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JP4336142B2 - 空気調和機の通信制御装置 - Google Patents

空気調和機の通信制御装置 Download PDF

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JP4336142B2 JP2003146450A JP2003146450A JP4336142B2 JP 4336142 B2 JP4336142 B2 JP 4336142B2 JP 2003146450 A JP2003146450 A JP 2003146450A JP 2003146450 A JP2003146450 A JP 2003146450A JP 4336142 B2 JP4336142 B2 JP 4336142B2
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勝弘 関口
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、セパレートタイプの空気調和機における室内機と室外機間で行われる双方向シリアル通信制御装置の技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
空気調和機の一般的な従来技術として、室内機と室外機に分かれたセパレートタイプのユニットにおいては、マイコンにより制御された制御回路をそれぞれに具備し、室内機はリモコンなどによる使用者の運転、停止要求及び設定温度変更等の指令を受信し、室内送風機などの運転状態を決定する外に、室内の温度条件を検知するサーミスタなどの温度センサーを使用した温度検出回路等からの情報を用いて、冷媒圧縮用圧縮機電動機の回転数指令及び室外送風機への運転要求などの運転指令を室外機に転送する必要がある。
【0003】
また、室外機は外気温や冷凍サイクルなどの室外の温度情報、及び冷媒圧縮用圧縮機の運転状態、更には故障情報など室外機の情報を室内機に転送する必要があるので、室内機、室外機間のシリアル通信は不可欠である。
【0004】
室内機と室外機間のシリアル通信における従来技術として、整流回路やフォトカプラを備えた通信制御装置が提案されている(例えば、特許文献1や特許文献2を参照)。これらの特許文献によると、商用電源を用いて、ダイオードと平滑用のコンデンサと抵抗器とからなる半波整流回路をシリアル通信専用の電源とし、更に、送信信号の通電タイミングを制御するフォトカプラと、受信のためのフォトカプラと、複数の抵抗器と半導体素子とを用いて、電流ループ回路を構成している。
【0005】
【特許文献1】
特開2002−213803
【0006】
【特許文献2】
特公平4−303516号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に云って、空気調和機において快適性の向上や省エネ化は大きなテーマである。使用者が空気調和機を操作した後に如何に素早く使用者の欲する運転状態に調整できるかが快適さの目安の一つであり、これを実現するためには室内機からの運転指令を素早く室外機に伝え、冷媒圧縮用圧縮機や送風機をその時の空調環境条件に対し適切な状態で運転させる必要がある。
【0008】
また、省エネに対しても、室温や外気温などの空調環境条件に対し最適な状態で室内機及び室外機をきめ細かく制御する必要があり、空気調和機の運転により刻一刻と変化する室温に対し、素早く最適な運転状態に自動調整し、無駄な電力の消費を抑える必要がある。このように、セパレートタイプの空気調和機においては、快適性の向上及び省エネ化を実現するために、室内機と室外機間の通信速度を向上させることが求められている。
【0009】
また、近年における家電ネットワーク化を初めとする追加機能の増加は制御を高度化及び複雑化させ、制御に用いるパラメータも増加し、室内機と室外機間のシリアル通信データ量も大幅に増加する傾向にあるので、より一層の室内外の通信速度の高速化が望まれている。
【0010】
しかしながら、上述した引用文献においては、データ送信用及び受信用の素子にフォトカプラを使用しているため高速化は不向きであった。すなわち、フォトカプラは半導体素子の中でも比較的伝達遅れ(遅延時間)が大きいことが知られている。低価格な一般的なフォトカプラの場合数μsec〜十数μsecの伝達遅れを持ち、安定して動作させるためにはこの伝達遅れを考慮し、充分なオン、とオフの時間を確保する必要がある。この伝達遅れが影響して比較的低い周波数で動作させざるを得ず通信速度に限界を持つこととなっている。
