JP4314582B2 - ワイヤソーを用いたワーク切断方法 - Google Patents
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Description
グルーブローラは、円筒形状の台金の外周面を所定厚さのライニング材(ウレタンゴム)により被覆し、ライニング材の外周面に多数条のワイヤ溝を刻設している。グルーブローラは、その軸線方向の両端部に配置された1対の軸受により回転自在に支持されている。
インゴット切断時には、ラッピングオイルに遊離砥粒を含ませたスラリー状の砥液を供給しながら、グルーブローラ間で高速度で往復走行中のワイヤ列に対して、炭素鋼製のワークプレートに上端部が固定されたワークを上方から押し付ける。その結果、遊離砥粒の研削作用により、インゴットが多数枚のシリコンウェーハに切断される。
特許文献1は、ワークプレートが搭載されるフレーム支持体(ワークホルダ)内に温度調整流体の流路を形成し、この流路内に、タンクに貯液された温度調整流体をポンプにより圧送するように構成されている。しかも、ポンプ圧送の途中で、温度調整流体の温度を加熱器または冷却器により調整するようにされていた。これにより、インゴット切断中、フレーム支持体の流路に、加熱器または冷却器により温度調整された温度調整流体が供給され、前記摩擦熱によるワークプレートの熱変形が抑制される。その結果、インゴットの切断精度が高まり、ウェーハのワープを改善することができる。
この発明は、従来のマルチ切断時に発生していた複数本にわたるワーク内での特異なワープを防止することができるワイヤソーを用いたワーク切断方法を提供することを目的としている。
この発明は、砥液の一部とワーク切断中の砥液との合流を原因としたワークの切断中間部分におけるTTV(Total Thickness Variation)の増大を解消することができるワイヤソーを用いたワーク切断方法を提供するこを目的としている。
ワークを切断して得られるウェーハは、切断されるワークの素材により適宜異なる。例えば、ワークが半導体インゴットの場合には半導体ウェーハとなる。
ワークの形状は限定されない。例えば、円柱、角柱を採用することができる。その他、任意の形状でもよい。
ワークの直径は限定されない。例えば、直径200mm、直径300mmなどでもよい。
ワークのワイヤによる切断には、例えば、ワークを下降させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。その他、ワークを上昇させてワイヤに押し付け、これを切断する方式を採用してもよい。
グルーブローラの使用本数は、2本以上であれば限定されない。例えば、3本または4本以上でもよい。
ワイヤの直径は、例えば120〜160μmである。
砥液(一部の砥液を含む)は、ラッピングオイルに遊離砥粒を含ませたスラリー状の液体である。
砥液(主体の砥液)のワークの切断部分に対する供給量は、80〜120リットル/分である。80リットル/分未満では、スラリーの供給が不均一となる。また、120リットル/分を超えると、スラリータンクから排出されるスラリーが増加し、スラリーの液量不足が発生する。
遊離砥粒の平均粒径としては、例えば5〜14μmである。
砥液中の遊離砥粒の添加量は、ラッピングオイル100重量部に対して80〜150重量部である。遊離砥粒の添加量が80重量部未満では、ワークに対しての遊離砥粒の切削性が低下する。また、150重量部を超えると、スラリーの粘度が高まり、スラリーの流動性を低下させる。
一部の砥液の供給温度は20〜30℃である。20℃未満では砥液とワークプレートとの温度差が大きくなり、ワークプレートが冷却過剰となる。また、30℃を超えると、砥液とワークプレートとの温度差が小さくなり、ワークプレートが冷却不足となる。砥液の好ましい供給温度は、主体の砥液と同じ温度である。この範囲であれば温度変化が小さくなる。
一部の砥液が供給されるワークプレートの部分は限定されない。例えば、ワークプレートの全体でもよいし、ワークプレートの一部分(例えば一側部)でもよい。
一部の砥液は、ワークプレートに供給される専用の砥液槽(砥液タンク)から供給された砥液でもよい。
冷媒供給ノズルの長さは、ワークプレートの外面の全域に砥液を供給可能な長さである方が好ましい。
冷媒供給ノズルが配置されるワークプレートの上方とは、ワークプレートの外面に砥液の一部を供給可能な位置であればよい。例えば、ワークプレートの真上でもよいし、ワークプレートの真上から偏在した位置でもよい。ただし、ワークプレートの真上の方が、冷媒供給ノズルからの砥液をワークプレートの全体に供給し易いために好ましい。
冷媒供給ノズルの使用本数は1本でもよいし、2本または3本以上でもよい。
砥液受け部材は、ワークプレートの側面の一部に設けてもよいし、ワークプレートの側面の全域に設けてもよい。
砥液受け部材は、1本もよいし、複数本でもよい。
