以下、図面を参照して本発明の一実施の形態を説明する。図1は本発明の自動車用スライドドアの給電装置の一実施形態を示す分解斜視図である。また、図2は湾曲部保護部材としての図1のプロテクタの正面図(カバーを除く)、図3はスライダの拡大斜視図である。
図1において、例えばワンボックスカーや一部の乗用車等の自動車のスライドドア1には、そのスライドドア1の内部に設けられるパワーウインドモータやドアロックユニットやスピーカーと言った各種補機に車体2側からの給電をなし得るドア側ワイヤハーネス3が配索されている。そのドア側ワイヤハーネス3は、スライドドア1及び車体2に跨って配索されており、一端側がコネクタ4(一つのみ図示、この数に限られない)を介して上記各種補機に接続されている。
また、ドア側ワイヤハーネス3の他端側は、コネクタ5を介して車体側ワイヤハーネス6のコネクタ7にコネクタ接続されている。ドア側ワイヤハーネス3は、スライドドア1のインナパネル8に設けられるプロテクタ9(特許請求の範囲に記載した湾曲部保護部材に相当)と共にスライドドア1に配索されている。プロテクタ9は、本形態における給電装置10を構成する。尚、ドア側ワイヤハーネス3及びプロテクタ9を用いることで給電装置10の構成が簡素化される。また、省スペース化と組み付け性の向上が図られる。
先ず上記各構成を詳細に説明し、次いでスライドドアの開閉時の作用を説明する。スライドドア1は、車体2に対してスライド自在に取り付けられている。そのスライド方向は、車体2の前後方向に沿ってスライドするようになっている(但し、スライドドア1を開く際に一旦、車体2の側方へ引き出される。閉じる場合はこの逆)。スライドドア1には、車体2側にインナパネル8が設けられている。また、スライドドア1の下端には、車体2の下部に設けられるレール(不図示)に対してスライド自在に係合するヒンジローラ15が設けられている。
車体2には、スライドドア1の閉じた際の位置にステップ16が設けられている。そのステップ16の垂壁17の内側には、車体側ワイヤハーネス6のコネクタ7が配置されている。即ち、ドア側ワイヤハーネス3のコネクタ5と車体側ワイヤハーネス6のコネクタ7は、垂壁17の内側においてコネクタ接続されるようになる。尚、車体側ワイヤハーネス6は、直接又は間接的に図示しないバッテリに接続されているものとする。
ドア側ワイヤハーネス3は、複数の電線18を束ねて構成されており、その一端にコネクタ4が、他端にはコネクタ5が設けられている。また、コネクタ5側には、例えばコルゲートチューブ19(特許請求の範囲に記載したチューブ材に相当。屈曲可能なチューブであれば他のものでも可)が装着されている。コルゲートチューブ19は、プロテクタ9から車体2側に導出されるドア側ワイヤハーネス3を保護するようになっている。尚、コルゲートチューブ19は任意に設けられるものとする。また、上記複数の電線18はテープ捲きされる場合もある。
ドア側ワイヤハーネス3は、その中間を湾曲させて湾曲部20が形成されている。湾曲部20は、プロテクタ9に収容されるようになっている。また、湾曲部20は、インナパネル8に対して略平行に移動可能に配置されている。
プロテクタ9は、例えばインナパネル8に取り付け固定されるプロテクタ本体25(特許請求の範囲に記載した保護部材本体に相当)と、プロテクタ本体25に係合するカバー26とで構成されている。また、プロテクタ9は、湾曲部20の移動範囲を考慮してその大きさが極力小さくなるように形成されている。プロテクタ本体25及びカバー26は、合成樹脂により形成されている(金属薄板をプレス加工して形成することも可能)。
プロテクタ本体25は、図1又は図2に示される如く、基板部27の縁部に立設する第一湾曲壁28及び第二湾曲壁29と、ガイドレール30(特許請求の範囲に記載したガイド部に相当)と、ガイドレール30に対してスライド自在に係合するスライダ31とを備えている。また、第一湾曲壁28及び第二湾曲壁29の各一端(上方側の端部)には第一ハーネス取出口32が、各他端(下方側の端部)には第二ハーネス取出口33が形成されている。
基板部27は、インナパネル8の取り付け面に沿うように形成されている。基板部27のインナパネル8に対して対向する面には、係止部材34が突出形成されている。係止部材34には、例えばスリットを挟んで一対の爪部材が形成されている。係止部材34はいわゆるクリップである。プロテクタ本体25をインナパネル8に取り付けようとすると、上記一対の爪部材は近接方向に弾性変形してインナパネル8の孔(不図示)に嵌合する。プロテクタ本体25は係止部材34によりインナパネル8に仮係止され、その後の作業がスムーズに行われる。
第一湾曲壁28は、基板部27に対して直交するように立設されている。また、正面視略C字状に湾曲形成されている。湾曲方向は、各端部が車体2の前方側になるように形成されている。第一湾曲壁28は、第一ハーネス取出口32よりも外方へ突出する舌片部(固定部)35を有している。尚、舌片部35を用いて、取り出された(導出された)ドア側ワイヤハーネス3をテープ捲きするようにしてもよい(コネクタ4が上記各種補機に接続され、第一ハーネス取出口32におけるドア側ワイヤハーネス3の車体2後方側への移動が不能になる場合にはこの限りでない。後述する給電装置51の場合も同じ。舌片部35を特許請求の範囲に記載した固定部に相当させてもよい)。
