JP4322953B1 - 表土保護シートの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】繊度の異なる複数種類の撥水性繊維4,6〜8を絡み合わせて1〜200mmの厚みに形成したシート状体2からなる表土保護シート1であって、前記撥水性繊維の繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維4,6〜8のうち少なくとも1種類は、加熱によって溶着する接着繊維4である。
【選択図】図1
Description
このように構成される表土保護シートでは、シート状体の内部に水が層流によって流れる導水路が形成できることから、土壌の侵食を防止可能である。
また、特許文献2の「生分解性表土保護シートおよび植生シート」では、表土保護シートの材料として生分解性のものを用いることで、表土保護シートとして使用後は、速やかに土中や水中の微生物によって他に害を与えることなく自然環境下で分解され、最終的に水と二酸化炭素に分解され、環境保護の観点から優れた効果を発揮することができる。
また、内部空間が導水路として形成されて降雨時の流下水や土壌飽和水を面方向に流水させることができたものの、内部空間を導水路として形成することには限界もあって、梅雨時期の降雨などに対しては、表土の侵食を免れられなかったという課題もあった。
特許文献2に開示される発明では、確かに生分解性を備えて環境保護の観点からは望ましいものの、生分解してしまうことで、表土の侵食が進む可能性があり、また、特許文献1に開示される発明と同様に、内部空間を導水路として形成させるものであり、降雨時の流下水等を面方向へ流水させることに限界もあるという課題があった。また、特許文献1に開示される発明と同様に撥水性繊維を採用するものの、同様に撥水性繊維同士の絡みが不十分となることも多いという課題もあった。
このように構成される表土保護シートの製造方法では、複数種類の撥水性繊維を絡み合わせたものを接着繊維によって接着固定させることで、復元力を発揮させるように作用する。また、繊度が小さく繊維長が短い撥水性繊維を使用することで、高い空隙率を維持しながら、復元力を発揮させるように作用する。撥水性繊維が異形断面であることで、断面二次モーメント断面係数を増大させるように作用したり、複数種類の撥水性繊維を絡めやすく作用し、シート状体が複数積層されることから、その積層間隙部が導水路として作用する。また、導水路として作用することで、十分な流水作用を有する。また、導水路として形成されるのが積層間隙部であるため、シート状体内に形成される場合よりも繊維と水との境膜剥離抵抗が小さく、水が導水路内を層流状態でスムーズに流れるように作用する。さらに、補強網が覆設されることで、絡みあった撥水性繊維が解けることなく維持させるように作用する。また、補強網であるため、表土保護シートに対する植物の発芽貫通に影響を与える作用はない。
また、このようにして製造された表土保護シートでは、複数種類の撥水性繊維を絡み合わせたものを接着繊維によって接着固定させることで、復元力を発揮させるように作用する。また、繊度が小さく繊維長が短い撥水性繊維を使用することで、高い空隙率を維持しながら、復元力を発揮させるように作用し、もって、長期間に亘って嵩高を維持するように作用する。さらに、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維を絡めることで、様々な大きさに形成される空隙に、その空隙の大きさに適した撥水性繊維が選択的に、より絡みやすくなるように作用する。
なお、本願特許請求の範囲及び明細書において、A〜Bとは、A以上B以下を意味している。
このように構成される表土保護シートの製造方法では、複数種類の撥水性繊維を絡み合わせたものを接着繊維によって接着固定させることで、復元力を発揮させるように作用する。また、繊度が小さく繊維長が短い撥水性繊維を使用することで、高い空隙率を維持しながら、復元力を発揮させるように作用する。撥水性繊維が異形断面であることで、断面二次モーメント断面係数を増大させるように作用したり、複数種類の撥水性繊維を絡めやすく作用し、シート状体が複数積層されることから、その積層間隙部が導水路として作用する。さらに、補強網が覆設されることで、絡みあった撥水性繊維が解けることなく維持させるように作用する。
図1において、表土保護シート1は、シート状体2を備えており、その上面3a及び下面3bには補強網10が覆設されており、それによってシート状体2は保護されている。
