔、該吸着塔に空気を供給及び/又は減圧排気するコンプレッサーを備えた圧力変動吸着型の酸素濃縮手段と、該酸素濃縮手段で濃縮した酸素ガス流量を制御する流量制御手段、該流量制御手段から使用者に濃縮酸素を導く開放型供給手段を備えた酸素濃縮装置において、該酸素濃縮手段と該流量制御手段を接続する導管途中に圧力測定手段を備え、該圧力測定手段からの情報に基づき、酸素濃縮手段の吸着及び脱着プロセスの周期を調節し流量制御手段上流の圧力を制御する圧力制御手段を備えることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するものである。
また本発明は、かかる酸素濃縮手段が、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着塔及びロータリーバルブを介して該コンプレッサからの空気の供給及び減圧排気の流路を切り替える手段を備えた酸素濃縮手段であり、該圧力制御手段が、該ロータリーバルブの回転数を制御する手段であることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するものである。
また本発明は、該圧力制御手段が、濃縮酸素ガスの設定供給流量値に対応する目標圧力値を記憶する記憶手段を備え、設定流量値に対応して、酸素濃縮手段の吸着及び脱着プロセスの周期を調節することを特徴とし、特に該圧力制御手段が、該圧力測定手段からの信号を移動平均処理し、移動平均処理後の圧力値を目標圧力値になるよう酸素濃縮手段の吸着及び脱着プロセスの周期を調節することを特徴とする酸素濃縮装置を提供するものである。
また本発明は、該流量制御手段が、自動開閉弁手段、その下流に設置され使用者の呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る機能を有した呼吸位相検知手段から構成され、酸素ガスの供給流量を設定する流量設定部からの情報と、呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で該自動開閉弁手段を開閉制御することを特徴とするもの、該流量制御手段が、流量設定部と連動して切り替え可能な複数のオリフィスからなることを特徴とするもの、或いは該流量制御手段が、自動絞り弁、該流量設定手段の上流または下流に設置された供給酸素ガス流量を測定する酸素ガス流量測定手段から構成され、該流量測定手段と流量設定部の情報をもとに該自動絞り弁を制御して所定の流量を供給することを特徴とする酸素濃縮装置を提供するものである。
更に本発明は、酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する手段を備えるとともに、流量制御手段が三方弁の一方に接続された自動開閉弁手段、他方に接続された、流量設定部と連動して切り替え可能な複数のオリフィスまたは自動絞り弁手段から構成され、呼吸に同調して供給するモードが選択された場合は、該三方弁を自動開閉弁手段側に酸素ガスが流れるように設定し、かつ、該流量設定部からの情報と呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で自動開閉弁手段を開閉制御し、連続的に供給するモードが選択された場合は、該三方弁をオリフィスまたは自動絞り弁側に酸素ガスが流れるように設定し、かつ、オリフィスまたは自動絞り弁手段を流量測定手段からの情報を基に調節し、流量設定部に応じた流量を供給制御する手段であることを特徴とする酸素濃縮装置を提供するものである。
また本発明は、酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する手段を備えるとともに、流量設定手段が流量測定手段、呼吸位相検知手段、自動絞り弁手段から構成され、呼吸に同調して供給するモードが選択された場合、該流量設定部からの情報と、呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で自動絞り弁手段を全開と全閉で開閉制御し、連続的に供給するモードを選択された場合、該流量測定手段と流量設定部の情報をもとに該自動絞り弁を制御し流量設定部に応じた流量を供給制御する手段であることを特徴とする酸素濃縮装置を提供する。