第二湾曲壁29は、基板部27に対して直交するように立設されている。また、第一湾曲壁28よりも曲率半径が大きくなるように湾曲形成されている。湾曲方向は、第一湾曲壁28と同じになるように形成されている。
第一ハーネス取出口32は、ドア側ワイヤハーネス3を取り出すのに十分な大きさに形成されている。第二ハーネス取出口33は、第一ハーネス取出口32よりも幅広く開口してスライダ31の移動に伴うドア側ワイヤハーネス3の往復移動を許容するようになっている。また、第二ハーネス取出口33は、スライドドア1の下方を向いて開口形成されている。
ガイドレール30は、第二ハーネス取出口33に連続して形成された枠状の収容部36にはめ込まれるようになっている。ガイドレール30は、断面視コ字状に形成されており、両端においてボルト37、37によりスライドドア1に固定されるようになっている(例えばプロテクタ本体25が仮係止された後に収容部36と一緒に固定される)。ガイドレール30は、スライドドア1の開閉方向(又は上記前後方向)に延在するように配設されている。
スライダ31は、図3に示される如く、ガイドレール30をスライド自在に摺動する矩形状のブロック本体38と、そのブロック本体38に一体となりガイドレール30をスライドするとともにガイドレール30の開口部分から突出するアーム支持基部39とを備えている。ブロック本体38は矩形状に形成されており、アーム支持基部39の中央の突出した部分は、スライドドア1の下方へ延びた垂直部分と、垂直部分の下端から水平に屈曲した略舌片状のアーム支持用の突出部40とを一体に有している。ブロック本体38は滑りを良くするために合成樹脂で形成されている。尚、ガイドレール30内に入り込む部分の支持基部39において、インサート成形等によりブロック本体38と同じ材質のものでサンドイッチ構造にすることが好ましい。
アーム支持用の突出部40には、第一アーム部材41の一端がリベット等の軸部21で回動自在に取り付けられている。第一アーム部材41の他端は、コルゲートチューブ19を固定する一対の固定片42、42が連成されている。固定片42、42には、コルゲートチューブ19の周溝に嵌入する突起(不図示)が形成されている。突起(不図示)に沿ってコルゲートチューブ19を周方向に回動自在に支持させて、アーム41の回動に伴ってワイヤハーネス3をスムーズに揺動させることも可能である。第二ハーネス取出口33から導出されるドア側ワイヤハーネス3は、コルゲートチューブ19及び第一アーム部材41を介してスライダ31に固定されている。これにより、湾曲部20の長さはプロテクタ9内において不変となる。第一アーム部材41により、プロテクタ9の第二ハーネス取出口33から導出されるドア側ワイヤハーネス3は、スライドドア1の開閉方向(又は上記前後方向)に首振り自在(矢線Pの方向を参照)となる。
一方、支持基部39は、プロテクタ9内にのび基板部27に沿って導出直前のドア側ワイヤハーネス3をスライドドア1の開閉方向(又は上記前後方向)に首振り自在(矢線Qの方向を参照)に固定する第二アーム部材43を有している。第二アーム部材43の一端は支持基部39にリベット等の軸部22で回動自在に固定されており、他端には上記固定片42と同様の一対の固定片44、44が連成されている。固定片44、44には、コルゲートチューブ19の溝に嵌入する突起(不図示)が形成されている。突起(不図示)に沿ってコルゲートチューブ19を周方向に回動自在に支持させて、アーム43の回動に伴ってワイヤハーネス3をスムーズに揺動させることも可能である。
図1に戻り、カバー26は、基板部27に対面するカバー側基板部45と、第一湾曲壁28及び収容部36の一部に沿う第一側壁46と、第二湾曲壁29及び収容部36の一部に沿う第二側壁47とを備えている。第一側壁46及び第二側壁47の一端側は、第一ハーネス取出口32(図2参照)の形成に寄与し、他端側は第二ハーネス取出口33(図2参照)の形成に寄与している。その他端側の縁部には、外方に向けて突出する鍔部48が形成されている。鍔部48は、第二ハーネス取出口33から導出されたドア側ワイヤハーネス3がコルゲートチューブ19を介して接触する曲面(不図示)を有している。湾曲状の鍔部48はエッジでドア側ワイヤハーネス3に接触しないから、導出されたドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)の動きをスムーズにし、また、ドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)の耐久性を向上させる。
尚、カバー26は、車体2側から適宜手段を用いてプロテクタ本体25に係合するものとする。例えばカバー26に可撓性の係止爪(不図示)を垂設し、プロテクタ本体25に係止爪に対する係合孔(不図示)を設ける。
