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JP4302103B2 - 立体構造物の製造方法および製造装置 - Google Patents

立体構造物の製造方法および製造装置 Download PDF

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JP4302103B2 JP2005502766A JP2005502766A JP4302103B2 JP 4302103 B2 JP4302103 B2 JP 4302103B2 JP 2005502766 A JP2005502766 A JP 2005502766A JP 2005502766 A JP2005502766 A JP 2005502766A JP 4302103 B2 JP4302103 B2 JP 4302103B2
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Description

【技術分野】
本発明は、樹脂による立体構造物の製造方法に関し、特に柔軟性を有するにもかかわらず耐圧性に優れ、透水性や断熱性も有する立体構造物の簡便で生産性良く製造できる方法および装置に関する。
【背景技術】
従来は、樹脂シートの両面に突起を形成させた種々の立体構造物が提案されてきた(特公昭62−15330号、特公平5−12139号など)。しかしこれらは剛直で、特に厚み(立体構造物の高さ)が6mmを越えるものは特に剛直であり、製品として長尺巻きはできず、広い面積として使用を欲するシート材としての用途では使用できなかった。特公昭62−15330号による両面突起構造では、突起の先端部が平らであり、しかもその部分が変形されていないために厚みが厚く、圧縮強度になんら寄与しておらず、貴重な資源を無駄にする贅肉にすぎないばかりでなく、本構造体を他のシート等と接合するために熱溶融する場合は、溶融のための熱エネルギーが多く必要であり、その過剰の熱で、突起している側面部分の薄い肉厚部分を変形してしまう欠点もあった。また圧縮強度は、突起の数が多いほど強いので、引例のような先端部の平らな構造を有することは、突起の数を増やすことができず、その点からも好ましくない。また、突起の先端部が平らであることは、そのことだけでも柔軟性を失う構造となっている。
また、特公平5−12139号のように、両面エンボスロールで樹脂シートの両面に突起を有する立体構造物を製造することは、抜き角度が必要なため、成形上でエンボスのピッチや高さに制限を受け、密なピッチで針状の高い突起を有する構造にすることができない。また、針状の突起は、放電加工によっても製造することができる(特開2000−17091号)が、山の高さの絶対値を大きくすることができず、また、一回の加工で片面にしか加工できないので、両面突起の構造とすることは困難である。樹脂の両面突起の立体構造物は、型による成型でも製造できるが、型の抜きが必要なため、深い谷のものは製造できないばかりでなく、先端の細い部分まで樹脂が廻らない場合もあり、また連続シートは成型できず、型が複雑なため型代が高く、コスト高であることも欠点となる。
また、柔軟なカサ高構造物としてポリエチレン樹脂からなる発泡シートがあるが、高カサ高に発泡したものは、圧縮に弱く、透水性に乏しく、表面の摩耗にも弱く、機械的寸法安定性を有しない。したがって、柔軟性があってカサ高で、通気性や透水性があり、圧縮に強く、機械的寸法安定性のある素材が求められていた。また、発泡ポリエチレンシートでも、厚みが5mm以上のものを作るのは技術的に難しく、それ以上のものは、厚い発泡シートを貼り合わせて使用しているが、二度手間であり、また、貼り合わせ工程では、中間部が冷却するのは時間を要しラインスピードが上がらないので生産効率が悪い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来技術の欠点を除くためになされたものであって、その目的とするところは、カサ高で柔軟性を有するにもかかわらず耐圧性を有する立体構造物の製造方法を提供することにある。また、他の目的は、本発明は立体構造物を、連続的にコスト安く製造できる方法及び装置を提供することにある。また、他の目的は、カサ高性や断熱性を有するにもかかわらず、表面摩耗強度や機械的寸法安定性があり、発泡シート以上の特性を有するカサ高のシートを提供することにある。更に他の目的は、通気性や透水性があり、柔軟であるが圧縮強度や機械的寸法安定性のあるフィルター、ドレイン材、断熱材、緩衝材を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
本発明は上記の目的を達成するためになされたものであって、本発明の製造方法としての特徴は、次の通りである。本発明は、樹脂の荷重たわみ温度以上である流動性を有している樹脂シートに対して、突起の高さhが3mm以上であって、hの1/2における幅wが、h≧3wである多数の針状型が基板と一体化されており、その基板の一対が互いに向かい合って設置され、その一対の基板の針状型が互いに樹脂シートに貫入するように平行に動くことにより、樹脂シートが変形され、変形状態を維持した状態で冷却または凝固する立体構造物の製造方法に関する。また本発明は、前記基板が多数連結されて、連続循環するコンベア上に保持され、そのコンベアが一対向き合って設置されており、その一対の連続循環するコンベア間に荷重たわみ温度以上に加熱された前記樹脂シートが連続的に挿入され、その樹脂シートに対して、基板が垂直方向に移行させられる機構により、前記一対の針状型がその樹脂シートに貫入されることによって、その樹脂シートの両面に突起を形成させることを特徴とする立体構造物の製造方法に関する。また本発明は、前記立体構造物の両面の針状突起の先端が、加熱ロールを押し当てられることによって針状突起の先端に孔を生じさせる立体構造物の製造方法に関する。
