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JP4317780B2 - 硬化性組成物 - Google Patents

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JP4317780B2 JP2004101904A JP2004101904A JP4317780B2 JP 4317780 B2 JP4317780 B2 JP 4317780B2 JP 2004101904 A JP2004101904 A JP 2004101904A JP 2004101904 A JP2004101904 A JP 2004101904A JP 4317780 B2 JP4317780 B2 JP 4317780B2
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Description

本発明は、加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物に関する。
加水分解性ケイ素含有基を有する重合体は、室温での優れた硬化性、配合設計の容易さ等から、シーリング材、接着剤等の用途の硬化性組成物に用いられている。特に、ポリオキシアルキレン系の主鎖を有する重合体(以下「ポリオキシアルキレン系重合体」ともいう。)は、硬化性、耐候性および安全性に優れ、配合処方により各種の被着体に対する接着性を優れたものにすることができ、比較的低粘度で扱いやすいため、シーリング材、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、接着剤等の用途に好適に用いられる。このうち、シーリング材としては、室温湿気硬化型一成分形および室温湿気硬化型二成分形のいずれにも用いられる。
しかしながら、上述した加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた組成物は、良好な接着性を発現させるためには、以下のような問題を有している。即ち、一成分形シーリング材として用いる場合には、多量の接着付与成分を配合しなければならない。また、二成分形シーリング材として用いる場合には、プライマーを用いなければならず、プライマーを用いても十分に優れた接着性を得ることができるとは言えない。
また、加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた組成物は、ポリウレタン系、ポリサルファイド系、シリコーン系等のシーリング材組成物と比べて、伸び等の硬化後の物性に著しく劣るという問題も有しており、特に、建築用シーリング材としては問題となっている。
したがって、本発明は、接着性および硬化後の伸びに優れる、加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物を提供することを課題とする。
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討した結果、加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体に、液状ゴムが3次元架橋してなるポリマー微粒子を分散させると、接着性および硬化後の伸びが向上することを見出し、本発明を完成させた。
即ち、本発明は、以下の(1)〜(13)を提供する。
(1)重合体と、前記重合体中に分散したポリマー微粒子とを含有し、
前記重合体が、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体であり、
前記ポリマー微粒子が、液状ゴムが3次元架橋してなるポリマー微粒子である、硬化性組成物。
(2)前記ポリマー微粒子が、3次元架橋可能な官能基を有する前記液状ゴムの前記官能基の反応により3次元架橋してなるポリマー微粒子である上記(1)に記載の硬化性組成物。
(3)前記ポリマー微粒子が、前記液状ゴムが架橋剤および/または硬化剤により3次元架橋してなるポリマー微粒子である上記(1)または(2)に記載の硬化性組成物。
(4)前記液状ゴムが、イソプレンゴムである上記(1)〜(3)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(5)前記ポリマー微粒子が、加水分解性ケイ素含有基を有する上記(1)〜(4)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(6)前記ポリマー微粒子が有する前記加水分解性ケイ素含有基の全部または一部が、シランカップリング剤との反応により、前記ポリマー微粒子に導入されたものである、上記(5)に記載の硬化性組成物。