次に、スライドドア1の開閉時の作用を説明する。
図1及び図2は、スライドドア1を閉じ状態から後方にスライドさせて開く時の状態を示している。スライドドア1を閉から開の状態に移行させた際に、スライダ31は、ガイドレール30の後方(車体2に対して)の端部近傍に位置し、湾曲部20は第二湾曲壁29側に引き寄せられた状態で位置する(第二湾曲壁29に接触していてもよい)。そして、第一アーム部材41の他端はガイドレール30の前方側に振れる。
スライドドア1を後方にスライド操作して開けると、スライダ31がガイドレール30を移動してガイドレール30の前方(車体2に対して)の端部近傍に位置する。湾曲部20は、インナパネル8に対して略平行に移動し、第一湾曲壁28に押し付けられる(図2の仮想線参照)。第一アーム部材41の他端は、スライドドア1を閉じる際に首を振り、ガイドレール30の後方側に振れる。スライドドア1が開の状態(開いた状態)では、湾曲部20が第一湾曲壁28側に位置し、スライドドア1が閉の状態では、湾曲部20が第二湾曲壁29側に押し付けられるようになることから、走行中に湾曲部20がばたついて音、振動を生じることはない。
続いて、他の実施形態を説明する。図4は自動車用スライドドアの給電装置の他の実施形態を示す分解斜視図(スライドドアが閉じた状態)である。また、図5は図4のプロテクタの正面図(カバーを除く)、図6は弾性部材の平面図、図7はスライドドアが開いた状態の給電装置の分解斜視図を示している。尚、上述と基本的に同じ構成の部材については同一符号を付してその詳細な説明を省略する。
図4において、上述と同様にスライドドア1のインナパネル8には、ドア側ワイヤハーネス3が配索されている。ドア側ワイヤハーネス3は、スライドドア1及び車体2に跨って配索されており、一端側がコネクタ4(一つのみ図示、この数に限られない)を介して上記各種補機に接続されている。また、ドア側ワイヤハーネス3の他端側は、コネクタ5を介して車体側ワイヤハーネス6のコネクタ7にコネクタ接続されている。ドア側ワイヤハーネス3は、スライドドア1のインナパネル8に設けられるプロテクタ50と共にスライドドア1に配索されている。プロテクタ50は、本形態における給電装置51を構成する。尚、ドア側ワイヤハーネス3及びプロテクタ50を用いることで給電装置51の構成が簡素化される。また、省スペース化と組み付け性の向上が図られる。
先ず上記各構成を詳細に説明し、次いでスライドドアの開閉時の作用を説明する。スライドドア1は、車体2側にインナパネル8を有しており、下端にはヒンジローラ15を備えている。また、車体2には、ステップ16が設けられており、そのステップ16の垂壁17の内側には、車体側ワイヤハーネス6のコネクタ7が配置されている。
ドア側ワイヤハーネス3は、複数の電線18を束ねて構成されており、コルゲートチューブ19が装着されている。コルゲートチューブ19には、弾性部材52が設けられている(環状の固定部材やテープ等で固定されている)。弾性部材52は、バネ性を有する短冊状の薄型平板(図6参照、金属又は合成樹脂で形成されている)であって、後述する湾曲部53を上方へ跳ね上げ付勢するようになっている。弾性部材52は、後述する第一ハーネス取出口60近傍の湾曲部53に沿わせられるように配設されている。尚、弾性部材52の一方の端部は湾曲部53の中間までのびている。
ドア側ワイヤハーネス3は、コルゲートチューブ19を装着した状態でその中間に湾曲部53を有している。湾曲部53は、プロテクタ50に収容されるようになっている。湾曲部53は、インナパネル8に対して略平行に移動可能な状態に配置されている。湾曲部53を形成することで、弾性部材52に付勢力が生じるようになる。弾性部材52により付勢される湾曲部53は、後述する規制壁57によってその位置を規制されるようになる。
プロテクタ50は、例えばインナパネル8に取り付け固定されるプロテクタ本体54と、プロテクタ本体54に係合するカバー55とで構成されている。また、プロテクタ50は、湾曲部53の移動範囲を考慮してその大きさが極力小さくなるように形成されている。プロテクタ本体54及びカバー55は、合成樹脂により形成されている(金属薄板をプレス加工して形成することも可能)。
プロテクタ本体54は、図4又は図5に示される如く、インナパネルに接する略半円状の基板部56と、基板部56の周縁部に立設された湾曲状の規制壁57と、規制壁57の一端に対向して配置される略コの字状の基壁58と、規制壁57に沿って対向するハーネス固定用の固定壁(固定部)59とを備えている。基壁58は水平な上壁部58a(図5)と垂直な側壁部58bと水平な下壁部58cとで構成されている。少なくとも規制壁57の一端(前端)と基壁58の上壁部58aとで第一ハーネス取出口60が形成されている。規制壁57の他端(後端)と基壁58の側壁部58bないし下壁部58cとの間に横長な第二ハーネス取出口61が形成されている。
