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JP4320355B2 - 新規Fasリガンド様タンパク質およびそのDNA - Google Patents

新規Fasリガンド様タンパク質およびそのDNA Download PDF

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Description

本発明は、新規なFasリガンド様タンパク質およびそのDNAに関する。
多細胞生物は、その恒常性を保つために細胞の増殖と死を巧妙にコントロールしている。個体発生の過程では、多くの細胞が細胞死によって除去され、また、成体においても臓器、組織を構成する細胞は常に増殖と死のバランスを保ちながら、その機能を維持している。こうした際の細胞死は、予め予定された死、"Programmed Cell Death"であるとされており、物理的・化学的要因で不慮に起こる細胞死であるネクローシス(Necrosis、壊死)とは形態学的に明確に区別されたアポトーシス(Apoptosis)の過程を経て起こることが知られている。アポトーシスによる細胞死の特徴は、細胞膜の湾曲、核の凝縮や断片化が起こり、最終的にマクロファージのような貪食細胞によって取り込まれ、再利用される機構として論じられている(インターナショナル・レビュー・オブ・サイトロジー(INTERNATIONAL REVIEW OF CYTOLOGY)68,251-306,1980)。
これまでにアポトーシスが関与する多くの生理的、病理的現象が明らかにされてきており、細胞のアポトーシスを誘導あるいは抑制することにより、各種疾患の診断、予防および治療を図る試みも盛んに行われている(サイエンス(SCIENCE)267, 1456-1462, 1995)。アポトーシスは当業界で特に注目されている生命現象の一つである。
アポトーシスは種々の生理的条件下で誘導されるが、中でもFas抗原(CD95,APO−1)は免疫系の細胞に死を誘導する分子として近年注目を集めている(サイエンス(SCIENCE)267, 1449-1456, 1995)。Fas抗原は分子量45kDaのTNF(腫瘍細胞壊死因子,tumor necrosis factor)レセプターファミリーに属するI型膜タンパク質であり、Fasリガンドと結合することにより、細胞死を誘導する。Fas抗原の発現が各種血球系細胞や、肝臓、心臓、小腸など多くの組織や細胞で見られるのに対して、分子量40kDaのII型膜タンパク質であるFasリガンドの発現は活性化Tリンパ球やナチュラルキラー(NK)細胞、マクロファージ、精巣、角膜などに限られる。最近、マウスにおける遺伝子の解析から、Fas抗原遺伝子は、lpr(lymphoproliferation)マウスと呼ばれる自己免疫疾患発症マウスにおいて変異が起きているlpr構造遺伝子そのものであること、またlprマウスと同様の症状を呈するgld(generalized-lymphoproliferative disease)マウスではFasリガンドに変異が起きていることが明らかにされた。ヒトにおいてもFas抗原遺伝子に変異を有する自己免疫疾患患者が報告されており、Fas/Fasリガンド系の機能不全が自己免疫疾患を惹起することが強く示唆されている(サイエンス(SCIENCE)268,1347-1349, 1995)。
また、ヒトFasリガンドがマトリックスメタロプロテイナーゼ(matrix metalloproteinase)により切断され、可溶型Fasリガンドとして遊離されうることが判明し、Fasリガンドが細胞間の接触による相互作用だけでなく、より広範に免疫応答を調節している可能性も示唆されている(ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(JOUNAL OF EXPERIMENTAL MEDICINE)182, 1777-1783, 1995)。
Fasリガンド以外にも、多彩な生物活性を有するTNFファミリーに属するタンパク質の中で、TNF−α、リンホトキシン−α(Lymphotoxin−α、LT−α)およびリンホトキシン−β(Lymphotoxin−β、LT−β)にアポトーシスを誘導する活性があることが報告されている(ザ・ニュー・イングランド・ジャーナル・オブ・メディシン(THE NEW ENGLAND JOURNAL OF MEDICINE)334, 1717-1725, 1996)。TNF−αは腫瘍壊死活性を持った因子として1975年に発見されたが、最近では、むしろ炎症反応のメディエーターとしての免疫機能の賦活因子として、またウイルス感染や細菌感染をはじめ種々の侵襲に対する防御因子としての作用の重要性が認識されてきている。また、LT−αは当初、リンパ球が産生する細胞傷害因子として報告され、TNF−αと同様にホモ三量体を形成し、55kDaと75kDaの2つのTNFレセプターに結合し、Bリンパ球の増殖促進以外は活性の強弱はあるもののTNFと同様な生物活性スペクトラムを示す。LT−βはLT−αと相同性の高い分子量33kDaの膜結合型タンパク質で、LT−αとヘテロ三量体を形成し、2種のTNFレセプターとは異なる新たに見いだされたLT−βレセプターに結合し、リンパ節形成というTNF、LT−α三量体にはない生物活性を有する。また最近、アポトーシス誘導活性を有しかつFasリガンドと相同性が高い分子(APO−2L/TRAIL)が新たに発見され、本タンパク質がTNFレセプターやFas抗原とは異なる別のレセプターDR4に結合して細胞傷害活性を発揮することが示されている(ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)271, 12687-12690, 1996;サイエンス(SCIENCE), 276, 111-113, 1997)。従って、このようなリガンド、レセプターの発現特異性が異なるお互いのTNF(TNFレセプター)ファミリーのタンパク質間でも、アポトーシス誘導活性における生理的に明確な機能分担があることが考えられる。
最近、アポトーシスと疾病との関連性について詳細な報告がされている(日本臨床、第54巻、第7号、1996年7月1日発行)。例えば、アポトーシス減少に起因する疾患としては、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌)、ウイルス感染(例、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎)が例示されており、一方、アポトーシス増加に起因する疾患としては、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中)、中毒性肝疾患(例、アルコール)が例示されている。
本発明は、新規Fasリガンド様タンパク質,その部分ペプチドまたはその塩、該タンパク質をコードするDNA、組換えベクター、形質転換体、該タンパク質の製造法、該タンパク質またはDNAを含有する医薬、該タンパク質に対する抗体、レセプターアゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法並びにスクリーニング用キット、該スクリーニングで得られるレセプターアゴニスト/アンタゴニスト並びにその医薬、該タンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進/阻害する化合物のスクリーニング方法並びにスクリーニング用キット、該スクリーニングで得られる化合物並びにその医薬、該タンパク質と該タンパク質が結合し得るレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物のクリーニング方法並びにスクリーニング用キット、該スクリーニングで得られる化合物並びにその医薬等を提供することを目的とする。
新たなFasリガンド様タンパク質の単離は、TNFファミリー、TNFレセプターファミリーを介した新たなアポトーシス経路を明らかにし、またそれが臓器あるいは細胞特異的に発現していれば、臓器別各種疾患とアポトーシスとの関連について、一層詳細な究明を可能にし、新たなFasリガンド様タンパク質に対して阻害活性あるいは促進活性を発揮し、種々の疾患の予防や治療に役立つ新たな医薬品の開発ができる。
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、ヒト肝臓、マウス胚およびラット肝臓由来cDNAライブラリーからそれぞれ新規な塩基配列を有するcDNAをクローニングすることに成功した。そして、本発明者らは、得られたcDNAにコードされるタンパク質が有用なFasリガンド様タンパク質であることを見いだし、これらの知見に基づいて、さらに検討を重ねた結果、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
(1)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列である第(1)項記載のタンパク質、
(3)アポトーシス誘導活性を有するタンパク質である第(1)項または第(2)項記載のタンパク質、
(4)第(1)項記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(5)第(1)項記載のタンパク質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(6)配列番号:4〜配列番号:10のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列を有する第(5)項記載のDNA、
(7)第(5)項記載のDNAを含有する組換えベクター、
(8)第(7)項記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(9)第(8)項記載の形質転換体を培養し、第(1)項記載のタンパク質を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする第(1)項記載のタンパク質またはその塩の製造方法、
(10)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有してなる医薬、
(11)第(5)項記載のDNAを含有してなる医薬、
(12)癌、ウイルス感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(10)項または第(11)項記載の医薬、
(13)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体、
(14)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(15)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(16)第(14)項記載のスクリーニング方法または第(15)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩、
(17)第(14)項記載のスクリーニング方法または第(15)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(18)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(19)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(20)第(18)項記載のスクリーニング方法または第(19)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩、
(21)第(18)項記載のスクリーニング方法または第(19)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(22)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を用いることを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のクリーニング方法、
(23)第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(24)第(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩、
(25)第(22)項記載のスクリーニング方法または第(23)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質、第(4)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩と第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(26)外来性の第(5)項記載のDNAまたはその変異DNAを有することを特徴とする非ヒト哺乳動物、
(27)第(5)項記載のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(28)第(5)項記載のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(29)該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が第(5)項記載のDNAに対するプロモーターの制御下で発現し得る第(28)項記載の非ヒト哺乳動物、
(30)第(29)項記載の非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする第(5)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(31)第(30)項記載のスクリーニング方法を用いて得られる、第(5)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩、および
(32)第(30)項記載のスクリーニング方法を用いて得られる第(5)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬。
また、本発明は、
(1)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有するタンパク質またはその塩、
(2)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列である第(1)項記載のタンパク質、
(3)配列番号:1または配列番号:2で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列が、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第54〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜240番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列である第(1)項記載のタンパク質、
(4)アポトーシス誘導活性を有するタンパク質である第(1)項〜第(3)項のいずれかに記載のタンパク質、
(5)第(1)項記載のタンパク質の部分ペプチドまたはその塩、
(6)第(1)項記載のタンパク質をコードする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(7)配列番号:4〜配列番号:10のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列を有する第(6)項記載のDNA、
(8)第(6)項記載のDNAを含有する組換えベクター、
(9)第(8)項記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(10)第(9)項記載の形質転換体を培養し、第(1)項記載のタンパク質を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする第(1)項記載のタンパク質またはその塩の製造方法、
(11)第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有してなる医薬、
(12)癌、ウイルス感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(11)項記載の医薬、
(13)第(6)項記載のDNAを含有してなる医薬、
(14)癌、ウイルス感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(13)項記載の医薬、
(15)第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体、
(16)(i)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターまたはその部分ペプチドに、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を接触させた場合と、(ii)該レセプターまたはその部分ペプチドに、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩および試験化合物を接触させた場合における、該レセプターまたはその部分ペプチドと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合量を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(17)(i)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を接触させた場合と、(ii)該レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩および試験化合物を接触させた場合における、該レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分と第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合量を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(18)(i)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞を接触させた場合と、(ii)該レセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞および試験化合物を接触させた場合における、該レセプターを含有する細胞におけるアポトーシス誘導活性または細胞傷害活性を測定して、比較することを特徴とする第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(19)第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(20)第(16)項〜第(18)項のいずれかに記載のスクリーニング方法または第(19)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合性を変化させる化合物またはその塩、
(21)第(16)項〜第(18)項のいずれかに記載のスクリーニング方法または第(19)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターに対するアゴニストを含有してなる医薬、
(22)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(21)項記載の医薬、
(23)第(16)項〜第(18)項のいずれかに記載のスクリーニング方法または第(19)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターに対するアンタゴニストを含有してなる医薬、
(24)エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎または潰瘍性大腸炎の治療・予防剤である第(23)項記載の医薬、
(25)(i)第(1)項記載のタンパク質またはその塩を分解するプロテイナーゼ(ただし、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞が、該タンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)の存在下で第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合と、(ii)第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼ(ただし、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞が、第(1)項記載のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)および試験化合物の存在下で第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合における、レセプターを介する細胞刺激活性、またはレセプターを含有する細胞のアポトーシスもしくは細胞傷害を測定または観察して、比較することを特徴とする第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(26)第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(27)第(25)項記載のスクリーニング方法または第(26)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物またはその塩、
(28)第(25)項記載のスクリーニング方法または第(26)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(29)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(28)項記載の医薬、
(30)第(25)項記載のスクリーニング方法または第(26)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる第(1)項記載のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(31)エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎または自己免疫性疾患の治療・予防剤である第(30)項記載の医薬、
(32)(i)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を接触させた場合と、(ii)該レセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩および試験化合物を接触させた場合における、該レセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のクリーニング方法、
(33)(i)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞を接触させた場合と、(ii)該レセプターを含有する細胞に、第(1)項記載のタンパク質を含有する細胞および試験化合物を接触させた場合において、該レセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を測定し、比較することを特徴とする、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のクリーニング方法、
(34)第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を含有する、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング用キット、
(35)第(32)項または第(33)項記載のスクリーニング方法または第(34)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩、
(36)第(32)項または第(33)項記載のスクリーニング方法または第(34)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(37)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防である第(36)項記載の医薬、
(38)第(32)項または第(33)項記載のスクリーニング方法または第(34)項記載のスクリーニング用キットを用いて得られる、第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターと第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩との結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(39)エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎または潰瘍性大腸炎の治療・予防剤である第(38)項記載の医薬、
(40)ヒトまたは哺乳動物に第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩を有効量投与することを特徴とするヒトまたは哺乳動物における癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症または痛みを治療または予防する方法、
(41)ヒトまたは哺乳動物に第(6)項記載のDNAを有効量投与することを特徴とするヒトまたは哺乳動物における癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みを治療または予防する方法、
(42)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤を製造するための第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の使用、
(43)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤を製造するための第(6)項記載のDNAの使用、
(44)外来性の第(6)項記載のDNAまたはその変異DNAを有することを特徴とする非ヒト哺乳動物、
(45)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(44)項記載の非ヒト哺乳動物、
(46)ゲッ歯動物がマウスである第(44)項記載の非ヒト哺乳動物、
(47)DNAが配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNA(マウス由来ゲノムDNA)である第(46)項記載の非ヒト哺乳動物、
(48)外来性の第(6)項記載のDNAまたはその変異DNAを含有し、非ヒト哺乳動物において発現し得る組換えベクター、
(49)DNAが配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNA(マウス由来ゲノムDNA)である第(48)項記載の組換えベクター、
(50)第(6)項記載のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(51)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された第(50)項記載の非ヒト動物胚幹細胞、
(52)ネオマイシン耐性である第(50)項記載の非ヒト動物胚幹細胞、
(53)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(50)項記載の非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(54)ゲッ歯動物がマウスである第(53)項記載の非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(55)DNAが配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNA(マウス由来ゲノムDNA)である第(54)項記載の非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(56)第(6)項記載のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(57)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来β−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの制御下で発現し得る第(56)項記載の非ヒト哺乳動物、
(58)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(56)項記載の非ヒト哺乳動物、
(59)ゲッ歯動物がマウスである第(58)項記載の非ヒト哺乳動物、
(60)DNAが配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNA(マウス由来ゲノムDNA)である第(59)項記載の非ヒト哺乳動物、
(61)第(56)項記載の非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(62)第(51)項記載のスクリーニング方法を用いて得られる、第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進する化合物またはその塩、
(63)第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(64)癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、骨疾患、動脈硬化症または痛みの治療・予防剤である第(63)項記載の医薬、
(65)第(51)項記載のスクリーニング方法を用いて得られる、第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を阻害する化合物またはその塩、
(66)第(6)項記載のDNAに対するプロモーターの活性を阻害する化合物またはその塩を含有してなる医薬、
(67)エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎または潰瘍性大腸炎の治療・予防剤である第(66)項記載の医薬、
(68)一般式、
Met Glu Xaa Ser Val Val Xaa Pro Ser Val Phe Val Val Asp Gly Gln
1 5 10 15
Thr Asp Ile Pro Phe Xaa Arg Leu Xaa Xaa Xaa His Arg Arg Xaa Xaa
20 25 30
Cys Xaa Xaa Xaa Xaa Val Xaa Leu Xaa Leu Xaa Leu Leu Leu Xaa Gly
35 40 45
Ala Gly Leu Ala Xaa Gln Gly Trp Phe Leu Leu Xaa Leu His Xaa Arg
50 55 60
Leu Gly Xaa Xaa Vla Xaa Xaa Leu Pro Asp Gly Xaa Xaa Gly Ser Trp
65 70 75 80
Glu Xaa Leu Ile Gln Xaa Xaa Arg Ser His Xaa Xaa Asn Pro Ala Ala
85 90 95
His Leu Thr Gly Ala Asn Xaa Ser Leu Xaa Gly Xaa Gly Gly Pro Leu
100 105 110
Leu Trp Glu Thr Xaa Leu Gly Leu Ala Phe Leu Arg Gly Leu Xaa Tyr
115 120 125
His Asp Gly Ala Leu Val Xaa Xaa Xaa Xaa Gly Tyr Tyr Tyr Xaa Tyr
130 135 140
Ser Lys Val Gln Leu Xaa Gly Val Gly Cys Pro Xaa Gly Leu Ala Xaa
145 150 155 160
Xaa Xaa Xaa Ile Thr His Gly Leu Tyr Lys Arg Thr Xaa Arg Tyr Pro
165 170 175
Glu Xaa Leu Glu Leu Leu Val Ser Xaa Xaa Ser Pro Cys Gly Arg Ala
180 185 190
Xaa Xaa Ser Ser Arg Val Trp Trp Asp Ser Ser Phe Leu Gly Gly Val
195 200 205
Val His Leu Glu Ala Gly Glu Xaa Val Val Val Arg Val Xaa Xaa Xaa
210 215 220
Arg Leu Val Arg Xaa Arg Asp Gly Thr Arg Ser Tyr Phe Gly Ala Phe
225 230 235 240
Met Val(I)
〔式中、Xaaは任意のアミノ酸残基を示し、欠失していてもよい〕で表わされるアミノ酸配列(配列番号:25で表わされるアミノ酸配列)を有する第(1)項記載のタンパク質、
(69)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する第(5)項記載の部分ペプチド、
(70)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第54〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜240番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する第(5)項記載の部分ペプチド、
(71)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列または配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を有する第(5)項記載の部分ペプチド、
