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JP4323206B2 - 感光性樹脂用水性現像液 - Google Patents

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JP4323206B2
JP4323206B2 JP2003109332A JP2003109332A JP4323206B2 JP 4323206 B2 JP4323206 B2 JP 4323206B2 JP 2003109332 A JP2003109332 A JP 2003109332A JP 2003109332 A JP2003109332 A JP 2003109332A JP 4323206 B2 JP4323206 B2 JP 4323206B2
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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水性現像可能な感光性樹脂印刷版の水性現像液に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、作業環境改善や地球環境の保全の観点から有機溶剤の使用を減らそうという動きが各種産業界から出ており、印刷に用いる感光性のフレキソ印刷版の製版工程においても水性現像可能な感光性樹脂版の使用が増えつつある状況にある。
一般的な水系現像可能な感光性樹脂印刷版は、特開平03―136052号公報や特開平10―31303号公報に記載されているように、寸法精度を維持する為の支持体層の上に、親水性ポリマー、疎水性ポリマー、光重合性不飽和単量体及び光重合開始剤などを混合した感光性樹脂組成物からなる層を形成し、さらにその上に、スリップ層または保護層と呼ばれる薄い可とう性フィルム層や、赤外線レーザーでアブレージョン可能な薄層を設けられた構成体からなっているのが一般的である。
【0003】
その構成体から印刷版を製造する方法としては、可とうフィルム層を設けた場合は、その上に透明画像担体(ネガフィルム)を密着させ、そのネガフィルムを通じて活性光線を照射し、感光性樹脂組成物層の特定部分を選択的に光硬化することで画像を形成させた後、該組成物層の未露光部分を、水系現像液中でブラシ等を用い除去(現像)することで印刷用レリーフを形成している。
【0004】
このような水性現像可能なフレキソ印刷用感光性樹脂版用の現像液は、製版スピードの点から現像時間が短い方が良く、印刷再現性の点から凹部は深く現像できる方が良い。また、現像液中において該樹脂組成物中の疎水性ポリマー等の析出物は、洗浄機内のメンテナンス性や印刷版面汚れの点から、少ない方が好ましく、これらを改良するため種々の提案がなされている。例えば、特開平8−95257号公報には脂肪酸の炭素数8〜20のアルカノールアミドの界面活性剤、特開平9−244262には水溶性で且つポリアミノカルボン酸及びアルカリ金属塩、アンモニウム塩のキレート剤、又、特願2002−090884号にはHLB10〜14の炭素数8〜20の第2級アルコールのアルキレンオキサイド付加体の界面活性剤を現像液組成にし、現像性、疎水性ポリマー等の析出防止する方法が提案されている。しかしながら、有機溶剤系現像液に比べ現像時間が長かったり、スカムが多量に発生したり、印刷版の再現性が悪かったりする欠点を有している。
【0005】
【特許文献1】
特開平03−136052号公報
【特許文献2】
特開平10−31303号公報
【特許文献3】
特開平8−95257号公報
【特許文献4】
特開平9−244262号公報
【特許文献5】
特願2002−090884号
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
下記の4つの要求を同時に満たすことができる感光性フレキソ印刷に好適な感光性樹脂用水性現像液を提供すること。
(1)水性現像液での現像時間が速いこと。
(2)繰り返し現像で水性現像液中の未硬化樹脂がスカムとなって堆積しないこと。
(3)印刷版の再現性が高いこと。
(4)水性現像液の安定性が高いこと。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、上記の課題について鋭意検討した結果、少なくとも界面活性剤(A)、pH調整剤(B)、洗浄促進剤(C)及び水からなる水性現像液であって、界面活性剤が(A)が炭素数6〜8の第1級のアルコールアルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加体を1種以上含む、HLBが12〜16であるアルキレンオキサイド付加体により、上記目的の感光性樹脂用水系現像液が得られることを見いだし、本発明を完成するに至った。すなわち、本発明は下記の通りである。