さらに本発明の製造装置としての特徴は次の通りである。本発明は、前記コンベアがキャタピラによって構成されており、そのキャタピラに立てられた垂直ピンに前記基板が保持され、その基板の側面に設けられた基板支持ピンが溝カムに案内されることによって、前記基板の垂直移行が行われるように構成されている立体構造物の製造装置に関する。また本発明は、前記基板の表面に離型板が設けられ、その離型板の側面に設けられた離型板支持ピンが溝カムに案内されることによって、その基板と成形された樹脂シートが連続的に離されていくように構成されている立体構造物の製造装置に関する。さらに本発明は、前記コンベアにピンが垂直に立てられていることにより、前記基板に設けられた穴にそのピンが通されることによって基板がコンベアに保持され、その基板の垂直移行は、コンベアの両側面に設けられた架台により行うように構成されている立体構造物の製造装置に関する。
本発明による立体構造物は、樹脂シートの両面に、針状突起が形成されていることを特徴とする。樹脂は、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン、ポリカーボネート、ナイロン6やナイロン66等のポリアミド樹脂、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル、ポリ塩化ビニル等のビニル樹脂、ポリスチレン系樹脂、アクリル酸メチル樹脂等のアクリル樹脂、テトラフロロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール系樹脂等の熱可塑性樹脂が好んで使用される。さらに、エポキシ樹脂やフェノール樹脂、尿素樹脂等の熱硬化性樹脂であっても、加熱等によって、以下に示す荷重たわみ温度以上で流動性を示す樹脂であれば使用することができる。また、上記の樹脂は、単体で使用されるばかりでなく、ブレンド等により樹脂相互を組み合わせて使用することも出来、さらに可塑剤や充填剤、酸化防止剤、安定剤、滑剤等の添加剤等を加えて使用することもできる。本発明は、土木用等に使用されるので、ポリ乳酸系やポリブチレンサクシネート系等の生分解性樹脂や、ビニルケトン系ポリマー等の光分解性樹脂などの分解性樹脂も好ましい。また、本発明は柔らかい立体構造物をも目的としており、SBSやポリウレタン等の熱可塑性エラストマーも使用することができる。
本発明による立体構造物は、樹脂シートの両面に、その樹脂シートの一部が変形されることによって形成された針状突起を有するが、そのシートは、上記樹脂がシート状に成形されたものを意味する。シートは、厚みにおいて特に制限はなく、通常フィルムや膜と呼ばれるものも含むが、厚みは、好ましくは10μm以上であって2mm以下、さらに好ましくは50μm以上であって1mm以下、100μm以上であって0.5mm以下が最も好ましい。10μmに達しない場合や2mmを越える場合は、安定して成形することが困難だからである。
本発明による立体構造物は、樹脂シートの両面に、その樹脂シートの一部が変形されることによって形成された針状突起を有する立体構造物であることを特徴とする。両面に突起を有することにより、カサ高性を大きくでき、空隙の大きな構造とすることができ、断熱性も大きな構造とすることができるからである。また、このように両面に突起を有することにより、柔軟性も増すことができた。また、両面に突起を有する構造は、それらを長尺巻きする場合、上の層の突起と下の層の突起が入り組んで巻くことができるので、一層の厚みが厚いにもかかわらず、コンパクトに巻き上げることができる利点もある。また表裏対称な構造なので、樹脂シート等を両面に貼り合わせても反りが生じにくい。立体構造物とは、平面のシート状物の両側に突起を有する3次元的構造物であることを意味する。
本発明による立体構造物の針状の突起は、高さHが3mm以上であることを特徴とする。突起の高さHは、3mm以上であって、好ましくは200mm以下、さらに好ましくは5mm以上であって100mm以下であり、8mm以上であって50mm以下であることが最も好ましい。3mmに達しない場合は、本発明の立体構造としてのカサ高性を満足することができず、200mmを越える場合は、本発明の細長い突起を安定して製造するのに困難な場合がある。したがって、本発明による立体構造物は両面に突起を有するので、少なくとも6mm以上の厚みを有する構造体とすることができた。また、本発明の突起の高さHの1/2の位置における幅Wは、H≧2.5Wであることを特徴とする。Wに対して、高さHを大きくできることが本発明の特徴だからである。Wは、H≧2.5Wであって、好ましくはH≦100W、さらに好ましくはH≧3WであってH≦70W、H≧5WであってH≦50Wであることが最も好ましい。これらの範囲にすることにより、カサ高性や空隙率を大きくでき、さらに柔軟性のある構造とすることができるからである。なお、H<2.5Wの場合では、本発明の立体構造としてのカサ高性を満足することができず、H>100Wでは、本発明の細長い突起を安定して製造するのに困難な場合があるからである。なお、突起は必ずしも円錐状の対称的な形状のみを意味するものではなく、Wにおける断面が楕円や四角、三角等の種々の形状を有することもできる。この場合におけるWの値は、1/2Hにおける断面での最も小さい値を採用する。なお、HやWの測定は、ランダムに選んだ30点の突起を測定し、算術平均して求める。なお、上記の立体構造物の要件は、「もの」としての要件であり、下記に述べる製造方法や製造装置によって製造されるものは、必ずしも上記の全てを要件とはしない。
