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JP4327325B2 - 熱電併給プラントの最適運転制御システム - Google Patents

熱電併給プラントの最適運転制御システム Download PDF

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JP4327325B2
JP4327325B2 JP2000087298A JP2000087298A JP4327325B2 JP 4327325 B2 JP4327325 B2 JP 4327325B2 JP 2000087298 A JP2000087298 A JP 2000087298A JP 2000087298 A JP2000087298 A JP 2000087298A JP 4327325 B2 JP4327325 B2 JP 4327325B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、冷温熱および電力を供給するエネルギープラントにおいて、効率の良い運転を支援・制御するための熱電併給プラントの最適運転制御システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来の電力供給プラントでは、電力需要を満たすことおよび発電効率向上を第一義とする運転が行われており、熱は廃棄されていたか殆ど考慮されていなかった。しかし、昨今では電力供給プラントが電力供給と同時に熱供給も行うことが考えられ、電力のみならず熱のエネルギー効率をも同時に向上させることが望まれている。熱電併給プラントは、需要に応じて電力供給と熱供給を同時に行う設備である。
【0003】
図13は従来の熱電併給プラント最適運転制御システムを示す構成説明図である。すなわち、冷温熱および電力を供給するエネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データに基づいて、エネルギープラント11の過去の熱負荷データが熱負荷データ記憶手段13に記憶される。熱負荷予測手段16では前記熱負荷データ記憶手段13に記憶されている過去の熱負荷データ、およびヒューマン・インターフェイス14から気象データ入力部15を介して入力された気象データに基づいて当日または翌日のプラント熱負荷が予測される。プラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶されているプラント構成機器の入出力性能を表す値(以下、特性係数とする)、および前記熱負荷予測手段16によって予測されたプラント熱負荷予測値は最適運転計画手段18に入力される。最適運転計画手段18は、これらの入力情報に基づき最適化手法によってプラントの運転台数制御および各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出し、前記プラント制御データをプラント制御データ出力部19を介してエネルギープラント11に送出する。前記エネルギープラント11は最適運転計画手段18から送られてきたプラント制御データにしたがってプラントの運転台数制御および負荷制御を行う。なお、プラント構成機器の特性係数はヒューマン・インターフェイス14から入力される。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来の熱電併給プラント最適運転制御システムでは以下の問題点・要求があった。
【0005】
すなわち、熱電併給プラントでは、需要家側の電力需要や熱需要に合わせるように発電した時の熱出力側の適正配分が難しいためエネルギーの有効利用が困難となる場合があるとともに、プラント流入商用電力量(以下、買電量とする)、およびプラント流出電力量の一定範囲内制御手段が望まれていた。
【0006】
また、運転計画システムが有する負荷予測機能において、高精度かつ安価な気象予測情報取得手段が望まれていた。さらに、従来、コージェネレーションシステム(CGS)の運用計画時に、吸気温度によるCGSの能力変動は無視されるか、または外気温度を代用したCGSの能力補正が行われているため吸気温度によるCGSの能力変動を適切に運転計画に反映することができないという問題点があった。
【0007】
他方、従来の熱電併給プラント最適運転制御システムでは、負荷変動等に起因してプラント流出入電力量が一定とならないため、専用コントローラ等により、受電状態を監視しながら構内発電機の出力を制御することでプラント流出入電力量を所望の範囲に制御していた。このため、そのエネルギー効率は理想状態より低下し、また経済性も低下せざるを得なかった。ここで、構内発電機とは、プラント構内での消費電力を自家発電により補い、経済性を向上させることを目的として設置され運転される発電機、あるいは需要家に電力供給することを主目的とする発電機を指す。