(72)配列番号:4〜配列番号:10のいずれかの配列番号で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズする塩基配列を有するDNAを含有するDNA、
(73)第(72)項記載のDNAを含有する組換えベクター、
(74)第(73)項記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体、
(75)第(74)項記載の形質転換体を培養し、タンパク質を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする第(72)項記載のDNAにコードされるタンパク質またはその塩の製造方法、
(76)第(75)項記載の製造法で製造される、第(72)項記載のDNAにコードされるタンパク質またはその塩、
(77)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターが、TNFレセプターファミリーに属するレセプター(例、TNFレセプター、リンホトキシン−βレセプター、Fas、CD27、CD30、CD40、OX40、DR4、DR3/WSL−1、TR2)または第(1)項記載のタンパク質に対するレセプターである第(16)項〜第(18)項のいずれかに記載のスクリーニング方法、
(78)第(1)項記載のタンパク質が結合し得るレセプターが、TNFレセプターファミリーに属するレセプター(例、TNFレセプター、リンホトキシン−βレセプター、Fas、CD27、CD30、CD40、OX40、DR4、DR3/WSL−1、TR2)または第(1)項記載のタンパク質に対するレセプターである第(19)項記載のスクリーニング用キット、
(79)第(15)項記載の抗体と、被検液および標識化された第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の割合を測定することを特徴とする被検液中の第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法、
(80)被検液と担体上に不溶化した第(15)項記載の抗体および標識化された別の第(14)項記載の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の第(1)項記載のタンパク質、第(5)項記載の部分ペプチドまたはそれらの塩の定量法、
(81)第(15)項記載の抗体(好ましくは、第(1)項記載のタンパク質活性を中和する活性を有する第(15)項記載の抗体)を含有してなる医薬、
(82)エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎または潰瘍性大腸炎の治療・予防剤である第(81)項記載の医薬、
(83)第(6)項または第(72)項記載のDNAに相補的または実質的に相補的な塩基配列を有し、該DNAの発現を抑制し得る作用を有するアンチセンスDNA、
(84)第(6)項または第(72)項記載のDNAに実質的に相補的な塩基配列が、該DNAに相補的な塩基配列の全塩基配列あるいは部分塩基配列と約40%以上(好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上)の相同性を有する塩基配列である第(83)項記載のアンチセンスDNA、
(85)第(83)項記載のアンチセンスDNAを含有してなる医薬、および
(86)エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎または潰瘍性大腸炎の治療・予防剤である第(85)項記載の医薬を提供する。
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩は、アポトーシス活性、細胞傷害活性などの作用を有している。したがって、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩、および本発明のDNAは、例えば、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌、脳腫瘍、膀胱癌、子宮頸部癌、大腸癌(結腸/直腸癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染、水痘-帯状疱疹ウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染など)、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎(例、A型肝炎、C型肝炎など)、腎炎、骨疾患(例、リウマチ関節炎(例、リウマチにおける滑膜細胞の異常増殖)など)、動脈硬化症、痛みなどの疾病の予防・治療剤などとして有用である。
また、本発明のDNAは、例えば、癌、ウイルス感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎などの疾患の遺伝子診断剤として有用である。本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のタンパク質等の定量などに使用することができる。また、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩の活性を中和することができる抗体は、例えば、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫疾患などの予防・治療剤などとして使用することができる。
さらに、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩は、本発明のタンパク質とレセプターとの結合性を変化させる化合物,プロテイナーゼ促進もしくは阻害作用を有する化合物,またはレセプター結合後の細胞内シグナル伝達を促進もしくは阻害する化合物をスクリーニングするための試薬として有用である。
本発明のタンパク質は、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と同一もしくは実質的に同一のアミノ酸配列を有する。
本発明のタンパク質は、例えば、ヒトや温血動物(例えば、モルモット、ラット、マウス、ニワトリ、ウサギ、ブタ、ヒツジ、ウシ、ウマ、サルなど)のあらゆる細胞(例えば、脾細胞、神経細胞、グリア細胞、膵臓β細胞、骨髄細胞、メサンギウム細胞、ランゲルハンス細胞、表皮細胞、上皮細胞、内皮細胞、繊維芽細胞、繊維細胞、筋細胞、脂肪細胞、免疫細胞(例、マクロファージ、T細胞、B細胞、ナチュラルキラー細胞、肥満細胞、好中球、好塩基球、好酸球、単球)、巨核球、滑膜細胞、軟骨細胞、骨細胞、骨芽細胞、破骨細胞、乳腺細胞、肝細胞もしくは間質細胞、またはこれら細胞の前駆細胞、幹細胞もしくはガン細胞など)、またはそれらの細胞が存在するあらゆる組織、例えば、脳、脳の各部位(例、嗅球、扁桃核、大脳基底核、海馬、視床、視床下部、大脳皮質、延髄、小脳)、脊髄、下垂体、胃、膵臓、腎臓、肝臓、生殖腺、甲状腺、胆のう、骨髄、副腎、皮膚、筋肉、肺、消化管(例、大腸、小腸、十二指腸)、血管、心臓、胸腺、脾臓、顎下腺、末梢血、前立腺、睾丸、卵巣、胎盤、子宮、骨、関節、骨格筋などに由来するタンパク質であってもよく、また合成タンパク質であってもよい。
配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが挙げられる。特に、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列のうち第83番目〜第240番目のアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列のうち第81番目〜第239番目のアミノ酸配列または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列のうち第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有する場合が好ましい。
また、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3と実質的に同一のアミノ酸配列としては、構成アミノ酸として、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列なども好ましい。これらのアミノ酸配列は、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列および配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に共通するアミノ酸配列である。
また、配列番号:1または配列番号:2と実質的に同一のアミノ酸配列としては、構成アミノ酸として、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第54〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜240番目のアミノ酸配列を有するアミノ酸配列なども好ましい。これらのアミノ酸配列は、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第6〜20番目、第52〜57番目、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目および第227〜239番目のアミノ酸配列に対応し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列と配列番号:2で表わされるアミノ酸配列に共通するアミノ酸配列である。
配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を含有する本発明のタンパク質としては、上記のとおり配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質と実質的に同質の活性を有するタンパク質などが好ましい。
実質的に同質の活性としては、例えば、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性が挙げられる。実質的に同質とは、それらの活性が性質的(例、生理化学的または薬理学的)に同質であることを示す。したがって、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性が同等(例、約0.01〜20倍、好ましくは約0.2〜5倍、より好ましくは約0.5〜2倍)であることが好ましいが、これらの活性の程度やタンパク質の分子量などの量的要素は異なっていてもよい。
アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、後述するスクリーニング方法で記載されている方法などを用いて測定することができる。
また、本発明のタンパク質には、(1)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、(2)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、(3)配列番号:1、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、または(4)それらを組み合わせたアミノ酸配列を含有するタンパク質などのいわゆるムテインも含まれる。
上記のようにアミノ酸配列が欠失または置換されている場合、その欠失または置換の位置としては、特に限定されないが、例えば、(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目(または第54〜59番目)、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目または第228〜239番目(または第228〜240番目)のアミノ酸配列以外の位置、好ましくは、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目または第228〜240番目のアミノ酸配列以外の位置、(2)配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第6〜19番目、第53〜57番目(または第52〜57番目)、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目または第227〜238番目(または第227〜239番目)のアミノ酸配列以外の位置、好ましくは、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目または第227〜239番目のアミノ酸配列以外の位置、(3)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第6〜19番目、53〜57番目(または第52〜57番目)、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目または第227〜238番目(または第227〜239番目)のアミノ酸配列以外の位置、好ましくは、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目または第227〜239番目のアミノ酸配列以外の位置などが挙げられる。
さらには、具体的には、一般式、
Met Glu Xaa Ser Val Val Xaa Pro Ser Val Phe Val Val Asp Gly Gln
1 5 10 15
Thr Asp Ile Pro Phe Xaa Arg Leu Xaa Xaa Xaa His Arg Arg Xaa Xaa
20 25 30
Cys Xaa Xaa Xaa Xaa Val Xaa Leu Xaa Leu Xaa Leu Leu Leu Xaa Gly
35 40 45
Ala Gly Leu Ala Xaa Gln Gly Trp Phe Leu Leu Xaa Leu His Xaa Arg
50 55 60
Leu Gly Xaa Xaa Vla Xaa Xaa Leu Pro Asp Gly Xaa Xaa Gly Ser Trp
65 70 75 80
Glu Xaa Leu Ile Gln Xaa Xaa Arg Ser His Xaa Xaa Asn Pro Ala Ala
85 90 95
His Leu Thr Gly Ala Asn Xaa Ser Leu Xaa Gly Xaa Gly Gly Pro Leu
100 105 110
Leu Trp Glu Thr Xaa Leu Gly Leu Ala Phe Leu Arg Gly Leu Xaa Tyr
115 120 125
His Asp Gly Ala Leu Val Xaa Xaa Xaa Xaa Gly Tyr Tyr Tyr Xaa Tyr
130 135 140
Ser Lys Val Gln Leu Xaa Gly Val Gly Cys Pro Xaa Gly Leu Ala Xaa
145 150 155 160
Xaa Xaa Xaa Ile Thr His Gly Leu Tyr Lys Arg Thr Xaa Arg Tyr Pro
165 170 175
Glu Xaa Leu Glu Leu Leu Val Ser Xaa Xaa Ser Pro Cys Gly Arg Ala
180 185 190
Xaa Xaa Ser Ser Arg Val Trp Trp Asp Ser Ser Phe Leu Gly Gly Val
195 200 205
Val His Leu Glu Ala Gly Glu Xaa Val Val Val Arg Val Xaa Xaa Xaa
210 215 220
Arg Leu Val Arg Xaa Arg Asp Gly Thr Arg Ser Tyr Phe Gly Ala Phe
225 230 235 240
Met Val(I)
〔式中、Xaaは任意のアミノ酸残基を示す〕で表わされるアミノ酸配列〔配列番号:25で表わされるアミノ酸配列〕を有するタンパク質なども好ましく用いられる。また、上記の一般式(I)において、1個または2個以上(例えば1〜56、好ましくは1〜40個、より好ましくは1〜20個、さらに好ましくは1〜9個、最も好ましくは数個)の位置でXaaが欠失していてもよい。
Xaaで示されるアミノ酸としては、親水性アミノ酸、疎水性アミノ酸のいずれでもよく、また、酸性アミノ酸、塩基性アミノ酸、中性アミノ酸のいずれでもよい。具体的には、Gly、Ala、Val、Leu、Ile、Ser、Thr、Cys、Met、Glu、Asp、Lys、Arg、His、Phe、Tyr、Trp、Pro、Asn、Glnなどが用いられる。
一般式(I)中、第3番目のXaaとしては、Gluが好ましく、あるいは欠失していてもよい。
第7番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ArgまたはGlnが好適である。
第22番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ThrまたはArgが好適である。
第25番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlyまたはGluが好適である。
第26番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ArgまたはGlnが好適である。
第27番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはAsnが好適である。
第31番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlnまたはArgが好適である。
第32番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはArgが好適である。
第34番目のXaaとしては、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはGlyが好適である。
第35番目のXaaとしては、例えば、ValまたはThrが好適である。
第36番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、AlaまたはValが好適である。
第37番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ArgまたはGlnが好適である。
第39番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlyまたはSerが好適である。
第41番目のXaaとしては、例えば、GlyまたはAlaが好適である。
第43番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、LeuまたはValが好適である。
第47番目のXaaとしては、Metが好ましく、あるいは欠失していてもよい。第53番目のXaaとしては、例えば、ValまたはThrが好適である。
第60番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlnまたはArgが好適である。
第63番目のXaaとしては、例えば、TrpまたはGlnが好適である。
第67番目のXaaとしては、例えば、酸性アミノ酸が好ましく、具体的には、GluまたはAspが好適である。
第68番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、MetまたはIleが好適である。
第70番目のXaaとしては、例えば、ThrまたはAlaが好適である。
第71番目のXaaとしては、例えば、塩基性アミノ酸が好ましく、具体的には、ArgまたはHisが好適である。
第76番目のXaaとしては、例えば、ProまたはGlyが好適である。第77番目のXaaとしては、例えば、AlaまたはLysが好適である。
第82番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlnまたはLysが好適である。
第86番目のXaaとしては、例えば、酸性アミノ酸が好ましく、具体的には、GluまたはAspが好適である。
第87番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ArgまたはGlnが好適である。
第91番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GluまたはGlnが好適である。
第92番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ValまたはAlaが好適である。
第103番目のXaaとしては、例えば、SerまたはAlaが好適である。
第106番目のXaaとしては、例えば、ThrまたはIleが好適である。
第108番目のXaaとしては、例えば、SerまたはIleが好適である。
第117番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlnまたはArgが好適である。
第127番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはThrが好適である。
第135番目のXaaとしては、例えば、ValまたはThrが好適である。
第136番目のXaaとしては、例えば、ThrまたはMetが好適である。
第137番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、LysまたはGluが好適である。
第138番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、AlaまたはProが好適である。
第143番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、IleまたはValが好適である。
第150番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlyまたはSerが好適である。
第156番目のXaaとしては、例えば、LeuまたはGlnが好適である。
第160番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはAsnが好適である。
第161番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、ThrまたはGlyが好適である。
第162番目のXaaとしては、Leuが好ましく、あるいは欠失していてもよい。
第163番目のXaaとしては、Proが好ましく、あるいは欠失していてもよい。
第173番目のXaaとしては、例えば、ProまたはSerが好適である。
第178番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GluまたはLysが好適である。
第185番目および186番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GlnまたはArgが好適である。
第193番目のXaaとしては、Thrが好ましく、あるいは欠失していてもよい。
第194番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、SerまたはAsnが好適である。
第216番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、LysまたはGluが好適である。
第222番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、LeuまたはProが好適である。
第223番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、AspまたはGlyが好適である。
第224番目のXaaとしては、例えば、親水性アミノ酸が好ましく、具体的には、GluまたはAsnが好適である。
第229番目のXaaとしては、例えば、疎水性アミノ酸が好ましく、具体的には、LeuまたはProが好適である。
本明細書におけるタンパク質は、ペプチド標記の慣例に従って左端がN末端(アミノ末端)、右端がC末端(カルボキシル末端)である。配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をはじめとする、本発明のタンパク質は、C末端が通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
ここでエステル基のRとしては、例えば、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピルもしくはn−ブチルなどのC1-6アルキル基、例えば、シクロペンチル、シクロヘキシルなどのC3-8シクロアルキル基、例えば、フェニル、α−ナフチルなどのC6-12アリール基、例えば、ベンジル、フェネチルなどのフェニル−C1-2アルキル基もしくはα−ナフチルメチルなどのα−ナフチル−C1-2アルキル基などのC7-14アラルキル基のほか、経口用エステルとして汎用されるピバロイルオキシメチル基などが用いられる。
本発明のタンパク質がC末端以外にカルボキシル基(またはカルボキシレート)を有している場合、カルボキシル基がアミド化またはエステル化されているものも本発明のタンパク質に含まれる。この場合のエステルとしては、例えば上記したC末端のエステルなどが用いられる。
さらに、本発明のタンパク質には、上記したタンパク質において、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基(例えば、−OH、−SH、アミノ基、イミダゾール基、インドール基、グアニジノ基など)が適当な保護基(例えば、ホルミル基、アセチル基などのC1-6アルカノイルなどのC1-6アシル基など)で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖タンパク質などの複合タンパク質なども含まれる。
より具体的には、本発明のタンパク質としては、例えば、配列番号:1〔図1または図2〕で表わされるアミノ酸配列を有するヒト肝臓由来のタンパク質、配列番号:2〔図3または図4〕で表わされるアミノ酸配列を有するマウス胚由来のタンパク質、配列番号:3〔図6〕で表わされるアミノ酸配列を有するラット肝臓由来のタンパク質などが好適である。
本発明のタンパク質の部分ペプチドとしては、前記した本発明のタンパク質と同質の活性、例えば、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性を有するペプチドであれば何れのものであってもよい。例えば、本発明のタンパク質のアミノ酸配列のうち、少なくとも約20個以上、好ましくは約50個以上、より好ましくは約70個以上、さらに好ましくは約100個以上、最も好ましくは約200個以上のアミノ酸残基を有するペプチドなどが好ましく用いられる。
例えば、(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第6〜20番目、第53〜57番目、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目および第227〜238番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する部分ペプチド)、(2)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第54〜59番目、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜240番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する部分ペプチド(すなわち、配列番号:2または配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第6〜20番目、第52〜57番目、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目および第227〜239番目のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つ以上のアミノ酸配列を有する部分ペプチド)などが用いられる。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチド、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドなどが好ましく用いられる。
さらに、本発明の部分ペプチドとしては、(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、(2)配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチド、(3)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列を有し、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を含有するペプチドと実質的に同質の活性を有するペプチドなどが好ましい。
配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが用いられる。
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と実質的に同一のアミノ酸配列としては、例えば、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列と約40%以上、好ましくは60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有するアミノ酸配列などが用いられる。
「実質的に同質の活性」とは、前記と同意義を示す。
アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性は、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、後述するスクリーニング方法で記載されている方法などを用いて測定することができる。
また、本発明の部分ペプチドには、(1)配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配配列を含有する部分ペプチド、(2)配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配配列を含有する部分ペプチド、(3)配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が欠失したアミノ酸配列、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列に1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が付加したアミノ酸配列、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列中の1または2個以上(例えば1〜80個、好ましくは1〜20個程度、より好ましくは1〜9個程度、さらに好ましくは数(例、1〜5)個)のアミノ酸が他のアミノ酸で置換されたアミノ酸配列、またはそれらを組み合わせたアミノ酸配配列を含有する部分ペプチドなども含まれる。
上記のように欠失または置換されている場合、具体的には、一般式(I)で表わされるアミノ酸配列から第1〜82番目のアミノ酸を取り除いたアミノ酸配列を有するペプチドなどが好ましく用いられる。
また、本発明の部分ペプチドのC末端は通常カルボキシル基(−COOH)またはカルボキシレート(−COO-)であるが、前記した本発明のタンパク質のごとく、C末端がアミド(−CONH2)またはエステル(−COOR)であってもよい。
さらに、本発明の部分ペプチドには、前記した本発明のタンパク質と同様に、上記した部分ペプチドにおいて、N末端のアミノ酸残基のアミノ基が保護基で保護されているもの、N端側が生体内で切断され生成したグルタミル基がピログルタミル化したもの、分子内のアミノ酸の側鎖上の置換基が適当な保護基で保護されているもの、あるいは糖鎖が結合したいわゆる糖ペプチドなどの複合ペプチドなども含まれる。
本発明の部分ペプチドとしては、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜第240番目のアミノ酸配列、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を有するペプチド、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜第239番目のアミノ酸配列を有するペプチドが好適である。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドの塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のタンパク質またはその塩は、前述したヒトや温血動物の細胞または組織から自体公知のタンパク質の精製方法によって製造することもできるし、後述するタンパク質をコードするDNAを含有する形質転換体を培養することによっても製造することができる。また、後述のタンパク質合成法またはこれに準じて製造することもできる。
ヒトや温血動物の組織または細胞から製造する場合、ヒトや温血動物の組織または細胞をホモジナイズした後、酸などで抽出を行い、該抽出液を逆相クロマトグラフィー、イオン交換クロマトグラフィーなどのクロマトグラフィーを組み合わせることにより精製単離することができる。
