JP4337385B2 - Gas discharge panel - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、テレビなどの画像表示に用いられ、且つ真空紫外線で励起され発光する蛍光体層を有するガス放電パネルに関し、特にプラズマディスプレイパネル(以下、PDPという)に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、コンピュータやテレビなどの画像表示に用いられているカラー表示デバイスにおいて、PDPを用いたプラズマディスプレイ装置は、大型で薄型軽量を実現することのできるカラー表示デバイスとして注目されている。
【0003】
PDPは、ガス放電によって発生した紫外線によって蛍光体を励起発光させ、画像表示するディスプレイである。
【0004】
図4に従来の反射型AC面放電PDPの放電セルの基本的な構成を示す。以下に、この構造および動作について説明する。
【0005】
ガラス板からなる表示面側基板801上に、ITOやSnO2からなる透明電極802X、802Yが対になって形成されている。ただし、この透明電極802X、802Yではシート抵抗が高く、大型パネルにおいては全画素に充分な電力を供給することができないため、透明電極802X、802Y上にそれぞれ銀の厚膜やアルミニウム薄膜やクロム/銅/クロム(Cr/Cu/Cr)の積層薄膜によるバス電極803X、803Yが形成されている。このバス電極803X、803Yによって、見かけ上透明電極802X、802Yのシート抵抗が下がる。これらの電極上に透明な誘電体層(低融点ガラスが使用される)804および酸化マグネシウム(MgO)からなる保護層805が形成されている。誘電体層804は、AC型PDP特有の電流制限機能を有しており、DC型に比べて長寿命にできる要因となっている。保護層805は、放電によって誘電体層804がスパッタされて削られないように保護するためのもので、耐スパッタ性に優れるとともに高い2次電子放出係数(γ)を有して放電開始電圧を低減する働きが要求される。
【0006】
上記表示面側基板801に対向して、同じくガラス板からなる背面側基板806が設けられている。背面側基板806上には画像データを書き込むデータ電極807、下地誘電体層808、隔壁809および蛍光体層810が形成されている。
【0007】
PDPは、いわゆる3原色(赤、緑、青)を加法混色することにより、フルカラー表示を行っている。このフルカラー表示を行うために、PDPには3原色である赤(R)、緑(G)、青(B)の各色を発光する蛍光体層810が備えられ、この蛍光体層810を構成する蛍光体材料は、PDPの放電セル内で発生する紫外線により励起され、各色の可視光を生成している。
【0008】
背面側基板806の蛍光体層810の形成プロセスは、隔壁809を形成した後、赤(R)、緑(G)、青(B)の蛍光体ペーストをスクリーン印刷またはラインジェット法によって塗布形成し、その後、大気中で焼成し、ペースト中の溶剤成分を取り除くというものである。
【0009】
以上のようにして構成された表示面側基板801と背面側基板806は、どちらか一方、もしくは両方の基板周囲に、封着用ガラスフリットが塗布され(図示していない)、フリット中の樹脂成分を除去するため300℃〜350℃で仮焼し、両基板を重ね合わせた後、高温(450℃〜550℃)に加熱して封着ガラスを軟化させて両基板を貼り合わせる(封着工程)。ここで、データ電極807および隔壁809は、透明電極802X、802Yと互いに直交するように配置されており、また2本の隔壁809および表示面側基板801、背面側基板806で囲まれた空間でもって放電セル811が形成されている。この時、隔壁809は、隣接する放電セル間を仕切り、誤放電や光学的クロストークを防ぐ役割をしている。
【0010】
このPDPの透明電極802X、802Y間に、数十kHz〜数百kHzのAC電圧を印加して放電セル811内に放電を発生させ、励起されたXe原子からの真空紫外線(波長:147nm、173nm)によって蛍光体層810を励起し可視光を発生させて表示動作を行う。
【0011】
ここで、PDPにおいては、経時的な動作電圧の増加が発生するという課題があった。これは、不純ガスとして炭化水素系ガス(以下、CH系ガスとする)が蛍光体に吸着しており、放電により発生する真空紫外線あるいはイオン衝撃によってCH系ガスが放電空間に放出され、MgOの保護層805に吸着し、MgO表面の2次電子放出係数が小さくなってしまうために生じる現象である。
【0012】
従来、前記CH系ガスによる動作電圧の増加を抑えるために、MgOの保護層805表面に珪素化合物をコーティングする、もしくは珪素化合物ガスを放電ガスに混合するという技術が提案されている(例えば、特許文献1)。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−373588号公報
