JP4304781B2 - Thermostat failure diagnosis device in engine cooling system - Google Patents
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Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
エンジンの冷却水系においては、ラジエタおよびサーモスタット(サーモスタット弁)が配設されている。このサーモスタットは、冷却水の温度に応じて開閉作動されるもので、エンジンの冷却水が所定温度(例えば80度C)以上のときに開弁され、この開弁により冷却水がラジエタを循環するように流れて、冷却水がラジエタによって冷却される。また、冷却水の温度が上記所定温度よりも低いときはサーモスタットが閉弁され、この閉弁により冷却水がラジエタをバイパスして流れて、冷却水のすみやかな温度上昇が図られるようになっている。
【0003】
上記サーモスタットが開弁したまま故障した開弁故障が発生(開固着の発生)した状態で、エンジンを冷機状態から始動した場合に、冷却水がラジエタを循環するためにその温度上昇がすみやかに行われず、エンジンの安定した運転をすみやかに確保する上で好ましくないばかりでなく、燃費や排気ガス対策の上でも好ましくないものとなる。
【0004】
サーモスタットの開弁故障を判定するため、特開平10−184433号公報には、エンジン始動から所定時間経過後における冷却水の実際の温度が所定温度よりも低いときは、冷却水がラジエタにより冷却されているためである、つまりサーモスタットの開弁故障発生であると判定するものが開示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記公報記載のものでは、エンジン始動後において、アイドル運転等エンジンの発熱量がきわめて小さい運転状態が長く続いたとき、ラジエタによる冷却が行われなくても冷却水温度がさほど上昇しないため、サーモスタットが開弁故障していないにも拘わらず開弁故障であると誤判定してしまう事態を生じやすいものとなる。
【0006】
上述のような誤判定を防止するため、本出願人は、エンジンの運転状態から冷却水温度を予測し、この予測温度が所定温度に達した時点において、これまでの予測温度と温度センサにより検出された実際の冷却水温度との差の積算値が所定値以上のときに開弁故障であることを判定するものを開発した。この判定手法によれば、エンジン始動からアイドル等のエンジン発熱量が小さい運転状態が長く続いても、予測温度が所定温度になるまでの時間が長くなるため、開弁故障の誤判定が防止されることになる。
【0007】
しかしながら、上述した予測温度を用いる判定手法にあっては、エンジン始動直後から急な上り坂での加速状態を長く続いた場合等、冷却水温度が急速に上昇するような運転状態が続くと、予測温度が所定温度に短時間で到達してしまい、この結果開弁故障が発生していても上記積算値が小さくなって、サーモスタットが正常であると誤判定してしまう可能性がある、ということが判明した。
【0008】
本発明は以上のような事情を勘案してなされたもので、その目的は、冷却水温度がすみやかに上昇しないときに開弁故障であると誤判定してしまうことの防止と、冷却水温度が急速に上昇するときに正常であると誤判定してしまうことの防止とを行って、サーモスタットの開弁故障をより精度よく判定できるようにしたエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するため、本発明はその第1の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項1に記載のように、
エンジンの冷却水が所定温度以上となったときに開弁されて冷却水をラジエタへ循環させ、冷却水が上記所定温度よりも低いときは閉弁されて冷却水を上記ラジエタをバイパスさせるサーモスタットを備えたエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置において、
冷却水の実際の温度を検出する水温検出手段と、
エンジンの高負荷運転状態を検出する高負荷検出手段と、
車両の高速運転状態を検出する高速検出手段と、
前記高負荷運転状態かつ高速運転状態が所定時間以上継続して検出されたときに、前記水温検出手段で検出される実際の水温が前記サーモスタットの開弁温度よりも低いときに、該サーモスタットが開弁故障であると判定する故障判定手段と、
を備えたものとしてある。
【0010】
前記目的を達成するため、本発明はその第2の解決手法として次のようにしてある。すなわち、特許請求の範囲における請求項2に記載のように、
エンジンの冷却水が所定温度以上となったときに開弁されて冷却水をラジエタへ循環させ、冷却水が上記所定温度よりも低いときは閉弁されて冷却水を上記ラジエタをバイパスさせるサーモスタットを備えたエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置において、
水温検出手段で検出された実際の冷却水温度に基づいて前記サーモスタットの開弁故障を判定する第1故障判定手段と、
水温検出手段で検出された実際の冷却水温度とエンジンの運転状態を示す運転パラメータから算出される冷却水の予測温度との関係に基づいて前記サーモスタットの開弁故障を判定する第2故障判定手段と、
を備え、
前記第1故障判定手段が、エンジンの高負荷運転状態かつ車両の高速運転状態が所定時間以上継続して検出されたときに、前記水温検出手段で検出される実際の水温が前記サーモスタットの開弁温度よりも低いときに、該サーモスタットが開弁故障であると判定するように設定されているものとしてある。上記解決手法を前提とした好ましい態様は、特許請求の範囲における請求項3以下に記載のとおりである。
【0011】
【発明の効果】
請求項1によれば、エンジンの発熱量が大きくなる高負荷運転状態が所定時間以上継続していることを故障判定の条件の1つとしてあるので、つまり冷却水温度がすみやかに上昇しないときは開弁故障の判定を行わないようにしてあるので、開弁故障であると誤判定してしまう事態が防止される。また、エンジンが走行風によって適度に冷却されるような高速運転状態が所定時間以上継続していることを故障判定の別の条件として設定してあるので、つまり冷却水温度があまりにも急速に上昇されてしまうような運転状態のときにも故障判定を行わないようにしてあるので、開弁故障であるのに正常であると誤判定してしまう事態も防止される。このように、開弁故障の誤判定や正常であるとの誤判定を防止して、より精度よく開弁故障であるか否かの判定が得られることになる。