本発明のタンパク質、その部分ペプチドもしくはそれらの塩またはそれらのアミド体の合成には、通常市販のタンパク質合成用樹脂を用いることができる。そのような樹脂としては、例えば、クロロメチル樹脂、ヒドロキシメチル樹脂、ベンズヒドリルアミン樹脂、アミノメチル樹脂、4−ベンジルオキシベンジルアルコール樹脂、4−メチルベンズヒドリルアミン樹脂、PAM樹脂、4−ヒドロキシメチルメチルフェニルアセトアミドメチル樹脂、ポリアクリルアミド樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−ヒドロキシメチル)フェノキシ樹脂、4−(2',4'-ジメトキシフェニル−Fmocアミノエチル)フェノキシ樹脂などを挙げることができる。このような樹脂を用い、α−アミノ基と側鎖官能基を適当に保護したアミノ酸を、目的とするタンパク質の配列通りに、自体公知の各種縮合方法に従い、樹脂上で縮合させる。反応の最後に樹脂からタンパク質を切り出すと同時に各種保護基を除去し、さらに高希釈溶液中で分子内ジスルフィド結合形成反応を実施し、目的のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらのアミド体を取得する。
上記した保護アミノ酸の縮合に関しては、タンパク質合成に使用できる各種活性化試薬を用いることができるが、特に、カルボジイミド類がよい。カルボジイミド類としては、DCC、N,N'-ジイソプロピルカルボジイミド、N-エチル-N'-(3-ジメチルアミノプロリル)カルボジイミドなどが用いられる。これらによる活性化にはラセミ化抑制添加剤(例えば、HOBt, HOOBt)とともに保護アミノ酸を直接樹脂に添加するかまたは、対称酸無水物またはHOBtエステルあるいはHOOBtエステルとしてあらかじめ保護アミノ酸の活性化を行なったのちに樹脂に添加することができる。保護アミノ酸の活性化や樹脂との縮合に用いられる溶媒としては、タンパク質縮合反応に使用しうることが知られている溶媒から適宜選択されうる。例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリドン、クロロホルム、トリフルオロエタノール、ジメチルスルホキシド、DMF、ジメチルスルホキシド、ピリジン、クロロホルム、ジオキサン、塩化メチレン、テトラヒドロフラン、アセトニトリル、酢酸エチル、N-メチルピロリドンあるいはこれらの適宜の混合物などが用いられる。反応温度はタンパク質結合形成反応に使用され得ることがしられている範囲から適宜選択され、通常約−20℃〜50℃の範囲から適宜選択される。活性化されたアミノ酸誘導体は通常1.5〜4倍過剰で用いられる。ニンヒドリン反応を用いたテストの結果、縮合が不十分な場合には保護基の脱離を行うことなく縮合反応を繰り返すことにより十分な縮合を行なうことができる。反応を繰り返しても十分な縮合が得られないときには、無水酢酸またはアセチルイミダゾールを用いて未反応アミノ酸をアセチル化することによって、後の反応に影響を与えないようにすることができる。
原料のアミノ基の保護基としては、例えば、Z、Boc、ターシャリーアミルオキシカルボニル、イソボルニルオキシカルボニル、4−メトキシベンジルオキシカルボニル、Cl-Z、Br-Z、アダマンチルオキシカルボニル、トリフルオロアセチル、フタリル、ホルミル、2−ニトロフェニルスルフェニル、ジフェニルホスフィノチオイル、Fmocなどが用いられる。
カルボキシル基は、例えば、アルキルエステル(例えば、メチル、エチル、プロピル、ブチル、ターシャリーブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチル、シクロオクチル、2−アダマンチルなどのエステル基)、ベンジルエステル、4−ニトロベンジルエステル、4−メトキシベンジルエステル、4−クロロベンジルエステル、ベンズヒドリルエステル、フェナシンエステル、ベンジルオキシカルボニルヒドラジド、ターシャリーブトキシカルボニルヒドラジド、トリチルヒドラジドなどに導くことによって保護することができる。
セリンの水酸基は、例えば、エステル化またはエーテル化によって保護することができる。このエステル化に適する基としては、例えば、アセチル基などの低級アルカノイル基、ベンゾイル基などのアロイル基、ベンジルオキシカルボニル基、エトキシカルボニル基などの炭素から誘導される基などが用いられる。また、エーテル化に適する基としては、例えば、ベンジル基、テトラヒドロピラニル基、t-ブチル基などである。
チロシンのフェノール性水酸基の保護基としては、例えば、Bzl、Cl2-Bzl、2−ニトロベンジル、Br-Z、ターシャリーブチルなどが用いられる。
ヒスチジンのイミダゾールの保護基としては、例えば、Tos、4-メトキシ-2,3,6-トリメチルベンゼンスルホニル、DNP、ベンジルオキシメチル、Bum、Boc、Trt、Fmocなどが用いられる。
原料のカルボキシル基の活性化されたものとしては、例えば、対応する酸無水物、アジド、活性エステル〔アルコール(例えば、ペンタクロロフェノール、2,4,5-トリクロロフェノール、2,4-ジニトロフェノール、シアノメチルアルコール、パラニトロフェノール、HONB、N-ヒドロキシスクシミド、N-ヒドロキシフタルイミド、HOBt)とのエステル〕などが用いられる。原料のアミノ基の活性化されたものとしては、例えば、対応するリン酸アミドが用いられる。
保護基の除去(脱離)方法としては、例えば、Pd黒あるいはPd-炭素などの触媒の存在下での水素気流中での接触還元や、また、無水フッ化水素、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、トリフルオロ酢酸あるいはこれらの混合液などによる酸処理や、ジイソプロピルエチルアミン、トリエチルアミン、ピペリジン、ピペラジンなどによる塩基処理、また液体アンモニア中ナトリウムによる還元なども用いられる。上記酸処理による脱離反応は、一般に約−20℃〜40℃の温度で行なわれるが、酸処理においては、例えば、アニソール、フェノール、チオアニソール、メタクレゾール、パラクレゾール、ジメチルスルフィド、1,4-ブタンジチオール、1,2-エタンジチオールのようなカチオン捕捉剤の添加が有効である。また、ヒスチジンのイミダゾール保護基として用いられる2,4-ジニトロフェニル基はチオフェノール処理により除去され、トリプトファンのインドール保護基として用いられるホルミル基は上記の1,2-エタンジチオール、1,4-ブタンジチオールなどの存在下の酸処理による脱保護以外に、希水酸化ナトリウム溶液、希アンモニアなどによるアルカリ処理によっても除去される。
原料の反応に関与すべきでない官能基の保護および保護基、ならびにその保護基の脱離、反応に関与する官能基の活性化などは公知の基あるいは公知の手段から適宜選択しうる。
タンパク質のアミド体を得る別の方法としては、まず、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基をアミド化して保護した後、アミノ基側にペプチド(タンパク質)鎖を所望の鎖長まで延ばした後、該ペプチド鎖のN末端のα−アミノ基の保護基のみを除いたタンパク質とC末端のカルボキシル基の保護基のみを除去したタンパク質とを製造し、この両タンパク質を上記したような混合溶媒中で縮合させる。縮合反応の詳細については上記と同様である。縮合により得られた保護タンパク質を精製した後、上記方法によりすべての保護基を除去し、所望の粗タンパク質を得ることができる。この粗タンパク質は既知の各種精製手段を駆使して精製し、主要画分を凍結乾燥することで所望のタンパク質のアミド体を得ることができる。
タンパク質のエステル体を得るには、カルボキシ末端アミノ酸のα−カルボキシル基を所望のアルコール類と縮合しアミノ酸エステルとした後、タンパク質のアミド体と同様にして、所望のタンパク質のエステル体を得ることができる。
本発明の部分ペプチドまたはその塩は、自体公知のペプチドの合成法に従って、あるいは本発明のタンパク質を適当なペプチダーゼで切断することによって製造することができる。ペプチドの合成法としては、例えば、固相合成法、液相合成法のいずれによっても良い。すなわち、本発明のタンパク質を構成し得る部分ペプチドもしくはアミノ酸と残余部分とを縮合させ、生成物が保護基を有する場合は保護基を脱離することにより目的のペプチドを製造することができる。公知の縮合方法や保護基の脱離としては、例えば、以下の(1)〜(5)に記載された方法が挙げられる。
(1)M. Bodanszky および M.A. Ondetti、ペプチド・シンセシス (Peptide Synthesis), Interscience Publishers, New York (1966年)
(2)SchroederおよびLuebke、ザ・ペプチド(The Peptide), Academic Press, NewYork (1965年)
(3)泉屋信夫他、ペプチド合成の基礎と実験、 丸善(株) (1975年)
(4)矢島治明 および榊原俊平、生化学実験講座 1、 タンパク質の化学IV、 205、(1977年)
(5)矢島治明監修、続医薬品の開発 第14巻 ペプチド合成 広川書店
また、反応後は通常の精製法、例えば、溶媒抽出・蒸留・カラムクロマトグラフィー・液体クロマトグラフィー・再結晶などを組み合わせて本発明のタンパク質を精製単離することができる。上記方法で得られるタンパク質が遊離体である場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって適当な塩に変換することができるし、逆に塩で得られた場合は、公知の方法あるいはそれに準じる方法によって遊離体または他の塩に変換することができる。
本発明のタンパク質をコードするDNAとしては、前述した本発明のタンパク質をコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接Reverse Transcriptase Polymerase Chain Reaction(以下、RT-PCR法と略称する)によって増幅することもできる。
具体的には、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAにハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と同質の活性(例、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性)を有するタンパク質をコードするDNAなどが用いられる。
配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAとハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明の配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:7で表わされる塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:7で表わされる塩基配列を有するDNAにハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と同質の活性を有するタンパク質をコードするDNAなどが用いられる。
配列番号:7で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:7で表わされる塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
本発明の配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質をコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:10で表わされる塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:10で表わされる塩基配列を有するDNAにハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するタンパク質と同質の活性を有するタンパク質をコードするDNAなどが用いられる。
配列番号:10で表わされる塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:10で表わされる塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションは、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook etal., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。より好ましくは、ハイストリンジェントな条件に従って行なうことができる。
ハイストリンジェントな条件とは、例えば、ナトリウム濃度が約19〜40mM、好ましくは約19〜20mMで、温度が約50〜70℃、好ましくは約60〜65℃の条件を示す。特に、ナトリウム濃度が約19mMで温度が約65℃の場合が最も好ましい。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。また、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば、配列番号:5〔図1〕または配列番号:6〔図2〕で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:7で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。また、本発明の配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAを含有するDNAとしては、例えば、配列番号:8〔図3〕または配列番号:9で表わされる塩基配列を有するDNA〔図4〕などが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を含有するタンパク質をコードするDNAとしては、配列番号:10で表わされる塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
本発明の部分ペプチドをコードするDNAとしては、前述した本発明の部分ペプチドをコードする塩基配列を含有するものであればいかなるものであってもよい。また、ゲノムDNA、ゲノムDNAライブラリー、前記した細胞・組織由来のcDNA、前記した細胞・組織由来のcDNAライブラリー、合成DNAのいずれでもよい。ライブラリーに使用するベクターは、バクテリオファージ、プラスミド、コスミド、ファージミドなどいずれであってもよい。また、前記した細胞・組織よりmRNA画分を調製したものを用いて直接RT-PCR法によって増幅することもできる。
具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第8〜21番目、第55〜59番目(または第54〜59番目)、第93〜102番目、第109〜116番目、第118〜126番目、第128〜134番目、第144〜149番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第193〜213番目、第215〜219番目および第228〜239番目(または第228〜240番目)のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列の第22〜63番目、第163〜177番目(または第160〜177番目)、第277〜306番目、第325〜348番目、第352〜378番目、第382〜402番目、第430〜447番目、第484〜510番目、第526〜546番目、第550〜567番目、第577〜639番目、第643〜657番目および第682〜717番目(または第682〜720番目)の塩基配列から選ばれる少なくとも1つの塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第6〜20番目、第53〜57番目(または第52〜57番目)、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目および第227〜238番目(または第227〜239番目)のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:7で表わされる塩基配列の第16〜60番目、第157〜171番目(または第154〜171番目)、第271〜300番目、第319〜342番目、第346〜372番目、第376〜396番目、第424〜441番目、第484〜510番目、第526〜546番目、第550〜567番目、第574〜636番目、第640〜654番目および第678〜714番目(または第678〜717番目)の塩基配列から選ばれる少なくとも1つの塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第6〜20番目、第53〜57番目(または第52〜57番目)、第91〜100番目、第107〜114番目、第116〜124番目、第126〜132番目、第142〜147番目、第162〜170番目、第176〜182番目、第184〜189番目、第192〜212番目、第214〜218番目および第227〜238番目(または第227〜239番目)のアミノ酸配列から選ばれる少なくとも1つのアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、配列番号:10で表わされる塩基配列の第16〜60番目、第157〜171番目(または第154〜171番目)、第271〜300番目、第319〜342番目、第346〜372番目、第376〜396番目、第424〜441番目、第484〜510番目、第526〜546番目、第550〜567番目、第574〜636番目、第640〜654番目および第678〜714番目(または第678〜717番目)の塩基配列から選ばれる少なくとも1つの塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
また、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜240番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:4で表わされる塩基配列の第247番目〜第720番目の塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:4で表わされる塩基配列の第247番目〜第720番目の塩基配列を有するDNAにハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズし、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜240番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドと同質の活性(例、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性)を有する部分ペプチドをコードするDNAなども用いられる。
配列番号:4で表わされる塩基配列の第247番目〜第720番目の塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:4で表わされる塩基配列の第247番目〜第720番目の塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:7で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:7で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNAにハイブリダイズし、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドと同質の活性(例、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性)を有する部分ペプチドをコードするDNAなども用いられる。
配列番号:7で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:7で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、例えば、(1)配列番号:10で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNA、(2)配列番号:10で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNAにハイブリダイズし、配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドと同質の活性(例、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの活性)を有する部分ペプチドをコードするDNAなども用いられる。
配列番号:10で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列とハイストリンジェントな条件下でハイブリダイズできるDNAとしては、例えば、配列番号:10で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは80%以上、さらに好ましくは約90%以上、最も好ましくは約95%以上の相同性を有する塩基配列を含有するDNAなどが用いられる。
ハイブリダイゼーションの方法およびハイストリンジェントな条件は、前記と同様である。
より具体的には、配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第83番目〜240番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:4で表わされる塩基配列の第247番目〜第720番目の塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:2で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:7で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNAなどが用いられる。配列番号:3で表わされるアミノ酸配列の第81番目〜239番目のアミノ酸配列を有する部分ペプチドをコードするDNAとしては、配列番号:10で表わされる塩基配列の第241番目〜第717番目の塩基配列を有するDNAなどが用いられる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAのクローニングの手段としては、本発明のタンパク質をコードするDNAの部分塩基配列を有する合成DNAプライマーを用いて、PCR法によって前記DNAライブラリー等から目的とするDNAを増幅するか、または適当なベクターに組み込んだDNAを本発明のタンパク質の一部あるいは全領域を有するDNA断片もしくは合成DNAを用いて標識したものとのハイブリダイゼーションによって選別することができる。ハイブリダイゼーションの方法は、例えば、モレキュラー・クローニング(Molecular Cloning)2nd(J. Sambrook et al., Cold Spring Harbor Lab. Press, 1989)に記載の方法などに従って行なうことができる。また、市販のライブラリーを使用する場合、添付の使用説明書に記載の方法に従って行なうことができる。
DNAの塩基配列の変換(欠失・付加・置換)は、公知のキット、例えば、MutanTM-G(宝酒造(株))、MutanTM-K(宝酒造(株))などを用いて、Gapped duplex法やKunkel法などの自体公知の方法あるいはそれらに準じる方法に従って行なうことができる。
クローン化された本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAは、目的によりそのまま、または所望により制限酵素で消化したり、リンカーを付加したりして使用することができる。該DNAはその5'末端側に翻訳開始コドンとしてのATGを有し、また3'末端側には翻訳終止コドンとしてのTAA、TGAまたはTAGを有していてもよい。これらの翻訳開始コドンや翻訳終止コドンは、適当な合成DNAアダプターを用いて付加することもできる。
本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAの発現ベクターは、例えば、(イ)本発明のタンパク質をコードするDNAから目的とするDNA断片を切り出し、(ロ)該DNA断片を適当な発現ベクター中のプロモーターの下流に連結することにより製造することができる。
ベクターとしては、例えば、大腸菌由来のプラスミド(例、pBR322,pBR325,pUC12,pUC13)、枯草菌由来のプラスミド(例、pUB110,pTP5,pC194)、酵母由来プラスミド(例、pSH19,pSH15)、λファージなどのバクテリオファージ、レトロウイルス,ワクシニアウイルス,バキュロウイルスなどの動物ウイルスなどの他、pA1−11、pXT1、pRc/CMV、pRc/RSV、pcDNAI/Neoなどが用いられる。
本発明で用いられるプロモーターとしては、遺伝子の発現に用いる宿主に対応して適切なプロモーターであればいかなるものでもよい。例えば、動物細胞を宿主として用いる場合は、SRαプロモーター、SV40プロモーター、LTRプロモーター、CMV(サイトメガロウイルス)プロモーター、HSV-TKプロモーターなどが挙げられる。これらのうち、CMVプロモーター、SRαプロモーターなどを用いるのが好ましい。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、trpプロモーター、lacプロモーター、recAプロモーター、λPLプロモーター、lppプロモーターなどが、宿主がバチルス属菌である場合は、SPO1プロモーター、SPO2プロモーター、penPプロモーターなど、宿主が酵母である場合は、AOX1プロモーター、PHO5プロモーター、PGKプロモーター、GAPプロモーター、ADHプロモーターなどが好ましい。宿主が昆虫細胞である場合は、ポリヘドリンプロモーター、P10プロモーターなどが好ましい。
発現ベクターには、以上の他に、所望によりエンハンサー、スプライシングシグナル、ポリA付加シグナル、選択マーカー、SV40複製オリジン(以下、SV40oriと略称する場合がある)などを含有しているものを用いることができる。選択マーカーとしては、例えば、ジヒドロ葉酸還元酵素(以下、dhfrと略称する場合がある)遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子(以下、Amprと略称する場合がある)、ネオマイシン耐性遺伝子(以下、Neoと略称する場合がある、G418耐性)等が用いられる。dhfr遺伝子はメソトレキセート(MTX)耐性を、NeoはG418耐性を付与する。特に、dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHOを用いてdhfr遺伝子を選択マーカーとして使用する場合、チミジンを含まない培地によっても目的とする遺伝子を選択することができる。
また、必要に応じて、宿主に合ったシグナル配列を、タンパク質のN端末側に付加する。宿主がエシェリヒア属菌である場合は、PhoA・シグナル配列、OmpA・シグナル配列などが、宿主がバチルス属菌である場合は、α−アミラーゼ・シグナル配列、サブチリシン・シグナル配列などが、宿主が酵母である場合は、MFα・シグナル配列、SUC2・シグナル配列など、宿主が動物細胞である場合には、例えばインシュリン・シグナル配列、α−インターフェロン・シグナル配列、抗体分子・シグナル配列などがそれぞれ利用できる。
このようにして構築された本発明のタンパク質をコードするDNAを含有するベクターを細胞に導入することによって形質転換体を製造することができる。
宿主としては、例えば、エシェリヒア属菌、バチルス属菌、酵母、昆虫細胞、昆虫、動物細胞などが用いられる。
エシェリヒア属菌としては、例えば、エシェリヒア・コリ(Escherichia coli)K12・DH1〔プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),60巻,160(1968)〕,JM103〔ヌクイレック・アシッズ・リサーチ,(Nucleic Acids Research),9巻,309(1981)〕,JA221〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー(Journal of Molecular Biology)〕,120巻,517(1978)〕,HB101〔ジャーナル・オブ・モレキュラー・バイオロジー,41巻,459(1969)〕,C600〔ジェネティックス(Genetics),39巻,440(1954)〕などが用いられる。
バチルス属菌としては、例えば、バチルス・サチルス(Bacillus subtilis)MI114〔ジーン,24巻,255(1983)〕,207−21〔ジャーナル・オブ・バイオケミストリー(Journal of Biochemistry),95巻,87(1984)〕などが用いられる。
酵母としては、例えば、サッカロマイセス セレビシエ(Saccharomyces cerevisiae)AH22,AH22R-,NA87−11A,DKD−5D,20B−12、シゾサッカロマイセス ポンベ(Schizosaccharomyces pombe)NCYC1913,NCYC2036、ピキア パストリス(Pichia pastoris)KM71などが用いられる。
昆虫細胞としては、例えば、ウイルスがAcNPVの場合は、夜盗蛾の幼虫由来株化細胞(Spodoptera frugiperda cell;Sf細胞)、Trichoplusia niの中腸由来のMG1細胞、Trichoplusia niの卵由来のHigh FiveTM細胞、Mamestra brassicae由来の細胞またはEstigmena acrea由来の細胞などが用いられる。ウイルスがBmNPVの場合は、蚕由来株化細胞(Bombyx mori N;BmN細胞)などが用いられる。該Sf細胞としては、例えば、Sf9細胞(ATCC CRL1711)、Sf21細胞(以上、Vaughn, J.L.ら、イン・ヴィトロ(in Vitro),13, 213-217,(1977))などが用いられる。
昆虫としては、例えば、カイコの幼虫などが用いられる〔前田ら、ネイチャー(Nature),315巻,592(1985)〕。
動物細胞としては、例えば、サル細胞COS−7,Vero,チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO細胞と略記),dhfr遺伝子欠損チャイニーズハムスター細胞CHO(以下、CHO(dhfr-)細胞と略記),マウスL細胞,マウスAtT−20,マウスミエローマ細胞,ラットGH3,ヒトFL細胞、293細胞、C127細胞、BALB3T3細胞、Sp−2細胞などが用いられる。これらの中でも、CHO細胞、CHO(dhfr-)細胞、293細胞などが好ましい。
エシェリヒア属菌を形質転換するには、例えば、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンジイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),69巻,2110(1972)やジーン(Gene),17巻,107(1982)などに記載の方法に従って行なうことができる。
バチルス属菌を形質転換するには、例えば、モレキュラー・アンド・ジェネラル・ジェネティックス(Molecular & General Genetics),168巻,111(1979)などに記載の方法に従って行なうことができる。
酵母を形質転換するには、例えば、メソッズ・イン・エンザイモロジー(Methods in Enzymology),194巻,182−187(1991)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),75巻,1929(1978)などに記載の方法に従って行なうことができる。
昆虫細胞や昆虫を形質転換するには、例えば、バイオ/テクノロジー(Bio/Technology),6, 47-55(1988))などに記載の方法に従って行なうことができる。
動物細胞を形質転換するには、例えば、細胞工学別冊8 新細胞工学実験プロトコール.263−267(1995)(秀潤社発行)、ヴィロロジー(Virology),52巻,456(1973)に記載の方法に従って行なうことができる。
発現ベクターの細胞への導入方法としては、例えば、リン酸カルシウム法〔Graham, F. L. and van der Eb, A. J.ヴィロロジー(Virology) 52, 456-467(1973)〕、電気穿孔法〔Nuemann, E. et al. エンボ・ジャーナル(EMBO J.) 1,841-845(1982)〕等が用いられる。
このようにして、本発明のタンパク質をコードするDNAを含有する発現ベクターで形質転換された形質転換体を得ることができる。
なお、動物細胞を用いて、本発明のタンパク質を安定に発現させる方法としては、上記の動物細胞に導入された発現ベクターが染色体に組み込まれた細胞をクローン選択によって選択する方法がある。具体的には、上記の選択マーカーを指標にして形質転換体を選択することができる。さらに、このように選択マーカーを用いて得られた動物細胞に対して、繰り返しクローン選択を行なうことにより本発明のタンパク質の高発現能を有する安定な動物細胞株を得ることができる。また、dhfr遺伝子を選択マーカーとして用いた場合、MTX濃度を徐々に上げて培養し、耐性株を選択することにより、dhfr遺伝子とともに、本発明のタンパク質をコードするDNAを細胞内で増幅させて、さらに高発現の動物細胞株を得ることもできる。
上記の形質転換体を本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAが発現可能な条件下で培養し、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドを生成、蓄積せしめることによって、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を製造することができる。