【0008】
このような構内発電機の効率低下を回避する手段としては、比較的小容量の調整用発電機を設けることが有効である。つまり、瞬時負荷変動に対して調整用発電機のみが出力を増減させることで、構内発電機の効率低下を防ぎつつプラント流出入電力制御を行うことが可能となる。しかしながら、従来の熱電併給プラント最適運転制御システムに、調整用発電機制御を行う手段を有するものはなかった。
【0009】
本発明は上記の事情に鑑みてなされたもので、プラントの余り蒸気を抑制し、かつ、プラント流出入電力量を制御するとともに、吸気温度予測に基づいてプラント構成機器の能力を補正して用いることにより、高精度な運転計画に従ったプラント運転制御が行える熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することを目的とする。また、プラント構成機器の特性係数の変化率を監視し、この変化率が許容値を逸脱する場合に使用者へ通知して特性係数更新の許否を問い合わせる手段を設けることにより、信頼性の高い運転計画を出力する熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することを目的とする。されに、運転計画に従ったプラント運転制御が現実の負荷変動に対しても十分対応できるよう、バッファ(緩衝)的役割を果たす調整用発電機の制御出力を演算する手段を設けることにより、高効率なプラント運転制御を可能とする熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の熱電併給プラントの最適運転制御システムは、冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラントで廃棄する蒸気の単位時間当たりの廃棄量の上限値を定め、かつ、プラントから供給される電力量及びプラントで消費される電力量を設定値範囲内にするとともに、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最大または最小となるように、プラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、前記気象データに基づいて前記プラント構成機器への吸気温度を予測する吸気温度予測手段を設け、前記吸気温度予測手段により予測された吸気温度に基づいて、プラント構成機器の能力である発電・蒸気製造性能を、吸気温度とプラント構成機器の能力変動の相関関係を表した表を用いて補正する最適運転計画手段とを具備することを特徴とするものである。
【0011】
また本発明の熱電併給プラントの最適運転制御システムは、冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、前記エネルギープラントから入力されたプラント運転データを記憶するプラント運転データ記憶手段と、前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データに基づいて前記プラント構成機器特性係数記憶手段に記憶されたプラント構成機器の特性係数の更新要否を所定の周期で演算処理するとともに、所定の更新条件を満たす場合に特性係数を更新するプラント構成機器特性係数更新手段と、前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラントで廃棄する蒸気の単位時間当たりの廃棄量の上限値を定め、かつ、プラントから供給される電力量及びプラントで消費される電力量を設定値範囲内にするとともに、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最大または最小となるように、プラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、前記気象データに基づいて前記プラント構成機器への吸気温度を予測する吸気温度予測手段を設け、前記吸気温度予測手段により予測された吸気温度に基づいて、プラント構成機器の能力である発電・蒸気製造性能を、吸気温度とプラント構成機器の能力変動の相関関係を表した表を用いて補正する最適運転計画手段とを具備することを特徴とするものである。
【0013】
また本発明は、前記熱電併給プラントの最適運転制御システムにおいて、前記気象データをインターネットの通信インターフェイスから取得することを特徴とするものである。
【0014】
また本発明は、前記熱電併給プラントの最適運転制御システムにおいて、前記プラント構成機器特性係数更新手段による更新前後のプラント構成機器の特性係数を用いて特性の変化率を監視し、変化率が設定値以上の場合は使用者へ通知する特性変化報知手段を設けたことを特徴とするものである。
【0016】