【0012】
請求項2によれば、実際の冷却水温度に基づく第1故障判定手法と、実際の冷却水温度とエンジンの運転状態に基づいて得られる予測温度との関係に基づく第2故障判定との両方の故障判定を行うことにより、一方の判定のみでは誤判定してしまう事態を他方の判定で補って、全体として開弁故障を精度よく判定することができる。
【0013】
また、第1故障判定手段として、請求項1に対応したより具体的なものが提供される。
請求項3によれば、サーモスタットが実際に開弁される開弁温度が、あらかじめ設定された所定温度よりも低い温度にシフトされた故障発生時においても、開弁故障であると判定することが可能になる。すなわち、第2故障判定手段では、上記のように開弁温度が低温度側にシフトされた場合、全体として積算値が小さくなるために正常であると誤判定してしまう可能性があるが、第1故障判定手段によって開弁故障であるときちんと判定することが可能となる。
請求項4によれば、開弁故障であるのに正常であると誤判定してしまう機会を低減する上で好ましいものとなる。
【0014】
【発明の実施の形態】
図1において、1は自動車用とされたエンジンであり、エンジン1の冷却水通路の出口が符号1aで、また冷却水通路の入口が符号1bで示される。上記出口1aは、配管2を介してラジエタ3の冷却水入口3aに接続されている。ラジエタq3の冷却水出口3bは、配管4を介してサーモスタット5に接続され、このサーモスタット5が、配管6を介してエンジン1の上記冷却水入口1bに接続されている。配管2とサーモスタット5とが、ラジエタ3をバイパスする配管7を介して接続されている。また、配管2と配管6とが、ラジエタ3および配管7をバイパスする配管8に接続され、この配管8にヒータコア9が接続されている。配管6には、冷却水をエンジン1へ供給するためのポンプ10が接続されている。
【0015】
サーモスタット5は、3方切換弁からなり、サーモスタット5を流れる冷却水温度が所定の開弁温度(例えば80度C)になると開弁されて、配管6を配管4に連通させる一方、配管6と7とを遮断する。このように、サーモスタット5が開弁されたときは、エンジン1から配管2へ吐出された高温の冷却水は、ラジエタ3を流れてここで冷却された後、配管4,6を通って再びエンジン1へ供給される。また、サーモスタット5は、そこを流れる冷却水温度が上記所定温度よりも低いときは閉弁されて、配管6を配管7と連通させる一方、配管6と4とを遮断する(このときの冷却水の流れ状態が、図1中矢印で示される)。このように、サーモスタット5が閉弁されたときは、エンジン1から配管2へ吐出された冷却水は、配管7を通ってつまりラジエタ3をバイパスして、配管6からエンジン1へと循環される。なお、室内暖房が行われるときは、ヒータコア9と室内空気との間で熱交換を行うためのブロアが作動されるが、室内暖房を行わないときは、配管8への冷却水通過を阻止する開閉弁を設けておくこともできる。
【0016】
図2は、サーモスタット5の開弁故障を検出(判定)するための制御系統を示すものであり、図中Uはマイクロコンピュータを利用して構成された制御ユニット(コントローラ)である。この制御ユニットUには、各種センサS1〜S4かの信号が入力される。センサS1は、冷却水温度を検出するもので、サーモスタット5を通過する冷却水の温度を検出すべく、配管6に取付けられている(水温センサS1をサーモスタット5に内蔵することもできる)。センサS2は、エンジン1に供給される吸入空気量を検出するもので、エンジン負荷を検出するものとなる。センサS3は、エンジン1に供給される吸入空気の温度を検出するものである。センサS4は、車速を検出するものである。制御ユニットUは、上記センサからの出力に基づいて後述のようにしてサーモスタット5の開弁故障を判定する。そして、故障であると判定したときに、警報器11を作動させるようになっている。
【0017】
次に図3のフローチャートを参照しつつ制御ユニットUによる故障判定の手法について説明するが、図3は、特許請求の範囲における請求項1に対応したものとなっている。なお、以下の説明でQはステップを示す。まず、エンジン1の始動と共にスタートされて、タイマのカウント値が0に初期化される。次いで、Q2において、エンジン負荷が所定値よりも大きい高負荷時であるか否かが判別される。このQ2の判別でYESのときは、Q3において、車速が所定車速よりも大きい高車速時であるか否かが判別される。このQ3の判別でYESのときは、Q4において、タイマのカウント値がカウントアップされる。
【0018】
Q4の後、Q5において、エンジン始動時の冷却水温度に基づいて、タイマでカウントすべき所定時間CHが設定される。すなわち、エンジンおよび車両の運転状態が同じでも、そのときの冷却水温度に応じて冷却水の温度上昇勾配の度合いが相違することを補償すべく、Q5の処理が行われる。Q5の後、Q6において、タイマカウント値が所定値(所定時間)CHよりも大きいか否かが判別される。当初は、このQ6の判別でNOとなって、Q2へ戻る。
【0019】
Q6の判別でYESとなると、Q7において、エンジン1の運転状態から予測される冷却水の予測温度が、所定温度αよりも大きいか否かが判別される。冷却水の予測温度は、実施形態では、エンジン負荷(例えば吸入空気量)と車速と吸気温度とをパラメータとして所定の短時間の間での温度上昇分を算出して、この温度上昇分を前回の予測温度に加算することにより算出される(予測温度の初期値はエンジン始動時に検出された実際の冷却水温度とされる)。また、所定温度αは、サーモスタット5の設定開弁温度以下の温度とされるが、実施形態ではこの開弁温度付近の温度とされている。
【0020】
Q7の判別でYESのときは、Q8において、センサS1にて検出された実際の冷却水温度が、所定温度βよりもよりも小さい(低い)か否かが判別される。この所定温度βは、サーモスタット5の設定開弁温度以下の温度で、所定温度αに対応して設定されている。実施形態では、所定温度βは、開弁温度付近の温度でかつαよりも若干低い温度に設定されている(βをαと同じ値に設定することもできる)。このQ8の判別でNOのときは、実際の冷却水温度が十分高い温度になっているつまりラジエタ3による冷却が実行されていないときで、サーモスタット5が設定開弁温度よりもかなり低い温度でもって開弁されてしまう開弁故障が発生していない正常時であるということから、Q9において、正常であると判定される。また、Q8のL判別でYESのときは、Q10において開弁故障であると判定され、Q11において警報器11が作動される。