【0014】
【発明が解決しようとする課題】
MgO保護層表面に珪素化合物をコーティングする方法は、CH系ガスと珪素化合物を反応させてCH系ガスを、H2OあるいはCO2に分解し、放電に影響のない領域に選択的にSiC膜を生成させることを目的としている。珪素化合物は、MgOに比べると2次電子放出係数(γ)が小さいため動作電圧も高くなるとともに、放電の安定性も悪くなるという現象が生じる。そのため、最適な珪素化合物以上の場合には、PDP製造工程の中でエージングと呼ばれる長時間の放電動作によって珪素化合物を除去する必要がある。この時、珪素化合物の殆どは放電に伴うMgO表面のスパッタによって除去されるが、除去された珪素化合物がMgO表面に再成長するので完全に除去することはできない。この影響によってMgO表面の2次電子放出係数(γ)が小さくなり、動作電圧が充分下がり切らないという問題がある。
【0015】
放電ガスに珪素化合物ガスを混合した場合も同様で、CH系ガスと反応し生成したSiC膜がMgO表面にも成長するため、やはりMgO表面の2次電子放出係数は小さくなり、動作電圧が高くなっていくという問題がある。
【0016】
本発明は、上記の課題を解決するためになされたものであって、その目的は、経時的な動作電圧の上昇のない、安定なガス放電パネルを提供することである。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達するため、本発明のガス放電パネルは、放電空間を介して対向する表示面側基板と背面側基板とを有し、前記背面側基板上に少なくとも導電性電極と紫外線により励起発光する蛍光体層と隔壁とが形成されたガス放電パネルにおいて、前記表示面側基板と前記背面側基板および前記隔壁とで形成される放電セル内に光触媒物質層を配設し、その光触媒物質層上に酸化物層を形成し、その酸化物層上に蛍光体層を形成し、かつ前記光触媒物質層は、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムのうち、少なくとも何れか1種類、もしくは2種類以上の混合物により構成したことを特徴とする。セル内の放電によって発生する紫外線を光触媒物質に照射することにより、CH系ガスはMgO表面に吸着して動作電圧の大きな変動をもたらさないCO2あるいはH2Oに分解されるので、経時的な動作電圧の上昇のない安定なガス放電パネルを実現できる。光触媒物質層を放電セルの隔壁に配設した場合は、放電空間内の広い面積に光触媒物質層を配設することができるので特に効果が高い。
【0018】
さらに本発明のガス放電パネルは、光触媒物質層上に酸化物層を形成することで、紫外線照射によるヒドロキシラジカル(OH)の発生量を増加させ、CH系ガスの分解をより促進できるようにしたものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施の形態によるガス放電パネルについて、図面を参照して説明する。なお、以下の説明では、ガス放電パネルの代表例であるPDPを例に説明する。
【0020】
図1は、本発明の実施の形態1におけるPDPの構成を示す断面斜視図である。また、図2はそのA−A’断面図である。
【0021】
図1および図2において、ガラス板からなる表示面側基板101上にITOまたは酸化錫(SnO2)などの透明導電性材料からなる表示電極102X、102Yを形成し、その上に銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)よりなるバス電極103X、103Yを形成している。これらの表示電極102X、102Yおよびバス電極103X、103Yを覆うように、さらに酸化鉛(PbO)70重量%、酸化硼素(B2O3)15重量%、酸化珪素(SiO2)15重量%の組成を有する低融点ガラス(厚み20μm〜40μm)からなる誘電体層104をスクリーン印刷やダイコート印刷またはフィルムラミネート法によって形成する。続いて、放電プラズマによる損傷から誘電体層104を保護するMgOからなる保護層105(厚み:0.3μm〜1μm)が電子ビーム蒸着法あるいはスパッタ法あるいは化学的気相成長法(CVD法)により形成されている。ここで、所定の間隔でもって互いに平行に並んだ2本の表示電極102X、102Yによって1つの画素(ピクセル:PU)の表示電極が構成され、この間に交流電圧を印加して放電空間111内に放電を発生させる。
【0022】