(7)前記シランカップリング剤が、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとエポキシ樹脂またはポリイソシアネートとの反応により得られる化合物である上記(6)に記載の硬化性組成物。
(8)前記シランカップリング剤の量が、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部である上記(6)または(7)に記載の硬化性組成物。
(9)更に、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部の相溶化剤を含有する上記(1)〜(8)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(10)更に、前記重合体100質量部に対し、50〜400質量部の炭酸カルシウムを含有する上記(1)〜(9)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(11)更に、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部の分子量1000以下の加水分解性化合物を含有する上記(1)〜(10)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(12)更に、スズ触媒および/またはチタン触媒を含有する上記(1)〜(11)のいずれかに記載の硬化性組成物。
(13)前記重合体100質量部に対して、1〜100質量部の前記ポリマー微粒子を含有する上記(1)〜(12)のいずれかに記載の硬化性組成物。
本発明の硬化性組成物は、従来の加水分解性ケイ素含有基を有するポリオキシアルキレン系重合体を用いた硬化性組成物に比べ、接着性および硬化後の伸びに優れる。
以下に、本発明を詳細に説明する。
本発明の硬化性組成物は、重合体と、前記重合体中に分散したポリマー微粒子とを含有し、前記重合体が、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体であり、前記ポリマー微粒子が、液状ゴムが3次元架橋してなるポリマー微粒子である、硬化性組成物である。
初めに、重合体について説明する。
本発明に用いられる重合体は、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体である。本発明においては、加水分解性ケイ素含有基は、重合体の分子内の末端に存在していても、側鎖に存在していてもよく、また、両方に存在していてもよい。
重合体に含まれるアルキレンオキシド単量体単位としては、例えば、−CH2CH2O−、−CH2CH(CH3)O−、−CH2CH(C25)O−、−CH(CH3)CH2O−、−CH(C25)CH2O−、−CH2CH2CH2O−または−CH2CH2CH2CH2O−で表される繰り返し単位が挙げられる。
重合体の主鎖は、これらの繰り返し単位の1種のみからなっていてもよく、2種以上からなっていてもよい。
重合体の主鎖は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
加水分解性ケイ素含有基は、ケイ素原子に結合した水酸基および/または加水分解性基を有し、湿気や架橋剤の存在下、必要に応じて触媒等を使用することにより縮合反応を起こしてシロキサン結合を形成することにより架橋しうるケイ素含有基である。例えば、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基が挙げられる。具体的には、下記式で例示される、アルコキシシリル基、アルケニルオキシシリル基、アシロキシシリル基、アミノシリル基、アミノオキシシリル基、オキシムシリル基、アミドシリル基等が好適に用いられる。
Figure 0004317780

中でも、取扱いが容易である点で、アルコキシシリル基が好ましい。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基は、特に限定されないが、原料の入手が容易なことからメトキシ基、エトキシ基またはプロポキシ基が好適に挙げられる。
アルコキシシリル基のケイ素原子に結合するアルコキシ基以外の基は、特に限定されず、例えば、水素原子またはメチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基等の炭素原子数が20以下である、アルキル基、アルケニル基もしくはアリールアルキル基が好適に挙げられる。
重合体としては、2官能以上、即ち、分子内にアルコキシシリル基を2個以上有するアルコキシシラン類が好ましく、3〜20官能のアルコキシシラン類が原料の入手が容易なことからより好ましい。
重合体の分子量は特に限定されないが、高分子のものは高粘度であり、ハンドリングしにくい場合があるため、数平均分子量50,000以下であるのが好ましい。
