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JP4328922B2 - 位相シフト型フォトマスク - Google Patents

位相シフト型フォトマスク Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LSI、VLSI等の高密度集積回路や磁気ヘッド等の微細加工に用いられる位相シフト型のフォトマスクに関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】
LSI、VLSI等の半導体集積回路素子の製造には、フォトマスクを使ったフォトリソグラフィー技術が用いられている。これらは、石英ガラス等の透明な基板の上に遮光膜として一般的にはクロム膜を形成すると共に、クロム膜の表面には光の反射を防止するために酸化クロム膜を形成したフォトマスクブランクスを用いて、このブランクスの遮光膜に所定パターンを形成したものをフォトマスクとして用いている。
【0003】
半導体集積回路素子の集積度が上がるにつれて加工寸法が微細化し、露光時に光の回折効果によって遮光部が狭まったり、近接パターン間での干渉効果のために遮光部パターン形状が歪んだり、微細な形状を加工できなくなるという問題がある。そこで、これを解決するために、入射光のコヒーレント性を利用した位相シフター膜を用いたフォトマスクが提案された(特開昭58−173744号、特公昭62−59296号、特開平7−110572号公報)。位相シフターにはいくつかの方式があり、透過式マスクにおいては遮光部に若干の光透過性をもたせ、遮光膜内を通過する光と遮光膜を通過しない光との位相差をπとすることで遮光部の端部での光の減衰の仕方を大きくしたハーフトーン型(特開平4−136854号公報)、隣り合う一対の光透過部の片側に位相シフターを形成するレベンソン型(特公昭62−59296号公報)等が開示されている。
【0004】
また、反射式マスクの例として、特許第2889047号公報のように反射層を2層以上設け、違った高さからの反射による位相差を利用する方法も提案されている。
【0005】
しかし、これら位相シフト型マスクは、膜厚、膜質に厳しい均一性が要求され、位相差を厳密に制御しなければいけないという製造上の難しさがある。例えば、位相シフター膜の製造には、一般的には反応性スパッター法が用いられているが、位相シフターとして開示されている(特開平7−140635号公報)Mo−Si−O−Nを反応性スパッターで成膜しようとすると、面内の光学膜厚が不均一になりやすく、位相シフターとして要求される均一性を満たすのが難しいという問題がある。
【0006】
また、膜の光学定数も限定されてしまい、薄い膜厚で用いることのできる高屈折率の膜であっても屈折率から膜厚は一義的に決まってしまい、透過率の観点から吸収係数が決まり、位相シフターとして用いることができる膜が限定されてしまうという問題がある。
【0007】
更に、位相シフターを用いたフォトマスクでは、特開平6−308713号公報に記載があるように、位相シフターが単層膜では、入射光の波長をλ、膜の屈折率をnとすると、膜厚dは次の式を満たす必要があることが知られ、位相シフター内で光は多重反射せずに透過していることがわかる。
(n−1)d=λ/2
【0008】
このため、位相シフター膜は、屈折率が決まると決まってしまい、薄くできず、生産性の向上がはかれないだけでなく、マスクのそりの原因となったり、膜が剥離しやすくなるという問題がある。
【0009】
本発明は、上記事情に鑑みなされたもので、位相シフター膜の膜厚を薄くすることができ、位相差の変動を小さくすることができる位相シフト型フォトマスクを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段及び発明の実施の形態】
本発明者は、上記目的を達成するため鋭意検討を行った結果、位相シフター膜を多重反射させることにより、膜厚の変動に対して位相変動を小さくすることができ、膜に要求される光学的な制約を少なくし得ることを知見し、本発明をなすに至った。
【0011】
従って、本発明は、下記の位相シフト型フォトマスクを提供する。
請求項1:
露光光が透過する基板上に第2光透過部の位相シフターと、第2光透過部の間に第1光透過部とを形成してなる位相シフト型フォトマスクであって、位相シフターを少なくとも反射膜と透明膜とを有する2層以上の膜で形成し、露光光が上記位相シフターの内部において多重反射することを特徴とする位相シフト型フォトマスク。
請求項2:
透明膜が、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)、リチウムタンタレート、SiO 2 、SiN、SiON又はSiCである請求項1記載のフォトマスク。
請求項3:
反射膜が、金属膜である請求項1又は2記載のフォトマスク。
請求項4:
反射膜が、金、銅又はクロムである請求項1又は2記載のフォトマスク。
請求項5:
位相シフターが、透明膜を金属膜で挟み込んだ構造である請求項1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスク。
請求項6:
露光光が上記位相シフターの透明膜の内部において多重反射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフォトマスク。
請求項7:
位相シフターの厚さが、位相差が180度となるように、かつ位相シフターを上記透明膜のみで形成して位相を180度シフトさせる場合の透明膜の厚さより薄く形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のフォトマスク。
【0012】
本発明のフォトマスクにかかる位相シフターは、光の多重反射を利用して位相差が180度のところに停留点を設けるようにするもので、位相シフター内で多重反射させる構造とすることで、以下のような効果がある。
(1)位相差πとなる膜厚のところで、位相差の膜厚(光学膜厚)依存性を小さくすることができ、更には膜厚に殆どよらないようにすることができる。このため、膜厚、膜質がばらついても位相差の変動を小さくでき、成膜が容易になる。
(2)入射光を透過する膜であれば利用することができる。従って、吸収係数が小さすぎる膜も利用できるようになり、光学的な性質以外の膜応力等で膜を選ぶことができるようになる。