本発明による立体構造物における針状の突起の数は、主として本発明のWの値に依存するが、本発明は、突起の高さに比較してWが小さいことより、針状突起を数多く設けることができることを特徴とする。針状突起の数が多いことは、それだけ圧縮強度が大きいことを意味し、Wが小さくてHが大きいことは柔軟であることを意味するので、本発明による立体構造物は、柔軟ではあるが圧縮強度の大きい構造とすることができた。
本発明による立体構造物において、針状突起の先端は曲面を有することを特徴とし、その断面が曲率半径として5mm以下の曲線を有することが好ましく、さらに好ましくは0.01mmから2mm、0.1mmから1mmであることが最も好ましい。5mmを越える曲率半径では、先端部の変形が充分ではなく、まだ贅肉も多く、柔軟性も充分でない場合が多いからである。先端部の曲率半径を5mm以下とすることで、先端部分も変形されて、先端部の無駄な贅肉を減らし、また先端部の面積を小さくすることで柔軟性も増すこともでき、さらに先端部の面積を小さくすることで、突起の数を増やすことができる。
また、本発明による立体構造物の針状突起の先端を、平面とすることもできる。平面は、成形工程で形成してもよいが、立体構造物を成形後、先端を加熱・加圧等で平面化することもできる。本発明による立体構造物が、他のシート類と接着剤接合される場合のように、先端が平面であることにより接合面が増加して接合強度の向上が期待できる場合がある。この平面部は、原料樹脂シートの厚みを残してもよいが、厚みが変形されて、原料樹脂シートの厚みより小さくなっていることが好ましい。
本発明による立体構造物は、針状突起の先端部に孔を有する構造とすることができる。本発明は、両面に針状の突起を有するので、平面内では通気性や透水性が大きいが、平面を貫通するように、通気性や透水性が求められる場合がある。針状突起の先端部に孔を設けることにより、このような平面を貫通する通気性、透水性が確保でき、また、従来にない特異な構造を有する多孔性立体構造物とすることができた。突起の空間に繊維状物や他の充填物を満たして、多層に組み合わした本発明の構造体を貫通する形で通気や透水させることで、フィルター機能を持たすことができ、またそれらの繊維状物や充填物に反応助剤や触媒作用を持たすことで、汚水の浄化槽などの反応槽としても利用することができ、この場合は、反応時間が稼げる利点がある。これらの孔の形状や大きさは特に限定はなく、用途によって定められる。
これらの針状突起の先端の孔の作り方としては、機械的に突き破る方法や、装置の針状型で先端部が変形されている状態で、先端部のみを高温に加熱されたロール等で加熱する手段や、樹脂の突起が形成された後で、先端部分のみをスライスして除去する方式をとることもできる。高温に加熱されたロールを用いる場合は、ロールの温度は樹脂シートの融点や非晶性樹脂の場合は、ガラス転移温度以上が好ましく、樹脂の熱分解温度以上がさらに好ましい。
本発明による立体構造物は、針状突起の先端において、シート状物と接合されている構造物とすることができる。シート構造層物の内部に形成された空間で、断熱性を保つことができ、また寸法安定性がアップし、また針状突起の左右への動きを妨げるので、圧縮強度もアップする。接合するシート状物の種類は、本発明による立体構造物を形成させるシートと同様な樹脂シートばかりでなく、織物、編物、不織布、ネット、紙などの通気性や通水性を有する素材、耐熱性を要求される場合はアルミ箔等の金属やセラミック板等も使用することができる。樹脂シートでは穴あきフィルムが、通気性や透水性が要求される場合に好適である。通気性を有するシートを接合することにより、「呼吸する断熱ボード」とすることができた。また、空気は殆ど通さないが水蒸気は通り抜けることにより、結露防止性を有する立体構造物とすることができた。それにより、グラスウールのようにチクチクせず、また製品は、樹脂として再利用できるので、環境負荷が少ない。これらの場合における接合方法の例としては、樹脂シートの場合は、加熱溶融されている状態で立体構造物の針状突起の先端と接触して、針状突起の先端部を溶融している樹脂シートの熱容量で溶解して接合することができる。また、シート状物または立体構造物の先端に、ホットメルト接着剤やエマルジョン接着剤などの接着剤を塗布してから、接合接着することもできる。
本発明による立体構造物の空隙に繊維状物を充填することにより、フィルターまたはドレイン材等の機能を有する構造体とすることができる。本発明による立体構造物は、空隙が大きく、圧縮強度も大きいので、その空間に繊維状物の充填密度を小さく満たすことにより、通気性や透水性を損なう率の少ないフィルターやドレイン材等とすることができる。この場合において、前記の針状突起の先端において、シート状物と接合されている構造であることが特に好ましい。