【0021】
前記Q2の判別でNOのとき、あるいはQ3の判別でNOのときは、それぞれQ12において、タイマカウント値が0にリセットされる。このように、開弁故障判定は、高負荷かつ高車速が所定時間CH以上継続したときに行われるように設定されている。なお、高負荷かつ高車速状態の所定時間以上の継続は、高負荷かつ高車速の時間を積算した合計時間が上記所定時間となる場合をも含むものである(高負荷かつ高車速の状態が断続的に発生した場合に対応で、このときは図3のQ12のステップが不用となる)。
【0022】
図4、図5のフローチャートは、制御ユニットUによる別の故障判定の手法を示すものであり、特許請求の範囲における請求項2に対応している。まず、図4のQ21において、予測冷却水温度がセンサS1で検出された実際の冷却水温度として設定される。この後Q22において、予測冷却水温度が算出されるが、この算出は、図3のにおける予測冷却水温度の算出と同様に、エンジン負荷、車速、吸気温度とをパラメータとして算出される。
【0023】
Q23では、エンジン始動時の実際の冷却水温度が例えば35度Cというように、かなり低い温度であるか否かが判別される。このQ23の判別でNOのときは、故障判定しないときであるとして、そのまま終了される。Q23の判別でYEのときは、Q24において、エンジン始動時の実際の冷却水温度から吸気温度を差し引いた温度偏差が例えば10度Cというように十分小さい値であるか否かが判別される。このQ25の判別でNOのときも、故障判定しないときであるとして、そのまま終了される。上記Q23、Q25の処理は、つまるところ、一旦エンジン1を運転して冷却水がかなり高温になっているときに、故障判定を行わないための処理となる(ほぼ冷機状態からの冷却水温度上昇を利用した故障判定を行うようにする)。
【0024】
Q25の判別でYESのときは、Q26において、予測冷却水温度が例えば40度Cというように中温程度に設定された所定温度よりも大きいか否かが判別される。このQ26の判別でNOのときは、Q22に戻る。Q26の判別でYESのときは、Q27において、後述するようにして、ラジエタ3からの放熱量Qorhが算出される。次いで、Q28において、冷却水のエンジン1からの受熱量Qigが後述するように算出される。Q28の後、Q29において、受熱量Qigに対する放熱量Qorhの比となる熱量比Rが算出される。この熱量比Rは、大きいほどラジエタ3により冷却水が冷却されている可能性が高いことを示すものとなる。Q29の後、Q30において、予測冷却水温度がサーモスタット5の設定開弁温度以下でこの開弁温度付近に設定された所定温度(例えば76度C)よりも大きいか否かが判別される。このQ30の判別でNOのときは、Q22へ戻る。
【0025】
Q30の判別でYESのときは、図5のQ41へ移行する。Q41では、エンジン始動時の実際の冷却水温度に基づいて、故障判定用のしきい値α1が設定される。この後、Q42において、前記熱量比Rが、判定しきい値α1よりも大きいか否かが判別される。このQ42の判別でYESのときは、Q43において、開弁故障であると判定され、Q44において、警報器11が作動される。
【0026】
Q42の判別でNOのときは、Q45において、エンジン始動時の実際の冷却水温度に基づいて、正常判定用のしきい値α2が設定される(α1>α2)。この後、Q46において、熱量比Rが判定しきい値α2よりも小さいか否かが判別される。このQ46の判別でYESのときは、Q47において、開弁故障が発生していない正常であると判定される。Q46の判別でNOのときは、開弁故障発生か正常か正確に判定できないときであるとして、Q48において、判定不能であると判定される。
【0027】
なお、前述したエンジン始動時の実際の冷却水温度に基づく判定しきい値α1,α2の設定は、図3におけるQ5の場合と同じ意味からなされる(冷却水の温度上昇度合いが、制御開始時の冷却水温度に応じて変化されることを補償する)。また、前述した放熱量Qorhと受熱量Qigと算出手法については、図6に示されるさらに別の制御例を説明した後に、詳述する。
【0028】
図6は、制御ユニットUによるさらに別の故障判定手法を示すもので、図3の故障判定手法と図4、図5の故障判定手法とを共に有するものとなっており、特許請求の範囲における請求項5に対応したものとなっている。なお、以下の説明で、図3での故障判定手法をA方式診断と称し、図4、図5の故障判定手法をB診断方式と称してある。
【0029】
まず、図6のQ51において、A方式の故障診断が終了しているか否かが判別される。このQ51の判別でYESのときは、Q52において、A方式での故障判定が終了していることを示すべくフラグAが1にセットされる。Q52の後は、Q54において、A方式での故障判定の結果が「正常」であるか否かが判別される。このQ54の判別でNOのときは、Q58において、最終的に故障(開弁故障)であると判定される。
【0030】
前記Q51の判別でNOのときは、Q53において、フラグAが0にリセットされた後、Q55に移行される。また、Q54の判別でYESのときもQ55に移行される。このQ55では、B方式での故障判定が終了しているか否かが判別される。Q55の判別でNOのときは、Q51へ戻る。また、Q55の判別でYESのときは、Q56において、B方式での故障判定の結果が「正常」であるか否かが判別される。このQ56の判別でNOのときは、Q58において、最終的に故障(開弁故障)であると判定される。
【0031】
Q56の判別でYESのときは、Q57において、フラグAが1であるか否かが判別される。このQ57の判別でNOのときは、Q51へ戻る。Q57の判別でYESのときは、Q59において、最終的に正常であると判定される。このように、図6の制御例では、A方式およびB方式での故障判定の結果が共に正常であるときのみ最終的に正常であると判定し、少なくとも一方の診断方式の結果が故障であれば最終的に故障であると判定するようになっている。
【0032】
次に、図4、図5の制御例で用いた放熱量Qorhと受熱量Qigとの熱量比Rについて説明するが、後述のようにして得られる式(16)に示すように、上記放熱量Qorhは、予測冷却水温度と実際の冷却水温度とに基づいて算出され、受熱量Qigはエンジン1の運転状態を示す運転パラメータに基づいて算出される。
【0033】