重合体は、単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
重合体は、公知の方法によって製造することができる。
このような加水分解性ケイ素含有基を含有するポリオキシアルキレン系重合体としては、公知のものを用いることができる。
例えば、特公昭45−36319号、同46−12154号、同49−32673号、特開昭50−156599号、同51−73561号、同54−6096号、同55−82123号、同55−123620号、同55−125121号、同55−131022号、同55−135135号、同55−137129号および特開平3−72527号の各公報等に記載されているものを用いることができる。また、市販品としては、例えば、鐘淵化学工業社製のMSP S203、S303、811およびS943、旭硝子社製のEXCESTAR ES−S2410、ES−S2420、ES−S3430およびES−S3630を用いることができる。
つぎに、ポリマー微粒子について説明する。
本発明に用いられるポリマー微粒子は、液状ゴムが3次元架橋してなるポリマー微粒子であり、上述した重合体中に分散している。
液状ゴムは、特に限定されず、例えば、ジエン系ゴムおよび非ジエン系ゴムが挙げられる。
ジエン系ゴムとしては、例えば、天然ゴム(NR)、イソプレンゴム(IR)、ブタジエンゴム(BR)、アクリロニトリルブタジエンゴム(NBR)、スチレンブタジエンゴム(SBR)、クロロプレンゴム(CR)、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)が挙げられる。
非ジエン系ゴムとしては、例えば、ブチルゴム(IIR)、ハロゲン化ブチルゴム、エチレン−プロピレンゴム(EPM)、クロロスルホン化ポリエチレンゴム、塩素化ポリエチレン、ウレタンゴム、アクリルゴム、シリコーンゴム、ポリサルファイドが挙げられる。
中でも、ジエン系ゴムが好ましく、イソプレンゴムがより好ましい。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
液状ゴムは、酸無水物を有する官能基を分子内に有するのが好ましい。これにより、接着性がより優れたものとなる。
酸無水物を有する官能基は、特に限定されず、例えば、無水マレイン酸を有する官能基が挙げられる。
酸無水物を有する官能基を分子内に有する液状ゴムは、例えば、酸無水物を有する官能基を分子内に有しない液状ゴムの主鎖に、酸無水物を有する官能基を有する化合物を反応させる方法により得ることができる。
液状ゴムの分子量は、特に限定されない。
ポリマー微粒子は、上述した液状ゴムが3次元架橋してなる。3次元架橋の態様は、特に限定されない。
例えば、一つの態様として、液状ゴムが3次元架橋可能な官能基を有している場合に、この官能基の反応により3次元架橋している態様が挙げられる。具体的には、ジエン系ゴムの二重結合部分に、無水マレイン酸等の酸無水物を有する官能基が導入されている場合、この酸無水物の反応により、3次元架橋することができる。
この際、官能基の硬化剤、触媒等を用いてもよい。硬化剤および触媒としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、無水マレイン酸を有する官能基の場合、硬化剤として、オキサゾリジン化合物およびそれを加水分解するための水を用いることができる。この例では、水がオキサゾリジン化合物を加水分解させて、第二級アミンが生成し、この第二級アミンが無水マレイン酸を開環させて、三次元架橋が行われる。なお、水は、後述する炭酸カルシウム等の充填剤を未乾燥の状態で加えて供給することもできる。
また、別の態様として、液状ゴムが架橋剤および/または硬化剤により3次元架橋している態様が挙げられる。架橋剤としては、従来公知のものを用いることができる。例えば、有機過酸化物、硫黄系化合物が挙げられる。
ポリマー微粒子は、上述した重合体中に分散している。分散させる方法は、特に限定されないが、重合体中に、この重合体と相溶性の低い液状ゴムを添加しかくはんして、相分離により分散させて、その後、液状ゴムを、3次元架橋可能な官能基の反応または架橋剤等により、3次元架橋させる方法が好ましい。
また、液状ゴムと重合体との相溶性が低くない場合には、高速でかくはんすることにより分散させて、その後、上記と同様に、3次元架橋させる方法も好ましい。高速でかくはんするためには、例えば、バイブロミキサー、ジャイロミキサー、高速ディスパー等を有するかくはん機を用いることができる。
これらの方法では、重合体が硬化しない条件下、即ち、湿気しゃ断条件下、または、触媒、硬化剤等の未添加の条件下で、重合体中に液状ゴムを分散させて、かくはん中に重合体を硬化させずに、液状ゴムの架橋反応により、3次元架橋を行わせる。架橋反応の進行に従って、かくはんによりポリマー微粒子が重合体中で均一に分散した状態となる。この際、重合体は、反応に関与しない。