更に本発明は、該流量制御手段の上流または下流の配管に酸素濃度測定手段を備えその酸素濃測定手段の情報にもとづき、コンプレッサーの回転数を調節して濃縮酸素ガスの酸素濃度を制御することを特徴とする酸素濃縮装置を提供する。
機械式調圧弁を用いずに、流量調節手段上流側の調圧が可能となり、装置全体の小型・軽量化が可能となる。また、従来の機械式調圧弁と異なり調圧の圧力を変更することが可能となり、設定流量ごとに最適圧力にコントロールすることが可能となる。圧変動吸着型の酸素濃縮装置では酸素供給圧力が低い方が消費電力も下がることから、消費電力低減化が可能となる。また、酸素濃縮装置を携帯用として構成する場合、消費電力の低減はバッテリーのもち時間の延長、もしくは小型・軽量化につながる。
また、呼吸同調酸素供給方式をとった場合、減圧弁を無くし、設定流量ごとに最適圧力に制御することが可能になることで、流量が低い場合は流量調節手段に用いられる自動開閉弁手段の上流の圧力を低くして、開時間幅を自動開閉弁手段の応答時間よりも長することにより、制御性をよくすることが可能となる。
以下、図面参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1において酸素濃縮手段1は圧力変動型吸着方式の酸素濃縮手段であって、窒素を選択的に吸着しうる吸着剤を充填した吸着塔にコンプレッサー等で圧縮空気を導入して加圧状態で窒素を吸着さて濃縮酸素気体を得る吸着工程と、吸着塔の内圧を減少させて窒素を脱着させ吸着剤の再生を行なう脱着工程を交互に行なうことにより酸素を濃縮することができる。変動させる圧力の範囲を変えることによって加圧変動吸着方式、真空圧変動吸着方式、加圧真空圧変動吸着方式にすることが出来る。
このような吸着剤としては窒素に対して選択的吸着性を有する結晶性ゼオライトモレキュラーシーブがある。このようなゼオライトにはカチオンとして金属元素を有するゼオライトが好ましい。例えばナトリウムゼオライトX、リチウムゼオライトXなどがある。このような吸着剤は金属などのガス透過性のほとんど無い材料で作成された筒に詰め込まれ、これを吸着塔とする。
圧力変動型吸着方式には吸着塔の数により一塔式、ニ塔式、多塔式がある。図2のように2塔式の場合、それぞれの吸着塔13と加圧及び減圧手段10,11の接続手段として切り替え弁12,14を用いることができ、切り替え弁12,14の開閉により各吸着塔の吸着工程、脱着工程が制御される。また、図3のように多塔式の場合は吸着塔22と加圧及び減圧手段20,21の接続手段としてロータリーバルブ23を用いても良い。この場合ロータリーバルブ23の回転速度によって各吸着塔の吸着工程、脱着工程が制御される。
酸素濃縮手段1で生成された濃縮酸素ガスは導管によって流量制御手段5に接続され、所定の一定流量に調節され後に、開放型酸素供給手段6を介して患者の鼻孔に導かれる。該導管途中には圧力測定手段3が備えられており、半導体式の圧力トランスデューサ等を用いることができる。
ここで、酸素濃縮手段1によって連続的に生成された濃縮酸素ガスが、流量制御手段5によって所定の一定流量に調節され患者に供給されている状態において、圧力測定手段3で測定した圧力情報は制御部7に送られ、該圧力情報にもとづき制御部7が酸素濃縮手段1の窒素吸着および脱着の周期を調節することによって、導管内の圧力を制御することが出来る。すなわち、圧力変動型吸着方式の酸素濃縮手段から吐出される濃縮酸素ガスの圧力は窒素吸着と脱着の周期を速くすれば低くなり、遅くすれば高くなることから、導管内圧力が高くなれば吸脱着の周期を速くし、導管内圧力が低くなれば吸脱着の周期を遅くすることによって導管内圧力を所定の圧力に制御することができる酸素濃縮装置を構成することが出来る。図10に吐出圧力の制御結果のグラフを示す。時間0秒から圧力制御を開始し、200秒後にほぼ目標圧力に制御されていることがわかる。