まず、冷却水へ流入する単位時間あたりの熱量の代数和は、冷却水の熱容量と単位時間あたりの温度上昇率との積に比例する。この関係を図1に示す冷却系モデルに適用することによって、次式(1)のような微分形式(冷却系熱モデルの基本式)が得られる。
【0034】
【数1】
【0035】
ただし、
C :冷却水の比熱[Kcal/Kg・K]
M :冷却水の質量[Kg]
θe :冷却水の温度[K]
qig:燃焼ガスから冷却水へ伝熱する単位時間当たりの熱量[Kcal/s]
qoe:エンジン表面から雰囲気中へ伝熱する単位時間当たりの熱量[Kcal/s]
qor:ラジエータ表面から雰囲気中へ伝熱する単位時間当たりの熱量[Kcal/s]
qoh:ヒータ・コア表面から雰囲気中へ伝熱する単位時間当たりの熱量[Kcal/s]
【0036】
エンジン1の燃焼ガスから冷却水へ伝熱する単位時間あたりの熱量および総熱量は、供給された燃料のうち燃焼に寄与した燃料の発熱量に基づき、次式(2)にしたがって求めることができる。
【0037】
【数2】
【0038】
ただし、
Rc :燃焼ガスの供給熱量のうち冷却水へ伝熱する熱量の割合
ηg :燃焼ガスの発熱量のうち燃焼ガス温度の上昇に寄与する割合
γ :γ=λ(λ≧1のとき),γ=1(λ<1のとき)
λ :燃焼ガスの空気過剰率
gf :単位時間当たりの燃料供給量[Kg/s]
Hu :燃料の低発熱量[Kcal/Kg]
【0039】
エンジン表面、ラジエタ表面、ヒータコア表面から雰囲気分中へ伝熱する単位時間あたりの熱量および総熱量は、エンジン表面については式(3)に示すように、ラジエタ表面については式(4)に示すように、ヒータコア表面についていは式(5)に示すように表すことができる。
【0040】
【数3】
【0041】
ただし、
koe:エンジン表面から雰囲気中への熱伝導度
vs:車速[Km/h]
θae:エンジン表面の雰囲気温度[K]
【0042】
【数4】
【0043】
ただし、
kor:ラジエータ表面から雰囲気中への熱伝導度
θar:ラジエータの雰囲気温度[K]
【0044】
【数5】
【0045】
ただし、
koh:ヒータ・コア表面から雰囲気中への熱伝導度
voh:ヒータ・コアを通過する雰囲気の流速[Km/h]
θah:ヒータ・コア表面の雰囲気温度[K]
【0046】
式(3)〜(5)をしき(1)に代入することによって、次式(6)の微分形式を得ることができる。
【0047】
【数6】
【0048】
ここで、実用化に際して、サーモスタットの閉弁領域において開弁故障を検出することが目的であることから、簡単のために冷却系熱モデルはサーモスタットの開弁温度以下を対象とする。また、現在の車両システムでは、θae、θar、θah、vohに対する入力情報が存在しない。そこで、θae、θar、θahをそれぞれ、吸入空気の温度θiaに置き換えるものとする。また、koh(voh)を、voh=0における定数項とそれからの増分に分けて次式(7)のように置くと、各式(8)〜(10)のようになる。
【0049】
【数7】
【0050】
【数8】
【0051】
【数9】
【0052】
【数10】
【0053】
したがって、式(6)より次式(11)が得られる。
【0054】
【数11】
【0055】
現在、サーモスタット5が正常に作動しているかどうかが未知、すなわちqorhが未知であるとする。このときの冷却水温度をセンサS1で検出された実際の冷却水温度と置くと(θe=θea)、式(11)より、次式(12)が得られる。
【0056】
【数12】
【0057】
次に、サーモスタット5が正常に作動し、かつ暖房用のブロアファンが作動していないと仮定した場合の冷却水温度を未知数としてθe=θepとする。この場合、ラジエタ3への経路は切り離されていると考えて、qorh=Qorh=0と置くことができるため、式(11)より、次式(13)が得られる。
【0058】
【数13】
【0059】
式(13)から式(12)を引き、qorhについて整理すると、次式(14)が得られる。
【0060】
【数14】
【0061】
式(14)の両辺を積分すると、次式(15)のようになる。
【0062】
【数15】
【0063】
したがって、QorhのQigに対する熱量比Rは、式(15)、式(2)により、次式(16)に示すようになる。
【0064】
【数16】
【0065】
上記式(16)において、分子における左辺は、現在の予測冷却水温度と実際の冷却水温度との偏差に関する項であり、分子における右辺は、上記両温度の偏差の積算値に関する項(車速を乗算した値の積算値)となる。このように、予測冷却水温度と実際の冷却水温度とに基づいて、放熱量Qorhを算出することが可能になる。そして、上記熱量比Rが大きいほど放熱量Qorhが大きいということで、ラジエタ3からの放熱(サーモスタット5の開弁)が想定される。
【0066】
以上実施形態について説明したが、フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)あるいはセンサやスイッチ等の各種部材は、その機能の上位表現に手段の名称を付して表現することができる。また、フロ−チャ−トに示す各ステップ(ステップ群)の機能は、制御ユニット(コントローラ)内に設定された機能部の機能として表現することもできる(機能部の存在)。勿論、本発明の目的は、明記されたものに限らず、実質的に好ましいあるいは利点として表現されたものを提供することをも暗黙的に含むものである。さらに、本発明は、故障判定方法として表現することも可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】エンジン冷却系統の一例を示す図。
【図2】故障判定を行う制御系統を示す図。
【図3】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図4】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図5】本発明の制御例を示すフローチャート。
【図6】本発明の制御例を示すフローチャート。
【符号の説明】
1:エンジン
3:ラジエタ
5:サーモスタット
10:ポンプ
S1:水温センサ
S2:吸入空気量検出センサ
S3:吸気温度検出センサ
S4:車速センサ
U:制御ユニット[0001]
BACKGROUND OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermostat failure diagnosis apparatus in an engine cooling system.