シート状体2は、1〜200mmの厚みに形成されており、その内部は、複数の撥水性繊維6〜8が絡み合うように構成されている。これらの撥水性繊維6〜8は、その繊度が1〜50デシテックスであるとともに繊維長が10〜100mmである。これらの撥水性繊維6〜8は、それぞれ繊維長が10〜100mmと短いものの、熱溶着剤5を備えた接着繊維4を介して互いに接着されており、それらが複雑に絡み合うことで、90%以上という高い空隙率を維持しながらも強度を出して、表土保護シート1の復元力を維持可能にしている。また、撥水性繊維6〜8を採用することで、水分を吸収することがなく、いわゆる「へたり」を防止することが可能である。
撥水性繊維6〜8は、異形断面を形成しているものを採用しており、断面二次モーメント断面係数を増大させている。従って、降雨水の雨滴衝撃や乾湿繰り返し等の自然条件に対してもシート状体の嵩高を維持して高い復元力を発揮することができ、「へたり」の発生を防止することも可能である。また、単位断面積に対する周囲長が円形断面よりも長くなることで撥水性繊維間の摩擦力が増加するため、絡みあった撥水性繊維が解けることがなく、このことからも高い復元力を長期間に亘って発揮することが可能である。異形断面繊維とは、繊維の断面形状が円形ではないものを意味する。例としては、まゆ形、長円形の他、溝や突起などを備えて断面に凹凸を形成するものがある。
さらに、撥水性繊維6〜8のそれぞれが異なる異形断面を備える場合には、これらの撥水性繊維6〜8を絡めやすくすることができる。撥水性繊維6〜8同士が絡み合うことで、様々な形状に形成される空隙に、その空隙の形状に適した異形断面の撥水性繊維を選択的に、より絡ませることが可能となる。従って、シート状体の嵩高を維持して高い復元力を発揮させることが可能であり、「へたり」も防止することができる。
また、この補強網10は、シート状体2のほつれや撥水性繊維6〜8の解きを抑制してまとまりを維持させるためのものであるが、この補強網10の目を粗くすることで、植生に対する影響はほとんどなくすることも可能である。
図2において、表土保護シート1aは、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14を積層して構成されており、それぞれのシート状体は図1に示すとおりのものであるので、それぞれ同じ符号を付して、その構成についての説明は省略する。
第1層のシート状体13と第2層のシート状体14の中間には積層間隙部11が形成されている。また、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14の全体を覆うように補強網10が設けられている。従って、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14は互いにずれたり離れることなく積層を維持することが可能である。従って、積層間隙部11の形成もまた維持されることになる。
表土保護シート1aは、例えば傾斜している被保全表土12上に設置される。その際には、何らかの固定具(図示せず)を用いて斜面に固定されるようにしてもよいし、表土保護シート1aの下部に種子及び肥料を含むようなシート(緑化用培地組成物体)を予め敷設しておいてもよい。
なお、面方向とは、被保全表土12へ向かう地面に対して垂直方向ではなく、地面に対して水平方向であって、その方向を定めず、面状に拡がっていく方向全般を示すものである。もちろん、傾斜する被保全表土12の場合には重力に反して上昇することがないので、面方向は被保全表土12の傾斜に沿った下方向でもあることは言うまでもない。
積層間隙部11を経て第2層のシート状体14の上面から浸透していく降雨水は、第1層のシート状体13と同様にやはり面方向へ流水していくので、被保全表土12へ到達し得る降雨水は十分に低減させることができ、よって、被保全表土12を侵食させる作用を低減させることができる。
その一方で、繊度の異なる複数種類の撥水性繊維6〜8が絡まっていることから、十分な保水機能を発揮するため、植生に対する水分供給も十分行うことが可能であり、高い空隙率による発芽貫通を可能としながら、根張りも促進可能であることも相まって、非常に良好な植生を維持することが可能となっている。
なお、本実施の形態においては、第1層のシート状体13と第2層のシート状体14という2層構成としたが、複数のシート状体を積層するものであれば、さらに積層してもよい。また、シート状体の積層数を増やすことで、シート状体の数に対する積層間隙部11の数の割合が増加するので、積層間隙部11による面方向の降雨水の流下を増加させたい場合には、そのシート状体の積層数を増やしてもよい。
図3は、第3の実施の形態に係る表土保護シートの製造方法を模式化したフロー図である。
