JP4325724B2 - ヘッドアップディスプレイ装置 - Google Patents
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Description
図21に示すように、映像光100を表示する映像投射器を凸レンズCの焦点Fよりも凸レンズCに近い位置に配置した場合に、表示像101は虚像となり、凸レンズCから見て映像投射器の配置された方向と同じ方向に表示される(即ち、像が作られる)。
本発明は、上記問題点を解決して、外光の影響を受けることなく、視認性のよい表示像を投影することが可能であり、さらには装置の小型化が可能なヘッドアップディスプレイ装置を提供することを目的とする。
このように構成されたヘッドアップディスプレイ装置によれば、出射側端面から出射される映像光の出射角を比較すると、出射側端面および入射側端面での反射(多重反射)を経た後に出射する映像光と、この多重反射を経ることなく出射する映像光とで異なるため、前者の映像光(多重反射後の出射光)がさらに反射手段で反射された映像光を視認領域外に指向することができる。つまり、多重反射を経た映像光からなるゴースト像を、移動体の乗員に虚像として視認させることを防止し、視認性のさらによい表示像を投影することができる。
具体的に言うと、光学手段は、映像が水平方向のみに光学的作用の影響を受けるように、特定方向が水平方向に合わせた向きに設定されていることが望ましい。なお、「合わせた向き」とは、特定方向と水平方向とを一致させることを表すが、必ずしも厳密に一致させることは要求しない。例えば、特定方向と水平方向とのなす角度が±20°程度の範囲内にあればよいものとする。
このように光学手段を配置した場合、水平方向に直交する面内では、光学手段による光学的作用の影響を受けないため、光学手段にて反射した外光が視認領域外を指向するような光学手段の傾斜角度を確実に求めることができる。
また、本発明のヘッドアップディスプレイ装置において、光学手段は、請求項7に記載のように、屈折率及び色分散が異なる材料からなる複数のレンズからなり、これらの複数のレンズは、色収差が補正されるように組み合わされている構成であってもよく、この場合、光学手段の有する光学的作用によって生じる色収差を補正することができるため、視認性のよい虚像が得られる。
このような光学手段を配置すると、映像の光路を等価的に長くすることができるため、装置の小型化に寄与することができる。
さらに、請求項11に記載のように、機能付偏向手段の少なくとも一つが与える光学的作用は、映像の拡大であることが望ましい。
また、本発明のヘッドアップディスプレイ装置において、光学的作用を有する機能付偏向手段の少なくとも一つは、請求項12に記載のように、偏向手段の入射側端面(反射面)における映像の主光軸上の法線がこの機能付偏向手段に入射する映像の主光軸に対して傾斜するように配置されており、その傾斜角度は、光学手段が傾斜して配置されていることで生じる虚像の歪みを相殺するような角度であることが望ましい。
ところで、本発明のヘッドアップディスプレイ装置は、請求項16に記載のように、映像投射手段を内装する筐体を備え、遮光手段がこの筐体の開口部を形成する内壁を兼用し、この遮光手段によって外光の一部が到達しないように光学手段が配置されてもよい。
なお、本発明のヘッドアップディスプレイ装置において、光学手段は、請求項17に記載のように、筐体の内部を防塵するカバーを兼用するとしてもよい。
[第1実施例]
<全体構成>
図1は、本発明が適用された第1実施例のヘッドアップディスプレイ装置(以下、HUD装置という)が車両に適用された状態を示す概略構成図、図2はその主要部の拡大図である。
シリンドリカルレンズ7は、レンズの厚さ方向(光を透過させる方向)と直交する二方向のうち、一方向のみがレンズとして作用(予め定められた度合いで集束または発散)する周知のものである。
このように形成されたシリンドリカルレンズ7は、図5及び図6に示すように、レンズ形成面71が入射側端面7a、平坦面70が透過面7bとなり、且つ、シリンドリカルレンズ7の作用軸方向(α方向)が表示像4の水平方向(X方向)と一致し、シリンドリカルレンズ7の厚さ方向(γ方向)に対する映像光81の主光軸の進行方向(Z方向)およびβ方向に対するY方向が傾斜角度θxだけ傾斜した、いわゆる軸外しの状態で、導光部2aの開口から設置深さdの位置に取り付けられる。
ここで、図7は、シリンドリカルレンズ7が、軸外しの状態で取り付けられていることによる影響を示す説明図である。
なお、図8は、HUD装置1で実際に得られる作用を示すものではなく、表示デバイス5から、自由曲面鏡6を介することなく、シリンドリカルレンズ7に映像光を直接投射した場合の作用を示す説明図である。
次に、自由曲面鏡6は、図9(a)に示すように、光を反射する反射面6aを有し、当該自由曲面鏡6の光軸方向をγ方向、これと直交する二つの方向をα方向及びβ方向、γ方向の座標をγ、α−β平面内の座標を(α,β)として、その反射面6aの形状が、多項式γ=f(α,β)で表現される曲面からなる周知のものである(図11参照)。
このように形成された自由曲面鏡6は、図12に示すように、α方向がX方向(表示像4の水平方向)と一致し、且つ、γ方向に対するZ方向(β方向に対するY方向も同様)が傾斜角度θmだけ傾斜した、いわゆる軸外しの状態で、しかも、自由曲面鏡6の中心で反射した光が、シリンドリカルレンズ7の中心を透過するような位置に配置される。