宿主がエシェリヒア属菌、バチルス属菌である形質転換体を培養する際、培養に使用される培地としては液体培地が適当であり、その中には該形質転換体の生育に必要な炭素源、窒素源、無機物その他が含有せしめられる。炭素源としては、例えば、グルコース、デキストリン、可溶性澱粉、ショ糖など、窒素源としては、例えば、アンモニウム塩類、硝酸塩類、コーンスチープ・リカー、ペプトン、カゼイン、肉エキス、大豆粕、バレイショ抽出液などの無機または有機物質、無機物としては、例えば、塩化カルシウム、リン酸二水素ナトリウム、塩化マグネシウムなどがそれぞれ用いられる。また、酵母エキス、ビタミン類、生長促進因子などを添加してもよい。培地のpHは約5〜8が望ましい。
エシェリヒア属菌を培養する際の培地としては、例えば、グルコース、カザミノ酸を含むM9培地〔ミラー(Miller),ジャーナル・オブ・エクスペリメンツ・イン・モレキュラー・ジェネティックス(Journal of Experiments in Molecular Genetics),431−433,Cold Spring Harbor Laboratory, New York1972〕が好ましい。ここに必要によりプロモーターを効率よく働かせるために、例えば3β−インドリル アクリル酸のような薬剤を加えることができる。
宿主がエシェリヒア属菌の場合、培養は通常約15〜43℃で約3〜24時間行ない、必要により、通気や撹拌を加えることもできる。
宿主がバチルス属菌の場合、培養は通常約30〜40℃で約6〜24時間行ない、必要により通気や撹拌を加えることもできる。
宿主が酵母である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、バークホールダー(Burkholder)最小培地〔Bostian, K. L. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),77巻,4505(1980)〕や0.5%カザミノ酸を含有するSD培地〔Bitter, G. A. ら、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ザ・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. USA),81巻,5330(1984)〕が挙げられる。培地のpHは約5〜8に調整するのが好ましい。培養は通常約20℃〜35℃で約24〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が昆虫細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、Grace's Insect Medium(Grace, T.C.C.,ネイチャー(Nature),195,788(1962))に非動化した10%ウシ血清等の添加物を適宜加えたものなどが用いられる。培地のpHは約6.2〜6.4に調整するのが好ましい。培養は通常約27℃で約3〜5日間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
宿主が動物細胞である形質転換体を培養する際、培地としては、例えば、約5〜20%の胎児牛血清を含むMEM培地〔サイエンス(Seience),122巻,501(1952)〕,DMEM培地〔ヴィロロジー(Virology),8巻,396(1959)〕,RPMI 1640培地〔ジャーナル・オブ・ザ・アメリカン・メディカル・アソシエーション(The Jounal of the American Medical Association)199巻,519(1967)〕,199培地〔プロシージング・オブ・ザ・ソサイエティ・フォー・ザ・バイオロジカル・メディスン(Proceeding of the Society for the Biological Medicine),73巻,1(1950)〕などが用いられる。pHは約6〜8であるのが好ましい。培養は通常約30℃〜40℃で約15〜72時間行ない、必要に応じて通気や撹拌を加える。
特に、CHO(dhfr-)細胞およびdhfr遺伝子を選択マーカーとして用いる場合、チミジンをほとんど含まない透析ウシ胎児血清を含むDMEM培地を用いるのが好ましい。
上記培養物から本発明のタンパク質を分離精製するには、例えば、下記の方法により行なうことができる。
本発明のタンパク質を培養菌体あるいは細胞から抽出するに際しては、培養後、公知の方法で菌体あるいは細胞を集め、これを適当な緩衝液に懸濁し、超音波、リゾチームおよび/または凍結融解などによって菌体あるいは細胞を破壊したのち、遠心分離やろ過により本発明のタンパク質の粗抽出液を得る方法などが適宜用い得る。緩衝液の中に尿素や塩酸グアニジンなどのたんぱく変性剤や、トリトンX−100TMなどの界面活性剤が含まれていてもよい。
培養液中にタンパク質が分泌される場合には、培養終了後、それ自体公知の方法で菌体あるいは細胞と上清とを分離し、上清を集める。このようにして得られた培養上清、あるいは抽出液中に含まれる本発明のタンパク質の精製は、自体公知の分離・精製法を適切に組み合わせて行なうことができる。これらの公知の分離、精製法としては、塩析や溶媒沈澱法などの溶解度を利用する方法、透析法、限外ろ過法、ゲルろ過法、およびSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動法などの主として分子量の差を利用する方法、イオン交換クロマトグラフィーなどの荷電の差を利用する方法、アフィニティークロマトグラフィーなどの特異的親和性を利用する方法、逆相高速液体クロマトグラフィーなどの疎水性の差を利用する方法、等電点電気泳動法などの等電点の差を利用する方法などが用いられる。かくして得られる本発明のタンパク質が遊離体で得られた場合には、自体公知の方法あるいはそれに準じる方法によって塩に変換することができ、逆に塩で得られた場合には自体公知の方法あるいはそれに準じる方法により、遊離体または他の塩に変換することができる。
なお、組換え体が産生する本発明のタンパク質を、精製前または精製後に適当な蛋白修飾酵素を作用させることにより、任意に修飾を加えたり、ポリペプチドを部分的に除去することもできる。蛋白修飾酵素としては、例えば、トリプシン、キモトリプシン、アルギニルエンドペプチダーゼ、プロテインキナーゼ、グリコシダーゼなどが用いられる。
かくして生成する本発明のタンパク質の存在は、特異抗体を用いたエンザイムイムノアッセイなどにより測定することができる。
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩に対する抗体は、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と略記する)を認識し得る抗体であれば、ポリクローナル抗体、モノクローナル抗体の何れであってもよい。
本発明のタンパク質等に対する抗体(以下、本発明の抗体と略記する)は、本発明のタンパク質等を抗原として用い、自体公知の抗体または抗血清の製造法に従って製造することができる。
〔モノクローナル抗体の作製〕
(a)モノクロナール抗体産生細胞の作製
本発明のタンパク質等は、温血動物に対して投与により抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は通常2〜6週毎に1回ずつ、計2〜10回程度行なうことができる。温血動物としては、例えば、サル、ウサギ、イヌ、モルモット、マウス、ラット、ヒツジ、ヤギ、ニワトリが用いられるが、マウスおよびラットが好ましく用いられる。
モノクローナル抗体産生細胞の作製に際しては、抗原を免疫された温血動物、例えば、マウスから抗体価の認められた個体を選択し最終免疫の2〜5日後に脾臓またはリンパ節を採取し、それらに含まれる抗体産生細胞を同種または異種の骨髄腫細胞と融合させることにより、モノクローナル抗体産生ハイブリドーマを調製することができる。抗血清中の抗体価の測定は、例えば、後記の標識化タンパク質等と抗血清とを反応させたのち、抗体に結合した標識剤の活性を測定することにより行なうことができる。融合操作は既知の方法、例えば、ケーラーとミルスタインの方法〔ネイチャー(Nature)、256、495 (1975)〕に従い実施できる。融合促進剤としては、例えば、ポリエチレングリコール(PEG)やセンダイウィルスなどが挙げられるが、好ましくはPEGが用いられる。
骨髄腫細胞としては、例えば、NS−1、P3U1、SP2/0、AP−1などの温血動物由来の骨髄腫細胞が用いられるが、P3U1が好ましく用いられる。用いられる抗体産生細胞(脾臓細胞)数と骨髄腫細胞数との好ましい比率は1:1〜20:1程度であり、PEG(好ましくはPEG1000〜PEG6000)が10〜80%程度の濃度で添加され、20〜40℃、好ましくは30〜37℃で1〜10分間インキュベートすることにより効率よく細胞融合を実施することができる。
モノクローナル抗体産生ハイブリドーマのスクリーニングには種々の方法が使用できるが、例えば、タンパク質等抗原を直接あるいは担体とともに吸着させた固相(例、マイクロプレート)にハイブリドーマ培養上清を添加し、次に放射性物質や酵素などで標識した抗免疫グロブリン抗体(細胞融合に用いられる細胞がマウスの場合、抗マウス免疫グロブリン抗体が用いられる)またはプロテインAを加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法、抗免疫グロブリン抗体またはプロテインAを吸着させた固相にハイブリドーマ培養上清を添加し、放射性物質や酵素などで標識したタンパク質等を加え、固相に結合したモノクローナル抗体を検出する方法などが用いられる。
モノクローナル抗体の選別は、自体公知あるいはそれに準じる方法に従って行なうことができる。通常HAT(ヒポキサンチン、アミノプテリン、チミジン)を添加した動物細胞用培地で行なうことができる。選別および育種用培地としては、ハイブリドーマが生育できるものならばどのような培地を用いても良い。例えば、1〜20%、好ましくは10〜20%の牛胎児血清を含むRPMI 1640培地、1〜10%の牛胎児血清を含むGIT培地(和光純薬工業(株))あるいはハイブリドーマ培養用無血清培地(SFM−101、日水製薬(株))などを用いることができる。培養温度は、通常20〜40℃、好ましくは約37℃である。培養時間は、通常5日〜3週間、好ましくは1週間〜2週間である。培養は、通常5%炭酸ガス下で行なうことができる。ハイブリドーマ培養上清の抗体価は、上記の抗血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。
(b)モノクロナール抗体の精製
モノクローナル抗体の分離精製は、自体公知の方法、例えば、免疫グロブリンの分離精製法〔例、塩析法、アルコール沈殿法、等電点沈殿法、電気泳動法、イオン交換体(例、DEAE)による吸脱着法、超遠心法、ゲルろ過法、抗原結合固相あるいはプロテインAあるいはプロテインGなどの活性吸着剤により抗体のみを採取し、結合を解離させて抗体を得る特異的精製法〕に従って行なうことができる。
〔ポリクローナル抗体の作製〕
本発明のポリクローナル抗体は、それ自体公知あるいはそれに準じる方法にしたがって製造することができる。例えば、免疫抗原(タンパク質等抗原)とキャリアー蛋白質との複合体をつくり、上記のモノクローナル抗体の製造法と同様に温血動物に免疫を行ない、該免疫動物から本発明のポリクローナル抗体含有物を採取して、抗体の分離精製を行なうことにより製造することができる。
温血動物を免疫するために用いられる免疫抗原とキャリアー蛋白質との複合体に関し、キャリアー蛋白質の種類およびキャリアーとハプテンとの混合比は、キャリアーに架橋させて免疫したハプテンに対して抗体が効率良くできれば、どの様なものをどの様な比率で架橋させてもよいが、例えば、ウシ血清アルブミンやウシサイログロブリン、ヘモシアニン等を重量比でハプテン1に対し、約0.1〜20、好ましくは約1〜5の割合でカプルさせる方法が用いられる。
また、ハプテンとキャリアーのカプリングには、種々の縮合剤を用いることができるが、グルタルアルデヒドやカルボジイミド、マレイミド活性エステル、チオール基、ジチオビリジル基を含有する活性エステル試薬等が用いられる。
縮合生成物は、温血動物に対して、抗体産生が可能な部位にそれ自体あるいは担体、希釈剤とともに投与される。投与に際して抗体産生能を高めるため、完全フロイントアジュバントや不完全フロイントアジュバントを投与してもよい。投与は、通常約2〜6週毎に1回ずつ、計約3〜10回程度行なうことができる。
ポリクローナル抗体は、上記の方法で免疫された温血動物の血液、腹水など、好ましくは血液から採取することができる。
抗血清中のポリクローナル抗体価の測定は、上記の血清中の抗体価の測定と同様にして測定できる。抗体の分離精製は、上記のモノクローナル抗体の分離精製と同様の免疫グロブリンの分離精製法に従って行なうことができる。
本発明のタンパク質または部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAに実質的に相補的な塩基配列を有するアンチセンスDNAとしては、本発明のタンパク質または部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAの塩基配列またはその一部の塩基配列に実質的に相補的な塩基配列を有し、該タンパク質または部分ペプチドの発現を抑制し得る作用を有するオリゴヌクレオチドまたはその誘導体であれば、いずれのアンチセンスDNAであってもよい。
該DNAまたはmRNAに実質的に相補的な塩基配列とは、例えば、該DNAまたはmRNAに相補的な塩基配列(すなわち、該DNAまたはmRNAの相補鎖)の全塩基配列または部分塩基配列と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有する塩基配列などが挙げられる。特に、本発明のDNAまたはmRNAの相補鎖の全塩基配列うち、本発明のタンパク質等のN末端部位をコードする部分の塩基配列(例えば、開始コドン付近の塩基配列など)の相補鎖と約40%以上、好ましくは約60%以上、より好ましくは約80%以上、さらに好ましくは約90%以上の相同性を有するアンチセンスDNAが好適である。これらのアンチセンスDNAは、公知のDNA合成装置などを用いて製造することができる。
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩は、例えば、アポトーシス誘導活性、ウイルス感染細胞等に対する細胞傷害活性などの作用を有している。したがって、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩はさまざまな用途に用いることができる。
以下に、本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩(以下、本発明のタンパク質等と略記する場合がある)、本発明のタンパク質等をコードするDNA(以下、本発明のDNAと略記する場合がある)、本発明のタンパク質等に対する抗体(本発明の抗体と略記する場合がある)およびアンチセンスDNAの用途を説明する。
(1)各種疾病の治療・予防剤などの医薬
例えば、生体内においてFasリガンドが減少あるいは欠損しているために、細胞における、Fasリガンドの機能が十分に、あるいは正常に発揮されない患者がいる場合に、(イ)本発明のDNAを該患者に投与し、生体内で本発明のタンパク質等を発現させることによって、(ロ)細胞に本発明のDNAを挿入し、本発明のタンパク質等を発現させた後に、該細胞を患者に移植することによって、(ハ)本発明のタンパク質等を該患者に投与することなどによって、該患者における本発明のタンパク質等の役割を十分に、あるいは正常に発揮させることができる。
したがって、本発明のタンパク質等および本発明のDNAは、例えば、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌、脳腫瘍、膀胱癌、子宮頸部癌、大腸癌(結腸/直腸癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染、水痘-帯状疱疹ウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染など)、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染肝炎(例、A型肝炎、C型肝炎など)、腎炎、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、骨疾患(例、リウマチ関節炎(例、リウマチにおける滑膜細胞の異常増殖)など)、動脈硬化症、痛みなどの疾病、好ましくは、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染など)、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)などの疾病の治療・予防剤などの医薬として有用である。
本発明のDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。本発明のDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
本発明のタンパク質等を上記の治療・予防剤として使用する場合は、少なくとも90%、好ましくは95%以上、より好ましく98%以上、さらに好ましくは99%以上に精製されたものを使用するのが好ましい。
本発明のタンパク質等を上記の医薬として使用する場合は、例えば、必要に応じて糖衣を施した錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤などとして経口的に、あるいは水もしくはそれ以外の薬学的に許容し得る液との無菌性溶液、または懸濁液剤などの注射剤の形で非経口的に使用できる。例えば、本発明のタンパク質等あるいはDNAを生理学的に認められる担体、香味剤、賦形剤、ベヒクル、防腐剤、安定剤、結合剤などとともに一般に認められた製剤実施に要求される単位用量形態で混和することによって製造することができる。これら製剤における有効成分量は指示された範囲の適当な容量が得られるようにするものである。本発明のDNAを用いる場合は、該DNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従って実施することができる。
錠剤、カプセル剤などに混和することができる添加剤としては、例えば、ゼラチン、コーンスターチ、トラガント、アラビアゴムのような結合剤、結晶性セルロースのような賦形剤、コーンスターチ、ゼラチン、アルギン酸などのような膨化剤、ステアリン酸マグネシウムのような潤滑剤、ショ糖、乳糖またはサッカリンのような甘味剤、ペパーミント、アカモノ油またはチェリーのような香味剤などが用いられる。調剤単位形態がカプセルである場合には、前記タイプの材料にさらに油脂のような液状担体を含有することができる。注射のための無菌組成物は注射用水のようなベヒクル中の活性物質、胡麻油、椰子油などのような天然産出植物油などを溶解または懸濁させるなどの通常の製剤実施に従って処方することができる。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液(例えば、D−ソルビトール、D−マンニトール、塩化ナトリウムなど)などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例えば、エタノールなど)、ポリアルコール(例えば、プロピレングリコール、ポリエチレングリコールなど)、非イオン性界面活性剤(例えば、ポリソルベート80TM、HCO−50など)などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどと併用してもよい。また、緩衝剤(例えば、リン酸塩緩衝液、酢酸ナトリウム緩衝液など)、無痛化剤(例えば、塩化ベンザルコニウム、塩酸プロカインなど)、安定剤(例えば、ヒト血清アルブミン、ポリエチレングリコールなど)、保存剤(例えば、ベンジルアルコール、フェノールなど)、酸化防止剤などと配合してもよい。調整された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。
本発明のDNAが挿入されたベクターも上記と同様に製剤化され、通常、非経口的に使用される。
このようにして得られる製剤は、安全で低毒性であるので、例えば、ヒトまたは哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
本発明のタンパク質等の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療目的で本発明のタンパク質等を経口投与する場合、一般的に成人(60kgとして)においては、一日につき該タンパク質等を約0.1mg〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該タンパク質等の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療目的で本発明のタンパク質等を注射剤の形で成人(体重60kgとして)に投与する場合、一日につき該タンパク質等を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を患部に注射することにより投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(2)遺伝子診断剤
本発明のDNAは、プローブとして使用することにより、ヒトまたは温血哺乳動物(例えば、ラット、マウス、モルモット、ウサギ、トリ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ウマ、ネコ、イヌ、サルなど)における本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAの異常(遺伝子異常)を検出することができる。したがって、本発明のDNAは、本発明のタンパク質等が関与する各種疾病の遺伝子診断剤として有用である。
例えば、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするmRNAが増加し、あるいはタンパク質の発現が増加していることが検出された場合は、例えば、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中など)、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎(例、劇症肝炎)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、心筋症(例、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患である、または罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、本発明のタンパク質またはその部分ペプチドをコードするDNAまたはmRNAが損傷し、欠損し、あるいはタンパク質の発現が減少していることが検出された場合は、例えば、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患などの疾病であると診断することができる。
本発明のDNAを用いる上記の遺伝子診断は、例えば、自体公知のノーザンハイブリダイゼーションやPCR−SSCP法(ゲノミックス(Genomics),第5巻,874〜879頁(1989年)、プロシージングズ・オブ・ザ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンシイズ・オブ・ユーエスエー(Proceedings ofthe Natinal Academy of Sciences of the United States of America),第86巻,2766〜2770頁(1989年))などにより実施することができる。
例えば、ノーザンハイブリダイゼーションにより該mRNAの発現過多が検出された場合は、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、ノーザンハイブリダイゼーションにより該mRNAの発現低下が検出された場合は、例えば、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
また、CR−SSCP法によりDNAの突然変異が検出された場合は、例えば、癌、ウイルス感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
(3)本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩の定量
本発明の抗体は、本発明のタンパク質等を特異的に認識することができるので、被検液中の本発明のタンパク質等の定量、特にサンドイッチ免疫測定法による定量などに使用することができる。
すなわち、本発明は、
(i)本発明の抗体と、被検液および標識化された本発明のタンパク質等とを競合的に反応させ、該抗体に結合した標識化された本発明のタンパク質等の割合を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質等の定量法、および(ii)被検液と担体上に不溶化した本発明の抗体および標識化された本発明の別の抗体とを同時あるいは連続的に反応させたのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することを特徴とする被検液中の本発明のタンパク質等の定量法を提供する。
上記(ii)の定量法においては、一方の抗体が本発明のタンパク質等のN端部を認識する抗体で、他方の抗体が本発明のタンパク質等のC端部に反応する抗体であることが望ましい。
また、本発明のタンパク質等に対するモノクローナル抗体(以下、モノクローナル抗体と称する場合がある)を用いて本発明のタンパク質等の定量を行なえるほか、組織染色等による検出を行なうこともできる。これらの目的には、抗体分子そのものを用いてもよく、また、抗体分子のF(ab')2 、Fab'、あるいはFab画分を用いてもよい。
本発明の抗体を用いる本発明のタンパク質等の定量法は、 特に制限されるべきものではなく、被測定液中の抗原量(例えば、タンパク質量)に対応した抗体、抗原もしくは抗体−抗原複合体の量を化学的または物理的手段により検出し、これを既知量の抗原を含む標準液を用いて作製した標準曲線より算出する測定法であれば、いずれの測定法を用いてもよい。例えば、ネフロメトリー、競合法、イムノメトリック法およびサンドイッチ法が好適に用いられるが、感度、特異性の点で、後述するサンドイッチ法を用いるのが特に好ましい。
標識物質を用いる測定法に用いられる標識剤としては、例えば、放射性同位元素、酵素、蛍光物質、発光物質などが用いられる。放射性同位元素としては、例えば、〔125I〕、〔131I〕、〔3H〕、〔14C〕などが、上記酵素としては、安定で比活性の大きなものが好ましく、例えば、β−ガラクトシダーゼ、β−グルコシダーゼ、アルカリフォスファターゼ、パーオキシダーゼ、リンゴ酸脱水素酵素などが、蛍光物質としては、例えば、フルオレスカミン、フルオレッセンイソチオシアネートなどが、発光物質としては、例えば、ルミノール、ルミノール誘導体、ルシフェリン、ルシゲニンなどがそれぞれ用いられる。さらに、抗体あるいは抗原と標識剤との結合にビオチン−アビジン系を用いることもできる。
抗原あるいは抗体の不溶化に当っては、物理吸着を用いてもよく、また通常タンパク質あるいは酵素等を不溶化、固定化するのに用いられる化学結合を用いる方法でもよい。担体としては、例えば、アガロース、デキストラン、セルロースなどの不溶性多糖類、ポリスチレン、ポリアクリルアミド、シリコン等の合成樹脂、あるいはガラスなどが用いられる。
サンドイッチ法においては不溶化したモノクローナル抗体に被検液を反応させ(1次反応)、さらに標識化したモノクローナル抗体を反応させ(2次反応)たのち、不溶化担体上の標識剤の活性を測定することにより被検液中の本発明のタンパク質量等を定量することができる。1次反応と2次反応は逆の順序に行っても、また、同時に行なってもよいし時間をずらして行なってもよい。標識化剤および不溶化の方法は前記のそれらに準じることができる。また、サンドイッチ法による免疫測定法において、固相用抗体あるいは標識用抗体に用いられる抗体は必ずしも1種類である必要はなく、測定感度を向上させる等の目的で2種類以上の抗体の混合物を用いてもよい。
本発明のサンドイッチ法による本発明のタンパク質等の測定法においては、1次反応と2次反応に用いられる本発明のモノクローナル抗体は、本発明のタンパク質等の結合する部位が相異なる抗体が好ましく用いられる。すなわち、1次反応および2次反応に用いられる抗体は、例えば、2次反応で用いられる抗体が、本発明のタンパク質等のC端部を認識する場合、1次反応で用いられる抗体は、好ましくはC端部以外、例えばN端部を認識する抗体が用いられる。
本発明のモノクローナル抗体をサンドイッチ法以外の測定システム、例えば、競合法、イムノメトリック法あるいはネフロメトリーなどに用いることができる。
競合法では、被検液中の抗原と標識抗原とを抗体に対して競合的に反応させたのち、未反応の標識抗原(F)と抗体と結合した標識抗原(B)とを分離し(B/F分離)、B,Fいずれかの標識量を測定し、被検液中の抗原量を定量する。本反応法には、抗体として可溶性抗体を用い、B/F分離をポリエチレングリコール、前記抗体に対する第2抗体などを用いる液相法、および、第1抗体として固相化抗体を用いるか、あるいは、第1抗体は可溶性のものを用い第2抗体として固相化抗体を用いる固相化法とが用いられる。
イムノメトリック法では、被検液中の抗原と固相化抗原とを一定量の標識化抗体に対して競合反応させた後固相と液相を分離するか、あるいは、被検液中の抗原と過剰量の標識化抗体とを反応させ、次に固相化抗原を加え未反応の標識化抗体を固相に結合させたのち、固相と液相を分離する。次に、いずれかの相の標識量を測定し被検液中の抗原量を定量する。
また、ネフロメトリーでは、ゲル内あるいは溶液中で抗原抗体反応の結果生じた不溶性の沈降物の量を測定する。被検液中の抗原量僅かであり、少量の沈降物しか得られない場合にもレーザーの散乱を利用するレーザーネフロメトリーなどが好適に用いられる。
これら個々の免疫学的測定法を本発明の定量方法に適用するにあたっては、特別の条件、操作等の設定は必要とされない。それぞれの方法における通常の条件、操作法に当業者の通常の技術的配慮を加えて本発明のタンパク質等の測定系を構築すればよい。これらの一般的な技術手段の詳細については、総説、成書などを参照することができる。
例えば、入江 寛編「ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和49年発行)、入江 寛編「続ラジオイムノアッセイ〕(講談社、昭和54年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(医学書院、昭和53年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第2版)(医学書院、昭和57年発行)、石川栄治ら編「酵素免疫測定法」(第3版)(医学書院、昭和62年発行)、「Methods in ENZYMOLOGY」Vol. 70(Immunochemical Techniques(Part A))、 同書 Vol. 73(Immunochemical Techniques(Part B))、 同書 Vol. 74(Immunochemical Techniques(Part C))、 同書 Vol. 84(Immunochemical Techniques(Part D:Selected Immunoassays))、 同書 Vol. 92(Immunochemical Techniques(Part E:Monoclonal Antibodies and General Immunoassay Methods))、 同書 Vol. 121(Immunochemical Techniques(Part I:Hybridoma Technology and Monoclonal Antibodies))(以上、アカデミックプレス社発行)などを参照することができる。
以上のようにして、本発明の抗体を用いることによって、本発明のタンパク質等を感度良く定量することができる。
さらには、本発明の抗体を用いて本発明のタンパク質等の濃度を定量することによって、本発明のタンパク質が関与する各種疾病の診断を行なうことができる。
例えば、本発明のタンパク質等の濃度の減少が検出された場合は、例えば、癌、ウイルス感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患などの疾病である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
一方、本発明のタンパク質等の濃度の増加が検出された場合は、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾病などの疾患である、または将来罹患する可能性が高いと診断することができる。
このように、本発明の抗体は上記疾患の診断剤として有用である。
また、本発明の抗体は、体液や組織などの被検体中に存在する本発明のタンパク質等を検出するために使用することができる。さらに、本発明のタンパク質等を精製するために使用する抗体カラムの作製、精製時の各分画中の本発明のタンパク質等の検出、被検細胞における本件タンパク質の挙動の検出などのために使用することができる。
(4)本発明の抗体を含有する医薬
本発明の抗体のうち、本発明のタンパク質等の活性を中和することができる抗体は、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾病などの疾患の予防・治療剤などの医薬として使用することができる。
本発明の抗体を含有する上記疾患の治療・予防剤は、そのまま液剤として、または適当な剤型の医薬組成物として、ヒトまたは哺乳動物(例、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して経口的または非経口的に投与することができる。投与量は、投与対象、対象疾患、症状、投与ルートなどによっても異なるが、例えば、成人のエイズの治療・予防のために使用する場合には、本発明の抗体を1回量として、通常0.01〜20mg/kg体重程度、好ましくは0.1〜10mg/kg体重程度、さらに好ましくは0.1〜5mg/kg体重程度を、1日1〜5回程度、好ましくは1日1〜3回程度、静脈注射により投与するのが好都合である。他の非経口投与および経口投与の場合もこれに準ずる量を投与することができる。症状が特に重い場合には、その症状に応じて増量してもよい。