また本発明は、前記熱電併給プラントの最適運転制御システムにおいて、前記冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データ中の有効電力および無効電力に基づいて、調整用発電機の制御出力を演算して前記エネルギープラントに送出する調整用発電機出力演算手段を設けたことを特徴とするものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下図面を参照して本発明の実施の形態例を詳細に説明する。
【0018】
図1は本発明の一実施形態例を示す構成説明図である。すなわち、冷温熱および電力を供給するエネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データに基づいて、エネルギープラント11の過去の電力・熱負荷データが電力・熱負荷データ記憶手段21に記憶される。電力・熱負荷予測手段23では、前記電力・熱負荷データ記憶手段21に記憶されている過去の電力・熱負荷データ、および気象データ入力部22を介して入力された気象データに基づいて当日または翌日のプラント電力・熱負荷が予測され、最適運転計画手段26に出力される。前記エネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データはプラント運転データ記憶手段24に記憶され、前記プラント運転データ記憶手段24から読み出されたプラント運転データはプラント構成機器特性係数更新手段25に入力される。前記プラント構成機器特性係数更新手段25はプラント運転データ中の各プラント構成機器に関する直近のデータを統計的回帰手法を適用して定期的に解析し、その結果をもとに前記プラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶されたプラント構成機器特性係数の作成および更新要否の演算処理を行う。前記演算処理において、更新が自動的に行われるように設定されていれば、更新されたプラント構成機器特性係数はそのままプラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶され、更新条件があらかじめ規定されていれば、更新条件を満足する場合に限り、更新されたプラント構成機器特性係数はプラント構成機器特性係数記憶手段17に記憶される。なお、プラント構成機器の特性係数はヒューマン・インターフェイス14から入力するようにしても良い。プラント構成機器特性係数記憶手段17から読み出されたプラント構成機器特性係数は最適運転計画手段26に出力される。また、吸気温度予測手段27では前記気象データ入力部22を介して入力された気象データに基づいてプラント構成機器への吸気温度が予測され、最適運転計画手段26に出力される。前記最適運転計画手段26はプラント構成機器特性係数記憶手段17から入力されたプラント構成機器特性係数、前記電力・熱負荷予測手段23によって予測されたプラント電力・熱負荷予測値、および前記吸気温度予測手段27によって予測されたプラント構成機器への吸気温度に基いて、プラント構成機器の能力を補正するとともに、以下の処理を行う。すなわち、プラントの余り蒸気量を抑制し、かつ、プラント流出入電力量を一定範囲内に制御する。この最適運転計画手段26に実装された数理計画法等の最適化手法によってプラント運転コストが最も安価になるようにプラントの運転台数制御および各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出し、前記プラント制御データをプラント制御データ出力部19を介してエネルギープラント11に送出する。前記エネルギープラント11は最適運転計画手段26から送られてきたプラント制御データにしたがってプラントの運転台数制御および負荷制御を行う。
【0019】
また、調整用発電機の制御を実施する場合は、エネルギープラント11からプラント運転データ入力部12を介して入力されたプラント運転データ中の有効電力値と無効電力値を調整用発電機出力演算手段30に入力し、ここで、調整用発電機の制御出力を演算し、その演算結果をプラント制御データ出力部19を介してエネルギープラント11に送出する。なお、最適運転計画手段26で使用する最適化評価基準として前述のプラント運転コスト以外に、例えば、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量を設定しても良く、また、複数の評価基準を組み合わせて多目的最適化を行うようにしても良い。
【0020】