本発明による立体構造物の製造方法の例として、樹脂の荷重たわみ温度以上であることにより流動性を有している樹脂シートに対して、多数の針状型が基板と一体化しており、その基板が一対互いに向かい合って設置されており、その一対の基板の針状型が、互いに樹脂シートに貫入するように平行に動くことにより樹脂シートを変形し、変形状態を維持した状態で、冷却または凝固することにより製造することができる。樹脂の荷重たわみ温度は、JISK7207により定められ、熱変形温度とも呼ばれる。本発明に使用される荷重たわみ温度においては、B法、即ち試験片に加える曲げ応力は、45.1N/cmである。樹脂の荷重たわみ温度以上では、樹脂シートは針状の突起物で変形することができ、荷重たわみ温度より30℃以上が好ましく、50℃以上がさらに好ましく、80℃以上が最も好ましい。荷重たわみ温度に達しない場合でも、変形はできるが、変形に時間を要し、生産性が悪い。樹脂シートの軟化は、温度効果ばかりでなく、ポリビニルアルコールにおける水溶媒や、ポリ塩化ビニル樹脂における可塑剤のように、溶媒や可塑剤などによる化学的に軟化させる場合があるが、その場合でも、樹脂シートが荷重たわみ温度以上であることが要件とされる。
本発明の製造方法における樹脂シートを変形させる針状型は、突起の高さhが3mm以上であって、hの1/2における幅wとが、h≧3wであることが好ましい。このような形状にすることにより、細長く高い針状突起が実現でき、本発明の柔軟ではあるが耐圧性のある立体構造物が実現できるからである。なお、針状型は3mm以上であって、好ましくは200mm以下、さらに好ましくは5mm以上であって100mm以下であり、8mm以上であって50mm以下であることが最も好ましい。3mmに達しない場合は、本発明の立体構造としてのカサ高性を満足することができず、200mmを越える場合は、本発明の細長い突起を安定して製造するのに困難な場合がある。また、針状型の高さhの1/2の位置における幅wは、h≧3wであって、好ましくはh≦100w、さらに好ましくはh≧5wであってh≦70w、h≧10wであってh≦50wであることが最も好ましい。これらの範囲にすることにより、カサ高性や空隙率を大きくでき、さらに柔軟性のある構造とすることができるからである。なお、h<3wの場合では、本発明の立体構造としてのカサ高性を満足することができず、h>100wでは、本発明の細長い突起を安定して製造するのに困難な場合があるからである。なお、針状型は必ずしも円錐状の対称的な形状のみを意味するものではなく、wにおける断面が楕円や四角、三角等の種々の形状を有することもできる。この場合におけるwの値は、1/2hにおける断面での最も小さい値を採用する。なお、hやwの測定は、ランダムに選んだ30点の突起を測定し、算術平均して求める。
本発明の多数の針状型は、基板と一体化している。一体化は、一体的に同一素材で機械加工された場合であってもよいが、針状型を基板にねじ止めや溶接、接着剤接合等の手段で接合してもよい。本発明の製造方法における細くて長い針状型のもう一つの利点は、その多数の針状型が一対互いに向かい合って設置されている場合において、向かい合っている針状型相互間で、機械的精度が不要で、その一対の基板の針状型が互いに樹脂シートに貫入するように平行に動いた場合、向かい合った針状突起は互いに相手を避けるようにしてシートに貫通されていくことが、実験結果確認された。本発明の細くて長い針状型のさらにもう一つの利点は、針状であるので、装置としての針状型も、製品の針状突起も、熱容量が小さいので冷却効率がよく、生産性が良いことである。また、圧縮強度向上には、単に形状のみでなく、成型時に付与される溶融時の変形による分子配向効果も大きい。本発明は、変形率が大きく、また冷却効率も大きいことより、分子配向が大きくすることができるという特徴もある。
次に、本発明による立体構造物を連続的に製造する手段について説明する。前記の針状型が保持されている基板が、多数連結して連続循環するコンベア上に保持されている。そのようなコンベアが一対、向き合って設置されており、その一対の連続循環するコンベア間に荷重たわみ温度以上に加熱された樹脂が連続的に挿入される。この挿入された樹脂シートに対して、その基板が垂直方向に移行させる機構により、一対の針状型が樹脂シートに貫通され、樹脂シートの両面に突起を形成させることによって連続的に立体構造物が成形される。従来の連続するコンベアに直接樹脂シートを挟み込む方式では、本発明の針状型の針が長いので、樹脂シートを挟み込む際に針が斜めに刺さり、安定した成形ができない。本発明では、挟み込む際に、基板を樹脂シートに対して垂直移行させることで、この問題を解決した。この基板の垂直移行は、種々の手段を用いることができ、移行は、基板だけ垂直に移行してもよいし、コンベアと一体になって移行してもよい。また、基板の垂直移行は、一対のコンベア上の両方の基板が垂直移行する場合と、片側の基板のみが垂直移行する場合もある。
本発明による立体構造物を連続的に製造する際の、基板が垂直移行する機構の例として、次の二つを示す。上記コンベアとしてキャタピラ(またはカタピラーとも云う)を使用し、上記基板が溝カムの溝に案内されて、挿入されてくる樹脂シートに対して垂直に移行させる手段である。また他の手段として、コンベア上の基板のみを架台により押し上げ、または押し下げする手段がある。これらの手段の詳細は、発明を実施するための最良の手段の項で示す。
【発明の効果】