【0011】
また、フォトカプラを高速タイプにして或る程度の通信速度の改善も可能ではあるが、コストアップになる上、フォトカプラの性質上通信信号は高調波を多く含む電流矩形波信号であるので、フォトカプラ間を接続する室内外間のケーブルがアンテナ機能を果たして放射ノイズを放出するおそれが多分にある。
【0012】
また、フォトカプラを駆動させるためには一般的に発光側入力に5mA〜15mA程度の駆動電流を流す必要があり、この駆動電流を得るために商用電源を整流しコンデンサで平滑した後、ツェナーダイオードと抵抗器で定電圧化する専用電源を必要とするので、部品点数の増加、及び省電力化の阻害要因にもなっている。更に、フォトカプラは定格電流及び定格電圧が比較的低い半導体素子であり、室内機と室外機との接続ケーブルの誤接続に対する保護回路が必要性なことから、回路の複雑化と部品点数の増加の要因にもなる。
【0013】
本発明の目的は、室内機と室外機との通信の高速化を図るとともに、通信による放射ノイズの抑制化を図る空気調和機の通信装置を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明は主として次のような構成を採用する。
AC電源端子、室内送風機、マイコンを含む制御系手段、温度検出手段、AC−DCコンバータ、を有する室内機と、室外送風機、冷媒圧縮機、マイコンを含む制御系手段、温度検出手段、AC−DCコンバータ、を有する室外機と、を具備するセパレートタイプの空気調和機であって、
前記室内機と前記室外機の間に、前記AC電源を供給する2本の接続ケーブルと通信用の1本の通信ケーブルを設け、
前記2本の接続ケーブルの内の1つの接続ケーブルと前記通信ケーブルとに一次側巻き線の両端を接続した高周波トランスを前記室内機と前記室外機にそれぞれ設け、
前記高周波トランスの一次側巻き線に並列にコンデンサを接続して並列共振回路を形成することによって、前記通信ケーブルに流れる通信信号のキャリアを正弦波に近い正弦波状波形とし、
前記室内機及び前記室外機の双方又はどちらか一方の高周波トランスの一次側巻き線と前記通信ケーブルとの間に抵抗器を接続することによって、前記通信ケーブルのインダクタンス成分に因る前記正弦波状波形に発生する高周波リンギングを減衰させる構成とする。
【0016】
また、前記空気調和機の通信制御装置において、前記高周波トランスの二次側巻き線側を前記制御系手段に接続し、
前記制御系手段からの信号を前記並列共振回路によって前記正弦波状波形に変換し前記通信ケーブルを通して前記室内機から前記室外機へ運転指令として送信し、
前記室外機は、前記室外機の運転情報と前記室外機の温度検出手段からの情報と前記室外機の故障情報とを含む室外機情報を送信し、
前記室内機は、前記室外機から前記室外機情報を受信し、使用者の操作情報と前記室内機の温度検出手段からの情報を用いて運転状態を決定する構成とする。
【0017】
このような構成を採用することによって、室内機と室外機との通信の高速化と通信による放射ノイズの抑制化を図ることができる。
【0018】
【発明実施の形態】
本発明の実施形態に係る空気調和機の通信制御装置について、図面を参照しながら以下詳細に説明する。図1は本発明の実施形態に係る空気調和機の通信制御装置の全体構成を示す図である。
【0019】
図1において、1は室内機、6は商用電源から室内機1のマイコン等の制御系を動作させるために必要な電圧を発生させるためのAC−DCコンバータ、7はマイコン、8は室内送風機を駆動するための電源及び駆動回路、9は室外機からの通信信号の復調回路、10はリンギングの防止と通信信号のキャリア振幅を調整するための並列抵抗器、11は受信のためのカップリングコンデンサ、12は変調のためのドライバ、13は高周波トランスのドライブ電流の制限用抵抗器、14は通信信号送受信のための高周波トランス、15は高周波トランスの一次側巻き線のインダクタンスと並列共振回路を構成するコンデンサ、16は誤接続保護用コンデンサ、17はリンギング防止用直列抵抗器、18は温度検出回路、19は室内送風機のモータ、20はサージ吸収用のバリスタ、をそれぞれ表し、これらの構成要素で室内機を構成する。
【0020】
ここで、商用電源側に接続された高周波トランス14の巻き線側を一次側とし、制御信号側に接続された高周波トランス14の巻き線側を二次側と称する。また、リンギングの機能乃至作用は図5の説明で後述する。
【0021】