多塔式の圧力変動型吸着方式の酸素濃縮手段で、各吸着塔22と加圧及び減圧手段20,21がロータリーバルブ23で接続されている場合は、圧力測定手段3で測定した圧力情報にもとづき制御部7がロータリーバルブの回転速度を調節することによって、導管内圧力を制御することが出来る。
流量設定部8は患者が所望する流量を設定する部分で、一例としてロータリースイッチ、ポテンショメーターを用いて設定位置と流量が対応するように構成して所望する流量を指定出来るようにすることが出来る。もしくは、スイッチを用いて順次流量を切り替えるように指定しても良い。このように設定された流量は制御部7に読み込まれ、さらに、導管内圧力が流量設定部8で設定された流量に対応する目標圧力値になるように窒素吸着および脱着の周期を調節するようにする。この場合、各流量設定値に対して適切な最低圧力を選択することによって圧力変動型吸着方式の酸素濃縮手段1の負荷を減少させることが出来る。なお、酸素濃縮手段1が供給する濃縮酸素ガスの酸素濃度と供給流量が決まると、それに見合った加圧及び減圧手段の出力が決まる。この出力値はあらかじめ求められており、加圧及び減圧手段は流量設定部8の設定に従いその出力を調整される。濃縮酸素ガスの流量が増えるほど、または、濃縮酸素ガスの濃度を高くするほど加圧及び減圧手段の出力を高く設定する。
圧力測定手段3で測定され制御部7に送られた圧力情報を移動平均処理し、移動平均処理後の圧力値を目標圧力値になるよう酸素濃縮手段1の窒素吸脱着の周期を調節しても良い。圧力変動型吸着方式で吸着塔から吐出される濃縮酸素ガスの圧力は吸脱着の周期により変動しているので、移動平均処理を行った後に制御を行うことによって、より安定的な導管内圧力の制御が可能となる。移動平均処理を行ったときの圧力波形を図9に示す。図9では移動平均期間を20秒としている、これによって変動成分を消した情報を得ることが出来ている。製品タンク2が小さい場合、圧力変動の影響が大きく圧力の安定的な制御が困難になるが、移動平均処理を施し変動成分を消すことによって、安定的な制御が可能になる。製品タンクを大きくして圧力変動を抑える必要が無くなるので小型化の面で有利である。
さらに、図4のように流量制御手段5を患者の呼吸に同調して、吸気相または吸気相の一部分にのみ酸素ガスを供給するように構成することも出来る。吸気相または吸気相の一部分にのみ酸素ガスを供給することによって、呼気相の期間に供給され患者に吸入されることの無い酸素ガスを無くし、患者の酸素ガスの利用効率を高めることが出来る。すなわち、自動開閉弁手段25を備え、その下流に使用者の呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る機能を有した呼吸位相検知手段26を設ける。自動開閉弁手段25には一例としてコイルから発生する磁力によって弁機能を持った鉄心を駆動しコイルに流れる電流をオン、オフすることにより、弁の開閉を制御する直動形電磁弁等を用いることが出来る。また、呼吸位相検知手段26には圧力センサ、流量センサ、ガスセンサ等を用いることが出来て、圧力センサで使用者の呼吸を検知する場合、使用者の呼吸によって開放型供給手段6の内部に生じる圧力変化から、吸気タイミングを検知する。すなわち、使用者が呼気位相にあるときはカニューラ内に呼気が流れ込み内部圧力が上昇し、吸気位相にあるときはカニューラ内の気体が流れ出し内部圧力は下降するので、その変化を読み取ることにより使用者の吸気タイミングを検知することが可能となる。流量センサとしては熱線式、差圧式のものがあり、気体の流れによって奪われる熱線の熱量から流量を測定するものや、オリフィス前後の差圧が流量に関係することを利用して流量を測定するものであり、センサが測定した流量の変化から使用者の呼吸を検出する。ガスセンサには周囲のガス濃度によって抵抗値の変化する半導体などを用いるものがあり、抵抗値の変化からセンサ周囲のガス濃度を測定し、使用者の呼吸のガス濃度変化(呼気時には酸素濃度が下がる)から呼吸を検出することが出来る。