[0002]
[Prior art]
In the engine cooling water system, a radiator and a thermostat (thermostat valve) are provided. This thermostat is opened and closed according to the temperature of the cooling water, and is opened when the cooling water of the engine is at a predetermined temperature (for example, 80 degrees C) or more, and the cooling water circulates through the radiator by this valve opening. The cooling water is cooled by the radiator. Further, when the temperature of the cooling water is lower than the predetermined temperature, the thermostat is closed, and by this closing, the cooling water flows by bypassing the radiator so that the temperature of the cooling water can be increased rapidly. Yes.
[0003]
When the engine is started from a cold state with a valve opening failure that has occurred with the thermostat open, the temperature rises quickly because the coolant circulates in the radiator. Therefore, it is not preferable for promptly ensuring stable operation of the engine, and it is not preferable for fuel consumption and exhaust gas countermeasures.
[0004]
In order to determine the valve opening failure of the thermostat, Japanese Patent Application Laid-Open No. 10-184433 discloses that the cooling water is cooled by a radiator when the actual temperature of the cooling water after a predetermined time has elapsed from the start of the engine is lower than the predetermined temperature. Therefore, what is determined as a valve opening failure of the thermostat is disclosed.
[0005]
[Problems to be solved by the invention]
However, in the above-mentioned publication, after the engine is started, when the engine heat generation amount such as idle operation is extremely small for a long time, the cooling water temperature does not increase so much even if cooling by the radiator is not performed. Even if the thermostat does not have a valve opening failure, a situation in which it is erroneously determined that the thermostat is a valve opening failure is likely to occur.
[0006]
In order to prevent the erroneous determination as described above, the present applicant predicts the coolant temperature from the operating state of the engine, and when the predicted temperature reaches a predetermined temperature, the present applicant detects it with the predicted temperature and the temperature sensor so far. A system has been developed that determines that a valve opening failure occurs when the integrated value of the difference from the actual cooling water temperature exceeds a predetermined value. According to this determination method, even when an operation state in which the engine heat generation amount such as idling or the like is small continues for a long time, the time until the predicted temperature reaches the predetermined temperature becomes long. Will be.
[0007]
However, in the determination method using the predicted temperature described above, when an operation state in which the coolant temperature rapidly increases, such as when the acceleration state on a steep uphill continues for a long time immediately after the engine starts, The predicted temperature reaches the predetermined temperature in a short time, and as a result, even if a valve opening failure occurs, the integrated value may become small, and it may be erroneously determined that the thermostat is normal. It has been found.
[0008]
The present invention has been made in view of the circumstances as described above. The purpose of the present invention is to prevent erroneous determination of a valve opening failure when the cooling water temperature does not rise quickly, and to reduce the cooling water temperature. The present invention provides a thermostat failure diagnosis device in an engine cooling system in which a valve opening failure of a thermostat can be determined with higher accuracy by preventing erroneous determination of being normal when the temperature rises rapidly There is.
[0009]
[Means for Solving the Problems]
In order to achieve the above object, the present invention provides the following as a first solution. That is, as described in
A thermostat that opens when the cooling water of the engine exceeds a predetermined temperature and circulates the cooling water to the radiator and closes when the cooling water is lower than the predetermined temperature to bypass the cooling water to the radiator. In the thermostat failure diagnosis device in the engine cooling system equipped,
Water temperature detecting means for detecting the actual temperature of the cooling water;
High load detection means for detecting the high load operation state of the engine;
High-speed detection means for detecting a high-speed driving state of the vehicle;
When the high load operation state and the high speed operation state are continuously detected for a predetermined time or more, the thermostat is opened when the actual water temperature detected by the water temperature detecting means is lower than the valve opening temperature of the thermostat. A failure determination means for determining a valve failure;
As provided.
[0010]
In order to achieve the above object, the present invention provides the second solution as follows. That is, as described in
A thermostat that opens when the cooling water of the engine exceeds a predetermined temperature and circulates the cooling water to the radiator and closes when the cooling water is lower than the predetermined temperature to bypass the cooling water to the radiator. In the thermostat failure diagnosis device in the engine cooling system equipped,
First failure determination means for determining a valve opening failure of the thermostat based on the actual cooling water temperature detected by the water temperature detection means;
Second failure determination means for determining a valve opening failure of the thermostat based on the relationship between the actual cooling water temperature detected by the water temperature detection means and the predicted temperature of the cooling water calculated from the operating parameter indicating the operating state of the engine. When,
Equipped with a,
When the first failure determining means detects that the engine is operating at a high load and the vehicle is operating at a high speed for a predetermined time or longer, the actual water temperature detected by the water temperature detecting means is the valve opening of the thermostat. It is assumed that when the temperature is lower than the temperature, the thermostat is determined to be a valve opening failure . A preferred mode based on the above solution is as described in
[0011]
【The invention's effect】
According to the first aspect of the present invention, it is one of the failure determination conditions that the high load operation state in which the heat generation amount of the engine becomes large is continued for a predetermined time or more, that is, when the cooling water temperature does not rise promptly. Since the determination of the valve opening failure is not performed, a situation in which the valve opening failure is erroneously determined is prevented. In addition, it has been set as another condition for failure determination that a high-speed operation state in which the engine is appropriately cooled by the driving wind continues for a predetermined time or more, that is, the cooling water temperature rises too rapidly. Since the failure determination is not performed even in the operation state where the operation is performed, a situation in which it is erroneously determined to be normal although it is a valve opening failure is prevented. In this way, it is possible to prevent an erroneous determination of a valve opening failure or an erroneous determination that it is normal, and to determine whether or not the valve opening failure is more accurate.
[0012]
According to
[0013]
As the first failure determination means, more specific one corresponding to claim 1 is provided.