【0008】
1.少なくとも界面活性剤(A)、pH調整剤(B)、洗浄促進剤(C)からなる水性現像液であって、界面活性剤が(A)が炭素数6〜8の第1級アルコールアルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加体を1種以上含む、HLBが12〜16であるアルキレンオキサイド付加体であり、pH調整剤(B)が無機塩であり、洗浄促進剤(C)が下記式(I)または(II)で表される化合物を含み、水性現像液のpHが8〜13であることを特徴とする感光性樹脂用水性現像液。
RO(AO)nR1 ・・・・・・・・・(I)

2n+2 ・・・・・・・・・・・・・(II)
上記式で(I)中、R及びR1は、炭素数2〜6のアルキル基又はアルケニル基であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは1〜5の数である。
上記式で(II)中、nは6〜20である。
【0009】
2.界面活性剤(A)が、さらにアルコールアルキレンオキサイドが付加した、HLBが17以上のアルキレンオキサイド付加体を含有することを特徴とする1.記載の感光性樹脂用水性現像液。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について、特にその好ましい実施態様を中心に、具体的に説明する。
本発明の水性現像液は、少なくとも水と界面活性剤(A)、pH調整剤(B)、洗浄促進剤(C)を含有したものである。
本発明の水性現像液としては、界面活性剤(A)が、炭素数6〜8の第1級のアルコールアルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加体を一種以上含む、HLB(Hydrophile−Lipophile Balance)が12〜16であるアルキレンオキサイド付加体である。このアルキレンオキサイド付加体のHLBが12以上で水性現像液の均一な溶解が達成でき、又、HLBが16以下で、現像速度が向上でき、未硬化樹脂の十分な溶出力が得られる。更に、アルキレンオキサイドとしては、例えば、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドが挙げられるが、これらはHLBが12〜16である限り、単独でも混合物でもよいが、入手性の点から好ましくは、エチレンオキサイド単独であるものが望ましい。
【0011】
これら成分(A)の含有量は、全水性現像液量に対して、現像速度の点から0.1%以上が好ましく、現像速度あるいは経済性の点から20%以下が好ましい。更に好ましくは0.5〜10wt%である。
本発明の水性現像液としては、pH調整剤(B)は、無機塩であり、水性現像液のpHが8〜13であることが必要ある。具体的には硫酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、珪酸ナトリウム、ホウ酸ナトリウム等が望ましい。これら成分(B)の含有量は、全水性現像液量に対して、好ましくは0.01〜10wt%、更に好ましくは0.1〜5.0wt%である。このpH調整剤(B)が0.01%以上では、繰り返し現像による現像速度が維持でき、又、10%以下では感光性樹脂の露光部表面まで溶出しないため、安定した印刷版の品質を維持できる。又、安全性の面からも良好となる。
【0012】
本発明の水性現像液としては、洗浄促進剤(C)は、現像速度の点から含有することが好ましく、上記式(I)または(II)で表される化合物であることが必要である。上記式(I)で表される化合物は、R及びR1が炭素数2〜6のアルキル基、アルケニル基であるが、好ましくは、現像速度の点から炭素数2〜5のアルキル基であり、具体的には、エチル基、n―プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基が挙げられ、R及びR1は同一であってもよく、また、異なっていてもよい。又、AOは、エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドを表し、これらは単独でも混合物でもよいが、好ましくは、エチレンオキサイド単独であるものが望ましい。
【0013】
上記式(II)で表される化合物は、炭素数が6〜20のアルカンであるが、現像速度と水性現像液の引火点をなくす点から、好ましくは、炭素数12〜18があるものが望ましい。
