JP4335225B2 - 樹脂成形体の製造方法および装置 - Google Patents
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Description
従来、微細な凹凸形状を有する製品は、ガラスやシリコンの基板上に、機械加工により、形成されていたが、加工時間が長くコストが高いなどの問題があり、近年、安価で大量生産に適している樹脂への転換が図られている。
一般にこのような成形体は、少なくとも一方の表面に微細な凹凸部を有する上金型および下金型を用い、この下金型上(もしくは下金型と上金型の間)に熱可塑性樹脂を設置し、金型を閉鎖させてプレスし、その後、得られた成形体を金型から離型することによって製造されている。
しかしながら、このようにして製造された表面に微細な凹凸形状を有する成形体は、特に微細な凹凸形状のアスペクト比(深さ/幅)が高い場合に顕著であるが、転写率が高いと、金型の微細凹凸部と強固に付着し、離型できない;無理に離型した場合、微細凹凸部を損傷させたり、成形体を破損してしまう;特に、抜き勾配のない成形体の場合、金型を微細凹凸面に対し、厳密に垂直に引抜かなければ、微細凹凸を損傷させてしまう;という問題点を有する。
特許文献2(特開2003−154573号公報)には、固定側金型と可動側金型とで形成される微細な凹凸を有するキャビティ内に成形原料を充填し、両金型を加熱し、両金型のいずれか一方もしくは両方に設けられた超音波振動子によって超音波振動させながら加圧、及び離型するエンボス加工成形方法および装置が開示されている。超音波振動子を使用することにより、成形体の離型は可能であるが、金型に超音波振動子を設置する必要があり、この場合も前記特許文献1と同様に装置構成が複雑になり、コストが増加するという問題点がある。また、超音波振動が原因で微細な凹凸が損傷する可能性がある。
なお、離型剤を金型表面に塗布することも考えられるが、例えば微細な流路形状を有するチップなどでは、後加工のときにカバーが接着できなくなるなど、離型剤が樹脂製品に悪影響を及ぼす場合があり、根本的な解決にはならない。
これに対し、微細凹凸部の反対側の面(鏡面側)に成形体を付着させたまま、微細凹凸面に対し垂直方向に金型を引き離せば、不良のない成形体が得られる。このような方法として、真空吸引により、鏡面側に成形体を付着させる方法が考えられるが、下記に示すような問題がある。すなわち、図9に示すように、真空力を利用して成形体90を微細な凹凸部911を有する金型91から剥離する場合、成形体90を真空吸引するための真空ポート92の周辺に力が大きく働き、面内の剥離力の分布が不安定となるため、微細な凹凸部911と成形体90が強固に付着している場合、剥離が真空ポート92を中心とした同心円状に広がっていき、微視的には垂直に引き抜くことができない。さらに、成形時に溶融樹脂が真空ポート92に侵入し、成形品の外観を損なうという問題がある。
前記金型が、第一型および第二型より構成される金型であり、少なくとも前記第二型の樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部であり、前記第一型の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ前記樹脂との付着性を高める処理を行い、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放することで、選択的に前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型することを特徴とする樹脂成形体の製造方法である。
請求項2に記載の発明は、前記付着性を高める処理が、放電照射処理であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項3に記載の発明は、前記放電照射処理が、プラズマ放電照射処理であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項4に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置による処理であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項5に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、コロナ放電照射処理であることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項6に記載の発明は、前記付着性を高める処理が光オゾン法処理であり、酸素存在条件下で金型に光を照射し、生成したオゾンで処理することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項7に記載の発明は、前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプによる処理であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項8に記載の発明は、前記プラズマ放電照射処理が、プラズマ放電照射装置を金型内に挿入し、プラズマ放電照射処理を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項9に記載の発明は、前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプを金型内に挿入し、光オゾン法処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項10に記載の発明は、前記第二型の微細な凹凸部が、微細な凹凸部を有するスタンパを金型に装着することで前記第二型上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項11に記載の発明は、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放し、前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記金型を微細な凹凸部を有する金型面に対して垂直に開放することを特徴とする請求項1または10に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項12に記載の発明は、前記第一型に熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を施す工程と、