第3の実施の形態に係る表土保護シートの製造方法は、まず、ステップS1で撥水性繊維と接着繊維を絡み合わせる工程からはじまる。撥水性繊維は、単一の種類のものを用いるのではなく、複数種類の撥水性繊維を混合するものである。また、これら複数種類の撥水性繊維は、繊度が1〜50デシテックスであるものを用い、しかも繊維長が10〜100mmであるものである。
さらに、この複数種類の撥水性繊維のうち、少なくとも1種類は加熱によって溶着する接着繊維である撥水性繊維を用いる。
これらの撥水性繊維を配向させつつ梳綿して絡みあわせる工程が図3においてステップS1として記載されるものである。
次に、この絡み合わせられた撥水性繊維を均一に分散させながら、1〜200mmの厚みのシート状体に形成する工程が、図3のステップS2の工程である。シート状体の厚みは1〜200mmとして、大きさについては特に限定しない。
先の接着繊維も加熱によって溶着するものであったが、このステップS3で配置される合成樹脂製細線も加熱によって溶融する接着剤を備えている。この合成樹脂製細線は、シート状体の表面であればどこでも配置してよいが、後述するステップS5の加熱接着工程によって補強網をシート状体にしっかりと固定するためには、シート状体の辺部、例えば、矩形のシート状体であれば4辺の周辺部で接着可能なようにシート状体の辺部に配置するとよい。
合成樹脂製細線の配置が終了したら、ステップS4に示されるとおり、その合成樹脂製細線の上から補強網を覆設する。これによって、図1に示されるようにシート状体をすっぽり覆うことができる。従って、シート状体を形成する撥水性繊維などが解けることがなく、まとまることでシート状体の強度を維持させることができる。
次に、ステップS5では、補強網を覆設した後に、その補強網の外側から加熱する工程である。シート状体を加熱することで、接着繊維と他の撥水性繊維とを溶着結合させるとともに、合成樹脂製細線に担持された接着剤を溶融させることで、シート状体と補強網を接着するものである。もちろん、前述のとおり、接着剤を備えた合成樹脂製細線をシート状体の辺部に配置することによれば、シート状体の周辺で補強網を接着可能であるため、効率的に補強網を固定することができる。また、補強網と撥水性繊維間の接着を同じ熱源を用いて同時に行うため、この点で経済的にも時間的にも効率的である。
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体を用いて、人工試験機により降雨試験を行い、流出水濁度を測定し侵食防止能を比較した。
尚、各々試験は真砂土盛土(勾配30°)で時間降雨量36mmで30分間試験し採水した後、連続して100mmで30分間試験し採水しSS値を測定した。
その結果を表2に示す。
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体を100×100mm角に裁断して測定試料として用いた。
尚、復元率は試料を6枚重ね、5g/100cm2の荷重をかけ厚さを測定し、さらにその1/2になるまで荷重を掛け圧縮した後、荷重を0にする。再び、5g/100cm2の荷重をかけ厚さを測定し、変化割合を復元率とした。各々の測定結果について表3に示す。
実施例(1)〜(6)、比較例(1)〜(2)のシート状体(1m×1m)を用い、トレーに張り付け植生試験を実施し発芽貫通性を比較した。
尚、播種量は、成立期待本数としてトールフェスク3000本/m2、メドハギ1000本/m2とした。その結果について表4に示す。
Claims (1)
- 撥水性繊維を絡み合わせて形成したシート状体からなる表土保護シートの製造方法において、複数種類の撥水性繊維であって、繊度が1〜50デシテックスである撥水性繊維であるとともに繊維長が10〜100mmであり、かつ、前記複数種類の撥水性繊維のうち少なくとも1種類が加熱によって溶着する接着繊維である撥水性繊維を配向させつつ梳綿して絡みあわせる工程と、この絡み合わせられた撥水性繊維を均一に分散させながら、1〜200mmの厚みのシート状体に形成する工程と、前記シート状体表面に加熱によって溶融する接着剤を備えた合成樹脂製細線を配置する工程と、前記シート状体を前記合成樹脂製細線の上から補強網で覆う工程と、前記シート状体を加熱して前記接着繊維と他の撥水性繊維とを溶着結合させるとともに、前記接着剤を溶融させて前記シート状体と前記補強網を前記シート状体の辺部で接着する工程とを有することを特徴とする表土保護シートの製造方法。
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