(3)膜内で光が多重反射するため、膜厚を薄くすることができる。
【0013】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。
本発明の位相シフトマスクは、図1に示したように、石英、CaF2等の露光光が透過する基板1上に、シフター膜2をパターン形成してなるものであり、シフター膜間が第1光透過部1a、シフター膜が第2光透過部2aとなるものであるが、本発明は、この第2光透過部2aのシフター内で多重反射することを特徴とするものである。
【0014】
ここで、多重反射構造とするためには、位相シフターの透明膜は入射波長に対する膜の吸収係数が小さい方がよい。位相シフターを単層膜で形成する時は屈折率が大きい方がよい。より多重反射の効果を出すために2層以上の膜から構成した方がよく、2層の膜の光学定数が大きく異なると、効果はより大きくなる。更に、多重反射の効果を出すために3層以上としてもよい。
【0015】
この場合、多層膜を用いるときは、少なくとも反射膜と透明膜からなるようにするのがよく、例えば、透明膜を金属膜で挟み込む構造とすると効果は大きくなる。
【0016】
図1はこれを示したもので、図1に示す位相シフター2は、反射膜21,22間に透明膜23を形成したものである。
【0017】
この場合、透明膜は、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)、リチウムタンタレート、SiO2、SiN、SiON、SiC等が好ましく、また、反射膜としては、金、銅、クロム等の金属膜等が挙げられる。
【0018】
膜厚については特に制約はなく、目的とする透過率、位相値、反射率を満たすように膜厚を選ぶが、薄い方が好ましく、300nm以下、更には200nm以下とすることが好ましい。
【0019】
なお、位相シフトマスクの方式としては特に制約はなく、ハーフトーン型、レベンソン型等に用いられる。また、シフターの成膜方法としては特に制約はなく、CVD、スパッター法等でよい。
【0020】
本フォトマスクに用いる入射光の波長には特に制限はなく、水銀灯のg線、i線等にも用いることができるが、微細加工を行う上では短い方がよく、KrFエキシマレーザーの248nmかそれ以下が望ましく、更にはArFエキシマレーザーの193nmかそれ以下が望ましい。
【0021】
加工としては、半導体集積回路だけでなく、ハードディスク用のヘッドの加工、マイクロマシンの加工にも適用することが可能である。
【0022】
【実施例】
以下、実施例及び比較例を示し、本発明を具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に制限されるものではない。
【0023】
〔実施例1〕
石英基板の上に反射膜としてクロム膜を20nm形成した後に、透明膜として酸化珪素を成膜し、続けてクロム膜を15nm形成した時の位相差を酸化珪素の膜厚を変えてArFの波長で計算したところ、図2に示すようになった。これより酸化珪素の膜厚が90nm近傍で位相差はπ(180度)となり、この膜厚では膜厚が変動してもほとんど位相差が変化しないことがわかった。すべての膜厚の和は145nmでπ(180度)となり、比較例の単層膜の時よりも40%も膜厚を薄くすることができる。
【0024】
〔実施例2〕
石英基板の上にGGGを30nm、反射膜としてクロム膜を15nm形成した後に、透明膜として酸化珪素を成膜し、続けてクロム膜を15nm形成した時の位相差を酸化珪素の膜厚を変えてArFの波長で計算したところ、図3に示すようになった。これより酸化珪素の膜厚が90nm近傍で位相差はπ(180度)となり、この膜厚では膜厚が変動してもほとんど位相差が変化しないことがわかった。すべての膜厚の和は145nmでπ(180度)となり、比較例の単層膜の時よりも40%も膜厚を薄くすることができる。
【0025】
〔比較例〕
酸化珪素のみで位相シフター膜を形成した時の計算結果は図4のようになり、膜厚と共に位相が変化することがわかる。位相差がπとなる膜厚は240nmとなる。
【0026】
【発明の効果】
本発明によれば、シフター膜を薄くすることができ、また膜厚の変動に対して位相変動を小さくすることができると共に、膜に要求される光学的な制約を少なくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例にかかる位相シフトマスクの断面図である。
【図2】実施例1における酸化珪素膜厚と位相差の関係を示すグラフである。
【図3】実施例2における酸化珪素膜厚と位相差の関係を示すグラフである。
【図4】比較例における酸化珪素膜厚と位相差の関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 基板
2 位相シフター
1a 第1光透過部
2a 第2光透過部
21,22 反射膜
23 透明膜

Claims (7)

  1. 露光光が透過する基板上に第2光透過部の位相シフターと、第2光透過部の間に第1光透過部とを形成してなる位相シフト型フォトマスクであって、位相シフターを少なくとも反射膜と透明膜とを有する2層以上の膜で形成し、露光光が上記位相シフターの内部において多重反射することを特徴とする位相シフト型フォトマスク。
  2. 透明膜が、ガドリニウム・ガリウム・ガーネット(GGG)、リチウムタンタレート、SiO 2 、SiN、SiON又はSiCである請求項1記載のフォトマスク。
  3. 反射膜が、金属膜である請求項1又は2記載のフォトマスク。
  4. 反射膜が、金、銅又はクロムである請求項1又は2記載のフォトマスク。
  5. 位相シフターが、透明膜を金属膜で挟み込んだ構造である請求項1乃至4のいずれか1項記載のフォトマスク。
  6. 露光光が上記位相シフターの透明膜の内部において多重反射することを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項記載のフォトマスク。
  7. 位相シフターの厚さが、位相差が180度となるように、かつ位相シフターを上記透明膜のみで形成して位相を180度シフトさせる場合の透明膜の厚さより薄く形成されていることを特徴とする請求項1乃至6のいずれか1項記載のフォトマスク。
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