図2は本発明の他の実施形態例を示す構成説明図である。図中、同一部分は同一符号を付してその説明を省略する。すなわち、気象データ入力部22をインターネット等の通信インターフェイス28に接続し、インターネット等の通信インターフェイス28から詳細で最新の気象データを取得する。また、プラント構成機器特性係数更新手段25とヒューマン・インターフェイス14との間に特性変化報知手段29を設け、更新前後のプラント構成機器特性係数(傾き・切片)を用いて性能特性の変化率を監視し、この変化率が設定値以上または設定値以下となって許容値を逸脱する場合は使用者へ通知し、使用者が更新を許可した後に更新後のプラント構成機器特性係数を運転計画に用いる。使用者が更新を許可しない場合は、更新前のプラント構成機器特性係数を継続して運転計画に用いる。
【0021】
図3は本発明の最適運転制御システムとエネルギープラントと需要家の関係を示す説明図である。すなわち、エネルギープラント11から最適運転制御システム31に計測信号としてプラント運転データが入力され、最適運転制御システム31からエネルギープラント11に制御指示としてプラント制御データが入力される。エネルギープラント11は電力、ガス、重油、上下水等を消費することによって、需要家が必要とする電力や熱を供給するエネルギーである。エネルギープラント11はコージェネレーションシステム(CGS)32、ボイラ33、冷凍機34、熱交換器35や搬送機器、補機、配管系等よりなり、最適運転制御システム31から発停・発電量の指示を受けたコージェネレーションシステム(CGS)32から発電した電力は需要家に電力として電力供給され、コージェネレーションシステム(CGS)32から発生した温水及び蒸気は最適運転制御システム31から発停・製造熱量の指示を受けた冷凍機34に供給され、冷凍機34はこれを駆動源として需要家に冷熱供給を行う。また、最適運転制御システム31から発停・製造熱量の指示を受けたボイラ33から発生した蒸気または温水は熱交換器35を介して需要家に蒸気または温水として供給されるとともに、その一部は冷凍機34の駆動源として利用される。コージェネレーションシステム(CGS)32やボイラ33から発生した蒸気及び温水のうち、需要家への供給エネルギーとして利用されなかったものはそれぞれ余り蒸気および余り温水として廃棄または蓄熱されることになる。
【0022】
次に、需要家の電力需要のみならず熱需要まで考慮し、CGS32からの回収熱の最有効利用を行う手段について説明する。
【0023】
本発明では、以下の目的関数と制約式を運転方針として記述し、これらの条件を同時に満たす運転計画を立案する。これにより、電力供給量と冷熱・温熱供給量を同時に満たすようにプラント構成機器を運転させるとともに、そのエネルギーコストを最小化することができる。
【0024】
目的関数:最小化(Σプラントエネルギー消費量(ガス・重油・買電・上水など)×各エネルギー単価)
制約式1):買電量+CGS発電量=需要側電力供給量+プラント場内電力消費量(ターボ冷凍機動力・他補機動力など)
制約式2):CGS製造蒸気量+ボイラ製造蒸気量=需要側供給蒸気量+場内消費蒸気量+場内余り蒸気量
制約式3):場内余り蒸気量<単位時間当たり廃棄量の上限値
実際の運転では、電力を余らせることはできないが、若干の蒸気・温水を余らせる(使用せず廃棄する)ことは可能であり、余り蒸気量の項を制約式に設け、時間当たりに廃棄可能な上限値を定め、さらに、目的関数の中で余り蒸気量を製造するために使われるガス消費量・電力消費量・上水消費量(ボイラ補給水量)等にエネルギー単価を乗じることにより、熱廃棄を認めつつ、熱廃棄費用を含めたエネルギーコストを最小化することが可能となる。これにより、電力需要のみならず熱需要まで考慮した、高効率の運転計画が可能となる。
【0025】
図4は本発明に係る買電量を設定値範囲内に抑制するための説明図である。すなわち、本発明の最適運転制御システム31から、コージェネレーションシステム(CGS)32、ボイラ33、冷凍機34、熱交換器35や搬送機器、補機、配管系等よりなるエネルギープラント11の各機器への発停・出力量指示が行われ、エネルギープラント11から需要家に電力供給、冷熱供給、温熱供給が行われる。この場合、エネルギープラント11で消費される商用電力、ガス、油類、水等のエネルギーコストの合計を最小化し、且つ買電量を設定値以下に抑制する。また、必要に応じてエネルギープラント11から排出されるCOなどの環境負荷排出量を最小化することができる。
【0026】
一般に、電力会社との契約上、一定量以上の電力を常に消費することや、ある上限値を越えないことなど、プラントの運転に際しては買電量を一定範囲内に抑える制御が望まれるが、従来は買電量の超過・不足を人が常時監視しており、自動化が困難であった。これは電力需要の推移を予測できず、なおかつ事前にその対処策を考慮しきれていないことに大きく起因する。
【0027】
前出の問題点は、例えば買電量の超過が予想されるならば、その時刻の直前にあらかじめ発電機を起動しておき、大きな電力を消費する機器を停止させ低電力消費の代替機を起動することで対処可能である。この為には電力負荷量の推移予測に基づき、プラント構成機器を制御することが必要である。
【0028】