かかる構成における制御の一例として以下に示す。流量設定部8で設定された流量と呼吸位相検知手段26で検知された吸気タイミングをもとに演算された、1分間あたりの流量が一定になるような時間幅で、吸気タイミングに同調して自動開閉弁25を開閉する。ここで、1分間あたりの流量は[呼吸数/分]×[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]で与えられるので1分間あたりの流量を一定にするには、呼吸数が増えた時には[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]を少なくし、逆の場合には多くする。つまり、[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]∝[設定流量]/[呼吸数/分]という関係がある。ここで、[設定流量]は流量設定部8によって与えられ、[呼吸数/分]は呼吸位相検知手段26によって検知された過去いくつかの吸気タイミング間の時間幅より演算される。
さらに、このように演算された[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]を与える自動開閉弁手段25の開時間幅は自動開閉弁手段前後の圧力に依存しており、ここで、自動開閉弁手段25の下流には開放型供給手段6が接続されているのでほぼ大気圧であるとしてよく、該流量は自動開閉弁手段25上流の圧力に依存することになる。ここで、自動開閉弁手段25上流側の圧力が制御されていれば所望の[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]を与える開時間幅は1対1に演算される。
このとき、自動開閉弁手段25の開時間幅は自動開閉弁手段25上流側の圧力が高くなった場合、自動開閉弁手段25そのものが持つ応答速度と同程度になる場合があり、制御性が悪くなるが、そのような場合は各設定流量に従い制御される圧力を低く設定しておく。
また、流量制御手段5を流量設定部8と連動して切り替え可能な複数のオリフィスから構成し、流量設定部で設定された所望の流量の濃縮酸素ガスが連続的に患者に供給されるようにすることも出来る。ある一定値に制御された上流側圧力のもと、各オリフィスを所定の流量を流すことの出来るような穴径に調節し、円板の同心円状に配置して、さらに該円板がダイアルで構成された流量設定部8と同軸上に配置され該流量設定ダイアルと連動させ、オリフィスの一つだけが導管と同軸上に来て、濃縮酸素ガスの流れを制限するように構成することで所望の流量の濃縮酸素ガスが連続的に患者に供給されるようにすることが出来る。
また、図5のように流量設定手段5を自動絞り弁手段27と流量測定手段28から構成し、流量設定部8で設定された流量の濃縮酸素ガスが連続的に患者に供給されるようにすることも出来る。自動絞り弁手段27は単に開閉を制御するだけでなくその絞りを連続的に制御出来るものであり、自動絞り弁手段27を通過する気体の流量を制御することが可能である。その一例として、スプリングとバルブ機能を有する鉄心、その周囲に巻かれたコイルとから構成されるバルブを用いることが出来る。コイルに電流を流さない状態では、鉄心はスプリングの力によって全閉または全開の位置を維持つづけ、コイルに電流を流した状態では発生した磁力によって鉄心は引き上げられ、磁力とスプリングの力が釣り合う位置を維持する。電流を連続的に変化させることにより鉄心の位置、すなわちバルブ開度を連続的に調節することが可能となる。流量測定手段28としては、熱線式流量計、差圧式流量計、超音波式流量計、歯車式流量計等を用いることが出来る。流量測定手段28で測定された流量をもとに自動絞り弁手段27の絞りを調節して、流量設定部8で設定された流量に制御する。流量測定手段28は必ずしも自動絞り弁手段27の下流に設置しなければならないわけではなく、酸素濃縮手段1と自動絞り弁手段27のあいだ、もしくは自動絞り弁手段27下流の開放型酸素供給手段6途中に設置してもよい。