前記第一型と前記第二型の間に前記熱可塑性樹脂を装填する工程と、
前記第一型と前記第二型とを閉鎖し、前記第一型と前記第二型との間に装填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程と、
前記処理により、前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記第一型あるいは前記第二型を前記微細な凹凸部に対して垂直に開放することで、前記樹脂成形体を前記第二型の微細な凹凸部から選択的に離型する工程とを有することを特徴とする請求項1、10または11に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項13に記載の発明は、前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、前記第二型の微細な凹凸部上に溶融した熱可塑性樹脂を、吐出手段を移動させながら塗布する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項14に記載の発明は、前記金型が圧縮成形装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、溶融状態もしくは半溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項15に記載の発明は、前記金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、フィルム状もしくは板状の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項16に記載の発明は、前記金型が射出成形に使用される金型であり、
前記金型に熱可塑性樹脂を装填する工程および前記熱可塑性樹脂に前記金型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程が、
(1)完全に閉鎖した状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
前記第一型と前記第二型との間に射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
または、
(2)わずかに開いた略閉鎖状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
略閉鎖状態の前記第一型と前記第二型とを完全に閉鎖することにより射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加えるとともに、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項17に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない前記第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型した後、前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項18に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記第一型を冷却することを特徴とする請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項19に記載の発明は、前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、非接触搬送体を使用して樹脂成形体を離型し、前記金型の外部に搬送することを特徴とする請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項20に記載の発明は、前記金型は温度調節機能を有し、金型形状を転写する際および金型から樹脂成形体を離型する際に、前記金型の加熱および冷却が各々行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法である。
請求項21に記載の発明は、下記の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、対向して配置される一組の第一型および第二型から構成される金型と、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂の加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、前記付着性を高める処理を行っていない第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置である。
前記樹脂成形体の製造方法:二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含むことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。