本発明システムでは、以下の制約式を運転方針として記述し、これらを守る運転計画を立案する。
【0029】
1)買電量>契約最小買電量
2)買電量<契約デマンド最大量
3)需要家への電力供給量(予測電力負荷量)
=CGS発電量合計+買電量−プラント内消費電力量
この買電量およびその値を実現する為の各機器への状態指定値を、時間経過毎に、指示値として与えることで、計画的に買電量を一定範囲内に納めることが可能となる。なお、ここでは買電量を設定値範囲内に抑制することについて述べたが、買電量のみならず、プラント流出電力量に対しても同様の考え方を適用することができる。
【0030】
次に、COなど環境負荷排出量の最小化手段について説明する。
【0031】
すなわち、前出の目的関数に、次の項を加えることにより、COなどの排出量を最小化する計画立案が可能である。
【0032】
目的関数:最小化(重み係数W1*Σプラントエネルギー消費量+重み係数W2*Σ環境負荷排出量)
環境負荷排出量=各エネルギー消費量×各環境負荷排出原単位
但し、「エネルギーコスト最小化」と「環境負荷排出量最小化」を同時に考慮しようとすると、相反する運転方針になることが多い。このため、予め「重み係数」を設け、両者の間でその項に対する“重要視の度合い”を入力しておく。重み係数の合計は1.0となるように設定する。
【0033】
図5は本発明に係る特性係数の変化に関して使用者に報知する機能を説明する図である。
【0034】
プラント構成機器の特性係数の更新は、プラント運転制御の全体計画の傾向に大きな変化を生じかねず、特に慎重に行われるべきである。また機器調整時・故障時などの非定常的なデータを、機器本来の特性を表すべき特性係数の作成に利用しないことも必要である。
【0035】
本発明では、
1)一定時間毎に機器特性係数を再作成する。特性係数の作成過程を経た後に、前回の特性係数と比較する。変化率の判定指標には例として次のような判別式がある(この判別式を満たすならば、全体計画への影響は軽微と考え、許可を得る段階をスキップして特性を自動更新する)。
【0036】
判別式:いずれか大きい方(第1の変化率、第2の変化率)<許可率
但し 第1の変化率:|(a1−a2)/a1|
第2の変化率:|(b1−b2)/b1|
更新前の制約式:Y=a1X+b1
更新後の制約式:Y=a2X+b2
とする。
【0037】
なお、許可率は0.1(=10%)などの値を、機器別にあらかじめ設定しておく。特性が変化している場合、判別式の値が設定されている許可率以上かどうか判定し、設定許可率以下の場合は使用者に通知せず特性係数を自動的に更新する。
【0038】
2)あらかじめ設定した許可率以上の変化があった場合には、使用者に対し該当する特性係数を更新してよいかの、許可/不許可を求める。この手段例として、
i)ヒューマン・インターフェイス画面上へのメッセージやマークの表示
ii)印刷物の夜間の自動印刷
iii)ぺージャー、電子メールなどによる通知送付
を通じて、使用者に機器毎に変化を通知することなどが考えられる。
【0039】
3)使用者から更新許可がでた段階で計画機能に反映し、該当機器の特性係数の更新を行う。更新許可がでない場合は作成結果を破棄する。
【0040】
なお、図6に、本発明の機器特性係数の更新処理を示すフロー図を図示する。
【0041】
図7は本発明に係る負荷予測実行・運転計画の立案・制御と予測に必要な諸情報の取得を示す説明図である。すなわち、図7(a)に示すように、インターネット上の天気予報・気象情報提供サイトからインターネット41への提供情報である天気予報・気象情報を自動解析して予測に必要な情報を取出し、本発明の最適運転制御システム31に提供する。前記最適運転制御システム31は天気予報・気象情報に基づいて負荷予測を実行し、運転計画を立案してエネルギープラント11へ制御指示する。
【0042】
一般に、高精度の負荷予測には、予測対象時刻範囲の気温情報・気象情報は必須情報である。従来のシステムでは、システム内に気温センサー値やその他の気象情報センサー値を取り込み、システム内での統計的処理などにより、必要な気象情報を予測していた。そのほか、一般の情報提供業者と契約し、専用機器を設けて情報を取得していた。
【0043】
しかし気象情報は、本来は局地的なセンサー値のみから精度良く予測できるものではなく、気象庁などでの広範囲からの情報を分析して初めて信頼できるものとなる。
【0044】
またそれを満たす情報提供業者のサービスは、一般に費用が高価であると言う欠点があった。
【0045】
本発明システムでは、これらの情報がインターネット上で安価もしくは無料で提供され始めたことを利用する。しかも従来よりも限定した局地的な予測情報も取得可能であり、一層の予測精度向上・安定が望めるという利点がある。
【0046】