本発明による立体構造物は、樹脂シートの両面に、その樹脂シートの一部が変形されることによって形成された針状突起を有する立体構造物であることを特徴とする。したがって、細い針状突起からなる立体構造物であることにより、空隙率の大きな立体構造物でありながら耐圧性等の立体構造物としての特性を有する構造体とすることができた。使用樹脂が少ないので、省資源であり、貴重な資源を無駄にせず、廃棄に際しても環境負荷が少ない。また、軽く、断熱性が大きいなどの性能上の特色もある。これらのカサ高で軽い性能は、従来、発泡体が担ってきた役割であるが、発泡体は、表面摩耗に弱く、通気性や透水性に乏しいなどの問題点があったが、本発明は発泡体と異なる形態の立体構造物とすることでこれらの問題点を解決できた。
また本発明による立体構造物は、上記のように細い針状突起からなる立体構造物であることにより、耐圧性等の立体構造物としての特性を有するにもかかわらず、柔軟な性質も兼ね備えた特徴を有する。柔軟であることにより、連続生産した長尺製品を、そのまま長尺巻き可能であり、生産面でも、また施工現場等の使用特性の面からも利点が多い。従来の立体構造物は、厚いものは、長尺巻できず、切断等の余計な工程が入り、また、使用寸法も種々なので、余分な端尺ができ、無駄が多かった。なお、柔軟というのは、相対的なもので、硬質ポリ塩化ビニル樹脂やポリカーボネート樹脂等の硬い樹脂を使用しても、従来の立体構造物に比較して、相対的に柔軟なものとすることができることを意味する。さらに本発明は、成形時の変形率が大きく、冷却効率も良いことより、成型品の分子配向が大きく、圧縮強度の大きな製品とすることができた。また、使用樹脂に光触媒作用のある酸化チタンや、消臭機能のある活性炭などを練り込んでシートを成形し、そのシートにより本発明による立体構造物を成形すると、変形率が大きいことにより、表面積が大きい製品となり、それらの酸化チタンや活性炭などの機能を大きく発揮させることができる。
本発明による立体構造物は、その柔軟性、耐圧性を利用して、そのまま精密機械等の包装材、クッション材として使用できる。軽くて、水にも強いなど、包装資材としての特性も有する。また、本発明による立体構造物を複数枚重ね、そのシート面方向の通気性、透水性と面に垂直方向の耐圧性とを利用して、養生材、フィルター、ドレイン材などに使用できる。また、本発明による立体構造物の針状突起の先端を不織布や布類、ネット、フィルム等を接合したものは、間仕切り、断熱材、土木の軟弱地盤補強材、養生材等に使用できる。さらにまた、本発明の針状突起の間を繊維状物等で充填し、必要に応じて、針状突起の先端をシート状物で接合されたものは、断熱ボード、フィルター、汚水処理、家畜小屋の床や屎尿処理等に使用される。
本発明による立体構造物を連続的に製造する手段は、針の長さが長いため、従来のように、一対のコンベアの設けられた型に、樹脂シートを連続的に挟み込むことでは製造できない。そこで本発明では、コンベア上の型を、樹脂シートに対して垂直に移行させる手段により、細く長い突起を両面にもつ立体構造物を、効率的に連続生産する手段を提供することができた。
【図面の簡単な説明】
図1は、本発明による立体構造物の例を斜視図で示す。
図2は、図1の針状突起の一部を取り出した側面図である。
図3は、図1の針状突起の一部を取り出した側面図の他の例である。
図4は、本発明による立体構造物の先端にシート状物を接合させた例を側面図で示す。
図5は、本発明による立体構造物の製造方法の例であり、製造手段の一部を側面図で示す。
図6は、本発明による立体構造物の針状突起の先端に孔を開ける手段の例を、概念図とした工程の側面図である。
図7は、本発明による立体構造物の先端に、シート状物を接合させる手段の例を、概念図として示した工程の側面図である。
図8は、本発明の連続製造装置を側面図で示す。
図9は、図8の溝カム部を斜視図で示す。
図10は、図8の装置の断面図である。
図11は、図8の装置の成形部材を斜視図で示す。
図12は、図8の成形工程を示す概念図である。
図13は、本発明の他の連続製造装置の側面図である。
図14は、図13の装置の断面図を示す。
【発明を実施するための最良の手段】
以下本発明の例を、図面で示す実施例に基づいて説明する。図1は、本発明による立体構造物1の一部の斜視図であり、樹脂シート2から、上方に向けての多数の針状突起3a、3b、3c、・・・と、下方に向けての多数の針状突起4a、4b、4c、・・・を有している。上方の針状突起3a、3b、3cは、ヨコ方向に一定ピッチpで配列し、また、後方の針状突起3d、3e、3fは、3aの列より一定ピッチpだけ後方で、一定ピッチpで横方向に配列している。下方に突出している針状突起4a、4b、4cは、上方の針状突起3a、3b、3cのp/2ピッチ後方で、横方向にもp/2移動した位置で、ヨコ方向に一定ピッチpで配列している。下方の後方の針状突起4d、4e、4fは、4aの列より一定ピッチpだけ後方で、一定ピッチpで横方向に配列している。
図2は、図1の針状突起3a、3b、3cのみを取り出した側面図である。針状突起3aを例に、針状突起の高さHと、高さ1/2での突起の幅Wを示している。次に、針状突起3bを例に突起の先端部5の曲率半径について示している。点線で示した丸の中を拡大して示してあるように、先端部5の表面に内接する円6を曲率円とし、その半径Rを曲率半径とする。また、針状突起3cを例に、突起の先端7がスライスされて、突起の先端に孔の開いた構造の例を示す。孔は、先端部分を溶融除去したり、針状のもので先端部に小さな孔を開けることもできる。