請求項22に記載の発明は、請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部である第二型と、対向して配置される第一型から構成される金型とを備え、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂を加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着力を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記処理を行っていない前記第二型の微細な凹凸部から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置である。
請求項23に記載の発明は、前記熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射処理装置、大気圧条件下で使用可能なコロナ放電照射処理装置、低圧水銀ランプ、キセノンエキシマランプのいずれかであることを特徴とする請求項21または22に記載の樹脂成形体の製造装置である。
図1は本発明における製造装置の一実施形態の概略断面図であり、一方の金型(第一型)表面が鏡面を有し、他方の金型(第二型)表面が数十nm〜数百μmの微細な凹凸部を有する形態である。以下の説明において、第一型および第二型は、それぞれ上金型および下金型である。なお、本発明は下記の形態に制限されない。転写すべき金型形状は、微細な凹凸形状に制限されず、任意である。上金型および下金型の両方の表面に所望の形状を賦形してもよい。
図1の形態では、上金型11のキャビティ面が鏡面111を有し、下金型12のキャビティ面が微細な凹凸部121を有する。
なお、本発明は上記形態に限定されない。前記上金型および下金型は金型の開閉および加圧が可能であれば、必ずしも嵌合させる必要はないし、前記金型を90°回転させて使用してもよい。また、前記金型は3つ以上の金型部分を組み合せることにより構成される金型であってもよい。
下金型12は、微細な凹凸部121を有する。微細な凹凸部121は、例えば10nm〜1mmの幅または直径を有するとともに、10nm〜1mmの深さまたは高さを有する。
また、上金型11および下金型12には、図1に示したように、加熱手段と、冷却手段を設置するのが好ましい。加熱手段は、例えば加熱ヒータ15から構成され、冷却手段は、冷却水が流れる冷却管16から構成されている。また、上金型11および下金型12には、図示しない温度センサおよび温度制御手段が設けられ、これらにより両金型の温度制御が可能となっている。なお上金型11および下金型12の温度制御は、PID制御などにより行うことができる。上記温度制御手段は、上金型11と下金型12で別々に備えることが望ましく、加熱速度、冷却速度の調節を行えることがさらに望ましい。加熱速度の制御は前記PID制御などにより、冷却速度の制御は冷却水量調節などにより容易に行うことができる。
当該処理を行うタイミングとしては特に制限されないが、前記上金型11と下金型12の間に熱可塑性樹脂を装填する前に行うことが望ましい。このときの金型温度はとくに制限はない。また、当該処理は成形サイクルごとに毎回行っても良いが、本発明者らは上記付着性の高める処理の効果が通常、数時間から1日程度は持続することを見出しており、前記付着性の向上の効果がなくなる前に前記処理を行うならば、数時間に1回程度の頻度でも良好な樹脂成形体を連続して製造することができる。
図1に示すように処理手段10は、金型が開放している状態で金型内に進入する。図1の形態では、処理手段10は、移動しながら上金型11の樹脂接触面である鏡面111に、矢印に示したような放電照射処理を行う。鏡面111の面積が放電照射の面積以下の場合、処理手段10は固定された状態でも良いが、鏡面111の面積が放電照射の面積より大きい場合、処理手段10が移動しながら、樹脂接触面全体に均一に放電照射処理を行うことが望ましく、また、このとき、処理手段10と鏡面111との距離が一定に保たれることがさらに望ましい。放電照射処理完了後、処理手段10は金型外に移動する。前記放電照射処理により、鏡面111上の油膜などの汚染物が除去されると同時に、鏡面111が活性化し、極性基が形成され、熱可塑性樹脂との濡れ性が向上する。上記濡れ性の向上は面内に均一に作用し、樹脂成形体と鏡面111との付着力が増大するため、その結果、下記で説明するように、上金型11および下金型12を垂直方向に開放したときに、樹脂成形体を鏡面111に付着させたまま、従来は離型が困難であった、微細な凹凸部121を有する下金型12からの円滑な離型を達成できる。
なお、本発明は上記形態に限定されない。例えば、下金型が樹脂接触面の一部のみに微細な凹凸部を有する場合、前記放電照射処理を上金型の樹脂接触面の一部にのみ行ってもよい。この場合、少なくとも下金型の微細な凹凸部に対応する上金型の鏡面部分に対して放電照射処理を行えば、上金型の樹脂接触面である鏡面全体に対して放電照射処理を行ったときと同様に、微細な凹凸部を有する下金型からの円滑な離型を達成できる。
プラズマ放電照射処理条件としては、金型の表面形状や、材質、熱可塑性樹脂の種類などによって適宜決定すればよいが、例えばプラズマ処理量として1〜20W・s/cm2が例示される。
上記処理に用いられる光源としては、例えば水銀ランプやエキシマランプなどが挙げられるが、特に、主に波長185nmおよび波長254nmの光を照射する低圧水銀ランプ、波長172nmの光を照射するキセノンエキシマランプなどが望ましい。また、レーザー光、電子線などを利用することもできる。