規制壁57は、弾性部材52により付勢されたワイヤハーネス3の湾曲部53の位置を規制するように形成されている。本形態においては上方に向く円弧状に形成されている。規制壁57の第二ハーネス取出口61側には、スライドドア1の後方に真っ直ぐにのびる延長部62が連成されている。規制壁57の外縁及び延長部62の外縁には、インナパネル8に対する取り付けフランジ63、64が形成されている。プロテクタ本体54は、取り付けフランジ63、64を介してボルト65、65により締め付け固定されるようになっている。尚、取り付けフランジ64に上記係止部材34(図2参照)を設けてもよいものとする。
基壁58は、第一ハーネス取出口60と第二ハーネス取出口61を形成しており、基壁58に設けられた取り付けフランジ66には、取り付けフランジ63、64と同様、ボルト65が締め付けられるようになっている。
固定壁59は、第一ハーネス取出口60近傍の規制壁57に対して平行に配設されており、コルゲートチューブ19を差し込み固定することができるように形成されている。即ち、固定壁59には、例えばコルゲートチューブ19の溝に嵌入する二つの係止突起67、67が形成されている。係止突起67、67は、対向する規制壁57にも二つ形成されている(係止突起67の数は一例である)。
カバー55は、図4に示される如く、基板部56に対面するカバー側基板部68と、規制壁57に沿う湾曲状の周壁69と、前記基壁58に沿う短い側壁70とを備えている。周壁69及び側壁70の一端側は、第一ハーネス取出口60(図5参照)の形成に寄与し、他端側は第二ハーネス取出口61(図5参照)の形成に寄与している。その他端側の縁部には、外方に向けて突出する鍔部71が形成されている。鍔部71は、第二ハーネス取出口61から導出されたドア側ワイヤハーネス3がコルゲートチューブ19を介して接触する曲面(不図示)を有している。湾曲状の鍔部71は、スライドドア1の開閉時にドア側ワイヤハーネス3とエッジ部で摺接することがないから、導出されたドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)の動きをスムーズにし、また、ドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)の傷付き等を防止して耐久性を向上させる。また、湾曲状の鍔部71に沿ってドア側ワイヤハーネス3を下向きに湾曲させてスライドドア1のドアトリム(図示せず)の下端に干渉しないようにして車体2側に導出させることで、ドアトリムの下端との擦れが防止される。
カバー55は、車体2側から適宜手段を用いてプロテクタ本体54に係合するものとする。例えば、プロテクタ本体の規制壁57の外周面に係止部(図示せず)を設け、カバー55の周壁69に、係止部に対する係合部(図示せず)を設ける。
次に、スライドドア1の開閉時の作用を説明する。図4及び図5において、スライドドア1が閉の状態(閉じた状態)にあると、湾曲部53が弾性部材52に付勢されて規制壁57に沿うように配置される(走行中に湾曲部53がばたついて音、振動を生じることはない)。ドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)は、延長部61の部分の第二ハーネス取出口61から導出される。
この状態からスライドドア1が操作され、そのスライドドア1が開の状態(開いた状態)になると、第二ハーネス取出口61を介して車体2の前方へ移動したドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)は、図7に示される如く、湾曲部53が移動の途中より弾性部材52の付勢力に抗して縮み(図5の仮想線参照)、基壁58側において第二ハーネス取出口61から導出される。尚、弾性部材52の付勢力が生じていることから、ドア側ワイヤハーネス3(コルゲートチューブ19を含む)が車体2の下方に垂れ下がることはない。
以上、図1ないし図7までを参照しながら説明してきたように、ドア側ワイヤハーネス3とプロテクタ9(50)とを備え、スライドドア1の開閉に必要となるドア側ワイヤハーネス3の余長分を湾曲部20(53)にして、これをプロテクタ9(50)に収容させた自動車用スライドドアの給電装置10(51)によって、構成が簡素化され組み付け性の向上が図られる。また、湾曲部20(53)のインナパネル8に対しての移動範囲を考慮して給電装置10(51)の占有スペースが決められることから、省スペース化が図られる。
その他、本発明は本発明の主旨を変えない範囲で種々変更実施可能なことは勿論である。尚、本発明に派生し、プロテクタ本体(保護部材本体)の構成をインナパネルに一体形成することも考えられる。
図8〜図12は、上記図4〜図5の実施形態に改良を施して、スライドドア1の開閉に伴うワイヤハーネス3の揺動を一層スムーズに且つ異音等の発生なく行えるようにした自動車用スライドドアの給電装置51′を示すものである。図4〜図5と同一の構成部分には同一の符号を付して詳細な説明を省略する。