これら(I)又は(II)成分の含有量は、全水性現像液量に対して、好ましくは0.01〜10wt%、更に好ましくは0.1〜5.0wt%である。これらは単独でも混合で使用してもよい。
【0014】
本発明の水性現像液としては、必要に応じ、界面活性剤(A)がさらにHLB17以上のアルコールのアルキレンオキサイド付加体を含有することが好ましい。これら成分の含有量は、全界面活性剤のうち、好ましくは、1〜50wt%で繰り返し現像によるスカムの抑制が向上できる。更に好ましくは、5〜50wt%である。
本発明の水性現像液としては、必要に応じて、消泡剤、分散剤、腐食抑制剤、腐敗防止剤を併用しても良い。
【0015】
これら水性現像液の成分は、攪拌して均一化する方法により調整可能であり、各成分の配合順序は特に限定されるものではない。必要なものを別々に準備し、水性現像液調整時に別々に添加しても、又、上記水性現像液成分のみを調合した濃縮液を、水性現像液調整時、水を加えて希釈しても構わない。好ましくは水を加えた引火点以下の濃縮液である。水現像可能な感光性樹脂の未露光部の樹脂は上記の水性現像液を用いて、通常、ブラシなどを装着した現像機で除去され、水性現像液中に溶出・分散される。更に、この水性現像液は加温されていることが望ましい。好ましくは、10〜60℃であり、より好ましくは、20〜55℃である。
【0016】
本発明対象とする水性現像可能な感光性樹脂組成物としては、(a)親水性ポリマー、(b)疎水性ポリマー、(c)可塑剤、(d)光重合性不飽和単量体及び(e)光重合開始剤を含有するフレキソ印刷用感光性樹脂組成物であって、親水性ポリマー(a)とは、親水性の官能基を有する常温固体のポリマーで、水に溶解あるいは膨潤するものであり、ラジカル系共重合体、ポリアミド系重合体、ポリビニルアルコール系重合体、ポリエステル系重合体あるいはウレタン系共重合体等が挙げられる。
【0017】
親水性のラジカル系共重合体としては、例えば、不飽和単量体100質量部のうち、親水性の不飽和単量体を1.0質量部以上用い共重合して得られる。親水性の不飽和単量体には、酸性官能基含有不飽和単量体が好ましく、酸性官能基含有不飽和単量体にはカルボキシル基、スルフォン酸基、リン酸基、ホウ酸基あるいは水酸基を有するエチレン性不飽和単量体などが例示される。
酸性官能基含有不飽和単量体の使用量は不飽和単量体全量のうち1〜30wt%が好ましく、これ以下だと水性現像が困難となる場合があり、これ以上だと感光性樹脂の吸湿量が増加したり、インキの膨潤量が増加したり、感光性樹脂の混合時の加工性が損なわれる場合がある。
【0018】
親水性のラジカル系共重合体に用いられる親水性の不飽和単量体としては、共役ジエン、芳香族ビニル化合物、(メタ)アクリル酸エステル、水酸基を有するエチレン系モノカルボン酸アルキルエステル単量体、不飽和二塩基酸アルキルエステル、無水マレイン酸、シアン化ビニル化合物、(メタ)アクリルアミドおよびその誘導体、ビニルエステル類、ビニルエーテル類、ハロゲン化ビニル類、アミノ基を有する塩基性単量体、ビニルピリジン、オレフィン、ケイ素含有α,β−エチレン性不飽和単量体、アリル化合物等があげられる。
【0019】
これらの単量体は単独で用いてもよいし、二種以上混合して用いてもよい。又、2個以上の付加重合可能な基を有する単量体を使用してもよい。
疎水性ポリマー(b)とは、親水性基を有しない常温固体のポリマーで、熱可塑性ブロック共重合体、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、ポリウレタン系エラストマー等を例示することができる。
【0020】
これらのうちでは、常温付近でゴム弾性を示し、塑性変形し難く、また押出機等で組成物を混合するときに熱で可塑化し易い熱可塑性ブロック共重合体が好ましい。この中でも、モノビニル置換芳香族炭化水素モノマーと共役ジエンモノマーを重合して得られるものがより好ましい。モノビニル置換芳香族炭化水素モノマ−としては、スチレン,α−メチルスチレン,p−メチルスチレン、p−メトキシスチレン等が、また共役ジエンモノマ−としてはブタジエン,イソプレン等が用いられ、代表的な例としてはスチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体や、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体などが挙げられる。ここで熱可塑性エラスマー中におけるモノビニル置換芳香族炭化水素の含量については、露光前の感光性樹脂版が積層などされたときの耐コールドフロー性の抑制の点で、8wt%以上が好ましく、印刷版の硬度が高くなりすぎて印刷品質が低下するのを抑制する点で、50wt%以下が好ましい。