一方、放電空間111を介して上記表示面側基板101に対向する背面側基板112が設けられている。背面側基板112はガラス板からなり、その上に銀(Ag)厚膜(厚み:2μm〜10μm)、アルミニウム(Al)薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)またはCr/Cu/Cr積層薄膜(厚み:0.1μm〜1μm)からなる下地導電性電極107が形成され、下地導電性電極107を覆うように低融点ガラスからなる下地誘電体層108(厚み:5μm〜20μm)が形成されている。さらに、低融点ガラスのスクリーン印刷の繰り返しと焼成によって隔壁109(高さ0.1mm〜0.15mm)を所定の間隔で形成されている。
【0023】
さらに、隔壁109および下地誘電体層108上に膜厚5nm〜500nmの光触媒物質層120を形成することにより、光触媒物質が配設されている。光触媒物質層120は酸化チタン(TiO2)膜をスパッタ法(ターゲットは酸化チタン、スパッタガスはArとO2の混合ガスを使用)で形成される。
【0024】
さらに、膜厚5nm〜200nmの光触媒物質層120上には、酸化物層121が形成されている。酸化物層121は、酸化珪素(シリカ:SiO2)膜をスパッタ法(ターゲットは酸化珪素、スパッタガスはArとO2の混合ガスを使用)で積層される。
【0025】
続いて、カラー表示のための3原色(赤:R、緑:G、青:B)の蛍光体層110R、110G、110Bが順次積層して設けられている。
【0026】
表示面側基板101と背面側基板112は、表示電極102と下地導電性電極107とが互いに直交するように貼り合わされ、隔壁109によりライン方向にサブピクセルSU毎に区画された放電セルとこれによって仕切られた放電空間111が形成されている。隔壁109の高さを揃えることによって、放電空間111の間隙寸法が所定の一定値をとるようになっている。ここで1つの画素(ピクセル:PU)は、ライン方向に並んで赤(R)、緑(G)、青(B)の各色で発光する3つのサブピクセルSUで構成されている。
【0027】
上記のようにして表示面側基板101と背面側基板112を対向させ、周囲を気密封止し、加熱しながら放電空間111内を真空排気した後、例えばNeとXeの混合ガスからなる放電ガスを所定の圧力および混合比で充填する。さらに、表示電極102X、102Y間に300V〜500Vの電圧パルスを交互に印加して表示電極102X、102Y間の放電空間111に放電を発生させ、放電開始電圧を下げるとともに安定させるためにエージングを8時間〜16時間行ってPDP100を作製する。
【0028】
ここで、光触媒物質層120の形成方法としては、上記のスパッタ法の他に、金属チタンまたは酸化チタンをソースとした酸素雰囲気での電子ビーム蒸着法を用いてもよい。膜の安定化のために、膜を形成した後200℃〜600℃でアニールしてもよい。
【0029】
また、上記以外に、光触媒物質層120の形成方法としては、チタンアルコキシド、チタンキレートまたはチタンアセテートなどに、加水分解抑制剤としての塩酸やエチルアミンを、希釈剤としてのエタノールやプロパノールなどで希釈して添加し、加水分解を部分的または完全に行った混合物、あるいは、四塩化チタンあるいは硫酸チタンの酸性水溶液(必要に応じてアルカリ水溶液を添加してもよい)、あるいは酸化チタンゾルなどを準備し、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの手法で塗布、乾燥させ、200℃〜600℃で焼成して酸化チタン層を形成する方法を用いることができる。
【0030】
光触媒物質層120上に形成する酸化物層121の形成方法としては、上記スパッタ法の他に、シリコンまたは酸化シリコンをソースとし、酸素雰囲気において、電子ビーム蒸着法を用いて形成してもよい。膜の安定化のために、膜形成後は、200℃〜600℃でアニールしてもよい。また、この他の形成方法としては、テトラアルコキシシラン(例えば、テトラエトキシシラン、テトライソプロボキシシラン、テトラn−プロボキシシラン、テトラブトキシシラン、テトラメトキシシラン)、シリコンキレートまたはシリコンアセテートなどに、加水分解抑制剤としての塩酸やエチルアミンを、希釈剤としてのエタノールやプロパノールなどで希釈して添加し、加水分解を部分的または完全に行った混合物、あるいは、四塩化チタン、あるいは硫酸チタンの酸性水溶液(必要に応じてアルカリ水溶液を添加してもよい)あるいは酸化チタンゾルを準備し、スプレーコーティング、ディップコーティング、フローコーティング、スピンコーティング、ロールコーティングなどの手法で塗布、乾燥させ、焼成(200℃〜600℃)して酸化珪素(シリカ)層を形成する方法も用いることができる。
【0031】
比較のために、上記PDP100において、光触媒物質層120および酸化物層121を形成せず、他の構成要素はPDP100と全く同様にして比較用PDP(A)を作製した。