また、酸素濃縮手段1と流量制御手段5の間の導管手段に濃縮酸素ガスを一時貯蔵するバッファータンク2を設けても良い。使用者の呼吸に同調して呼吸用気体を供給する場合、少なくとも吸気が終了するまでに一度に必要量を供給しなければならないので、酸素濃縮手段1からの単位時間あたりの供給量が制限されていると、一時的に気体が不足して必要量の供給が出来なくなる場合がある。バッファータンク2を用いるとこのようなことを避けることが出来る。バッファータンク2の容量は[1回の電磁弁の開閉で供給される流量]の最大値から適切なものを選ぶことが出来る。また、濃縮酸素ガスを連続的に供給する場合においては、バッファータンク2を用いることにより酸素濃縮手段1から突出される濃縮酸素ガスの圧力変動が緩和され、供給酸素流が安定するので望ましい。
また、濃縮酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する酸素供給方法選択部9を備えるとともに、図6のように三方弁31を備えて、三方弁31の一方には自動開閉弁手段32を接続し、他方にはオリフィスからなる流量設定手段33または自動絞り弁手段33を接続すると共に、流量測定手段30、呼吸位相検知手段34から構成される機構を流量制御手段5とする。呼吸に同調して供給するモードが選択された場合は流量設定部8からの情報と、呼吸位相検知手段34からの情報をもとに演算された開時間幅で自動開閉弁手段32を開閉制御して、連続的に供給するモードが選択された場合にはオリフィス33または自動絞り弁手段33によって流量設定部8に応じた流量が供給されるように構成することが出来る。このことによって、患者は呼吸同調間歇的な酸素供給と連続的な酸素供給の好ましいほうを選択することが出来る。
また、濃縮酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを切り替える酸素供給方法選択部9を備えるとともに、図7のように自動絞り弁手段36と、流量測定手段35、呼吸位相検知手段37から構成される機構を流量制御手段5とし、呼吸に同調して供給するモードが選択された場合は流量設定部8からの情報と、呼吸位相検知手段37からの情報をもとに演算された開時間幅で自動絞り弁手段36を全開と全閉で開閉制御して呼吸同調間歇式に酸素を供給し、連続的に供給するモードを選択した場合は、流量設定部8と流量測定手段35の情報をもとに自動絞り弁手段36を制御して所定の流量を供給する。このことによって、患者は呼吸同調間歇的な酸素供給と連続的な酸素供給の好ましいほうを選択することが可能となり、図6の構成と異なり、自動開閉弁手段32の機能を自動絞り弁で兼ねる事により三方弁33を省略することが出来る。
また、導管に酸素濃度測定手段4を備え、その酸素濃測定手段の情報にもとづき、酸素濃縮手段1のコンプレッサーの回転数を調節して濃縮酸素ガスの酸素濃度を制御することもできる。酸素濃度測定手段は流量制御手段5と酸素濃縮手段1のあいだに設置することが出来る。
以下に本発明の具体的な実施例を示す。本発明の一実施例として図8のように装置を構成した。酸素濃縮手段には吸着塔41と加圧減圧が可能なコンプレッサー40がロータリーバルブ42によって接続された4塔式の加圧真空圧変動吸着方式を用い、酸素濃度90%、濃縮酸素ガス流量1L/分が出せるように運転した。濃縮酸素ガスはバッファータンク43に一時貯留される。
また、流量測定手段としては超音波式の流量センサ44を用い、自動絞り弁手段46としては弁機能を備えた鉄心、電磁コイル、スプリングより構成されるオリフィス径φ1.7mmのものを用いた。また、呼吸位相検知手段47としては圧力測定レンジ±75Paの圧力センサを用い、本圧力センサ出力が陽圧から陰圧に変化するポイントを吸気タイミングとして捉えた。さらに、バッファータンク43の圧力を圧力センサ45で測定し、20秒の移動平均処理を施し、その値が20kPaとなるようにロータリーバルブ42を調節した。