本形態の給電装置51′は、合成樹脂製のプロテクタ(湾曲部保護部材)50の前後両端側に、ドア側ワイヤハーネス3をスムーズに接触ないし摺接させる傾斜状当接部72や傾斜状摺接部73〜75を形成したことを特徴とするものである。
すなわち、図8〜図10の如く、インナパネル8に固定されたプロテクタ本体54′の前端側の第一ハーネス取出口60の下側の略逆コの字状の基壁58′の垂直な側壁部58b′(図10)から略ブロック状の下壁部58c′にかけて傾斜状当接部72が形成されている。
傾斜状当接部72は例えば上側のチューブ固定壁59の下端部と同じ向きのテーパ状の傾斜面(傾斜状当接面)となっており、この傾斜状当接面72はプロテクタ本体54′の内側に位置している。基壁58′の下壁部58c′は略ブロック状にボリュームを増して形成されている。基壁58′の側壁部58b′は図4の実施形態の側壁部58bよりも短く形成されている。略ブロック状の下壁部58c′を中実でなく中空に形成することも可能である。その場合も傾斜状当接面72と後述の傾斜状摺接面73を有することは勿論である。
図9の如くスライドドア1の全開時にワイヤハーネス3が鎖線31 の如く前方に引っ張られて小さく湾曲しつつ傾斜した際に、傾斜状当接面72に沿って斜めに当接することで、衝撃力が緩和され、異音の発生等が防止される。例えばワイヤハーネス3が鎖線31 の状態で傾斜状当接面72のない基壁58(図5参照)の側壁部58bに当接した場合には、ワイヤハーネス31 が長手方向に対して直角に側壁部58bに当たることになり、衝撃音を発生する懸念がある。上記傾斜状当接面72によってこの心配が解消されている。ワイヤハーネス3が鎖線31 の如く傾斜状当接面72に傾斜状に面接触することによって、ワイヤハーネス31 に作用する衝撃力が小さくなり、異音の他にワイヤハーネス31 の変形や傷みが防止される。ワイヤハーネス31 は下側の第二ハーネス取出口61から車体側に導出されている。
上記略逆コの字状の基壁58′の長めの上壁部58aとその上側の規制壁57の湾曲状の突出部とで前側の第一ハーネス取出口60が形成されている。図9の鎖線33 の如く、スライドドア1の全閉時にワイヤハーネス3は後方に引っ張られてプロテクタ本体54′の後方延長部62に沿って位置し、下側の第二ハーネス取出口61から車体側に導出される。ワイヤハーネス3は車体側の定位置すなわち本形態ではステップ16(図8)の後端側の垂壁17に固定されている。
図9,図10の如く、プロテクタ本体54′の前記基壁58′の下壁部58c′の下端側には、車体側に対面した傾斜状摺接部(傾斜状摺接面)73が形成されている。この傾斜状摺接面73は前記傾斜状当接面72と交差して続いており、且つ下壁部58c′の水平な下端面58d(図10)と車体寄りの垂直な側面58eとにかけてテーパ状に形成されている。
この傾斜状摺接面73は、図9の鎖線32 の如くスライドドア1の全開時に例えばワイヤハーネス3が前方に強く引っ張られてプロテクタ本体54′よりも前方に突出した際に、ワイヤハーネス32 を引っ掛かりなくスムーズに前方に導出させると共に、スライドドア1の閉じ操作時にワイヤハーネス3が鎖線32 の状態から鎖線31 の状態に戻る際に、ワイヤハーネス32 を引っ掛かりなくスムーズに後方に移動させる役目をするものである。ワイヤハーネス32 が引っ掛かりなく移動(揺動)することで、異音やワイヤハーネス32 の磨耗や傷付き等が防止される。ワイヤハーネス3はコルゲートチューブ19あるいはその他の保護チューブを含んでいる。保護チューブ19を用いない場合でも上記効果は同様に奏される。
図8の如くプロテクタ本体54′は略半円状の垂直な基板部56と、基板部56の周囲の規制壁57と、前記基壁58′と、後方延長部62とを備え、前側に前記第一ハーネス取出口60、下側に幅広な第二ハーネス取出口61を有している。プロテクタ本体54′はボルト65あるいは他の係止手段でインナパネル8に固定されている。第一ハーネス取出口60からワイヤハーネス3の前側の部分が導出され、この前側部分の電線18はコネクタ4でスライドドア1内の電装品等(図示せず)に接続される。また、下側の第二ハーネス取出口61からワイヤハーネス3の後側の部分が導出され、コネクタ5,7で車体側ワイヤハーネス6に接続されている。図8で符号64は取付フランジ、15はヒンジローラである。
図8でプロテクタ本体54′にはカバー55′が被着され、係止手段等(図示せず)でプロテクタ本体54′にワンタッチで固定される。カバー55′は、垂直な基板部68と周壁69と前側下部の側壁70と後方延長部76と、周壁69と側壁70との間で前記第一ハーネス取出口60を形成する縦断面逆コの字状の前方に突出した部分77と、基板部68の下端側の湾曲状の鍔部71とを備えており、前端下部と後端下部とにそれぞれワイヤハーネス案内用の傾斜状摺接部74,75を形成したことを特徴としている。
前側の傾斜状摺接部74は、側壁70の下端側から後方に向けて斜め下向きに基板部68と鍔部71とをテーパ状に切欠して成るものである。傾斜状摺接部74は基板部68と鍔部71とに直線的にないし湾曲形状に連続して形成されることが好ましい。鍔部71が大きく湾曲して基板部68の一部を兼ねている場合は鍔部71のみに傾斜状摺接部74を設けてもよい。