【0032】
PDP100およびPDP(A)について、通常使用で5万時間に相当する加速寿命試験を行った。PDP100は、放電開始電圧は動作上殆ど問題ない程度の変動しか生じず、この間は非常に安定に動作できることが確認された。一方、比較PDP(A)の場合、寿命試験前でもPDP100に比べて放電開始電圧が数ボルト高い状態ではあったが、寿命試験中においても時間経過とともに点灯部での放電開始電圧が20V以上増加し、通常使用で1万時間に相当する加速寿命試験において、PDP(A)の一部に点灯しない領域が発生しているのが確認された。
【0033】
寿命試験後、これらのPDPを割り、MgO保護層表面の時間走行型2次イオン質量分析(TOF−SIMS)を行ったところ、PDP100に比べてPDP(A)のCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。また、表示面側基板および背面側基板の一部を切り出し、それぞれ昇温脱離質量分析(TDS)を行ったところ、TOF−SIMSの結果と同様に、PDP100に比べてPDP(A)のCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。さらに、エージング前後で、同様にMgO表面のTOF−SIMS分析したところ、寿命試験後ほどではないがPDP100に比べてPDP(A)の方がCH系ガスの吸着量が多いことが判明した。
【0034】
隔壁109上に光触媒物質層120および酸化物層121を形成した本発明によるPDP100において、放電開始電圧が安定で長寿命になった理由については、以下のように考えられる。PDP100内部のCH系ガスは、主に蛍光体層110に吸着して取り込まれている。PDP100を動作するとセル内の放電に伴い、蛍光体表面への紫外線照射やイオン衝突によって、吸着しているCH系ガスが脱離、MgO表面に吸着する。そのために2次電子放出係数(γ)値が減少し、結果として放電開始電圧が増加する。PDP(A)の放電開始電圧がエージング後でPDP100より大きいこと、PDP(A)の寿命試験において放電開始電圧が増加したことは、TOF−SIMSやTDSの結果からCH系ガスが原因と思われる。
【0035】
一方、光触媒物質層120を形成した本発明によるPDP100では、光触媒物質層120による触媒作用によってCH系ガスが放電開始電圧に余り影響しないCO2やH2Oに変化するため、PDP(A)に比べて放電開始電圧の変動が少なかったとともにTOF−SIMSやTDSの分析でもCH系ガス量が少なかったものと思われる。
【0036】
光触媒物質層120のCH系ガスの分解について、もう少し詳細に説明する。
【0037】
セル内の放電で発生する紫外線が半導体である光触媒物質層120表面に照射されると、電子が伝導体に励起され、電子・正孔対が生成する。この際、光触媒物質層120上に酸化物層121が形成されていると、正孔は、容易に酸化物層121へ移動し、酸化物層121表面に吸着しているH2Oを分解してヒドロキシラジカル(OH)を発生する。このヒドロキシラジカル(OH)は酸化物層121表面およびその付近に存在するCH系ガスと酸化反応し、CO2やH2Oに分解する。ここで酸化物層121を、光触媒物質層120よりも表面により多くのH2Oを吸着しやすい材料で構成すると、ヒドロキシラジカル(OH)の発生量が増えるためCH系ガスの分解をより促進できる。
【0038】
このようにPDPを動作することによって内部に発生する紫外線と光触媒物質層によるCH系ガスの分解を行うことができ、蛍光体表面から徐々に出てくるCH系ガスを、放電開始電圧を上昇させにくいCO2やH2Oガスに分解するので、安定動作が可能になる。
【0039】
放電によって発生し蛍光体を励起する作用を有する紫外線は、蛍光体表面での反射係数が高く、蛍光体層110中を蛍光体粒子間反射しながら進むので蛍光体層110の下にあっても光触媒物質層120に紫外線は充分届く。それゆえ光触媒物質層120の表面に形成する酸化物層121の膜厚は紫外線の吸収が少ない5nm〜200nmの範囲に設定するのが好ましい。
【0040】
酸化物層121に使用できるものとしては、上記シリカの他にSiO2、V2O5、MoO3、Ta2O5、Nb2O3、TiO2、SnO2、GeO2、Fe2O3、B2O3、As2O3、MgO、ZnO、PbO、Eu2O3、Nd2O3、TmO3、Dy2O3、Y2O3、La2O3、Al2O3、Tl2O3、In2O3、Bi2O3、HfO2、CoO、CuO、NiO、Ga2O3、MnO2、CeO2、Cr2O3、MgAlO4、K2O・Al2O3・6SiO2、Na2O・Al2O3・6SiO2、CaO・Al2O3・6SiO2、Sc2O3のうち少なくとも何れか1種類、もしくは2種類以上の混合物が使用できる。特に、これらの材料が非晶質である場合は、酸素原子が比較的表面に出にくく、よりH2Oの吸着性が高まるため、より好ましい。また、非晶質の場合は、量子論的組成から外れている場合や、水素原子やハロゲン(F、Cl、Br、I)原子を層中に含む場合でもよい。これら酸化物層121の形成は、これら金属アルコキシドの塗布乾燥の他に、スパッタ法、蒸着法、化学的気相成長(CVD法)、プラズマCVD法などの薄膜形成プロセスが使用できる。