酸素供給方式選択部51を呼吸に同調して供給するモードに設定し、流量設定部50での設定流量を3L/分とした。呼気時間に供給した酸素は無駄になるので吸気時間分の酸素だけ供給するという考え方にもとづき、さらに、一般的に人の呼吸の吸気:呼気の比率は1:2であることから節約率を2/3として実質的な供給流量は1L/分とした。なお、節約率は必ずしも2/3に限られるわけではない。
バッファータンク43の容量は250ml、自動絞り弁手段46のオリフィスφ1.7mmであり、呼吸に同調して供給するモードの設定流量3L/分(実質流量1L/分)に必要な供給量を供給するためにはバッファータンク43の平均圧力は20kPaでよい。例えば、設定流量を5L/分(実質流量1.67L/分)にした場合は、バッファータンク43の平均圧力として40kPaが必要である。設定流量と呼吸数から適切な1回弁開時間を演算する方法としては、今回はあらかじめ行った実験で測定したデータから導出した回帰曲線を利用した。
開放型供給手段48の終端に陰圧ポンプとある周期を持って開閉を繰り返す電磁弁で発生させた周期的に繰り返す陰圧を擬似的な呼吸として開放型気体供給手段に与えた。呼吸位相検知手段は擬似的な呼吸を検知して、検知された吸気タイミングに同調して制御部が自動絞り弁手段46を全開と全閉の間で開閉し酸素を供給するが、自動絞り弁手段46の開時間の幅は設定流量3L/分と呼吸数/分から演算された1分間あたりの流量が一定になるような、この場合1L/分になるような時間幅で開閉される。このとき、使用者に供給される1分間あたりの流量を実測したところ約1L/分であった。
また、酸素供給方式選択部51を連続的に供給するモードに設定した。このとき、自動絞り弁手段46は流量センサ44で測定した流量値を基に、設定流量の3L/分になるように制御される。ここで、連続的に酸素を供給する場合は流量設定部50で設定された値そのままを供給することとし、そのためにコンプレッサー40を3L/分を供給できるように運転する。その結果、連続的に供給された酸素流量は3L/分であった。
発明実施の形態の説明図。 2塔式酸素濃縮器の説明図。 多塔式酸素濃縮器の説明図。 流量制御手段の一例(呼吸同調式)。 流量制御手段の一例(連続式)。 流量制御手段の一例(呼吸同調/連続式切り替え)。 流量制御手段の一例(呼吸同調/連続式切り替え)。 実施例の説明図。 圧力の移動平均処理に関するグラフグラフ。 圧力制御の様子を示したグラフ。
符号の説明
1. 酸素濃縮手段
2. バッファータンク
3. 圧力測定手段
4. 酸素濃度測定手段
5. 流量制御手段
6. 開放型酸素供給手段
7. 制御部
8. 流量設定部
9. 酸素供給方法選択部
10. 加圧手段
11. 減圧手段
12. 切り替え弁
13. 吸着塔
14. 切り替え弁
20. 加圧手段
21. 減圧手段
22. 吸着塔
23. ロータリーバルブ
25. 自動開閉弁手段
26. 呼吸位相検知手段
27. 自動絞り弁手段
28. 流量測定手段
30. 流量測定手段
31. 三方弁
32. 自動開閉弁
33. 流量設定手段 または 自動絞り弁手段
34. 呼吸位相検知手段
35. 流量測定手段
36. 自動絞り弁手段
37. 呼吸検知手段
40. コンプレッサー
41. 吸着塔
42. ロータリーバルブ
43. バッファータンク
44. 流量センサ
45. 圧力センサ
46. 自動絞り弁手段
47. 呼吸検知手段
48. 開放型酸素供給手段
49. 制御部
50. 流量設定部
51. 酸素供給方式選択部

Claims (8)

  1. 酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した少なくとも一つの吸着塔、該吸着塔に空気を供給及び/又は減圧排気するコンプレッサーを備えた圧力変動吸着型の酸素濃縮手段と、該酸素濃縮手段で濃縮した酸素ガス流量を制御する流量制御手段、該流量制御手段から使用者に濃縮酸素を導く開放型供給手段を備えた酸素濃縮装置において、
    酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する手段を備えるとともに、