一方、2は室外機、21は室外機の温度検出回路、22は室内機からの通信信号の復調回路、23は受信のためのカップリングコンデンサ、24はリンギングの防止と通信信号のキャリア振幅を調整するための並列抵抗器、25は通信信号送受信のための高周波トランス、26は高周波トランスのドライブ電流の制限用抵抗器、27は高周波トランスの一次側巻き線のインダクタンスと並列共振回路を構成するコンデンサ、28はリンギング防止用直列抵抗器、29は誤接続保護用コンデンサ、30は変調のためのドライバ、31はマイコン、32は室外機のマイコン他制御回路を駆動するための電圧を発生するAC−DCコンバータ、33は冷媒圧縮用圧縮機への電圧を供給するコンバータ及び駆動回路、34は室外送風機用ドライブ回路、35は室外送風機モータ、36は冷媒圧縮用圧縮機のモータ、37はサージ吸収用のバリスタ、をそれぞれ表し、これらの構成要素で室外機を構成する。さらに、3及び4は室外機への商用電源供給用内外接続ケーブルであり、5はシリアル通信用ケーブルである。
【0022】
室内機1では、リモコンなどによる使用者の運転開始の操作を受けると、温度検出回路18からの室内温度情報に、高周波トランス14、カップリングコンデンサ11及び復調回路9を介して抽出した室外機からの情報を加味して、マイコン7により総合的に運転モードを決定し、高周波のキャリア信号に乗せた送信信号を、ドライバ12及び制限抵抗器13を介して通信信号を高周波トランス14の二次側巻き線に与え、コアを介して一次側に伝搬される。
【0023】
この伝搬された信号は、高周波トランス14の一次側巻き線のインダクタンスと並列に接続されたコンデンサ15により構成される並列共振回路で、正弦波に近い高周波信号に整形され、シリアル通信用ケーブルに重畳されて室外機2へと転送される。
【0024】
一方、室外機2は、室内外機の接続ケーブル3,4の一方を基準にシリアル通信用ケーブル5に重畳されて室内機1から送信されたシリアル通信信号を、高周波トランス25の一次側巻き線で受け、コアを介して二次側巻き線に出力する。次に、カップリングコンデンサ23を介して復調回路22に入力され、高周波のキャリアを取り除き復調されて室外機2のマイコン31に入力される。室外機マイコン31は室内機1からのシリアル通信信号による指令を受け、冷媒圧縮用圧縮機36及び室外送風機35の運転条件を決定する。室外機2からの情報の送信も同様に室内機1に対し行われ、これらの情報送信を順次繰り返す。なお、室外機2の故障情報の室内機1への送信も同様に行われる。
【0025】
次に、シリアル通信信号の変調及び復調について、図2と図3を参照しながら以下説明する。シリアル通信信号の室内機1から室外機2への送信について、使用者が空気調和機の設定温度を変更した場合を例にして説明する。図2は本実施形態に関する室内機の変調回路及び復調回路の具体的構成を示す図であり、図3は図2の各点における波形を示す図である。
【0026】
使用者のリモコンなどの操作を受け、その内容を解析し、冷媒圧縮用圧縮機36や室外送風機35などの各種室外機の回転数指令を算出し、室外機2に変更内容を送信する。送信データは図3の送信データに示すように、例えば1フレーム8ビットとした場合、先頭にスタートビットSTを出力した後、データ列D0〜D7を出力し、最後にストップビットSPを付加して一連の送信データ列に変換する。図2に示すマイコン7の送信出力からは、図3に示すA点電圧のような高周波のキャリア周波数を含んだ矩形信号が出力される。マイコン7では二値信号を取り扱うので、図3のA点電圧のような矩形信号となる。ここでは、各ビット(D0〜D7のいずれかのビット)での矩形波の繰り返し信号をキャリアと称する。
【0027】
マイコン送信出力(A点電圧)で図2に示す変調用ドライバ12を駆動し、高周波トランス14の2次側巻き線に高周波電流を流す。高周波トランス14はコアを介して一次側巻き線に出力するが、一次側巻き線のインダクタンスに並列に接続されたコンデンサ15との並列共振回路により、キャリア周波数を選択的に伝達するフィルタを形成して平滑するので、図3のC点電圧のような正弦波に近い滑らかな交流信号に成形され、図2に示すシリアル通信用ケーブル5を介して室外機2に送信される。
【0028】
また、この送信信号は、室外機2にも同様に搭載された高周波トランス25の充分に大きいインダクタンスにより、高周波インピーダンスが与えられるため減衰することは防止できる。なお、図2と図3の構成例はデータ列と高周波の送信キャリアを予め合成した形でマイコン送信ポートから出力させた例であるが、マイコンの性能の制約から上述の出力が取れない場合は、マイコン7外部に発振回路を設けてOR回路によりデータ列と高周波のキャリアを合成した後、高周波トランス14を駆動しても同様の効果が得られる。