ワイヤソー10は、図1において正面視して逆三角形状に配置された3本のグルーブローラ12A,12B,12Cを有している。これらのグルーブローラ12A,12B,12C間には、1本のワイヤ11aが互いに平行かつ一定ピッチで巻き架けられている。これによって、グルーブローラ12A,12B,12C間にワイヤ列11が現出される。ワイヤ列11は、3本のグルーブローラ12A,12B,12C間で駆動モータにより往復走行される。上側に配置された2本のグルーブローラ12A,12Bの中間が、インゴットIを切断するワイヤ列11のインゴット切断位置aである。
各駆動モータ16,17を同期して駆動させると、一対の軸受18に軸支された各ボビン20,21が、その軸線を中心として図1における時計回り方向または反時計回り方向に回転して、ワイヤ11aが往復走行する。
冷媒供給ノズル30は、ワークプレート19の幅方向の中間位置上に、ワークプレート19の長さ方向に軸線方向を合致させて1本だけ配置されている。
冷媒供給ノズル30はポリ塩化ビニル製で、直径約30mmである。冷媒供給ノズル30の長さは、ワークプレート19のそれより若干長い。冷媒供給ノズル30の下部には、直径2.5mmを有した多数のノズル孔31が、冷媒供給ノズル30の軸線方向に向かって25mmピッチで形成されている。また、冷媒供給ノズル30の長さ方向の中間位置の上部には、元部が砥液供給管24の途中部分に連通された分岐管26の先端が連通されている。分岐管26の途中部には、開閉弁27が設けられている。
図1に示すように、ワイヤソー10では、砥液供給装置25から砥液供給ノズル14に圧送された砥液Sを、100リットル/分でワイヤ列11に供給しながら、駆動モータ16により繰出し装置13のボビン20を回転し、ワイヤ11aをグルーブローラ12A,12B,12Cに供給する。これと同時に、駆動モータ17により巻取り装置15のボビン21を回転し、グルーブローラ12A,12B,12Cを介して、ワイヤ11aを巻き取る。その際、一定の周期で各ボビン20,21の回転方向を変更し、ワイヤ11aを往復走行させる。
すなわち、ワークプレートを冷やさない従来のワイヤソーを使ってマルチ切断すると、インゴット切断時、長さ方向の両端部がワークホルダに固定されているため、ワークプレートは熱膨張によりその長さ方向の中間位置を中心にして若干折れ曲がる。その結果、例えば8インチウェーハの場合、切断開始から切断距離50〜60mmのインゴットIL,IRの部分でワープが最大となる(図5)。しかも、各シリコンウェーハWの反りは両インゴットIL,IR内において互いの突き合わせ側の端に向かうほど大きくなり、かつ反りの方向はインゴットIL,IRの突き合わせ側の端で反転し、両インゴットIL,IR内で逆向きになっていた。
図7および図8に示すように、実施例に係るワイヤソー10Aの特徴は、ワークプレート19の下部に、ワークプレート19の外面から流れ落ちた冷却用砥液S1を受ける砥液受け部材32を設けた点である。
砥液受け部材32は、ステンレス製の水平配置された樋で、ワークプレート19の幅方向の両側に、長さ方向をワークプレート19の長さ方向に向けてそれぞれ1つずつ固定されている。各砥液受け部材32の長さ方向の両端部は、ワークプレート19の長さ方向の両端より若干外方に突出されている。
砥液Sは、移動するワイヤ列11に乗り、ワイヤ列11と平行にインゴットIに供給される。インゴットIの切断開始直後からインゴットIの中間部分を切断する時までは、砥液SがインゴットIの下部の外周面に沿って、インゴットIの下方に流れ落ちる(図11)。
一方、インゴットIの中間部分を切断した後からインゴットIの切断終了までは、砥液SがインゴットIの上部の外周面に沿って、インゴットIを越す(図13)。すなわち、インゴットIの中間部分を切断する時において、ワイヤ列11に供給される砥液Sは、インゴットIの下方にも上方にも迂回することができず、インゴットIに対する負荷は最大となる(図12)。このとき、上方からさらに冷却用砥液S1がインゴットIの切断部分に供給される。その結果、インゴットIの切断中間部分において、シリコンウェーハWのTTVの増大が発生するものと考えられる。
11a ワイヤ、
12A〜12C グルーブローラ、
19 ワークプレート、
30 冷媒供給ノズル、
32 砥液受け部材、
I インゴット(ワーク)、
S 砥液、
S1 冷却用砥液(砥液の一部)。
Claims (2)
- 複数本のグルーブローラ間に架け渡されたワイヤを往復走行させながら、遊離砥粒を含む砥液を供給しつつ、ワークプレートに上端部が固定されたワークを、該ワークの下方に配置されたワイヤに相対的に押し付けて、前記ワークを切断するワイヤソーを用いたワーク切断方法において、
前記砥液の一部を前記ワークプレートの外面に供給することで、該ワークプレートを冷却しながら、前記ワイヤによるワークの切断を行うとともに、
前記ワークプレートの外面から流れ落ちた前記砥液の一部を砥液受け部材により受け、前記ワークを迂回して該ワークより下方に落とすワイヤソーを用いたワーク切断方法。 - 前記ワークプレートには、複数の前記ワークが固定された請求項1に記載のワイヤソーを用いたワーク切断方法。
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