According to the third aspect , even when a failure occurs in which the valve opening temperature at which the thermostat is actually opened is shifted to a temperature lower than a predetermined temperature set in advance, it is determined that the valve opening failure has occurred. It becomes possible. That is, in the second failure determination means, when the valve opening temperature is shifted to the low temperature side as described above, there is a possibility that it is erroneously determined to be normal because the integrated value becomes small as a whole. It is possible to properly determine when there is a valve opening failure by the first failure determination means.
According to the fourth aspect of the present invention, it is preferable to reduce the chance of erroneously determining that the valve is malfunctioning but is normal.
[0014]
DETAILED DESCRIPTION OF THE INVENTION
In FIG. 1,
[0015]
The thermostat 5 is composed of a three-way switching valve. The thermostat 5 is opened when the temperature of the cooling water flowing through the thermostat 5 reaches a predetermined valve opening temperature (for example, 80 degrees C), and the
[0016]
FIG. 2 shows a control system for detecting (determining) a valve opening failure of the thermostat 5, and U in the figure is a control unit (controller) configured using a microcomputer. The control unit U receives signals from various sensors S1 to S4. The sensor S1 detects the cooling water temperature, and is attached to the
[0017]
Next, a method for determining a failure by the control unit U will be described with reference to the flowchart of FIG. 3. FIG. 3 corresponds to claim 1 in the scope of claims. In the following description, Q indicates a step. First, when the
[0018]
After Q4, in Q5, a predetermined time CH to be counted by the timer is set based on the coolant temperature at the time of engine start. In other words, even when the engine and the vehicle are in the same operating state, the process of Q5 is performed to compensate for the difference in the degree of the temperature rise gradient of the coolant depending on the coolant temperature at that time. After Q5, it is determined in Q6 whether or not the timer count value is larger than a predetermined value (predetermined time) CH. Initially, the determination in Q6 is NO, and the process returns to Q2.
[0019]
If YES in Q6, it is determined in Q7 whether the predicted temperature of the cooling water predicted from the operating state of the
[0020]
If YES in Q7, it is determined in Q8 whether or not the actual cooling water temperature detected by the sensor S1 is smaller (lower) than the predetermined temperature β. The predetermined temperature β is a temperature equal to or lower than the set valve opening temperature of the thermostat 5 and is set corresponding to the predetermined temperature α. In the embodiment, the predetermined temperature β is set to a temperature in the vicinity of the valve opening temperature and slightly lower than α (β can be set to the same value as α). If NO in Q8, the actual cooling water temperature is sufficiently high, that is, when the cooling by the
[0021]
If NO in Q2 or NO in Q3, the timer count value is reset to 0 in Q12. Thus, the valve opening failure determination is set to be performed when a high load and a high vehicle speed continue for a predetermined time CH or more. Note that the continuation of the high load and the high vehicle speed state for a predetermined time or more includes the case where the total time obtained by integrating the high load and the high vehicle speed is the predetermined time (the high load and the high vehicle speed state is intermittent. (In this case, step Q12 in FIG. 3 is unnecessary).
[0022]
The flowcharts of FIGS. 4 and 5 show another failure determination method by the control unit U, and correspond to claim 2 in the claims. First, in Q21 of FIG. 4, the predicted coolant temperature is set as the actual coolant temperature detected by the sensor S1. Thereafter, in Q22, the predicted coolant temperature is calculated. This calculation is performed using the engine load, the vehicle speed, and the intake air temperature as parameters, as in the calculation of the predicted coolant temperature in FIG.
[0023]
In Q23, it is determined whether or not the actual coolant temperature at the time of starting the engine is a considerably low temperature, for example, 35 degrees C. If the determination in Q23 is NO, it is determined that the failure is not determined, and the process is terminated as it is. If YES in Q23, it is determined in Q24 whether or not the temperature deviation obtained by subtracting the intake air temperature from the actual coolant temperature at the time of starting the engine is a sufficiently small value such as 10 degrees C. Even when the determination in Q25 is NO, it is determined that the failure is not determined, and the processing is terminated as it is. In other words, the processing of Q23 and Q25 is a processing for not performing the failure determination when the
[0024]
If YES in Q25, it is determined in Q26 whether or not the predicted cooling water temperature is higher than a predetermined temperature set at a medium temperature such as 40 degrees C. If NO in Q26, the process returns to Q22. If YES in Q26, the heat release amount Qorh from the
[0025]
If YES in Q30, the process proceeds to Q41 in FIG. In Q41, a failure determination threshold value α1 is set based on the actual coolant temperature when the engine is started. Thereafter, in Q42, it is determined whether or not the heat ratio R is larger than a determination threshold value α1. If the determination in Q42 is YES, it is determined in Q43 that there is a valve opening failure, and the alarm device 11 is activated in Q44.
[0026]
When the determination in Q42 is NO, in Q45, a normal determination threshold value α2 is set based on the actual coolant temperature at the time of engine start (α1> α2). Thereafter, in Q46, it is determined whether or not the heat quantity ratio R is smaller than the determination threshold value α2. If YES in Q46, it is determined in Q47 that the valve opening failure has not occurred. When the determination in Q46 is NO, it is determined that the determination is impossible in Q48 because it is a time when it is impossible to accurately determine whether the valve opening failure has occurred or is normal.
[0027]
The determination threshold values α1 and α2 based on the actual cooling water temperature at the time of starting the engine are set in the same meaning as in Q5 in FIG. To compensate for changes in the coolant temperature). Further, the heat radiation amount Qorh, the heat reception amount Qig, and the calculation method described above will be described in detail after describing yet another control example shown in FIG.
[0028]
FIG. 6 shows still another failure determination method by the control unit U, which has both the failure determination method of FIG. 3 and the failure determination method of FIG. 4 and FIG. This corresponds to claim 5. In the following description, the failure determination method in FIG. 3 is referred to as A method diagnosis, and the failure determination method in FIGS. 4 and 5 is referred to as B diagnosis method.