【0029】
次に、室外機2からのシリアル通信信号の受信方法について説明する。上述と同様な方法で室外機2から送信されるシリアル通信信号を、図2のシリアル通信用ケーブル5を介し、図3の受信時のC点電圧のような波形で受信する。C点の信号は図2の高周波トランス14の一次側巻き線に入力され、高周波トランス14のコアを介して2次側巻き線に出力され、図2に示すカップリングコンデンサ11を介して図3の受信時におけるD点電圧のように、所定のバイアス電圧に重畳され、復調回路9に入力される。
【0030】
D点電圧の信号はコンパレータを使用した比較回路9−aで上記のバイアス電圧に等しい比較電圧と比較され、図3の受信時におけるD点電圧の比較電圧を上回る電圧の区間のみ出力を反転させる。この時点の出力信号は高周波のキャリア成分を含んでいるため、図2の復調回路9に備えられた抵抗RとコンデンサCで平滑され、高周波成分を除去された後、バッファ9−bを介し、図3の受信時におけるE点電圧のようなデータ列として復調される。室外機2における送受信の方法についても同様であり交互に送受信を繰り返す。
【0031】
次に、シリアル通信信号の高周波キャリアを正弦波に近付ける形態を図4を用いて説明する。上述したように、マイコン7から出力される高周波の矩形信号を、高周波トランス14の一次側巻き線のインダクタンスに並列に接続されたコンデンサ15との並列共振回路によって、キャリア周波数を選択的に伝達するフィルタを形成し平滑して正弦波に近付ける。
【0032】
図4に、高周波トランスの一次と二次巻き線のインダクタンスを0.5mH、誤接続防止用コンデンサ16の静電容量を0.01μF、リンギング防止用抵抗器17を20Ωとし、並列共振コンデンサ15の静電容量のみ変更した場合の、シリアル通信用ケーブル5に重畳される電圧波形を示す。本構成例の場合、キャリア周波数を30kHzとしたが、共振コンデンサを0.01μF(f0=約70kHz)〜0.033μF(f0=約40kHz)〜0.047μ(f0=約30kHz)変化させた場合、キャリア周波数と並列共振回路の共振周波数が近い程、より正弦波に近い滑らかな波形となった。
【0033】
次に、リンギング防止用抵抗17,28の機能乃至作用について説明する。図2に示す室内外機接続ケーブル4及びシリアル通信用ケーブル5の配線が長い場合、インダクタンス成分によりリンギングを起こす可能性が有る。そこで、図5に示すように、リンギング防止用直列抵抗器17,28を追加することにより、ノイズ源となり得るリンギングを防止することが可能である。図5にはリンギング防止用抵抗器が無しの場合と追加した場合の通信用信号波形の比較を示している。なお、リンギング防止用抵抗は室内外機の一方に設けても同様にリンギング防止の機能を奏することができる。
【0034】
また、本発明の実施形態においては、図1の誤接続保護用コンデンサ16,29によりケーブル接続時における保護を行う。ケーブル5をケーブル3に誤接続したときの解決策である誤接続防止用コンデンサ16,29は誤接続時に商用電源に耐えうる必要があるので、100Vの製品であれば耐電圧AC160V、200Vの製品であればAC250Vの耐圧が必要となるが、これらはフィルムコンデンサとして安価に入手可能である。更に、本実施形態では、図1に示す回路構成で符号20及び37の回路位置にバリスタを接続し、商用電源から流入するサージ電圧を吸収する。
【0035】
敷衍して述べると、本発明の実施形態は次のような構成、機能乃至作用を奏することを特徴とするものである。即ち、本実施形態は、室内機1と室外機2に対して、商用電源を供給する2本のケーブル3,4と1本のシリアル通信用ケーブル5を接続し、室外機に商用電源を供給するケーブルの内の1本のケーブル4とシリアル通信用ケーブル5を両端に接続した一次側インダクタンスを有する高周波トランス14,25を設ける。また、高周波の信号をキャリアとしたシリアル通信信号の送受信を行うために、高周波トランス14,25の一次側のインダクタンスに並列にコンデンサ15,27を接続し、キャリア周波数を選択的に伝達するフィルタを形成することによって通信信号のキャリアを正弦波に近づけて滑らかにし、更に、直列抵抗器17,28を追加することにより、ケーブルのインダクタンス成分の影響で発生する不要なリンギングを抑えることにより放射ノイズなどのノイズの発生量を抑制する。
【0036】