図7(b)は提供情報の例であり、提供サイトにおいて、現況および予測情報は、予め決まっているフォーマット中の気温・天気区分欄などの部分を、一定時間毎に書き換えていくことで実現されている。(例中の下線部)これらの提供情報は、HTMLと呼ばれる文字情報であり、字句解析を行うことが可能である。
【0047】
これを利用して、あらかじめ一度だけ該当するページを運用者が手動で読み込み、欲する情報の前後の字句を指定しておく。本発明システムでは負荷予測を行うために一定時間毎に提供サイトへアクセスし、字句解析機能により必要な情報を一定時間毎に自動で取出すことを可能とする。
【0048】
もし提供情報サイトにおける情報提供フォーマットが変化し情報取得ができなくなった場合はこれを検知し、使用者に再設定を促すことが可能である。
【0049】
図8は本発明に係る吸気温度予測処理フロー図である。すなわち、各CGSの運転時の吸気温度データを機器別に蓄積し、一定期間毎に統計的処理により代表吸気温度パターンを作成する。そしてインターネットや使用者を通して気温予測情報を取得し、この気温予測情報に基づいて、代表吸気温度パターンを補正することにより、各時刻の吸気温度予測値を求める。なお、以上の処理は吸気温度予測手段の中で実行され、処理結果は後続のCGS能力補正処理における入力情報として利用される。
【0050】
図9は本発明に係る吸気温度予測にもとづくCGS能力補正処理フロー図である。すなわち、吸気温度とCGS能力(発電・蒸気製造性能)変動の相関関係を表した表(以下、相関表とする)を各CGS毎にあらかじめ作成し、吸気温度予測処理によって得られた対応する時刻の予測吸気温度と前記相関表より、対応する時刻のCGS能力補正値を求める。このCGS能力補正値をCGSの計画用能力値として運転計画を実行し、表示・制御出力を抽出する。ここで、相関表はCGS納入時の機器別資料に明記された代表的な温度条件での発電性能をベースとした、定格能力に対する比率の形の数値データから構成される。したがって、この数値に定格能力を乗じることにより、吸気温度毎のCGS発電出力上限値等が算出できる。なお、以上の処理は最適運転計画手段の中で実行される。
【0051】
図10は本発明の運転計画機能と自動運転制御機能処理フロー図である。すなわち、プラント運転データ・負荷データを計測し、蓄積する。負荷予測・吸気温度予測に必要な情報を取得してCGS計画能力を補正するか、運転計画方針などユーザーからの入力を取得するかして、運転計画を実行し、表示出力する。運転計画実行に基づく計算結果より、制御出力機能へ指示出力して制御出力を抽出する。以上の処理は定期的に実行される。
【0052】
次に調整用発電機制御出力の演算処理について述べる。調整用発電機を用いたプラント流出入電力制御の例として、自家発電用途、および、特定電気事業用途の2用途が考えられる。以下、各々の用途向けに調整用発電機を用いた場合のプラント流出入電力制御の一例を示す。
【0053】
図11は本発明の自家発電用途向けの調整用発電機出力値決定のための演算処理フロー図である。すなわち、プラントと電力系統との接続点における有効電力の値をPとする(Pはプラント構内への流入時には正、プラント構外への流出時には負の値を取る)。プラントと電力系統との接続点における無効電力の値をQとする(Qは電力系統からみて遅れとなる時には正の値を取り、進みとなる場合は負の値を取る)。
【0054】
またプラントが電力会社と契約している受電可能な上限を「契約電力」とよび、受電電力が契約電力を越えないように設ける基準を「余裕度」とする。余裕度は契約電力に対する割合で示され、10%などの値をとる。(余裕度≧0)。さらに電力系統への逆潮無しとして契約されているプラントにおいては、電力系統よりプラントが常に受電しなければならない最低電力を定めている。これを「最低受電電力」とする。また受電点における望ましい力率範囲の下限値を「力率設定値」とする。通常は0.95などの値をとる。
【0055】
まず受電点におけるPの値を監視し、これがP≦契約電力−余裕度を満たさない場合、契約電力を超過している、あるいは契約電力を超過する危険があると判断し、調整用発電機の出力を増加させる(Pを減少させる)。調整用発電機への出力増加指示値=P−(契約電力−余裕度)とする。次にP≧最低受電電力を満たさない場合、電力系統への逆潮が発生する可能性が生じるため、調整用発電機の出力値を減少させる(Pを増加させる)。調整用発電機への出力減少指示値=最低受電電力−Pとする。
【0056】
次に受電点におけるQの値を監視し、Q≧0を充たさない場合、無効電力が進んでいるとみなし、調整用発電機からの無効電力出力を減少させる。調整用発電機への出力減少指示値=|Q|とする。次にPとQの値より、力率に関する判断を行う。P/√(P+Q)≧力率設定値を満たさない場合、現在の力率値が、望ましい力率値よりも低いと判断し、調整用発電機の無効電力出力を増加させる。調整用発電機への無効電力出力増加指示値=Q−√{(P/力率設定値)−P}とする。