本発明においては、液状ゴムの架橋反応速度、かくはん時のかくはん速度および温度、重合体と液状ゴムとの相分離エネルギー等を考慮すると、ポリマー微粒子の大きさを調整することができ、ポリマー微粒子を重合体中に均一に分散させることができる。
これらの物性(パラメータ)の好ましい範囲は、用いる重合体、液状ゴム等によって異なり、一概には決定しえないが、例えば、かくはん速度(回転速度)は50〜20,000rpmであるのが、ポリマー微粒子を均一に分散させられる点で好ましい。
なお、重合体中に液状ゴムを分散させて、3次元架橋させる際に、後述する各種の添加剤、例えば、炭酸カルシウム等の充填剤、プロセスオイル等を添加することができる。プロセスオイルは、重合体との相溶性が低く、かつ、液状ゴムとの相溶性が高いため、液状ゴムの3次元架橋を安定的に行わせつつ、ポリマー微粒子の中に取り込まれる。
本発明においては、ポリマー微粒子が、加水分解性ケイ素含有基を有するのが好ましい態様の一つである。ポリマー微粒子が加水分解性ケイ素含有基を有すると、重合体の加水分解性ケイ素含有基が加水分解して硬化する際に、ポリマー微粒子の加水分解性ケイ素含有基も同時に加水分解して反応するため、重合体とポリマー微粒子との間の結合が形成され、硬化後の物性がより優れたものになる。
ポリマー微粒子が加水分解性ケイ素含有基を有するようにする方法は、特に限定されないが、その全部または一部が、シランカップリング剤との反応により導入されるのが好ましい。例えば、液状ゴムが官能基を有する場合には、この官能基と反応しうる官能基と加水分解性ケイ素含有基とを有するシランカップリング剤を直接に反応させる方法が挙げられる。また、これらのシランカップリング剤を、エポキシ樹脂、ポリイソシアネート等を介して間接的に液状ゴムに導入する方法も挙げられる。
シランカップリング剤は、特に限定されないが、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、(メタ)アクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとエポキシ樹脂またはポリイソシアネートとの反応により得られる化合物であるのが好ましい。
アミノシランとしては、例えば、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルエチルジエトキシシラン、ビストリメトキシシリルプロピルアミン、ビストリエトキシシリルプロピルアミン、ビスメトキシジメトキシシリルプロピルアミン、ビスエトキシジエトキシシリルプロピルアミン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−2−(アミノエチル)−3−アミノプロピルエチルジエトキシシランが挙げられる。
ビニルシランとしては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、トリス−(2−メトキシエトキシ)ビニルシランが挙げられる。
エポキシシランとしては、例えば、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルジメチルエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランが挙げられる。
メタクリルシランとしては、例えば、3−メタクリロキシプロピルメチルジメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリメトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルメチルジエトキシシラン、3−メタクリロキシプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
イソシアネートシランとしては、例えば、イソシアネートプロピルトリエトキシシランが挙げられる。
ケチミンシランとしては、例えば、ケチミン化プロピルトリメトキシシランが挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
シランカップリング剤の量は、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
これらの方法においては、ポリマー微粒子の生成後(即ち、液状ゴムの3次元架橋後)にシランカップリング剤と反応させることもでき、ポリマー微粒子の生成中(即ち、液状ゴムの3次元架橋の反応進行中)にシランカップリング剤と反応させることもできる。
ポリマー微粒子は、重合体中に均一に分散する点、接着性および硬化後の伸びが優れたものになる点等から、平均粒子径が0.01〜100μmであるのが好ましく、0.1〜50μmであるのがより好ましい。