図3は、針状突起3a、3b、3cの先端部が8a、8b、8cが、平面部9a、9b9cを構成している例を示す。本発明による立体構造物が、他のシート類と接着剤接合される場合、平面であることにより接合面が増加して接合強度が向上するようにするためである。この平面部9は、シート2の厚みを残してもよいが、厚みが変形されて、シート2の厚みより小さくなっていることが好ましい。
図4は、図1の立体構造物1の針状突起の先端に、シート状物11aと11bとを接合した例を示す側面図である。このシート状物11の接合により、立体構造物は、圧縮力が全ての針状突起が平等に圧縮力を受けるようになるので、圧縮強度が飛躍的に向上する。また、曲げ強度についても、シート状物11の引張強力や圧縮強力が、曲げに抵抗するので、桁違いに強くなる。このシート状物11を、不織布、ネット状物、穴あきフィルムなどを使用することにより、通気性や透水性を持たすことができ、フィルターやドレイン材としての機能を有するようにすることができた。これらの立体構造物の内部の空間に、繊維状物12を充填させることにより、フィルター、ドレイン材、反応槽としての機能をさらにアップさせることができた。
図5は、本発明による立体構造物1の製造方法の例を、装置の一部を側面図で示した。基板21には、針状型23a、23b、23cが、ねじ部25を有して、ナット26で基板に保持されている。針状型23a、23b、23cは一部のみを示したもので、基板21の平面上に、針状型は横方向にも、図面の奥方向へも、一定ピッチで配列している。基板21の平面と向かい合って上面に、基板22の平面が設置されており、それに針状型24a、24b、24cが固定されている。針状型24a、24b、24cは、基板21の針状型とは、位置関係では、1/2ピッチだけ、ヨコ方向と奥方向にずれた位置に配置されている。そして、基板21と基板22の間に、荷重たわみ温度以上にある溶融樹脂のシート2が導かれ、基板21が固定されているのに対して、基板22が上下に動くことで、針状型23a、23b、23cと針状型24a、24b、24cの針が相対的に平行に動く。この平行な運動により、針状突起3a、3b、3c、4a、4b、4cが形成される。図5では、基板22が最も下の位置に来ている状態で示す。シート2は、基板22の一回の上下運動のストロークで、一定面積の突起物が形成されると、基板22が、最も高い位置に来たときに移動し、次の基板22の上下運動で、隣接して次の一定面積に針状突起が形成される。このようにして、基板22の上下運動ストロークで、一定面積の成形されることを繰り返すことで、多数の針状突起を有する立体構造物が連続して成形される。基板22の上下のストロークは、エアーシリンダーや油圧シリンダーによる上下運動や、カムを利用した上下運動も利用することができる。本発明の針状突起3や4は、変形率が大きく、表面積も大きく、冷却効率も大きいので、生産性もアップするが、さらに冷却効率をアップするために、基板21と22に穴を開け、冷却空気を導入することもできる。
図6は、本発明による立体構造物の針状突起の先端に孔を開ける手段について示す。樹脂シート2の両面に針状突起3a、3b、・・・、4a、4b、・・・を有する立体構造物1の進行方向に、一組の加熱ロール31a、31bがあり、それが針状突起3、4の先端に触れて、針状突起3、4の先端を溶融除去し、一組の冷却ロール32a、32bで冷却することにより、先端に孔33a、33b、・・・、34a、34b、・・・を有する立体構造物35を製造する。加熱ロール31の代わりに、加熱コンベア、熱風流、トーチ等も使用できるが、いずれも樹脂シートの融点(非晶質ポリマーの場合は2次転移点)よりも30〜50℃以上であることが好ましく、100℃以上高温であることがさらに好ましい。
図7は、本発明による立体構造物1のシート状物を接合させる手段について示す。樹脂シート2の両面に針状突起3a、3b、・・・、4a、4b、・・・を有する立体構造物1の進行方向に、一組の加熱ロール41a、41bがあり、そのロールにシート状物42a、42bが導かれ、加熱ロール41で加熱されて軟化され、針状突起3、4の先端に触れて、針状突起3、4の先端と接合されて、シート状物が接合された立体構造物43とされる。加熱ロール41は図6の加熱ロール31とは異なり、それほど極端に高温にする必要はないが、接合に充分な熱をシート状物42に与える必要がある。また、シート状物42が、Tダイスからでた溶融樹脂シートである場合は、むしろ溶融樹脂を冷却する機能を有する温度にすべきである。シート状物42が微多孔膜や不織布などのように、加熱によって性質の変わるものや、織物やネットのように、加熱のみでは接合が困難な場合は、加熱ロールの温度を高くすることが困難なので、立体構造物1とシート状物42の間に接着性ウェブ44a、44bを導き、接着性ウェブ44によって接着することもできる。シート状物42が微多孔膜や不織布のように、通気性や通水性を有することを特徴とする場合は、それらの通気性等を損なわないように、接着性ウェブ44は、不織布状やネット状物であることが好ましく、また、接着性ウェブ44の通気性等が少ない場合は、シート状物42の全面ではなく、接着性ウェブ44が帯状に部分的に配置して接合することが好ましい。また、接着性ウェブ44を使用せず、シート状物42の接合面や、立体構造物1の針状突起3、4の先端に接着剤を塗布しておくことによっても、シート状物が接合された立体構造物43を製造することができる。