【0021】
熱可塑性エラストマーの共役ジエンセグメント中のビニル結合の平均比率は、印刷版の画像再現性の点で、5%以上が好ましく、印刷版表面の粘着性を抑制する点で、40%以下が好ましい。10〜35%の範囲がさらに好ましい。
モノビニル置換芳香族炭化水素及び共役ジエンの平均含有量や、熱可塑性エラストマー中のビニル結合単位の平均比率は、IRスペクトルやNMRで求められる。
【0022】
熱可塑性エラストマー(b)の使用量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物全量のうち、印刷版の高物性(伸長率(伸び))、耐水性あるいは耐インキ膨潤性の点で、10wt%以上が好ましく、水性現像性の点で、40wt%以下が好ましい。
可塑剤(c)は、ナフテン、パラフィン等の炭化水素、液状ポリブタジエン、液状ポリイソプレン、液状ポリブタジエンの変性物、液状アクリルニトリル−ブタジエン共重合体、液状スチレン・ブタジエン共重合体、数平均分子量2,000以下のポリスチレン、セバチン酸エステル、フタル酸エステル、これらの組成に光重合性の反応基を付与したもの等を併用しても良い。
【0023】
光重合性不飽和単量体(d)とは、アクリル酸、メタクリル酸、フマル酸、マレイン酸などのエステル類、アクリルアミドやメタクリルアミドの誘導体、アリルエステル、スチレン及びその誘導体、N置換マレイミド化合物を挙げられる。
その具体的な例としては、ヘキサン(ジ)オール、ノナン(ジ)オールなどの直鎖アルカン(ジ)オールの(ジ)アクリレート及び(ジ)メタクリレート、2−メチルオクタン(ジ)オール、ネオペンチルグリコール、2−ブチル−2−エチル−1,3−プロパン(ジ)オール、3−メチル−1,5−ペンタ(ジ)オールなどの側鎖を有するアルカン(ジ)オールの(ジ)アクリレート及び(ジ)メタクリレート、シクロヘキサン(ジ)メタノール、トリシクロデカン(ジ)メタノールなどの環状部位を持つモノアルコールやジオールの(ジ)アクリレート及び(ジ)メタクリレート、あるいはエチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ブチレングリコールのジアクリレート及びジメタクリレート、あるいはトリメチロールプロパントリアクリレート及びトリメタクリレート、ペンタエリトリットテトラアクリレート及びテトラメタクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサアクリレート及びヘキサメタアクリレート等や、N,N’−ヘキサメチレンビスアクリルアミド及びメタクリルアミド、スチレン、ビニルトルエン、ジビニルベンゼン、ジアクリルフタレート、トリアリルシアヌレート、フマル酸ジエチルエステル、フマル酸ジブチルエステル、フマル酸ジオクチルエステル、フマル酸ジステアリルエステル、フマル酸ブチルオクチルエステル、フマル酸ジフェニルエステル、フマル酸ジベンジルエステル、マレイン酸ジブチルエステル、マレイン酸ジオクチルエステル、フマル酸ビス(3−フェニルプロピル)エステル、フマル酸ジラウリルエステル、フマル酸ジベヘニルエステル、N−ラウリルマレイミド等を挙げることができる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0024】
光重合性不飽和単量体(d)の使用量は、フレキソ印刷用感光性樹脂組成物全量のうち、細かい点や文字の形成性の点で、1wt%以上が好ましく、露光前の感光性樹脂版が積層などされたときの耐コールドフロー性や印刷版の硬度が高くなりすぎて印刷品質が低下するのを抑制する点で、30wt%以下が好ましい。
【0025】
光重合開始剤(e)の例としては、ベンゾフェノン、4,4−ビス(ジエチルアミノ)ベンゾフェノ ン、t−ブチルアントラキノン、2−エチルアントラキノン、2,4−ジエチルチオキサントン、イソプロピルチオキサントン、2,4−ジクロロチオキサントン等のチオキサントン類;ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オ ン、ベンジルジメチルケタール、1−ヒドロキシシクロヘキシル−フェニルケトン、2−メチル−2−モルホリノ(4−チオメチルフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン等のアセトフェノン類;ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル、ベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾインエーテル類;2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキサイド、ビス(2,4,6− トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキサイド等のアシルホスフィンオキサイド類;メチルベンゾイルホルメート;1,7−ビスアクリジニルヘプタン;9 −フェニルアクリジン;等が挙げられる。これらは単独で用いてもよいし、2種類以上を組み合わせて用いてもよい。