本発明の抗体は、それ自体または適当な医薬組成物として投与することができる。上記投与に用いられる医薬組成物は、上記またはその塩と薬理学的に許容され得る担体、希釈剤もしくは賦形剤とを含むものである。かかる組成物は、経口または非経口投与に適する剤形として提供される。
すなわち、例えば、経口投与のための組成物としては、固体または液体の剤形、具体的には錠剤(糖衣錠、フィルムコーティング錠を含む)、丸剤、顆粒剤、散剤、カプセル剤(ソフトカプセル剤を含む)、シロップ剤、乳剤、懸濁剤などがあげられる。かかる組成物は自体公知の方法によって製造され、製剤分野において通常用いられる担体、希釈剤もしくは賦形剤を含有するものである。例えば、錠剤用の担体、賦形剤としては、乳糖、でんぷん、蔗糖、ステアリン酸マグネシウムなどが用いられる。
非経口投与のための組成物としては、例えば、注射剤、坐剤などが用いられ、注射剤は静脈注射剤、皮下注射剤、皮内注射剤、筋肉注射剤、点滴注射剤などの剤形を包含する。かかる注射剤は、自体公知の方法に従って、例えば、上記抗体またはその塩を通常注射剤に用いられる無菌の水性もしくは油性液に溶解、懸濁または乳化することによって調製する。注射用の水性液としては、例えば、生理食塩水、ブドウ糖やその他の補助薬を含む等張液などが用いられ、適当な溶解補助剤、例えば、アルコール(例、エタノール)、ポリアルコール(例、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール)、非イオン界面活性剤〔例、ポリソルベート80、HCO−50(polyoxyethylene(50mol)adduct of hydrogenated castor oil)〕などと併用してもよい。油性液としては、例えば、ゴマ油、大豆油などが用いられ、溶解補助剤として安息香酸ベンジル、ベンジルアルコールなどを併用してもよい。調製された注射液は、通常、適当なアンプルに充填される。直腸投与に用いられる坐剤は、上記抗体またはその塩を通常の坐薬用基剤に混合することによって調製される。
上記の経口用または非経口用医薬組成物は、活性成分の投与量に適合するような投薬単位の剤形に調製されることが好都合である。かかる投薬単位の剤形としては、錠剤、丸剤、カプセル剤、注射剤(アンプル)、坐剤などが例示され、それぞれの投薬単位剤形当たり通常5〜500mg、とりわけ注射剤では5〜100mg、その他の剤形では10〜250mgの上記抗体が含有されていることが好ましい。
なお前記した各組成物は、上記抗体との配合により好ましくない相互作用を生じない限り他の活性成分を含有してもよい。
(5)医薬候補化合物のスクリーニング
(A)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法
本発明のタンパク質等は、TNFレセプターファミリーに属するレセプター(以下、レセプターと略記する)に特異的に結合することができるので、本発明のタンパク質等と該レセプターを用いたリガンド・レセプター結合アッセイ系を構築することによって、TNFリガンドファミリー(例えば、TNF、リンホトキシン−α、リンホトキシン−β、Fasリガンド、神経成長因子など)と同様の作用を有する医薬候補化合物のスクリーニングや、本発明のタンパク質等の作用を阻害する医薬候補化合物のスクリーニングを行なうことができる。すなわち、本発明は、本発明のタンパク質等を用いる、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物のスクリーニング方法を提供する。
このような本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物には、(イ)該レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+遊離、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導作用、細胞傷害活性などの活性を有する化合物(いわゆるアゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性、アポトーシス誘導作用、細胞傷害活性などの活性を有しない化合物(いわゆるアンタゴニスト)、(ハ)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を減少させる化合物などが含まれる(なお、上記(イ)の化合物は、前記したリガンド決定方法によってスクリーニングすることが好ましい)。
すなわち、本発明は、
(1)(i)レセプターまたはその部分ペプチドに、本発明のタンパク質等を接触させた場合と(ii)レセプターまたはその部分ペプチドに、本発明のタンパク質等および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(2)(i)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質等を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質等および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(3)(i)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に、本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、レセプターまたはレセプターを含有する細胞等に対する本発明のタンパク質等の結合量、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定して、比較することを特徴とするものである。
より具体的には、本発明は、
(1a)(i)標識した本発明のぺプチド等を、レセプターまたはその部分ペプチドに接触させた場合と、(ii)標識した本発明のタンパク質等および試験化合物を、レセプターまたはその部分ペプチドに接触させた場合における、標識した本発明のタンパク質等の該レセプターまたはその部分ペプチドまたはそれらの塩に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(2a)(i)標識した本発明のタンパク質等を、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合と、(ii)標識した本発明のタンパク質等および試験化合物を、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分に接触させた場合における、標識した本発明のタンパク質等の該細胞またはその細胞膜画分に対する結合量を測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(2b)(i)本発明のタンパク質等を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質および試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法、
(3a)(i)本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分および試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定し、比較することを特徴とする、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記の(1a)または(2a)のスクリーニング方法において、レセプターに結合して、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合を阻害する化合物が、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる化合物として選択できる。
上記(2b)または(3a)のスクリーニング方法において、レセプターに結合し、該レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を有する化合物をレセプターアゴニストとして選択することができ、一方、レセプターと結合するが、該細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性などの活性を有しない化合物をレセプターアンタゴニストとして選択することができる。
また、上記の(1a)または(2a)のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる活性が認められた試験化合物の中で、該アポトーシス誘導活性等を有する化合物をレセプターアゴニストとして選択することができ、該アポトーシス誘導活性等を有しない化合物をレセプターアンタゴニストとして選択することができる。
本発明のスクリーニング方法に用いられるレセプターとしては、本発明のタンパク質等が結合し得るレセプターであればいずれのものでもよく、例えば、TNFレセプターファミリーに属するレセプターや本発明のタンパク質等に対するレセプターが用いられる。TNFレセプターファミリーに属するレセプターとしては、例えば、TNFレセプター(55kDa:セル(Cell)61, p351-359, 1990;75kDa:サイエンス(Science)248, 1019-1023, 1990)、リンホトキシン−βレセプター、Fas(セル(Cell)66, p233-243, 1991)、CD27(ザ・ジャーナル・オブ・イムノロジー(The Journal of Immunology)147, p3165-3169, 1991)、CD30(セル(Cell)68, p421-427, 1992)、CD40(ザ・エンボ・ジャーナル(The EMBO Journal)8, p1403-1410, 1989)、OX40(ヨーロッピアン・ジャーナル・イムノロジー(European Journal Immunology)24/3, p677-683, 1994)、DR4(サイエンス(Science)276, 111-113, 1997)、DR3/WSL−1(ネイチャー(NATURE)384, 372-375, 1996;サイエンス(Science)274, 990-992, 1996)、TR2(ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(The Journal of Biological Chemistry)272, p14272-14276, 1997)などが用いられる。
これらのレセプターおよび本発明のタンパク質等に対するレセプターは、自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手することができ、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコードするDNAをクローニングした後、前記した本発明のタンパク質等の発現方法に従って目的とするレセプターを入手することもできる。
該レセプターの部分ペプチドとしては、全長レセプターを適当に切断して得られる部分ペプチドを用いることができる。
標識した本発明のタンパク質等としては、例えば、〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識した本発明のタンパク質等などを用いることができる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。
レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。また、上記レセプターを含有する細胞として、Jurkat細胞株、U937細胞株(以上、ザ・ジャーナル・オブ・バイオロジカル・ケミストリー(THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY)271, 12691-12694, 1996))、HepG2細胞株、THP−1細胞株などの株化細胞を用いることもできる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる本発明のタンパク質等を含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。
本発明のスクリーニング方法において、レセプターを含有する細胞または本発明のタンパク質等を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができる。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行なうことができる。また、本発明のタンパク質等を含有する組織として、各種動物の肝臓、脾臓等またはそれらの膜画分を用いることができる。
上記レセプターを含有する細胞または本発明のタンパク質等を含有する細胞の細胞膜画分としては、細胞を破砕した後、それ自体公知の方法で得られる細胞膜が多く含まれる画分のことをいう。細胞の破砕方法としては、Potter−Elvehjem型ホモジナイザーで細胞を押し潰す方法、ワーリングブレンダーやポリトロン(Kinematica社製)のよる破砕、超音波による破砕、フレンチプレスなどで加圧しながら細胞を細いノズルから噴出させることによる破砕などが挙げられる。細胞膜の分画には、分画遠心分離法や密度勾配遠心分離法などの遠心力による分画法が主として用いられる。例えば、細胞破砕液を低速(500rpm〜3000rpm)で短時間(通常、約1分〜10分)遠心し、上清をさらに高速(15000rpm〜30000rpm)で通常30分〜2時間遠心し、得られる沈澱を膜画分とする。該膜画分中には、発現したレセプターまたは本発明のタンパク質等と、細胞由来のリン脂質や膜蛋白質などの膜成分が多く含まれる。
該レセプターを含有する細胞やその細胞膜画分中のレセプターの量は、1細胞当たり103〜108分子であるのが好ましく、105〜107分子であるのが好適である。なお、発現量が多いほど膜画分当たりのリガンド結合活性(比活性)が高くなり、高感度なスクリーニング系の構築が可能になるばかりでなく、同一ロットで大量の試料を測定できるようになる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質等とレセプターとの反応は、通常約37℃で数時間(例えば、20分〜24時間、好ましくは30分〜3時間)行なうことができる。
具体的には、上記の(1a)または(2a)のスクリーニング方法を実施するには、まず、レセプターを含有する細胞またはその細胞膜画分、あるいはレセプターまたはその部分ペプチドを、スクリーニングに適したバッファーに懸濁することによりレセプター標品を調製する。バッファーには、pH約4〜10(望ましくは、pH約6〜8)のリン酸バッファー、トリス−塩酸バッファーなどの、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合を阻害しないバッファーであればいずれでもよい。また、非特異的結合を低減させる目的で、CHAPS、Tween−80TM(花王−アトラス社)、ジギトニン、デオキシコレートなどの界面活性剤をバッファーに加えることもできる。さらに、プロテアーゼによるレセプターやリガンドの分解を抑える目的で、PMSF、ロイペプチン、バシトラシン、アプロチニン、E−64(タンパク質研究所製)、ペプスタチンなどのプロテアーゼ阻害剤を添加することもできる。一方、細胞が固定化細胞の場合、培養器に固定化させたまま、つまり細胞を生育させた状態で、あるいはグルタルアルデヒドやパラホルムアルデヒドで固定した細胞を用いて、本発明のタンパク質等とレセプターを結合させることができる。
この場合、該緩衝液は培地やハンクス液などが用いられる。そして、0.01ml〜10mlの該レセプター溶液に、一定量(例えば、2000Ci/mmolの場合、約10000cpm〜1000000cpm)の標識した本発明のタンパク質等(例えば、〔125I〕で標識した本発明のタンパク質等)を添加し、同時に10-4M〜10-10Mの試験化合物を共存させる。非特異的結合量(NSB)を知るために大過剰の未標識の本発明のタンパク質等を加えた反応チューブも用意する。反応は0℃から50℃、望ましくは4℃から37℃で20分から24時間、望ましくは30分から3時間行なう。反応後、ガラス繊維濾紙等で濾過し、適量の同バッファーで洗浄した後、ガラス繊維濾紙に残存する放射活性(例えば、〔125I〕の量)を液体シンチレーションカウンターまたはγ−カウンターで測定する。濾過には、マニホールドやセルハーベスターを用いることができるが、セルハーベスターを用いることが効率を上げるために望ましい。拮抗する物質がない場合のカウント(B0)から非特異的結合量(NSB)を引いたカウント(B0−NSB)を100%とした時、特異的結合量(B−NSB)が、例えばカウント(B0−NSB)の50%以下になる試験化合物をアゴニストまたはアンタゴニスト候補化合物として選択することができる。
また、上記(2b)または(3a)のスクリーニング方法を実施するためには、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fos活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を公知の方法あるいはそれに準じる方法に従って測定することができる。
具体的には、まず、レセプターを含有する細胞をマルチウェルプレート等に培養する。スクリーニングを行なうにあたっては前もって新鮮な培地あるいは細胞に毒性を示さない適当なバッファーに交換し、試験化合物などを添加して一定時間インキュベートした後、細胞を抽出あるいは上清液を回収して、生成した産物をそれぞれ自体公知の方法に従って定量する。細胞刺激活性の指標とする物質(例えば、アラキドン酸など)の生成が、細胞が含有する分解酵素によって検定困難な場合は、該分解酵素に対する阻害剤を添加してアッセイを行なってもよい。また、cAMP産生抑制などの活性については、フォルスコリンなどで細胞の基礎的産生量を増大させておいた細胞に対する産生抑制作用として検出することができる。
アポトーシスとは、例えば、細胞縮小、クロマチン凝縮、核濃縮、細胞表面微絨毛消失、大小突起の出現(blebbing)、アポトーシス小体形成、細胞縮小に伴う周辺細胞との間隙、隣接細胞による貧食除去などをいう(日本臨床,第54巻,第7号(1996))。
アポトーシス誘導活性は、例えば、細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ,アポトーシス実験プロトコール(1994年12月20日発行、秀潤社)などに従って、アポトーシスの形態学的解析または生化学的解析を行なうことによって測定することができる。アポトーシスの形態学的解析法としては、例えば、光学顕微鏡によるアポトーシス観察(例、位相差顕微鏡による観察,色素染色による浮遊または接着細胞の観察,蛍光染色による観察などの細胞形態の観察、パラフィン切片の作製,ヘマトキシリン・エオジン染色標本の作製などの組織形態の観察など)、電子顕微鏡によるアポトーシスの観察(例、薄片作製および電子染色法など)などが用いられる。アポトーシスの生化学的解析法としては、例えば、DNA断片化の解析(例、アガロースゲル電気泳動法など)、細胞死の判定法(例、クリスタルバイオレット法、MTT法、LDH法など)などが用いられる。
細胞障害活性の測定は、ルービエ E.(Rouvier E.)等の方法に準じて行なうことができる(ジャーナル・オブ・エクスペリメンタル・メディシン(Journal ofExperimental Medicine)177巻、195-200頁、1993年)。
上記(2b)または(3a)のスクリーニング方法において、試験化合物を添加した際にレセプターを含有する細胞がアポトーシス、細胞傷害などを起こした場合、該試験化合物をレセプターアゴニスト候補化合物として選択することができる。一方、試験化合物を添加した際にレセプターを含有する細胞のアポトーシス、細胞傷害などが抑制された場合、該試験化合物をレセプターアンタゴニスト候補化合物として選択することができる。
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパク質等、好ましくはさらに、レセプターを含有する細胞もしくはその細胞膜画分等を含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
〔スクリーニング用試薬〕
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(2)レセプター標品
本発明のタンパク質に対するレセプターまたはTNFレセプターなどを含有するCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
(3)標識した本発明のタンパク質標品
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を〔3H〕、〔125I〕、〔14C〕、〔35S〕などで標識したもの。
(4)本発明のタンパク質等標準液
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩を0.1%ウシ血清アルブミン(シグマ社製)を含むPBSで0.1mMとなるように溶解し、−20℃で保存する。
〔測定法〕
(1)12穴組織培養用プレートにて培養した組換え型レセプターを含有するCHO細胞を、測定用緩衝液1mlで2回洗浄した後、490μlの測定用緩衝液を各穴に加える。
(2)10-3〜10-10Mの試験化合物溶液を5μl加えた後、5nMの標識した本発明のタンパク質等を5μl加え、室温にて1時間反応させる。非特異的結合量を知るためには試験化合物のかわりに10-4Mの本発明のタンパク質等を5μl加えておく。
(3)反応液を除去し、1mlの洗浄用緩衝液で3回洗浄する。細胞に結合した標識した本発明のタンパク質等を0.5mlの0.2N NaOH−1%SDSで溶解し、4mlの液体シンチレーターA(和光純薬製)と混合する。
(4)液体シンチレーションカウンター(ベックマン社製)を用いて放射活性を測定し、Percent Maximum Binding(PMB)を次の式〔数1〕で求める。なお、〔125I〕で標識されている場合は、液体シンチレーターと混合することなしに直接ガンマーカウンターで測定できる。
Figure 0004320355
PMB:Percent Maximum Binding
B :検体を加えた時の値
NSB:Non-specific Binding(非特異的結合量)
0 :最大結合量
以上のとおり、本発明のタンパク質等は、本件タンパク質とレセプターとの結合性を変化させる化合物をスクリーニングするための試薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、本発明おタンパク質等とレセプターとの結合性を変化させる作用を有する化合物であり、具体的には、(イ)レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの作用を有する化合物(いわゆる、アゴニスト)、(ロ)該細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの作用を有しない化合物(いわゆる、アンタゴニスト)、(ハ)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を増強する化合物、あるいは(ニ)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を減少させる化合物である。
該化合物は、前述した試験化合物(例、ペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿など)から得られるものであり、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
レセプターアゴニストは、本発明のタンパク質等が有する生理活性の全部または一部を有しているので、該生理活性に応じて安全で低毒性な医薬として有用である。例えば、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌、脳腫瘍、膀胱癌、子宮頸部癌、大腸癌(結腸/直腸癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染、水痘-帯状疱疹ウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染など)、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎(例、A型肝炎、C型肝炎など)、腎炎、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、骨疾患(例、リウマチ関節炎(例、リウマチにおける滑膜細胞の異常増殖)など)、動脈硬化症、痛みなどの疾病、好ましくは、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染など)、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)などの疾病の予防・治療剤などの医薬として有用である。
レセプターアンタゴニストは、本発明のタンパク質等が有する生理活性の全部または一部を抑制することができるので、該生理活性を抑制する安全で低毒性な医薬として有用である。例えば、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中など)、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎(例、劇症肝炎)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、心筋症(例、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、好ましくは、例えば、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患の予防・治療剤などの医薬として有用である。
本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を増強する化合物は、本発明のタンパク質等の生理活性を増強するための安全で低毒性な医薬として有用である。該化合物は、上記アゴニストと同様に、例えば、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症、痛みなどの疾病などの治療・予防剤などの医薬として有用である。
本発明のタンパク質等とレセプターとの結合力を減少させる化合物は、本発明のタンパク質等の生理活性を減少させるための安全で低毒性な医薬として有用である。該化合物は、上記アンタゴニストと同様に、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患などの治療・予防剤などの医薬として有用である。
上記スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩基(例、アルカリ金属)との塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
該化合物を上記の疾患の治療・予防剤として用いる場合、前記した本発明のタンパク質等を含有する医薬と同様にして製剤化し、使用することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
上記スクリーニングで得られた化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療の目的で該レセプターアゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該アゴニストを約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該アゴニストの1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で該アゴニストを注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該アゴニストを約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
また、エイズ治療の目的で該レセプターアンタゴニストを経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該アンタゴニストを約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該アンタゴニストの1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、エイズ治療の目的で該アンタゴニストを注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該アンタゴニストを約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
また、癌治療の目的で本発明のタンパク質等の生理活性を増強する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
また、エイズ治療の目的で本発明のタンパク質等の生理活性を減少する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、エイズ治療の目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(B)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する化合物のスクリーニング方法およびスクリーニング用キット
本発明のタンパク質またはその塩は膜結合型タンパク質であり、(i)膜に結合したまま、あるいは(ii)生体内に存在するプロテイナーゼによって膜結合部位が切断され、細胞外部分が放出され、レセプターと結合することによって、その機能を発揮すると考えられる。したがって、本発明のタンパク質等および本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを用いることによって、本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物を選択することができる。
該プロテイナーゼの活性を促進する活性を有する化合物は、生体内における本発明のタンパク質等の細胞外部分の放出を促進することにより、細胞間接触に依存しない発明のタンパク質等の活性を促進することができるので、例えば、癌、ウイルス感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症、痛みなどの疾患の予防・治療剤などの医薬として期待できる。
一方、該プロテイナーゼの活性を阻害する活性を有する化合物は、生体内における本発明のタンパク質等の細胞外部分の放出を阻害することにより、細胞間接触に依存しない発明のタンパク質等の活性を阻害することができるので、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患の予防・治療剤などの医薬として期待できる。
すなわち、本発明は、本発明のタンパク質等を用いることを特徴とする本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
より具体的には、本発明は、
(1)(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ(ただし、本発明のタンパク質を含有する細胞が、本発明のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合と、(ii)該プロテイナーゼおよび試験化合物の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば、レセプターを介する細胞刺激活性、レセプターを含有する細胞のアポトーシスや細胞傷害などを測定(観察)して、比較することを特徴とするものである。
より具体的には、本発明は、
(1a)(i)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ(ただし、本発明のタンパク質を含有する細胞が、本発明のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ(ただし、本発明のタンパク質を含有する細胞が、本発明のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)および試験化合物の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を培養して得られる培養上清と、レセプターを含有する細胞とを接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定し、比較することを特徴とする本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記のスクリーニング方法において、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を抑制する試験化合物を本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩として選択することができる。
本発明のスクリーニング方法に用いられるレセプターとしては、本発明のタンパク質等が結合し得るレセプターであればいかなるものであってもよいが、例えば、TNFレセプターファミリーに属するレセプターや本発明のタンパク質等に対するレセプターが用いられる。TNFレセプターファミリーに属するレセプターとしては、例えば、前記したTNFレセプター(55kDaまたは75kDa)、リンホトキシン−βレセプター、Fas、CD27、CD30、CD40、OX40、DR4、DR3/WSL−1、TR2などが用いられる。
これらのレセプターおよび本発明のタンパク質等に対するレセプターは、自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手することができ、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコードするDNAをクローニングした後、前記した本発明のタンパク質等の発現方法に従って目的とするレセプターを入手することもできる。