本発明の硬化性組成物におけるポリマー微粒子の含有量は、上述した重合体100質量部に対し、1〜100質量部、好ましくは5〜70質量部、より好ましくは10〜40質量部である。上記範囲であると、従来の硬化性組成物と同等以上の作業性(例えば、粘度、揺変性等の物性)、外観特性(例えば、色調、光沢等)等を有する硬化性組成物となる。
本発明の硬化性組成物は、相溶化剤を含有するのが好ましい態様の一つである。相溶化剤は、種々の目的で含有される。目的としては、例えば、ポリマー微粒子の生成、ポリマー微粒子の分散、硬化後の物性の調整が挙げられる。
相溶化剤は、一般的には、例えば、ポリマーAとポリマーBとが非相溶な混合系となる場合に、ポリマーAのモノマーとポリマーBのモノマーとの共重合体が、界面活性剤のような役割を果たし、ポリマーAとポリマーBとの界面において、界面張力を低下させたり、界面層の制御や分散層の反発作用等の機能を発揮する。即ち、相溶化剤は、微細分散化、界面での両者の接着性向上等の重要な機能を担う。
相溶化剤としては、例えば、ブレンド成分と同じもの;ブレンド成分と相溶性のある他成分が一部同じもの;ポリマーAおよびポリマーBとは別のモノマーを含む共重合体であって、それぞれの溶解性パラメータの値が同じか、または近いかであるもの;ポリマーAまたはポリマーBと反応して、他のポリマーと相溶性を示す別のモノマーの共重合体;ポリマーAとポリマーBとのブレンド過程で反応により、グラフトおよび/またはブロック共重合体が一部形成されて相溶化剤として作用するものが挙げられる。
本発明における相溶化剤は、異なる化学的特性の二つ以上の物質を、同一の分子中に有するものであり、その機能により、界面活性剤、混和剤、乳化剤、可溶化剤、分散剤等と呼ばれる。
本発明に用いられる相溶化剤としては、例えば、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル等の非イオン性界面活性剤が好適に挙げられる。
相溶化剤は、ポリマー微粒子の生成後(即ち、液状ゴムの3次元架橋後)に添加してもよく、ポリマー微粒子の生成中(即ち、液状ゴムの3次元架橋の反応進行中)に添加してもよく、ポリマー微粒子の生成前に添加してもよく、種々の条件に応じて、適宜方法を選択するのが好ましい。
相溶化剤は、1種単独でまたは2種以上を組み合わせて用いることができる。2種以上を併用する場合の割合は、本発明の硬化性組成物が用いられる用途、本発明の硬化性組成物に要求される物性等に応じて、適宜決定することができる。
相溶化剤の含有量は、上述した重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部、好ましくは0.2〜5質量部である。
本発明の硬化性組成物は、炭酸カルシウムを含有するのが好ましい態様の一つである。
本発明に用いられる炭酸カルシウムは、特に限定されず、例えば、重質炭酸カルシウム、沈降性炭酸カルシウム(軽質炭酸カルシウム)、コロイダル炭酸カルシウムが挙げられる。
また、脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等により表面処理された表面処理炭酸カルシウムも用いることができる。具体的には、脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとして、カルファイン200(丸尾カルシウム社製)、ホワイトン305(重質炭酸カルシウム、白石カルシウム社製)、白艶華CCR(白石工業社製)、変性脂肪酸で表面処理された炭酸カルシウムとして、ライトンA−4(重質炭酸カルシウム、備北粉化工業社製)、脂肪酸エステルで表面処理された炭酸カルシウムとして、シーレッツ200(丸尾カルシウム社製)、スノーライトSS(重質炭酸カルシウム、丸尾カルシウム社製)等が好適に用いられる。中でも、脂肪酸、変性脂肪酸、脂肪酸エステル、高級アルコール付加イソシアネート化合物等で表面処理されたものが、特に好ましい。表面処理炭酸カルシウムは、粘度を高くするため形状保持性および作業性に寄与し、また、表面が疎水性であるため貯蔵安定性に寄与する。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
炭酸カルシウムの含有量は、前記重合体100質量部に対し、50〜400質量部であるのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、分子量1000以下の加水分解性化合物を含有するのが好ましい態様の一つである。加水分解性化合物は、重合体、炭酸カルシウム等が持つ水分を吸収し、貯蔵安定性を向上させるために効果的に用いられる。