図8から図12は、本発明による立体構造物を連続的に製造する例を示す。図8は装置全体を側面図で示す。ローラ60、61間を連続的に循環するコンベアとして、キャタピラ64aを使用し、ローラ62、63間には、キャタピラ64aと対になるキャタピラ64bが循環している。キャタピラ64には、多数の垂直ピン74が一定間隔で植えられている(図では、煩雑になるので、一部のみ示す)。キャタピラには、図5で示した表面に多数の針状突起(図では省略)を有する多数の基板70が、穴を開けられて、垂直ピン74に通されて保持されている。そして、原料となる樹脂シート80が、溝カム65の部分で成形され、立体構造物81となっていくことを示す。
図9図10は、本発明の製造装置の部品を斜視図で示す。図9には、溝カム65であり、基板用ガイド溝66、67および剥離板用ガイド溝68、69が板に形成されている状態を示す。図10には、キャタピラ64と、それに立てられた垂直ピン74、多数の針状型71が植えられている基板70、その針状型71に対応した針状型貫通孔73を有する離型板72、基板70の側面に設けられた基板支持ピン75、離型板72の側面に設けられた離型板支持ピン76が示されている。基板支持ピン75と離型板支持ピン76が、図9の溝カム65のそれぞれの溝で案内されることにより、上下のキャタピラ64a、64bに設けられた基板70が、樹脂シート80に対して垂直に(上下の針に対して云えば平行に)移行し、樹脂シート80を貫通し、立体構造物81が形成される。図9の上下の基板用ガイド溝66、67と、剥離板用ガイド溝68、69が、接近した後に離れていく工程で、接近する場合と異なる経路を辿るのは、成形された立体構造物81を、基板の針状型からの離型を容易にするためである。
図11は、図8の装置の全体図を、正面からの断面図であり、溝カム65、キャタピラ64、それに立てられた垂直ピン74、多数の針状型71が植えられている基板70、離型板72、基板70の側面に設けられた基板支持ピン75、離型板72の側面に設けられた離型板支持ピン76等の配置が示されている。
図12は、図8の装置の全体図の溝カム65の部分で、原料である樹脂シート80に対して、基板70に植えられた針状型71と、離型板72が、どのように作用するかを示した。工程Aでは、溝カム65の入口部分で、まだ基板70に取り付けられた針状型71も、離型板72も、樹脂シート80から離れている。工程Bでは、上下の針状型71が、樹脂シート80に対して垂直に移行し、樹脂シート80を貫通する。工程Cでは、成形された立体構造物81に対して、まず針状型71が離れ、離型板72は、成形された立体構造物81側に、まだ残っている状態を示す。工程Dでは、離型板72も立体構造物81から離れている状態を示す。これらの基板70および離型板72の樹脂シートに対しての垂直移行は、溝カム65に設けられた基板用ガイド溝66、67および剥離板用ガイド溝68、69の軌跡に沿って行われる。
図13図14は、本発明による立体構造物1のシート状物を連続的に成形させる他の手段について示した。図13は、装置の横方向からみた側面図であり、図14は、図13のA−A面、B−B面での断面図を示す。ローラ101、102間をコンベア103が循環している。コンベア103の両端部には、一定間隔で多数のピン104a、104b(図では、煩雑になるので、一部のみ示している)が植えられている。コンベア103のピン104には、図5で示した表面に多数の針状突起(図では省略)を有する基板105a、105bが両端部に穴を開けられて保持されている。コンベア103には、磁性ゴムや磁性プラスチック、または磁石を埋め込む等の手段で磁化されていることが好ましく、それによるコンベア73の磁性によって、基板105がコンベア103上に保持される。コンベア103と、下方をコンベア103と対になり等速で循環するコンベア106とが向き合って接近して時点で、前後に傾斜をもっている架台110の登り傾斜によって、基板105がコンベア103面から離れて、ピン104上を徐々に原料の樹脂シート2の方向へ垂直方向に移行する。その後、コンベア103と平行に移動する距離があった後、再び架台110の下り傾斜により、コンベア103側に移行される。
コンベア103と対になるコンベア106が、ローラ107、108間をコンベア103と等速で循環しており、同様に多数のピン111a、111bと、それに固定されている多数の基板112a、112bを有する。コンベア103と対になる関係で循環するコンベア106のピン111や基板112が、同様に架台113により押し上げられ、樹脂シート2に対して垂直に移行していく。この基板105と基板112の垂直移行により、両者の中間を走行する樹脂シート2を介して、基板105、112に設けられている針状突起(図では省略されている)の針が相互に平行に動き、樹脂シート2に相互に貫入して、樹脂シート2の両面に針状突起を有するシート114となる。また図では、挿入されてくる樹脂シート2の加熱装置または保温装置は省略してあり、また、基板の針状突起が相互に貫入した後の樹脂シートの冷却装置も省略してある。なお図10では、双方の基板105、112が垂直移行する例を示したが、片方のみ、例えば、基板112側のみ垂直移行させてもよい。
図14のA図は、図13のA−Aでの断面で、B図は、B−Bでの断面であり、図13の上側の装置のみ示す。架台110は、コンベア113の外側に設置されている。基板115が、コンベア103側に戻る際は、図13に示す架台110の反対側であるコンベア103側に、基板105を押し下げるガイドレールを設けることができる。なお、架台やガイドレールは、摩擦を軽減するため、小さいコロやベアリングから構成されていることが好ましく、また、摩擦係数小さな材料を使用したり、潤滑剤を使用することができる。