図2において、下金型12上の微細な凹凸部121上に、樹脂層21が形成される。樹脂層21の形成方法はとくに制限されないが、吐出口22を備えた塗布装置23に熱可塑性樹脂を供給し、塗布装置23を矢印24方向に移動させながら、微細な凹凸部121の上方から熱可塑性樹脂を吐出し、微細な凹凸部121に熱可塑性樹脂を充填するのが好ましい。このようにすれば、高い寸法精度、低残留応力、低複屈折、高光透過性、優れた機械的強度を有する樹脂成形体を、超低圧の成形プロセスでありながら、三次元、薄肉、かつ大面積の形状でもって提供することができる。なお、前記第一型と第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する方法が、熱可塑性樹脂の吐出以外の方法であってもよい。
図3において、加力発生器13を用い、上金型11と下金型12とを嵌合(閉鎖)させ、上金型11の鏡面111と下金型12の微細な凹凸部121との間に存在する樹脂層21をプレスする。プレスの際、上金型11および下金型12は、ヒータ15の稼動によって所望の温度(通常は熱可塑性樹脂のTg以上の温度、好ましくは該Tgより20℃以上高い温度)に加熱されている。このときのプレス圧力は、とくに制限されないが、例えば前記塗布装置を用いた場合には、10MPa以下の低圧プレスを採用することができる。この操作により、樹脂層21に微細な凹凸部121の形状が転写される。転写完了後、圧力および金型温度を調整しながら、樹脂層21を冷却固化して樹脂成形体を製造する。
鏡面111には熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行っているので、鏡面111と樹脂成形体との間に強い付着力が発生する。
図4(a)のように、微細な凹凸部121に熱可塑性樹脂からなる樹脂層21が充填され、続いて矢印41方向のプレス力を印加したまま樹脂層21を冷却し固化させると、図4(b)に示すように樹脂層21が微細な凹凸部121の内側方向(矢印42方向)に向かって体積収縮が生じる。同時に、下金型12の金属と樹脂層21の界面で両者の線膨張率の差による相対的なズリ変形が、矢印43方向で生じる。これらの理由から、製造された転写体が微細な凹凸部121から離型しやすくなる。
一方、樹脂層21は平面方向にも収縮する。図5は、微細な凹凸部121に充填された樹脂層21の平面方向の収縮を説明するための、微細な凹凸部121と樹脂層21の拡大断面図である。図5(a)のように、樹脂層21は平面方向にも収縮するため、線膨張の差により、樹脂層21は微細な凹凸部121の中央方向(矢印方向)に向かって押し付けられる。これに対して、本発明の実施形態では、図5(b)のように、金型に放電照射処理を施しており、樹脂層21が上金型11の鏡面111に完全に付着し固定されているため、樹脂層21が平面方向へ収縮しようとしても、樹脂成形体の平面方向(縦、横、高さの内、縦と横方向)への収縮が抑制される。その結果、樹脂層21が微細な凹凸部121の中央方向(矢印方向)に向かって押し付けられなくなるため、摩擦力が減少する。同時に樹脂成形体は鏡面111側に完全に付着しているため、金型を微細な凹凸部に対して垂直に開放することで鏡面111に樹脂成形体を付着させたまま、金型の微細な凹凸部と樹脂成形体の微細凹凸部を接触させることなく、垂直に離型することが可能になる。
前述のように、上金型11の鏡面111と樹脂層21とが完全に付着していることから、加力発生器13を稼動して上金型11および下金型12を微細な凹凸部の面に対し垂直方向(矢印方向)に開放すると、図6に示すように、樹脂成形体51は上金型11の鏡面111に付着したまま微細な凹凸部121から離型される。上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51は、上金型11の鏡面111を冷却する、望ましくは鏡面111を10℃以上、さらに望ましくは20℃以上冷却することにより上金型11の鏡面111から容易に離型することができる。
(1)開放状態の金型内に前記金型と樹脂との付着性を高める処理を行うための処理手段10を進入させ、上金型11の樹脂接触面である鏡面111に前記処理を行う工程と、
(2)前記金型の上金型11の樹脂接触面である鏡面111および下金型12の樹脂接触面である微細な凹凸部121を前記温度調節手段により樹脂の成形を行うための所定の温度に加熱する工程と、
(3)塗布装置23により前記下金型12の微細な凹凸部121上に樹脂を塗布し、樹脂層21を形成する工程と、
(4)前記上金型11と前記下金型12を閉鎖し、前記上金型11と下金型12との間の樹脂層21に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、樹脂に前記金型の形状を転写し、樹脂成形体51を成形する工程と、
(5)前記金型を前記微細な凹凸部121に対して垂直に開放し、前記処理を行った前記上金型11の鏡面111に樹脂成形体51を付着させたまま、当該処理を行っていない前記下金型12の微細な凹凸部121から樹脂成形体51を選択的に離型する工程と、
(6)前記上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51を離型するために、前記上金型11の鏡面111を冷却する工程と、
(7)開放状態の前記金型間に非接触搬体を進入させた後、非接触搬送体により発生させた負圧により、前記上金型11の鏡面111に付着した樹脂成形体51を離型する工程とを有する樹脂成形体の製造方法である。
なお、本発明は上記形態に限定されるものではなく、前記プロセスの一部を変更したり、あるいは全く別の方法を用いてもよい。
また、本発明では、金型が圧縮成形装置に使用される金型であってもよい。一般的に圧縮成形装置は、金型内に溶融樹脂もしくは軟化状態の樹脂を配置し、樹脂に圧力、熱を加え、加圧・附形し、金型を冷却し、樹脂を冷却・固化させた後、金型を開放し、樹脂成形体を金型から離型するものである。