本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼとしては、例えば、マトリックスメタロプロテイナーゼ(例、MMP−1、MMP−2、MMP−3など)、アダマリシン類(adamalysinsまたはADAMS)(例、TNF−α変換酵素(TACE)など)などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。また、上記レセプターを含有する細胞として、Jurkat細胞株、U937細胞株、HepG2細胞株、THP−1細胞株などの株化細胞を用いることもできる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる本発明のタンパク質を含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。
本発明のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができる。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うことができる。また、本発明のタンパク質を含有する組織として、各種動物の肝臓、脾臓等またはそれらの膜画分を用いることができる。
本発明のタンパク質等を含有する細胞の細胞膜画分としては、前記したものと同様のものを用いることができる。
試験化合物としては、例えばペプチド、タンパク質、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のスクリーニング方法において、プロテイナーゼ存在下における本発明のタンパク質を含有する細胞の培養は、通常数時間(例、約0.5〜24時間、好ましくは約1〜6時間)、約37℃で行なうことができる。また、この培養で得られる培養上清とレセプターを含有する細胞との反応は、通常数時間(例、約0.5〜24時間、好ましくは約1〜6時間)、約37℃で行なうことができる。
レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの測定は前記と同様にして行なうことができる。
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパク質等および本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼを、好ましくはさらに、レセプターを含有する細胞を含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
〔スクリーニング用試薬〕
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(2)レセプター標品
本発明のタンパク質に対するレセプターまたはTNFレセプターなどを含有するCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
(3)本発明のタンパク質標品
本発明のタンパク質を含有する細胞
(4)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ標品
マトリックスメタロプロテイナーゼ(ただし、本発明のタンパク質を含有する細胞が、本発明のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は不要である。)
〔測定法〕
(1)本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼ(ただし、本発明のタンパク質を含有する細胞が、本発明のタンパク質を分解する活性を有する細胞外プロテイナーゼを産生・分泌する場合は、該細胞が産生・分泌する該細胞外プロテイナーゼでもよい)の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を約37℃で数時間培養して培養上清を得る。
(2)該プロテイナーゼおよび試験化合物の存在下で本発明のタンパク質を含有する細胞を約37℃で数時間培養して培養上清を得る。
(3)上記(1)および(2)で得られる培養上清を、それぞれ本発明のタンパク質に対するレセプターを含有する細胞と約37℃で数時間培養する。
(4)次いで、アポトーシス誘導活性を細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ、アポトーシス実験プロトコール(1994年12月20日発行、秀潤社)に記載の方法に従って測定する。
以上のとおり、本発明のタンパク質等は本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進または阻害する活性を有する化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬として有用である。
上記スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩(例、アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進する化合物は、該プロテイナーゼによる本発明のタンパク質の細胞外部分の放出・遊離を促進するので、細胞間接触に依存しない本発明のタンパク質に対するレセプターを介する細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を促進することができ、例えば、癌、ウイルス感染症、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症、痛みなどの疾患の予防・治療剤などの安全で低毒性な医薬として有用である。
一方、本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を阻害する化合物は、該プロテイナーゼによる本発明のタンパク質の細胞外部分の放出・遊離を阻害するので、細胞間接触に依存しない本発明のタンパク質に対するレセプターを介する細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を抑制することができ、例えば、エイズ、神経変性疾患、骨髄異形成疾患、虚血性疾患、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患、心筋症、糖尿病、糖尿病性合併症、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、特に、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患の予防・治療剤などの安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明のタンパク質等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などに製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療の目的で本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、自己免疫性疾患治療の目的で本発明のタンパク質を分解するプロテイナーゼの活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、自己免疫性疾患治療の目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(C)本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法
本発明のタンパク質等は、TNFレセプターファミリーに属するレセプター(以下、レセプターと略記する)または本発明のタンパク質等に対するレセプターに特異的に結合することができるので、本発明のタンパク質等と該レセプターを用いたリガンド・レセプター結合アッセイ系を構築することによって、本発明のタンパク質等が該レセプターに結合した後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニングを行なうことができる。
すなわち、本発明は、本発明のタンパク質等を用いることを特徴とする本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
より具体的には、本発明は、
(1)(i)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク質等を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク質等および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のクリーニング方法、および
(2)(i)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分を接触させた場合と(ii)レセプターを含有する細胞に、本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分および試験化合物を接触させた場合との比較を行なうことを特徴とする本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
具体的には、本発明のスクリーニング方法においては、(i)と(ii)の場合における、例えば本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達などを測定して、比較することを特徴とするものである。
より具体的には、本発明は、
(1a)(i)本発明のタンパク質等を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質および試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定し、比較することを特徴とする本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法、および
(2a)(i)本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合と、(ii)本発明のタンパク質を含有する細胞またはその細胞膜画分および試験化合物を、レセプターを含有する細胞に接触させた場合における、レセプターを介した細胞刺激活性(例えば、DNA合成促進、アラキドン酸遊離、アセチルコリン遊離、細胞内Ca2+濃度の変動、細胞内cAMP生成、細胞内cGMP生成、イノシトールリン酸産生、細胞膜電位変動、細胞内蛋白質のリン酸化、c−fosの活性化、pHの低下、細胞の遊走活性などを促進する活性または抑制する活性など)、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を測定し、比較することを特徴とする本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
上記(1a)または(2a)のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合を阻害せず、該レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を促進する化合物を、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩として選択することができる。一方、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合を阻害せず、該細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性などの活性を阻害する作用を有する化合物を、本発明のタンパク質等とレセプターとの結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその塩として選択することができる。
すなわち、本スクリーニング方法は、本発明のタンパク質とレセプターとの結合に影響を与えず、レセプター結合後の細胞内シグナル伝達を調節(促進または抑制)する化合物を選択する方法であるので、本スクリーニング方法に用いる試験化合物としては、前記したレセプターアゴニスト/アンタゴニストのスクリーニング方法において、レセプターアゴニストまたはアンタゴニストとして選択されなかった化合物を用いるのが望ましい。
本発明のスクリーニング方法に用いられるレセプターとしては、本発明のタンパク質等が結合し得るレセプターであればいかなるものでもよく、例えば、TNFレセプターファミリーに属するレセプターや本発明のタンパク質等に対するレセプターが用いられる。TNFレセプターファミリーに属するレセプターとしては、例えば、前記したTNFレセプター(55kDaまたは75kDa)、リンホトキシン−βレセプター、Fas、CD27、CD30、CD40、OX40、DR4、DR3/WSL−1、TR2などが用いられる。
これらのレセプターおよび本発明のタンパク質等に対するレセプターは、自体公知のタンパク質の精製方法に従って入手することができ、また、自体公知の遺伝子工学的手法に従って該レセプターをコードするDNAをクローニングした後、前記した本発明のタンパク質等の発現方法に従って目的とするレセプターを入手することもできる。
該レセプターの部分ペプチドとしては、全長レセプターを適当に切断して得られる部分ペプチドを用いることができる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる上記レセプターを含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。また、上記レセプターを含有する細胞として、例えば、Jurkat細胞株、U937細胞株、HepG2細胞株、THP−1細胞株などの株化細胞を用いることもできる。
本発明のスクリーニング方法に用いられる本発明のタンパク質を含有する細胞としては、前記した本発明のタンパク質等を発現させるために用いる宿主細胞として列記したものと同様のものを用いることができるが、なかでも、CHO細胞などが好ましい。レセプターを含有する細胞は、レセプターをコードするDNAを用いて、自体公知の方法、例えば、前記した本発明のタンパク質の発現方法などに従って製造することができる。
本発明のスクリーニング方法において、レセプターを含有する細胞または本発明のタンパク質を含有する細胞を用いる場合、該細胞をグルタルアルデヒド、ホルマリンなどで固定化することができる。固定化方法は、それ自体公知の方法に従って行うことができる。また、本発明のタンパク質を含有する組織として、各種動物の肝臓、脾臓等またはそれらの膜画分を用いることができる。
上記レセプターを含有する細胞または本発明のタンパク質を含有する細胞の細胞膜画分としては、前記と同様のものが用いられる。
試験化合物としては、例えば、タンパク質、タンパク、非タンパク質性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
本発明のスクリーニング方法において、本発明のタンパク質等とレセプターを含有する細胞との反応は、通常約37℃で数時間行なうことができる。
上記(1a)または(2a)のスクリーニング方法において、レセプターを介する細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの測定は前記と同様にして行なうことができる。
上記(1a)または(2a)のスクリーニング方法において、試験化合物を添加した際に、レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などが促進された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩として選択することができる。一方、試験化合物を添加した際に、レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などが阻害された場合、該試験化合物をレセプター結合後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその塩化合物として選択することができる。
本発明のスクリーニング用キットは、本発明のタンパク質等を、好ましくはさらに、レセプターを含有する細胞を含有するものである。
本発明のスクリーニング用キットの例としては、次のものが挙げられる。
〔スクリーニング用試薬〕
(1)測定用緩衝液および洗浄用緩衝液
Hanks' Balanced Salt Solution(ギブコ社製)に、0.05%のウシ血清アルブミン(シグマ社製)を加えたもの。
孔径0.45μmのフィルターで濾過滅菌し、4℃で保存するか、あるいは用時調製しても良い。
(2)レセプター標品
本発明のタンパク質に対するレセプターまたはTNFレセプターなどを含有するCHO細胞を、12穴プレートに5×105個/穴で継代し、37℃、5%CO2、95%airで2日間培養したもの。
(3)本発明のタンパク質標品
本発明のタンパク質、その部分ペプチドまたはそれらの塩
〔測定法〕
アポトーシス誘導活性を細胞工学別冊 実験プロトコールシリーズ、アポトーシス実験プロトコール(1994年12月20日発行、秀潤社)に記載の方法に従って測定する。
以上のとおり、本発明のタンパク質等はレセプター結合後の細胞内シグナル伝達を促進または阻害する化合物またはその塩をスクリーニングするための試薬として有用である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩基(例、アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物またはその塩は、本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達、具体的には、レセプターを介した細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を促進する化合物またはその塩、あるいは該細胞刺激活性、アポトーシス誘導活性、細胞傷害活性などの活性を阻害する化合物またはその塩である。
本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物またはその塩は、例えば、癌(例、乳癌、前立腺癌、卵巣癌、ろ胞性リンパ球腫、p53変異を伴う癌、脳腫瘍、膀胱癌、子宮頸部癌、大腸癌(結腸/直腸癌)、非小細胞肺癌、小細胞肺癌、胃癌など)、ウイルス感染(例、エイズウイルス感染初期、ヘルペスウイルス感染、アデノウイルス感染、ボックスウイルス感染、水痘-帯状疱疹ウイルス感染、ヒトパピローマウイルス感染など)、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎(例、A型肝炎、C型肝炎など)、腎炎、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、骨疾患(例、リウマチ関節炎(例、リウマチにおける関節組織の破壊)など)、動脈硬化症、痛みなどの疾病、好ましくは、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、リウマチ関節炎、動脈硬化症、自己免疫性疾患などの疾病の予防・治療剤などの安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物またはその塩は、例えば、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中など)、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎(例、劇症肝炎)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、心筋症(例、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、好ましくは、例えば、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患の予防・治療剤などの安全で低毒性な医薬として有用である。
本発明のスクリーニング方法またはスクリーニング用キットを用いて得られる化合物を上述の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明のタンパク質等を含有する医薬と同様にして、錠剤、カプセル剤、エリキシル剤、マイクロカプセル剤、無菌性溶液、懸濁液剤などに製剤化することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療の目的で本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、エイズ治療の目的で本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、エイズ治療の目的で本発明のタンパク質等とレセプターが結合した後の細胞内シグナル伝達を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(6)アンチセンスDNAを含有するDNA
本発明のタンパク質等をコードするDNAまたはmRNAに相補的に結合し、該DNAもしくはmRNAや本発明のタンパク質等の発現を抑制することができるアンチセンスDNAは、生体内において上記の作用を発揮する本発明のタンパク質等またはそれらをコードするDNAの機能を抑制することができる。したがって、該アンチセンスDNAは、例えば、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中など)、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎(例、劇症肝炎など)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、心筋症(例、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、好ましくは、例えば、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾患の予防・治療剤として使用することができる。
該アンチセンスDNAを上記の治療・予防剤として使用する場合、前記した本発明のDNAを含有する医薬と同様にして製造することができる。例えば、該アンチセンスDNAを単独あるいはレトロウイルスベクター、アデノウイルスベクター、アデノウイルスアソシエーテッドウイルスベクターなどの適当なベクターに挿入した後、常套手段に従ってヒトまたは温血動物に投与することができる。該アンチセンスDNAは、そのままで、あるいは摂取促進のために補助剤などの生理学的に認められる担体とともに製剤化し、遺伝子銃やハイドロゲルカテーテルのようなカテーテルによって投与できる。
さらに、該アンチセンスDNAは、組織や細胞における本発明のDNAの存在やその発現状況を調べるための診断用オリゴヌクレオチドプローブとして使用することもできる。
(7)DNA転移動物の作製
さらに、本発明は、外来性の本発明のタンパク質をコードするDNA(以下、本発明の外来性DNAと略記する)またはその変異DNA(本発明の外来性変異DNAと略記する場合がある)を有する非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物、
(2)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)記載の非ヒト哺乳動物、
(3)ゲッ歯動物がマウスである第(2)記載の非ヒト哺乳動物、および
(4)本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを含有し、哺乳動物において発現しうる組換えベクターを提供するものである。
本発明の外来性DNAまたはその変異DNAを有する非ヒト哺乳動物(以下、本発明のDNA転移動物と略記する)は、未受精卵、受精卵、精子およびその始原細胞を含む胚芽細胞などに対して、好ましくは、非ヒト哺乳動物の発生における胚発生の段階(さらに好ましくは、単細胞または受精卵細胞の段階でかつ一般に8細胞期以前)に、リン酸カルシウム法、電気パルス法、リポフェクション法、凝集法、マイクロインジェクション法、パーティクルガン法、DEAE−デキストラン法などにより目的とするDNAを転移することによって作出することができる。また、該DNA転移方法により、体細胞、生体の臓器、組織細胞などに目的とする本発明の外来性DNAを転移し、細胞培養、組織培養などに利用することもでき、さらに、これら細胞を上述の胚芽細胞と自体公知の細胞融合法により融合させることにより本発明のDNA転移動物を作出することもできる。
非ヒト哺乳動物としては、例えば、ウシ、ブタ、ヒツジ、ヤギ、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、マウス、ラットなどが用いられる。なかでも、病体動物モデル系の作成の面から個体発生および生物サイクルが比較的短く、また、繁殖が容易なゲッ歯動物、とりわけマウス(例えば、純系として、C57BL/6系統,DBA2系統など、交雑系として、B6C3F1系統,BDF1系統,B6D2F1系統,BALB/c系統,ICR系統など)またはラット(例えば、Wistar,SDなど)などが好ましい。
哺乳動物において発現しうる組換えベクターにおける「哺乳動物」としては、上記の非ヒト哺乳動物の他にヒトなどが挙げられる。
本発明の外来性DNAとは、非ヒト哺乳動物が本来有している本発明のDNAではなく、いったん哺乳動物から単離・抽出された本発明のDNAをいう。特に、配列番号:9で表わされる塩基配列を有するマウス由来ゲノムDNAなどが好適である。
本発明の変異DNAとしては、元の本発明のDNAの塩基配列に変異(例えば、突然変異など)が生じたもの、具体的には、塩基の付加、欠損、他の塩基への置換などが生じたDNAなどが用いられ、また、異常DNAも含まれる。
該異常DNAとしては、異常な本発明のタンパク質を発現させるDNAを意味し、例えば、正常な本発明のタンパク質の機能を抑制するタンパク質を発現させるDNAなどが用いられる。
本発明の外来性DNAは、対象とする動物と同種あるいは異種のどちらの哺乳動物由来のものであってもよい。本発明のDNAを対象動物に転移させるにあたっては、該DNAを動物細胞で発現させうるプロモーターの下流に結合したDNAコンストラクトとして用いるのが一般に有利である。例えば、本発明のヒトDNAを転移させる場合、これと相同性が高い本発明のDNAを有する各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のDNAを発現させうる各種プロモーターの下流に、本発明のヒトDNAを結合したDNAコンストラクト(例、ベクターなど)を対象哺乳動物の受精卵、例えば、マウス受精卵へマイクロインジェクションすることによって本発明のDNAを高発現するDNA転移哺乳動物を作出することができる。
本発明のタンパク質の発現ベクターとしては、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミド、酵母由来のプラスミド、λファージなどのバクテリオファージ、モロニー白血病ウィルスなどのレトロウィルス、ワクシニアウィルスまたはバキュロウィルスなどの動物ウイルスなどが用いられる。なかでも、大腸菌由来のプラスミド、枯草菌由来のプラスミドまたは酵母由来のプラスミドなどが好ましく用いられる。
上記のDNA発現調節を行なうプロモーターとしては、例えば、ウィルス(例、シミアンウィルス、サイトメガロウィルス、モロニー白血病ウィルス、JCウィルス、乳癌ウィルス、ポリオウィルスなど)に由来するDNAのプロモーター、各種哺乳動物(ヒト、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウスなど)由来のものとしては、アルブミン、インスリンII、ウロプラキンII、エラスターゼ、エリスロポエチン、エンドセリン、筋クレアチンキナーゼ、グリア線維性酸性タンパク質、グルタチオンS−トランスフェラーゼ、血小板由来成長因子β、ケラチンK1,K10およびK14、コラーゲンI型およびII型、サイクリックAMP依存タンパク質キナーゼβIサブユニット、ジストロフィン、酒石酸抵抗性アルカリフォスファターゼ、心房ナトリウム利尿性因子、内皮レセプターチロシンキナーゼ(一般にTie2と略される)、ナトリウムカリウムアデノシン3リン酸化酵素(Na,K−ATPase)、ニューロフィラメント軽鎖、メタロチオネインIおよびIIA、メタロプロティナーゼ1組織インヒビター、MHCクラスI抗原(H−2L)、H−ras、レニン、ドーパミンβ−水酸化酵素、甲状腺ペルオキシダーゼ(TPO)、ポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)、βアクチン、αおよびβミオシン重鎖、ミオシン軽鎖1および2、ミエリン基礎タンパク質、チログロブリン、Thy−1、免疫グロブリン、H鎖可変部(VNP)、血清アミロイドPコンポーネント、ミオグロビン、トロポニンC、平滑筋αアクチン、プレプロエンケファリンA、バソプレシンなどのプロモーターなどが用いられるが、好ましくは全身で高発現することが可能なサイトメガロウィルスプロモーター、ヒトポリペプチド鎖延長因子1α(EF−1α)のプロモーター、ヒトおよびニワトリβアクチンプロモーターなどを用いることができる。
上記ベクターは、DNA転移哺乳動物において目的とするmRNAの転写を終結する配列(一般にターミネターと呼ばれる)を有していることが好ましく、例えば、ウイルス由来および各種哺乳動物由来の各DNAの配列を用いることができ、好ましくは、シミアンウィルスのSV40ターミネターなどが用いられる。
その他、目的DNAをさらに高発現させる目的で各DNAのスプライシングシグナル、エンハンサー領域、真核DNAのイントロンの一部などをプロモーター領域の5'上流、プロモーター領域と翻訳領域間あるいは翻訳領域の3'下流に連結することも目的により可能である。
正常な本発明のタンパク質の翻訳領域は、各種哺乳動物(例えば、ウサギ、イヌ、ネコ、モルモット、ハムスター、ラット、マウス、ヒトなど)由来の肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来DNAおよび市販の各種ゲノムDNAライブラリーよりゲノムDNAの全てあるいは一部として、または肝臓、腎臓、甲状腺細胞、線維芽細胞由来RNAより公知の方法により調製された相補DNAを原料として取得することが出来る。また、外来性の異常DNAは、上記の細胞または組織より得られた正常なタンパク質の翻訳領域を点突然変異誘発法により変異した翻訳領域を作製することができる。
該翻訳領域は転移動物において発現しうるDNAコンストラクトとして、前記のプロモーターの下流および所望により転写終結部位の上流に連結させる通常のDNA工学的手法により作製することができる。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞のすべてに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において、本発明の外来性DNAが存在することは、作出動物の後代がすべて、その胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明の外来性DNAを保持することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞のすべてに本発明のDNAを有する。
本発明の外来性正常DNAを転移させた非ヒト哺乳動物は、交配によりDNAを安定に保持することを確認して、該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。
受精卵細胞段階における本発明の外来性DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに過剰に存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の外来性DNAが過剰に存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有することを意味する。本発明の外来性DNAを受け継いだこの種の動物の子孫はその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の外来性DNAを過剰に有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを過剰に有するように繁殖継代することができる。
本発明の正常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の正常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を促進することにより最終的に本発明のタンパク質の機能亢進症を発症することがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の正常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能亢進症や、本発明のタンパク質が関連する疾患の病態機序の解明およびこれらの疾患の治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、本発明の外来性正常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタンパク質に関連する疾患に対する治療薬のスクリーニング試験にも利用可能である。