【0057】
以上を常に繰り返し、PおよびQを調整用発電機により適正な範囲に制御する。
【0058】
図12は本発明の特定電気事業用途向けの調整用発電機出力値決定のための演算処理フロー図である。すなわち、プラントと電力系統との接続点における有効電力の値をPとする(Pはプラント構内への流入時には正、プラント構外への流出時には負の値を取る)。プラントと電力系統との接続点における無効電力の値をQとする(Qは電力系統からみて遅れとなる時は正の値を取り、進みとなる場合は負の値を取る)。
【0059】
特定電気事業用途の場合、通常は受電電力を±0に制御するよう求められる。ここで、特定電気事業における受電電力=±0は、一定時間毎における電力の積算値(電力量)が0となればよいことを意味する。このため、目標受電電力=±0に対し、若干の余裕を認めることが可能である。実質的に、瞬時における受電電力=±0の制御追従は不可能であるため、この余裕を認めることは問題はない。そこで、次に示す2種の余裕度を設定する。目標受電電力=0に対し受電側(+側)に大きく超過しないために設ける基準を「余裕度1」とする。余裕度1は電力値であらわされ、100kWなどの値をとる(余裕度1≧0)。同様に、目標受電電力が逆潮流側(−側)に大きく超過しないために設ける基準を「余裕度2」とする。余裕度2は電力値であらわされ、−100kWなどの値をとる(余裕度2≦0)。
【0060】
まず受電点におけるPの値を監視し、これがP≦余裕度1を満たさない場合、プラントが大きく受電電力超過状態にあると判断し、調整用発電機の出力を増加させる。調整用発電機への出力増加指示値=|P−余裕度1|とする。
【0061】
次にP≧余裕度2を満たさない場合、プラントから大きく逆潮流している状態にあると判断し、調整用発電機の出力を減少させる。調整用発電機への出力減少指示値=|P−余裕度2|とする。次に受電点におけるQの値を監視し、Q≧0を満たさない場合、無効電力が遅れているとみなし、調整用発電機からの無効電力出力を減少させる。調整用発電機への出力減少指示値=|Q|とする。次にPとQの値より、力率に関する判断を行う。|P|/√(P+Q)≧力率設定値を満たさない場合、現在の力率値が、望ましい力率値よりも低いと判断し、調整用発電機の無効電力出力を増加させる。調整用発電機への無効電力出力増加指示値=Q−√{(P/力率設定値)−P}とする。
【0062】
以上を常に繰り返し、PおよびQを調整用発電機により適正な範囲に制御する。
【0063】
【発明の効果】
以上述べたように本発明によれば、プラントの余り蒸気を制御し、かつ、プラント流出入電力量を一定範囲内に制御するとともに、吸気温度予測に基づいてプラント構成機器の能力を補正して用いることにより、高精度な運転計画に従ったプラント運転制御が行える熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することができる。また、プラント構成機器の特性係数の変化率を監視し、この変化率が許容値を逸脱する場合に使用者へ通知して特性係数更新の許否を問い合わせる手段を設けることにより、信頼性の高い運転計画を出力する熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することができる。さらに、運転計画に従ったプラント運転制御が現実の負荷変動に対しても十分に対応できるよう、バッファ(緩衝)的役割を果たす調整用発電機の制御出力を演算する手段を設けることにより、高効率なプラント運転制御を可能とする熱電併給プラントの最適運転制御システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態例を示す構成説明図である。
【図2】本発明の他の実施形態例を示す構成説明図である。
【図3】本発明の最適運転制御システムとエネルギープラントと需要家の関係を示す説明図である。
【図4】本発明に係る買電量を設定値範囲内に抑制するための説明図である。
【図5】本発明に係る特性係数の変化に関して使用者に報知する機能を説明する図である。
【図6】本発明の機器特性係数の更新処理を示すフロー図である。
【図7】本発明に係る負荷予測実行・運転計画の立案・制御と予測に必要な諸情報の取得を示す説明図である。
【図8】本発明に係る吸気温度予測処理フロー図である。
【図9】本発明に係る吸気温度予測にもとづくCGSの計画能力補正処理フロー図である。
【図10】本発明の運転計画機能と自動運転制御機能処理フロー図である。
【図11】本発明に係る自家発電用途向けの調整用発電機出力値決定のための演算処理フロー図である。
【図12】本発明に係る特定電気事業用途向けの調整用発電機出力値決定のための演算処理フロー図である。
【図13】従来の熱電併給プラント最適運転制御システムを示す構成説明図である。
【符号の説明】
11 エネルギープラント
12 プラント運転データ入力部