さらに、本発明では、金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であってもよい。一般的にホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置は、金型上に熱可塑性樹脂基板もしくは熱可塑性樹脂フィルムを設置した状態で金型を閉鎖し、圧力を加えながら金型表面の温度を樹脂のガラス転移温度付近もしくはそれ以上に加熱し、樹脂基板もしくは樹脂フィルムに金型の微細な凹凸部を転写した後、金型を冷却し、樹脂を冷却・固化させ、金型を開放して微細な凹凸部から樹脂成形体を離型するものである。
上記いずれの成形方法においても、金型と熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を、予め前記金型の一方に施すことにより、樹脂成形体を付着性を高める処理を行った前記一方の金型に付着させ、前述と同様に、離型が困難な他方の金型から樹脂成形体を円滑に離型することができる。付着性を十分に発揮させるためには金型温度をガラス転移温度付近もしくはそれ以上の温度に加熱することが望ましく、より好ましくは、ガラス転移温度以上とすることが望ましい。
本発明は、とくに上記製品の中でも、微細な凹凸部を形成するなどして、離型が極端に難しい成形品、特に微細凹凸のアスペクト比(深さ/幅)が大きい樹脂成形体や微細な凹凸部を有する大面積の樹脂成形体、製品の外観上および機能上の制約により機械式イジェクタ、離型剤、真空吸着等が利用できない製品などに有効である。
熱可塑性樹脂を加熱溶融させるための押出機、熱可塑性樹脂を計量・吐出するためのアキュムレータ、フィルム状の樹脂を吐出するためのTダイ、および、それらを金型に塗布するための駆動機構を有する塗布装置を準備した。
下金型12上に、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を有するNi製のスタンパを固定した。上金型11は、Ra0.20μm以下の鏡面111を有する。上金型11および下金型12は、材質がステンレスである。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、下記表1に示す照射処理条件で、上金型11の鏡面111全面に約10mmの距離からプラズマ放電照射処理を行った。続いて、ヒータ15を稼動して上金型11および下金型12を150℃に加熱した後、前記塗布装置によって微細な凹凸部121上に250℃に加熱した溶融状態のシクロオレフィンポリマーを塗布し、厚さ150μmの樹脂層21を形成した。
次に上金型11と下金型12を閉鎖し、樹脂層21に5MPaの圧力を加えて、溶融樹脂を附形し、微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃に冷却した。
続いて、金型を開放し、得られた製品を微細な凹凸部121から離型した。プラズマ放電照射処理を行ったことで上金型11の鏡面111と樹脂層21との付着性が向上し、付着力が増すため、金型を開放し、上金型11を垂直に移動させることで、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、微細な凹凸部121から簡単に剥離することができた。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すような非接触搬送体を樹脂成形体51に近づけることで、容易に金型から離型することができた。
なお、プラズマ放電照射処理は、金型のサイズを変えて試験を行った。すなわち、樹脂成形体のサイズが縦×横それぞれ50mm(以下、50mm角という)、縦×横それぞれ200mm(以下、200 mm角という)、縦×横それぞれ1000mm(以下、1000 mm角という)となる金型にそれぞれプラズマ放電照射照射をした後、試験を行い、大面積化に対する本発明の方法の効果を検証した。
結果を表1に示す。
前記実施例1と同様の塗布装置を準備した。
下金型12上に縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11はRa0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は材質がステンレスであり、有効面積が100×100mmである。この下金型12の有効面の外縁部に12本のイジェクタピンおよびイジェクタピンを突き出すための機構を設置した。
プラズマ放電照射装置を使用しない以外は前記実施例1と同じ条件で樹脂成形体に微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃まで冷却し、微細な凹凸部121に樹脂成形体51を付着させたまま型開を行った。その後、イジェクタピンで微細な凹凸部121側から樹脂成形体51を押し上げて、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から剥離した。
結果を表1に示す。
前記実施例1と同様の塗布装置を準備した。
下金型12上に縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11はRa0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は材質がステンレスであり、有効面積が100×100mmである。
プラズマ放電照射装置を使用しない以外は前記実施例1と同じ条件で熱可塑性樹脂に金型の微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃まで冷却し、金型の微細な凹凸部121に樹脂成形体51を付着させたまま、金型を開放した。その後、有効吸着面積が直径95mmの真空吸着パッドを樹脂成形体51の鏡面側に付着させ、真空引きを行いながら真空吸着パッドを微細な凹凸部121と垂直方向に持上げて、樹脂成形体51を金型の微細な凹凸部121から離型した。
試験結果を表1に示す。
プラズマ放電処理装置 処理時間:30秒(50mm角)、1分(200 mm角)、5分(1000 mm角)
照射距離:10mm
コロナ放電処理装置 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:10mm