また、高周波トランスの一次巻き線の巻数N1と二次巻き線の巻数N2の巻数比をN1/N2(N1<N2)として、キャリア振幅を任意に調整し、雑音端子電圧などのノイズを低く抑える(この機能乃至作用については後述する)。更に、高周波トランスの一次側に直列に商用電源の電圧に耐え得るコンデンサ16,29を接続し、単純な回路構成でも誤接続に対する保護性能を持たせ、また、商用電源から流入する電圧サージをバリスタ20,37で吸収する。
【0037】
このような構成を採用することによって、セパレートタイプの空気調和機の室内外機のシリアル通信手段は、シリアル通信ケーブルへの信号の重畳(送信)、及びシリアル信号ケーブルからの信号の抽出(受信)に、フォトカプラなどの比較的信号の伝達遅れの大きい半導体素子を使用せず、一次二次間の絶縁された高周波トランスを使用するため、マイコン側制御電位と商用電源に一端を接続されたシリアル通信ケーブル側の電位を絶縁するための専用の部品を追加する必要がなく、また、信号の伝達遅れを考慮する必要が無いので、容易にかつ部品点数が少なく単純な回路構成で室内機、室外機外間のシリアル通信装置が実現可能である。更に、一次二次間に高耐電圧性能を有する高周波トランスを使用することによって、商用電源と接続された一次側電位と低電圧である制御回路の二次側電位を絶縁させることができる。
【0038】
また、シリアル通信用ケーブル側に接続された高周波トランスの一次巻き線のインダクタンスに並列にコンデンサを接続し、並列共振回路とすることにより、キャリア周波数を選択的に伝達するフィルタを形成して、シリアル通信信号のキャリアを正弦波に近づけ滑らかにすることにより高調波成分を抑制できるので、雑音端子電圧や放射ノイズなどのノイズの発生を抑制することが可能である。また、一次巻き線の巻数N1と二次巻き線の巻数N2について、(N1<N2)の関係としキャリア振幅を任意に調整することにより、雑音端子電圧などのノイズを低く抑えることも可能である。
【0039】
ここで、空気調和機の室外機へのケーブル、特に高周波信号を扱う通信用ケーブルがアンテナの機能を果たして電波を放出し有害な雑音ノイズとなり得る。このような通信用ケーブルからの放射ノイズは家庭で使用される電気機器や電子機器に悪影響を及ぼすので低く抑えるように規制されている。そして、図3に示すB点電圧のような矩形波信号が通信用ケーブルを流れると、矩形波信号中の或る高次高調波成分が放射ノイズの発生源となり得るので、一次側巻き線にコンデンサ15を接続して共振回路を構成し、図3のC点電圧に示すような正弦波に近い正弦波状波形を形成して高次高調波成分による放射ノイズをできるだけ無くするようにしている。さらに加えて、ケーブル5を流れる通信信号の振幅が大きいと放射ノイズはそれだけ大きくなり得るので、放射ノイズを無くする観点から通信信号の振幅をできるだけ小さくすることが求められる。このような観点で巻き線数をN1<N2としている。
【0040】
更に、本実施形態では通信回路専用の電源を持たないため部品点数の削減及び省電力に貢献でき、また、シリアル通信用ケーブル側に接続された高周波トランスの一次巻き線の、シリアル通信用ケーブルに接続される側の端子に直列に商用電源の電圧に絶え得る耐電圧性能を持つコンデンサを接続することにより、部品点数の極めて少ない単純回路構成でも、空気調和機の据付作業時にシリアル通信用ケーブルの接続作業時に、商用電源に接続された内外接続ケーブルをシリアル通信用ケーブルに誤接続しても破壊や故障を防止することができる。また、商用電源から流入する電圧サージをバリスタで吸収できるので通信回路の破壊を防止すると共に、シリアルアル通信信号への不要なノイズの流入を防止できる。
【0041】
【発明の効果】
本発明によれば、単純な回路構成で高速の通信が実現可能であり、構成部品が少ないので省スペース化及び低価格化を図ることができる。更に、並列共振回路でキャリア信号を正弦波に近い滑らかな波形にできるため、放射ノイズの抑制に対し顕著な効果が得られる。また、フォトカプラ方式のような絶縁された別電源を必要とせず、高周波トランスにより信号を電圧できるので省電力化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和機の通信制御装置の全体構成を示す図である。
【図2】本実施形態に関する室内機の変調回路及び復調回路の具体的構成を示す図である。
【図3】図2の各点における波形を示す図である。
【図4】本実施形態で使用するシリアル通信信号の高周波キャリアを正弦波に近付ける形態を示す図である。
【図5】本実施形態で使用するリンギング防止用直列抵抗の有無の場合における通信用信号波形の比較図である。