【0041】
また、光触媒物質層120を構成する光触媒材料としては、酸化チタン、酸化錫、酸化亜鉛、三酸化二ビスマス、三酸化タングステン、酸化第二鉄、チタン酸ストロンチウムのうち、少なくとも何れか1種類、もしくは2種類以上の混合物が使用できる。
【0042】
図3は、本発明の他の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図である。本実施の形態のPDP300は、上記実施の形態で示したPDP100(図2)において下地誘電体層108がなく、他の構成はPDP100と同じものである。
【0043】
このPDP300について、上記実施の形態と同様にして寿命試験を行ったところ、PDP100と同じように、放電開始電圧変化が少なく、安定動作することが確認できた。
【0044】
また、上記実施の形態において、放電ガスとしては、Ne−Xeの混合ガスの他にHe−Xeの混合ガスを使用してもよく、さらにこれらのガスにAr、KrあるいはHeを加えてもよい。また、これらの放電ガスに、酸素やNO、NO2、N2O、N2O3、N2O4、N2O5、NO3など分子内に酸素原子を含むガスをPDPの動作に影響のない程度に混合(具体的には0.1vppm〜10vppm)しても、光触媒物質層の光触媒作用でヒドロキシラジカル(OH)が発生し、CH系ガスの分解をより促進できるため効果的である。
【0045】
【発明の効果】
以上のように本発明によれば、放電セル内に光触媒物質層を形成することにより、経時的な不安定動作をもたらすCH系ガスを分解することができるので、電圧の経時変化がなく、動作が高安定のガス放電パネルを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面斜視図
【図2】 同PDPの構成を示す図1のA−A’断面図
【図3】 本発明の他の実施の形態におけるPDPの構成を示す断面図
【図4】 従来のPDPの構成を示す断面斜視図
【符号の説明】
100 PDP
101 表示面側基板
102 表示電極
103 バス電極
104 誘電体層
105 保護層
107 下地導電性電極
108 下地誘電体層
109 隔壁
110R 蛍光体層(赤)
110G 蛍光体層(緑)
110B 蛍光体層(青)
111 放電空間
112 背面側基板
120 光触媒物質層
121 酸化物層[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a gas discharge panel having a phosphor layer that is used for image display of a television or the like and is excited by vacuum ultraviolet rays to emit light, and more particularly to a plasma display panel (hereinafter referred to as PDP).
[0002]
[Prior art]
In recent years, in color display devices used for image display such as computers and televisions, plasma display devices using PDPs have attracted attention as color display devices that can be large, thin, and lightweight.
[0003]
The PDP is a display that displays an image by exciting and emitting phosphors with ultraviolet rays generated by gas discharge.
[0004]
FIG. 4 shows a basic configuration of a discharge cell of a conventional reflective AC surface discharge PDP. The structure and operation will be described below.