ここで、図13は、自由曲面鏡6が、軸外しの状態で取り付けられていることによる影響を示す説明図である。但し、図示されているように、以下では、表示デバイス5から投射された映像の主光軸8の進行方向をz方向、この映像の水平方向をx方向、z方向及びx方向のいずれとも直交する方向をy方向と称する。
なお、図14は、HUD装置1で実際に得られる作用を示すものではなく、表示デバイス5から投射された映像光を自由曲面鏡6にて反射させて、シリンドリカルレンズ7を介することなく、フロントウインドシールド9に映像光を直接投射した場合の作用を示す説明図である。
以上説明したように、本実施例のHUD装置1では、シリンドリカルレンズ7の傾斜角度θxおよび設置深さdが、その透過面7bに入射する光の入射角度が遮蔽上限入射角度θu以上である場合に、透過面7bで反射した光がアイレンジ3に到達しないように設定され、且つ、遮蔽上限入射角度θu以下の入射角度で入射する外光が、インパネ2に遮られてシリンドリカルレンズ7に到達不能となるように、シリンドリカルレンズ7が導光部2a内に取り付けられている。
また、HUD装置1では、シリンドリカルレンズ7が傾斜して配置されていることによる表示像4の歪み(扇形形状の歪み)と、自由曲面鏡6が傾斜して配置されていることによる表示像4の歪み(逆扇形形状の歪み)が相殺するように配置されている。すなわち、シリンドリカルレンズ7の倍率と傾斜角度、自由曲面鏡6の倍率と傾斜角度のバランスをとることで、歪みを相殺することができ、簡易な構成にて、歪みのない表示像4を乗員に視認させることができる。
なお、上記実施例では、光学手段としてシリンドリカルレンズ7を用いているが、このシリンドリカルレンズ7の代わりに、図15に示すような、一方向にのみ光学的作用を有するリニアフレネルレンズ700を用いてもよい。
また、シリンドリカルレンズ7の代わりに、図16に示すように、入射光を拡大するための曲率をα方向に有したうえで、基板そのものが円筒の内面の形状をした凹面711であり、もう一方の面が凹面711に沿った凸面712である曲面基板状シリンドリカルレンズ710を用いてもよい。また、図17に示すような曲面基板状リニアフレネルレンズを用いてもよい。
また、シンドリカルレンズ7の代わりに、α方向だけでなくβ方向にも光学的作用を有する自由曲面レンズを用いてもよい。但し、β方向の光学的作用は、傾斜角度θxと設置深さdを適宜設定することで、透過面7bで反射した外光がアイレンジ3に入り込まないように制御できる程度の微少なものである必要がある。
また、上記実施例では、α方向をX方向に一致させてシリンドリカルレンズ7を配置したが、図19に示すように、α方向をX方向に対して傾斜角度θyだけ傾斜させて配置してもよい。但し、この傾斜により、α方向の光学的作用の影響がY−Z平面内にも現れることになるため、傾斜角度θyは、その光学的作用の影響を受けても、透過面7bで反射した外光がアイレンジ3に入り込まない範囲内で設定する必要がある。
また、上記実施例では、偏向手段として、自由曲面鏡6を一つだけ用いているが、図20に示すように、自由曲面鏡6が反射した映像光8bを、更に反射させてシリンドリカルレンズ7に導く反射鏡66を追加してもよい。
また、上記実施例では、シリンドリカルレンズ7と表示デバイス5とが同じY−Z平面上(X方向の位置が同じ)に配置されるような向きに、自由曲面鏡6を設置しているが、インパネ2内の空間形状に応じて、これらが異なるY−Z平面上(即ち、X方向の位置が異なる)に配置されるような向きに、自由曲面鏡6を設置してもよい。
さらに、上記実施例では、シリンドリカルレンズ7を軸外しの状態で配置したことによる歪みを、その歪みを相殺する歪みが生じるように自由曲面鏡6を傾斜させることで補正しているが、自由曲面鏡6やシリンドリカルレンズ7の代わりに配置される自由曲面レンズの曲面形状によって、補正するように構成してもよい。
次に第2実施例について説明する。
図25は、楔形シリンドリカルレンズ730の形状を示す斜視図および断面図である。
図25に示すように、楔形シリンドリカルレンズ730は、作用軸方向(α方向)に直交する面(断面)のうち、透過面7b(731)との交線(以下、出射側交線という)が入射側端面7a(732)との交線(以下、入射側交線という)と非平行となる形状、即ち、断面が楔形を有する形状のレンズである。
図26に示すように、楔形シリンドリカルレンズ730は、透過面731が車両の前方側を向き、且つ、レンズの厚さが車両の後方側に向かって大きくなる向きに配置される。
したがって、本実施例のHUD装置1によれば、ゴースト光からなるゴースト像が、虚像として乗員によって視認されてしまうことを防止し、ひいては、視認性のよい表示像4を確実に投射させることができる。
なお、上記実施例では、楔形シリンドリカルレンズ730をシリンドリカルレンズ7の代わりに用いているが、これに限るものではなく、断面が楔形を有する形状の他のレンズであってもよい。例えば、図27に示すように、非作用軸方向(β方向)に直交する面(断面)のうち、出射側交線が入射側交線と非平行となるようにとなる形状であって、楔形シリンドリカルレンズ730と同等の機能を実現することができる楔形フレネルレンズ740を、シリンドリカルレンズ7の代わりに用いてもよい。
Claims (17)