【符号の説明】
1 室内機
2 室外機
3 室内外機間接続ケーブル
4 室内外機間接続ケーブル
5 シリアル通信用ケーブル
6 AC−DCコンバータ
7 マイコン
8 室内送風機駆動用電源及び駆動回路
9 復調回路
10 並列抵抗器
11 カップリングコンデンサ
12 変調用ドライバ
13 電流制限用抵抗器
14 高周波トランス
15 並列共振コンデンサ
16 誤接続保護用コンデンサ
17 リンギング防止用直列抵抗器
18 温度検出回路
19 室内送風機用モータ
20 バリスタ
21 室外機の温度検出回路
22 復調回路
23 カップリングコンデンサ
24 並列抵抗器
25 高周波トランス
26 電流制限用抵抗器
27 並列共振コンデンサ
28 リンギング防止用直列抵抗器
29 誤接続保護用コンデンサ
30 変調用ドライバ
31 マイコン
32 AC−DCコンバータ
33 冷媒圧縮用圧縮機用コンバータ及び駆動回路
34 室外送風機用ドライブ回路
35 室外送風機用モータ
36 冷媒圧縮用圧縮機用モータ
36 バリスタ
9−a コンパレータ電圧比較回路
9−b バッファ回路

Claims (6)

  1. AC電源端子、室内送風機、マイコンを含む制御系手段、温度検出手段、AC−DCコンバータ、を有する室内機と、室外送風機、冷媒圧縮機、マイコンを含む制御系手段、温度検出手段、AC−DCコンバータ、を有する室外機と、を具備するセパレートタイプの空気調和機であって、
    前記室内機と前記室外機の間に、前記AC電源を供給する2本の接続ケーブルと通信用の1本の通信ケーブルを設け、
    前記2本の接続ケーブルの内の1つの接続ケーブルと前記通信ケーブルとに一次側巻き線の両端を接続した高周波トランスを前記室内機と前記室外機にそれぞれ設け、
    前記高周波トランスの一次側巻き線に並列にコンデンサを接続して並列共振回路を形成することによって、前記通信ケーブルに流れる通信信号のキャリアを正弦波に近い正弦波状波形とし、
    前記室内機及び前記室外機の双方又はどちらか一方の高周波トランスの一次側巻き線と前記通信ケーブルとの間に抵抗器を接続することによって、前記通信ケーブルのインダクタンス成分に因る前記正弦波状波形に発生する高周波リンギングを減衰させる
    ことを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
  2. 請求項1において、
    前記高周波トランスの前記AC電源側に接続された一次側電位と前記制御系手段側に接続された二次側電位とを絶縁させたことを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
  3. 請求項1または2において、
    前記高周波トランスの一次側巻き線と前記通信ケーブルとの間に前記AC電源の電圧に耐えるコンデンサを接続する
    ことを特徴とする空気調和機の通信装置。
    ことを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
  4. 請求項1、2又は3において、
    前記接続ケーブルと前記通信ケーブルとの間にバリスタを接続することを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
    ことを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
  5. 請求項1、2又は3において、
    前記高周波トランスの一次側巻き線の巻数N1と二次側巻き線の巻数N2をN1<N2の関係とすることを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
  6. 請求項1において、
    前記高周波トランスの二次側巻き線側を前記制御系手段に接続し、
    前記制御系手段からの信号を前記並列共振回路によって前記正弦波状波形に変換し前記通信ケーブルを通して前記室内機から前記室外機へ運転指令として送信し、
    前記室外機は、前記室外機の運転情報と前記室外機の温度検出手段からの情報と前記室外機の故障情報とを含む室外機情報を送信し、
    前記室内機は、前記室外機から前記室外機情報を受信し、使用者の操作情報と前記室内機の温度検出手段からの情報を用いて運転状態を決定する
    ことを特徴とする空気調和機の通信制御装置。
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