[0005]
On the display
[0006]
Opposite to the display
[0007]
The PDP performs full color display by additively mixing so-called three primary colors (red, green, and blue). In order to perform this full-color display, the PDP is provided with a
[0008]
The
[0009]
A glass frit for sealing is applied (not shown) around one or both of the display
[0010]
An AC voltage of several tens of kHz to several hundreds of kHz is applied between the
[0011]
Here, the PDP has a problem that the operating voltage increases with time. This is because a hydrocarbon gas (hereinafter referred to as a CH gas) is adsorbed on the phosphor as an impure gas, and the CH gas is released into the discharge space by vacuum ultraviolet rays or ion bombardment generated by the discharge. This is a phenomenon that occurs because the secondary electron emission coefficient on the MgO surface decreases due to adsorption to the
[0012]
Conventionally, in order to suppress an increase in operating voltage due to the CH-based gas, a technique has been proposed in which the surface of the MgO
[0013]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Laid-Open No. 2002-373588
[Problems to be solved by the invention]
The method of coating the surface of the MgO protective layer with a silicon compound is to react a CH-based gas with a silicon compound to decompose the CH-based gas into H 2 O or CO 2 , selectively in a region that does not affect the discharge. Is intended to generate. Since the silicon compound has a smaller secondary electron emission coefficient (γ) than MgO, the operating voltage is increased and the discharge stability is also deteriorated. Therefore, in the case of an optimal silicon compound or more, it is necessary to remove the silicon compound by a long discharge operation called aging in the PDP manufacturing process. At this time, most of the silicon compound is removed by sputtering on the MgO surface accompanying discharge, but cannot be completely removed because the removed silicon compound grows again on the MgO surface. Due to this influence, there is a problem that the secondary electron emission coefficient (γ) on the MgO surface becomes small, and the operating voltage does not drop sufficiently.
[0015]
The same applies when the silicon compound gas is mixed with the discharge gas. Since the SiC film produced by reaction with the CH gas also grows on the MgO surface, the secondary electron emission coefficient on the MgO surface is also reduced, and the operating voltage is increased. There is a problem of becoming.
[0016]
The present invention has been made to solve the above problems, and an object of the present invention is to provide a stable gas discharge panel that does not increase in operating voltage over time.
[0017]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the gas discharge panel of the present invention has a display surface side substrate and a back side substrate that are opposed to each other through a discharge space, and is excited and emitted by at least a conductive electrode and ultraviolet light on the back side substrate. In the gas discharge panel in which the phosphor layer and the barrier rib are formed, a photocatalyst material layer is disposed in a discharge cell formed by the display surface side substrate, the back side substrate and the barrier rib, and the photocatalyst material layer is disposed on the photocatalyst material layer. An oxide layer is formed on the oxide layer, and a phosphor layer is formed on the oxide layer , and the photocatalytic substance layer includes titanium oxide, tin oxide, zinc oxide, dibismuth trioxide, tungsten trioxide, and ferric oxide. In addition, at least one of strontium titanate, or a mixture of two or more thereof is characterized. By irradiating the photocatalytic substance with ultraviolet light generated by the discharge in the cell, the CH-based gas is decomposed into CO 2 or H 2 O which is adsorbed on the MgO surface and does not cause a large fluctuation in operating voltage. A stable gas discharge panel without increasing the operating voltage can be realized. When the photocatalyst material layer is disposed on the partition walls of the discharge cell, the photocatalyst material layer can be disposed over a wide area in the discharge space, so that the effect is particularly high.
[0018]
Furthermore, in the gas discharge panel of the present invention, by forming an oxide layer on the photocatalyst material layer, the amount of hydroxy radicals (OH) generated by ultraviolet irradiation is increased, and the decomposition of the CH gas can be further promoted. Is.
[0019]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
Hereinafter, a gas discharge panel according to an embodiment of the present invention will be described with reference to the drawings. In the following description, a PDP that is a typical example of a gas discharge panel will be described as an example.
[0020]
FIG. 1 is a cross-sectional perspective view showing a configuration of a PDP in Embodiment 1 of the present invention. FIG. 2 is a sectional view taken along the line AA ′.
[0021]
1 and 2,
[0022]
On the other hand, a
[0023]
Furthermore, a photocatalytic substance is disposed by forming a
[0024]
Further, an
[0025]
Subsequently, phosphor layers 110R, 110G, and 110B of three primary colors (red: R, green: G, blue: B) for color display are sequentially stacked.