    該酸素濃縮手段と該流量制御手段を接続する導管途中に圧力測定手段を備え、該圧力測定手段からの情報に基づき、酸素濃縮手段の吸着及び脱着プロセスの周期を調節し流量制御手段上流の圧力を、機械式調圧弁を用いずに、制御する圧力制御手段を備え
    該圧力制御手段が、濃縮酸素ガスの設定供給流量値に対応する目標圧力値を記憶する記憶手段を備え、さらに、該圧力測定手段からの信号を移動平均処理し、移動平均処理後の圧力値を各設定流量値に対応した目標圧力値になるよう酸素濃縮手段の吸着及び脱着プロセスの周期を調節することによって該目標圧力値に制御することを特徴とする酸素濃縮装置。
  2. 該酸素濃縮手段が、酸素よりも窒素を選択的に吸着する吸着剤を充填した複数の吸着塔及びロータリーバルブを介して該コンプレッサからの空気の供給及び減圧排気の流路を切り替える手段を備えた酸素濃縮手段であり、該圧力制御手段が、該ロータリーバルブの回転数を制御する手段であることを特徴とする請求項1記載の酸素濃縮装置。
  3. 該流量制御手段が、自動開閉弁手段、その下流に設置され使用者の呼吸における少なくとも一部の所定位相を検知し得る機能を有した呼吸位相検知手段から構成され、酸素ガスの供給流量を設定する流量設定部からの情報と、呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で該自動開閉弁手段を開閉制御することを特徴とする、請求項1又は2に記載の酸素濃縮装置。
  4. 該流量制御手段が、流量設定部と連動して切り替え可能な複数のオリフィスからなることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の酸素濃縮装置。
  5. 該流量制御手段が、自動絞り弁、流量設定の上流または下流に設置された供給酸素ガス流量を測定する酸素ガス流量測定手段から構成され、該流量測定手段と流量設定部の情報をもとに該自動絞り弁を制御して所定の流量を供給することを特徴とした、請求項1又は2に記載の酸素濃縮装置。
  6. 酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する手段を備えるとともに、流量制御手段が三方弁の一方に接続された自動開閉弁手段、他方に接続された、流量設定部と連動して切り替え可能な複数のオリフィスまたは自動絞り弁手段から構成され、
    呼吸に同調して供給するモードが選択された場合は、該三方弁を自動開閉弁手段側に酸素ガスが流れるように設定し、かつ、該流量設定部からの情報と呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で自動開閉弁手段を開閉制御し、
    連続的に供給するモードが選択された場合は、該三方弁をオリフィスまたは自動絞り弁側に酸素ガスが流れるように設定し、かつ、オリフィスまたは自動絞り弁手段を流量測定手段からの情報を基に調節し、流量設定部に応じた流量を供給制御する手段であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の酸素濃縮装置。
  7. 酸素ガスを使用者の呼吸に同調して供給するモードと連続的に供給するモードを選択する手段を備えるとともに、流量設定が流量測定手段、呼吸位相検知手段、及び自動絞り弁手段から構成され、
    呼吸に同調して供給するモードが選択された場合、該流量設定部からの情報と、呼吸位相検知手段からの情報をもとに演算された開時間幅で自動絞り弁手段を全開と全閉で開閉制御し、
    連続的に供給するモードを選択された場合、該流量測定手段と流量設定部の情報をもとに該自動絞り弁を制御し流量設定部に応じた流量を供給制御する手段であることを特徴とする請求項1〜の何れか一項に記載の酸素濃縮装置。
  8. 該流量制御手段の上流または下流の配管に酸素濃度測定手段を備えその酸素濃測定手段の情報にもとづき、コンプレッサーの回転数を調節して濃縮酸素ガスの酸素濃度を制御することを特徴とした請求項1〜の何れか一項に記載の酸素濃縮装置。
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