[0029]
First, in Q51 of FIG. 6, it is determined whether or not the A-type failure diagnosis has been completed. When the determination in Q51 is YES, in Q52, the flag A is set to 1 to indicate that the failure determination in the A method has been completed. After Q52, it is determined in Q54 whether or not the result of the failure determination in the A method is “normal”. If the determination in Q54 is NO, it is finally determined in Q58 that there is a failure (valve opening failure).
[0030]
If the determination in Q51 is NO, the flag A is reset to 0 in Q53, and then the process proceeds to Q55. Also, when the determination in Q54 is YES, the process proceeds to Q55. In Q55, it is determined whether or not the failure determination by the B method has been completed. If NO in Q55, the process returns to Q51. If YES in Q55, it is determined in Q56 whether or not the result of the failure determination in the B method is “normal”. If the determination in Q56 is NO, it is finally determined in Q58 that there is a failure (valve opening failure).
[0031]
If YES in Q56, it is determined in Q57 whether the flag A is 1 or not. If the answer to Q57 is NO, the process returns to Q51. If the determination in Q57 is YES, it is finally determined in Q59 that it is normal. As described above, in the control example of FIG. 6, it is determined that the result is normal only when both the results of the failure determination in the A method and the B method are normal, and the result of at least one of the diagnosis methods is a failure. In the end, it is determined that there is a failure.
[0032]
Next, the heat quantity ratio R between the heat radiation amount Qorh and the heat reception amount Qig used in the control examples of FIGS. 4 and 5 will be described. As shown in the equation (16) obtained as described later, the heat radiation amount R Qorh is calculated based on the predicted cooling water temperature and the actual cooling water temperature, and the amount of heat received Qig is calculated based on an operating parameter indicating the operating state of the
[0033]
First, the algebraic sum of the amount of heat per unit time flowing into the cooling water is proportional to the product of the heat capacity of the cooling water and the rate of temperature increase per unit time. By applying this relationship to the cooling system model shown in FIG. 1, a differential form (basic expression of the cooling system thermal model) such as the following expression (1) is obtained.
[0034]
[Expression 1]
[0035]
However,
C: Specific heat of cooling water [Kcal / Kg · K]
M: Mass of cooling water [Kg]
θe: Cooling water temperature [K]
qig: Amount of heat per unit time [Kcal / s] transferred from combustion gas to cooling water
qoe: Heat amount per unit time [Kcal / s] transferred from the engine surface to the atmosphere
qor: heat quantity per unit time [Kcal / s] transferred from the radiator surface to the atmosphere
qoh: Heat quantity per unit time [Kcal / s] transferred from the heater core surface to the atmosphere
[0036]
The amount of heat per unit time and the total amount of heat transferred from the combustion gas of the
[0037]
[Expression 2]
[0038]
However,
Rc: the ratio of the amount of heat transferred to the cooling water in the supply amount of combustion gas ηg: the ratio of the calorific value of the combustion gas that contributes to the increase in combustion gas temperature γ: γ = λ (when λ ≧ 1), γ = 1 (when λ <1)
λ: excess air ratio of combustion gas gf: fuel supply amount per unit time [Kg / s]
Hu: Low calorific value of fuel [Kcal / Kg]
[0039]
The amount of heat per unit time and the total amount of heat transferred from the engine surface, radiator surface, and heater core surface into the atmosphere are as shown in Equation (3) for the engine surface and as shown in Equation (4) for the radiator surface. Furthermore, the heater core surface can be expressed as shown in Equation (5).
[0040]
[Equation 3]
[0041]
However,
koe: thermal conductivity from the engine surface to the atmosphere vs: vehicle speed [Km / h]
θae: Engine surface ambient temperature [K]
[0042]
[Expression 4]
[0043]
However,
kor: thermal conductivity from the surface of the radiator to the atmosphere θar: atmosphere temperature of the radiator [K]
[0044]
[Equation 5]
[0045]
However,
koh: Thermal conductivity from the heater core surface to the atmosphere voh: Flow velocity of the atmosphere passing through the heater core [Km / h]
θah: Heater core surface ambient temperature [K]
[0046]
By substituting the equations (3) to (5) into the threshold (1), the differential form of the following equation (6) can be obtained.
[0047]
[Formula 6]
[0048]
Here, in practical use, the purpose is to detect a valve opening failure in the closed region of the thermostat, and therefore, for the sake of simplicity, the cooling system thermal model is intended to be below the valve opening temperature of the thermostat. In the current vehicle system, there is no input information for θae, θar, θah, and voh. Therefore, θae, θar, and θah are replaced with the intake air temperature θia, respectively. Further, when koh (voh) is divided into a constant term and an increment from voh = 0 as shown in the following equation (7), equations (8) to (10) are obtained.
[0049]
[Expression 7]
[0050]
[Equation 8]
[0051]
[Equation 9]
[0052]
[Expression 10]
[0053]
Therefore, the following equation (11) is obtained from the equation (6).
[0054]
[Expression 11]
[0055]
Assume that it is unknown whether the thermostat 5 is operating normally, that is, qorh is unknown. When the cooling water temperature at this time is set to the actual cooling water temperature detected by the sensor S1 (θe = θea), the following equation (12) is obtained from the equation (11).
[0056]
[Expression 12]
[0057]
Next, θe = θep is defined as the unknown cooling water temperature when it is assumed that the thermostat 5 is operating normally and the blower fan for heating is not operating. In this case, since the route to the
[0058]
[Formula 13]
[0059]
When Expression (12) is subtracted from Expression (13) and arranged for qorh, the following Expression (14) is obtained.
[0060]
[Expression 14]
[0061]
When both sides of the equation (14) are integrated, the following equation (15) is obtained.
[0062]
[Expression 15]
[0063]
Therefore, the calorie ratio R of Qorh to Qig is expressed by the following equation (16) from the equations (15) and (2).