14 ヒューマン・インターフェイス
17 プラント構成機器特性係数記憶手段
19 プラント制御データ出力部
21 電力・熱負荷データ記憶手段
22 気象データ入力部
23 電力・熱負荷予測手段
24 プラント運転データ記憶手段
25 プラント構成機器特性係数更新手段
26 最適運転計画手段
27 吸気温度予測手段
28 通信インターフェイス
29 特性変化報知手段
30 調整用発電機出力演算手段

Claims (5)

  1. 冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、
    前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、
    前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、
    前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラントで廃棄する蒸気の単位時間当たりの廃棄量の上限値を定め、かつ、プラントから供給される電力量及びプラントで消費される電力量を設定値範囲内にするとともに、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最大または最小となるように、プラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、前記気象データに基づいて前記プラント構成機器への吸気温度を予測する吸気温度予測手段を設け、前記吸気温度予測手段により予測された吸気温度に基づいて、プラント構成機器の能力である発電・蒸気製造性能を、吸気温度とプラント構成機器の能力変動の相関関係を表した表を用いて補正する最適運転計画手段と
    を具備することを特徴とする熱電併給プラントの最適運転制御システム。
  2. 冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データに基づいて、過去の電力・熱負荷データを記憶する電力・熱負荷データ記憶手段と、
    前記電力・熱負荷データ記憶手段から読み出された過去の電力・熱負荷データ及び気象データに基づいてプラント電力・熱負荷を予測する電力・熱負荷予測手段と、
    前記エネルギープラントを構成するプラント構成機器の特性係数を記憶するプラント構成機器特性係数記憶手段と、
    前記エネルギープラントから入力されたプラント運転データを記憶するプラント運転データ記憶手段と、
    前記プラント運転データ記憶手段から読み出されたプラント運転データに基づいて前記プラント構成機器特性係数記憶手段に記憶されたプラント構成機器の特性係数の更新要否を所定の周期で演算処理するとともに、所定の更新条件を満たす場合に特性係数を更新するプラント構成機器特性係数更新手段と、
    前記電力・熱負荷予測手段により予測したプラント電力・熱負荷と、前記プラント構成機器特性係数記憶手段から読み出されたプラント構成機器の特性係数に基づいて、プラントで廃棄する蒸気の単位時間当たりの廃棄量の上限値を定め、かつ、プラントから供給される電力量及びプラントで消費される電力量を設定値範囲内にするとともに、プラント運転コスト、プラントのエネルギー消費量や二酸化炭素排出量が最大または最小となるように、プラントの運転台数制御及び各プラント構成機器の負荷制御を行うためのプラント制御データを算出して前記エネルギープラントに送出すると共に、前記気象データに基づいて前記プラント構成機器への吸気温度を予測する吸気温度予測手段を設け、前記吸気温度予測手段により予測された吸気温度に基づいて、プラント構成機器の能力である発電・蒸気製造性能を、吸気温度とプラント構成機器の能力変動の相関関係を表した表を用いて補正する最適運転計画手段と
    を具備することを特徴とする熱電併給プラントの最適運転制御システム。
  3. 前記気象データをインターネットの通信インターフェイスから取得することを特徴とする請求項1又は2記載の熱電併給プラントの最適運転制御システム。
  4. 前記プラント構成機器特性係数更新手段による更新前後のプラント構成機器の特性係数を用いて特性の変化率を監視し、変化率が設定値以上の場合は使用者へ通知する特性変化報知手段を設けたことを特徴とする請求項2又は3記載の熱電併給プラントの最適運転制御システム。
  5. 前記冷温熱及び電力を供給するエネルギープラントから入力されたプラント運転データ中の有効電力および無効電力に基づいて、調整用発電機の制御出力を演算して前記エネルギープラントに送出する調整用発電機出力演算手段を設けたことを特徴とする請求項1、2、3又は4記載の熱電併給プラントの最適運転制御システム。
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