【0026】
光重合開始剤(e)の量は感光性樹脂組成物全量に対して、0.1〜10wt%が好ましい。細かい点や文字の形成性の点で0.1wt%以上、紫外線等の活性光の透過率低下による露光感度低下の点で10wt%以下が好ましい。
その他、本発明の感光性樹脂組成物には前記した必須成分の他に、所望に応じ種々の補助添加成分、例えば、酸化防止剤、紫外線吸収剤、ハレーション防止剤、光安定剤などを添加することができる。
【0027】
感光性樹脂組成物は、印刷版としての精度を維持するために、ポリエステルなどの支持体をレリーフの反対側に設けても良い。感光性樹脂組成物は、その組成によっては粘着性を生じるので、その上に重ねられる透明画担体(ネガフィルム)との接触性を良くするためと、その画像担体の再利用を可能にするために、その表面に水性現像液で現像可能な可とう性フィルム層を設けても良い。
感光性樹脂組成物は上記各成分(a)〜(e)を押出機やニーダ等を用いて混合することにより製造することができる。樹脂組成物を混合した後に、熱プレス成型やカレンダー処理または押出成型により所望の厚さの層を形成することが可能である。
【0028】
支持体や可とう性フィルム層は、シート成型後ロールラミネートにより感光層に密着させることができる。ラミネート後に加熱プレスして精度の良い感光層を得ることもできる。
感光性樹脂組成物を光硬化するのに用いられる活性光線源としては、低圧水銀灯、高圧水銀灯、紫外線蛍光灯、カーボンアーク灯、キセノンランプ、ジルコニウムランプ、太陽光などがある。
【0029】
感光性樹脂組成物に透明画像担体を通じて光照射して画像を形成させた後、未照射部分を水性現像液中でブラシ等を用い除去(現像)することでレリーフが得られる。
現像後は版を、オーブン中で約60℃で10〜120分間乾燥するのが好ましい。
感光性樹脂組成物は、その組成によっては乾燥が終わった後も版表面にベトツキが残っている場合がある。表面処理方法としては、樹脂版を空中や水中で、波長300nm以下の活性光線による露光処理が望ましい。
以下、参考例、実施例、及び比較例により本発明についてより具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0030】
【実施例】
[参考例]
(1)親水性ポリマーの合成
撹拌装置と温度調節用ジャケットを取り付けた耐圧反応容器に水125質量部および乳化剤(α−スルホ−(1−(ノニルフェノキシ)メチル−2−(2−プロペニルオキシ)エトキシ−ポリ(オキシ−1,2−エタンジイル)のアンモニウム塩、アデカリアソープSE1025(旭電化工業製、商標))3質量部を初期仕込みし、内温を80℃に昇温し、スチレン10質量部、ブタジエン70質量部、2−エチルヘキシルアクリレート13質量部、メタクリル酸5質量部、アクリル酸2質量部、t−ドデシルメルカプタン2質量部の油性混合液と水28質量部、ペルオキソ二硫酸ナトリウム1.2質量部、水酸化ナトリウム0.2質量部および乳化剤(アデカリアソープSE1025(旭電化工業製、商標))1質量部からなる水溶液をそれぞれ5時間および6時間かけて一定の流速で添加した。そして、そのままの温度で1時間保って、重合反応を完了した後、冷却した。ついで、生成した共重合体ラテックスを水酸化ナトリウムでpHを7に調整してからスチームストリッピング法により未反応の単量体を除去し、200メッシュの金網で濾過し、最終的には固形分濃度が40wt%になるように調整して親水性共重合体溶液を得た。親水性共重合体の数平均粒子径は、40nmであった。粒子径は日機装株式会社製、MICROTRAC粒度分析計(型式:9230UPA、商標)を用いて数平均粒子径として求めた。
乳化重合した溶液を60℃で乾燥し親水性共重合体(a)を得た。
【0031】
(2)感光性樹脂組成物および感光性樹脂版の作成