[0026]
The display
[0027]
As described above, the display
[0028]
Here, as a method for forming the
[0029]
In addition to the above, the
[0030]
As a method for forming the
[0031]
For comparison, in the
[0032]
The
[0033]
After the life test, when these PDPs were divided and subjected to time-traveling secondary ion mass spectrometry (TOF-SIMS) on the surface of the MgO protective layer, the amount of adsorption of the CH-based gas of PDP (A) was larger than that of PDP100. It has been found. Further, when a part of the display surface side substrate and the back side substrate were cut out and subjected to temperature programmed desorption mass spectrometry (TDS), the CH of PDP (A) was compared with
[0034]
In the
[0035]
On the other hand, in the
[0036]
The decomposition of the CH gas in the
[0037]
When the surface of the
[0038]
By operating the PDP in this way, it is possible to decompose the CH-based gas by the ultraviolet rays generated inside and the photocatalytic material layer, and the CH-based gas gradually emerging from the phosphor surface increases the discharge start voltage. Since it decomposes into difficult CO 2 and H 2 O gas, stable operation becomes possible.
[0039]
Ultraviolet rays generated by discharge and having an action of exciting the phosphor have a high reflection coefficient on the phosphor surface and travel while reflecting between the phosphor particles in the
[0040]
As those that can be used in the oxide layer 121, SiO 2, V 2 O 5, MoO 3, Ta 2 O 5, Nb 2 O 3, TiO 2, SnO 2, GeO 2, Fe 2 O 3 in addition to the silica , B 2 O 3 , As 2 O 3 , MgO, ZnO, PbO, Eu 2 O 3 , Nd 2 O 3 , TmO 3 , Dy 2 O 3 , Y 2 O 3 , La 2 O 3 , Al 2 O 3 , Tl 2 O 3 , In 2 O 3 , Bi 2 O 3 , HfO 2 , CoO, CuO, NiO, Ga 2 O 3 , MnO 2 , CeO 2 , Cr 2 O 3 , MgAlO 4 , K 2 O · Al 2 O At least one of 3 · 6SiO 2 , Na 2 O · Al 2 O 3 · 6SiO 2 , CaO · Al 2 O 3 · 6SiO 2 , Sc 2 O 3 , or a mixture of two or more types can be used. In particular, when these materials are amorphous, oxygen atoms are relatively difficult to appear on the surface, and the H 2 O adsorptivity is further increased, which is more preferable. In the case of amorphous, the layer may be out of the quantum composition or may contain hydrogen atoms or halogen (F, Cl, Br, I) atoms in the layer. These oxide layers 121 can be formed by a thin film forming process such as sputtering, vapor deposition, chemical vapor deposition (CVD), plasma CVD, etc., in addition to coating and drying of these metal alkoxides.
[0041]
The photocatalytic material constituting the
[0042]
FIG. 3 is a cross-sectional view showing a configuration of a PDP according to another embodiment of the present invention . The
[0043]
When this
[0044]
In the above embodiment, as the discharge gas, a mixed gas of He—Xe may be used in addition to a mixed gas of Ne—Xe, and Ar, Kr, or He may be added to these gases. . In addition, for these discharge gases, oxygen, NO, NO 2 , N 2 O, N 2 O 3 , N 2 O 4 , N 2 O 5 , NO 3 and other gases containing oxygen atoms in the molecule are used for PDP operation. Even if it is mixed to the extent that there is no influence (specifically 0.1 vppm to 10 vppm), it is effective because hydroxy radicals (OH) are generated by the photocatalytic action of the photocatalytic substance layer, and the decomposition of the CH gas can be further promoted. is there.
[0045]
【The invention's effect】
As described above, according to the present invention, the formation of the photocatalyst material layer in the discharge cell can decompose the CH-based gas that causes unstable operation over time, so that there is no change in voltage over time and operation. Can provide a highly stable gas discharge panel.
[Brief description of the drawings]
[1] Another embodiment of the present A-A 'sectional view of figure 1 showing a cross-sectional perspective view FIG. 2 structure of the PDP illustrating the structure of a PDP in accordance with an exemplary embodiment of the invention the present invention; FIG FIG. 4 is a cross-sectional perspective view showing the structure of a conventional PDP.
100 PDP
101 Display surface side substrate 102
110G phosphor layer (green)
110B phosphor layer (blue)
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