図9の鎖線32 の如くカバー55′(図8)の側壁70の内側から前方に突出したワイヤハーネス32 を傾斜状摺接部74に沿って引っ掛かりなくスムーズに後方に移動させることができる。これにより、スライドドア1の閉じ時の操作力の増大を防いで、操作性を向上させることができると共に、擦過音を防止することができる。ワイヤハーネス32 の引っ掛かりにより、操作力の増大や擦過音を生じる懸念があるからである。
前側の傾斜状摺接部74は前記プロテクタ本体54′側の前側の傾斜状摺接部72とほぼ対向して位置し、両傾斜状摺接部72,74の相乗効果でワイヤハーネス3の傷付きやスライドドア1の操作性の悪化が確実に防止される。
カバー55′の前側の側壁70の内面はプロテクタ本体54′の基壁58′の前側に沿って位置し、少なくとも基壁58′の側壁部58b′や傾斜状当接部72ないし傾斜状当接部72の上半側は側壁70の内側に収容される。
図8の如くカバー55′の後方延長部76の後端部に前記後側の傾斜状摺接部75が形成されている。図11にその要部拡大図を示す如く、後側の傾斜状摺接部75は、後方延長部76の上壁78から前方に向けて斜め下向きに、垂直な基板部79と湾曲状の鍔部71とを湾曲状ないしテーパ状に切欠して成るものである。このように鍔部71も一体に切欠することが好ましい。後側の傾斜状摺接部75が湾曲形状である場合、湾曲中心は後方延長部76の前方上部に位置し、上壁78の後端78aから外向きに湾曲した形状となる。傾斜状摺接部75は湾曲状の鍔部71に続き、鍔部71の内側に第二ハーネス取出口61(図8)が位置する。
後方延長部76の後端側は開口しており、図9の鎖線33 の如くワイヤハーネス3が延長部76から後方に導出される。延長部76の上壁78の後端部が上向きに湾曲しているのは、延長部76からこの湾曲部78bに沿ってワイヤハーネス33 を上向きにもスムーズに屈曲可能としたものである。
図9の鎖線33 の如くスライドドア1の全閉時に後方延長部62から後方に導出されたワイヤハーネス33 は、スライドドア1の開き操作時に図8のカバー55′の後側の傾斜状摺接部75に沿って上から斜め下向きに引っ掛かりなくスムーズに案内されて、湾曲状の鍔部71に沿って前方に摺接しつつ移動する。ワイヤハーネス33 が引っ掛かりなく前方に移動することができるから、スライドドア1の開き操作力の増大が防止され、スムーズな開き操作が行われると共に、ワイヤハーネス33 の引っ掛かりによる傷付きや変形や異音の発生等が防止される。
図11の鎖線及び図12に示す如く後側の傾斜状摺接部75′をカバー55′の後方延長部76の上壁78の後端の内側寄りの部分から上壁78と基板部79とを湾曲形状に切欠することで形成することも可能である。これによれば、上壁18の後端外側の角部78c(図11)へのワイヤハーネス33 (図9)の引っ掛かりが防止され、一層スムーズなワイヤハーネス33 の移動が可能となる。
なお、上記カバー55′とプロテクタ本体54′とを合成樹脂材で一体に形成することも可能である。その場合、カバー55′の周壁69とプロテクタ本体54′の周壁である規制壁57とは一体化し、カバー55′の後方延長部76の上壁78とプロテクタ本体54′の後方延長部62の上壁とは一体化して、上記傾斜状当接部72や傾斜状摺接部73〜75はプロテクタ50′の基壁58′や後方延長部76に形成されることになる。また、上記傾斜状当接部72や傾斜状摺接部73〜75を図1の実施形態のプロテクタ9に適用することも可能である。また、前記各実施形態においてプロテクタ9,50,50′を車体側に配置することも可能である。
図13は、プロテクタ(湾曲部保護部材)の他の実施形態を示すものである。
このプロテクタ81は合成樹脂製のプロテクタ本体(保護部材本体)82と図示しないカバーとで構成され、プロテクタ本体82の前端上部に第一ハーネス取出口83を有し、且つ、プロテクタ本体82の前部側において湾曲状の規制壁84の内側に、弾性部材85とワイヤハーネス86(コルゲートチューブ87を含む)とに対する略ループ形状の屈曲規制壁(屈曲規制部)88が設けられ、且つ、第一ハーネス取出口83に、ワイヤハーネス外周のコルゲートチューブ87を固定するためのハーネス固定部(固定部)89が設けられたことを特徴とするものである。
規制壁84は基板部90の外周に直交した外周壁であり、第一ハーネス取出口83に続く短い傾斜状の直線部84aと、直線部84aに続く略円弧状の湾曲部84bと、後部側の裾部84cとで構成されている。直線部84aに前記ハーネス固定部89が一体に形成されている。
また、前記屈曲規制壁88はハーネス固定部89の後方に隣接して位置しており、略半円状の上半部88aと、上半部88aの後端側から前方に向かう略弓型に湾曲した下半部88bとで構成されている。「前後」とは車両の「前後」の意味である。下半部88bの前端側は斜め下向きにほぼ直線的に傾斜してプロテクタ本体82の垂直方向の前端壁91に交差している。屈曲規制壁88は基板部90から外周壁84や前端壁91と同じ高さで立設されている。