一方、本発明の外来性異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、交配により外来性DNAを安定に保持することを確認して該DNA保有動物として通常の飼育環境で継代飼育することが出来る。さらに、目的とする外来性DNAを前述のプラスミドに組み込んで原科として用いることができる。プロモーターとのDNAコンストラク卜は、通常のDNA工学的手法によって作製することができる。受精卵細胞段階における本発明の異常DNAの転移は、対象哺乳動物の胚芽細胞および体細胞の全てに存在するように確保される。DNA転移後の作出動物の胚芽細胞において本発明の異常DNAが存在することは、作出動物の子孫が全てその胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有することを意味する。DNAを受け継いだこの種の動物の子孫は、その胚芽細胞および体細胞の全てに本発明の異常DNAを有する。導入DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得し、この雌雄の動物を交配することによりすべての子孫が該DNAを有するように繁殖継代することができる。
本発明の異常DNAを有する非ヒト哺乳動物は、本発明の異常DNAが高発現させられており、内在性の正常DNAの機能を阻害することにより最終的に本発明のタンパク質の機能不活性型不応症となることがあり、その病態モデル動物として利用することができる。例えば、本発明の異常DNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症の病態機序の解明およびこの疾患を治療方法の検討を行なうことが可能である。
また、具体的な利用可能性としては、本発明の異常DNA高発現動物は、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症における本発明の異常タンパク質による正常タンパク質の機能阻害(dominant negative作用)を解明するモデルとなる。また、本発明の外来異常DNAを転移させた哺乳動物は、遊離した本発明のタンパク質の増加症状を有することから、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症に対する治療薬スクリーニング試験にも利用可能である。
また、上記2種類の本発明のDNA転移動物のその他の利用可能性として、例えば、
(1)組織培養のための細胞源としての使用、
(2)本発明のDNA転移哺乳動物の組織中のDNAもしくはRNAを直接分析するか、またはDNAにより発現されたタンパク質組織を分析することによる、本発明のタンパク質により特異的に発現あるいは活性化するタンパク質との関連性についての解析、
(3)DNAを有する組織の細胞を標準組織培養技術により培養し、これらを使用して、一般に培養困難な組織からの細胞の機能の研究、
(4)上記(3)記載の細胞を用いることによる細胞の機能を高めるような薬剤のスクリーニング、および
(5)本発明の変異タンパク質を単離精製およびその抗体作製などが考えられる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の臨床症状を調べることができ、また、本発明のタンパク質に関連する疾患モデルの各臓器におけるより詳細な病理学的所見が得られ、新しい治療方法の開発、さらには、該疾患による二次的疾患の研究および治療に貢献することができる。
また、本発明のDNA転移動物から各臓器を取り出し、細切後、トリプシンなどのタンパク質分解酵素により、遊離したDNA転移細胞の取得、その培養またはその培養細胞の系統化を行なうことが可能である。さらに、本発明のタンパク質産生細胞の特定化、アポトーシス、分化あるいは増殖との関連性、またはそれらにおけるシグナル伝達機構を調べ、それらの異常を調べることなどができ、本発明のタンパク質およびその作用解明のための有効な研究材料となる。
さらに、本発明のDNA転移動物を用いて、本発明のタンパク質の機能不活性型不応症を含む、本発明のタンパク質に関連する疾患の治療薬の開発を行なうために、上述の検査法および定量法などを用いて、有効で迅速な該疾患治療薬のスクリーニング法を提供することが可能となる。また、本発明のDNA転移動物または本発明の外来性DNA発現ベクターを用いて、本発明のタンパク質が関連する疾患の遺伝子治療法を検討、開発することが可能である。
(8)ノックアウト動物の作製
さらに、本発明は、本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞および本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を提供する。
すなわち、本発明は、
(1)本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞、
(2)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化された第(1)項記載の胚幹細胞、
(3)ネオマイシン耐性である第(1)項記載の胚幹細胞、
(4)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(1)項記載の胚幹細胞、
(5)ゲッ歯動物がマウスである第(4)項記載の胚幹細胞、
(6)本発明のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物、
(7)該DNAがレポーター遺伝子(例、大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子)を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの制御下で発現しうる第(6)項記載のヒト哺乳動物、
(8)非ヒト哺乳動物がゲッ歯動物である第(6)項記載のヒト哺乳動物、
(9)ゲッ歯動物がマウスである第(8)項記載のヒト哺乳動物、および
(10)第(7)項記載の非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
本発明のノックアウト動物の作製には、配列番号:9で表わされる塩基配列を含有するマウス由来のゲノムDNAを含有するDNA〔図4〕が好適である。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞とは、該非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAに人為的に変異を加えることにより、DNAの発現能を抑制するか、もしくは該DNAがコードしている本発明のタンパク質の活性を実質的に喪失させることにより、DNAが実質的に本発明のタンパク質の発現能を有さない(以下、本発明のノックアウトDNAと称することがある)非ヒト哺乳動物の胚幹細胞(以下、ES細胞と略記する)をいう。
非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNAに人為的に変異を加える方法としては、例えば、遺伝子工学的手法により該DNA配列の一部又は全部の削除、他DNAを挿入または置換させることによって行なうことができる。これらの変異により、例えば、コドンの読み取り枠をずらしたり、プロモーターあるいはエキソンの機能を破壊することにより本発明のノックアウトDNAを作製すればよい。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞(以下、本発明のDNA不活性化ES細胞または本発明のノックアウトES細胞と略記する)の具体例としては、例えば、目的とする非ヒト哺乳動物が有する本発明のDNAを単離し、そのエキソン部分にネオマイシン耐性遺伝子、ハイグロマイシン耐性遺伝子を代表とする薬剤耐性遺伝子、あるいはlacZ(β−ガラクトシダーゼ遺伝子)、cat(クロラムフェニコールアセチルトランスフェラーゼ遺伝子)を代表とするレポーター遺伝子等を挿入することによりエキソンの機能を破壊するか、あるいはエキソン間のイントロン部分に遺伝子の転写を終結させるDNA配列(例えば、polyA付加シグナルなど)を挿入し、完全なmRNAを合成できなくすることによって、結果的に遺伝子を破壊するように構築したDNA配列を有するDNA鎖(以下、ターゲッティングベクターと略記する)を、例えば相同組換え法により該動物の染色体に導入し、得られたES細胞について本発明のDNA上あるいはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析あるいはターゲッティングベクター上のDNA配列とターゲッティングベクター作製に使用した本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列をプライマーとしたPCR法により解析し、本発明のノックアウトES細胞を選別することにより得ることができる。
また、相同組換え法等により本発明のDNAを不活化させるために用いられる元のES細胞としては、例えば、前述のような既に樹立されたものを用いてもよく、また公知 EvansとKaufmaの方法に準じて新しく樹立したものでもよい。例えば、マウスのES細胞の場合、現在、一般的には129系のES細胞が使用されているが、免疫学的背景がはっきりしていないので、これに代わる純系で免疫学的に遺伝的背景が明らかなES細胞を取得するなどの目的で例えば、C57BL/6マウスやC57BL/6の採卵数の少なさをDBA/2との交雑により改善したBDF1マウス(C57BL/6とDBA/2とのF1)を用いて樹立したものなども良好に用いうる。BDF1マウスは、採卵数が多く、かつ、卵が丈夫であるという利点に加えて、C57BL/6マウスを背景に持つので、これを用いて得られたES細胞は病態モデルマウスを作出したとき、C57BL/6マウスとバッククロスすることでその遺伝的背景をC57BL/6マウスに代えることが可能である点で有利に用い得る。
また、ES細胞を樹立する場合、一般には受精後3.5日目の胚盤胞を使用するが、これ以外に8細胞期胚を採卵し胚盤胞まで培養して用いることにより効率よく多数の初期胚を取得することができる。
また、雌雄いずれのES細胞を用いてもよいが、通常雄のES細胞の方が生殖系列キメラを作出するのに都合が良い。また、煩雑な培養の手間を削減するためにもできるだけ早く雌雄の判別を行なうことが望ましい。
ES細胞の雌雄の判定方法としては、例えば、PCR法によりY染色体上の性決定領域の遺伝子を増幅、検出する方法が、その1例として挙げることができる。この方法を使用すれば、従来、核型分析をするのに約106個の細胞数を要していたのに対して、1コロニー程度のES細胞数(約50個)で済むので、培養初期におけるES細胞の第一次セレクションを雌雄の判別で行なうことが可能であり、早期に雄細胞の選定を可能にしたことにより培養初期の手間は大幅に削減できる。
また、第二次セレクションとしては、例えば、G−バンディング法による染色体数の確認等により行うことができる。得られるES細胞の染色体数は正常数の100%が望ましいが、樹立の際の物理的操作等の関係上困難な場合は、ES細胞の遺伝子をノックアウトした後、正常細胞(例えば、マウスでは染色体数が2n=40である細胞)に再びクローニングすることが望ましい。
このようにして得られた胚幹細胞株は、通常その増殖性は大変良いが、個体発生できる能力を失いやすいので、注意深く継代培養することが必要である。例えば、STO繊維芽細胞のような適当なフィーダー細胞上でLIF(1−10000U/ml)存在下に炭酸ガス培養器内(好ましくは、5%炭酸ガス、95%空気または5%酸素、5%炭酸ガス、90%空気)で約37℃で培養するなどの方法で培養し、継代時には、例えば、トリプシン/EDTA溶液(通常0.001−0.5%トリプシン/0.1−5mM EDTA、好ましくは約0.1%トリプシン/1mM EDTA)処理により単細胞化し、新たに用意したフィーダー細胞上に播種する方法などがとられる。このような継代は、通常1−3日毎に行なうが、この際に細胞の観察を行い、形態的に異常な細胞が見受けられた場合はその培養細胞は放棄することが望まれる。
ES細胞は、適当な条件により、高密度に至るまで単層培養するか、または細胞集塊を形成するまで浮遊培養することにより、頭頂筋、内臓筋、心筋などの種々のタイプの細胞に分化させることが可能であり〔M. J. Evans及びM. H. Kaufman, ネイチャー(Nature)第292巻、154頁、1981年;G. R. Martin プロシーディングス・オブ・ナショナル・アカデミー・オブ・サイエンス・ユーエスエー(Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A.)第78巻、7634頁、1981年;T. C. Doetschmanら、ジャーナル・オブ・エンブリオロジー・アンド・エクスペリメンタル・モルフォロジー、第87巻、27頁、1985年〕、本発明のES細胞を分化させて得られる本発明のDNA発現不全細胞は、インビトロにおける本発明のタンパク質の細胞生物学的検討において有用である。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、該動物のmRNA量を公知方法を用いて測定して間接的にその発現量を比較することにより、正常動物と区別することが可能である。
該非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが用いられる。
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、例えば、前述のようにして作製したターゲッティングベクターをマウス胚幹細胞またはマウス卵細胞に導入し、導入によりターゲッティングベクターの本発明のDNAが不活性化されたDNA配列が遺伝子相同組換えにより、マウス胚幹細胞またはマウス卵細胞の染色体上の本発明のDNAと入れ換わる相同組換えをさせることにより、本発明のDNAをノックアウトさせることができる。
本発明のDNAがノックアウトされた細胞は、本発明のDNA上またはその近傍のDNA配列をプローブとしたサザンハイブリダイゼーション解析またはターゲッティングベクター上のDNA配列と、ターゲッティングベクターに使用したマウス由来の本発明のDNA以外の近傍領域のDNA配列とをプライマーとしたPCR法による解析で判定することができる。非ヒト哺乳動物胚幹細胞を用いた場合は、遺伝子相同組換えにより、本発明のDNAが不活性化された細胞株をクローニングし、その細胞を適当な時期、例えば、8細胞期の非ヒト哺乳動物胚または胚盤胞に注入し、作製したキメラ胚を偽妊娠させた該非ヒト哺乳動物の子宮に移植する。作出された動物は正常な本発明のDNA座をもつ細胞と人為的に変異した本発明のDNA座をもつ細胞との両者から構成されるキメラ動物である。
該キメラ動物の生殖細胞の一部が変異した本発明のDNA座をもつ場合、このようなキメラ個体と正常個体を交配することにより得られた個体群より、全ての組織が人為的に変異を加えた本発明のDNA座をもつ細胞で構成された個体を、例えば、コートカラーの判定等により選別することにより得られる。このようにして得られた個体は、通常、本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体であり、本発明のタンパク質のヘテロ発現不全個体同志を交配し、それらの産仔から本発明のタンパク質のホモ発現不全個体を得ることができる。
卵細胞を使用する場合は、例えば、卵細胞核内にマイクロインジェクション法でDNA溶液を注入することによりターゲッティングベクターを染色体内に導入したトランスジェニック非ヒト哺乳動物を得ることができ、これらのトランスジェニック非ヒト哺乳動物に比べて、遺伝子相同組換えにより本発明のDNA座に変異のあるものを選択することにより得られる。
このようにして本発明のDNAがノックアウトされている個体は、交配により得られた動物個体も該DNAがノックアウトされていることを確認して通常の飼育環境で飼育継代を行なうことができる。
さらに、生殖系列の取得および保持についても常法に従えばよい。すなわち、該不活化DNAの保有する雌雄の動物を交配することにより、該不活化DNAを相同染色体の両方に持つホモザイゴート動物を取得しうる。得られたホモザイゴート動物は、母親動物に対して、正常個体1,ホモザイゴート複数になるような状態で飼育することにより効率的に得ることができる。ヘテロザイゴート動物の雌雄を交配することにより、該不活化DNAを有するホモザイゴートおよびヘテロザイゴート動物を繁殖継代する。
本発明のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を作出する上で、非常に有用である。
また、本発明のタンパク質発現不全マウスは、本発明のタンパク質により誘導され得る種々の生物活性を欠失するため、本発明のタンパク質の生物活性の不活性化を原因とする疾病のモデルとなり得るので、これらの疾病の原因究明及び治療法の検討に有用である。
(8a)本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニング方法
本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物は、前記した本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病(例、癌など)に対して治療・予防効果を有する化合物のスクリーニングに用いることができる。
すなわち、本発明は、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該非ヒト哺動物の変化を観察・測定することを特徴とする、本発明のDNAの欠損や損傷などに起因する疾病に対して治療・予防効果を有する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
該スクリーニング方法において用いられる本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物としては、前記と同様のものが挙げられる。
試験化合物としては、例えば、ペプチド、タンパク、非ペプチド性化合物、合成化合物、発酵生産物、細胞抽出液、植物抽出液、動物組織抽出液、血漿などが挙げられ、これら化合物は新規な化合物であってもよいし、公知の化合物であってもよい。
具体的には、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物を、試験化合物で処理し、無処理の対照動物と比較し、該動物の各器官、組織、疾病の症状などの変化を指標として試験化合物の治療・予防効果を試験することができる。
試験動物を試験化合物で処理する方法としては、例えば、経口投与、静脈注射などが用いられ、試験動物の症状、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。また、試験化合物の投与量は、投与方法、試験化合物の性質などにあわせて適宜選択することができる。
例えば、癌に対して治療・予防効果を有する化合物をスクリーニングする場合、本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、該動物の体重変化などを経時的に測定する。
該スクリーニング方法において、試験動物に試験化合物を投与した場合、該試験動物の体重が約10%以上、好ましくは約30%以上、より好ましくは約50%以上上昇した場合、該試験化合物を癌に対して治療・予防効果を有する化合物として選択することができる。
本発明のスクリーニング方法を用いて得られる化合物は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のタンパク質等の欠損や損傷などによって引き起こされる疾患、例えば、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症、痛みなどの疾患に対して治療・予防効果を有するので、該疾患に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として使用することができる。さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩(例、アルカリ金属)などとの塩が用いられ、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する治療・予防剤は、前記した本発明のタンパク質等を含有する医薬と同様にして製造することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療の目的で該化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で該化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
(8b)本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物をスクリーニング方法
本発明は、本発明のDNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物に、試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする本発明のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法を提供する。
試験化合物としては、前記と同様のものが挙げられる。
レポーター遺伝子としては、前記と同様のものが用いられ、β−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)が好適である。
本発明のDNAをレポーター遺伝子で不活性化された本発明のDNA発現不全非ヒト哺乳動物では、レポーター遺伝子が本発明のDNAに対するプロモーターの支配下に存在するので、レポーター遺伝子がコードする物質の発現をトレースすることにより、プロモーターの活性を検出することができる。
例えば、本発明のタンパク質をコードするDNA領域の一部が大腸菌由来のβ−ガラクトシダーゼ遺伝子(lacZ)で不活性化されている場合、本来、本発明のタンパク質の発現する組織で、本発明のタンパク質の代わりにβ−ガラクトシダーゼが発現する。従って、例えば、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド(X−gal)のようなβ−ガラクトシダーゼの基質となる試薬を用いて染色することにより、簡便に本発明のタンパク質の動物生体内における発現状態を観察することができる。具体的には、本発明のタンパク質欠損マウスまたはその組織切片をグルタルアルデヒドなどで固定し、ダルベッコリン酸緩衝生理食塩液(PBS)で洗浄後、X−galを含む染色液で、室温または7℃付近で、約30分ないし1時間反応させた後、組織標本を1mM EDTA/PBS溶液で洗浄することによって、β−ガラクトシダーゼ反応を停止させ、呈色を観察すればよい。また、常法に従い、lacZをコードするmRNAを検出してもよい。
上記スクリーニング方法を用いて得られる化合物またはその塩は、上記した試験化合物から選ばれた化合物であり、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進または阻害する化合物である。
該スクリーニング方法で得られた化合物は塩を形成していてもよく、該化合物の塩としては、生理学的に許容される酸(例、無機酸、有機酸)または塩(例、アルカリ金属)などとの塩が好ましくは、とりわけ生理学的に許容される酸付加塩が好ましい。この様な塩としては、例えば、無機酸(例えば、塩酸、リン酸、臭化水素酸、硫酸)との塩、あるいは有機酸(例えば、酢酸、ギ酸、プロピオン酸、フマル酸、マレイン酸、コハク酸、酒石酸、クエン酸、リンゴ酸、蓚酸、安息香酸、メタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸)との塩などが用いられる。
本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物またはその塩は、本発明のタンパク質の発現を阻害し、該タンパク質の機能を阻害することができるので、例えば、エイズ、神経変性疾患(例、アルツハイマー病、パーキンソン病、筋萎縮性側索硬化症、色素性網膜炎、小脳変性など)、骨髄異形成疾患(例、再生不良性貧血など)、虚血性疾患(例、心筋梗塞、脳卒中など)、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎(例、劇症肝炎)、自己免疫性疾患(例、全身性エリテマトーデス、免疫関連糸球体腎炎など)、心筋症(例、拡張型心筋症)、糖尿病、糖尿病性合併症(例、糖尿病性合併症、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、糖尿病性網膜症)、インフルエンザ感染、糸球体腎炎、潰瘍性大腸炎などの疾患、好ましくは、エイズ、リウマチにおける関節組織の破壊、炎症、肝炎、自己免疫性疾患などの疾病に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用である。
一方、本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物またはその塩は、本発明のタンパク質の発現を促進し、該タンパク質の機能を促進することができるので、例えば、癌、ウイルス感染、ヘリコバクター・ピロリ感染、侵襲性ブドウ状球菌感染、肝炎、腎炎、自己免疫性疾患、骨疾患、動脈硬化症、痛みのなどの疾病に対する安全で低毒性な治療・予防剤などの医薬として有用である。
さらに、上記スクリーニングで得られた化合物から誘導される化合物も同様に用いることができる。
該スクリーニング方法で得られた化合物またはその塩を含有する医薬は、前記した本発明のタンパク質等を含有する医薬と同様にして製造し、ヒトまたは哺乳動物に投与することができる。
このようにして得られる製剤は安全で低毒性であるので、例えば、ヒトや哺乳動物(例えば、ラット、ウサギ、ヒツジ、ブタ、ウシ、ネコ、イヌ、サルなど)に対して投与することができる。
該化合物またはその塩の投与量は、対象疾患、投与対象、投与ルートなどにより差異はあるが、例えば、癌治療の目的で本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、癌治療の目的で本発明のDNAに対するプロモーター活性を促進する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
一方、例えば、エイズ治療の目的で本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を経口投与する場合、一般的に成人(体重60kgとして)においては、一日につき該化合物を約0.1〜100mg、好ましくは約1.0〜50mg、より好ましくは約1.0〜20mg投与する。非経口的に投与する場合は、該化合物の1回投与量は投与対象、対象疾患などによっても異なるが、例えば、エイズ治療の目的で本発明のDNAに対するプロモーター活性を阻害する化合物を注射剤の形で通常成人(60kgとして)に投与する場合、一日につき該化合物を約0.01〜30mg程度、好ましくは約0.1〜20mg程度、より好ましくは約0.1〜10mg程度を静脈注射により投与するのが好都合である。他の動物の場合も、60kg当たりに換算した量を投与することができる。
本明細書および図面において、塩基やアミノ酸などを略号で表示する場合、IUPAC−IUB Commision on Biochemical Nomenclature による略号あるいは当該分野における慣用略号に基づくものであり、その例を下記する。またアミノ酸に関し光学異性体があり得る場合は、特に明示しなければL体を示すものとする。
DNA :デオキシリボ核酸
cDNA :相補的デオキシリボ核酸
A :アデニン
T :チミン
G :グアニン
C :シトシン
RNA :リボ核酸
mRNA :メッセンジャーリボ核酸
dATP :デオキシアデノシン三リン酸
dTTP :デオキシチミジン三リン酸
dGTP :デオキシグアノシン三リン酸
dCTP :デオキシシチジン三リン酸
ATP :アデノシン三リン酸
EDTA :エチレンジアミン四酢酸
SDS :ドデシル硫酸ナトリウム
Gly :グリシン
Ala :アラニン
Val :バリン
Leu :ロイシン
Ile :イソロイシン
Ser :セリン
Thr :スレオニン
Cys :システイン
Met :メチオニン
Glu :グルタミン酸
Asp :アスパラギン酸
Lys :リジン
Arg :アルギニン
His :ヒスチジン
Phe :フェニルアラニン
Tyr :チロシン
Trp :トリプトファン
Pro :プロリン
Asn :アスパラギン
Gln :グルタミン
pGlu :ピログルタミン酸
また、本明細書中で繁用される置換基、保護基および試薬を下記の記号で表記する。
Me :メチル基
Et :エチル基
Bu :ブチル基
Ph :フェニル基
TC :チアゾリジン−4(R)−カルボキサミド基
Tos :p−トルエンスルフォニル
CHO :ホルミル
Bzl :ベンジル
Cl2Bzl :2,6−ジクロロベンジル
Bom :ベンジルオキシメチル
Z :ベンジルオキシカルボニル
Cl−Z :2−クロロベンジルオキシカルボニル
Br−Z :2−ブロモベンジルオキシカルボニル
Boc :t−ブトキシカルボニル
DNP :ジニトロフェノール
Trt :トリチル
Bum :t−ブトキシメチル
Fmoc :N−9−フルオレニルメトキシカルボニル
HOBt :1−ヒドロキシベンズトリアゾール
HOOBt :3,4−ジヒドロ−3−ヒドロキシ−4−オキソ− 1,2,3−ベンゾトリアジン
HONB :1-ヒドロキシ-5-ノルボルネン-2,3-ジカルボキシイミド
DCC :N、N'−ジシクロヘキシルカルボジイミド
本明細書の配列表の配列番号は、以下の配列を示す。
〔配列番号:1〕本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:2〕本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:3〕本発明のラット由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。
〔配列番号:4〕本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:5〕プラスミドpTB1939に挿入されている、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパク質をコードするcDNAを含有するDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:6〕プラスミドpTB1940に挿入されている、本発明の配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来タンパク質をコードするcDNAを含有するDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:7〕本発明の配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するマウス由来タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:8〕プラスミドpTB1958に挿入されている、本発明の配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するマウス由来タンパク質をコードするcDNAを含有するDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:9〕本発明の配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有するマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:10〕本発明の配列番号:3で表わされるアミノ酸配列を有するラット由来タンパク質をコードするcDNAの塩基配列を示す。
〔配列番号:11〕本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:12〕本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:13〕本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:14〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:15〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したオリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:16〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の塩基配列の解析に使用した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:17〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の塩基配列の解析に使用した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:18〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の塩基配列の解析に使用したマウス染色体DNA断片の両末端結合しているアダプターの塩基配列を示す。
〔配列番号:19〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の塩基配列の解析に使用した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:20〕本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の塩基配列の解析に使用した合成オリゴヌクレオチドの塩基配列を示す。
〔配列番号:21〕本発明のヒト由来タンパク質の細胞外領域をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:22〕本発明のヒト由来タンパク質の細胞外領域をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:23〕本発明のラット由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:24〕本発明のラット由来タンパク質をコードするDNAをクローニングするために使用したプライマーの塩基配列を示す。
〔配列番号:25〕本発明のタンパク質のアミノ酸配列の一般式を示す。