(1)で得た親水性ポリマー(a)30質量部と、疎水性ポリマー(b)として、スチレンブタジエンブロック共重合体(クレイトンD−KX405:クレイトンポリマージャパン製、商標)30質量部を加圧ニーダを用いて140℃で10分混合後に、可塑剤(c)として、液状ポリブタジエン(B−2000:日本石油化学製、商標)30質量部と、光重合性不飽和単量体(d)として1.6−ヘキサンジオールジアクリレート5質量部1.6−ヘキサンジオールジメタクリレート3質量部、光重合開始剤(e)として2,2−ジメトキシフェニルアセトフェノン2質量部および酸化防止剤として2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾール1質量部を15分かけて少しずつ加えて、加え終えてからさらに10分間混練し、感光性樹脂組成物を得た。
【0032】
この組成物を取り出し、片面が熱可塑性エラストマーを用いた接着剤がコートされた厚さ100μのポリエステルフィルム(以下PETと略す)ともう片方は厚さ5μのポリビニルアルコール(PVA)がコートされた厚さ100μのPETでサンドイッチしてプレス機を用いて130℃で厚み3mmの板状に成形した。
【0033】
(3)印刷版の作成
(2)で得た接着剤がコートされたPETの側から、硬化層の厚さが1.8mm程度となるように、紫外線露光機(日本電子精機製JE−A2−SS、商標)を用いて露光した。次に、PVAがコートされた方のPETをPVAが樹脂面に残るようにして剥ぎ、印刷画像のネガを密着させ前記露光機で10分間露光した。露光後に、ネガフィルムを剥がして、表1の水性現像液を調整し、日本電子精機製洗浄機(JOW−A3−P、商標)を用いて、50℃で洗浄し、未露光部を除去した。乾燥後、紫外殺菌線ランプ、紫外線ケミカルランプで後露光して印刷版を作成した。
【0034】
(4)評価方法
(a)水現像液の現像性
(3)の水性現像液と洗浄機を用いて、露光していない樹脂版を15分間洗浄し、洗浄により現象した樹脂版厚み(t)を測定し、15分/t(mm)を計算して、1mm現像するのに要する時間(分)を測定する。現像時間が短い程現像性が良く、現像時間が15分/mm未満を○、15分以上を×と評価した。
(b)スカム
上記方法で、A3サイズの版を8枚現像し、8枚目の版のスカムの付着状態と水性現像液中のスカムの状態を観察した。版面にスカムの付着がなく、水性現像液中にスカムの浮遊がないのものを◎、版面にスカムの付着があり、水性現像液中にスカムの浮遊がないものを×とした。
【0035】
(c)版再現性
上記方法で得られた各印刷版の白抜き線(500μm幅)の深度を測定し、100μm未満のものを×、100μm以上のものを○として評価した。
(d)液安定性
水性現像液を50℃で72時間経時させ、水性現像液の均一性を観察した。均一の状態のものを○、不均一(分離)なものを×とした。
【0036】
[実施例]
水性現像液として表1に示した組成を上記方法で調合した。これを用い、上記の製版露光方法で製版した感光性樹脂版を各水性現像液に対してAサイズで8枚現像し、現像性、スカム、版再現性について表1の結果を得た。又、表1に示した組成の液安定性について表1の結果を得た。
全ての評価項目を満足するものが得られ、比較例1〜4については、評価4項目のうち、1つ以上満足いく結果が得られなかった。
【0037】
【表1】
Figure 0004323206
【0038】
【発明の効果】
本発明により、優れた現像性と、版再現性を有し、特に凸部のシャープなショルダーと高白抜き再現の形成ができる感光性樹脂用水系現像液を提供することができる。又、本発明の水性現像液は、水性であるため引火性の心配がなく、且つ、環境に悪影響を及ぼすフロン、人体に影響を与えるハロゲン系溶剤も使用しないため、安全性が高く、低価格で提供できる利点を有する。

Claims (2)

  1. 少なくとも界面活性剤(A)、pH調整剤(B)、洗浄促進剤(C)及び水からなる水性現像液であって、界面活性剤(A)が炭素数6〜8の第1級アルコールアルキレンオキサイドが付加したアルキレンオキサイド付加体を1種以上含む、HLBが12〜16であるアルキレンオキサイド付加体であり、pH調整剤(B)が無機塩であり、洗浄促進剤(C)が下記式(I)あるいは(II)で表される化合物を含み、水性現像液のpHが8〜13であることを特徴とする感光性樹脂用水性現像液。
    RO(AO)nR1 ・・・・・・・・・(I)

    2n+2 ・・・・・・・・・・・・・(II)
    上記式で(I)中、R及びR1は、炭素数2〜6のアルキル基又はアルケニル基であり、Aは炭素数2〜4のアルキレン基であり、nは1〜5の数である。
    上記式で(II)中、nは6〜20である。
  2. 界面活性剤(A)が、さらにアルコールアルキレンオキサイドが付加した、HLBが17以上のアルキレンオキサイド付加体を含有することを特徴とする請求項1記載の感光性樹脂用水性現像液。
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