このような加水分解性化合物としては、例えば、ビニルシラン、オキシムシラン、アミノシラン、エポキシシラン、メルカプトシラン等の比較的低分子量のシランカップリング剤;オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、2−フェニル−3−オキサゾリジンエタノール、ポリオキシアルキレン−メチルステアロキシポリシロキサンコポリマー等の加水分解性化合物が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
分子量1000以下の加水分解性化合物の含有量は、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部であるのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、ポリマー微粒子に加水分解性ケイ素含有基を導入させるためのものとは別に、上述したシランカップリング剤を含有することができる。
シランカップリング剤の含有量は、ポリマー微粒子に加水分解性ケイ素含有基を導入させるためのものと別に含有させるものとの合計で、上記範囲とするのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、スズ触媒および/またはチタン触媒を含有するのが好ましい。
スズ触媒および/またはチタン触媒は、従来公知のものを用いることができる。
スズ触媒としては、例えば、ジブチルスズジラウレート、ジブチルスズマレエート、ジブチルスズジアセテート、オクチル酸スズ、ナフテン酸スズ等のスズカルボン酸塩類;ジブチルスズオキサイドとフタル酸エステルとの反応物;ジブチルスズジアセチルアセトナートが挙げられる。
チタン触媒としては、例えば、テトラブチルチタネート、テトラプロピルチタネート等のチタン酸エステル類が挙げられる。
これらは単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
スズ触媒および/またはチタン触媒の含有量は、前記重合体100質量部に対し、0.01〜5.0質量部であるのが好ましい。
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、その他の硬化剤を含有することができる。
例えば、アミン系硬化剤、酸または酸無水物系硬化剤、塩基性活性水素化合物、イミダゾール類、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、イソシアネート系硬化剤、潜在性硬化剤、紫外線硬化剤が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、本発明の目的を損なわない範囲で、上記各種成分以外に、必要に応じて、各種の添加剤を含有することができる。添加剤としては、例えば、炭酸カルシウム以外の充填剤、可塑剤、軟化剤、チクソトロピー性付与剤、顔料、染料、老化防止剤、酸化防止剤、帯電防止剤、難燃剤、接着性付与剤、分散剤、溶剤が挙げられる。
炭酸カルシウム以外の充填剤としては、各種形状のものを使用することができる。例えば、ヒュームドシリカ、焼成シリカ、沈降シリカ、粉砕シリカ、溶融シリカ;けいそう土;酸化鉄、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化バリウム、酸化マグネシウム;炭酸マグネシウム、炭酸亜鉛;ろう石クレー、カオリンクレー、焼成クレー;カーボンブラック等の有機または無機充填剤;これらの脂肪酸、樹脂酸、脂肪酸エステル処理物、脂肪酸エステルウレタン化合物処理物が挙げられる。
可塑剤または軟化剤としては、例えば、フタル酸ジイソノニル(DINP)、フタル酸ジオクチル、フタル酸ジブチル;アジピン酸ジオクチル、コハク酸イソデシル;ジエチレングリコールジペンゾエート、ペンタエリスリトールエステル;オレイン酸ブチル、アセチルリシノール酸メチル;リン酸トリクレジル、リン酸トリオクチル;アジピン酸プロピレングリコールポリエステル、アジピン酸ブチレングリコールポリエステル;パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、アロマ系オイル等の石油系軟化剤が挙げられる。
チクソトロピー性付与剤としては、例えば、乾式シリカ、ホワイトカーボン、水素添加ひまし油、炭酸カルシウム、テフロン(登録商標)が挙げられる。
顔料としては、例えば、二酸化チタン、酸化亜鉛、群青、ベンガラ、リトポン、鉛、カドミウム、鉄、コバルト、アルミニウム、塩酸塩、硫酸塩等の無機顔料;アゾ顔料、銅フタロシアニン顔料等の有機顔料が挙げられる。
老化防止剤としては、例えば、ヒンダードフェノール系化合物、ヒンダードアミン系化合物が挙げられる。
酸化防止剤としては、例えば、ブチルヒドロキシトルエン(BHT)、ブチルヒドロキシアニソール(BHA)が挙げられる。
帯電防止剤としては、例えば、第四級アンモニウム塩;ポリグリコール、エチレンオキサイド誘導体等の親水性化合物が挙げられる。