後述の実施例1で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH10B/pTB1939およびエシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH10B/pTB1940は、それぞれ平成8年7月17日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5595およびFERM BP−5596として、また平成8年7月11日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 15997およびIFO 15998として寄託されている。
後述の実施例2で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α/pTB1958は、平成9年1月30日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−5805として、また平成9年1月31日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO 16054として寄託されている。
後述の実施例3で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α/pTB2011は、平成9年7月8日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6012として、また平成9年7月7日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO16109として寄託されている。
後述の実施例5で得られた形質転換体エシェリヒア コリ(Escherichia coli)DH5α/pTB2012は、平成9年7月8日から通商産業省工業技術院生命工学工業技術研究所(NIBH)に寄託番号FERM BP−6013として、また平成9年7月7日から財団法人・発酵研究所(IFO)に寄託番号IFO16110として寄託されている。
以下に、実施例を挙げて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はそれに限定されるものではない。なお、大腸菌を用いての遺伝子操作法は、モレキュラー・クローニング(Molecular cloning)に記載されている方法に従った。
[実施例1]
ヒト由来Fasリガンド様タンパク質をコードするcDNAのクローニング
cDNAのクローニングは、ジーントラッパー(GENETRAPPERTM)cDNAポジティブ選択システム(ギブコビーアールエル社)を用いて行なった。
スーパースクリプトTMヒト肝臓cDNAライブラリー(ギブコビーアールエル社)の大腸菌DH12S株を、100μg/ml アンピシリン含有Terrific Broth(12g/l Bacto-tryptone(ディフコ社)、24g/l Bacto-yeast extract(ディフコ社)、2.3g/l リン酸一カリウム、12.5g/l リン酸二カリウム、0.4% グリセロール)で30℃で16時間培養し、集菌後、キアジェンプラスミドキット(キアジェン社)を用いて、プラスミドcDNAライブラリーを調製した。精製したプラスミドcDNAライブラリーをGeneII,ExoIII(いずれもギブコビーアールエル社)によって消化し、一本鎖cDNAライブラリーを作成した。
一方、プローブとして、合成オリゴヌクレオチド(配列番号:11)をcDNAライブラリーのスクリーニングに用いた。プローブは、TdT,ビオチン−14−dCTP(ギブコビーアールエル社)を用いて、3'末端をビオチン化することで標識した。一本鎖cDNAライブラリーを95℃で1分間処理した後、氷中で急冷し、ビオチン化したプローブを加えて37℃で1時間、室温でハイブリダイゼーションを行なった。ハイブリダイゼーション後、ジーントラッパーcDNAポジティブ選択システム・ストレプトアビジンビーズ(ギブコビーアールエル社)を加えて、室温で2分ごとに撹拌しながら30分間放置した。その後、ジーントラッパーcDNAポジティブ選択システム・マグネットラック(ギブコビーアールエル社)中に入れ、2分間放置した。上清を捨て、マグネットビーズをジーントラッパーcDNAポジティブ選択システム・ウオッシュバッファーで洗浄した。このウオッシュバッファーによる洗浄を3回行なった。その後、マグネットラックに入れて放置し、上清を捨て、ジーントラッパーcDNAポジティブ選択システム・溶出バッファーを加え、5分間室温で放置した。マグネットラックに入れて5分間放置した後、その上清のDNA溶液を回収した。
取得したDNA溶液にプライマーとして合成オリゴヌクレオチド(配列番号:11)を入れ、95℃で1分間処理した。ジーントラッパーcDNAポジティブ選択システム・修復酵素を加え、70℃で15分間放置して二本鎖DNAを合成した。合成した二本鎖DNAをエレクトロポレーション装置(バイオ・ラッド社)により、大腸菌DH10B株に導入した。
得られた形質転換株を用いて2種のオリゴヌクレオチド(配列番号:12、配列番号:13)をプライマーとしてコロニーPCRによるスクリーニングを行なった。PCRにより434bpの増幅断片が形成されたコロニーを陽性クローンとして3株(#9、#33、#81)選択した。
選択した大腸菌を培養後、DNAを抽出し、Taqダイデオキシターミネーターサイクルシーケンシングキット(パーキンエルマー社)を用いて反応を行ない、ABI PRISMTM 377 DNAシーケンサー(パーキンエルマー社)により、cDNA断片の塩基配列を決定した。取得した3クローンのうち、クローン#9とクローン#33は同一のDNA断片を含んでおり、poly(A)+鎖を含む配列番号:5で表される1491個の塩基配列を有していた〔図1〕。また、クローン#81は poly(A)+鎖、並びに poly(A)+付加シグナル(AATAA)を含む配列番号:6で表される1353個の塩基配列を有していた〔図2〕。これら3クローンのcDNA断片には同一遺伝子が含まれており、配列番号:1で表される240個のアミノ酸からなる新規Fasリガンド様蛋白質がコードされていた。また Kyte−Doolittle解析から、35番バリン(Val)から63番トリプトファン(Trp)にかけての疎水性領域が本タンパク質の膜貫通領域と予想された。本タンパク質はヒトリンホトキシンβと最も相同性が高かったが、アミノ酸レベルで33%の相同性が見られた。また、ヒトFasリガンドとはアミノ酸レベルで31%の相同性が見られたが、J. Hein法(PAM250 residue weight table に基づく)による系統樹解析では、ヒトリンホトキシンβよりもヒトFasリガンドとのより高い相同性が見られた。
本発明のタンパク質をコードするDNAのうちクローン#9を保持するプラスミドpTB1939並びにクローン#81を含むプラスミドpTB1940を大腸菌(Escherichia coli)DH10Bに導入して、形質転換体:大腸菌(Escherichia coli)DH10B/pTB1939並びに大腸菌(Escherichia coli)DH10B/pTB1940を得た。
[実施例2]
マウス由来Fasリガンド様タンパク質をコードするcDNAのクローニング
cDNAのクローニングは、PCR法によって行なった。スーパースクリプトTMマウス8.5日胚由来cDNAライブラリー(ギブコビーアールエル社)の大腸菌DH12S株を、100μg/ml アンピシリン含有Super Broth(32g/l Bacto-tryptone(ディフコ社)、20g/l Bacto-yeast extract(ディフコ社)、0.2g/l NaCl)で30℃、16時間培養した後、キアジェンプラスミドキット(キアジェン社)を用いてプラスミドcDNAライブラリーを調製し、鋳型として用いた。
プライマーとして、次の2つの合成オリゴヌクレオチドを用いた。
5'−TCTGCTCTGGCATGGAGAGTGTGGT−3' (配列番号:14)
5'−CTATTGCTGGGTTTGAGGTGAGTC−3' (配列番号:15)
PCR反応は、TaKaRa Ex Taq(宝酒造(株))を含む系で、サーマルサークラー(GeneAmpR PCR System 2400,パーキンエルマー社)を用いて94℃,1分を1サイクル、94℃,20秒→55℃,30秒→72℃,2分を30サイクル、4℃放置の条件で行なった。
得られた増幅断片をpT7Blue T-vector(ノバジェン社)にDNAライゲーションキットバージョン2(宝酒造(株))を用いて挿入し、大腸菌DH5α株に導入した。
得られた形質転換菌からプラスミドDNAを抽出し、ダイターミネーターサイクルシークエンスFSレディリアクションキット(パーキンエルマー社)を用いて反応を行ない、373A DNAシーケンサー(パーキンエルマー社)によりcDNA断片の塩基配列を決定した。
取得したクローンは、配列番号:7で表わされる717個の塩基配列を含む配列番号:8で表される795個の塩基配列を有しており、配列番号:2で表わされる239個のアミノ酸からなるマウス由来Fasリガンド様タンパク質をコードしていた〔図3〕。このマウス由来Fasリガンド様タンパク質と実施例1で得られた配列番号:1で表わされるアミノ酸配列を有するヒト由来Fasリガンド様タンパク質とは、アミノ酸レベルで78%の相同性を有しており、また、それをコードするDNAは、塩基レベルで77%の相同性を有していた。
得られたマウス由来Fasリガンド様タンパク質をコードするDNAを保持するプラスミドpTB1958を大腸菌(Escherichia coli)DH5αに導入して、形質転換体:大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pTB1958を得た。
次に、プロモーターファインダーDNAウォーキングキット(クローンテック社)を用いて、本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの開始コドン付近の配列の解析を行なった。
使用したマウスゲノムDNAは、予めScaIの制限酵素で消化され、その5'および3'末端に、プライマーAP1(クローンテック社)やプライマーAP2(クローンテック社)が結合可能なアダプター配列が連結されている。
(1)プライマーAP1:(配列番号:16)
5'−GTAATACGACTCACTATAGGGC−3'
(2)プライマーAP2:(配列番号:17)
5'−ACTATAGGGCACGCGTGGT−3'
(3)アダプター配列:(配列番号:18)
5'−GTAATACGACTCACTATAGGGCACGCGTGGTCGACGGCCCGGGCTGGT−3'
第1PCR反応は、このマウスゲノムDNA溶液とTaKaRa LA PCRキットバージョン2(宝酒造(株))、AP1、合成オリゴヌクレオチドGSP1を用い、サーマルサイクラー(GeneAmpR PCR System 2400,パーキンエルマー社)で、94℃,2秒、72℃,3分を7サイクル、94℃,2秒、68℃,3分を37サイクル、68℃,4分、4℃放置の条件で行なった。
(4)合成オリゴヌクレオチドGSP1:(配列番号:19)
5'−CAGCCCAGCACCTAGCAGCAGCACCAG−3'
次に、この反応液を滅菌水で50倍希釈し、第2PCR反応に用いた。第2PCR反応は、この第1PCR反応液、TaKaRa LA PCRキットバージョン2(宝酒造(株))、前記プライマーAP2、合成オリゴヌクレオチドGSP2を用い、サーマルサイクラー(GeneAmpR PCR System 2400,パーキンエルマー社)で、94℃,2秒、72℃,3分を5サイクル、94℃,2秒、68℃,3分を25サイクル、68℃,4分、4℃放置の条件で行なった。
(5)合成オリゴヌクレオチドGSP2:(配列番号:20)
5'−GCCGCCTGAATGGGATGTCCGTCTGTC−3'
ScaIで消化したゲノムDNA溶液から得られた約1.1kbpの増幅断片をpT7ブルーT−ベクター(ノバジェン社)にDNAライゲーションキットバージョン2(宝酒造(株))を用いて挿入し、大腸菌DH5α株に導入し、形質転換株を得た。
得られた形質転換株から、プラスミドDNAを抽出し、ダイターミネーターサイクルシークエンスFSレディリアクションキット(パーキンエルマー社)を用いて反応を行ない、373A DNAシークエンサー(パーキンエルマー社)により増幅断片の塩基配列の一部を決定した。取得したクローンには、配列番号:2で表わされるアミノ酸配列を有する本発明のマウス由来タンパク質の1番Met(開始コドン)から13番Aspをコードする塩基配列(配列番号:7で表わされる塩基配列の第1〜39番目の塩基配列)と完全に一致する配列が存在したことから、本発明のマウス由来タンパク質をコードするcDNAのクローニングに用いた合成オリゴヌクレオチド(配列番号:14)の配列は、実際の本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの配列の一部であることが確認された。
[実施例3]
マウス由来Fasリガンド様タンパク質遺伝子のコード領域を含む染色体遺伝子のクローニング
マウス由来Fasリガンド様タンパク質遺伝子のオープンリーディングフレーム部分を含む領域をコードする染色体DNA断片の取得は、129SVJマウス染色体DNA Sau3AI部分消化断片を組み込んだラムダFIXRIIライブラリー(ストラタジーン社)を用いて、標識したマウス由来Fasリガンド様タンパク質cDNAをプローブとしたプラークハイブリダイゼーション法により単離した。まず、1−10×104pfu(plaque-forming unit)/mlになるように希釈したファージ溶液に、0.2%マルトース,10mM MgSO4を添加したLB培地で30℃一晩培養した大腸菌XL1−Blue MRAの培養液を同量混ぜ、37℃、10分間インキュベートした。該混合液200μlに対して、あらかじめ50℃に温めておいた5mlのトップアガロース(0.7%になるようアガロースを添加したNZY培地〔5g/l NaCl、2g/l MgSO4・7H2O、5g/lyeast extract、10g/l NZアミン(pH7.5に調整)〕を加え、NZYプレート(1.5% アガロース、9cmディッシュ)に均一になるように重曹した後、9時間、37℃で静置した。あらかじめプレートの位置がわかるように印をつけたナイロントランスファーメンブレン HybondTM−N+(アマシャム社)を該プレート上に1分間密着させることにより、出現したファージ粒子をメンブレン上に移した。該メンブレンを変性溶液(1.5M NaCl、0.5M NaOH)を染み込ませたワットマン3MMペーパー濾紙(ワットマンインターナショナル社)上に、ファージのついた面を上にして7分間置いた後、中和溶液(1.5M NaCl、0.5M トリス塩酸(pH7.2)、1mM EDTA)を染み込ませた濾紙上に、ファージのついた面を上にして3分間放置した。再度この中和処理を繰り返した後、2×SSC溶液(0.3M NaCl、0.03M クエン酸ナトリウム)で洗浄した。該メンブレンを自然乾燥させた後、0.4M NaOHを染み込ませた濾紙上に、ファージのついた面を上にして20分間置き、5×SSC溶液(0.75M NaCl、75mM クエン酸ナトリウム)で洗浄し、ハイブリダイゼーションパックにつめた。このパックにECL遺伝子検出システム(アマシャム社)のハイブリダイゼーションバッファーを5ml加えて1時間、42℃でプレハイブリダイゼーションを行なった。
一方、マウス由来Fasリガンド様タンパク質cDNAのオープンリーディングフレーム部分(720bp)をPCR反応により増幅させたDNA断片を熱変性後に、ECL遺伝子検出システムのラベリング試薬とグルタルアルデヒドを同量ずつ添加して5分間37℃でインキュベートし標識した後、これを10μlずつプレハイブリダイゼーションパックに添加し、42℃で1時間インキュベートした。その後パックよりメンブレンを取り出し、あらかじめ42℃に保温させた一次洗浄バッファー(6M 尿素、4g/l SDS、25ml/l 20×SSC)で20分間洗浄した。これを再度繰り返した後、室温で二次洗浄バッファー(2×SSC)で5分間洗浄した。これを再度繰り返した後、ECL遺伝子検出システムの検出試薬に1分間浸した後、メンブレンをX線フィルムに重ね、感光させた。1時間後に該メンブレンを取り出して現像を行ない、ポジティブクローンを選択した。ここで選択したクローンをさらに先と同様の方法により二次スクリーニングに供し、最終的に5つの候補クローン(#2,3,4,5,6)を得ることができた。PCR反応を行なった結果から、これら5つの候補クローンのうち、マウス由来Fasリガンド様タンパク質をコードする遺伝子の全領域を包含しているクローンは#1クローン及び#6クローンであることがわかった。
次に、マウス由来Fasリガンド様タンパク質遺伝子のコード領域を含む染色体DNAの塩基配列を明らかにする目的でサブクローニングを行なった。まず得られた#6クローンを制限酵素XbaIで消化した後、0.7%アガロースゲルを用いて電気泳動を行ない、マウス由来Fasリガンド様タンパク質遺伝子のコード領域を含むことが考えられた約9kbのDNA断片を切り出し、キアクイックゲル抽出キット(キアジェン社)を用いて回収・精製を行なった。一方、クローニングベクターpUC19は制限酵素XbaIで消化した後、1.0%アガロースゲルを用いて電気泳動を行ない、2.7kbに相当するDNA断片を切り出し、キアクイックゲル抽出キット(キアジェン社)を用いて回収・精製を行なった後、ウシ小腸由来アルカリフォスファターゼCIAP(宝酒造)を用いて末端の脱リン酸化を行なった。このCIAP処理pUC19に、先に調製した#6クローン由来のDNA断片をDNA Ligation Kit Ver.2(宝酒造)を用いて連結し、大腸菌DH5αに導入して得られたアンピシリン耐性株より目的のDNA断片が挿入されたプラスミドDNAを選択・単離した。クローン化された#6クローン由来のXbaI DNA断片の塩基配列については、種々の合成オリゴDNAをプライマーとし、ダイターミネーターサイクルシークエンスFSレディリアクションキット(パーキンエルマー社)を用いたシークエンス反応を、添付資料の条件に従ってGeneAmpR PCR System 2400で行なった後、該試料をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー社)で決定した。得られた塩基配列は遺伝子解析ソフトレーザージーン(Lasergene、ディーエヌエースター(DNASTAR)社)で確認した。その結果、マウス由来Fasリガンド様タンパク質をコードする染色体遺伝子は4つのエクソンから成ることが分かった〔図4〕。
以上のようにして取得した、マウス由来Fasリガンド様タンパク質のコード領域を含む#6クローン由来のXbaI DNA断片を保持するプラスミドはpTB2011と命名し、大腸菌(Escherichia coli)DH5αに導入して得た形質転換体は、大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pTB2011とした。
[実施例4]
Pichia酵母を宿主としたヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域の発現とウエスタンブロット解析
本発明のヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域を酵母Pichia pastorisで発現させるためのベクターとしてはpPICZαA(インビトロジェン社)を用いた。本ベクターには該酵母のアルコールオキシダーゼ遺伝子(AOX1)のプロモーターの下流にPichia酵母でも機能的な出芽酵母Saccharomyces cerevisiaeの分泌シグナルα−因子をコードする遺伝子とそれに続くマルチクローニングサイトが含まれており、組換え蛋白質を培地中に分泌させることが可能である。
まず本発明のヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域をコードするDNA断片はPCR法により調製するが、その際用いる次の2種のプライマーをDNA合成機(Oligo1000M、ベックマン社)で合成した。
(1)5'−プライマー:(配列番号:21)
5'−ACGAATTCCAAGAGCGAAGGTCTCACGAGGTC−3'
(このプライマーは、EcoRI認識配列とその3'側にヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域のうち、N末端側の85番Glnから8アミノ酸をコードする24塩基を有する)
(2)3'−プライマー:(配列番号:22)
5'−AGTCTAGACTCCTTCCTTCACACCATGAAAGCCCC−3'
(このプライマーは、XbaI認識配列とその3'側に終止コドン(TGA)とヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域C末端5アミノ酸をコードする15塩基に相補的な配列を有する)
得られたプライマーをそれぞれ50pmol、実施例1で得られたプラスミドpTB1939を100ng、dATP、dCTP、dGTP、dTTPを各10nmol、2.5ユニットのネイティブPfu DNAポリメラーゼ(ストラタジーン社)とネイティブPfuバッファー(ストラタジーン社)5μlを含む50μlの溶液を調製し、サーマルサイクラー(GeneAmpR PCR System 2400、パーキンエルマー社)を用いて、94℃、1分、続いて98℃、20秒→55℃、30秒→68℃、2分を1サイクルとする反応を30サイクル、最後に72℃、5分の条件でPCR反応を行なった。反応終了液からPCR産物を回収し、EcoRI、XbaIで消化後、予めEcoRI、XbaIで消化・線状化したpPICZαAに連結し、環状化プラスミドを得た。該プラスミドDNAを再びAOX1座位のSacIユニーク切断部位で切断し、線状化後、エレクトロポレーション法によりPichia pastoris KM71株に導入した。そこで得られた100μg/ml ZeocinTM(インビトロジェン社)含有YPD寒天培地(1% yeast extract(ディフコ(Difco)社)、2% Bactopeptone(ディフコ(Difco)社)、2% glucose(和光純薬)、2% 寒天末(和光純薬))上で生育可能なZeocinTM耐性株の中から数クローンを選択し、各染色体DNAを調製後、それを鋳型に用いた、導入プラスミドDNAの染色体への組み込みを確認するためのPCR反応を行ない、組み込みが確認されたクローンを目的とする組換え蛋白質発現用形質転換株として選択した。
組換え蛋白質の発現は以下の手順で行なった。まず、1白金耳のヒト由来Fasリガンド様タンパク質の発現用形質転換株のコロニーをBMGY培地(1%酵母エキス、2% ペプトン、100mM リン酸カリウム(pH6.0)、1.34% yeast nitrogen base with ammonium sulfate without amino acids(ディフコ(Difco)社)、4×10-5% ビオチン、1% グリセロール)25mlに接種し、30℃、20時間培養した。菌体を遠心で集め、次にOD600=1.0になるようにBMMY(1% 酵母エキス、2% ペプトン、100mM リン酸カリウム(pH6.0)、1.34% yeast nitrogen base with ammonium sulfate without amino acids(ディフコ(Difco)社)、4×10-5% ビオチン、0.5% メタノール)培地に再懸濁後、30℃で培養し、1日、または2日後に該培養液をサンプリングし、遠心して培養上清を得た。
本培養上清を用いたウエスタンブロッティングは以下の通りに行なった。まず、ヒト由来Fasリガンド様タンパク質の細胞外領域のアミノ酸配列の一部(配列番号:1で表わされるアミノ酸配列の第166番目〜第180番目までのアミノ酸配列)を含むペプチドを合成し、該合成ペプチドを認識するウサギ抗血清を公知の方法に従って作製した。次に上述の培養上清5μlをサンプル処理液(0.25M Tris−HCl、2% SDS、30% glycerol、10% β−mercaptoethanol,0.01% bromophenol blue,pH6.8)5μlと混合し95℃で5分処理した後、SDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動(10−20%グラジエントゲル)を用い、泳動終了後タンパク質ブロッティング装置(SemiPhorTM、ホーファ・ファルマシア・バイオテック(Hoefer Pharmacia BioTech)社)を用いてニトロセルロース膜(ファルマシア社)に泳動タンパク質を転写した。3% ゼラチン含有TBS(20mM Tris,500mM NaCl,pH7.5)で膜をブロッキングして、次にTTBS(0.05% Tween−20含有TBS)で洗浄後、1.0% ゼラチン含有TTBSで2000倍に希釈された上述のウサギ抗血清と室温で2時間反応させた。反応終了後、膜をTTBSで2回洗浄して、次に1.0%ゼラチン含有TTBSで3000倍に希釈されたアルカリフォスファターゼ(AP)標識ヤギ抗ウサギIgG抗体と室温で1時間反応させた。膜をTTBSで2回洗浄してさらにTBSで1回洗浄後、AP発色キット(バイオラッド社)を用いて検出した。
〔図5〕にそのウエスタンブロッティングの結果を示した。発現ベクターを導入した株の培養上清では約20kD付近に主たるバンドが認められ、そのシグナルの強さは経時的に増加していたが、対照のpPICZαA導入株の培養上清では全くシグナルが認められなかった。
[実施例5]
ラット由来Fasリガンド様タンパク質をコードするcDNAのクローニング
ラット由来Fasリガンド様タンパク質をコードするcDNAのクローニングは、PCR法によって行なった。
スーパースクリプトTMラット肝臓cDNAライブラリー(ギブコビーアールエル社)の大腸菌DH12S株を、100μg/mlアンピシリン含有Terrific Broth(12g/l Bacto-tryptone(ディフコ社),24g/l Bacto-yeast extract(ディフコ社),2.3g/l リン酸一カリウム,12.5g/l リン酸二カリウム,0.4% グリセロール)で30℃で16時間培養し、集菌後、キアジェンプラスミドキット(キアジェン社)を用いてプラスミドcDNAライブラリーを調製した。該DNAを鋳型として、また、下記の2つの合成オリゴヌクレオチドをプライマーDNAとして、またTaKaRa LA Taq(宝酒造(株))をDNAポリメラーゼとして用いた反応系でPCR反応を行なった。
5'−CCTGACCCTGGGCTTCTGAGCCTC−3' (配列番号:23)
5'−TCCACAAAATCCATTGTCGTCATAGCC−3' (配列番号:24)
反応はサーマルサイクラー(GeneAmpR PCR System 2400,パーキンエルマー社)を用いて、94℃・1分を1サイクル、98℃・20秒→55℃・30秒→72℃・3分を35サイクル、72℃・2分を1サイクル、4℃・放置のプログラムで行なった。反応終了液の一部を1.0%アガロースゲル電気泳動し、PCR反応で増幅された単一のDNA断片に対応するバンドを確認の後、キアクィックゲルエキストラクションキット(キアジェン社)を用いて該DNA断片を回収し、その塩基配列を決定するためにpT7Blue T-vector(ノバジェン社)のTクローニングサイトにDNAライゲーションキットバージョン2(宝酒造(株))を用いて挿入・連結した。該ライゲーション液を大腸菌DH5α株に導入後、アンピシリン含有LB寒天培地上で出現してきたアンピシリン耐性形質転換株のコロニー群の中から2クローンを選択し、各々からプラスミドDNAを調製した。両クローンの各挿入DNAの塩基配列を決定するため、各プラスミドDNAを鋳型に、2種(PRM−007、PRM−008)の市販プライマーDNA(東洋紡績(株))の他、DNA合成装置(Oligo1000M、ベックマン社)で合成したオリゴDNAをプライマーDNAとして用い、Thermo SequenaseTM dye terminator cycle sequencing pre-mix kit(アマシャム社)を用いたサイクルシークエンス反応を添付資料の条件に従ってGeneAmpR PCR System 2400で行なった後、該試料をDNAシーケンサー373A(パーキンエルマー社)で分析した。
得られた塩基配列は遺伝子解析ソフトレーザージーン(Lasergene、ディーエヌエースター(DNASTAR)社)で解析した。その結果、両クローンとも、Tクローニングサイトには、配列番号:3で表される239個のアミノ酸からなるラット由来Fasリガンド様タンパク質をコードする配列番号:10で表される717個の塩基配列からなるオープンリーディングフレーム(Open reading frame)を含む784塩基対の塩基配列のDNA断片が含まれていた〔図6〕。このラット由来Fasリガンド様タンパク質と実施例1で得られた配列番号:1で表されるアミノ酸配列を有するヒト由来Fasリガンド様タンパク質とはアミノ酸レベルで75%の相同性を有しており、それらをコードするDNAは塩基レベルで74%の相同性を有していた。また、このラット由来Fasリガンド様タンパク質と実施例2で得られた配列番号:2で表されるアミノ酸配列を有するマウス由来Fasリガンド様タンパク質とはアミノ酸レベルで96%の相同性を有しており、それらをコードするDNAは塩基レベルで94%の相同性を有していた。
得られたラット由来Fasリガンド様タンパク質をコードするDNAを保持するプラスミドpTB2012を大腸菌(Escherichia coli)DH5αに導入して形質転換体:大腸菌(Escherichia coli)DH5α/pTB2012を得た。
実施例1で得られたプラスミドpTB1939に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例1で得られたプラスミドpTB1939に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例1で得られたプラスミドpTB1939に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例1で得られたプラスミドpTB1940に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例1で得られたプラスミドpTB1940に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例1で得られたプラスミドpTB1940に含まれる本発明のヒト由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のヒト由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例2で得られたプラスミドpTB1958に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例2で得られたプラスミドpTB1958に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例3で得られたプラスミドpTB2011に含まれる本発明のマウス由来タンパク質をコードするゲノムDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のマウス由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例4でPichia酵母を宿主とした本発明のヒトFasリガンド様タンパク質の細胞外領域組換えタンパク質の発現を該タンパク質に対する抗血清を用いたウエスタンブロット解析で調べた結果を示す。レーン1〜3はヒトFasリガンド様タンパク質発現ベクターを導入した株の培養上清を用いた場合の結果を、レーン4〜6はベクターpPICZαAを導入した株の培養上清を用いた場合の結果を示す(レーン1、4はBMMY培地での培養開始直後、レーン2、5は培養1日後、レーン3、6は培養2日後)。バンドは目的の組換えタンパク質の発現を示す。 実施例5で得られたプラスミドpTB2012に含まれる本発明のラット由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のラット由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。 実施例5で得られたプラスミドpTB2012に含まれる本発明のラット由来タンパク質をコードするDNAの塩基配列、およびそれから推定される本発明のラット由来タンパク質のアミノ酸配列を示す。

Claims (15)

  1. 配列番号:2のアミノ酸配列を含むタンパク質またはその塩。
  2. 配列番号:2のアミノ酸配列からなるタンパク質またはその塩。
  3. アポトーシス誘導活性を有するタンパク質である請求項1または2記載のタンパク質。
  4. 細胞障害活性を有するタンパク質である請求項1または2記載のタンパク質。
  5. 請求項1記載のタンパク質をコードする塩基配列を含むDNAを含有するDNA。
  6. 配列番号:7〜配列番号:のいずれかの配列番号の塩基配列を含む請求項5記載のDNA。
  7. 請求項5記載のDNAを含有する組換えベクター。
  8. 請求項7記載の組換えベクターで形質転換された形質転換体。
  9. 請求項8記載の形質転換体を培養し、請求項1記載のタンパク質を生成、蓄積せしめ、これを採取することを特徴とする請求項1記載のタンパク質またはその塩の製造方法。
  10. 請求項1記載のタンパク質またはその塩に対する抗体。
  11. 外来性の請求項5記載のDNAまたはその変異DNAを有することを特徴とする非ヒト哺乳動物。
  12. 請求項5記載のDNAが不活性化された非ヒト哺乳動物胚幹細胞。
  13. 請求項5記載のDNAが不活性化された該DNA発現不全非ヒト哺乳動物。
  14. 該DNAがレポーター遺伝子を導入することにより不活性化され、該レポーター遺伝子が請求項5記載のDNAに対するプロモーターの制御下で発現する請求項13記載の非ヒト哺乳動物。
  15. 請求項14記載の非ヒト哺乳動物に試験化合物を投与し、レポーター遺伝子の発現を検出することを特徴とする請求項5記載のDNAに対するプロモーターの活性を促進または阻害する化合物またはその塩のスクリーニング方法。
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