ハーネス固定部89に隣接する上半部88aの前端側の部分は垂直な短い直線部88cを有し、直線部88cの下側において弾性部材85である金属製の板ばねの基端部がブラケット状の金属製の固定具92で基板部90に固定されている。弾性部材85の基端部には切欠部(図示せず)が設けられ、切欠部内に固定具92の中央の固定部93が係合し、固定具92の孔部94がボルト(図示せず)や基板部90の樹脂突起(図示せず)の熱溶着等で固定されている。
固定具92はプロテクタ本体82の前端部の高さ方向のほぼ中央に位置しており、屈曲規制壁88の上半部88aはプロテクタ本体82の全高のほぼ半分程度の高さに位置している。また、ハーネス固定部89は固定具92の上側にほぼ対向して位置し、ハーネス固定部89よりも屈曲規制壁88の上端部が高く位置している。
弾性部材85は屈曲規制壁88の垂直な直線部88cに沿って立ち上げられ、ワイヤハーネス86の下側面に接して後方に弓形に湾曲している。ワイヤハーネス86は第一ハーネス取出口83からプロテクタ本体82内に導入され、弾性部材85の外側面に沿って湾曲状に配索され、プロテクタ本体82の裾部84cに沿って後端側において下側の第二ハーネス取出口94から車体側(図示せず)に導出されている。この状態でスライドドア(図示せず)はほぼ全閉となっている。スライドドアの開閉途中でワイヤハーネス86は外周の規制壁84の内面に沿って湾曲自在である。
略ループ状の屈曲規制壁88で囲まれた内部空間95には例えば他の機能部品等(図示せず)を配置可能である。内部空間95に連通して基板部90に窓部96が設けられ、例えば窓部96を利用してプロテクタ本体82をスライドドアに仮組付(仮固定)可能である。屈曲規制壁88の外周面は出っ張りのないスムーズな面で構成され、屈曲規制壁88の内周面側には数カ所に係止用の枠状部97が形成され、枠状部97内のスリット状の孔にカバー(図示せず)の係止爪が係合する。枠状部97によって屈曲規制壁88が内側から支えられ、屈曲規制壁88の曲げ剛性が高められている。
枠状部97は外周壁84や前端壁91の外側にも数カ所設けられている。スライドドアへのプロテクタ本体82の本固定は、屈曲規制壁88の内側の孔部98や、外周壁84から突出したブラケット99の孔部にボルト(図示せず)を通してスライドドアのパネルに締め付けることで行われる。前記ハーネス固定部89は図14(図13のC−C断面図)にも示す如く、ワイヤハーネス86の外周のコルゲートチューブ87の凹溝に係合するリブ形状の突条(突部)100を有して、コルゲートチューブ87を長手方向に不動に固定させるものである。
図14の実施形態では断面長円形のコルゲートチューブ87を用いている。コルゲートチューブ87は全周方向の凹溝と凸条とを長手方向に交互に有しており、凹溝に係合する突条100は、外周壁84の内面と、外周壁84に対向する立上げ壁101の内面と、外周壁84と立上げ壁101とを滑らかに連結する底壁102との三方に略コの字状に二つないし三つ並列に設けられている。突条100は図9の固定壁59に設けられたコルゲートチューブ固定用の二つの突部と同様の作用でワイヤハーネス82を第一ハーネス取出口83の近傍に固定させる。
立上げ壁101は基板部90から直角に設けられ、底壁102は基板部90よりもカバー側に一段高く位置して、コルゲートチューブ87の外周形状に沿って立上げ壁101と外周壁84とに湾曲状に続いている。突条100もコルゲートチューブ87の外周形状に沿って湾曲形成されている。立上げ壁101の外面と外周壁84の外面とには、カバーに対する係止用の枠状部97が設けられている。
突条100に対向してカバー(図示せず)の内面に突条を設けることも可能である。また、断面円形のコルゲートチューブ(図示せず)を用いる場合には、底壁102と底壁上の突条100とが半円形に形成される。突条100の数は任意であるが、突条100へのコルゲートチューブ87の凹溝の係合作業を容易化する観点から二つ〜三つが好適である。断面円形のコルゲートチューブ(図示せず)を突条100に沿って周方向回動自在に支持させて、コルゲートチューブの捩れを防止することも可能である。
前記屈曲規制壁88を設けた構成により、スライドドアの開き操作時等にワイヤハーネス86が弾性部材85と共に下向きに大きく湾曲しつつ前方に引っ張られた際に、ワイヤハーネス86と弾性部材85とが屈曲規制壁88に沿って湾曲し、それ以上の角度でのワイヤハーネス86と弾性部材85との湾曲が防止されるから、ワイヤハーネス86及び弾性部材85の折れ曲がりや塑性変形や破損や傷み等が防止される。
屈曲規制壁88の外径や形状は、弾性部材85を弾性許容限度内に支持し、且つワイヤハーネス86を鋭角的に折り曲げない範囲のものであり、ワイヤハーネス86や弾性部材85は屈曲規制壁88の曲げアールよりも小さなアールで屈曲することはあり得ない。弾性部材85の破損が防止されることで、スライドドアの開閉時にプロテクタ81内でワイヤハーネス86の弛みが常に確実に吸収され(ワイヤハーネス86が常に上方に弾性付勢され)、車体とスライドドアとの間へのワイヤハーネス86の挟み込み等が確実に防止される。