[0064]
[Expression 16]
[0065]
In the above equation (16), the left side in the numerator is a term relating to the deviation between the current predicted cooling water temperature and the actual cooling water temperature, and the right side in the numerator is a term relating to the integrated value of the deviation between the two temperatures (the vehicle speed is (The integrated value of the multiplied values). In this way, the heat dissipation amount Qorh can be calculated based on the predicted cooling water temperature and the actual cooling water temperature. And since the heat radiation amount Qorh is larger as the heat quantity ratio R is larger, heat radiation from the radiator 3 (opening of the thermostat 5) is assumed.
[0066]
Although the embodiment has been described above, each step (step group) shown in the flowchart or various members such as a sensor and a switch can be expressed by adding the name of means to the high-level expression of the function. Further, the function of each step (step group) shown in the flowchart can be expressed as a function of a function unit set in the control unit (controller) (existence of a function unit). Of course, the object of the present invention is not limited to what is explicitly stated, but also implicitly includes providing what is substantially preferred or expressed as an advantage. Furthermore, the present invention can also be expressed as a failure determination method.
[Brief description of the drawings]
FIG. 1 is a diagram showing an example of an engine cooling system.
FIG. 2 is a diagram illustrating a control system that performs failure determination.
FIG. 3 is a flowchart showing a control example of the present invention.
FIG. 4 is a flowchart showing a control example of the present invention.
FIG. 5 is a flowchart showing a control example of the present invention.
FIG. 6 is a flowchart showing a control example of the present invention.
[Explanation of symbols]
1: Engine 3: Radiator 5: Thermostat 10: Pump S1: Water temperature sensor S2: Intake air amount detection sensor S3: Intake air temperature detection sensor S4: Vehicle speed sensor U: Control unit
Claims (4)
冷却水の実際の温度を検出する水温検出手段と、エンジンの高負荷運転状態を検出する高負荷検出手段と、
車両の高速運転状態を検出する高速検出手段と、
前記高負荷運転状態かつ高速運転状態が所定時間以上継続して検出されたときに、前記水温検出手段で検出される実際の水温が前記サーモスタットの開弁温度よりも低いときに、該サーモスタットが開弁故障であると判定する故障判定手段と、
を備えていることを特徴とするエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置。A thermostat that opens when the cooling water of the engine exceeds a predetermined temperature and circulates the cooling water to the radiator and closes when the cooling water is lower than the predetermined temperature to bypass the cooling water to the radiator. In the thermostat failure diagnosis device in the engine cooling system equipped,
Water temperature detecting means for detecting the actual temperature of the cooling water, high load detecting means for detecting the high load operation state of the engine,
High-speed detection means for detecting a high-speed driving state of the vehicle;
When the high load operation state and the high speed operation state are continuously detected for a predetermined time or more, the thermostat is opened when the actual water temperature detected by the water temperature detecting means is lower than the valve opening temperature of the thermostat. Failure determination means for determining a valve failure;
A failure diagnosis device for a thermostat in an engine cooling system, comprising:
水温検出手段で検出された実際の冷却水温度に基づいて前記サーモスタットの開弁故障を判定する第1故障判定手段と、
水温検出手段で検出された実際の冷却水温度とエンジンの運転状態を示す運転パラメータから算出される冷却水の予測温度との関係に基づいて前記サーモスタットの開弁故障を判定する第2故障判定手段と、
を備え、
前記第1故障判定手段が、エンジンの高負荷運転状態かつ車両の高速運転状態が所定時間以上継続して検出されたときに、前記水温検出手段で検出される実際の水温が前記サーモスタットの開弁温度よりも低いときに、該サーモスタットが開弁故障であると判定するように設定されている、
ことを特徴とするエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置。A thermostat that opens when the cooling water of the engine exceeds a predetermined temperature and circulates the cooling water to the radiator and closes when the cooling water is lower than the predetermined temperature to bypass the cooling water to the radiator. In the thermostat failure diagnosis device in the engine cooling system equipped,
First failure determination means for determining a valve opening failure of the thermostat based on the actual cooling water temperature detected by the water temperature detection means;
Second failure determination means for determining a valve opening failure of the thermostat based on the relationship between the actual cooling water temperature detected by the water temperature detection means and the predicted temperature of the cooling water calculated from the operating parameter indicating the operating state of the engine. When,
Equipped with a,
When the first failure determination means detects the high load operation state of the engine and the high speed operation state of the vehicle continuously for a predetermined time or more, the actual water temperature detected by the water temperature detection means is the valve opening of the thermostat. Set to determine that the thermostat is a valve opening failure when the temperature is lower,
A thermostat failure diagnosis apparatus in an engine cooling system.
前記第2故障判定手段が、
前記予測温度と実際の温度との関係に基づいて前記ラジエタからの放熱量を算出する放熱量算出手段と、
エンジンの運転パラメータに基づいて、冷却水のエンジンからの受熱量を算出する受熱量算出手段と、
を備えて、前記放熱量と受熱量との関係から前記サーモスタットの開弁故障を判定するように設定されている、
ことを特徴とするエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置。In claim 2 ,
The second failure determination means is
A heat dissipation amount calculating means for calculating a heat dissipation amount from the radiator based on the relationship between the predicted temperature and the actual temperature;
A heat receiving amount calculating means for calculating a heat receiving amount from the engine of the cooling water based on an engine operating parameter;
And is set to determine a valve opening failure of the thermostat from the relationship between the heat radiation amount and the heat reception amount,
A thermostat failure diagnosis apparatus in an engine cooling system.
前記第1故障判定手段と第2故障判定手段との少なくとも一方で開弁故障と判定されたときは、最終的に開弁故障であると判定され、
前記第1故障判定手段と第2故障判定手段との両方でそれぞれ正常判定されたときのみ、最終的に正常であると判定されるように設定されている、
ことを特徴とするエンジン冷却系におけるサーモスタットの故障診断装置。 In claim 2 or claim 3,
When at least one of the first failure determination means and the second failure determination means is determined to be a valve opening failure, it is finally determined to be a valve opening failure,
It is set so that it is finally determined to be normal only when both the first failure determination means and the second failure determination means are determined to be normal.
A thermostat failure diagnosis apparatus in an engine cooling system.
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