- 光を透過かつ反射する反射手段を備えた移動体に搭載され、前記反射手段が反射した映像光からなる映像を、前記移動体の乗員に虚像として視認させるヘッドアップディスプレイ装置であって、
予め設定された特定方向に対して光に所定の度合いで集束または発散する光学的作用を与え、且つ該光を透過させる光学手段と、
前記光学手段を介して前記反射手段に映像光を投射する映像投射手段と、
前記反射手段における前記映像光の非投射面側から前記光学手段に向けて入射する外光の一部を遮る遮光手段と、
を備え、
前記光学手段において、前記映像光の入射側および出射側の面を入射側端面および出射側端面、前記特定方向に直交する断面のうち、前記入射側端面との交線を入射側交線、及び、前記出射側端面との交線を出射側交線として、
前記遮光手段にて遮られることなく前記光学手段に到達し該光学手段にて反射した外光が、前記映像を前記移動体の乗員に視認させる領域である視認領域の領域外を指向するように、前記光学手段は、前記入射側交線における法線と、前記出射側交線における法線とが共に、前記入射側端面に入射する前記映像の主光軸に対して傾斜するように配置されていることを特徴とするヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記光学手段は、前記入射側交線と前記出射側交線とが非平行となる形状であることを特徴とする請求項1に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段は、前記特定方向に沿った第1の傾斜軸を軸にして傾斜して配置されていることを特徴とする請求項1または請求項2に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記特定方向は、前記映像の水平方向であることを特徴とする請求項3に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段は、シリンドリカルレンズからなることを特徴とする請求項3または請求項4に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段は、フレネルレンズからなることを特徴とする請求項2ないし請求項5のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段は、屈折率及び色分散が異なる材料からなる複数のレンズからなり、該複数のレンズは、色収差が補正されるように組み合わされていることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段が与える光学的作用は、映像の拡大であることを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 光を偏向させる一つないし複数の偏向手段を備え、
前記偏向手段は、前記映像投射手段から前記光学手段に至る前記映像光の経路上に配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記偏向手段の少なくとも一つは、光に光学的作用を与える機能付偏向手段からなることを特徴とする請求項9に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記機能付偏向手段が与える光学的作用は、映像の拡大であることを特徴とする請求項10に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記機能付偏向手段の少なくとも一つは、該機能付偏向手段の入射側端面における前記映像の主光軸上の法線が該機能付偏向手段に入射する前記映像の主光軸に対して傾斜するように配置されており、その傾斜角度は、前記光学手段が傾斜して配置されていることで生じる前記虚像の歪みを相殺するような角度であることを特徴とする請求項10または請求項11に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記機能付偏向手段の一つは、前記光学手段の前段に配置され、且つ、前記特定方向に沿った第1の傾斜軸と同一平面内に位置する第2の傾斜軸を軸にして傾斜していることを特徴とする請求項12に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記光学手段及び前記機能付偏向手段は、前記第1の傾斜軸と前記第2の傾斜軸とが平行となるように配置されていることを特徴とする請求項13に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記偏向手段の少なくとも一つは、前記光学手段または前記反射手段の少なくともいずれか一方の形状によって生じる前記虚像の歪みを相殺する光学的作用を与える形状を有することを特徴とする請求項9ないし請求項14のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。
- 前記映像投射手段を内装して開口部を有する筐体を備え、
前記光学手段は、前記筐体の開口部を形成する内壁を兼用する遮光手段によって外光の一部が到達しないように配置されていることを特徴とする請求項1ないし請求項15のいずれかに記載のヘッドアップディスプレイ装置。 - 前記光学手段は、前記筐体の内部を防塵するカバーを兼用することを特徴とする請求項16に記載のヘッドアップディスプレイ装置。
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