難燃剤としては、例えば、クロロアルキルホスフェート、ジメチル・メチルホスホネート、臭素・リン化合物、アンモニウムポリホスフェート、ネオペンチルブロマイド−ポリエーテル、臭素化ポリエーテルが挙げられる。
接着性付与剤としては、例えば、テルペン樹脂、フェノール樹脂、テルペン−フェノール樹脂、ロジン樹脂、キシレン樹脂、エポキシ樹脂が挙げられる。
上記の各添加剤は適宜、組み合わせて用いることができる。
上記のような各成分から本発明の硬化性組成物を製造する方法は、特に限定されないが、上述したように、重合体中でポリマー微粒子を形成させた後、その他の成分を、減圧下または窒素等の不活性ガス雰囲気下で、混合ミキサー等のかくはん装置を用いて十分に混練し、均一に分散させる方法が挙げられる。
本発明の硬化性組成物は、一成分形としてもよく、二成分形としてもよい。二成分形の場合、硬化剤以外を主剤とし、使用前に、主剤と硬化剤とを常法に従って混合して用いる。
本発明の硬化性組成物は、湿気にさらすと、加水分解性ケイ素含有基の加水分解により、硬化反応が進行する。また、適宜水分を供給して、硬化反応を進行させることもできる。
本発明の硬化性組成物をシーリング材等として用いる場合、被着体にプライマーを塗布してから用いてもよい。プライマーとしては、従来公知のものを用いることができる。
本発明の硬化性組成物は、土木建築用、コンクリート用、木材用、金属用、ガラス用、プラスチック用等のシーリング材、シール剤、ポッティング剤、弾性接着剤、コーティング材、ライニング材、接着剤等の用途に好適に用いられる。
以下、本発明を実施例により具体的に説明する。ただし、本発明は、これらに限定されない。
(実施例1)
ポリオキシアルキレン系重合体(MSポリマー810、鐘淵化学工業社製)70質量部に、後述する方法で得られたオキサゾリジン化合物(PHO−XDI)0.8質量部を添加し、約2分間かくはんして均一に混合させた。
その後、無水マレイン酸変性液状ポリイソプレンゴム(LIR403、クラレ社製、数平均分子量30,000)20質量部およびプロセスオイル(PS32、出光石油化学社製)10質量部を添加し、2分間かくはんして混合させた。
その後、未乾燥の炭酸カルシウム1(表面処理重質炭酸カルシウム、スノーライトSS、丸尾カルシウム社製)50質量部を添加し、30分間かくはんして、液状ポリイソプレンゴムを3次元架橋させてポリマー微粒子1を形成させ、ポリオキシアルキレン系重合体中に、ポリマー微粒子1と炭酸カルシウム1とが分散した分散混合物を得た。
3次元架橋したポリマー微粒子1をレーザー顕微鏡で観察したところ、粒径は20〜50μm程度であった。
ついで、得られた分散混合物に、炭酸カルシウム2(表面処理炭酸カルシウム、カルファイン200、丸尾カルシウム社製)、紫外線吸収剤(チヌビン327、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、老化防止剤(944LD、チバ・スペシャルティ・ケミカルズ社製)、酸化チタン(タイペークR−820、石原産業社製)、フタル酸ジイソノニル(DINP、ジェイ・プラス社製)、エポキシ樹脂(ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エピコート828、ジャパンエポキシレジン社製)、スズ触媒(ネオスタンU−28、日東化成社製)およびアミン触媒(ファーミン20D、花王社製)を、第1表に示す量比(質量部)で添加してかくはんして混合させ、硬化性組成物を得た。
<オキサゾリジン化合物(PHO−XDI)の合成>
オキサゾリジン化合物は、一般に、例えば、アルカノールアミンとケトンまたはアルデヒドとを脱水縮合させて得ることができる。本実施例においては、以下のようにしてオキサゾリジン化合物(PHO−XDI)の合成を行った。
ジエタノールアミン30.0gとベンズアルデヒド31.8gとトルエン33.0gとを1L容のフラスコに入れ、110℃で6時間、脱水反応させた。その後、90℃で、減圧することにより、トルエンと未反応物とを除去して、ヒドロキシアルキルオキサゾリジンである、2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン54.0gを得た。得られた2−フェニル−3−(2−ヒドロキシエチル)オキサゾリジン31.8gと、キシリレンジイソシアネート15.6gとを混合し、60℃で3時間反応させ、オキサゾリジン化合物(PHO−XDI)を得た。
(実施例2)
実施例1と同様の方法により、分散混合物を得た。この分散混合物に、シランカップリング剤(アミノシラン化合物、KBM602、信越化学工業社製)0.5質量部を添加し、2分間かくはんして、ポリマー微粒子1に加水分解性ケイ素含有基が導入されたポリマー微粒子2を得た。
3次元架橋したポリマー微粒子2をレーザー顕微鏡で観察したところ、粒径は20〜50μm程度であった。