低圧水銀ランプ 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:10mm
キセノンエキシマランプ 処理時間:1分(200 mm角)
照射距離:3mm
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、射出成形機において成形試験を行った。
上金型および下金型は、図1に示した構成および射出ノズルから溶融樹脂を射出するための図示しない流路を有する。
下金型12の表面に、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を加工した。上金型11は、Ra0.20μm以下の鏡面111を有する。なお、上金型11および下金型12は、材質がステンレスであり、有効面積が50mm角である。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型11に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。
樹脂成形体の厚みを1mmとした。微細な凹凸部121を100%転写するため、樹脂温度を280℃、金型温度を130℃に設定し、上金型11および下金型12がわずかに開いた状態で金型内に溶融樹脂を射出した後、金型を完全に閉鎖し、型内圧で50MPaの圧力を加え、微細な凹凸部121の形状を樹脂に転写・附形しながら、金型温度を70℃まで冷却し、樹脂成形体51を製造した。
続いて、上金型11と下金型12を垂直方向に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
この後、金型をさらに50℃まで冷却し、図7に示すような非接触搬送体により金型から樹脂成形体51を離型した。
得られた樹脂成形体51は、微細な凹凸部121が忠実に転写されており、バリや微細な凹凸部の崩れなどの不良は認められなかった。
一方、プラズマ放電照射処理を行わなかった場合は、樹脂成形体51の微細な凹凸部121からの離型が困難で、型開き時に微細な凹凸部121側から離型できず、樹脂成形体51を得ることができなかった。
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、圧縮成形法により成形試験を行った。
試験に用いた装置および金型は実施例1とほぼ同じであるが、押出機先端のTダイが厚さ3mmのシート状の樹脂を押し出すためのダイであることが異なる。また、下金型12には、下記の微細な凹凸部121が設けられている。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型12に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。その後、金型温度を150℃に昇温した。
押出機により押し出された樹脂温度250℃、厚さ3mmの熱可塑性樹脂を、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を設けた下金型12上に設置した後、金型を閉鎖し、20MPaの圧力を加えて、溶融樹脂を附形し、微細な凹凸部121の形状を転写した後、金型を70℃に冷却した。
続いて、上金型11と下金型12を微細な凹凸部121に対して垂直方向に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すように非接触搬送体を樹脂成形体51に近づけることで、上金型11から容易に離型することができた。
得られた樹脂成形体51は微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されており、微細な凹凸部121の形状の崩れやバリなどの不良は認められなかった。
一方プラズマ照射を行わない場合、金型開放時に樹脂成形体51が下金型12に付着し、樹脂成形体51を離型することができなかった。
熱可塑性樹脂として、アクリル樹脂を使用し、ホットエンボス法により成形試験を行った。
試験に用いた装置および金型は実施例1とほぼ同じであるが、溶融した樹脂を金型上に吐出するための前記塗布装置を持たない点と、有効面積200mm角の金型を用いた点が実施例1の装置と異なる。また、下金型12には、下記の微細な凹凸部121が設けられている。
上金型11と下金型12を開放した状態で、金型内部に大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置を進入させ、実施例1と同じ照射処理条件で上金型12に対し、プラズマ放電照射処理を行った。照射処理時間は30秒とした。
続いて、厚さ0.5mmのアクリル樹脂基板を、縦、横、深さ、凹凸部の間隔がいずれも50μmである微細な凹凸部121を設けた下金型12上に設置し、上金型11と下金型12を閉鎖し、圧力を1MPa加えた状態で金型温度を110℃まで上昇させた後、10MPaの圧力を加えて微細な凹凸部121の形状を樹脂基板に転写させ、上金型11と下金型12の温度を70℃まで冷却した。
この後、上金型11と下金型12とを微細な凹凸部121に対して垂直に開放し、上金型11に樹脂成形体51を付着させたまま、樹脂成形体51を微細な凹凸部121から離型した。
上金型11に付着した樹脂成形体51は、上金型11を50℃まで冷却し、付着力を低減させた後、図7に示すように非接触搬送体を樹脂成形体に近づけることで、上金型11から容易に離型することができた。
得られた樹脂成形体51は微細な凹凸部121の形状が忠実に転写されており、微細な凹凸部121の形状の崩れやバリなどの不良は認められなかった。
一方プラズマ照射を行わない場合、金型開放時に樹脂成形体51が下金型12に付着し、樹脂成形体51を離型することができなかった。