万一、疲労等で弾性部材85が破損した場合でも、ワイヤハーネス86が屈曲規制壁88に沿って湾曲した形状に支持されて、常に一定以上の高さまで持ち上げられるから、ワイヤハーネス86がプロテクタ81の下側の第二ハーネス取出口94から必要以上に引き出されることがなく、車体とスライドドアとの間へのワイヤハーネス86の挟み込み等が防止(低減)される。
第一ハーネス取出口83が図1の実施形態とほぼ同様にプロテクタ81の上部側ないし上部寄りに配置されているから、第一ハーネス取出口83からプロテクタ内に導入されたワイヤハーネス86が直ぐに屈曲規制壁88で支持され、それによってもワイヤハーネス86や弾性部材85の無理な屈曲が防止される。第一ハーネス取出口83がプロテクタ81の前端下部側にある場合は、ワイヤハーネス86が大きく(きつい湾曲角度で)屈曲されるのに対し、本実施形態ではそれが防止され、ワイヤハーネス86に無理な曲げ応力が作用することがない。
また、ハーネス固定部89によってワイヤハーネス86を容易に固定することができるから、プロテクタ82へのワイヤハーネス86の配索固定作業性が向上すると共に、ハーネス固定部89にワイヤハーネス86がしっかりと固定されるから、スライドドアの急激な開閉等によってワイヤハーネス86が強く引っ張られた場合等でも、第一ハーネス取出口83からワイヤハーネス86がプロテクタ81内に引き入れられることがなく、ワイヤハーネス86の弛みの増大が防止され、常に弾性部材85でワイヤハーネス86の弛みが確実に吸収されて、車体とスライドドアとの間へのワイヤハーネス86の挟み込み等が確実に防止される。
なお、屈曲規制壁88に代えて基板部90に複数のピン状ないし板状の突起(図示せず)を屈曲規制壁88の形状に並べることで屈曲規制部を構成することも可能である。また、屈曲規制壁88は必ずしも連続している必要はなく、複数の湾曲状の短い屈曲規制壁(図示せず)を並べて屈曲規制部とすることも可能である。また、コルゲートチューブ87に代えて凹溝のない保護チューブ(図示せず)を用いる場合には、ハーネス固定部89をバンドやクランプ等の他の形態のものに変えることも可能である。
また、図13のプロテクタ81に図8のプロテクタ51′の傾斜状摺接部73〜75を設けることも可能である。図8の傾斜状当接部72は図13の屈曲規制壁88の下端側の傾斜部88dに相当している。
図15〜図16は、自動車用スライドドアの給電装置の第三の実施形態を示すものである。この給電装置110は、図4の第二の実施形態に代えてスライドドア1側ではなく車体2側に合成樹脂製のプロテクタ111を配設して、スライドドア1から車体2に配索したワイヤハーネス112を車体2側のプロテクタ111内の弾性部材52で弛み吸収させることを特徴とするものである。
本形態でプロテクタ111は車体2のステップ部16の下側に水平に配置されている。プロテクタ111は後部側113が直線的にスライドドア1側に延び、前部側114が湾曲状に漸次縮幅されて前方に延びた形状で、断面略横凹字状を呈しており、後部内端側に第一ハーネス取出口115を有し、スライドドア1側に面する側部に直線的に広く開口した第二ハーネス取出口116を有している。プロテクタ111はブラケット117で車体2に固定されている。
弾性部材52はプロテクタ111の後部側(第一ハーネス取出口115側)からプロテクタ111の長手方向中間部にかけて延び、弾性部材52に沿ってワイヤハーネス112が配索されている。弾性部材52の基端部は固定具118等でプロテクタ111に固定されている。弾性部材52の形状は板ばね状に限らず、種々の形態の弾性部材(図示せず)を使用可能である。プロテクタ111の材質や形状や位置も適宜変更可能である。プロテクタ111はプロテクタ本体とカバーとで構成されることが、ハーネス組付作業性の観点から好ましい。プロテクタ111に図8と同様の傾斜状当接部72や傾斜状摺接部73〜75を設けることも可能である。
図15のスライドドア1の全閉状態で、ワイヤハーネス112はプロテクタ111の湾曲部(符号114で代用)に沿って前方に引っ張られ、弾性部材52は少し湾曲しつつワイヤハーネス112を車体2の車室側に付勢している。プロテクタ111の第二ハーネス取出口116から導出された車体2側のワイヤハーネス52は、スライドドア1側でコネクタ5,7によりスライドドア側のワイヤハーネス119に接続され、ドア側ワイヤハーネス119はスライドドア1内の各種機能部品(図示せず)に接続されている。
図16のスライドドア1の全開状態で、ワイヤハーネス112はスライドドア1と一体に後方に引っ張られ、プロテクタ111内で大きく後方に湾曲して弛もうとするが、ワイヤハーネス112と一体に湾曲変形した弾性部材52の復元力で車体2の車室側に付勢され、それによりワイヤハーネス112の弛みが吸収されて、スライドドア1と車体2との間への挟み込み等が防止される。