その後、実施例1と同様の方法により、種々の添加剤を第1表に示す量比(質量部)で添加してかくはんして混合させ、硬化性組成物を得た。
(実施例3)
添加剤として更に相溶化剤(脂肪酸エステル、レオドールTW−S320W、花王社製)を第1表に示す量比(質量部)で用いた以外は、実施例2と同様の方法により、硬化性組成物を得た。
3次元架橋したポリマー微粒子3をレーザー顕微鏡で観察したところ、粒径は5μm程度であった。
(比較例1)
分散混合物の代わりに、ポリオキシアルキレン系重合体(MSポリマー810、鐘淵化学工業社製)100質量部および未乾燥の炭酸カルシウム1(表面処理重質炭酸カルシウム、スノーライトSS、丸尾カルシウム社製)50質量部を用いた以外は、実施例1と同様の方法により、硬化性組成物を得た。
得られた硬化性組成物について、以下のようにして接着性および硬化後の伸びを評価した。
陽極酸化アルミニウム板2枚と硬化性組成物とを用いて、JIS A5758:1997の規定に準じて、H型試験片を作製した。
具体的には、プライマーを用いた場合は、陽極酸化アルミニウム板の表面に、20℃、55%RHの条件下で、プライマー(ハマタイトプライマーNo.40、横浜ゴム(株)製)を塗布し、約1時間放置した後に、H型試験片を作製した。
また、プライマーを用いなかった場合は、陽極酸化アルミニウム板の表面をメチルエチルケトンで脱脂処理し、その直後に、H型試験片を作製した。
ついで、得られたH型試験片を、23℃、55%RHの条件下で5日間放置し、更に、50℃で2日間放置して養生した。
養生後のH型試験片について、引張速度50mm/minで引張試験を行い、破壊の状態を目視で観察し、また、破断時の伸びを測定した。
結果を第1表に示す。第1表中、破壊の状態をCF(凝集破壊)、TCF(薄層凝集破壊)およびAF(界面はく離)で示した。
Figure 0004317780
第1表から明らかなように、本発明の硬化性組成物(実施例1〜3)は、プライマー不使用時およびプライマー使用時のいずれにおいても、従来の硬化性組成物(比較例1)に比べ、接着性および硬化後の伸びに優れる。

Claims (13)

  1. 重合体と、前記重合体中に分散したポリマー微粒子とを含有し、
    前記重合体が、主鎖がアルキレンオキシド単量体単位を含み、加水分解性ケイ素含有基を1分子あたり少なくとも1個有する重合体であり、
    前記ポリマー微粒子が、液状ゴムが3次元架橋してなるポリマー微粒子である、硬化性組成物。
  2. 前記ポリマー微粒子が、3次元架橋可能な官能基を有する前記液状ゴムの前記官能基の反応により3次元架橋してなるポリマー微粒子である請求項1に記載の硬化性組成物。
  3. 前記ポリマー微粒子が、前記液状ゴムが架橋剤および/または硬化剤により3次元架橋してなるポリマー微粒子である請求項1または2に記載の硬化性組成物。
  4. 前記液状ゴムが、イソプレンゴムである請求項1〜3のいずれかに記載の硬化性組成物。
  5. 前記ポリマー微粒子が、加水分解性ケイ素含有基を有する請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性組成物。
  6. 前記ポリマー微粒子が有する前記加水分解性ケイ素含有基の全部または一部が、シランカップリング剤との反応により、前記ポリマー微粒子に導入されたものである、請求項5に記載の硬化性組成物。
  7. 前記シランカップリング剤が、アミノシラン、ビニルシラン、エポキシシラン、メタクリルシラン、イソシアネートシラン、ケチミンシランもしくはこれらの混合物もしくは反応物、または、これらとエポキシ樹脂またはポリイソシアネートとの反応により得られる化合物である請求項6に記載の硬化性組成物。
  8. 前記シランカップリング剤の量が、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部である請求項6または7に記載の硬化性組成物。
  9. 更に、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部の相溶化剤を含有する請求項1〜8のいずれかに記載の硬化性組成物。
  10. 更に、前記重合体100質量部に対し、50〜400質量部の炭酸カルシウムを含有する請求項1〜9のいずれかに記載の硬化性組成物。
  11. 更に、前記重合体100質量部に対し、0.1〜10質量部の分子量1000以下の加水分解性化合物を含有する請求項1〜10のいずれかに記載の硬化性組成物。
  12. 更に、スズ触媒および/またはチタン触媒を含有する請求項1〜11のいずれかに記載の硬化性組成物。
  13. 前記重合体100質量部に対して、1〜100質量部の前記ポリマー微粒子を含有する請求項1〜12のいずれかに記載の硬化性組成物。
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