本発明の製造方法および製造装置により得られた樹脂成形体は、(a)マイクロレンズアレイ、液晶用導光板、フレキシブルディスプレイ基板、波長板、反射板、位相差板、自由曲面ミラー、LED発光パネル、フレネルレンズなどの電子ディスプレイ分野の基幹部品、(b)フレキシブルポリマー製光導波路、自由曲面回折格子、二次元イメージセンサアレイ、ピックアップレンズ、ホログラム、フレキシブル導波路型照明板などの光情報通信分野の基幹部品、(c)次世代DVD(ブルーレイディスク)、ブルーレイディスクのカバー層、DVD、CD、超薄肉ICカードなどの光記録媒体分野の基幹部品、(d)集積化学チップ、DNAチップ、バイオチップ、プロテインチップ、マイクロ流体デバイス、環境分析チップなどライフサイエンス分野の基幹部品、(e)燃料電池セパレータ、携帯電話超薄肉バッテリーケース、太陽光集光フレネルレンズなど新エネルギー分野の基幹部品などに好適に用いられる。
本発明は、とくに上記製品の中でも、微細な凹凸部を形成するなどして、離型が極端に難しい成形品、特に微細凹凸のアスペクト比(深さ/幅)が大きい樹脂成形体や微細な凹凸部を有する大面積の樹脂成形体、製品の外観上および機能上の制約により機械式イジェクタ、離型剤、真空吸着等が利用できない製品などに有効である。
10 処理手段
11 上金型
111 鏡面
12 下金型
121 微細な凹凸部
13 加力発生器
15 加熱ヒータ
16 冷却管
21 樹脂層
23 塗布装置
51 樹脂成形体
Claims (23)
- 二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含む樹脂成形体の製造方法であって、
前記金型が、第一型および第二型より構成される金型であり、少なくとも前記第二型の樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部であり、前記第一型の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ前記樹脂との付着性を高める処理を行い、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放することで、選択的に前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型することを特徴とする樹脂成形体の製造方法。 - 前記付着性を高める処理が、放電照射処理であることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記放電照射処理が、プラズマ放電照射処理であることを特徴とする請求項2に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記プラズマ放電照射処理が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射装置による処理であることを特徴とする請求項3に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記プラズマ放電照射処理が、コロナ放電照射処理であることを特徴とする請求項3または4に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記付着性を高める処理が光オゾン法処理であり、酸素存在条件下で金型に光を照射し、生成したオゾンで処理することを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプによる処理であることを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記プラズマ放電照射処理が、プラズマ放電照射装置を金型内に挿入し、プラズマ放電照射処理を行うことを特徴とする請求項3〜5のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記光オゾン法処理が、低圧水銀ランプもしくはキセノンエキシマランプを金型内に挿入し、光オゾン法処理を行うことを特徴とする請求項6に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記第二型の微細な凹凸部が、微細な凹凸部を有するスタンパを金型に装着することで前記第二型上に形成されることを特徴とする請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま前記金型を開放し、前記第二型の微細な凹凸部を有する金型面から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記金型を微細な凹凸部を有する金型面に対して垂直に開放することを特徴とする請求項1または10に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記第一型に熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を施す工程と、
前記第一型と前記第二型の間に前記熱可塑性樹脂を装填する工程と、
前記第一型と前記第二型とを閉鎖し、前記第一型と前記第二型との間に装填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程と、
前記処理により、前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記第一型あるいは前記第二型を前記微細な凹凸部に対して垂直に開放することで、前記樹脂成形体を前記第二型の微細な凹凸部から選択的に離型する工程とを有することを特徴とする請求項1、10または11に記載の樹脂成形体の製造方法。 - 前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、前記第二型の微細な凹凸部上に溶融した熱可塑性樹脂を、吐出手段を移動させながら塗布する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記金型が圧縮成形装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、溶融状態もしくは半溶融状態の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。 - 前記金型がホットエンボス装置もしくはナノインプリント装置に使用される金型であり、