【実施例】
原料樹脂として、高密度ポリエチレン(日本ポリオレフィン株式会社、J−REX・HD、KL371A、MFR1.0、密度0.956g/cm3、荷重たわみ温度65℃)を使用した。この樹脂を、Tダイスより275℃で押出成形し、溶融状態で300μmのシートとなるように、図5に示した立体構造物成形工程へと導かれる。図5における基板21、22、針状型22、23として、市販の生け花用剣山を4個組み合わせた成型用金型を2セット用意した。この剣山の針状型の径は、1.35mm、ピッチは3.7mm、高さは13mmであった。この2セットの金型を、針先が向き合うようにセットし、その間にTダイスより成形された溶融樹脂シートが挟み込まれた状態で、樹脂シートを貫通するように、互いの針状型を噛み合わせる。この時の溶融樹脂シートの温度は232℃であった。針状型の熱容量と大気により冷却された成形体は、成形金型から取り出され、図1に示す立体構造物となった。この立体構造物の高さHは、5.1mmで、1/2Hにおける幅Wは、1.5mm、針状突起の隣の突起までのピッチは、3.7mmであった。
【産業上の利用可能性】
本発明による立体構造物は、柔軟性を有するにもかかわらず耐圧性に優れ、透水性や断熱性も有するので、緩衝シート、クッションシート、間仕切り、床材等に使用される。

Claims (3)

  1. 多数の針状型が基板に一体化されて設置されており、該基板が多数連結されて連続循環するコンベア上に保持され、該コンベアが一対向き合って走行することによって該基板の一対が互いに向かい合って走行し、該一対の連続循環するコンベア間に荷重たわみ温度以上に加熱された樹脂シートが連続的に挿入され、該一対の基板が該樹脂シートに対して垂直方向に移行させられて、該一対の針状型が該樹脂シートに貫入させられることによって、該樹脂シートの両面に針状突起を連続的に形成させる立体構造物の製造方法において、
    該コンベアがキャタピラによって構成されており、該キャタピラに立てられている垂直ピンに該基板が保持され、該基板の側面に設けられた基板支持ピンが溝カムに案内されることによって該基板の垂直移行が行われ、
    さらに、該一対の基板のそれぞれの表面に該針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられ、該離型板の側面に設けられた離型板支持ピンが該基板とは別軌道の溝カムに案内されることによって、該離型板によって該基板と成形された樹脂シートが連続的に離されていくことを特徴とする、立体構造物の製造方法。
  2. 多数の針状型が基板に一体化されて設置されており、該基板が多数連結されて連続循環するコンベア上に保持され、該コンベアが一対向き合って設置されていることによって該基板の一対が互いに向かい合って走行するように設置されており、該一対の連続循環するコンベア間に荷重たわみ温度以上に加熱された樹脂シートが連続的に挿入されるように構成されており、該一対の基板が該樹脂シートに対して垂直方向に移行させられる機構により、該一対の針状型が該樹脂シートに貫入させられることによって、該樹脂シートの両面に針状突起を連続的に形成させるように構成されている立体構造物の製造装置において、
    該コンベアがキャタピラによって構成されており、該キャタピラに立てられている垂直ピンに該基板が保持され、該基板の側面に設けられた基板支持ピンが溝カムに案内されることによって該基板の垂直移行が行われるように構成されており、
    さらに、該一対の基板のそれぞれの表面に該針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられ、該離型板の側面に設けられた離型板支持ピンが該基板とは別軌道の溝カムに案内されることによって、該基板と成形された樹脂シートが連続的に離されていくように構成されていることを特徴とする、立体構造物の製造装置。
  3. 多数の針状型が基板に一体化されて設置されており、該基板が多数連結されて連続循環するコンベア上に保持され、該コンベアが一対向き合って設置されていることによって該基板の一対が互いに向かい合って走行するように設置されており、該一対の連続循環するコンベア間に荷重たわみ温度以上に加熱された樹脂シートが連続的に挿入されるように構成されており、該一対の基板が、該樹脂シートに対して垂直方向に移行させられる機構により、該一対の針状型が該樹脂シートに貫入させられることによって、該樹脂シートの両面に針状突起を連続的に形成させる立体構造物の製造装置において、
    該コンベアにピンが垂直に立てられ、該基板に設けられた穴に該ピンが通されることによって該基板が該コンベアに保持され、該基板の前記垂直移行は、該コンベアの両側面に設けられた架台の有する傾斜に沿って該基板が移行されることにより行うように構成されており、
    さらに、該一対の基板のそれぞれの表面に該針状型の突起に対応した位置に孔を有する離型板が設けられ、該離型板の側面に設けられた該基板とは別軌道を有する架台によって案内されるように構成されていることによって、該基板と成形された樹脂シートが連続的に離されていくように構成されていることを特徴とする立体構造物の製造装置。
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