前記第一型と前記第二型の間に熱可塑性樹脂を装填する工程が、フィルム状もしくは板状の熱可塑性樹脂を前記金型内に設置する工程であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。 - 前記金型が射出成形に使用される金型であり、
前記金型に熱可塑性樹脂を装填する工程および前記熱可塑性樹脂に前記金型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程が、
(1)完全に閉鎖した状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
前記第一型と前記第二型との間に射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
または、
(2)わずかに開いた略閉鎖状態の金型内に溶融した熱可塑性樹脂を射出充填する工程と、
略閉鎖状態の前記第一型と前記第二型とを完全に閉鎖することにより射出充填された熱可塑性樹脂に圧力を加えるとともに、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に前記第二型の微細な凹凸部の形状を転写し、樹脂成形体を成形する工程
であることを特徴とする請求項12に記載の樹脂成形体の製造方法。 - 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない前記第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型した後、前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程を有することを特徴とする請求項1〜16のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、前記第一型を冷却することを特徴とする請求項17に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記樹脂との付着性を高める処理を行った前記第一型から前記樹脂成形体を離型する工程において、非接触搬送体を使用して樹脂成形体を離型し、前記金型の外部に搬送することを特徴とする請求項17または18に記載の樹脂成形体の製造方法。
- 前記金型は温度調節機能を有し、金型形状を転写する際および金型から樹脂成形体を離型する際に、前記金型の加熱および冷却が各々行われることを特徴とする請求項1〜19のいずれかに記載の樹脂成形体の製造方法。
- 下記の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、対向して配置される一組の第一型および第二型から構成される金型と、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂の加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、前記付着性を高める処理を行っていない第二型から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置。
前記樹脂成形体の製造方法:二つ以上の部分を組み合せることにより構成される金型を用いて樹脂成形体を製造する方法において、少なくとも一つの金型部分の樹脂接触面の一部または全体にあらかじめ樹脂との付着性を高める処理を行い、当該処理を行った金型面に樹脂成形体を付着させたまま金型を開放することで、当該処理を行っていない金型面から前記樹脂成形体を選択的に離型する工程を含むことを特徴とする樹脂成形体の製造方法。 - 請求項1に記載の樹脂成形体の製造方法を実施するための樹脂成形体の製造装置であって、
前記樹脂成形体の製造装置は、樹脂接触面の一部もしくは全体が微細な凹凸部である第二型と、対向して配置される第一型から構成される金型とを備え、
前記一組の金型部分の少なくとも樹脂接触面の温度を調節する温度調節手段と、
前記第一型と前記第二型の開放・閉鎖および前記第一型と前記第二型との間の熱可塑性樹脂を加圧を行なう駆動手段と、
熱可塑性樹脂に対する金型の付着力を高める処理を行う手段とを有し、
前記付着性を高める処理を行う手段によって前記第一型の樹脂接触面の一部もしくは全体に前記熱可塑性樹脂との付着性を高める処理を行い、
前記第一型と前記第二型の内部もしくは前記第一型と前記第二型との間に前記熱可塑性樹脂を装填し、前記温度調節手段および駆動手段によって閉鎖状態の前記第一型および前記第二型間間に圧力を加え、圧力もしくは圧力と温度を調整しながら、前記熱可塑性樹脂に金型形状を転写して樹脂成形体を成形し、続いて、前記付着性を高める処理を行った前記第一型に前記樹脂成形体を付着させたまま、前記処理を行っていない前記第二型の微細な凹凸部から前記樹脂成形体を選択的に離型し、その後、前記樹脂成形体の付着した第一型を冷却し、前記第一型から前記樹脂成形体を離型するように構成したことを特徴とする樹脂成形体の製造装置。 - 前記熱可塑性樹脂に対する金型の付着性を高める処理を行う手段が、大気圧条件下で使用可能なプラズマ放電照射処理装置、大気圧条件下で使用可能なコロナ放電照射処理装置、低圧水銀ランプ、キセノンエキシマランプのいずれかであることを特徴とする請求項21または22に記載の樹脂成形体の製造装置。
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